JP4986429B2 - 主として未反応セルロースからなる微小異物の少ないセルロースエステル、その製造方法および当該セルロースエステルからなる成形体 - Google Patents
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Description
[2]活性化処理工程が、セルロースに対し質量で1〜300倍の水を含む水系媒質中にセルロースを添加し、スラリー状態にして、0℃〜100℃で0.01時間以上72時間以下処理することを特徴とする[1]に記載のセルロースエステルの製造方法
[3]水系媒質が水であることを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースエステルの製造方法
[4]水系媒質が40%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[5]水系媒質が80%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[6]水系媒質が90%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[7] カルボン酸が酢酸であることを特徴とする [4]ないし[6]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[8]前記[1]または[7]のいずれかに記載した製造方法により得られ、0.02重量%でジクロロメタンに溶解した溶液をアキュサイザーで測定した場合に、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物が5000個以下であることを特徴とするセルロースエステル
[9]セルロースエステルが、炭素数4以上6以下の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシル基の平均置換度が2〜3、グルコース単位の6位のアシル基の平均置換度が0.7〜1であり、粘度平均重合度が100〜400であるセルロースエステルであることを特徴とする[8]に記載のセルロースエステル
[10]セルロースエステルが、セルロースアセテートブチレートであることを特徴とする[8]または[9]に記載のセルロースエステル
[11]セルロースエステルがセルロースアセテートブチレートであり、アセチル基の置換度をA、ブチリル基の置換度をBとしたときに、下記式(1)〜(3)を満たし、かつ重合度が200〜400であることを特徴とする[8]〜[10]いずれかに記載のセルロースエステル
2.00≦A+B≦2.90 (1)
0.00≦ A ≦1.90 (2)
0.60≦ B ≦2.90 (3)
[12] セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネートであり、アセチル基の置換度をA、プロピオニル基の置換度をCとしたときに、下記式(4)〜(6)を満たし、かつ重合度が100〜400であることを特徴とする[8]〜[10]いずれかに記載のセルロースエステル
2.00≦A+C≦2.90 (4)
0.00≦ A ≦1.90 (5)
0.60≦ C ≦2.90 (6)
[13]上記[8]〜[12]のいずれかに記載のセルロースエステル組成物よりなる成形体
[14]光学フィルム、偏光板、位相差フィルムである[13]に記載の成形体
本発明において、活性化剤として用いられる水を含む水系媒質の量は、セルロースに対して質量で1〜300倍の範囲から選択でき、膨潤効果、反応性回復効果、および非劣化解砕の効果を充分に得るためには、通常5〜100倍、好ましくは10〜50倍、更に好ましくは15〜40倍、最も好ましくは20〜30倍である。活性化剤がセルロースに対して質量で1倍以下であると、活性化剤として膨潤効果や反応性回復効果を充分に発揮できず、セルロースの短時間での均一かつ効率的なアシル化を行うことができない。一方、加える活性化剤の量がセルロースに対して質量で300倍を超えると、活性化剤を除去するための負担が大きくなり、工業的に現実的ではない。
[セルロースエステル]
本発明におけるセルロースエステルは、炭素数4以上6以下の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシル基の平均置換度が2〜2.9、グルコース単位の6位のアシル基の平均置換度が0.7〜1であり、粘度平均重合度が100〜400であるセルロースエステルである。上記セルロースエステルのうち、特に、光学用フィルムとしての良好な特性を発揮できることから、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートが好ましい。この中でも入手しやすさやコストの面、光学フィルムとしての良好な特性を得られることなどから、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートが特に望ましい。
0.00≦ A ≦1.90 (2)
0.60≦ B ≦2.90 (3)
一方、セルロースエステルとしてセルロースアセテートプロピオネートを選択する場合、その置換度は、アセチル基の置換度をA、プロピオニル基の置換度をCとしたときに、下記式(4)〜(6)を満たすものが有用である。
0.00≦ A ≦1.90 (5)
0.60≦ C ≦2.90 (6)
尚、置換度は慣用の方法で測定でき、例えば、酢化度はASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度に準じて単位重量あたりのアシル基のモル数を測定するとともに、さらに、ケン化によって遊離した各アシル基の比率を液体クロマトグラフィーで測定することにより算出できる。また、置換化度は、1H−NMR、13C−NMRで分析することもできる。
η r e l =t/t0
[η]=(lnη r e l )/c
DSester=[η]/(6×10- 4 )
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液の変性セルローストリアセテート濃度(g/dl)、η r e l は相対粘度、[η]は極限粘度、DSesterは平均重合度を示す)。また、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶媒を用いたとき、変性セルローストリアセテートの6重量%溶液粘度は、例えば、150〜700cps、好ましくは200〜600cps、特に250〜500cps程度である。
[セルロースエステルの製造方法]
セルロースエステルは、本発明における活性化処理を施した後、硫酸触媒の存在下、セルロースをアシル化剤でアシル化した後、必要により部分中和し、脱アシル化(加水分解又は熟成)することにより製造することができる。より詳細には、混合脂肪酸セルロースエステルは、通常、セルロースを活性化処理後、硫酸触媒を用いてアシル化剤(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等)によりトリアシルエステルを調製し(アシル化工程)、酸無水物を分解しカルボン酸/水系で加水分解又は熟成によりアシル化度を調整する(ケン化・熟成工程)ことにより製造できる。なお、セルロースエステルの製造方法については、「木材化学」(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁を参照できる。
[主として未反応セルロースからなる微小異物]
本発明にかかる活性化処理を行って得られるセルロースエステルは、主として未反応セルロースからなる微小異物が少なく、光学材料、特に光学フィルムを成形するのに有用である。本発明における活性化処理を行うことにより、主として未反応セルロースからなる微小異物の量は、アキュサイザーで測定した場合に、粒径1〜10μmのジクロロメタン不要物が5000個以下となる。このような繊維状の微小異物は、複屈折を有するため、フィルムにした時に偏光状態に影響を与え、光漏れなどを起こして各種フィルムとしての品質が落ちてしまう原因になるため、より好ましくは3000個以下、特に0個であることが好ましい。
実施例1
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、3000重量部の水に浸漬し、室温で90分間攪拌膨潤させた。G3ガラスフィルター上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含水セルロース330重量部を得た。得られた含水セルロースを3000重量部の氷酢酸に浸漬させ、室温で90分間攪拌した。酢酸浸漬させたセルロースをG3ガラスフィルター上でアスピレーターを用いて吸引脱液し水を酢酸で置換した。この酢酸浸漬操作を4回繰り返し、最終的に水0.2重量部、酢酸216重量部を含むセルロース100重量部を得た。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸789重量部、酢酸30重量部、酪酸753重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から50分間10℃以下に保持し、30℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに200分間30℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成)合成したセルロースアセテートブチレートの溶液に46.6質量%の酢酸水溶液671重量部及び24%質量%酢酸マグネシウム水溶液22重量部を加え、温度を60℃に上げて、120分間保持してセルロースアセテートブチレートを熟成した。
(後処理)熟成後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液57重量部を加えて攪拌した。得られて溶液を激しく攪拌しながら30質量%酢酸水溶液10000重量部を加え、得られた沈殿を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
(セルロースアセテートブチレートの分析)製造したセルロースアセテートブチレートについて、置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。測定結果は表1に示す。置換度は1H−NMRを用いて実施した。1H−NMRの測定条件は以下の通りである。
測定周波数:500MHz
測定溶媒:CDCl3
試料濃度:15mg/0.6ml
測定温度:40.0℃
積算回数:16
PD:10−ACQTMsec.
PW1:6.25μsec.
照射モード:NON
データポイント:16384
アセチルメチルのプロトンシグナルは1.81ppmから2.43ppmの領域に現れ、ブチリルメチルのプロトンシグナルは0.78ppmから1.07ppmと1.81ppmから2.43ppmの領域に現れる。また、グルコース環メチン、メチレンのプロトンシグナルは3.20ppmから5.50ppmの領域に現れる。それぞれのシグナル強度からアセチル置換度およびブチリル置換度を求めた。その結果、得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.00、ブチリル置換度は1.90であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、192であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数はアキュサイザーで測定した。測定条件は以下の通りである。
測定溶媒:特級試薬ジクロロメタン
測定濃度:200ppm
キャリブレーションカーブ:水系で作成したものを使用、Sum. Sensorモード0 .50um〜100um
Volume of Syringe: 10ml
Time between Pulls: 1sec
Flow Rate: 30ml/min
Number of Pulls: 3
Volume of Pulls: 8ml
Tale Volume: 1ml
Prime Volume: 1ml
得られたセルロースアセテートブチレートの粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数2793個であった。
実施例2
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、3000重量部の水に浸漬し、室温で90分間攪拌膨潤させた。ブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含水セルロース530重量部を得た。得られた含水セルロースを1500重量部の氷酢酸に浸漬させ、室温で90分間攪拌した。酢酸浸漬させたセルロースをブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し水を酢酸で置換した。この酢酸浸漬操作を2回繰り返し、最終的に水17.7重量部、酢酸295重量部を含むセルロース100重量部を得た。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸1034重量部、酢酸54重量部、酪酸387重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から75分間10℃以下に保持し、25℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに35分間25℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成)合成したセルロースアセテートブチレートの溶液に20質量%の酢酸水溶液147重量部を加え、温度を60℃に上げて、240分間保持してセルロースアセテートブチレートを熟成した。
(後処理)熟成後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液125重量部を加えて攪拌した。得られて溶液を激しく攪拌しながら30質量%酢酸水溶液10000重量部を加え、得られた沈殿を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.03、ブチリル置換度は1.62であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、190であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、1908個であった。
実施例3
実施例1と同様の活性化処理操作において、3000重量部の水に代えて80%酢酸(20%含水)を使う以外は、実施例1と同じ処理を行い、表1に示す組成の活性化処理済みセルロースを得た。実施例と1同様の合成操作において、表1に示す温度条件を取った以外には、実施例1と同じ処理を行い、表1に示すセルロースアセテートブチレート(アセチル置換度0.99、ブチリル置換度1.93、平均重合度249、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶物個数(アキュサイザー測定)1002個であった。
比較例1
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、76重量部の氷酢酸を噴霧し、室温で一時間活性化処理を行った。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸885重量部、酢酸170重量部、酪酸646重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度プロファイルは実施例1と同様にして、セルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成、後処理)実施例1と同様に熟成および後処理を行い、セルロースアセテートブチレートを得た。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.01、ブチリル置換度は1.92であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、139であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、8665個であった。
比較例2
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、76重量部の氷酢酸を噴霧し、室温で一時間活性化処理を行った。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸958重量部、酢酸274重量部、酪酸471重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から75分間10℃以下に保持し、25℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに175分間25℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成、後処理)実施例2と同様に熟成および後処理を行い、セルロースアセテートブチレートを得た。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.11、ブチリル置換度は1.53であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、148であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、5796個であった。
比較例3
実施例3と同様の活性化処理操作において、3000重量部の80%酢酸に代えて氷酢酸を使う以外は、実施例1と同じ処理を行い、表1に示す組成の活性化処理済みセルロースを得た。実施例と1同様の合成操作において、表1に示す温度条件を取った以外には、実施例1と同じ処理を行い、表1に示すセルロースアセテートブチレート(アセチル置換度1.00、ブチリル置換度1.92、平均重合度119、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶物個数(アキュサイザー測定)12146個)を得た。
以上の結果を表1に示す。
Claims (3)
- セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートの製造方法であり、
セルロースを、セルロースに対し質量で15〜40倍の水を含む水系媒質で、スラリー状態にして、10℃〜40℃で0.2時間以上2時間以下活性化処理する工程
前記の含水セルロースをカルボン酸に浸漬させる工程
前記のカルボン酸を含む含水セルロースを吸引脱液させ水をカルボン酸で置換する工程
からなる前処理工程を含むことを特徴とするセルロースエステルの製造方法 - 水系媒質が80%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルの製造方法
- カルボン酸が酢酸であることを特徴とする請求項1ないし2に記載のセルロースエステルの製造方法
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