JP4986645B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学装置に関し、特に、エレクトロクロミック技術を用いた光学装置に関する。
流動性微粒子ディスプレイ(MFPD)は、液晶などの誘電性流体に微粒子を分散させた層を、電極を配した上下基板で挟んだ構造を有し、電気泳動により微粒子の動きを面内方向に制御して、面内の微粒子の位置分布に応じた表示を行うディスプレイである。MFPDは、例えば、特許文献1に開示されている。MFPDは、紙のように明るい反射型表示を行うことができ、また、表示のメモリ性を有している。
図9(A)及び図9(B)は、MFPDの例を示す概略断面図である。相互に対向する上側透明基板101と下側透明基板102との間に、微粒子103を分散させた液晶からなる流動層104が形成されている。上側透明基板101の下面上に、不透明電極105が形成されている。不透明電極105が、平面視上、開口窓を画定する。下側透明基板102の上面上に、光吸収層106が形成され、光吸収層106の上面上に、透明電極107が形成されている。
透明電極107と不透明電極105との間に電圧が印加されていない状態で、図9(A)に示すように、微粒子103が流動層104全体に分散している。上方から入射する外光108を、微粒子103が反射する。これにより、開口窓内は明るく見える。
透明電極107と不透明電極105との間に所定電圧を印加することにより、図9(B)に示すように、微粒子103が不透明電極105の下方に集められる。これにより、開口窓内の流動層104が透明になる。外光108は、流動層104を透過して、光吸収層106で吸収される。これにより、開口窓内は暗く見える。
ここで、相対的に明るい表示を単に「白表示」呼び、相対的に暗い表示を単に「黒表示」と呼ぶこととする。図9(A)及び図9(B)を参照して説明した表示装置は、反射型の表示装置であり、流動層104中の微粒子103による散乱反射で白表示が実現され(図9(A))、光吸収層106による光吸収で黒表示が実現される(図9(B))。
なお、光吸収層を除去し、光を吸収する微粒子を用いれば、透過型の表示装置とすることができる。流動層中に微粒子が分散した状態で黒表示が実現され、不透明電極下に微粒子が集められた状態で白表示が実現される。
ディスプレイとして、また、電圧印加により、透明状態と着色状態とを変化させるエレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミックディスプレイも知られている。
反射型のエレクトロクロミックディスプレイは、エレクトロクロミック膜の下に反射部材を配置した構造を有する。エレクトロクロミック膜が透明状態で、反射部材により外光が反射されることにより、白表示が実現される。エレクトロクロミック膜が着色状態で、エレクトロクロミック膜に外光が吸収されることにより、黒表示が実現される。
透過型のエレクトロクロミックディスプレイは、エレクトロクロミック膜の下に透明部材を配置した構造を有する。エレクトロクロミック膜が透明状態で、透明部材及びエレクトロクロミック膜を光が透過することにより、白表示が実現される。エレクトロクロミック膜が着色状態で、エレクトロクロミック膜に光が吸収されることにより、黒表示が実現される。
特開2003−98556号公報
1つの表示装置を、様々な環境下で利用したいという要求がある。例えば、明所では反射型の表示装置として利用でき、暗所ではバックライトを用いた透過型の表示装置として利用できるような表示装置があれば望ましい。しかし、従来のMFPD及びエレクトロクロミックディスプレイは、1つの表示装置が、反射型表示装置と透過型表示装置とを兼ねない。
本発明の一目的は、反射型表示装置と透過型表示装置とを兼ねる表示装置に適用可能な光学装置を提供することである。
本発明の他の目的は、新規な光学装置を提供することである。
一方の電極上にエレクトロクロミック膜が形成され、該エレクトロクロミック膜に電圧を印加する第1の電極対と、前記第1の電極対の間に配置され、微粒子を含む電解質層と、前記電解質層中に電界を生じさせることにより、前記エレクトロクロミック膜の面内方向に関して前記微粒子を移動させ、その一方の電極の近傍に該微粒子を集める第2の電極対とを有する光学装置が提供される。
第1の電極対で、エレクトロクロミック膜の着色状態が制御される。また、第2の電極対で、電解質層中の微粒子の位置分布が制御される。電解質層中の微粒子の位置分布を変化させることにより、電解質層の反射率(または透過率)を変化させることが可能となる。
本発明の光学装置を、例えば、エレクトロクロミック膜の着色状態の変化を利用して表示を行う表示装置として利用することを考える。電解質層の反射率が高い状態で表示を行えば、反射型の表示装置を実現することができる。一方、電解質層の反射率が低い(透過率が高い)状態で表示を行えば、透過型の表示装置を実現することができる。なお、照明装置等に応用することもできる。
図1を参照して、本発明の第1の実施例による光学装置の構成及び作製方法について説明する。図1は、第1の実施例による光学装置の概略断面図である。実施例の光学装置を表示装置として用いる場合について説明を続ける。
まず、表面に透明電極2及び不透明電極3がパタン形成された上側基板1、及び、表面に透明電極4がパタン形成された下側基板5を用意する。
上側基板1及び下側基板5は、例えば青板ガラスまたは白板ガラス等の透明材料からなり、厚さはそれぞれ例えば0.7mmtである。透明電極2及び4は、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)からなり、厚さはそれぞれ例えば80nmである。不透明電極3は、例えばアルミニウムやモリブデン等の金属からなり、厚さは例えば80nmである。
平面視上、不透明電極3が開口窓を画定し、透明電極2が、開口窓内に形成されている。不透明電極3の画定する開口窓内が、1画素分の表示領域に対応する。
次に、上側基板1上の透明電極2の表面に、エレクトロクロミック膜6を形成する。本実施例で、エレクトロクロミック膜6は、三酸化タングステン(WO)を真空蒸着することにより形成する。形成したエレクトロクロミック膜6に、350℃で30分の熱処理を施す。
なお、エレクトロクロミック膜6の材料は、膜の透明状態と着色状態とを印加電圧で切り替えられるタイプのものであれば、WOに限られない。例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン−モリブデン複合膜、酸化バナジウム、酸化イリジウム、二酸化マンガン、酸化ニッケル、または、ビオロゲン系やスチリル系化合物等の有機系材料等を用いることもできる。
また、エレクトロクロミック膜6の成膜方法は、真空蒸着に限られない。例えば、スパッタリング(ラジオ周波数(RF)マグネトロンスパッタリング等)、メッキ、ラングミュアブロジェット(LB)法、各種印刷法(スクリーン印刷、スピンコート、ダイコート等)を用いることもできる。
なお、エレクトロクロミック膜6の膜構造として、緻密なものは好ましくなく、アモルファスで多くの隙間を持った構造が好ましい。積極的に隙間を設けるために、微小な粒径を有する粒子をエレクトロクロミック膜6中に分散させてもよい。なお、下側基板5上の透明電極4の表面に、電子供与膜を形成してもよい。
次に、下側基板5上に、メインシール層7を形成する。メインシール層7の材料として、ギャップコントロール剤を2wt%〜5wt%含むメインシール剤を用いる。本実施例では、ギャップコントロール剤として径が75μmのプラスチックボールを用い、これを三井化学製のシール剤ES−7500に5wt%添加して、メインシール剤とする。メインシール層7の形成方法として、例えば、スクリーン印刷やディスペンサが用いられる。ギャップコントロール剤の径が、電解質層8の厚さに相当する。電解質層8の厚さが50μm〜200μmの範囲内となるように、ギャップコントロール剤を選択することが好ましい。
次に、透明電極2及び不透明電極3が形成された表面と、透明電極4が形成された表面とを対向させ、透明電極2と透明電極4とを平面視上で位置合わせし(例えば両電極の中心を一致させ)、メインシール層7を介して上側基板1と下側基板5とを重ね合わせる。このようにして、空セルを形成する。セルが形成された状態で、平面視上、下側基板5上の透明電極4も、開口窓内に配置される。
次に、空セルに電解液を真空注入することにより、電解質層8を形成する。電解質層8を形成する電解液として、液晶に電荷移動錯体(CTC)を添加し、これにさらに微粒子9を分散させたものを用いる。電解質層8を形成した後、電解液の注入口にエンドシール剤を塗布してセルを封止する。
本実施例では、液晶として、大日本インキ製のRDP−00333を用い、CTCとして、n−ブチル−イソキノリニウム−アイオダイド(n−butyl−isoquinolinium−iodide,BIQI)を用いる。電解液中のCTCの添加量は、例えば0.038wt%とする。CTCには電解質としての働きだけではなく、後述のように、微粒子9の移動速度を向上させる効果も有する。なお、電解質として、各種液体塩、溶媒(アセトニトリル等)を用いることも可能である。なお、液晶材料に特に限定はないが、誘電率異方性Δεの絶対値が大きいものが好ましい。Δεがゼロに近いと、動きが鈍くなる。
微粒子9として、TiO、SiO、ZnO等の各種金属酸化物、及び、スチレンボール等の有機物、及び、それらの着色物やその中空体等が用いられる。本実施例では、微粒子9として、液晶表示素子のギャップコントロール材料としてよく利用されている微粒子を流用する。本実施例の微粒子9は、無着色の、TiOと有機物の混合系である。
本実施例の微粒子9は、直径6μmの球形粒子であり、粒径(直径)のばらつきが±数%以下に収まるものである。なお、粒径は、例えば、レーザ回折法、沈降式、画像解析式、光散乱法等の手法で測定できる。なお、微粒子9の粒径は、6μmに制限されず、0.5μm〜100μmの範囲内とすることが好ましく、2μm〜20μmの範囲内とすることがより好ましい。
電解液中の微粒子9の添加量は、1wt%〜50wt%の範囲内とすることが好ましく、10wt%〜30wt%の範囲内とすることがより好ましい。本実施例では20wt%とする。
上側基板1上の透明電極2と、下側基板5上の透明電極4とが、直流電源10に接続される。スイッチ11をオンにすると、透明電極2と透明電極4との間に所定電圧が印加される。
上側基板1上の不透明電極3と、下側基板5上の透明電極4とが、直流電源20に接続される。スイッチ21をオンにすると、不透明電極3と透明電極4との間に所定電圧が印加される。
下側基板5の下方に(下側基板5に対して上側基板1と反対側に)、バックライト30が配置されている。本実施例では、バックライト30として、白色光を出射するものを用いる。制御装置40が、透明電極2と透明電極4との間の電圧印加、不透明電極3と透明電極4との間の電圧印加、及び、バックライト30の点灯、消灯を制御する。
次に、エレクトロクロミック膜6の着色状態の制御について説明する。図1に示す上側基板1上の透明電極2と、下側基板5上の透明電極4との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック膜6に電圧を印加することができる。
エレクトロクロミック膜6は、電圧無印加状態でほぼ透明である。エレクトロクロミック膜6への負電圧印加により、エレクトロクロミック膜6に電解質層8から正電荷が注入される。これにより、エレクトロクロミック膜6が青く着色する。エレクトロクロミック膜6への印加電圧を低くする(負電圧の絶対値を大きくする)ほど着色が濃くなる。エレクトロクロミック膜6を充分に着色するために必要な負電圧は、例えば−1Vである。
図2は、電圧無印加状態及び電圧印加状態(−1V)におけるエレクトロクロミック膜の透過スペクトルである。横軸が波長をnm単位で示し、縦軸が透過率を%単位で示す。曲線C1が電圧無印加状態のスペクトルであり、曲線C2が電圧印加状態のスペクトルである。実施例のセルの画素部分の透過特性が示されている。
電圧無印加時は、400nm〜800nmの波長範囲で、透過率が80%でほぼ一定である。一方、−1V印加時は、波長が400nm〜450nmの範囲で、透過率がほぼ80%程度であるが、波長が450nm以上となると透過率が低下し、波長600nmで透過率が45%程度になる。波長600nm〜800nmの範囲で、透過率が45%程度である。すなわち、エレクトロクロミック膜は、電圧無印加状態で透明であり、電圧印加状態で青色に着色する。
このように、上側基板上の透明電極と、下側基板上の透明電極との間の電圧制御により、エレクトロクロミック膜の透明状態と、着色状態(青色状態)とを切り替えることができる。
次に、電解質層8の反射率(または透過率)の制御について説明する。図1に示す上側基板1上の不透明電極3と、下側基板5上の透明電極4との間に電圧を印加しない状態で、電解質層8中の全体に、微粒子9が分散している。微粒子9が全体に分散した電解質層8は、高い反射率を有し、白色を呈する。
上側基板1上の不透明電極3に充分高い正電圧を印加すると、電解質層8中に生じた電界により(電気泳動により)、面内方向(上側の透明電極2と下側の透明電極4とが対向する方向と直交する方向)に関して、電解液の流れが生じて微粒子9が移動し、微粒子9が不透明電極3の下方に集まる(開口窓の縁部に集まる)。これにより、開口窓内には(少なくとも開口窓内の中心部には)微粒子が分布しなくなり、開口窓内の電解質層8が透明になる。不透明電極3の近傍に微粒子9を集めるために必要な正電圧は、例えば40Vである。微粒子の移動は、主に電界強度で制御される。例えば、電極間の距離を75μmとし、印加電圧を40Vとすると、電界は約0.5V/μm(5000V/cm)となる。
なお、不透明電極3の近傍に集まった微粒子9は、不透明電極3への正電圧印加を解除しても不透明電極3近傍にとどまる。すなわち、不透明電極3への正電圧印加を解除しても、開口窓内の透明状態が維持される。
再び、電解質層8の全体に(または開口窓内に)微粒子9を分散させるためには、下側基板5上の透明電極4に、充分高い正電圧(例えば40V)を印加して、透明電極4の上方に微粒子9を戻す。その後、透明電極4への正電圧印加を解除しても、微粒子9の分散状態が維持される。
図3(A)〜図3(D)は、電圧印加による微粒子の移動の様子を示す顕微鏡写真である。図3(A)が、電圧無印加状態に対応する写真であり、電解質層中に均一に白色の微粒子が分布している。電圧印加により微粒子が移動を開始する。図3(B)〜図3(D)は、電圧印加開始からの経過時間の順に、微粒子の分布を示す写真であり、時間が経過するにつれ、微粒子が、開口窓を画定する不透明電極の近傍に集まっている。
図4(A)は、微粒子が電解質層全体に分散している状態(微粒子分散状態)における、開口窓内の電解質層の反射率(白丸で示す)、及び、微粒子が不透明電極下に集まった状態(微粒子移動状態)における開口窓内の電解質層の透過率(黒丸で示す)の、視角依存性を示すグラフである。横軸が視角を度単位で示し、左の縦軸及び右の縦軸が、それぞれ、反射率及び透過率を%単位で示す。なお、測定は、図1に示した装置と同様の電極構造で、エレクトロクロミック膜は形成していない装置に対して行っている。従って、エレクトロクロミック膜が透明状態(無着色状態)のときの光学特性の測定に対応する。
図4(B)に、反射率の測定方法を説明するための電解質層8の概略断面図を示す。拡散光源から電解質層8の表面に等方的に入射する光LIに対し、電解質層8による反射率を測定した。視角θ(反射測定角θ)は、電解質層8表面の法線方向と、測定される反射光LRとのなす角で定義される。なお、各視角について、標準白色板の反射率を100%としている。
図4(A)に示すように、微粒子が電解質層全体に分散している状態では、視角0°〜60°程度の範囲において、反射率が50%程度でほぼ一定である。なお、新聞紙の反射率は約40%である。このように、新聞紙よりも明るい反射率が、広い視角範囲で安定して得られる。
また、微粒子が不透明電極下に集まった状態では、視角0°〜20°程度の範囲において、透過率が90%程度でほぼ一定である。視角20°以上で、透過率はやや低下するが、視角60°でも80%以上である。
このように、微粒子の位置分布を制御した電解質層は、広い視角範囲で自然な散乱反射を示す反射板として機能するとともに、広い視角範囲で非常に明るい透過板として機能する。
以上説明したように、上側基板上の不透明電極と、下側基板上の透明電極との間の電圧制御により、開口窓内の電解質層の反射状態(白色状態)と、透明状態とを切り替えることができる。
次に、図5(A)〜図5(D)を参照して、実施例による表示装置の使用方法について説明する。明所で反射型表示装置として使用し、さらに、暗所でバックライトを用いた透過型表示装置として使用する例について説明する。開口窓内の表示状態が、上方から観察される。
図5(A)及び図5(B)は、反射型表示装置として使用されている状態の表示装置の概略断面図である。図5(A)及び図5(B)では、電解質層8が反射状態で、バックライト30が消灯状態である。外光50が、上側基板1に上方から入射し、電解質層8で上方に反射される。
図5(A)では、エレクトロクロミック膜6を透明状態とする。エレクトロクロミック膜6の下の電解質層8が反射状態(白色状態)であるので、図5(A)では、開口窓内が白く見える。このようにして、反射型表示装置における白表示が実現される。
図5(B)では、エレクトロクロミック膜6を着色状態(青色状態)とする。上方からエレクトロクロミック膜6を透過し、電解質層8で反射し、再びエレクトロクロミック膜6を透過して上方に出射した光が青く見える。このようにして、反射型表示装置における青表示が実現される。
図5(C)及び図5(D)は、透過型表示装置として使用されている状態の表示装置の概略断面図である。図5(C)及び図5(D)では、電解質層8が透過状態で、バックライト30が点灯状態である。バックライト30から出射した光が、下方から下側基板5に入射し、上側基板1から上方に出射する。
図5(C)では、エレクトロクロミック膜6を透明状態とする。電解質層8も透明状態であるので、開口窓内が白く(バックライト30から出射した光の色に)見える。このようにして、透過型表示装置における白表示が実現される。
図5(D)では、エレクトロクロミック膜6を着色状態(青色状態)とする。電解質層8は透明状態である。下方からエレクトロクロミック膜6を透過した光が青く見える。このようにして、透過型表示装置における青表示が実現される。
なお、例えば、暗所中、電解質層8を反射状態(白色状態)として、バックライト30を点灯させる使い方も可能である(図5(A)及び図5(B)で、バックライト30を点灯した場合、または、図5(C)及び図5(D)で、電解質層8を白色状態とした場合に対応)。このとき、電解質層8が透過散乱部材として機能するので、電解質層8が透明部材である図5(C)及び図5(D)の場合とは異なる表示状態が得られる。
なお、反射型表示装置として用いるとき、バックライト30が消灯した状態で、電解質層8を透明状態とすることにより、黒表示を実現することもできる(図5(A)または図5(B)で、電解質層8を透明状態とした場合、または、図5(C)または図5(D)で、バックライト30を消灯した状態に対応)。
このように、実施例の表示装置は、エレクトロクロミック膜の着色状態の変化と、電解質層の反射率変化とを組み合わせることにより、多様な表示状態を生成することが可能である。さらに、バックライトの点灯、消灯の変化を組み合わせることで、より多様な表示状態を生成することも可能である。
次に、図6(A)、図6(B)及び図7を参照して、CTCの、微粒子の移動速度を向上させる効果について説明する。図6(A)は、本実施例で用いたCTCであるBIQI(n−butyl−isoquinolinium−iodide)の分子構造を示す。
図6(B)は、微粒子の移動速度の印加電圧依存性を、CTCの添加量を変えて測定した結果を示すグラフである。横軸が印加電圧をV単位で示し、縦軸が微粒子の移動速度を任意単位で示す。曲線C3〜C6が、それぞれ、CTCの添加量0wt%、0.005wt%、0.007wt%、及び0.038wt%の場合の結果である。
CTCを添加しない場合(添加量0wt%)、微粒子の移動速度は印加電圧にほぼ依存しない。CTCを添加することにより、印加電圧を上昇させるにつれて、CTCの移動速度を速くすることができる。また、所定の印加電圧での移動速度は、CTCの添加量を増やすほど速くなっている。これは、印加電圧20V程度以上で顕著である。約20Vで、微粒子が移動し始める。
図7は、微粒子分散状態から微粒子移動状態に切り替えたときの、開口窓内が透明になるまでの応答時間が、CTC添加によりどのように変化するか調べた実験の結果を示すグラフである。液晶のみに微粒子を分散させた系と、液晶にCTCを添加したものに微粒子を分散させた系との比較を行った。なお、測定は、図1に示した装置と同様の電極構造で、エレクトロクロミック膜は形成していない装置に対して行っている。
グラフの横軸が時間を秒単位で示し、縦軸が透過率を%単位で示す。曲線C7が、液晶のみの場合の結果であり、曲線C8が、液晶にCTCを添加した場合の結果である。液晶のみの場合、100msec程度で透過率が90%近くに達して飽和する。一方、CTCを添加した場合、50msec程度で透過率が90%近くに達して飽和する。
以上説明したように、CTCを添加した電解質層とすることにより、微粒子の移動速度が向上して、電解質層の反射状態と透明状態との切り替えが高速になる。すなわち、反射型表示装置と透過型表示装置との切り替えが高速になる。
切り替えが高速な表示装置は、例えば車載ディスプレイに適用すると、以下のような利点がある。車載ディスプレイとして用いるとき、ヘッドライト非点灯時(明所での利用時)は、反射型表示装置として使用し、ヘッドライト点灯時(暗所での利用時)は、バックライトを点灯させて透過型表示装置として使用する態様が考えられる。
例えば、トンネル通過時には、反射型表示装置と透過型表示装置との切り替えが瞬時にできることが望まれる。このような瞬時の切り替えが求められる場合を想定しても、応答時間50msecは充分に高速といえる。
なお、上記実施例では、1画素分の基本的な表示技術について説明したが、実施例の表示装置を応用して多画素の表示装置を作製することができる。単純なキャラクタ表示(スタティック駆動表示)、もしくは、アクティブ素子を各画素に配置した電極配置を有するドットマトリクス表示を行う表示装置のいずれでも作製することができる。
以上説明したように、実施例の表示装置は、反射型表示装置として用いる場合、拡散反射部材となる電解質層上に、着色したエレクトロクロミック膜で表示を行うことにより、どこから見ても明るく自然な反射表示を得ることができる。また、拡散反射部材となる電解質層と、表示を行うエレクトロクロミック膜とが密接しているので、反射表示の際の視差がない。
透過型表示装置として用いる場合、暗所での補助光源として、バックライト技術を用いることができるため、フロントライト技術を用いる場合に比べ、安価で明るい表示を得ることができる。また、透過型として用いる場合には、電解質層を透明状態にできるため、バックライトの輝度がそれほど高くなくてよい。このため、消費電力を抑えることができる。これは、携帯型機器において特に有益である。
なお、フロントライトライト技術では、表示部の前に導光板が配置されるため、表示品位を低下させる(反射率低下、表面反射によるコントラスト低下)、コストが高くなる等の不利な点が生じうる。
なお、従来の反射型のMFPDにおいて、光吸収層を半透過とすることにより、または、従来の反射型のエレクトロクロミックディスプレイにおいて、反射部材を半透過とすることにより、バックライト技術を採用した透過型表示を行うことは可能であろう。しかし、光吸収層または反射部材が半透過であるので、バックライトの輝度を高くする必要があろう。
以上、実施例の光学装置を表示装置として用いる場合について説明したが、実施例の光学装置は、表示装置以外に用いることもできる。例えば照明装置として用いることができる。例えば、一般照明の配光制御に用いる場合について考える。再び図5(A)〜図5(D)を参照して、説明を続ける。
図5(A)及び図5(B)では、電解質層8が白色状態で、バックライト30が消灯状態である。外光50が、上側基板1に上方から入射し、電解質層8で上方に反射される。
図5(A)では、エレクトロクロミック膜6が透明状態であり、この照明装置は白い壁紙として機能する。図5(B)では、エレクトロクロミック膜6が青色状態であり、この照明装置は青い壁紙として機能する。
図5(C)及び図5(D)で電解質層8が透明状態で、バックライト30が点灯状態である。図5(C)では、エレクトロクロミック膜6が透明状態であり、白色のスポット光源(バックライト30が白色光の場合)が実現される。なお、バックライト30の発光色を変えれば、違う色のスポット光源にもできる。図5(D)では、エレクトロクロミック膜6が青色状態であり、青色のスポット光源が実現される。
なお、電解質層8を白色状態として、バックライト30を点灯状態とすることもできる(図5(A)及び図5(B)で、バックライト30を点灯した場合、または、図5(C)及び図5(D)で、電解質層8を白色状態とした場合に対応)。エレクトロクロミック膜6を透明状態とすれば、白い拡散光源が実現され、エレクトロクロミック膜6を青色状態とすれば、青い拡散光源が実現される。
以上説明したように、実施例の光学装置は、例えば、反射型と透過型とを切り替えられる表示装置や、スポット型と拡散型とを切り替えられる照明装置として利用することができる。様々な環境下で見やすい表示装置が実現され、様々な配光状態を生成する照明装置が実現される。
なお、上記実施例では、青く着色するエレクトロクロミック膜を用いたが、他の色に着色するエレクトロクロミック膜材料を用いれば、他の色を用いた表示装置や照明装置等を作製できる。
なお、上記実施例では、WOからなるエレクトロクロミック膜を用い、エレクトロクロミック膜に負電圧を印加して着色させた。例えばビオロゲン系材料からなるエレクトロクロミック膜を用いれば、エレクトロクロミック膜に正電圧を印加して着色させる構成となる。
例えば、不透明電極近傍に微粒子が集まっており、開口窓内が透明である状態について考える。この状態で、エレクトロクロミック膜を着色するために、エレクトロクロミック膜が形成されている上側基板上の透明電極と、下側基板上の透明電極との間に電圧を印加する。このとき、上側及び下側基板上の透明電極の一方が他方に対して正の電圧となる。エレクトロクロミック膜を着色するためのこの電圧が大きすぎると、微粒子が、不透明電極近傍から開口窓内に移動してしまうおそれがある。このような不具合を抑制するため、エレクトロクロミック膜を着色する電圧の大きさ(絶対値)は、微粒子を移動させる電圧の大きさ(絶対値)に比べて充分に小さいことが望ましい。
上述したように、エレクトロクロミック膜を着色する電圧の大きさは例えば1Vであり、微粒子を移動させる電圧の大きさは例えば40Vである(例えば約20Vで、微粒子が移動し始める)。この例では、微粒子の位置分布にほとんど影響しないように、エレクトロクロミック膜の透明状態と着色状態とを切り替えることができる。微粒子を移動させる電圧の大きさは、エレクトロクロミック膜を着色させる電圧の大きさの少なくとも10倍以上とすることが好ましいであろう(例えば、上記例で微粒子が移動し始める20Vは、エレクトロクロミック膜の着色電圧1Vの20倍)。
なお、上記実施例で、上側及び下側基板としてガラス基板を用いたが、必要に応じて、例えばプラスチック基板等を用いてもよい。また、フィルム基板でもよい。
なお、実施例の装置では、エレクトロクロミック膜の着色状態を制御する電極対のうち、エレクトロクロミック膜を形成しない方の電極(下側基板上の電極)と、微粒子の移動を制御する電極対のうち、開口窓内の電極(下側基板上の電極)とを共通にしたが、これらの電極を共通とせず、別々に形成する構成も可能である。なお、共通電極を持つ構造にすれば、例えば、端子電極数を少なくでき、接続点を少なくできるメリットがある。
次に、第2の実施例の光学装置について説明する。図8は、第2の実施例の光学装置を示す概略断面図である。以下、第1の実施例の装置との違いについて説明する。
第2の実施例の光学装置は、下側基板5上の透明電極4を覆って絶縁膜50が形成され、絶縁膜50の上に、平面視上開口窓を画定する形状の電極51が形成されている。下側基板5上の透明電極4と、絶縁膜50上の電極51とからなる電極対が、微粒子の移動制御に用いられ、下側基板5上の透明電極4と、上側基板1上の透明電極2とからなる電極対が、エレクトロクロミック膜6の着色状態制御に用いられる。
上側基板1上に、平面視上開口窓を画定する形状で、遮光膜52が形成されている。遮光膜52は、電極51近傍に(開口窓の縁部に)微粒子が集められた状態で、上方から微粒子が見えないように、微粒子を隠す。なお、第1の実施例の電極構造では、上側基板1上の不透明電極3を、遮光膜の働きを兼ねるように形成することができる。
以下、実施例の光学装置を利用できると考えられる製品を例示する。実施例の光学装置は、省電力かつ頻繁な書き換えを必要としない情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話等)の表示面等の、反射型または透過型ディスプレイ、及び、投射型ディスプレイ全般に利用でき、磁気ないし電気記録されたカードの情報表示面に利用でき、児童用玩具等に利用でき、紙・印刷物(雑誌、新聞、ポスター等)の代替品全般(電子の紙)に利用でき、自動車用(車載)ディスプレイ、航空機用ディスプレイに利用でき、時計表示に利用でき、デジタルスチルカメラ全般(ストロボ灯具、光学系、ビューファインダー用表示等)に利用でき、自動車用(普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等)灯具及び車内照明、二輪用(オートバイ、自転車等)灯具(配光制御部)に利用でき、一般照明(屋内照明、街路灯、懐中電灯等)の配光制御部に利用できる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1は、第1の実施例による光学装置の概略断面図である。 図2は、エレクトロクロミック膜の透過スペクトルである。 図3(A)〜図3(D)は、電圧印加による微粒子の移動の様子を示す顕微鏡写真である。 図4(A)は、開口窓内の電解質層の反射率及び透過率の、視角依存性を示すグラフであり、図4(B)は、反射率の測定方法を説明するための電解質層の概略断面図である。 図5(A)及び図5(B)は、例えば反射型表示装置として使用されている状態の、実施例の光学装置の概略断面図であり、図5(C)及び図5(D)は、例えば透過型表示装置として使用されている状態の、実施例の光学装置の概略断面図である。 図6(A)は、CTCの分子構造例であり、図6(B)は、微粒子の移動速度の印加電圧依存性を示すグラフである。 図7は、微粒子分散状態から微粒子移動状態に切り替えたときの、開口窓内が透明になるまでの応答時間を示すグラフである。 図8は、第2の実施例の光学装置の概略断面図である。 図9(A)及び図9(B)は、MFPDの例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 上側基板
2 透明電極
3 不透明電極
4 透明電極
5 下側基板
6 エレクトロクロミック膜
7 メインシール層
8 電解質層
9 微粒子
10、20 直流電源
11、21 スイッチ
30 バックライト
40 制御装置
50 外光

Claims (5)

  1. 一方の電極上にエレクトロクロミック膜が形成され、該エレクトロクロミック膜に電圧を印加する第1の電極対と、
    前記第1の電極対の間に配置され、微粒子を含む電解質層と、
    前記電解質層中に電界を生じさせることにより、前記エレクトロクロミック膜の面内方向に関して前記微粒子を移動させ、その一方の電極の近傍に該微粒子を集める第2の電極対と
    を有する光学装置。
  2. さらに、前記第1の電極対の間に第1の電圧を印加し、前記第2の電極対の間に第2の電圧を印加する電圧印加手段を有し、該第2の電圧の大きさが該第1の電圧の大きさの10倍以上である請求項1に記載の光学装置。
  3. さらに、
    第1の基板と、
    前記第1の基板に対向配置された第2の基板と
    を有し、
    前記第1の電極対の一方の、前記エレクトロクロミック膜が形成された第1の電極と、前記第2の電極対の一方の第2の電極とが、前記第1の基板上に形成され、前記第1の電極対の他方の電極と、前記第2の電極対の他方の電極とが共通の第3の電極であり、該第3の電極が前記第2の基板上に形成されている請求項1または2に記載の光学装置。
  4. 前記微粒子の粒径が0.5μm〜100μmの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学装置。
  5. 前記電解質層に電荷移動錯体が添加されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学装置。
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