JP4989939B2 - シリンダ錠の鍵穴蓋構造 - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダ錠の鍵穴が蓋部材によって開閉されるシリンダ錠の鍵穴蓋構造に関する。
鍵穴を表出させた状態で扉などに設けられるシリンダ錠には、このシリンダ錠の鍵穴表出面に、開閉自在な蓋が設けられるものがある。従来、この種の蓋は、円筒状のシリンダ錠の軸線方向一方の端面と、略同一外径の円板状に形成され、この蓋の中心から偏芯した位置を、シリンダ錠本体(外筒等)の一方の端面に回動自在に固定することで、回動軸を中心に蓋を回転させて、シリンダ錠の鍵穴を表出させたり、覆ったりすることを可能としている。また、従来の蓋は、板金部材などの一枚板からなり、比較的安価なものとして提供されていた。これにより、鍵穴が表出状態のままとなる一般的なシリンダ錠に比べ、簡単かつ安価に、鍵穴に異物などを挿入される悪戯を防止する効果を得ていた。
しかしながら、従来のシリンダ錠の鍵穴蓋構造は、蓋本体が単なる金属平板からなるなど簡易な構造が多く、重厚感を持たせ難く、見栄えの良くない問題があった。また、薄厚の蓋を手指で引っ掛けて回動操作するなどの構造もあり、操作性の悪い問題もあった。また、平坦面同士を摺接するため、他の物が当たれば蓋が回転し、鍵穴が容易に表出してしまう問題もあった。さらに、閉鎖時においても、単に平板の蓋と、シリンダ錠端面との平面同士で接触しているため、シリンダ錠の外周と一致するように蓋を閉鎖することが困難であり、その都度位置ずれ(重ねずれ)に注意をはらわなければならず、操作性の悪い問題もあった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、高級感を持たせることができ、蓋本体を任意の回転位置で止めることができるとともに、良好な開閉操作感が得られるシリンダ錠の鍵穴蓋構造を提供し、もって、見栄えの向上、操作性の向上を図ることを目的とする。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のシリンダ錠の鍵穴蓋構造は、シリンダ錠13の鍵穴23を表出させる開口部29の穿設された化粧板27と、
前記化粧板27に穿設された軸穴31に遊嵌される支持軸33と、
一端側に設けられた貫通穴37に前記支持軸33が遊嵌され貫通するとともに、前記支持軸33に設けられた前記貫通穴37より大径な頭部33aによって、前記一端側が前記支持軸33に対して脱落不能に回動自在となり、他端側が前記開口部29上に配置可能となった蓋部材35と、
化粧板背面27aと前記支持軸33の先端とに亘って設けられ該支持軸33の頭部33aを介して該蓋部材35を化粧板表面27bに押圧する方向へ付勢する付勢手段43と、
前記開口部29と前記軸穴31との間の化粧板表面27bに配設された凹部49と、
前記蓋部材35の背面に突設され該蓋部材35の前記他端部が開口部29上に配置された回転位置で該凹部49に嵌入するテーパ突起51と、
を備え、
前記蓋部材35は、該蓋部材35の表面部分が金属材料からなる金属蓋53とされ、該蓋部材35の背面部分が前記金属蓋53と略同一外形の合成樹脂板部材で形成され前記化粧板27と前記金属蓋53との間に配置される樹脂裏蓋55とされており、
前記金属蓋53と樹脂裏蓋55とは、一端側が前記支持軸33に貫通され、前記付勢手段43の付勢力による押圧のみで嵌合する凹凸手段57によって相対回転が規制され重合するように一体的に組み合わさって構成され、
前記凹部49の位置が、前記支持軸33の軸中心と前記開口部29の開口中心を結ぶ仮想線上に位置し、前記テーパ突起51の位置が、前記蓋部材35の前記長径39線上に位置していることを特徴とする。
このシリンダ錠の鍵穴蓋構造では、シリンダ錠13を表出させる際、蓋部材35の他端側が支持軸33を中心とした回転方向に押圧されると、テーパ突起51が凹部49からせり上がり、開口部29が容易に開放状態となり、すなわち鍵穴23の表出が行える。このとき、軸穴31と支持軸33、及び支持軸33と貫通穴37とが共に遊嵌状態であるので、支持軸33が軸穴31に対して傾斜することで、蓋部材35の他端側が化粧板27の表面27bから浮上し、或いは支持軸33が水平状態であっても、支持軸33に対して蓋部材35のみが傾斜することで、蓋部材35の他端側が化粧板27の表面27bから浮上可能となる。開口部29を開放させた蓋部材35は、付勢手段43によって任意の回転位置で回転が規制され、これにより鍵穴23に対する合鍵挿入・回転操作等を行うことができる。一方、開口部29を閉鎖する際、蓋部材35が閉鎖位置の直前になると、テーパ突起51が凹部49へ滑り落ちて、蓋部材35が自動回転して閉止位置となり、すなわち鍵穴23の閉塞が行われる。さらに、蓋部材35が閉鎖した状態では、テーパ突起51が凹部49に嵌入し、扉11に加わる振動や衝撃、或いは他部材が触れることによっても、蓋部材35が容易に移動しない。
さらに、このシリンダ錠の鍵穴蓋構造では、蓋部材35の表面部分が金属材料からなる金属蓋53で形成され、特に耐久性や見栄えの良さが要求される蓋部材35の表面部分のみが、高強度で且つ高級感を付与し易い鋳造法等によって製作可能となる。
また、このシリンダ錠の鍵穴蓋構造では、化粧板表面27bに摺接するのが樹脂裏蓋55となり、スムースな滑り・回転操作が可能となる。また、付勢手段43の付勢力のみで嵌合する凹凸手段57によって金属蓋53に樹脂裏蓋55が一体的に組み合わされ、接着剤等を必要とせず、接着剤等による接着作業工程が省略される。
また、請求項2記載のシリンダ錠の鍵穴蓋構造は、前記蓋部材35が、長径39に沿う一端側の短径41aを、長径39に沿う他端側の短径41bより小さくした涙型の略楕円形状で形成されたことを特徴とする。
このシリンダ錠の鍵穴蓋構造では、開口部29を塞ぐ蓋部材35の他端側が、支持軸33に支持される一端側より、短径41bの大きい所謂涙型の略楕円形状となり、開口部29すなわち鍵穴23を覆う他端側のみが大面積で形成される。そして、凹部49の位置が、支持軸33の軸中心と開口部29の開口中心を結ぶ仮想線上に位置し、テーパ突起51の位置が、蓋部材35の長径39線上に位置しており、上記略楕円形状に納まる形状となる。
本発明に係る請求項1記載のシリンダ錠の鍵穴蓋構造によれば、シリンダ錠を表出させる開口部を化粧板に穿設し、この化粧板に支持軸を遊嵌し、他端側が開口部に配置可能な蓋部材を支持軸に脱落不能に遊嵌し、支持軸を介して蓋部材を化粧板表面に押圧する付勢手段を化粧板背面と支持軸とに亘って設け、化粧板表面に凹部を設けるとともに、蓋部材の背面にはこの凹部に嵌入するテーパ突起を突設したので、シリンダ錠の鍵穴を表出させる際には、蓋部材を回転方向に押圧することで、テーパ突起が凹部からせり上がり、開口部を容易に開放状態にでき、鍵穴を表出できる。そして、開口部を開放させた蓋部材は、任意の回転位置で止めることができ、これにより鍵穴に対する合鍵挿入・回転操作等を行うことができる。一方、開口部を閉鎖する際には、蓋部材が閉鎖位置の直前になると、テーパ突起が凹部へ滑り落ちて自動回転し、クリック感を生じさせた良好な閉動操作感を得ることができ、すなわち鍵穴の閉塞が確実に行われる。さらに、蓋部材が閉鎖した状態で、テーパ突起が凹部に嵌入し、また付勢部材の付勢力が生じているので、扉に加わる振動や衝撃、或いは他部材が触れることによる蓋部材の移動が生じず、蓋部材が半開き等になることを防止できる。この結果、蓋部材の開閉操作性を向上させながら、見栄えを良くすることができる。これに加え、シリンダ錠を、別体の化粧板で覆うので、シリンダ錠本体に支持軸保持構造を付与する必要がなく、シリンダ錠外筒等を特注生産せずに、化粧板のみの設計変更で既存の全てのシリンダ錠への対応を可能にできる。
また、蓋部材の開放時に、支持軸を中心とした回転方向に押圧されるとテーパ突起が凹部からせり上がり、蓋部材の他端側が化粧板の表面から若干浮上することとなるが、この際、軸穴と支持軸、及び支持軸と貫通穴とが共に遊嵌状態であるので、支持軸が軸穴に対して傾斜することで、蓋部材の他端側が化粧板の表面から浮上し、或いは、支持軸が水平状態であっても、支持軸に対して蓋部材のみが傾斜することで、蓋部材の他端側が化粧板の表面から浮上可能となる。つまり、このような遊嵌構造を重複して備えることにより、蓋部材の始動に伴うせり上がりが容易に行えるようになっている。これにより、良好な操作感が得られる。
さらに、このシリンダ錠の鍵穴蓋構造によれば、蓋部材の表面部分が、金属材料からなる金属蓋であるので、高強度で且つ高級感のある表面部分を鋳造法等により容易に製作することができる。また、ヘアライン処理のなされたステンレス鋼板を用いることによっても、高強度で且つ凹凸のない高級感のある表面部分を容易に製作することができる。
また、このシリンダ錠の鍵穴蓋構造によれば、蓋部材の背面部分が、金属蓋と略同一外形の合成樹脂板部材で形成されるとともに、付勢手段の付勢力による押圧のみで嵌合する凹凸手段によって金属蓋背面に一体的に組み合わさる樹脂裏蓋であるので、化粧板表面に摺接するのが樹脂裏蓋となり、スムースな滑りを可能にして開閉操作性を良好にできる。また、付勢手段の付勢力のみで嵌合する凹凸手段によってのみ金属蓋に樹脂裏蓋が組み合わされ、接着剤等による接着作業工程を省略して、製造コストを安価にできる。接着剤を用いた場合には、接着剤塗布量や塗布位置のバラツキにより蓋部材の表面部分と背面部分とに段差等が生じ易くなるが、接着剤を使用しない本構成によればこのような不具合の発生も未然に防止することができる。
また、請求項2記載のシリンダ錠の鍵穴蓋構造によれば、開口部を塞ぐ蓋部材の他端側が、支持軸に支持される一端側より、短径の大きい所謂涙型の略楕円形状となるので、鍵穴を含む開口部を覆う他端側のみを大面積とし、その他の部分を小面積とすることで、蓋部材を必要最小形状に形成でき、見栄えを良好にすることができる。そして、凹部の位置が、支持軸の軸中心と開口部の開口中心を結ぶ仮想線上に位置し、テーパ突起の位置が、蓋部材の長径線上に位置しており、上記略楕円形状に納まる形状となる。
以下、本発明に係るシリンダ錠の鍵穴蓋構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る鍵穴蓋構造の縦断面図、図2は図1の正面視を(a)、そのA−A矢視を(b)に表した拡大説明図、図3は図1の要部拡大分解斜視図、図4は蓋部材の分解斜視図である。
扉11にはシリンダ錠13の外筒15がブラケット17を介して固定され、シリンダ錠13は軸線19が扉面と垂直な方向に配置されている。シリンダ錠13の外筒15の内部には内筒21が設けられ、内筒21は先端面に鍵穴23を有している。
シリンダ錠13は、内筒21と外筒15との間に不図示の複数のタンブラーピンを内設し、タンブラーピンは合鍵非挿入時、外筒15に対する内筒21の回転を規制している。シリンダ錠13は、鍵穴23に不図示の合鍵が挿入されると、全てのタンブラーピンの分離可能部(シアーライン)が、内筒21と外筒15との境に一致し、回転規制が解除されることにより、外筒15に対し内筒21が回転可能となる。この内筒21の回転は、内筒21の後端面に突設されたテールピース25を介して、扉11に内蔵される不図示の錠箱内施解錠機構へと伝達される。
扉11の表面には化粧板27が取り付けられ、化粧板27はシリンダ錠13を覆っている。化粧板27にはシリンダ錠13の内筒21の端面を表出させる開口部29が穿設されている。本実施の形態では、化粧板27が、扉11の表面材の一部である場合を例に説明する。つまり、扉内に内蔵されたシリンダ錠13の鍵穴23が、扉表面材(化粧板27)に開口された開口部29から表出される構造となっている。なお、後述するように、化粧板27は、扉表面材とは別の部材で、扉表面から突出して取り付けられる面付けタイプの台座や、プッシュ・プル錠の台座、錠の周囲に配置されるエスカチオン等であってもよい。
したがって、化粧板27に覆われたシリンダ錠13は、鍵穴23の設けられた内筒21の端面のみが化粧板27の開口部29で表出するようになっている。化粧板27には開口部29の近傍に軸穴31が穿設されている。軸穴31には支持軸33が直径方向に僅かに可動可能に嵌合、好ましくは遊嵌されている。
支持軸33には蓋部材35の一端側が脱落不能に遊嵌されて回動自在となり、蓋部材35は他端側が開口部29上に配置可能となっている。蓋部材35は、支持軸33が貫通する貫通穴37より大径の頭部33aが支持軸33に設けられることで、支持軸33から脱落不能となっている。
ここで、蓋部材35は、長径39に沿う一端側の短径41aを、長径39に沿う他端側の短径41bより小さくした涙型の略楕円形状で形成されている。このように、開口部29を塞ぎ、鍵穴23を覆い隠す蓋部材35の他端側が、支持軸33に支持される一端側より、短径41bの大きい所謂涙型の略楕円形状となるので、開口部29を覆う他端側のみを大面積とし、その他の部分を小面積とすることで、蓋部材35を必要最小形状に形成でき、見栄えを良好にしている。
化粧板27の背面27aと支持軸33とに亘っては付勢手段43が設けられ、付勢手段43は支持軸33を介して蓋部材35を化粧板27の表面27bに押圧する方向へ付勢する。付勢手段43は、図4に示すように、支持軸33の先端に固定されるEリング43aと、その頭部33a側で挿通されるワッシャー43bと、さらにその頭部33a側で挿通されるコイルスプリング43cとからなる。
したがって、図2に示すように、化粧板27を貫通した支持軸33の先端にEリング43aが固定され、このEリング43a及びワッシャー43bと化粧板27の背面27aとの間に圧縮されたコイルスプリング43cが挟入されることで、支持軸33は、図2(b)の矢印a方向へと付勢され、これにより支持軸33の頭部33aを介して蓋部材35が化粧板27の表面27bへ押圧されるようになっている。
ここで、ワッシャー43bと化粧板27の背面27aとの間には僅かな間隙47が形成されている。つまり、支持軸33は、ワッシャー43bが背面27aに当接するまでの間隙47の分、コイルスプリング43cの付勢力に抗して矢印aと反対方向へ移動可能となっている。
化粧板27の表面27bには開口部29と軸穴31との間に凹部49が形成されている。この凹部49は、表面27bに垂直な軸線方向が同一内径となる円柱空間形状に形成され、或いは開口直径が底面直径より大きいテーパ状に形成されてもよい。
蓋部材35の背面にはテーパ突起51が突設される。このテーパ突起51は略円錐台形状で、テーパ突起51は蓋部材35の他端部が開口部29上に配置された回転位置で、この凹部49に嵌入するようになっている。
本実施の形態において、蓋部材35は、表面部分が、金属材料からなる金属蓋53によって形成される。蓋部材35の表面部分が、金属蓋53で形成されることにより、特に耐久性や見栄えの良さが要求される表面部分が、高強度で且つ高級感を付与し易い鋳造法等によって製作可能となっている。また、蓋部材35の表面部分は、金属蓋53で形成されることにより、焼き付け塗装等の装飾や、ヘアライン処理のなされたステンレス鋼板を用いることもでき、これによっても、高強度で且つ凹凸のない高級感のある表面部分を容易に製作できる。
表面部分が金属蓋53で形成された蓋部材35は、背面部分が金属蓋53と略同一外形の樹脂裏蓋55によって形成されている。樹脂裏蓋55は、図4に示すように、一端側が支持軸33に貫通され、化粧板27と金属蓋53との間に配置される。本実施の形態においては、上記のテーパ突起51が、この樹脂裏蓋55の背面に突設されている(図3参照)。
樹脂裏蓋55と金属蓋53との間には凹凸手段57が形成されている。凹凸手段57は、例えば樹脂裏蓋55に突設した複数、本実施の形態では2つの突起57a,57aと、金属蓋53に形成されてこれら突起57a,57aが嵌入する係合穴57b,57bとで構成される。樹脂裏蓋55と金属蓋53とは、支持軸33を介して金属蓋53が化粧板27に向かって付勢手段43による付勢力である押圧されることで、この押圧力により凹凸手段57が互いに嵌合し、一体的に組み合わさるようになっている。
突起57a,57aと係合穴57b,57bとが嵌合した樹脂裏蓋55と金属蓋53とは、相対回転が規制され、支持軸33を中心として一体回転される。一方、支持軸33からEリング43a,ワッシャー43bが外され、コイルスプリング43cが除去された押圧力消失時には、金属蓋53と樹脂裏蓋55とが容易に分離可能となっている。
このように、蓋部材35は、金属蓋53と、略同一外形の樹脂裏蓋55とが、押圧で嵌合する凹凸手段57によって一体的に組み合わせられているので、化粧板27の表面27bに摺接する背面部分が樹脂裏蓋55となり、化粧板27の表面27bに対するスムースな滑りを可能にして、開閉操作性を良好にしている。
また、コイルスプリング43cの押圧で嵌合する凹凸手段57によってのみ金属蓋53に樹脂裏蓋55が組み合わされるので、接着剤等による接着作業工程を省略して、製造コストを安価にできる。接着剤を用いた場合には、接着剤塗布量や塗布位置のバラツキにより蓋部材35の表面部分と背面部分とに段差等が生じ易くなるが、接着剤を使用しない本構成によればこのような不具合の発生も未然に防止することができる。
次に、上記のように構成された鍵穴蓋構造の作用について説明する。
図5は蓋部材の回転開始時の正面視を(a)、B−B矢視における軸傾斜回転時を(b)、B−B矢視における軸水平回転時を(c)に表した動作説明図、図6は蓋部材の開放回転完了時の正面視を(a)、C−C矢視を(b)に表した動作説明図である。
このように構成されたシリンダ錠の鍵穴蓋構造は、蓋部材35が所定の厚みを有することとなり、従来の板状の蓋に比べ高級感を持たせ易くなる。そして、シリンダ錠13の鍵穴23を表出させる際には、図5(a)に示すように、蓋部材35の他端側の側面を、化粧板27の表面27bと平行な方向へと押し回す。
蓋部材35が、支持軸33を中心とした回転方向に押圧されると、テーパ突起51が凹部49からせり上がり、蓋部材35の他端側が化粧板27の表面27bから若干浮上することとなる。この際、軸穴31と支持軸33、及び支持軸33と貫通穴37とが共に遊嵌状態であるので、図5(b)に示すように、支持軸33が軸穴31に対して傾斜することで、蓋部材35の他端側が化粧板27の表面27bから浮上し、或いは図5(c)に示すように、支持軸33が水平状態であっても、支持軸33に対して蓋部材35のみが傾斜することで、蓋部材35の他端側が化粧板27の表面27bから浮上可能となる。
つまり、このような遊嵌構造を重複して備えることにより、蓋部材35の始動に伴うせり上がりが容易に行えるようになっている。これにより、良好な操作感が得られる。
図6(a)に示すように、開口部29を開放した蓋部材35は、コイルスプリング43cによってテーパ突起51が化粧板27の表面27bに押圧されることで、任意の回転位置で回転が規制される。なお、この状態においても、蓋部材35は、コイルスプリング43cの付勢力によって化粧板27の表面27bに押圧されるので、金属蓋53と樹脂裏蓋55とが分離されることがない。
一方、鍵穴23に合鍵が挿入されて施解錠操作が完了した後には、再び蓋部材35が手指により回転され、開口部29を閉鎖する。この際、蓋部材35が閉鎖位置の直前になると、テーパ突起51が凹部49へ滑り落ちて、蓋部材35が自動回転して閉止位置へ移動される。また、蓋部材35が閉鎖した状態では、テーパ突起51が凹部49に嵌入し、扉11に加わる振動や衝撃、或いは他部材が触れることによっても、蓋部材35が容易に移動しない。
したがって、上記のシリンダ錠の鍵穴蓋構造によれば、シリンダ錠13を表出させる開口部29を化粧板27に穿設し、この化粧板27に支持軸33を遊嵌し、他端側が開口部29に配置可能な蓋部材35を支持軸33に脱落不能に遊嵌し、支持軸33を介して蓋部材35を化粧板27の表面27bに押圧するコイルスプリング43cを化粧板27の背面27aと支持軸33とに亘って設け、化粧板27の表面27bに凹部49を設けるとともに、蓋部材35の背面にはこの凹部49に嵌入するテーパ突起51を突設したので、シリンダ錠13を表出させる際には、蓋部材35を回転方向に押圧することで、テーパ突起51が凹部49からせり上がり、開口部29を容易に開放状態にできる。
そして、開口部29を開放させた蓋部材35は、任意の回転位置で止めることができる。一方、開口部29を閉鎖する際には、蓋部材35が閉鎖位置の直前になると、テーパ突起51が凹部49へ滑り落ちて自動回転し、クリック感を生じさせた良好な閉動操作感を得ることができる。
さらに、蓋部材35が閉鎖した状態で、テーパ突起51が凹部49に嵌入しているので、扉11に加わる振動や衝撃、或いは他部材が触れることによる蓋部材35の移動が生じず、蓋部材35が半開き等になることを防止できる。この結果、蓋部材35の開閉操作性を向上させながら、見栄えを良くすることができる。これに加え、シリンダ錠13を、別体の化粧板27で覆うので、シリンダ錠13本体に支持軸保持構造を付与する必要がなく、シリンダ錠外筒等を特注生産せずに、化粧板27のみの設計変更で既存の全てのシリンダ錠13への対応を可能にできる。
図7は本発明の他の適用例を表した縦断面図である。
なお、上記の化粧板27は、扉11の表面部材として説明したが、この他、化粧板27は、図7に示すように、扉11の表面から突出して付設されるプッシュ・プル錠の台座61、或いは錠ケース、エスカチオン等であってもよい。これにより、例えばプッシュ・プル錠の台座61を変更することで、シリンダ錠13の鍵穴23が表出されたままの状態であった従来の台座を、高級感ある蓋付構造の台座61へと変更可能となる。
本発明に係る鍵穴蓋構造の縦断面図である。 図1の正面視を(a)、そのA−A矢視を(b)に表した拡大説明図である。 図1の要部拡大分解斜視図である。 蓋部材の分解斜視図である。 蓋部材の回転開始時の正面視を(a)、B−B矢視における軸傾斜回転時を(b)、B−B矢視における軸水平回転時を(c)に表した動作説明図である。 蓋部材の開放回転完了時の正面視を(a)、C−C矢視を(b)に表した動作説明図である。 本発明の他の適用例を表した縦断面図である。
13…シリンダ錠
23…鍵穴
27…化粧板
27a…化粧板背面
27b…化粧板表面
29…開口部
31…軸穴
33…支持軸
35…蓋部材
39…長径
41a,41b…短径
43…付勢手段
49…凹部
51…テーパ突起
53…金属蓋
55…樹脂裏蓋
57…凹凸手段

Claims (2)

  1. シリンダ錠の鍵穴を表出させる開口部の穿設された化粧板と、
    前記化粧板に穿設された軸穴に遊嵌される支持軸と、
    一端側に設けられた貫通穴に前記支持軸が遊嵌され貫通するとともに、前記支持軸に設けられた前記貫通穴より大径な頭部によって、前記一端側が前記支持軸に対して脱落不能に回動自在となり、他端側が前記開口部上に配置可能となった蓋部材と、
    化粧板背面と前記支持軸の先端とに亘って設けられ該支持軸の頭部を介して該蓋部材を化粧板表面に押圧する方向へ付勢する付勢手段と、
    前記開口部と前記軸穴との間の化粧板表面に配設された凹部と、
    前記蓋部材の背面に突設され該蓋部材の前記他端部が開口部上に配置された回転位置で該凹部に嵌入するテーパ突起と、
    を備え
    前記蓋部材は、該蓋部材の表面部分が金属材料からなる金属蓋とされ、該蓋部材の背面部分が前記金属蓋と略同一外形の合成樹脂板部材で形成され前記化粧板と前記金属蓋との間に配置される樹脂裏蓋とされており、
    前記金属蓋と樹脂裏蓋とは、一端側が前記支持軸に貫通され、前記付勢手段の付勢力による押圧のみで嵌合する凹凸手段によって相対回転が規制され重合するように一体的に組み合わさって構成され、
    前記凹部の位置が、前記支持軸の軸中心と前記開口部の開口中心を結ぶ仮想線上に位置し、前記テーパ突起の位置が、前記蓋部材の長径線上に位置していることを特徴とするシリンダ錠の鍵穴蓋構造。
  2. 前記蓋部材が、長径に沿う一端側の短径を、長径に沿う他端側の短径より小さくした涙型の略楕円形状で形成されたことを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠の鍵穴蓋構造。
JP2006212227A 2006-08-03 2006-08-03 シリンダ錠の鍵穴蓋構造 Expired - Fee Related JP4989939B2 (ja)

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