JP5000402B2 - 高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法 - Google Patents

高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製鉄プロセスにおいて発生する焼結ダスト、高炉ダストなどの含鉄ダストや、焼結用粉状鉄鉱石より粒度が小さいペレットフィード(ペレット用原料)等の微粉状鉄鉱石などからなる微粉状鉄含有原料と、微粉状炭材を造粒し製造する、高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法に関する。
現在の製鉄プロセスにおける高炉用鉄原料は、約2〜3mmの平均粒度の粉状鉄鉱石を主要な鉄含有原料として用い、石灰石、珪石などの副原料、粉コークス、無煙炭などの炭材を配合し、さらに水分を添加して混合、造粒して擬似粒子とした後、焼結機で原料中の炭材を熱源として加熱、焼結して得られる焼結鉱が主流を占めている。
この方法における焼結原料の造粒物は、主として粒径が約1mm以上の粗粒子を核として、この周囲に、粒径が約0.5〜1mm未満の微粉粒子が付着した擬似粒子となる。この擬似粒子は、焼結機内の焼結原料の通気性を維持し、焼結反応を良好に進行させるために、焼結原料の装入時や、さらに、加熱・乾燥され、焼結されるまでの間に崩壊しないだけの冷間圧潰強度が要求される。
通常、焼結原料を擬似粒子に造粒するためには、ドラムミキサーを用いて、焼結原料の混合とともに造粒を行うことが多い。
一方、製鉄プロセスにおいて多量に発生する焼結ダスト、高炉ダストなどを集塵機などで回収した含鉄ダスト、さらに、スラッジ、スケール粉等の微粉のダスト(これらは、一般に、製鉄ダストと称する)や、ペレットフィード(ペレット用原料)などの微粉状原料も、鉄含有原料として用いられる。
しかし、これらの微粉原料は、粒径0.25mm以下の微粉粒子が全体の80%以上を占めるため、これらを焼結原料として用いる場合には、微粉粒子による原料充填層の通気性悪化、生産性低下などの問題が生じやすい。
このような微粉状原料を主要な鉄含有原料として焼結する場合には、予め混合機を用いて鉄含有原料と副原料に水分を添加し混合した後、さらに、ドラムミキサーに比べて造粒強度が高いディスクペレタイザーなどの造粒機を用いて、粒径0.25mm以下の微粉粒子を主体する球状のペレットを製造した後、燃焼ガスなどを熱源とする外部加熱型焼結機を用いて焼結を行う。
また、微粉状原料は、造粒してペレットにした後、養生(生石灰などの水和反応や炭酸塩化処理)により造粒物の強度を高めた後、焼結せずに、そのまま、高炉用鉄原料として使用する非焼成型の塊成鉱も古くから知られている。
非焼成型塊成鉱の製造方法としては、高炉2次灰、転炉ダスト、焼結ダスト、スラリーなどの製鉄所で発生する製鉄ダストをペレットに造粒する際に、ダストの粒度分布を適正範囲に調整し、生石灰、セメントなどの結合材(バインダー)と5〜15%の水分を添加し、ディスクペレタイザー等により造粒しペレットを製造した後、ヤード堆積等により数日間養生(CaO系バインダーの水和反応、炭酸塩化反応の促進)して硬化させるコールドボンドペレットの製造方法が知られている(例えば、特許文献1、参照)。
また、近年、高炉操業における還元材比の低減を目的とし、上記非焼成塊成鉱プロセスを利用して、炭素含有量の高い非焼成塊成鉱を製造する方法も提案されている(例えば、特許文献2〜5、参照)。
例えば、含酸化鉄原料とカーボン系炭材を配合しバインダーを加えて混錬、成型、養生してなるカーボン内装非焼成塊成鉱において、鉄鉱石類の酸化鉄を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量の80〜120%のカーボンを含有し、かつ、常温での圧潰強度7850kN/m2(80kg/cm2)以上となるようにバインダーを選択して混合、成型、養生してなることを特徴とする高炉用のカーボン内装非焼成塊成鉱およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。
この方法によれば、一般に還元ガスの温度とガス組成(ηCO=CO2/(CO+CO2))との関係から、酸化鉄の還元反応の進行が制約される高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯においても、900〜1100℃の温度領域で、非焼成塊成鉱中の酸化鉄は、内装するカーボンにより還元反応を起こす結果、還元率が向上するため、高炉操業時の還元材比の低減効果が期待できる。
しかしながら、この方法では、非焼成塊成鉱に内装するC含有量は、酸化鉱を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量(以下、C当量ということもある)で120%以下(全カーボン含有量(T.C)は約15質量%以下に相当する)に制限され、これ以上C含有量を増加すると、非焼成塊成鉱の冷間圧潰強度および熱間強度が損なわれるという問題があった。
さらに、この方法では、炭材を内装した非焼成塊成鉱の冷間圧潰強度を維持するために、生石灰に代えて、早強ポルトランドセメントなどのセメント系のバインダーを使用するため、バインダーの添加量を増加させると吸熱反応であるセメントの脱水反応により高炉内のシャフト部での昇温速度が低下するだけでなく、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)を発生させ、高炉用鉄原料として装入する焼結鉱の高炉内の還元粉化を助長させてしまう点が問題であった。
また、炭材と酸化鉄を主体とする鉄鉱石からなる炭材内装ペレットであって、炭材の軟化溶融時の最高流動度と鉄鉱石の10μm以下の酸化鉄粒子の割合との関係を規定した還元性と還元後の強度に優れた炭材内装ペレットが提案されている(例えば、特許文献3、参照)。
この方法によれば、ペレット中の炭材が260〜550℃の温度域で軟化溶融、固化することを利用し、酸化鉄粒子間の空隙に溶融した炭材を侵入、固化させ、炭材と酸化鉄の接触面積を大きくし、熱伝導性を改善して還元効率を高めるとともに、酸化鉄粒子同士の結合を強めることにより、還元後の強度(熱間強度)も向上させることができる。
しかし、この方法により、炭材内装ペレットの被還元性と還元後の強度(熱間強度)を向上させるためには、最高流動度の高い石炭類を炭材として利用しなければならないため、省エネルギー、省資源を前提とした高炉操業時の還元材比の低減という目的の点から好ましい方法とは言い難い。
また、粉鉱石と、揮発分が16%以上、ギーセラー流動度が20DDPM以上の粘結炭(炭材)を混合し、260〜550℃の温度域で成形圧20〜150MPaで熱間成形した後、成形温度範囲で5分間以上の脱ガス処理を行うことを特徴とする見掛け密度が2.3g/cm3以上である還元鉄用塊成化物も提案されている(例えば、特許文献4、参照)。
この方法によれば、炭材が軟化溶融、固化する260〜550℃の温度域で熱間成形して、酸化鉄粒子どうしを炭材で強固に連結し、見掛け密度が2.3g/cm3以上の塊成化物とした後、脱ガス処理により炭材からの揮発分を抜くことにより、塊成化物の強度を高め、還元中の塊成化物の膨れによる割れを防止するものである。
しかし、この方法は、熱間ブリケット成型や、脱ガス処理を必要とするため、製造時のエネルギー消費が高く、製造コストが高くなる点で経済的に不利な方法であり、また、造粒法に比べて塊成物の密度が高くなるため、塊成物中の炭材のガス化や酸化鉄の還元反応で発生するCO、CO2ガスによる爆裂(バーステイング)が発生しやすい。
また、粒径が3〜25mmの炭材を核とし、核を内包する外周層を粒径が1mm以下の鉄原料と炭材との混合物とし、核としての炭材の体積分率が塊成鉱全体の0.2〜30vol%で、外周層中の炭材の含有率が5〜25wt%であり、塊成鉱全体の全カーボン含有量が25〜35質量%と高い、2重構造の炭材内装塊成物が提案されている(例えば、特許文献5、参照)。
この技術によれば、外周層中に含有する粒径が1mm以下の炭材により酸化鉄を還元し、外周層が融液化した場合に、核としての炭材を浸炭源として機能させることにより、高炉内での被還元性を改善する他、浸炭作用による溶銑の滴下挙動を改善し、高炉操業時の燃料比低減と融着帯部の通気抵抗を低減することができる。
しかし、この粒径および炭材と酸化物の組成が異なる2重構造からなり、全カーボン含有量が25質量%以上と高い塊成物は、冷間の磨耗強度が低くなるという問題がある。また、このような特殊な2重構造を有する塊成鉱を製造するためには、製造工程が複雑となり、強度維持のために多量のバインダーが必要となるなど、製造時の生産性やコストの点から不利な方法であった。
以上のように、従来の含炭非焼成ペレットは、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度50kg/cm2以上を維持するために、炭素含有量を15質量%(炭素当量で1.2に相当)に制限せざるを得なかったため、上記ペレット中の酸化鉄の直接還元は十分に促進できても、上記ペレット以外の焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の還元を十分に促進することはできなかった。
また、従来法によりポルトランドセメントなどの水硬性バインダーを多量に添加することで、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、ある程度まで向上できるが、高炉内の還元温度域で、上記バインダーは脱水反応を起こすため、十分な熱間強度を維持することはできなかった。
したがって、比較的安価でかつ単純な製造方法を用いて、含炭非焼成ペレットと高炉用鉄含有原料の被還元率を向上し、高炉操業時の還元材比を大幅に低減するために、十分な炭素含有量を有し、かつ、冷間強度とともに還元温度域での熱間強度(還元時の強度)にも優れた炭材内装非焼成塊成鉱の製造方法の開発が望まれている。
特開昭53−130202号公報 特開2003−342646号公報 特開2000−160219号公報 特開平11−92833号公報 特開平8−199249号公報
本発明は、上記従来技術の現況に鑑み、比較的安価で簡易な製造方法を用いて、高炉で使用する際に、含炭非焼成ペレットだけでなく、それ以外の主要な高炉用鉄含有原料の還元を促進し、高炉操業時の還元材比を大幅に低減できるだけの十分な炭素含有量を有し、かつ、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度50kg/cm2以上を維持するとともに、従来に比べて、還元温度域での熱間強度に優れた含炭非焼成ペレットの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、含炭非焼成ペレットを構成する原料粒子の充填構造、高炉内の還元温度域での原料粒子の挙動(炭材、バインダーの熱分解・ガス化、および、酸化鉄粒子の還元状態)と、上記ペレットの冷間強度および還元温度域での熱間強度との関係について、実験などにより鋭意検討した。
その結果、含炭非焼成ペレット中の原料粒子のうちで、特に、炭材の粒度(質量基準のメジアン径)および炭素含有量が、含炭非焼成ペレットの冷間強度とともに、還元温度域での熱間強度に大きく影響することが解った。
本発明は、この知見に基づき上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ混合、造粒することにより、冷間圧潰強度50kg/cm2以上の高炉用含炭非焼成ペレットを製造する方法であって、全原料の粒度を2mm以下とし、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように前記微粉状炭材の配合割合を調整し、かつ、該微粉状炭材のメジアン径を100〜150μmとすることを特徴とする高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(2)前記水硬性バインダーを5〜15質量%添加し、水分が5〜15質量%となるように調整しつつ造粒することを特徴とする上記(1)記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(3)前記微粉状炭材として、高炉一次灰、コークスダスト、および、粉コークスのいずれか1種または2種以上を用いることを特徴とする上記(1)または(2)記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(4)前記微粉状鉄含有原料として、焼結ダスト、および、微粉状鉄鉱石の1種または2種以上を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(5)前記微粉状鉄含有原料中に微粉状鉄鉱石を配合し、該鉄鉱石中に粒径10μm以下の超微粒子が全原料に対する割合で3.5質量%以上含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(6)前記全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜20質量%となるように、前記微粉状炭材の配合割合を調整することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
本発明によれば、高炉で使用する際に、含炭非焼成ペレットだけでなく、焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の被還元率を向上するために十分な炭素含有量を有し、かつ、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度50kg/cm2以上を維持するとともに、従来に比べて、還元温度域での熱間強度に優れた含炭非焼成ペレットを製造することができる。
したがって、本発明の適用により得られた含炭非焼成ペレットを高炉用鉄含有原料の一部として使用することにより、高炉操業時の還元材比(コークス比)を、大幅に低減することができる。
さらに、焼成プロセスに比べて、省エネルギー化、低CO2化が可能となる非焼成ペレットのプロセスを用いて、比較的安価で簡易な方法により、製鉄プロセスで発生したダストを、鉄含有原料および炭材としてリサイクル処理できるため、工業的および社会的な貢献は多大なものである。
本発明の詳細について説明する。
本発明の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法は、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ造粒することを前提とする。
鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材は、特に限定する必要はなく、例えば、表1および図1に示す、製鉄プロセスで使用される原料の他、製鉄プロセスの各製造工程で発生する製鉄ダストを利用することができる。
表1と図1に、各種の微粉状鉄含有原料および微粉状炭材の主要成分と粒度分布を示す。
なお、表中の原料粒度は質量基準のメジアン径で表した。質量基準のメジアン径は、原料粒子の累積質量分布における累積値(質量%)が50%に相当する原料の粒子径として定義される。
一般に、原料の粒度分布特性は、質量平均径が使用されることが多いが、同一の粒度分布特性の原料であっても、階級のとり方によって値が異なるため、本発明では、特に、微粉領域の精度ある質量基準のメジアン径を、原料粒度の指標として採用した。
本発明では、表1および図1に示す焼結ダストおよび微粉状鉄鉱石を、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料として使用し、高炉一次灰、コークスダスト、および、粉コークスを、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材として使用することができる。
また、表1および図1に示すように、各製鉄ダスト、各製鉄原料によって粒度が異なるため、後述する全体原料の粒度、および、微粉状炭材の粒度(質量基準のメジアン径)を所定範囲に調整するために、各製鉄ダスト、各製鉄原料の配合量を調整したり、さらには、篩い分けや、破砕、水洗などにより、粒度を調整することが好ましい。
造粒設備は、特に限定する必要はなく、原料の混錬、加水、造粒、成品篩の機能を有するものであればよく、混錬機、造粒機などは、特に限定されるものではない。
なお、本発明において、水硬性バインダーとは、原料中に含有する水分や添加水分との水和反応により硬化することにより造粒物の冷間圧潰強度を高める機能を有するバインダーを意味し、このバインダーの種類は、特に限定されるものではない。
このような水硬性バインダーは、一般的に用いられる高炉水砕スラグを主成分とする微粉末とアルカリ刺激剤からなる時効性バインダーや、ポルトランドセメント、ベントナイトなどが挙げられ、本発明においても、これらを用いることができる。
本発明は、高炉操業時の還元材比を大幅に低減できるだけの炭素含有量:15質量%(炭素当量で1.2に相当)以上で、冷間圧潰強度50kg/cm2以上を有するとともに、従来に比べて、還元温度域での熱間強度に優れた含炭非焼成ぺレットを製造することを第2の前提とする。
従来から、含炭非焼成ペレット中の酸化鉄を還元するのに必要な理論上の炭素量に対する炭素含有量(T.C)の比を「炭素当量」と定義し、炭素による酸化鉄の還元度の目安にしている。
本発明の上記炭素含有量:15質量%以上は、炭素当量:1.2以上に相当し、高炉で使用する際に、非焼成ペレット中の酸化鉄を還元し、さらに、余剰カーボンのガス化により、非焼成ペレット以外の焼結鉱などの高炉用鉄含有原料の還元を促進することも期待できる。
しかし、前述したように、従来の造粒方法によれば、特殊な造粒やバインダーを多量に添加しない限りは、含炭非焼成塊成鉱の冷間圧潰強度は大きく低下するため、炭素含有量を15質量%(炭素当量で1.2に相当)以上に増加することはできなかった。
また、ポルトランドセメントなどの水硬性バインダーを多量に添加することで、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、ある程度まで向上できるが、高炉内の還元温度域で上記バインダーは、脱水反応を起こすため、十分な熱間強度を維持することはできない。
そこで、本発明者らは、冷間および還元温度域での含炭非焼成ペレットの構造および高炉内での原料粒子の挙動(炭材、バインダーの熱分解・ガス化、および、酸化鉄粒子の還元状態)と、冷間および還元温度域での強度との関係について、還元試験および圧潰強度測定により検討した。
高炉内の還元反応を荷重下で模擬できる還元試験装置を用い、高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯における還元ガス組成(COが36%、CO2が14%、N2が50%)および温度(900〜1100℃)とほぼ同じ条件で、炭素含有量(T.C):20質量%の含炭非焼成ペレット(炭素当量:2.0)を用いて還元試験を実施した。
含炭非焼成ペレットは、原料を混合機で5分間混合し、早強ポルトランドセメントを10質量%添加した後、混錬機で加水しながら5分間混錬し、さらに、造粒機で造粒して、生ペレットとした。試料は、この生ペレットを、さらに、室内で2週間放置(養生処理)したものを用いた。還元温度:900℃および1100℃で還元した試料を、還元試験装置から取り出し、組織を観察し、圧潰強度を測定した。
圧潰強度の測定は、JIS M8718に準じて、試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重を掛けることにより、破壊した時の荷重値を測定し、強度指数は、単位断面積当たりの荷重値(kg/cm2)とする。
図2に、上記試験結果に基づく、冷間および還元温度域での含炭非焼成ペレット内の各原料粒子(酸化鉄、炭材、セメント(バインダー))の状態変化の過程を模式的に示す。
還元前の冷間における含炭非焼成ペレットの原料粒子構造は、酸化鉄粒子と炭材粒子の間隙にセメント(バインダー)が充填され、強固に結合された構造を有するため、圧壊強度50kg/cm2以上の冷間強度を維持することができる。
なお、本発明者らの実験結果から、従来から知られるように、含炭非焼成ペレット内の炭素含有割合が過度に高くなる場合や、全原料の粒度が過度に大きくなる場合に、冷間圧潰強度が低下することを確認している。
所定範囲で炭素含有割合を増加することや、全原料の粒度の増大に応じてセメント(バインダー)の添加量を増加することにより、含炭非焼成ペレットの冷間強度は、ある程度まで向上する。しかし、後述するように、高炉内の高温領域では、炭素とバインダーはガス化し、空隙が形成され、熱間強度の低下の原因となるため、炭素およびバインダーの含有割合の過度の増加は好ましくない。
一方、高炉シャフト部の熱保存帯の下限温度に相当する還元温度:900℃では、セメントは、この温度より低温側で生じる脱水反応により消失し、その後に、空隙が形成される。
また、この還元温度では、炭材のうち、粒径が大きい炭材粒子は、そのまま残留するが、粒径が小さい(約50μm以下)炭材は、比較的低温でCOにガス化し、消失するとともに、酸化鉄がCOガスによって還元される結果、生成した金属鉄同士が結合した、金属鉄のネットワーク相が形成されることが解った。
この還元温度では、冷間において酸化鉄と炭素を結合していたセメント(バインダー)が消失しているにもかかわらず、圧潰強度は約11kg/cm2であり、高炉内で装入物の荷重条件での限界圧潰強度:10kg/Piece(粒径13mmでは7kg/cm2に相当)(例えば、鉄と鋼、72(1986)、p.S980、参照)を上回る十分な強度を維持している。
還元温度:900℃における、粒径が小さい(約50μm以下)炭材による酸化鉄の還元反応によって形成される金属鉄同士のネットワーク相は、酸化物のような空孔の移動や陰イオンの拡散を伴わずに、極めて早い拡散速度で、斑点状の金属鉄同士が固相拡散結合することにより形成されるものと考えられる。
このように形成された金属鉄同士のネットワーク相は、高温状態でも、高炉内の装入物による荷重に対して十分に大きな耐性を持つため、高炉内での焼結層の軟化溶融着を防止して、通気性は大幅に改善される。また、この還元温度では、含炭非焼成ペレットの還元率は95%と、ほぼガス還元のみで酸化鉄を還元する際に到達し得る還元率に達している。
なお、還元温度:900℃では、ペレット内の粗径(約50μm以上)の炭材は、微粉(約50μm以下)の炭材に比べて、表面積が小さい分、ガス化反応が遅れるので、ペレット内に残留する。
さらに、高炉シャフト部の熱保存帯の上限温度から還元反応平衡帯に相当する還元温度:1100℃では、還元温度:900℃では残留していた粒径の大きい(約50μm以上)炭材もガス化反応によって消失していた。還元温度:900℃では、含炭非焼成ペレットの還元率は、既に、95%に達しているため、この還元温度でガス化された炭材を、該ペレット以外の焼結鉱、塊鉱石などの主要な高炉用鉄含有原料の間接還元反応に利用することが期待できる。
また、この還元温度では、還元温度:900℃で形成された金属鉄同士のネットワーク相が維持され、圧潰強度は、約11kg/cm2であり、還元温度:900℃と同等の強度を維持している。
なお、還元温度:900℃、1100℃では、金属鉄同士のネットワーク相によって強度が維持されるが、後述するように、ペレット内の全原料に対する炭素含有割合が過度に高くなると、相対的に、酸化鉄粒子の間隔が大きくなるため、金属鉄同士のネットワーク相の形成が阻害され、還元温度:900℃、1100℃での熱間強度が低下する原因となる。
また、粒径が小さい(約50μm以下)炭材のみを含有した含炭非焼成ペレットの場合は、900℃以上の比較的低温側で、酸化鉄の大部分が炭材による還元反応によって金属鉄となった後にも、炭材のガス化が進行し、ペレット内に空隙が生じるため、900〜1100℃での高温域のペレット圧潰強度は、大きく低下する。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、全原料の粒度、全原料中の炭素含有割合(T.C)、および、微粉状炭材のメジアン径を適正化することにより、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度:50kg/cm2以上を維持しつつ、高炉シャフト部の熱保存帯温度域(900℃以上)において、主として、細粒炭素による酸化鉄の還元反応によるペレット内の金属鉄ネットワーク相の形成を促進し、さらに、高炉シャフト部の還元反応平衡帯温度域(1100℃以下)において、ペレット内の残留(粗粒)炭素とペレット以外の主要な高炉用鉄含有原料(焼結鉱、塊鉄鉱石など)の間接還元を促進して、従来に比べて被還元性が高く、かつ、還元温度域での熱間強度に優れた含炭非焼成ペレットを製造することを技術思想とするものである。
上記技術思想を実現するために、本発明の構成は、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ造粒することにより、冷間圧潰強度50kg/cm2以上の高炉用含炭非焼成ペレットを製造する方法を前提とし、全原料の粒度を2mm以下とし、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように上記微粉状炭材の配合割合を調整し、かつ、該微粉状炭材のメジアン径を100〜150μmとすることを特徴とする。
以下に、本発明が特徴とする構成の限定理由について説明する。
(全原料の粒度、炭素含有割合(T.C)、微粉状炭材のメジアン径)
図3に、ペレット中の微粉状炭材のメジアン径および炭素含有割合(T.C)と、還元温度:1000℃で還元後の圧潰強度との関係を示す。
また、図4に、ペレット中の微粉状炭材のメジアン径および炭素含有割合(T.C)と、高炉操業時の還元材比との関係を示す。
原料は、表1に示す焼結ダストおよび微粉状鉄鉱石を微粉状鉄含有原料とし、高炉一次灰、コークスダストおよび粉コークスを微粉炭材とし、早強ポルトランドセメントをバインダーとして、全原料の粒度が2mm以下になるように調整した後、図2で説明した方法および条件と同様に、ペレット造粒、養生を行った。
図3に示す圧潰強度は、図2で用いたものと同じ還元試験の方法及び条件で、還元温度:1000℃で還元した炭材含有量と炭材粒径の異なる含炭非焼成ペレットを取り出して、図2で用いたものと同じ方法で圧潰強度を測定したものである。
また、図4に示す高炉操業時の還元材比は、高炉内の還元反応を模擬できる試験装置(BIS炉)も用いて、通常の焼結鉱の一部(10質量%分)を、炭材含有量と炭材粒径の異なる非焼成ペレットに置き換えて高炉で使用した時の還元材比(RAR)を評価した結果を示す。なお、非焼成ペレットは、試験装置(BIS炉)内の鉱石層中に均一分散させた。また、還元材比(RAR)は、定常状態での排ガス分析結果を基に、リスト線図を用いて算出した。
図3によれば、いずれのペレットの炭素含有量(T.C)においても、炭材の粒度(メジアン径)が小さくても、逆に大きすぎても、圧潰強度が低下することが解る。これは、炭材の粒度が小さすぎると、低温で、酸化鉄のメタルへの還元によるブリッジ効果が十分発現する前に、含有する炭材が多量にガス化してしまい、多量の空隙が生じ、十分な強度を維持できないことを示している。
一方、炭材の粒度が大きすぎると、ガス化反応が遅くなり、酸化鉄の還元が遅れ、金属鉄の生成が不均一となるために、ペレット内のセメント結合が消失する前に、十分な金属鉄のネツトワーク相を形成することができないためである。
また、炭材の粒度(メジアン径)が同じ場合でも、炭材含有量が多いほど、還元後の圧潰強度は小さくなる。これは、炭素含有量(T.C)が増加するに伴い、平均的な酸化鉄粒子間の距離が大きくなり、炭材やバインダー(セメント)のガス化後に形成される空隙が多くなり、金属鉄のネットワーク相の形成が阻害されるためである。
また、図3には、全原料の粒度を2mm以下に調整したペレットの他に、全原料の粒度を5mm以下に調整した、還元温度:1000℃のペレットの圧潰強度を●で示す。図から、全原料の粒度が2mm以下に調整したペレットに比べて、全原料の粒度を5mm以下に調整した、還元温度:1000℃のペレットの圧潰強度は、著しく低下したことが解る。
これは、粒径が2mm以上の粗大な炭材は、ガス化反応が遅くなるため、金属鉄のネットワーク相が十分に発達しないことに加えて、装入物の荷重による圧縮応力が、ガス化されずに残留した炭材や、粗粒の酸化鉄などの粗大原料粒子に集中し、破壊の起点となるためである。
図3によれば、高炉内での装入物の荷重に対してペレットの自形を保つことができる限界の圧潰強度である7kg/cm2以上を確保するためには、全原料の粒度を2mm以下とし、炭素含有量(T.C)を25質量%以下とし、かつ、炭材の粒度(メジアン径)を100〜150μmの範囲内にする必要があることが解る。
図4によれば、いずれのペレットの炭素含有量(T.C)においても、炭材の粒度(メジアン径)が小さいほど、高炉操業時の還元材比(RAR)が低下することが解る。また、炭材の粒度(メジアン径)が同じ条件でも、ペレットの炭素含有量(T.C)が多いほど、高炉操業時の還元材比(RAR)が低下することが解る。
これらの理由は、炭材の粒度(メジアン径)が小さくなるほど、ペレットの炭素含有量(T.C)が多いほど、ガス化反応性が高くなるため、より低温でガス化し、非焼成ペレット中の酸化鉄の還元を促進するとともに、高炉シャフト部での熱保存帯温度が低下し、鉄のウスタイトと平衡ガス組成が、低還元ポテンシャル側へ移動するため、還元ガスの利用効率(ηCO=CO2/(CO+CO2))が向上するためである。
図4において、14質量%のペレットの炭素含有量(T.C)は、炭素当量(含炭非焼成ペレット中の酸化鉄を直接還元するのに必要な理論上の炭素量に対する炭素含有量(T.C)の比)が1.0に相当するが、この炭素含有量では、炭材は、ペレット自身の酸化鉄の直接還元にほとんど消費されるため、高炉操業時の還元材比(RAR)の低減効果は小さい。
図4によれば、炭素含有量(T.C)が15質量%以上で、高炉操業時の還元材比(RAR)の削減効果が得られ、ペレット自身の酸化鉄の直接還元に加えて、余剰炭素のガス化により、非焼成ペレットと隣接する焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の間接還元が促進されることが解る。
一方、炭素含有量(T.C)が15質量%以上であっても、炭材の粒度(メジアン径)が150μm以上に粗くなる場合は、炭材の粒径が大き過ぎて、炭材のガス化反応が十分に進まないため、高炉操業時の還元材比(RAR)の削減効果は小さい。
また、図4には、全原料の粒度を2mm以下に調整したペレットの他に、全原料の粒度を5mm以下に調整した、還元温度:1000℃のペレットの圧潰強度を●で示す。図から、全原料の粒度を2mm以下に調整したペレットに比べて、全原料の粒度を5mm以下に調整したペレットでは、高炉操業時の還元材比(RAR)の低減効果は、著しく損なわれたことが解る。
これは、粒径が2mmより大きい粗大な炭材は、ガス化反応が遅くなるため、焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の間接還元が十分に促進できないためである。
図4によれば、高炉操業時の還元材比(RAR)を、475(kg/tp)以下に十分に低減するためには、全原料の粒度を2mm以下とし、炭素含有量(T.C)を15質量%以上とし、かつ、炭材の粒度(メジアン径)を150μm以下の範囲内にする必要がある。
以上、図3および図4により説明したとおり、全原料の粒度が2mmを超えると、炭材は、ガス化反応が遅くなるため、金属鉄のネットワーク相が十分に発達できず、また、ペレット以外の焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の間接還元を十分に促進できないため、圧潰強度および高炉操業時の還元材比(RAR)のいずれも、十分に改善することはできない。
炭素含有量(T.C)が15質量%未満になると、ガス化反応性が低くなるため、非焼成ペレット中の酸化鉄の還元を促進するとともに、高炉シャフト部での熱保存帯温度を低下し、還元ガスの利用効率(ηCO=CO2/(CO+CO2))を十分に向上することができなくなるため、高炉操業時の還元材比(RAR)を十分に改善することはできない。
逆に、炭素含有量(T.C)が25質量%を超えると、平均的な酸化鉄粒子間の距離が大きくなり、金属鉄のネットワーク相の形成が阻害されるため、圧潰強度を十分に改善することができない。
炭材の粒度(メジアン径)が100μm未満になると、炭材を、最密充填構造で存在させることができず、圧潰強度が低下する。逆に、炭材の粒度(メジアン径)が150μmを超えると、ガス化反応が遅くなり、酸化鉄の還元が遅れ、十分な金属鉄のネツトワーク相を形成することができなくなるため、圧潰強度を十分に改善することができない。
また、炭材の粒度(メジアン径)が100μm未満になると、比表面積の増大によるガス化反応性向上効果が小さくなるため、非焼成ペレット中の酸化鉄の還元を促進するとともに、高炉シャフト部での熱保存帯温度が低下し、還元ガスの利用効率(ηCO=CO2/(CO+CO2))が向上する効果がなくなるため、高炉操業時の還元材比(RAR)の何れも、十分に改善することはできない。
以上の技術的理由から、本発明では、高炉内での装入物の荷重に対してペレットの自形を保つことができる限界の圧潰強度である7kg/cm2以上を確保し、かつ、高炉操業時の還元材比(RAR)を475(kg/tp)以下に十分に低減するために、全原料の粒度を2mm以下とし、炭素含有量(T.C)を15〜25質量%とし、かつ、炭材の粒度(メジアン径)を100〜150μmと規定する。
なお、上述したように、高炉シャフト部の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域(900〜1100℃)での圧潰強度が7kg/cm2以上を有する含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、50kg/cm2以上を確保することができる。
したがって、本発明の含炭非焼成ペレットは、搬送時および高炉装入時の衝撃による破壊に十分耐えられる冷間強度を有するので、製造時のハンドリングや、高炉への輸送、装入時に、粉化の心配がない。
本発明の含炭非焼成ペレットは、通常の非焼成ペレットに比べて、炭素含有量(T.C)が高く、見掛け密度が低いため、高炉装入時に、見掛け密度の高い焼結鉱などの主要な高炉鉄含有原料の上部に偏析して装入される心配がある。
高炉シャフト部の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域(900〜1100℃)において、本発明の含炭非焼成ペレット内の炭材のガス化により発生するCOガスを、周辺の焼結鉱の還元に効率良く利用する観点から、カーボン含有量の高い非焼成ペレットを、鉱石層のより下層に配置し、通常は、下層部の焼結鉱の還元によって還元ポテンシャルが低下したガスで還元されている上層部の焼結鉱の還元促進を図る必要がある。
図5に、含炭非焼成ペレット中の炭素含有量(T.C)と焼結鉱層厚の高さ方向位置における占有率との関係を示す。
なお、図5は、高炉装入シミュレーターで、焼結鉱と炭素含有量(T.C)の異なる含炭非焼成ペレットを装入後、焼結鉱層厚の高さ方向位置における含炭非焼成ペレットの占有率を測定した結果である。
含炭非焼成ペレットの製造方法は、表1に示す原料を用いて、図2で用いたものと同じ方法及び条件で行った。また、焼結鉱は、実機を模して50mm以下の粒度範囲で、平均粒径15mmとし、含炭非焼成ペレットは平均粒径で10〜15mmとした。
図5によれば、含炭非焼成ペレットの炭素含有量(T.C)が高くなるに伴い、含炭非焼成ペレットは、装入後に、焼結鉱層の上層に多く偏在することが解る。これは、焼結鉱の見掛け密度が2.8g/cm3であるのに対して、含炭非焼成ペレットの炭素含有量(T.C)の増加に伴い、含炭非焼成ペレットの見掛け密度が、相対的に小さくなるためである。炭素含有量(T.C)が25質量%以下の含炭非焼成ペレットの見掛け密度は2.0g/cm3を保っており、また、焼結鉱との平均粒径との差の影響もあり、焼結鉱層内へ均一に装入することが可能である。
以上から、本発明において、含炭非焼成ペレットの炭素含有量(T.C)を25質量%以下とすることにより、高炉装入時に、含炭非焼成ペレットの焼結鉱層内の過度な偏析を抑制し、高炉シャフト部の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域(900〜1100℃)において、ペレット内の炭材により発生したCOガスを焼結鉱などの主要高炉用鉄含有原料の間接還元の促進に寄与させることが可能となる。
高炉装入時に、含炭非焼成ペレットの焼結鉱層内の偏析を抑制し、含炭非焼成ペレット内の炭材により発生したCOガスにより、それ以外の主要な高炉用鉄含有原料の還元を促進する点から、含炭非焼成ペレットの炭素含有量(T.C)を20質量%以下とすることが、より好ましい。
(水硬性バインダーの添加量、水分量)
本発明は、前述のとおり、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ造粒することにより、冷間圧潰強度50kg/cm2以上の高炉用含炭非焼成ペレットを製造することを前提とし、水硬性バインダーの添加量および水分量は、全原料中の炭素含有割合(T.C)に応じて、高炉用含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度が50kg/cm2以上となるように調整される。
全原料中の炭素含有割合(T.C)が高くなるに従い、ペレットの冷間圧潰強度は低下するため、炭素含有割合(T.C)の増加量に応じて、水硬性バインダーの配合量を増加するとともに、添加水分量も増加し、水硬性バインダーの水和反応を促進させることにより、50kg/cm2 以上の冷間圧潰強度を維持することができる。
高炉用含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度:50kg/cm2以上を安定して得るためには、水硬性バインダーを5質量%以上とするのが好ましい。
また、この際に、硬性バインダーの水和反応による硬化を促進させ、ペレットの冷間圧潰強度を維持するために、全原料中の水分量は、5〜15質量%とする必要がある。全原料中の水分量が5質量%未満では、安定した生ペレットを製造することができないばかりか、水硬性バインダーの水和反応による硬化が十分に発現せず、養生後の冷間圧潰強度が向上しない。
一方、全原料中の水分量が15質量%を超えると、過剰水分により、逆に、ペレットの冷間圧潰強度が低下する。水硬性バインダーが15質量%を超える場合には、高炉内で吸熱反応であるセメントの脱水反応により、シャフト部での昇温速度が低下し、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)が発生し、高炉用鉄原料として装入する焼結鉱の高炉内での還元粉化が助長される。
また、ペレット中の水硬性バインダーの含有量が15質量%を超える場合には、ペレット中の鉄分とC分の割合が減少し、高炉用含炭非焼成ペレットとしての品位が低下するため、高炉内でのスラグ発生量が増大し、これにより、炉下部の通気性が悪化し、安定した高炉操業が困難となるので、好ましくない。
また、水硬性バインダーが15質量%を超える場合には、高炉内の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域では、水硬性バインダーは、既に脱水し、その後、多くの空隙が形成されるため、金属鉄のネットワーク相による熱間強度向上効果を安定して確保できない場合が生じる。
以上の理由から、高炉用含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度:50kg/cm2以上を安定して得るとともに、高炉内の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域での熱間強度を安定して向上させるためには、水硬性バインダーを5〜15質量%とするのが好ましい。
(微粉状鉄含有原料中の粒径10μm以下の超微粒子の含有量)
本発明者らの検討により、ウェストアンジェラスやデンポゴアなどの特定銘柄の鉄鉱石には、粒径10μm以下の超微細粒子が多く含有することを確認した。また、塊鉱石を水洗処理した後のスラリーケーキには、塊鉱石にまぶりついた超微粉が極めて多く含まれていることも確認した。
これらの微粉状鉄鉱石の1種または複数種の配合量を該鉄鉱石中に粒径10μm以下の超微粒子が全原料に対する割合で3.5質量%以上含有するように調整することで、冷間での圧壊強度および熱間強度を高く保つことができる。
一般に、鉱物学的に、岩石または鉱物の風化物のうち、砂より粒径が細かいものは粘土と呼ばれており、湿っているときには、粘性と塑性がある。この粘土の粒径の定義は必ずしも明らかではないが、国際土壌学会および米国農務省では2μm以下、日本農学会では10μm以下としている(「粘土ハンドブック第二版」p3、日本粘土学会(1994年)、参照)。
また、粘土(超微粒子)の水分中での挙動は、その化学成分、その電荷分布と水中に溶存する電解質イオンの種類と量、水溶液のpH等によって異なり、粘土(超微粒子)が水分中に均一に分散した状態で、水分が多い場合はスラリー状となり、水分が少なくなるとペースト可塑物となり、水分の低下にともない、順次粘性、粘弾性、塑性が現れる。
本発明者らは、これらの鉱物学的知見を基に、特定銘柄の鉄鉱石中に多く含有する粒径10μm以下の超微細粒子の上記特性を利用して、ペレット造粒物における主として粒径0.5mm以下の微粉粒同士の結合力(付着力)を高めるための検討を行った。
その結果、特定銘柄の鉄鉱石中に多く含有する粒径10μm以下の超微細粒子も、上記粘土(超微粒子)と同様な特性を示し、造粒時に、この超微細粒子が、粒径0.5mm以下の微粉粒同士の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性を発現させ、結合力(付着力)を向上させることを確認した。
また、これらの粒径10μm以下の超微細粒子の作用により、含炭非焼成ペレット内の原料粒子間の結合力(付着力)を向上し、冷間での圧壊強度および熱間強度を向上するためには、粒径10μm以下の超微粒子が、全原料に対する割合で3.5質量%以上含有する鉄鉱石を、鉄含有原料として配合する必要がある。
したがって、本発明では、上記全原料の粒度、全原料中の炭素含有割合(T.C)、該微粉状炭材のメジアン径の規定に加えて、さらに、微粉状鉄含有原料中に微粉状鉄鉱石を配合し、この鉄鉱石中に、粒径10μm以下の超微粒子が全原料に対する割合で、3.5質量%以上含有するのが好ましい。
配合する鉄鉱石中粒径10μm以下の超微粒子の含有量が、全原料に対する割合で、3.5%未満の場合には、造粒時に、この超微細粒子が、粒径0.5mm以下の微粉粒同士の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性を発現させ、結合力(付着力)を向上させる効果が十分に得られず、生ペレット強度、および、冷間圧潰強度をより高める効果は得られなくなる。
また、鉄鉱石中の粒径10μm以下の超微粒子の含有量が、全原料に対する割合で、3.5質量%未満の場合には、高炉シャフト部の熱保存帯から還元反応平衡帯の温度域(900〜1100℃)において、ペレット内の炭材との直接還元反応によって生成する微粉由来の金属鉄がペレット内に均一に分散して、金属鉄のネットワーク相を形成することによる効果が十分に得られなくなる。
したがって、冷間での圧壊強度および熱間強度をより向上するためには、微粉状鉄含有原料中に配合する鉄鉱石中の粒径10μm以下の超微粒子の含有量を、全原料に対する割合で、3.5質量%以上とするのが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果について説明する。
[実施例1]
表1に示す原料を用いて、含炭非焼成ペレットを製造した。原料は、セメント(早強ポルトランドセメント)の配合比率を10〜14質量%とし、炭材(コークスダスト、粉コークス、および、高炉一次灰)、および、微粉状鉄含有原料(焼結ダストと鉄鉱石)の配合割合を変化させた。
これらの原料に、水分とセメントを添加した後、アイリッヒミキサーで混錬して、パンペレタイザーで造粒し、生ペレットとし、さらに、生ペレットを、2週間、天日養生した。なお、生ペレットの水分は、配合するセメント量に応じて、10〜14重量%に調整した。
得られた含炭非焼成ペレットについては、生ペレット強度、冷間圧潰強度、還元後の圧潰強度、含炭非焼成ペレットを10質量%使用した場合のRARを、それぞれ測定し評価した。
生ペレット強度は、1mの高さから落下させた場合に破壊に至る落下回数として表示した。
圧潰強度の測定は、JIS M8718に準じて、試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重を掛けることにより、破壊した時の荷重値を測定し、強度指数は、単位断面積当たりの荷重値(kg/cm2)とする。
含炭非焼成ペレットの還元は、高炉内の還元反応を荷重下で模擬できる還元試験装置を用い、高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯における還元ガス組成(COが36%、CO2が14%、N2が50%)および温度:1000℃と同じ条件で行った。
高炉操業時の還元材比は、高炉内の還元反応を模擬できる試験装置(BIS炉)も用いて、含炭非焼成ペレットを、通常の焼結鉱の10質量%分と置き換えて高炉で使用した時の還元材比(RAR)を評価した。
なお、非焼成ペレットを配合しない条件のRARは482kg/tpであった。また、含炭非焼成ペレットは、試験装置(BIS炉)内の鉱石層中に均一分散させた。また、還元材比(RAR)は、定常時の排ガス分析結果を基に、リスト線図を用いて算出した。
表2に、原料配合条件と含炭非焼成ペレットの評価結果を示す。
表2から解るように、No.1の比較例は、全原料粒度の規定範囲、炭材炭材粒度(メジアン径)が本発明の範囲を満足するため、還元後強度は十分高いものの、炭素含有割合(T.C)が、本発明で規定する範囲より低いため、RARの大きな低下は得られなかったものである。
No.2の比較例は、全原料粒度の規定範囲、炭材粒度(メジアン径)は、本発明の範囲を満足しているが、炭素含有割合(T.C)が、本発明で規定する範囲より高いため、還元材比(RAR)の大きな低減効果は得られたものの、還元後圧潰強度が不十分なものである。
No.3の比較例は、全原料粒度の規定範囲、炭素含有割合(T.C)は、本発明の範囲を満足し、還元材比(RAR)の大きな低減効果は得られたものの、炭材の粒度(メジアン径)が過度に小さいため、還元後の圧潰強度が低かったものである。
No.4の比較例は、全原料粒度の規定範囲、炭素含有割合(T.C)は、本発明の範囲を満足しているが、炭材の粒度(メジアン径)が過度に大きいため、還元後圧潰強度が低く、かつ、RAR低減効果も小さかったものである。
No.5の比較例は、炭素含有割合(T.C)、炭材の粒度(メジアン径)とも、本発明の範囲を満足しているが、炭材に2mm以上の粒度を含み、本発明の全原料粒度の規定範囲から外れるため、還元後圧潰強度が低く、かつ、還元材比(RAR)低減効果も小さかったものである。
一方、No.6〜11は、本発明で規定する全原料粒度の規定範囲、炭素含有割合(T.C)、炭材粒度(メジアン径)を満足する発明であり、生ペレット、冷間圧潰強度、還元後圧潰強度は、いずれも良好であり、かつ、大きな還元材比(RAR)低減効果が得られたものである。
これらの発明例の中でも、配合した鉄鉱石中の粒径10μm以下の超微粒子の含有量が、全原料に対する割合で、3.5質量%以上であるNo.7および8は、生ペレット強度、冷間圧潰強度、還元後圧潰強度とも、高い優れた結果が得られたものである。
[実施例2]
上記の非焼成ペレットを、有効容積5500m3の高炉において、原料の一部として使用し調査した。各水準は約1ヶ月間の操業結果の平均を示した。焼結鉱比80%、塊鉱石比15%、ペレット比5%の通常操業から、T.C=22質量%の非焼成ペレットを3%使用する操業へ移行した。
その際、非焼成ペレットから持ち込まれるスラグ量、水分量の影響を最小とするべく、焼結鉱比、塊鉱石比、ペレット比を調整した。非焼成ペレットに含有されるカーボン10kg/tp分は、塊コークス比を低減した。その結果、シャフト効率の大幅な向上が得られたので、塊コークス比をさらに低減することができた。
以上の操業調整の結果、RARを480kg/tpから460kg/tpへ大幅に低減することができた。
各種の微粉状鉄含有原料および微粉状炭材の粒度分布を示す図である。 冷間および還元温度域での含炭非焼成ペレット内の各原料粒子(酸化鉄、炭材、セメント(バインダー))の状態変化の過程を模式的に示す図である。 ペレット中の微粉状炭材の炭材粒度(メジアン径)および炭素含有割合(T.C)と、還元後圧潰強度との関係を示す図である。 ペレット中の微粉状炭材の炭材粒度(メジアン径)および炭素含有割合(T.C)と、高炉操業時の還元材比(RAR)との関係を示す図である。 含炭非焼成ペレット中の炭素含有量(T.C)と焼結鉱層厚の高さ方向位置における占有率との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ混合、造粒することにより、冷間圧潰強度50kg/cm2以上の高炉用含炭非焼成ペレットを製造する方法であって、全原料の粒度を2mm以下とし、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように前記微粉状炭材の配合割合を調整し、かつ、該微粉状炭材のメジアン径を100〜150μmとすることを特徴とする高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  2. 前記水硬性バインダーを5〜15質量%添加し、水分が5〜15質量%となるように調整しつつ造粒することを特徴とする請求項1記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  3. 前記微粉状炭材として、高炉一次灰、コークスダスト、および、粉コークスのいずれか1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1または2記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  4. 前記微粉状鉄含有原料として、焼結ダスト、および、微粉状鉄鉱石の1種または2種を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  5. 前記微粉状鉄含有原料中に微粉状鉄鉱石を配合し、該鉄鉱石中に粒径10μm以下の超微粒子が全原料に対する割合で3.5質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  6. 前記全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜20質量%となるように、前記微粉状炭材の配合割合を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
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