JP5000904B2 - 末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法 - Google Patents

末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法に関する。
メルカプト基は非常に反応性に富む官能基であり、メルカプト基を重合体に導入することはグラフトポリマー、ブロックポリマー等の機能性重合体の製造や各種高分子反応による重合体の改質等を可能にすることができ、非常に重要である。
末端にメルカプト基を有する重合体を製造する方法としてはこれまでにいくつかの提案がなされている。例えば、メルカプト基がオレフィン等の二重結合に容易に付加することを利用し、末端に二重結合を有する重合体にチオカルボン酸を付加させ、得られた末端にチオカルボン酸エステル基を有する重合体を酸またはアルカリで処理して、末端にメルカプト基を有する重合体を製造する方法(非特許文献1参照)が知られている。しかしながらこの方法は、予め末端に二重結合を有する重合体を用意する必要があり、そのために製造工程数が増加し、生産コストが高くなるという問題点を有している。
また例えば、チオカルボン酸の存在下、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤としてラジカル重合性単量体を重合させ、得られた末端にチオカルボン酸エステル基を有する重合体を酸またはアルカリで処理して、末端にメルカプト基を有する重合体を製造する方法(特許文献1参照)が知られている。しかしながらこの方法は、片末端にしかメルカプト基導入することができず、さらに、重合速度を高めるほど末端への導入率が低下するという問題点を有している。
また例えば、チオカルボン酸およびポリスルフィドからなる重合開始剤を用いてラジカル重合性単量体をラジカル重合し、得られた重合体を酸またはアルカリで処理して、末端にメルカプト基を有する重合体を製造する方法(特許文献2参照)が知られている。しかしながらこの方法では、ラジカル重合性単量体として酢酸ビニル等のビニルエステルを用いる場合、末端に効率良くメルカプト基を導入することは難しく、末端にメルカプト基が導入されていない重合体が2割以上含まれてしまう。
特開昭59−187005号公報 特許第3256544号公報 Makromolekular Chemie, Symposia 48/49巻、317頁、1991年
従って、本発明の課題は上記のような従来技術の問題点を解決し、より簡便に、かつ、末端のメルカプト基含量が高いポリビニルアルコール系重合体の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、
下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI):
Figure 0005000904

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(式中R1〜R7はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Ar1〜Ar4はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。)
からなる群から選ばれた少なくとも1種のジチオ炭酸誘導体(A)の存在下に1級または2級カルボン酸ビニルエステルを重合し、ついで3級カルボン酸ビニルエステル、置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステル、またはエチレンをブロック共重合して得たカルボン酸ビニルエステル系重合体を鹸化することを特徴とする下記の一般式(VII)、(VIII)、(IX)または(X):
Figure 0005000904

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(式中R8は水素または1級もしくは2級アシル基、R9は3級アルキル基、または置換されていてもよいフェニル基を表す。また、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるm、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるlとmとの合計が、50〜4000であり、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるn、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるkとnとの合計が、1〜10である。)
で表される、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、片末端、あるいは両末端に高い割合でメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体を、より簡便に製造可能であり、本発明の製造方法により得られる、片末端または両末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体は、ブロックポリマー等の機能性重合体の製造、各種高分子反応による重合体の改質および反応性分散安定剤等の広範な用途に使用される。
本発明のポリビニルアルコール系重合体は
下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI):
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(式中R1〜R7はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Ar1〜Ar4はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。)
からなる群から選ばれた少なくとも1種のジチオ炭酸誘導体(A)の存在下に1級カルボン酸ビニルエステルまたは2級カルボン酸ビニルエステルを重合し、ついで3級カルボン酸ビニルエステル、置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステル、またはエチレンをブロック共重合して得たカルボン酸ビニルエステル系重合体を鹸化することにより、下記の一般式(VII)、(VIII)、(IX)または(X)

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(式中R8は水素、1級アシル基または2級アシル基、R9は3級アルキル基、または置換されていてもよいフェニル基を表す。また、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるm、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるlとmとの合計が、50〜4000であり、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるn、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるkとnとの合計が、1〜10である。)
で表される末端にメルカプト基を有するポリマーを得る。本発明に用いるジチオ炭酸誘導体(A)は、一般式(I)および(II)のジチオ炭酸エステル、並びに一般式(III)〜(VI)のジチオ炭酸アミドからなる。中でも、一般式(I)のジチオ炭酸エステルまたは一般式(III)もしくは(V)のジチオ炭酸アミドを用いると、一般式(VII)または(VIII)の片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体が得られ、一般式(II)のジチオ炭酸エステルまたは一般式(IV)もしくは一般式(VI)のジチオ炭酸アミドを用いると、一般式(IX)または(X)の両末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体が得られる。この重合反応は、一般式(I)、(III)および(V)のジチオ炭酸エステルまたはジチオ炭酸アミドにおいてR1とS原子との間、一般式(II)、(IV)または(VI)のジチオ炭酸エステルまたはジチオ炭酸アミドにおいてXとその両側のS原子との間に、逐次、1級カルボン酸ビニルエステルまたは2級カルボン酸ビニルエステル、次いで3級カルボン酸ビニルエステル、置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステルまたはエチレンが挿入されるリビングラジカル重合の機構により進行する。
上記R1〜R7の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等の直鎖、分枝鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、上記R1〜R7の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。これらの中では、ジチオ炭酸誘導体(A)の製造が容易であることからメチル基、エチル基またはプロピル基が好ましい。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)原子、アセトキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられ、ラジカルの生成が容易となることからシアノ基またはアセトキシ基で置換されているのが好ましい。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
また上記Ar1〜Ar4としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられ、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)原子、アセトキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
また、上記Xの置換基を有してもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン等が挙げられ、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)原子、アセトキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられ、ラジカルの生成が容易となることからシアノ基またはアセトキシ基で置換されているのが好ましい。
1級カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等;2級カルボン酸ビニルエステルとしては、イソプロピオン酸ビニル、、イソ酪酸ビニル等;が挙げられ、これらの中でも酢酸ビニルが好ましい。また、3級カルボン酸ビニルエステルとしては、ピバリン酸ビニル、2,2-ジメチルブタン酸ビニル、2-エチル-2-メチルブタン酸ビニル等が挙げられ、この中でもピバリン酸ビニルが好ましい。置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステルの置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)原子、アセトキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。
また上記R8の1級アシル基または2級アシル基、R9の3級アルキル基、R9の置換されていてもよいフェニル基は、用いるモノマーによって決まる。
また、上記R8は水素または、水素と1級もしくは2級アシル基の混合物となるが、この内訳は鹸化条件によって、所望の鹸化度に基づいて任意に決められる。
ジチオ炭酸誘導体(A)存在下での単量体の重合は、ラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、いずれの方法でも行うことができる。重合中に存在させるジチオ炭酸誘導体(A)の重合系への添加量、添加方法に特に制限はなく、一括添加でも逐次添加でもよく、目的とするポリビニルアルコール系重合体の物性値によって適宜決定されるべきものである。重合方法としては回分式、半連続式、連続式等の公知の方法を採用し得る。
ラジカル重合開始剤としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化カーボネート等公知のラジカル重合開始剤が使用できる。また重合温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、通常、−10〜110℃の範囲内であるのが好ましい。
本発明の重合条件は特に限定されないが、ビニルエステル系単量体と不活性溶媒との混合溶液を用いることが好ましい。この不活性溶媒は、重合を阻害しないものであればいかなる溶媒でも使用することができるが、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン等、炭素数3〜20の脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸フェニル、ヘキサン酸エチル等、または芳香族エステル、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル等が適当である。
本発明の実施にあたり、1級または2級カルボン酸ビニルエステルとジチオ炭酸誘導体(A)の仕込み比率(モル比)は、1級または2級カルボン酸ビニルエステル/ジチオ炭酸誘導体(A)=25〜8,000で使用するのが好ましい。一般式(VII)または(VIII)の片末端にメルカプト基を有する重合体におけるm、および一般式(IX)または(X)の両末端にメルカプト基を有する重合体におけるlとmとの合計は、50〜4000であるのが好ましい。
本発明の実施にあたり、1級または2級カルボン酸ビニルエステルとラジカル重合開始剤の仕込み比率(モル比)は、1級または2級カルボン酸ビニルエステル/ラジカル重合開始剤=100〜10,000で使用するのが好ましい。
発明の実施にあたり、1級または2級カルボン酸ビニルエステル/3級カルボン酸ビニルエステルの仕込み比率(モル比)、1級または2級カルボン酸ビニルエステル/置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステルの仕込み比率(モル比)、および1級または2級カルボン酸ビニルエステル/エチレンの仕込み比率(モル比)は0.1〜20で使用するのが好ましく、5〜15で使用するのが好ましい。一般式(VII)または(VIII)の片末端にメルカプト基を有する重合体におけるn、および一般式(IX)または(X)の両末端にメルカプト基を有する重合体におけるkとnとの合計は、1〜10であるのが好ましい。
ポリビニルアルコール系重合体は、重合により得られた酢酸ビニル系重合体を鹸化して製造するが、酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを触媒として鹸化して製造する。
上記の鹸化によって、ポリマーの3級カルボン酸ビニルエステルブロック部分、あるいは置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステルブロック部分は加水分解されずに末端の炭素原子が−CH(OH)SH構造となることを防ぎ、1級カルボン酸ビニルエステルブロック部分、およびチオカルボニルチオ基が加水分解され、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体が製造できる。本発明の方法により得られるポリビニルアルコール系重合体1分子当りの末端メルカプト基の数は、片末端にメルカプト基を有する場合、0.8個以上であるのが好ましく、0.85個以上であるのがより好ましく、0.9個以上であるのがさらに好ましい。また、両末端にメルカプト基を有する場合、1.6個以上であるのが好ましく、1.7個以上であるのがより好ましく、1.8個以上であるのがさらに好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた測定方法は次の通りである。
(ジチオ炭酸誘導体(A)の同定)
核磁気共鳴装置(JEOL社製、JNM−LAMBDA−400)を用い、1H−NMRを測定した。
(重合体の分子量)
カラム(東ソー社製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー社製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー社製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、ビニルエステル系重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
(重合体末端のメルカプト基量)
重合体末端のメルカプト基は、重合体をヨウ素水溶液と反応させ、チオ硫酸ナトリウム水溶液により滴定して求めた。
(重合体末端へのメルカプト基の導入率)
重合体末端へのメルカプト基の導入率(以下、これをfと略称する)は、下記の数式により算出した。
f=S×Mn
(式中、Sは重合体1g当りのメルカプト基の当量、Mnは重合体の数平均分子量を表す。)
メルカプト基が重合体の片末端に100%導入された場合にはfは1.0となり、官能基が重合体の両末端に100%導入された場合にはfは2.0となる。
[ジチオ炭酸誘導体(A)の調製]
合成例1<ジチオ炭酸エステル(XI)の合成>
Figure 0005000904
アルゴン置換した500mLの三つ口フラスコに、ブロモアセトニトリル(25.0g)、エチルキサントゲン酸カリウム(32.0g,0.20mol)、およびエタノール(250mL)を加えて、室温下15時間攪拌した。反応溶液に水(200mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出した。これを減圧蒸留(108℃/0.5mmHg)して標記のジチオ炭酸エステルを得た(収量29.2g,収率:91%)。
1H−NMR(CDCl3):δ4.72(q,2H),3.89(s, 2H),1.48(t,3H)
合成例2<ジチオ炭酸エステル(XII)の合成>
Figure 0005000904
アルゴン置換した50mLの二つ口フラスコに、ジチオ炭酸エステル(XI)(5.21g,50mmoL)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)(73mg、0.30mmoL)および酢酸ビニル(8.61g、100mmol)を加えて、100℃で30分間撹拌した。
反応溶液から未反応の酢酸ビニルを留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して標記のジチオ炭酸エステルを得た(収量:6.47g,収率:68%)。
1H−NMR(CDCl3):δ6.68(t、1H)、4.63(q、2H)、2.55(m、2H),2.37(m、2H)、2.13(s、3H)、1.42(t、3H)
合成例3<ジチオ炭酸エステル(XIII)の合成>
Figure 0005000904
アルゴン置換した50mLの二つ口フラスコに1,9-ノナンジアール(5.23g,33.5mmol)を加え、室温でトリメチルシリルシアニド(8.93mL、67.0mmol)を加えて、室温で2時間撹拌した。ここに2N−塩酸水溶液(5mL)を加え。ジエチルエーテルで抽出して1,9-ジシアノノナン-1,9-ジオールを得た(収量:7.04g、収率99.9%)。ついでAr置換した100mL二つ口フラスコに、1,9-ジシアノノナン-1,9-ジオール(4.78g、22.7mmol)、トルエン(12mL)、メタンスルホン酸クロリド(3.86mL、49.9mmol)を加え、0℃に冷却した後、トリエチルアミン(6.96mL、49.9mmol)を滴下した。滴下終了後、室温で12時間攪拌した後、反応液を氷水に投入し、ジエチルエーテルで有機物を抽出し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、1,9-ジシアノ-1,9-ジメタンスルホニルノナンを得た(3.59g、収率55%)。ついでAr置換した100mL2つ口フラスコに、1,9-ジシアノ-1,9-ジメタンスルホニルノナン(732mg、2.55mmol)、エチルキサントゲン酸カリウム(818mg,5.10mmol)、およびエタノール(50mL)を加えて、室温下15時間攪拌した。反応溶液に水(30mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出した。これをカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記のジチオ炭酸エステルを得た(収量907mg,収率:85%)。
1H−NMR(CDCl3):δ4.65(q、4H)、4.45(t、2H)、1.95(m、4H)、1.59(br、4H)、1.46(t、6H)、1.29(br、6H)
合成例4<ジチオ炭酸エステル(XIV)の合成>
Figure 0005000904
アルゴン置換した50mLの二つ口フラスコに、ジチオ炭酸エステル(XIII)(2.09g,5.0mmoL)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(7.3mg、0.03mmoL)および酢酸ビニル(861mg、10mmol)を加えて、100℃で30分間撹拌した。
反応溶液から未反応の酢酸ビニルを留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して標記のジチオ炭酸エステルを得た(収量:1.71g,収率:58%)。
1H−NMR(CDCl3):δ6.72(dd、2H)、4.63(dq、4H)、2.71(m、2H)、2.99-2.18(m、4H)、2.13(s、6H)、1.64(m、4H)、1.54(br、4H)、1.43(t、6H)、1.27(br、6H)
実施例1<ジチオ炭酸エステル(XI)を用いた片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、ジチオ炭酸エステル(XI)(484mg、3.0mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(7.3mg、0.03mmoL)を加えて100℃で7時間撹拌した。7時間後、ピバリン酸ビニル(4.44mL、30mmol)を加え、10分後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:22.7g)。Mn=8,400;Mw/Mn=1.57。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは0.91であった。
実施例2<ジチオ炭酸エステル(XII)を用いた片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、ジチオ炭酸エステル(XII)(742mg、3.0mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(7.3mg、0.03mmoL)を加えて100℃で7時間撹拌した。7時間後、安息香酸ビニル(4.15mL、30mmol)を加え、10分後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:23.8g)。Mn=8,800;Mw/Mn=1.47。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは0.94であった。
実施例3<ジチオ炭酸エステル(XIII)を用いた両末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、ジチオ炭酸エステル(XIII)(1.26g、3.0mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(14.7mg、0.06mmoL)を加えて100℃で7時間撹拌した。7時間後、ピバリン酸ビニル(4.44mL、30mmol)を加え、10分後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:20.5g)。Mn=8,000;Mw/Mn=1.51。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは1.82であった。
実施例4<ジチオ炭酸エステル(XIV)を用いた両末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、ジチオ炭酸エステル(XIII)(1.77g、3.0mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(14.7mg、0.06mmoL)を加えて100℃で7時間撹拌した。7時間後、エチレン(5atm)を加え、10分後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:22.3g)。Mn=8,400;Mw/Mn=1.38。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは1.88であった。
比較例1<チオ酢酸を用いた片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、チオ酢酸(228mg、3.0mmol)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(7.3mg、0.03mmoL)を加えて100℃で7時間撹拌した。7時間後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:21.2g)。Mn=10,300;Mw/Mn=1.79。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは0.76であった。
比較例2<チオ酢酸およびジベンゾイルスルフィドを用いた両末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造>
アルゴン置換した100mLオートクレーブに酢酸ビニル(27.7mL、300mmol)、チオ酢酸(228mg、3.0mmol)、およびジベンゾイルスルフィド(919mg、3.0mmoL)を加えて60℃で7時間撹拌した。7時間後室温に戻し反応液をヘキサン中に投入し、ポリ酢酸ビニル系重合体を得た(収量:8.52g)。Mn=8,500;Mw/Mn=1.89。この重合体をメタノール中NaOHを用いて40℃で鹸化し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。末端のメルカプト基導入率fは1.47であった。
実施例1、2と比較例1との対比、および実施例3、4と比較例2との対比から明らかなように、本発明の重合用触媒組成物を用いると、末端のメルカプト基の導入率の高いポリビニルアルコール系重合体を製造できることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI):
    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    (式中R1〜R7はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Ar1〜Ar4はそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。)
    からなる群から選ばれた少なくとも1種のジチオ炭酸誘導体(A)の存在下に1級または2級カルボン酸ビニルエステルを重合し、ついで3級カルボン酸ビニルエステル、置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステル、またはエチレンをブロック共重合して得たカルボン酸ビニルエステル系重合体を鹸化することを特徴とする下記の一般式(VII)、(VIII)、(IX)または(X):
    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    Figure 0005000904

    (式中R8は水素または1級もしくは2級アシル基、R9は3級アルキル基、または置換されていてもよいフェニル基を表す。また、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるm、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるlとmとの合計が、50〜4000であり、一般式(VII)または(VIII)のポリビニルアルコール系重合体におけるn、および一般式(IX)または(X)のポリビニルアルコール系重合体におけるkとnとの合計が、1〜10である。)
    で表される、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
  2. 前記一般式(I)および(II)
    からなる群から選ばれた少なくとも1種のジチオ炭酸誘導体(A)の存在下に1級または2級カルボン酸ビニルエステルを重合し、ついで3級カルボン酸ビニルエステル、置換基を有してもよい安息香酸ビニルエステル、またはエチレンをブロック共重合して得たカルボン酸ビニルエステル系重合体を鹸化することを特徴とする前記一般式(VII)、(VIII)、(IX)または(X)
    で表される、請求項1に記載の末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
  3. 1級または2級カルボン酸ビニルエステルが、酢酸ビニルである請求項1または2に記載のポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
  4. 3級カルボン酸ビニルエステルがピバリン酸ビニルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
  5. 置換されていてもよい安息香酸ビニルエステルが安息香酸ビニルエステルである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
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