JP5015644B2 - ポルフィリン化合物およびディスプレイ用フィルター - Google Patents

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Description

本発明は、ポルフィリン化合物およびポルフィリン化合物を含むディスプレイ用フィルターに関するものである。さらに詳しくは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、電界放射型ディスプレイ等の発光色の色純度を向上させるために取り付けられるディスプレイ用フィルターに関する。
近年、社会が高度化するにしたがって、光エレクトロニクス関連部品、機器は日々著しく進歩している。中でも画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン受像機に加えて、コンピューターモニター装置用などとしても目覚しく普及、発展して来ている。これらの発展とともに、特にディスプレイの大型化、薄型化、高画質に対する市場要求は高まる一方である。
最近では、表示装置として利用する上でフルカラー表示は当然のことである。液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、電解放射型ディスプレイ等の画像表示装置は、赤、緑、青のいわゆる「色の三原色」の組合せでカラー画像を表示することが可能である。
しかし、各画像表示装置ともその発光原理から、赤、緑、青の発光波長以外に不要発光といわれる色純度を低下させる余分な光の発光が含まれている。この不要発光により画像の鮮明さが失われてしまう。これに対し、不要波長部分の光を遮断し、赤、緑、青の三原色をそれぞれ出来るだけ単色で取り出すことが出来れば、画像の鮮明さ(色純度)を向上することが可能となる。
従来から、不要発光を遮断するために、様々な手法が検討されている。LCDにおいては、カラーフィルターの改良による色純度の向上などが行われ、その他の表示装置においても様々な検討が報告されている。これまで、色純度を改善する試みとして、特開昭58−153904号公報(特許文献1)、特開昭59−221943号公報(特許文献2)、特開昭60−22102号公報(特許文献3)、特開昭60−65050号公報(特許文献4)、特開平5−316329号公報(特許文献5)等に報告があるがその効果は十分であるとは言えず、加えて、上記の報告では主に赤の色純度を向上させる技術が開示されており、緑や青の色純度に関する記載は少ない。
また、一般的に明所下での表示装置は、外光によってコントラストの低下が生じる。従来、NDフィルターを用いて外光の影響を極力低減し、コントラストを向上することが行われてきた。しかし、この方法では同時に表示装置から発せられる必要な発光もカットしてしまう為、輝度の低下を伴うことがある。もし外光を選択的に遮断しつつ、表示装置からの必要な光のみ透過させることが出来れば、理想的な光学フィルターを得ることが出来ると考えられる。
上記色純度及びコントラストを同時に改善する方法としては、不要波長領域の光を吸収する色素を含むフィルターを用いる方法が挙げられ、これまでにも種々の検討がなされている。
青と緑の間に存在する不要光を効率的に色素によって除去するフィルターについては、特開2005−338661号公報(特許文献6)に報告がある。該公報にはフィルターに担持させるポルフィリン系色素に関して、製造容易性、溶媒への溶解性、色素の安定性、吸収特性の観点から好ましい置換基の例が開示されている。
フィルターに色素を担持させる方法としては例えば、
(1)高分子成形体等の透明基体へ含有させる、
(2)透明基体表面に色素含有樹脂層としてコーティングする、
(3)粘着材に含有させる、
などの方法が挙げられるが、いずれの場合も色素を有機溶媒に溶解させ、均一な色素溶液を得ることが、色素の溶け残りに起因する欠陥を低減する観点から重要である。
しかしながら、従来のポルフィリン系色素について追試を行った結果、有機溶媒に対する溶解性が必ずしも充分でないことが明らかとなった。
特開昭58−153904号公報 特開昭59−221943号公報 特開昭60−22102号公報 特開昭60−65050号公報 特開平5−316329号公報 特開2005−338661号公報
本発明が解決しようとする課題は、各種表示装置において発生する青と緑の間に存在する不要光を除去でき、かつ優れた耐久性を有するディスプレイ用フィルター、および該ディスプレイ用フィルターに用いる、特に溶媒への溶解性に優れた化合物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
[1]一般式(1)で示されるポルフィリン化合物、
Figure 0005015644
〔式中、Rは炭素数12以下のアルキル基を表し、Mは2個の水素原子、2価の金属、3価の金属を含む2価の原子団、または4価の金属を含む2価の原子団を表す。〕
[2]基材中に、[1]記載のポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルター、
に関する。
本発明に係るポルフィリン化合物を用いることにより、不要発光を低減し、「発光色の色純度」及び「明所でのコントラスト」の改善が可能なディスプレイ用フィルターを作製することが可能である。特に、本発明のディスプレイ用フィルターは、従来困難であるとされてきた440nm〜510nmに存在する青−緑間の不要光を選択的に除去でき、かつ耐久性にも優れると言う特徴を有しているため、耐久性が重要視される民生用の高性能ディスプレイ用フィルターとして特に好適である。さらに本発明に係るポルフィリン化合物は溶媒への溶解性に優れるため、フィルター製造時の生産性が向上する。このため、本発明の工業的価値は大きい。
本発明におけるディスプレイ用フィルターは、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有するものである。
Figure 0005015644
〔式中、Rは炭素数12以下のアルキル基を表し、Mは2個の水素原子、2価の金属、3価の金属を含む2価の原子団、または4価の金属を含む2価の原子団を表す。〕
本発明で用いる一般式(1)で表されるポルフィリン化合物の具体例を以下に記載する。
Rは炭素数12以下のアルキル基を表す。
炭素数12以下のアルキル基としては、溶媒への溶解性の観点から炭素数1〜12の分岐或いは環状のアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の分岐或いは環状のアルキル基が特に好ましい。
炭素数12以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル基、n−ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、n−オクチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7-テトラエチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘプチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル基、1-シクロペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-シクロヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等が挙げられる。
Mは2個の水素原子、2価の金属、3価の金属を含む原子団、または4価の金属を含む原子団を表す。
Mが2価の金属である場合の具体例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)が挙げられる。
3価または4価の金属を含む原子団としては、AlCl、InCl、FeCl、MnCl、SiCl、GeCl、TiO、VO等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 0005015644
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本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物は、例えばmeso−テトラフェニルポルフィリンのピロール部の3,4−位をハロゲン化し、これとRで置換されたアセチレン誘導体とを公知の方法に従いカップリング反応することにより容易に得ることができる。
また本発明のディスプレイ用フィルターは、後述するように多層構造の様な複数の部材から構成されることがあるが、本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物は一つの部材だけに含有されている必要はなく、複数の部材に含有されていても良い。
また、所望する光学特性に応じて、本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物以外の可視光領域に吸収を有する色素を併用しても構わない。
本発明のディスプレイ用フィルターは、本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物が含まれる事を特徴とする。また、本発明のディスプレイ用フィルターを構成する部材は、従来公知の物を制限無く用いることが出来る。例えば、ディスプレイ用フィルターを構成する部材としては、透明基体(C)、導電層(D)、機能性透明層(E)が挙げられる。更には色素を含有する調色層(F)が含まれていても良い。更には、粘着材層、接着材層、衝撃緩和層、電極等を挙げることも出来る。
上記の導電層(D)としては、金属や金属酸化物などの透明薄膜や、金属メッシュ層などが挙げられる。また、機能性透明層(E)としては、反射防止層、防眩層、防汚層、ハードコート層、アンチニュートンリング層等の公知の機能性透明層を例示することが出来る。1つの層が上記の2つ以上の機能を有しても勿論構わない。本発明のディスプレイ用フィルターは、本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物が上記の層等の部材のいずれかに含まれていることが好ましい。上記の調色層(F)としては、本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物が含まれていることが好ましいが、これに制限されない。
また、調色層(F)が本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物を含有する場合、調色層(F)以外の上記の各層に該ポルフィリン化合物を含有させた構成のディスプレイ用フィルターも勿論本発明に含まれる。
本発明のディスプレイ用フィルターの構成として、例えばプラズマディスプレイ用フィルターを例に取ると、その好ましい形態としては、
(i)透明基体(C)、導電層(D)、および機能性透明層(E)を有するプラズマディスプレイ用フィルターであって、該透明基体(C)、導電層(D)、および機能性透明層(E)のそれぞれを構成する部材のうち、少なくとも1つ以上の部材に本発明の色素を含有するプラズマディスプレイ用フィルター、
(ii)透明基体(C)、導電層(D)、機能性透明層(E)、および調色層(F)を有するプラズマディスプレイ用フィルターであって、該調色層(F)が本発明の色素を含有するプラズマディスプレイ用フィルター
が挙げられる。
本発明においては、一般式(1)で示されるポルフィリン化合物がディスプレイ用フィルターを構成する部材の少なくともいずれか1つに含有されていることを特徴とする。色素を部材に担持させる方法としては、特に限定されるものではないが、具体的に例示すると、色素を、
(1)透明基体(C)へ含有させる、
(2)透明基体(C)の表面に色素含有樹脂層としてコーティングする、
(3)粘着材に含有させる、
などの方法が挙げられる。色素を含有させる方法としては、色素が均一に分布するのであれば公知のあらゆる技術を用いて構わない。
色素を透明基体(C)に含有させる上記(1)の方法を具体的に例示すると、例えば、透明基体(C)である高分子成形体に色素を混ぜ合わせる場合、高分子成形体を構成する樹脂(以下、ベース樹脂という)の種類によって、加工温度、フィルム化条件が異なるが、通常は色素をベース樹脂の粉体あるいはペレットに添加し、樹脂の溶融温度を考慮しながら150℃〜350℃に加熱、溶融させ、好ましくは混練した後、成形してプラスチックシート、プラスチック粒子を作製する方法等が挙げられる。成形を容易にするなどの目的で可塑剤等の添加剤を加えても構わない。
その他の方法としては、キャスティングによる方法がある。キャスティング方法では、樹脂または、樹脂モノマーを有機系溶媒に溶解させた樹脂液に色素を添加・溶解させ、必要に応じて可塑剤や重合開始剤、酸化防止剤等を加え、必要とする面状態を有する金型へ流し込み、溶剤揮発/乾燥、または、重合/溶剤揮発/乾燥させることにより高分子成形体を得ることができる。
色素の添加量は、色素の吸収係数、高分子成形体の厚み、目的とする透過特性によって異なるが、通常、ベース樹脂を成形して得られた成形体の1ppm(質量百万分率)から20質量パーセントである。
色素を透明基体(C)の表面に色素含有樹脂層としてコーティングする上記(2)の方法を具体的に例示すると、色素をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料としたもの、または、未着色のアクリルエマルジョン塗料に色素を微粉砕(粒径50nm〜500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料としたものを、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いは、スプレー等の従来公知のコーティング方法により、透明基体(C)である高分子成形体またはガラスの表面に塗布・乾燥させる方法が挙げられる。色素の濃度としては、色素の吸収係数、コーティングの厚み、目的の光学特性により異なるが、バインダー樹脂に対して0.001質量パーセントから30質量パーセントである。なお、塗料中には酸化防止剤等を加えても構わない。また、コーティング面を保護するために保護層を設けても構わない。
色素を粘着材に含有させる上記(3)の方法を具体的に例示する。なお、本発明においては、接着材、接着剤、粘着剤、粘着材を区別することなく粘着材と記載する。粘着材としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状、または液状の粘着材が挙げられる。これら粘着材に色素を添加して色素入り粘着材とする。色素の添加量としては、色素の吸収係数、粘着材の厚み、本来の光学特性により異なるが、通常、ベース粘着材の1ppm(質量百万分率)から30質量パーセントである。
粘着材層の形成方法は、直接基板に粘着材を塗布する方法、または、離型フィルムで挟んだ粘着材の片方の離型フィルムを剥離して、基板に張り合わせる方法が挙げられるが、本発明においては後者が好適に使用される。粘着材の塗布方法としては、一般的にバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールコート法などにより塗布されるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、バーコート法が好適に使用される。粘着材層の厚みは、特に制限はないが、0.5μmから50μm、好ましくは、1μmから30μmである。
色素を含有する粘着材は、フィルムとフィルム、フィルムとガラスなど各種の貼合わせにも用いることができ、色素を含有させる方法として好ましい形態の1つである。
ディスプレイ用フィルターは、ディスプレイパネルの表面温度が高かったり、さらに使用環境の温度が高い場合があったりするので、ディスプレイ用フィルター自体の温度が上昇することがある。そのため、色素をディスプレイ用フィルターに含有させる場合、色素は、例えば80℃で、分解等によって顕著に劣化しない耐熱性を有していることが好適である。望ましい色素の耐熱性を具体的に例示すると、80℃の環境下における色素の極大吸収波長における吸収維持率が、250時間保持した後で80%以上、好ましくは500時間以上で80%以上、さらに好ましくは1000時間以上で80%以上である。
ここで言うところの吸収維持率とは、
(T0−Tmax,1)/(T0−Tmax,0)
を意味する。
ここで、T0は、色素を含有した部材、例えば色素を含有した粘着剤等の、吸収が全くない波長における透過率を表す。
Tmax,0は、極大吸収波長における透過率を表し、(T0−Tmax,0)は、T0とTmax,0との差を表す。
Tmax,1は、各環境下に所定時間置いた後の粘着剤の極大吸収波長における透過率を表し、(T0−Tmax,1)は、T0とTmax,1との差を表す。
この吸収維持率の値が大きいほど色素の性能が維持されている、すなわち、耐久性があるとみなすことができる。また、耐熱性に加えて、色素によっては耐光性に乏しいものもあり、ディスプレイ自体の発光や外光の紫外線、可視光線による劣化が問題になることがある。この場合、色素を含有する層よりも紫外線や可視光線が入射する側に紫外線吸収剤を含む部材や紫外線を透過させない部材(層)を併用する方法、当該色素の劣化を引き起こす波長の可視光線を吸収する色素を含む部材や上記の可視光線を透過させない部材を併用する方法など、色素の劣化を低減する公知の光線遮蔽技術を用いることで克服することが出来る。もちろん、紫外線や当該可視光線による劣化がない色素を用いることが出来れば、上記の技術を併用する必要はない。
本発明の色素が有する望ましい耐光性としては、380nm〜780nmの可視領域の光を50mW/cm2の強度で照射した場合における色素の極大吸収波長における吸収維持率が、250時間照射した後で80%以上、好ましくは500時間以上照射した後で80%以上、さらに好ましくは1000時間以上照射した後で80%以上である。熱や光に加えて、湿度やこれらの複合した環境においても同様である。色素が劣化すると、ディスプレイ用フィルター自体の透過特性が変化し、色調が変化することがある。また、近赤外線カット能等が変化することもある。
さらに色素に求められる特性としては、媒体や塗膜中に分散させる為に、有機溶媒への溶解性も重要となる。
本発明の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物は、従来の440nm〜510nmに極大吸収を有する色素と比較して、上記耐熱性及び耐光性といった耐環境性に非常に優れており、長時間に渡り性能が劣化することなくディスプレイの表示を改善することが可能である。また、特定の置換基を選択することにより、有機溶媒に対する溶解性が非常に高く、均一なディスプレイ用フィルターを得ることができる。
本発明における上記色素を含有したディスプレイ用フィルターにより、公知のあらゆるディスプレイの色純度を向上させることが可能である。特に、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに好適に用いることができる。その適用方法としては、公知のあらゆる方法を採用することができる。
以下、上記のディスプレイ用フィルターに用いることが出来る各部材について簡単に述べる。
透明基体(C)としては、主にフィルム状及び板状であり、透明性に優れ、用途に応じた十分な機械的強度を有するものが好ましい。ここで言うところの透明性に優れるとは、使用される状態での厚さにおいて、視感平均透過率が40%以上であることを意味する(測定法:JIS R3106)。例えば高分子フィルムや高分子板、ガラス板である。本発明においては、上記のような公知の透明基体を制限なく用いることが出来る。
上記の導電層(D)としては、少なくとも電磁波シールド機能を有していることが好ましい。これは、プラズマディスプレイパネル等の表示装置は、その構造や動作原理上、漏洩電磁波や、近赤外線を発生することがあり、これらの遮蔽が必要な場合がある為である。通常、電磁波を遮蔽するためには、ディスプレイ表面を導電性の高い導電物で覆うことが多い。これは上記導電物が電磁波を吸収し、これを電荷として逃がすと言う電磁波シールド能を発現するというメカニズムによる。
ディスプレイ用フィルターにこの原理を適用するためには、導電層(D)は可視光線に対して透明であることが好ましい。このため導電層(D)として具体的には、単層の金属薄膜、酸化物半導体膜、多層薄膜の透明導電性薄膜、導電性メッシュ、合成繊維に金属被覆したもの、金属繊維のメッシュやそれに更に金属被覆したもの等が好ましい例として挙げられる。
プラズマディスプレイ等の各種表示装置用途で電磁波遮蔽に必要な導電層(D)の導電性は、要求される電磁波規格やプラズマディスプレイ等からの放射強度にもよるが、面抵抗が10Ω/cm以下である事が好ましく、より好ましくは3Ω/cmである。民生用途等で要求される厳しい電磁波規格の場合は、1Ω/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1Ω/cm以下である。また、プラズマディスプレイ等から発せられる近赤外線を遮蔽するためには、800〜1000nmの近赤外線波長領域におけるディスプレイ用フィルターの透過率を20%以下にすることが好ましい。
本発明では導電層(D)として、金属薄膜と透明高屈折率薄膜を積層した多層の透明導電性薄膜層(a)、または、導電性メッシュ層(b)を好適に使用できる。多層の透明導電性薄膜層(a)は、導電性メッシュ層よりも低コストで、金属薄膜を構成する金属の自由電子による近赤外線を反射する特性により、電磁波シールド機能と同時に近赤外線遮断機能を併せ持つという特徴がある。一方、導電性メッシュ層(b)は、光学特性を著しく低下させずにより高い導電性を持たせることができる為、高い電磁波シールド機能が要求される場合、例えば上記の民生用途などで要求される厳しい電磁波規格に合致させるために好適である。
金属薄膜と透明高屈折率薄膜を積層した多層の透明導電性薄膜層(a)としては、透明基体(C)の一方の主面上に、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの誘電体を主とした高屈折率層(c)及び銀を主とした金属薄膜層(d)が、(c)/(d)の順の積層単位を1〜6回繰り返して積層された構成が好ましい。さらには全ての金属薄膜層(d)が高屈折率層(c)で挟まれる様に積層された構成がより好ましい。高屈折率層(c)と金属薄膜層(d)との積層数は、多いほど導電性−透明性のバランスは好ましくなるが、コスト、品質安定性を考慮すると、上記積層単位として、好ましくは11層以下、より好ましくは9層以下、特に好ましくは、7層以下である。また、透明導電性薄膜層の耐環境性を向上させるために、透明導電性薄膜層の表面に有機物または無機物の保護層を設けても構わない。さらに、金属薄膜層の耐環境性や高屈折率層と金属薄膜層の密着性等を向上させるために、高屈折率層(c)と金属薄膜層(d)の間に機能層を有しても構わない。
上記の高屈折率層(c)や金属薄膜層(d)を構成する具体的な化合物としては、公知の化合物を制限無く用いることが出来る。例えば特許3004222号公報等に記載されたものを好適に用いることが出来る。高屈折率層(c)としてより具体的には、酸化インジウム、インジウム-スズ酸化物(ITO)、酸化チタン等の金属酸化物を好ましい例として挙げることが出来る。また、金属薄膜層(d)としては、銀や、銀と他の金属との合金を好ましい例として挙げることが出来る。またこれらの薄膜層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等の真空成膜法の他、公知のあらゆる方法を採用することが出来る。中でも真空成膜法、特にはスパッタリング法が好ましく利用できる。
導電性メッシュ層(b)としては、繊維に金属を蒸着した繊維メッシュ、フォトリソグラフィーの技術を用いてパターンを形成し、エッチングによりメッシュを得るエッチングメッシュなどを使用することができる。より具体的には、銅を主として用いる金属のメッシュを好適に用いることができるが、これらに限定されない。メッシュの形状としては、格子状及びハニカム上でも良く、特に限定されるものではない。このメッシュにより、高い電磁波シールド機能を有することができる。導電層(D)として導電性メッシュ層(b)を用いる場合は、近赤外線を吸収したり、近赤外線を反射する層を併用して、近赤外線遮断機能を付与することが好ましい。特には近赤外線を吸収し、可視光線は殆ど吸収しない、もしくは全く吸収しない色素を含む層を用いることが好ましい。勿論、前記の透明導電性薄膜層を利用することも可能である。
機能性透明層(E)が有する機能としては、具体的にハードコート性、反射防止性、防眩性、静電気防止性、防汚性、ガスバリア性、近赤外線カット性、紫外線カット性、色調調色機能、メッシュ平坦化処理機能などの公知の性能、機能のうち少なくとも1つ以上の機能を有していることが挙げられるが、付与する機能はこれに限定されるものではない。特に紫外線カット能を有する層は人側に配置することが好ましい。上記の機能性透明層(E)は、反射防止性などの上記機能を有していれば膜、フィルム、粘着層、及びその複合体等の任意の形態をとることが出来る。機能性透明層(E)の形成方法としては、特に限定されるものではなく、公知のあらゆる技術を用いて形成する事が出来る。また、機能性透明層(E)は、2層以上形成してもよく、複数の機能を一つの層が有していても良い。
これらの部材としてより詳しくは、例えば特許3004222号公報等に記載されたものを好適に用いることが出来る。またこれらの層の積層方法は、公知の方法を制限無く用いることが出来、より具体的には、特許3004222号公報や特開2002−40233号公報等に記載された方法を採用することが出来る。
上記のごとく得られたディスプレイ用フィルターを具備したプラズマディスプレイは、長期間に渡り性能が劣化することなく光源から放出される不要な発光を除去できるため、発光色の色純度、特に青の色純度が向上したディスプレイとなる。その上、本発明のディスプレイ用フィルターは、外光による不要な光をも除去することが可能なので、明所におけるコントラストも向上したディスプレイとなる。
本発明のディスプレイ用フィルターを用いた液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイは、好ましくは当該ディスプレイ用フィルターを光源と視認部との間に配置することを特徴とする。以下、液晶ディスプレイを例にとって説明するが、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイにおいても同様の方法を採用することも可能である。
上記液晶パネルに具備するディスプレイ用フィルターを実施するための好ましい形態の1つとしては、少なくとも透明基体(C)、機能性透明層(E)、必要に応じて調色層(F)を有しており、構成層や構成部材の少なくとも1つ以上に本発明の色素が含有されていることを特徴とする。
色素を含有させる方法としては、上記プラズマディスプレイ用フィルターの説明で記載したのと同様の方法を用いることができる。色素の添加量に関してもまた同様である。
上記の液晶パネルに具備するディスプレイ用フィルターの透明基体(C)、機能性透明層(E)としては、上記プラズマディスプレイ用フィルターの説明で記載したものと同様の材料を使用することが出来る。また、上記の層の積層方法は、従来公知の方法を制限無く採用することが出来る。好ましい上記の材料や方法としては、例えば特開2002−40233号公報等に記載された材料、方法を採用することが出来る。
本発明のディスプレイ用フィルターを用いた液晶ディスプレイは、(I)粘着層を介して液晶ディスプレイの構成部材に貼りあわせて使用する、(II)液晶ディスプレイの光源から視認部までの間に挿入して使用する構成を好適な例として挙げることが出来る。
上記のごとく得られたディスプレイ用フィルターを具備した液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイは、前述のプラズマディスプレイと同様、長期間に渡り性能が劣化することなく光源から放出される不要な発光を除去でき、発光色の色純度、特に青の色純度が向上したディスプレイとなり、かつ、明所におけるコントラストが向上したディスプレイとなる。また、本発明におけるディスプレイ用フィルターは、2種類以上のフィルターを組み合わせて用いてもよい。また、同種のフィルターを複数枚用いても構わない。
本発明のディスプレイ用フィルターは、上記の他にもCRTディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイの様な公知のディスプレイと組み合わせて使用することも勿論可能である。また、本発明のディスプレイ用フィルターを具備したそれらのディスプレイも、長期間に渡り不要発光を除去でき、かつ、コントラストにも優れ、特に青色の色純度の高いディスプレイとして、美しい画像を提供することが出来る。
本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定を受けるものではない。
[具体例化合物(1−2)の合成]
下記構造式(2−a)で示される化合物 15.0gをN,N-ジメチルホルムアミド 150mlに溶解し、10-20℃で臭素 31.8gを滴下した。室温にて4時間攪拌した後、氷水700gに排出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出物を濾取、水洗し、メタノールにて洗浄、乾燥して、下記構造式(2−b)で示される化合物 31gを得た。
Figure 0005015644
次に構造式(2−b)で示される化合物 26.1g、よう化銅1.34g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 2.13g、トリフェニルホスフィン 1.05gをテトラヒドロフラン 525mlに溶解し、トリエチルアミン 36.4g、3,3−ジメチル−1−ブチン(純度96%) 21.16gを加えた。窒素気流下室温で攪拌し、反応終了後、不溶物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣に85%メタノール水 500mlを加え、攪拌し、濾過した後、85%メタノール水で洗浄、乾燥し、粗体を得た。粗体をシリカゲルカラムにより精製(展開溶剤:トルエン/ヘキサン=6:4vol.比)して、具体例化合物(1−2) 10.8gを得た。
Figure 0005015644
下記の分析結果より、目的物であることを確認した。
元素分析値(C9292Ni)
Figure 0005015644
MS(m/e) :1312(M

このようにして得られた化合物は、クロロホルム溶液中において481.0nmに吸収極大を示し、グラム吸光係数は1.57×10ml/g.cmであった。
また、得られた化合物を酢酸エチル/トルエン(含有比率50:50質量パーセント)溶剤に1質量%の濃度になるように混合し、室温で30分間超音波処理したところ、完全に溶解した。
[具体例化合物(1−3)の合成]
下記構造式(3−a)で示される化合物 17.0gをN,N-ジメチルホルムアミド 170mlに溶解し、10-20℃で臭素 35.8gを滴下した。室温にて4時間攪拌した後、氷水800gに排出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出物を濾取、水洗し、メタノールにて洗浄、乾燥して、下記構造式(3−b)で示される化合物 32gを得た。
Figure 0005015644
次に構造式(3−b)で示される化合物 26.2g、よう化銅1.34g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 2.13g、トリフェニルホスフィン 1.05gをテトラヒドロフラン 525mlに溶解し、トリエチルアミン 36.4g、3,3−ジメチル−1−ブチン(純度96%) 21.16gを加えた。窒素気流下室温で攪拌し、反応終了後、不溶物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣に85%メタノール水 500mlを加え、攪拌し、濾過した後、85%メタノール水で洗浄、乾燥し、粗体を得た。粗体をシリカゲルカラムにより精製(展開溶剤:トルエン/ヘキサン=6:4vol.比)して、具体例化合物(1−3) 13.3gを得た。
Figure 0005015644
下記の分析結果より、目的物であることを確認した。
元素分析値(C9292OV)
Figure 0005015644
MS(m/e) :1321(M

このようにして得られた化合物は、クロロホルム溶液中において496.5nmに吸収極大を示し、グラム吸光係数は1.73×10ml/g.cmであった。
また、得られた化合物を酢酸エチル/トルエン(含有比率50:50質量パーセント)溶剤に1質量%の濃度になるように混合し、室温で30分間超音波処理したところ、完全に溶解した。
酢酸エチル/トルエン(含有比率50:50質量パーセント)溶剤に、具体例化合物(1−2)を分散、溶解させ、乾燥したときの樹脂中の色素濃度が、1000ppm(質量百万分率)になるように、アクリル系粘着材用の色素入り希釈剤を調整した。次に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートおよびアクリル酸の共重合体、商品名:DBボンド、ダイアボンド工業株式会社製)/色素入り希釈剤(含有比率80:20質量パーセント)を混合した。得られた混合液を反射防止フィルム[ポリエチレンテレフタレートフィルムに反射防止膜を形成した日本油脂株式会社製の反射防止フィルム、厚さ:105μm]の、反射防止膜が形成されていない面に対して、バーコーター法により連続的に塗工し、乾燥させた。その後、該塗工面に、シリコーン離型層を形成した離型フィルムを貼り合せ、糊厚25μmの色素入り粘着材付き反射防止フィルムを作製した。
作製した色素入り粘着材付き反射防止フィルムの離型フィルムを剥離し、市販の液晶ディスプレイ[シャープ株式会社製、LC−15B1−S]の前面に貼合して、色素入り粘着材付き反射防止フィルムを具備した液晶ディスプレイを作製した。
作製した液晶ディスプレイの色度座標を、分光放射輝度計[コニカミノルタホールディングス株式会社製、CS−1000]で測定し、赤、緑、青の色度座標を得た。作製した液晶ディスプレイの色再現性は、色素を使用していない反射防止フィルムを具備した液晶ディスプレイと、表示装置の色再現範囲を表す各色度座標を結んで得られる三角形の面積を比較することで評価した。
その結果、色素を使用していない反射防止フィルムを具備した液晶ディスプレイの三角形の面積を100とした場合、作製した色素粘着材付き反射防止フィルムを具備した液晶ディスプレイの三角形の面積は106であり、色素を用いた液晶ディスプレイは色再現性が向上したディスプレイであった。
(比較例1)
実施例1と同様の条件にて、構造式(2−b)で示される化合物とフェニルアセチレンをカップリング反応して、下記構造式(A−1)で示される化合物を準備した。
Figure 0005015644
構造式(A−1)で示される化合物は、クロロホルム溶液中において498.0nmに吸収極大を示し、グラム吸光係数は2.33×10ml/g.cmであった。
酢酸エチル/トルエン(含有比率50:50質量パーセント)溶剤に1質量%の濃度になるように混合し、室温で30分間超音波処理したところ、溶け残りがあった。更に希釈して0.5質量%の濃度になるように混合、超音波処理したが、完全には溶解しなかった。
(比較例2)
具体例化合物(1−2)の代わりに、化合物(A−1)を用いる以外は実施例3と同様にして色素入り粘着材付き反射防止フィルムを作製したところ、色素の溶解残渣に起因する点状欠陥が発生した。
本発明のポルフィリン化合物を含むディスプレイ用フィルターは、公知のあらゆるディスプレイに用いることができる。該フィルターは、青緑間の不要な発光を選択的に吸収し、かつ耐久性にも優れた色素を含有することにより、長期間に渡り性能が劣化することなくディスプレイの色純度を向上させることができ、明所におけるコントラストが向上した鮮明な画像を表示できるディスプレイを提供することができる。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で示されるポルフィリン化合物。
    Figure 0005015644

    〔式中、Rは炭素数12以下のアルキル基を表し、Mは2個の水素原子、2価の金属、3価の金属を含む2価の原子団、または4価の金属を含む2価の原子団を表す。〕
  2. 基材中に、請求項1記載のポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルター。
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