JP5020452B2 - Hlaという背景において提示されたペプチドに特異的なcd8+tリンパ球個体群の検出及び精製手段 - Google Patents

Hlaという背景において提示されたペプチドに特異的なcd8+tリンパ球個体群の検出及び精製手段 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、HLAという背景において提示されるペプチドに特異的なCD8+ Tリンパ球個体群の検出及び精製手段を提供する。
【0002】
【従来の技術】
Tリンパ球は、TCRと呼ばれる、このリンパ球が対抗する抗原に特異的なレセプタを支持している。このTCRは、複数の鎖で構成され、そのうちα及びβ鎖は、HLA分子内で提示された特定の抗原ペプチドに特異的な認識に関与している。この認識は、標的細胞の表面に存在するHLA−ペプチド複合体に対し一定の親和力をもって固定されるTリンパ球のα/β TCRの能力により示される。相互的に、可溶性HLA−ペプチド複合体は、考慮対象のHLA−ペプチド複合体に特異的なTリンパ球の表面に存在するTCRに固定される能力をもつ。
【0003】
現在、分子的に最も良く研究されている系は、クラスIの主要組織適合性複合体(MHC)の分子の中及び対立遺伝子HLA−A0201の中で提示された抗原ペプチドのCD8+ Tリンパ球による認識である。
【0004】
この系では、HLA−ペプチド複合体に対するTCRの親和力は、その抗原に対する抗体の親和力に比べきわめて低いことが立証されている。このような理由で、ペプチドを含んだ標識づけされた可溶性HLA−A0201分子を用いたこのHLAという背景内で、特異的ペプチドに対する反応性をもつTCRキャリア(TCRを支持した)リンパ球を検出することは不可能である。この低い親和力を補正するため、Altman et al(1)は、HLAの重鎖がビオチニル化されかくしてストレプトアビジンとの4量体会合が可能となっているHLA−A0201−ペプチド複合体で構成された多価の試薬を製造した。このHLA−ペプチド4量体は、適切なTCRキャリアTリンパ球について増大された結合力を呈し、従って反応性個体群を免疫螢光により視覚化させるために使用され得る。
【0005】
しかしながら、TCRはHLA−ペプチド複合体と相互作用できるTリンパ球の唯一の分子ではない。実際、生理学的認識の際には、CMH−ペプチド複合体に対するTCRの固定は、クラスIのMHC分子の定常部分に対するコレセプタCD8の固定によって補強される。相互作用におけるCD8の参加は、リンパ球クローン毎に変動し、或る種の場合には、一定の与えられたHLA−ペプチド複合体に対する固定能力のきわめて大幅な増大を導く可能性がある。クラスIのHLAに固定されるこのCD8の能力は、結果として、HLA−ペプチド複合体の非特異的TCRを支持する(carry)CD8+ Tリンパ球上のクラスIのHLA4量体の固定の暗騒音をひき起こす。この暗騒音は、使用される4量体の濃度と共に増大し、免疫螢光の偽陽性を導く可能性がある。この非特異的標識付けを減少させようとして、大部分の研究班は、抗CD8抗体の存在下でクラスIのHLA4量体を用いてそれらの標識付けを実施している。ただし、或る種の抗CD8抗体のみが有効であり、抗体と4量体の間の濃度の最適な比率を各テストで再調整する必要がある。これらの欠点のため、非特異的個体群内でわずかな割合(例えば約0.1〜1%)しか占めていない特異的下位個体群の検出は、困難なものとなる。
【0006】
なお、HLA4量体のもう1つの潜在的応用分野が考慮されてきた。それは、in vitroでの拡張そして次に抗ウイルス又は抗腫瘍受動免疫プロトコルにおける治療向け使用を目的として一定の与えられたHLA−ペプチド複合体に対して反応性をもつリンパ球個体群を選別(フローサイトメトリー又は免疫磁気選別)により分離することから成る。しかし、CD8の参与に起因する4量体の固定暗騒音は、選択するHLA−ペプチド複合体に対し反応性をもたないTリンパ球の往々にして大きな画分の分離を導くことから、この応用分野に対する重大な障害を構成しうる。
【0007】
Salter et al(2)は、コレセプタCD8ααに形質移入された細胞により発現された膜HLAの固定が、HLAがα3ドメイン内に1つの突然変異を有している場合に改変されるということを示した。
【0008】
本発明者らによるかかる突然変異の研究から、本発明者らは、突然変異を受けた可溶性の4量体が実際に、Tリンパ球の表面でTCRに結びつけられているかいないかに関わらず、又ααであるかαβであるかに関わらず、CD8を固定することの少ないものであるということを確認するに至り、このことは、暗騒音の減少という形で現われている。
【0009】
このとき、突然変異の結果としての親和力の喪失が、或る種のCD8依存性Tリンパ球クローンに制限された又は完全な特異的信号の喪失を導くことを予想するとこができた。この点でSalter et alの記事は、或る種のCD8依存性同種異系反応性クローンが、突然変異を受けたHLA−A2を支持する細胞に対するその細胞毒性を失ない、一方その他のクローンはほとんど影響を受けない、ということを示している。
【0010】
かくして、突然変異を受けた4量体がポリクローナル個体群の内部で(最もCD8依存性の低い)反応性細胞の1画分しか検出しないことが可能であったはずである。
【0011】
抗CD8抗体での2重標識付けで本発明者らが実施した突然変異を受けた及び未変性(native)の4量体を用いたポリクローナル個体群の数多くの比較用標識付けにより、反対に予想外にも、突然変異を受けた4量体が未変性4量体と同じ百分率の特異的細胞を認識することが明らかにされている。
【0012】
その上、CD8依存性のきわめて高いクローン及びCD8依存性のほとんどないクローン上の突然変異を受けた4量体での標識付けの比較は、TCRの発現強度と関係づけた4量体の比較可能な固定効力を示している。
【0013】
従って、突然変異はCD8単独に対する4量体の固定をきわめて大幅に減少させるものの、TCR−CD8複合体に対するその固定にははるかに少ない影響しか及ぼさないと思われる。
【0014】
【発明の開示】
従って、本発明は、突然変異又はさらに一般的には改変を受けたHLA多量体において明らかにされた特性を利用することにあり、新規製品としてかかる多量体及びその抗原ペプチドとの複合体を提供する。
【0015】
本発明は同様に、ペプチド特異的CD8+ Tリンパ球個体群の検出及び/又は分離のためのこれらの分子の使用をも提供する。
【0016】
さらに本発明は、特に診断及び治療での適用のために、ペプチドを含んだ(charged with)かかる分子を用いてかかる個体群を検出し及び/又は分離する方法を提供する。
【0017】
本発明による多量体は、クラスIのMHCに類似した組換え型タンパク質から作製され、該タンパク質は、CD8と重鎖の間の相互作用の親和力の減少を、ひいては抑制までもを導く少なくとも1つの改変を、Tリンパ球のコレセプタCD8とクラスIのMHC重鎖の相互作用ゾーン内に有していることを特徴とする。
【0018】
相互作用ゾーンの改変は、より特定的には、重鎖のα3ドメインに関している。
【0019】
特に問題となっているのは、前記コレセプタCD8に固定される能力をもつ未変性重鎖の対応するドメインとの関係における少なくとも1つのアミノ酸のα3ドメイン内の突然変異である。
【0020】
例えば、HLA−A2分子のα3ドメインの位置245におけるバリン残基へのアラニン残基の突然変異が挙げられる。
【0021】
改変は同様に、少なくとも1つのアミノ酸の化学的修飾及び/又は少なくとも1つのアミノ酸の欠失から成るものであってよく、この又はこれらのタイプの改変は場合によって、単数又は複数の突然変異に追加される。
【0022】
本発明、また、新しい生成物として、上述の多量体及び抗原ペプチドから作製された複合体をも提供する。
【0023】
これらの複合体においては、多量体は特に4量体の形を呈する。
【0024】
本発明によると、これらの複合体は、複合体の抗原ペプチドを特異的に認識するCD8+ Tリンパ球個体群の検出及び/又は分離のために使用される。
【0025】
上述の複合体の使用により、特異的標識づけ(marking)を改変することなく非特異的な固定(binding)の暗騒音(バックグラウンドノイズ)をきわめて大幅に削減することができ、さらに、免疫螢光分析の際に抗CD8抗体を一緒に使用する必要性を無くすることができる。
【0026】
好ましい使用においては、前記複合体は、免疫磁気選別といったような細胞選別(screening)方法において使用される。
【0027】
マウスにおける特異的Tリンパ球を分離するために免疫磁気選別技術についてはLuxembourg et al,(5)によって記述される。
【0028】
この技術は、MHC−ペプチド複合体(ペプチドを含んだ化学的にビオチニル化された、ショウジョウバエ属系で産生された複合体)で被覆された球系に基づくものである。
【0029】
本発明は、また、ポリクローナル個体群からペプチド特異的CD8+ Tリンパ球個体群を検出し分離する方法をも提供する。この検出方法は、
− 改変されたクラスIのMHC/ペプチドの複合体と、この複合体に対する親和力をもつTリンパ球レセプタとの間の相互作用を可能にする条件下で、上述のような抗原ペプチドと複合体形成された多量体とポリクローナル個体群とを接触させる段階、
− 前記複合体に固定された(bound to)リンパ球個体群を顕示する段階、
を含んで成ることを特徴とする。
【0030】
この顕示(visualization)は、例えば、螢光化合物を含む多量体を使用することによって螢光によって実施される。
【0031】
ポリクローナル個体群からペプチド特異的リンパ球個体群を分離する方法も又、本発明の枠内に入り、場合によっては、上述の検出段階の後に実施可能である。
【0032】
この方法は、免疫磁気選別の技術を使用し、
− 上述のようなクラスIのMHC類似体とペプチドの複合体が上に固定されている磁球とポリクローナル個体群を、前記複合体とこの複合体に対する親和力をもつTリンパ球のレセプタの間の相互作用を可能にする条件下で接触させる段階、
− 固定された個体群を回収する段階、
を含んで成り、望ましい場合には選別作業が繰返され及び/又は場合によってその後に、
− 選択された個体群をin vitroで増幅させる段階、
が続いていることを特徴とする。
【0033】
上述のような改変された多量体での特異的標識付けと暗騒音の間の差異の増大により、ポリクローナル個体群の内部での特異的リンパ球個体群のより優れた弁別(discrimination)が可能となり、かくしてこれらの多量体での免疫磁気選別が非常に効果的なものになる。
【0034】
MHC分子は例えば、重鎖上に酵素によるビオチニル化パターンを含む。複合体が上に固定される球は、ストレプトアビジンにカップリングされる。
【0035】
ポリクローナル個体群は、滑液又は末梢血の単核細胞といったような患者から採取した標本に由来する。
【0036】
選択された個体群の増幅段階は、有利には、増幅された個体群の代表性に影響を及ぼさない条件下でのポリクローナル刺激によって実施される。例えば、照射されたPHA,ILZ又はPBLが使用される。
【0037】
本発明は、また、選択されたそして場合によっては増幅されたTリンパ球個体群において一定の与えられた複合体のペプチドに対し反応性をもつTリンパ球のみで構成されていることを特徴とするTリンパ球個体群をも提供する。
【0038】
かかるペプチド特異的な個体群は、治療において、そしてより特定的には養子免疫療法に従ったその再投与に基づく応用分野のために、きわめて有利なものである。
【0039】
従って、本発明は、薬学的ビヒクルと結びつけた形で上述のようなペプチド特異的Tリンパ球個体群から作製されることを特徴とする薬学組成物を提供する。
【0040】
かかる組成物は有利には注射により投与可能である。
【0041】
かくして、それぞれ規定のウイルス又は腫瘍ペプチドとクラスIのMHCの複合体を認識するTリンパ球の注射後に抗ウイルス又は抗腫瘍免疫性を回復させるか又は、免疫応答の活性化又は阻害特性を呈し一定の与えられた抗原に向けられたT細胞の投与により免疫不均衡(例えば自己免疫のケース)を補正することが可能である。
【0042】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面の図1〜7を参照する、純粋に例示を目的として示された以下の実施例の中で記されている。
【0043】
【発明の実施の形態】
実施例1: コレセプタCD8との相互作用ゾーン内で突然変異を受けた4量体HLA−A0201の製造。
酵素によるビオチニル化パターンについてコードする1配列だけ延長されたHLA0201の重鎖についてコードするcDNAを含有する細菌発現プラスミドを使用した(Altman et al(1)に従った構成体)。α3ドメインについてコードするゾーンを、配列番号1;
5’CCTTCCAGAAGTGGGTGGCTGTGGTGGTGCC3’
及び配列番号2;
5’GGCACCACCACAGCCACCCACTTCTGGAAGG3’
の特異的プライマで増幅した。
【0044】
増幅フラグメントの中に、StratageneのQuickchange Site-directed Mutagenesis R キットを使用して、アラニンコドンをバリンコドンに形質転換するための塩基の突然変異を導入した。
【0045】
突然変異を受けたフラグメントを発現プラスミド内に再導入し、突然変異の存在を配列決定によって制御した。
【0046】
突然変異を受けた重鎖HLA−A0201を細菌封入体の形で産生し、まずペプチドを含んだHLA単量体そして次に対応する突然変異を受けた4量体をGarboczi et al(3)によって以前に記述された復元プロトコルに従って獲得することができた。
【0047】
実施例2:未変性HLA−A0201 4量体と異なるペプチドを含んだ突然変異を受けた4量体HLA−A0201との間の免疫螢光標識付けの特異性及び効率の比較研究
a)リンパ球クローンの標識付け
未変性4量体HLA−A0201と突然変異を受けた対応する4量体に、EBVのウイルスのBMLF1タンパク質に由来するペプチドか又はCMVのタンパク質pp65に由来するペプチドを含ませた。
【0048】
実施例1の技術に従って、ただし突然変異無しで、未変性4量体を得る。
【0049】
特異的及び非特異的クローンを標識付けし、増大する濃度で使用した。
【0050】
図1は、未変性HLA−A2/BMLF1 4量体(図1A)及び対応する突然変異を受けた4量体(図1B)で得られた螢光強度(MFI)平均を示す。
【0051】
未変性4量体HLA−A2/BMは、使用される4量体用量と共に増大する非特異的な或る種のクローン上の固定暗騒音を示す、ということがわかる。
【0052】
この暗騒音は、同じく制限されている抗メラン−AクローンHLA−A0201が穏やかな暗騒音を示すのに2つの制限された抗IE 1クローンHLA−A0201が強い暗騒音を示すことから考慮対象のクローンのHLA制限のみに関係するのではなく、含まれるペプチドにも左右されると思われる。
【0053】
突然変異を受けた4量体の場合、特異的クローン(BM/A2)について得られる螢光平均(MFI)は、未変性4量体で得られるものよりも低いが、非特異的クローン上の暗騒音は、使用される4量体の濃度の如何に関わらずほぼゼロである。
【0054】
未変性4量体と突然変異を受けた4量体の間のこの暗騒音の差は、4量体HLA−A2/pp55でも見られることから、4量体A2/BMに特定的なものではないことがわかるだろう。
【0055】
図2では、螢光平均は、突然変異を受けた4量体で得られるわずかな標識付けの暗騒音を視覚化する目的で対数目盛で表示されている。ここで特異的標識付けと非特異的標識付けの間の差異が突然変異を受けた4量体A2/pp65では約2log(10)であったのに対し、未変性4量体では1log にすぎないということがわかる。顕著な2つの例外は、未変性4量体で暗騒音がきわめて低い2つの抗EBVクローンCD4である。この観察事実は、未変性4量体で得られる標識付け暗騒音がCD8に対する4量体の一定の百分率の非特異的固定に起因するものであるとする仮説を強化している。
【0056】
図3では、特異的クローン上でのpp65を含んだ未変性4量体及び突然変異を受けた4量体で得られた標識付けの差が表わされている。突然変異を受けた4量体及び未変性4量体で得られた飽和曲線間の差は、これらのクローン上では突然変異を受けた4量体の場合に比べさらに多数の固定部位が未変性4量体について存在することを示している。従って、未変性4量体の場合、この分子がTリンパ球の表面でTCRの密度をはるかに上回る密度で発現されることからなおさら、一定の原子価が単独のCD8と相互作用する確率がきわめて高い。
【0057】
突然変異を受けた4量体での特異的標識付けが特異的クローンのCD8依存度により有意に(significantly)影響されたか否かをテストするため、その他の実験が実施された。実際、CD8+ Tクローンのうち、いくつかのクローンが、そのTCRとHLAA−ペプチド複合体との間の特異的相互作用を強化するためCD8を強く必要としており、一方その他のクローンにはその必要が無いということは周知の事実である。
【0058】
CD8依存度は、抗CD8抗体を伴う又は伴なわないCouedel et al(4)の細胞毒性試験に従って見積られ、HLA−ペプチド複合体に対するTCRの親和力に反比例するものとみなされる。
【0059】
図4Aには、2つの特異的クローンをもったペプチドBMLF1(10μM)を含んだHLA−A0201系統に対する細胞毒性試験が表わされている。クローンA2.10は、その細胞毒性が抗CD8抗体により撤廃されていることから、CD8依存性が非常に高く、一方クローンA4,5は比較的CD8依存性が低い。
【0060】
表面で発現されたTCRの数を推定するため、突然変異を受けた4量体での標識付け及び抗CD3抗体での標識付けを実施した。結果は、図4B(CD3 標識付け)及び4C(突然変異を受けた4量体 BMFL1/A2の標識付け)に示されている。
【0061】
4量体標識付けとCD3標識付けの比率が2つのクローンについてきわめて似通っていることがわかり、このことはすなわち、突然変異を受けた4量体での標識付けがCD8依存度(ひいては演繹してTCRの親和力)による影響をほとんど受けないということを表わしている。
【0062】
かくして、HLA分子の突然変異によって誘発されるCD8に対する親和力の減少は、4量体の特異的標識付けに有意に影響を及ぼさない。
【0063】
b) ポリクローナル個体群の内部での特異的細胞の検出
ポリクローナル個体群の内部での低い百分率の特異的細胞についての未変性4量体及び突然変異を受けた4量体の検出能力を比較するため、(以下A及びBと呼ぶ)2人のHLA−A0201患者の末梢リンパ球を標識付けした。ここで問題となっているのは、予めその体内でCMVの抗pp65ペプチド応答が立証されている患者である。これらのリンパ球は予めin vitroでポリクローナル増幅させられ凍結されていた。
【0064】
患者A及びBについて得られた結果は、図5に報告されており、図5Aは患者Aに対応し図5Bは患者Bに対応している。これは、20μg/mlのフィコエリトリンでの4量体HLA−A0201/pp65の単純標識付け及び対応する2重標識付け(PEで標識付けされた4量体及びFITCで標識付けされた抗CD8抗体)の結果である。この図は同様に、螢光強度平均(log)をも示している。
【0065】
まず第1に、単純標識付けにおける未変性4量体の弁別能力は、出発個体群の中の特異的細胞の百分率に応じて変動可能である。実際、患者Aについては、5.60%を占める陽性細胞のピークは容易に識別可能であるが、一方患者Bについては、このピークは非特異的標識付けにより汚染され、陽性細胞の百分率の決定を困難にしている。文献と合致して、未変性4量体及び抗CD8の2重標識付けは、暗騒音を減少させ、このとき陽性下位個体群を明確に識別しその百分率を精確に推定すること(このケースでは0.84%)を可能にする。従ってこうして、未変性4量体での陽性細胞の百分率の精確な推定が抗−CD8までの2重標識付けの使用を暗に意味していることが明らかになる。
【0066】
これに対して、突然変異を受けた4量体での単純標識付けは、2人の患者において陽性細胞のピークを明確に識別できるようにする。得られた陽性細胞百分率は、未変性4量体での2重標識付けにおいて得られたものとほぼ同一である。このことは、未変性4量体による検出が可能な全ての特異的細胞が、突然変異を受けた4量体でも検出可能であることを証明しており、従って、CD8依存性のきわめて高い及び非常に低いクローンで得られた結果すなわち突然変異が特異的認識に有意に影響を及ぼさないことに確証を与えている。
【0067】
その上、これらの結果は、突然変異を受けた4量体を用いた2重標識付けが単純標識付けと比べて新しいデータをもたらさないということを示している。最後に、未変性4量体(患者A及びBについて216及び193)を用いた2重標識付けの際に抗CD8抗体で得られた螢光平均が突然変異を受けた4量体(患者A及びBについて366及び370)での2重標識付けで得られたものよりも著しく低いということを指摘することができる。抗−CD8を用いた全個体群の単純標識付けの後に得られる螢光平均は、それぞれ患者A及びBについて340及び355であった。これにより、抗CD8抗体と未変性4量体の間の固定競合が明らかになり、この競合は突然変異を受けた4量体の場合には発生しないものである。
【0068】
従って、突然変異を受けた4量体の使用によって、ポリクローナル個体群の内部での特異的細胞の百分率を推定するために抗CD8での2重標識付け無しですますことが可能となる。
【0069】
実施例3:未変性4量体 HLA−A0201及びペプチドp65を含んだ突然変異を受けた4量体 HLA−A0201で実施された免疫磁気選別の特異性及び効率の比較研究
ビオチニル化されペプチドpp65を含んだ単量体HLA−A0201をストレプトアビジン(Dynabeads M-280 Streptanidin, DYNAL)にカップリングされた磁球上に固定した。該研究において使用されたリンパ球個体群は、リウマチ様多発関節炎を患う患者の滑液又はPBL,又はCMVに対する血清陽性の健康な供与体に由来するPBLに由来するものである。
【0070】
図6には、これらのポリクローナル個体群についての未変性4量体及び突然変異を受けた4量体を用いた単純標識付けの結果が示されている。突然変異を受けた4量体を用いた場合、未変性4量体ではほとんど識別不可能な陽性細胞である2回の採取における低い百分率の陽性細胞(0.22%及び0.14%)を明らかにすることが可能である。
【0071】
これらの個体群を、未変性4量体又は突然変異を受けた4量体を含んだ球で選別し、その後選択された個体群を、増幅された個体群の代表性に影響を及ぼすことのない刺激であるポリクローナル刺激(照射されたPHA,IL2,PBL)によってin vitroで増幅した。
【0072】
この時点で、これらの選別され2つの4量体で増幅された個体群について、標識付けを行なった。
【0073】
図6に表わされているように、未変性4量体での選別に由来する細胞はこの同じ4量体で陽性として標識付けされるものの、逆にこれらの細胞のうち突然変異を受けた4量体で陽性であるものの百分率はきわめて低い(0.7%及び2.88%)。
【0074】
結果は、選別された個体群が2つの突然変異を受けた4量体で強い陽性を示すことから、突然変異を受けた4量体での選別後では顕著に異なっている。
【0075】
突然変異を受けた4量体で得られた陽性細胞での富化係数は採取1については421であり(92.64%対0.22%),採取2については693(97.01%対0.14%)である。
【0076】
これらの結果は、突然変異を受けた4量体を用いて選別を行なうことにより、その個体群が0.1〜0.2%を占める標本から90%以上の割合で純粋な1つの陽性個体群を得ることが可能であるということを示している。
【0077】
この観察事実の一般性は、患者及び健康な供与体の滑液リンパ球及びPBLから未変性4量体及び突然変異を受けた4量体で行なわれた選別の結果を記す以下の表によって例示されている。
【表1】
Figure 0005020452
【0078】
突然変異を受けた4量体を用いて反復的選別を行なうことにより、なお一層頻度の低い下位個体群(表中のPBL5参照)から純粋な特異的個体群を得ることが可能である。反対に、この結果は、未変性4量体を用いて得ることがはるかに困難なものである。実際、未変性4量体での1回目の選別によって分離された非特異的細胞は、その後の選別の際に新たに選択されるのに充分な親和力をもつと思われる。従って、2回目の選別(PBL3及びSFL4参照)を行なうことにより非常に凡庸な富化係数(concentration factor)にたどりつくことになる。
【0079】
もう1つの研究は、突然変異を受けた4量体 A2/pp65を固定するその能力のために選択された細胞が、生理学的状況下で、このHLA−ペプチド複合体に対し充分反応性を有していたことを確認することを目的とする、選別された個体群の反応性に関するものであった。
【0080】
このため、ペプチドpp65を含んだ細胞T(A0201+)の存在下に置いた後、IL2でのレセプタ(CD25)のα鎖の表面における誘発によって明らかにされる、選別されたリンパ球個体群の活性化を研究した。
【0081】
図7が示しているように、未変性4量体を用いて選別された個体群は、ペプチドを含んだ細胞T2との接触の後CD25を発現しない。
【0082】
反対に、突然変異を受けた4量体で選別された細胞の大部分は、ペプチドpp65を含んだT2の存在下で活性化され、CD25での陽性細胞百分率は、突然変異を受けた4量体により標識付けされた細胞の百分率と充分に対応している。(患者1及び2についてそれぞれ活性化された細胞の90.63%対標識付けされた細胞92.64%及び97.20%対97.01%)。
【0083】
これらの結果は、突然変異を受けた4量体で標識付けされ選別された細胞が排他的(独占的)に反応性細胞であり、一方未変性4量体で選別された細胞が非反応性であることを明らかにしている。
【0084】
この個体群の中にいくつかの陽性細胞が識別できたにも拘わらず未変性4量体での選別後は反応性細胞が全くみあたらないという事実は、おそらく機能的試験において検出するにはあまりにも低すぎるこれらの細胞の百分率のせいであると思われる。
【0085】
これらの結果全体は、出発個体群の中での代表性が低い個体群を免疫磁気選別により選択するためには、未変性4量体に比べ突然変異を受けた4量体の方が明らかに優れていることを立証している。
【0086】
出発採取の中で特異的個体群の数がさらに多い場合には、未変性4量体で反応性細胞を分離することが可能となるが、得られる個体群の純度は、突然変異を受けた4量体と並行して得られたものよりもきわめて低いものである(表)。
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【図面の簡単な説明】
【図1】 BMLF1に由来するペプチドを含んだ4量体についての、未変性4量体(1A,2A)及び対応する突然変異を受けた4量体(1B,2B)の濃度に応じた螢光強度(平均)を表わす。
【図2】 pp65に由来するペプチドを含んだ4量体についての、未変性4量体(1A,2A)及び対応する突然変異を受けた4量体(1B,2B)の濃度に応じた螢光強度(平均)を表わす。
【図3】 特異的クローンを用いた、未変性4量体と突然変異を受けた4量体濃度に応じた螢光強度平均を示す。
【図4】 図4Aは、ペプチドBMLF1を含んだB系統HLA−A0201の2つの特異的クローンの抗CD8抗体を伴う又は伴わない溶解百分率を表わし、図4B及び4Cは、これらのクローンの標識付けの結果を表わす。
【図5】 2人の患者のリンパ球を用いた、未変性4量体及び突然変異を受けた4量体の単純(フィコエリトリン、PEでの)標識付け及び2重(PE及び標識付け済み抗CD8抗体)標識付けの結果を表わす。
【図6】 未変性4量体及び突然変異を受けた4量体を用いて実施された免疫磁気選別の結果を示す。
【図7】 未変性4量体及び突然変異を受けた4量体を用いて実施された免疫磁気選別の結果を示す。

Claims (8)

  1. MHCクラスIモノマー量体複合体であって、該MHCクラスIモノマーは、α3ドメイン内においてMHCクラスIモノマーがTリンパ球のコレセプタCD8と相互作用するゾーンの位置245にバリン残基へのアラニン残基の突然変異を有し、Tリンパ球のコレセプタCD8に対する前記量体複合体の親和力は、対応する未変性量体複合体の親和力と比べて減少している、量体複合体。
  2. MHCクラスIモノマーは、MHC結合ペプチドとの複合体の形態にあることを特徴とする請求項1に記載の量体複合体。
  3. ペプチド特異的CD8+ Tリンパ球個体群を検出および/または分離するための、請求項1または2の量体複合体の使用。
  4. 細胞選別方法における、請求項3による量体複合体の使用。
  5. 細胞選別方法は、免疫磁気選別法である、請求項4による量体複合体の使用。
  6. ポリクローナル個体群からペプチド特異的CD8+ Tリンパ球個体群を検出する方法において、
    MHCクラスIモノマー/ペプチドの複合体と前記複合体に対する親和力を有するTリンパ球レセプタとの間の相互作用を可能にする条件下で、請求項1または2の量体複合体とポリクローナル個体群とを接触させる段階、および
    前記複合体に対する親和力を有するTリンパ球を検出して、ペプチド特異的CD8+個体群を検出する段階
    を含んで成ることを特徴とする方法。
  7. MHCクラスIモノマー/ペプチド複合体は、蛍光化合物を含み、検出段階は、前記蛍光複合体の蛍光を検出することを含む、請求項6の方法。
  8. ポリクローナル個体群からペプチド特異的CD8+ Tリンパ球個体群を分離する方法において、
    MHCクラスIモノマー/ペプチド複合体と前記複合体に対する親和力を有するTリンパ球レセプタとの間で相互作用を可能にする条件下に、請求項1または2の量体複合体が固定されている磁球とポリクローナル個体群とを接触させる段階、および
    固定されたTリンパ球を回収し、ペプチド特異的CD8+個体群を分離する段階
    を含んで成ることを特徴とする方法。
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