JP5032105B2 - 量子情報通信装置、方法およびプログラム - Google Patents

量子情報通信装置、方法およびプログラム Download PDF

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本発明は、多者間で量子情報中継を利用して長距離の量子情報通信を行う量子情報通信装置、方法およびプログラムに関する。
強力な暗号プリミティブとして提案されている量子鍵配送において、安全性を保証するためには、送信する信号の強度を十分に小さくしておく必要がある。信号強度が微弱であることには高い安全性を確保することができる一方、短い通信距離で量子状態が減衰するという問題がある。また、量子状態としての信号は、正確な観測基底を知らない場合には、複製できないという特徴も有しているため、一度、信号を読み取って新たに信号を生成することによって、信号の減衰を回復することができず、量子状態としての信号を増幅することは非常に困難となっている。このため、量子情報中継の技術が提案されている。
量子情報中継は、量子状態としての信号を遠隔地まで高い忠実度で送信する技術であり、エンタングルメントスワッピング(ES:entanglement Swapping)によって互いにもつれ合った光子対であるEPR対の長さを伸張し、エンタングルメント純粋化プロトコル(EPP:Entanglement Purification Protocol)によって忠実度を回復するという2つの操作を繰り返すことによって、EPR対の長さを徐々に伸張していきつつ、忠実度を確保する技術である。ここで、忠実度とは、減衰後の量子状態が減衰前の量子状態にどの程度近いかを示す指標である。
より具体的には、量子情報中継プロトコルは以下の手順で進行する。まず、各中継地点において、EPR対を発生させて、EPR対の一方の光子を隣接する中継地点に送信する。これにより、隣り合った中継地点の間でEPR対が共有される。この後、ESによりEPR対をつなぎ合わせる。隣接する地点間でのEPR対の共有やES操作の際に忠実度が低下するが、このように低下した忠実度をEPPにより向上させる。そして、送信者と受信者との間でEPR対が共有されるまでES及びEPPを繰り返し実行する。このようにしてEPR対は送信者と受信者との間で共有され、量子状態としての信号を遠隔地まで高い忠実度で送信することができる(例えば、非特許文献1参照)。
H.J. Briegel et.al. Quantum repeaters:The role of imperfect local operations in quantum communication.Phys.Rev.Lett.,Vol.81,No.26,pp.5932, 1998.
しかしながら、このような量子情報中継を利用した量子通信技術では、次のような問題点がある。
多数のノードが接続されたネットワークシステムにおいて、全てのノードが古典通信ネットワークで接続され、古典通信経路が形成されている場合でも、一部のノード間では、量子通信ネットワークが構築されておらず、量子通信経路が形成されていない場合がある。このため、量子通信経路による経路と古典通信経路による経路とが異なる場合がある。
このため、量子中継器を有するノードにおいては、ノード間の古典通信経路による経路を登録した古典通信経路テーブルと、ノード間の量子通信経路による経路を登録した量子通信経路テーブルとを別個に保持している。そして、送信ノードから受信ノードまで量子情報を通信する場合、古典通信経路テーブルを利用した古典通信経路による経路探索と量子通信経路テーブルを利用した量子通信経路による経路探索との両方を行っている。
このような2つの経路探索は、ノードの量子情報通信装置における負荷を増大するものとなっている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、量子情報通信において、経路探索の負荷を軽減することができる量子情報通信装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、量子通信ネットワークと古典通信ネットワークとに接続された量子情報通信装置であって、前記量子通信ネットワークに接続されたノード間の量子通信による経路を示す量子通信経路を登録した量子通信経路テーブルと、前記古典通信ネットワークに接続されたノード間の古典通信による経路を示す古典通信経路と当該古典通信経路のノード間の前記量子通信経路の相関関係とを対応付けた古典通信経路テーブルとを記憶する記憶手段と、送信ノードのネットワークアドレスと受信ノードのネットワークアドレスとに基づいて、前記古典通信経路テーブルから前記送信ノードと前記受信ノードとの間に存在する所定のノード間の前記古典通信経路を検索し、検索された前記古典通信経路に対応する前記相関関係に基づいて前記所定のノード間の前記量子通信経路を決定する経路決定手段と、検索された前記古典通信経路または決定された前記量子通信経路に従って、光子の量子情報通信を行う通信手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記量子情報通信装置で実行される方法およびプログラムである。
本発明によれば、量子情報通信において、経路探索の負荷を軽減することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、通信経路の状況に応じて最適な経路探索を行うことができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる量子情報通信装置、方法およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明にかかる量子情報通信装置、方法およびプログラムを、送信ノードから受信ノードまでの古典通信経路または量子通信経路に設けられ、量子鍵配送等、送信ノードから受信ノードへの光子の量子情報通信の際に、もつれ合った光子対であるEPR対を他のノードと共有し、EPR対の各光子間の距離を伸張する量子中継を行う量子情報中継装置に適用したものである。
図1は、実施の形態1にかかる量子情報通信システムのネットワーク構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる量子情報通信システムは、複数の量子情報中継装置100が光ファーバー140で接続された構成となっている。かかる光ファイバー140によって構成されるネットワークは、古典通信経路と量子通信経路の双方で構成されている。
量子情報中継装置100は、送信ノードから受信ノードまでの量子通信経路に設けられ、送信ノードから受信ノードへの光子の量子情報通信を中継するものである。ここで、本実施の形態では、量子情報中継装置100自体が送信ノードおよび受信ノードとなる構成となっている。また、量子通信経路は、量子情報中継装置100が存在する経路である。
量子情報中継装置100は、図1に示すように、制御用古典計算機110と中継器120とを備えている。制御用古典計算機110は、CPUやメモリ、キーボード、マウス、ハードディスクドライブ装置(HDD)等を備えた通常のコンピュータの構成となっている。
図2は、実施の形態1にかかる制御用古典計算機110と中継器120の機能的構成を示すブロック図である。
まず、制御用古典計算機110について説明する。制御用古典計算機110は、図2に示すように、古典経路検索部136と、量子経路決定部132と、通信部135と、古典通信経路テーブル133と、量子通信経路テーブル134とを主に備えている。
古典通信経路テーブル133は、古典通信ネットワークに接続された各ノード間の古典通信による最短経路を示す古典通信経路と古典通信経路の各ノード間の量子通信経路の相関関係とを対応付けたテーブルである。ここで、本実施の形態において、相関関係として、古典通信経路と同一経路の量子通信経路の存在の有無を示す量子通信経路存在フラグをノードのIPアドレスに対応づけて保持している。量子通信経路存在フラグは、「1」の場合に、古典通信経路と同一経路の前記量子通信経路が存在する旨を示し、「0」の場合に、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在しない旨を示す。
量子通信経路テーブル134は、量子通信ネットワークに接続されたノード間の量子通信による最短経路を示す量子通信経路をノードのIPアドレスごとに登録したテーブルである。古典通信経路テーブル133と量子通信経路テーブル134は、ハードディスクドライブ装置(HDD)やメモリ等の記憶媒体に格納されている。
ここで、送信ノードおよび受信ノードのIPアドレスのデータ形式について説明する。図3−1は、送信ノードおよび受信ノードのIPアドレスのデータ形式の一例を示すデータ構造図である。図3−1に示すように、IPアドレスは複数のセグメントから構成されている。
このセグメントは、ネットワーク内の集合の階層を示すものである。例えば、IPアドレスのn個のセグメントのうち、最初のm1個を第1階層の指定に用い、次のm2個を第2階層の決定に用いるように構成することができる。同様にして第i階層の決定にはm1+…+m(i−1)+1個目のセグメントからm1+…+mi個目のセグメントまでを用いるように構成することができる。
図3−2は、IPアドレスが2個のセグメントから構成される場合の例を示す模式図である。図3−2の例では、上位のセグメントから順に、第1階層である「組織」、第2階層である「当事者」の各階層で使用されるように構成される。
本実施の形態では、一例として、図3−2に示す2個のセグメントから構成されるIPアドレスを用いるものとする。また、本実施の形態では、組織のネットワークとして「アルファ社」、「ベータ社」の各ネットワークが接続されており、各ネットワーク内に当事者のノードが接続され、ノード間の一部で量子通信経路と古典通信経路とが一致しない場合を例にあげて説明する。
図4は、「アルファ社」、「ベータ社」のネットワーク構成および量子通信経路と古典通信経路の一例を示す模式図である。図4では、実線が量子通信経路を示し、点線が古典通信経路を示している。各量子通信経路および各古典通信経路には、経路を識別するための経路番号を付して示している。隣接ノード間の経路は、図4に示すように、01〜18までの経路番号をとるが、複数のノードに跨いだ経路として、経路19〜33が設けられている。このような経路の経路番号は、次のように定義される。
経路19=01−02
経路20=03−04
経路21=05−06
経路22=07−08
経路23=09−10
経路24=11−12
経路25=13−14
経路26=15−16
経路27=19−20
経路28=21−22
経路29=23−24
経路30=25−26
経路31=28−29
経路32=27−28−29−30
経路33=17−31−18
ここで、「n−m」は、経路nと経路mからなる経路を示している。
アルファ社のネットワークは、組織の階層のアドレスとして「001」が割り当てられており、図4に示すように、アルファ社のネットワークを管理するセンタノードEの量子情報中継装置と、各ノードA,B,C,D,T,U等の量子情報中継装置が接続されている。ここで、センタノードEのIPアドレスは「001.001」、ノードAのIPアドレスは「001.002」、ノードDのIPアドレスは「001.003」である。また、図4に示すように、ノードA−T,T−F,F−U,U−E間等では、量子通信経路と古典通信経路とが一致しているが、A−E、A−B,B−C,E−D、C−D間では古典通信経路のみ存在している。従って、ノードAからノードEまでの経路としては、古典通信経路と量子通信経路が異なることになる。
すなわち、ノードAからノードEまでの古典通信経路は、経路17であるが、量子通信経路は、経路27(=19−20=01−02−03−04)となる。
ベータ社のネットワークは、組織の階層のアドレスとして「002」が割り当てられており、図4に示すように、ベータ社のネットワークを管理するセンタノードHの量子情報中継装置と、各ノードG,I,J,K,L,V,W等の量子情報中継装置が接続されている。ここで、センタノードHのIPアドレスは「002.001」、ノードGのIPアドレスは「002.002」、ノードIのIPアドレスは「002.003」である。また、図4に示すように、ノードH−W,W−L,G−V,G−L間等では、量子通信経路と古典通信経路とが一致しているが、G−H,H−I,I−J,J−K,K−G間では古典通信経路のみ存在している。
そして、このアルファ社のネットワークとベータ社のネットワークは、量子通信経路と古典通信経路の双方で接続されており、センタノードE−H間に、ノードM,N,O,P,Q,R,Sの量子情報中継装置が接続されている。
センタノードE,Hの量子情報中継装置100は、IPアドレスの第1階層である組織の経路を決定するため、第1階層の古典通信経路テーブル133と第1階層の量子通信経路テーブル134を保持している。
図5は、センタノードE,Hが保持する第1階層(組織)の古典通信経路テーブルの一例を示す説明図であり、図6は、センタノードE,Hが保持する第1階層(組織)の量子通信経路テーブルの一例を示す説明図である。
第1階層の古典通信経路テーブル133は、送信者アドレスとして送信ノードのIPアドレスの第1階層のアドレスと、受信者アドレスとして受信ノードのIPアドレスの第1階層のアドレスと、両アドレスのノード間の古典通信経路の経路番号と、量子通信経路存在フラグとを対応付けている。量子通信経路存在フラグは、送信者アドレスと受信者アドレスのノード間の古典通信経路と同一経路、すなわち同一の経路番号の経路が量子通信経路として存在するか否かを示すフラグである。
第1階層の量子通信経路テーブル134は、送信者アドレスとして送信ノードのIPアドレスの第1階層のアドレスと、受信者アドレスとして受信ノードのIPアドレスの第1階層のアドレスと、両アドレスのノード間の量子通信経路の経路番号とを対応付けている。
ここで、図6の量子通信経路テーブル134において、送信者アドレス(第1階層)「001」、受信者アドレス(第1階層)「002」の量子通信経路は「31」となっており、図5の古典通信経路テーブル133において、送信者アドレス(第1階層)「001」、受信者アドレス(第1階層)「002」の量子通信経路は「31」となっている。すなわち、送信者アドレス(第1階層)「001」、受信者アドレス(第1階層)「002」のノード間の古典通信経路と量子通信経路は同一経路となっている。このため、古典通信経路テーブル133において、送信者アドレス「001」、受信者アドレス「002」に対応する量子通信経路存在フラグは「1」となっている。
これを図4のネットワーク構成と照らし合わせてみると、送信者アドレス(第1階層)「001」と受信者アドレス(第1階層)「002」のノード間は、アルファ社のセンタノードEからベータ社のセンタノードHである。ノードEとノードH間の経路は、E−M,M−N,N−O,O−P,P−Q,Q−R,R−S,S−Hであり、これらの全ての経路において古典通信経路と量子通信経路が存在し、それぞれ経路は「05−06−07−08−09−10−11−12」である。上述の経路19〜33の定義を参照すると、次式のようになり、ノードEとノードH間の古典通信経路および量子通信経路は「31」となる。
05−06−07−08−09−10−11−12=21−22−23−24
=28−29=31
従って、図5の古典通信経路テーブル133には、送信者アドレス「001」、受信者アドレス「002」に対応する量子通信経路として「31」、量子通信経路存在フラグ「1」が登録されている。また、図6の量子通信経路テーブル134には、送信者アドレス「001」、受信者アドレス「002」に対応する量子通信経路として「31」が登録されている。
また、アルファ社のネットワーク内の各ノード(ノードA,B,C,D,F,T,U,センタノードE)の量子情報中継装置100は、IPアドレスの第1階層「001」下で第2階層である当事者の経路を決定するため、第2階層の古典通信経路テーブル133と第2階層の量子通信経路テーブル134を保持している。
図7は、アルファ社のネットワーク内の各ノードが保持する第2階層(当事者)の古典通信経路テーブルの一例を示す説明図であり、図8は、アルファ社のネットワーク内の各ノードが保持する第2階層(当事者)の量子通信経路テーブルの一例を示す説明図である。
第2階層の古典通信経路テーブル133は、当事者アドレスとしてIPアドレスの第2階層のアドレスと、センタノードEと当事者アドレスのノードの間の古典通信経路の経路番号と、量子通信経路存在フラグとを対応付けている。量子通信経路存在フラグは、センタノードEと当事者アドレスのノードの間の古典通信経路と同一経路が量子通信経路として存在するか否かを示すフラグである。
第2階層の量子通信経路テーブル134は、当事者アドレスとしてIPアドレスの第2階層のアドレスと、センタノードEと当事者アドレスのノードの間の量子通信経路の経路番号とを対応付けている。
ここで、図8の量子通信経路テーブル134において、当事者アドレス「003」(第2階層)とセンタノードE「001」(第2階層)のノードの間の量子通信経路は「63」である。また、図7の古典通信経路テーブル133において、当事者アドレス「003」(第2階層)とセンタノードE「001」(第2階層)のノード間の量子通信経路も「63」であり、古典通信経路と量子通信経路は同一経路となっている。このため、古典通信経路テーブル133において、当事者アドレス「003」に対応する量子通信経路存在フラグは「1」となっている。
一方、図8の量子通信経路テーブル134において、当事者アドレス「002」(第2階層)とセンタノードE「001」(第2階層)のノードの間の量子通信経路は「27」である。また、図7の古典通信経路テーブル133において、当事者アドレス「002」(第2階層)とセンタノードE「001」(第2階層)のノード間の量子通信経路は「17」であり、量子通信経路と古典通信経路は異なる経路となっている。このため、古典通信経路テーブル133において、当事者アドレス「002」に対応する量子通信経路存在フラグは「0」となっている。
図4のネットワーク構成と照らし合わせてみると、当事者アドレス(第2階層)「002」とセンタノードE(第2階層)「001」のノード間は、ノードAからノードEである。ノードAとセンタノードE間における最短の古典通信経路はA−Eであり、経路「17」に相当する。
一方、A−E間には量子通信経路は存在せず、ノードAとセンタノードE間における最短の量子通信経路はA−T,T−F,F−U,U−Eであり、経路「01−02−03−04」である。上述の経路19〜33の定義を参照すると、次式のようになり、ノードAとセンタノードE間の量子通信経路は「27」となる。
01−02−03−04=19−20=27
従って、図7の古典通信経路テーブル133には、当事者アドレス「002」に対応する古典通信経路として「17」、量子通信経路存在フラグ「0」が登録されている。また、図8の量子通信経路テーブル134には、当事者アドレス「002」に対応する量子通信経路として「27」が登録されている。
また、ベータ社のネットワーク内の各ノード(G,I,J,K,L,V,W,センタノードH)の量子情報中継装置100は、IPアドレスの第1階層「002」下で第2階層である当事者の経路を決定するため、第2階層の古典通信経路テーブル133と第2階層の量子通信経路テーブル134を保持している。
図9は、ベータ社のネットワーク内の各ノードが保持する第2階層(当事者)の古典通信経路テーブルの一例を示す説明図であり、図10は、ベータ社のネットワーク内の各ノードが保持する第2階層(当事者)の量子通信経路テーブルの一例を示す説明図である。
第2階層の古典通信経路テーブル133は、当事者アドレスとしてIPアドレスの第2階層のアドレスと、センタノードHと当事者アドレスのノードの間の古典通信経路の経路番号と、量子通信経路存在フラグとを対応付けている。量子通信経路存在フラグは、センタノードHと当事者アドレスのノードの間の古典通信経路と同一経路が量子通信経路として存在するか否かを示すフラグである。
第2階層の量子通信経路テーブル134は、当事者アドレスとしてIPアドレスの第2階層のアドレスと、センタノードHと当事者アドレスのノードの間の量子通信経路の経路番号とを対応付けている。図9,10の当事者アドレス「002」、「003」の例では、量子通信経路と古典通信経路が同一経路でないため、量子通信経路存在フラグがすべて「0」となっている。
このように、ネットワーク内部の各ノード間には、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在しない場合がある。このため、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在しない場合を考慮すると、古典通信経路の探索と量子通信経路の探索の両方を実行する必要がある。
しかしながら、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する場合には、古典通信経路の探索のみを実行し、量子通信経路については探索を実行せず、探索された古典通信経路を量子通信経路として決定すれば、経路探索処理の負荷を軽減することができる。
そこで、本実施の形態では、古典通信経路テーブル133に同一経路の量子通信経路が存在するか否かを示す量子通信経路存在フラグを設けている。そして、量子経路決定部132により、かかるフラグを参照して、古典経路検索部136により検索された古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する場合(量子通信経路存在フラグ=「1」の場合)には、量子通信経路の検索を行わずに、古典経路検索部136により検索された古典通信経路を量子通信経路と決定し、経路探索処理の負荷を軽減している。
図2に戻り、通信部135は、送信ノードのIPアドレス、受信ノードのIPアドレス、古典通信経路や量子通信経路を他のノードに送信したり、他のノードから受信する処理部である。
古典経路検索部136は、利用者により指定された送信ノードのIPアドレスと受信ノードのIPアドレスから、古典通信経路テーブル133から送信ノードと受信ノードとの間に存在する所定のノード間の古典通信経路を検索する処理部である。
具体的には、古典経路検索部136は、指定された送信ノードのIPアドレスと受信ノードのIPアドレスの第1階層から第n階層の一部のアドレスをキーにして、古典通信経路テーブル133から送信ノードと受信ノードとの間に存在する所定のノード間の古典通信経路を検索し、検索された古典通信経路を所定のノード間の古典通信経路として決定する。
IPアドレスが図3に示す2階層のデータ構造で、図4に示すネットワーク構成の例において、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ量子情報送信を行う場合を考える。この場合、アルファ社の各ノードの量子情報中継装置100では、自分が送信ノードとなる場合に、自分のIPアドレスの第2階層(当事者)のアドレスからセンタノードEの第2階層のアドレスまでの古典通信経路を決定する必要がある。このため、古典経路検索部136によって、自己の送信者アドレスの第2階層のアドレスをキーにして図7に示す古典通信経路テーブル133から古典通信経路を検索する。また、送信ノードの量子情報中継装置100の通信部135は、送信者アドレスと受信者アドレスをセンタノードEに送信する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、ベータ社のネットワークの送信ノードとなる量子情報中継装置100において、図9に示す古典通信経路テーブル133を参照して自己のノードからセンタノードHまでの第2階層の古典通信経路の検索が古典経路検索部136によって同様に行われる。
また、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合、センタノードEの量子情報中継装置100は、送信者アドレスの第1階層のアドレスから受信者アドレスの第1階層のアドレスまでの経路決定を行う必要がある。このため、センタノードEの量子情報中継装置100では、古典経路検索部136によって、アルファ社のネットワーク内の送信ノードから受信した送信者アドレス(IPアドレス)と宛先である受信ノードの受信アドレス(IPアドレス)の第1階層の各アドレスをキーにして、図5に示す古典通信経路テーブル133から古典通信経路を検索する。また、センタノードEの量子情報中継装置100の通信部135は、受信者アドレスをセンタノードHに送信する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、ベータ社のネットワークのセンタノードHとなる量子情報中継装置100において、古典経路検索部136によって、図5に示す古典通信経路テーブル133を参照して自己のノードからセンタノードEまでの第1階層の古典通信経路の検索が同様に行われる。
また、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合、ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100では、センタノードHから受信者アドレスのノードまでの第2階層(当事者)の経路決定を行う必要がある。このため、ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100では、古典経路検索部136によって、センタノードEから受信した受信者アドレスの第2階層のアドレスをキーにして図9に示す古典通信経路テーブル133から受信者アドレスのノードまでの古典通信経路を検索する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、アルファ社のネットワークのセンタノードEとなる量子情報中継装置100において、古典経路検索部136によって、図7に示す古典通信経路テーブル133を参照してセンタノードEから受信者ノードまでの第2階層の古典通信経路の検索が同様に行われる。
量子経路決定部132は、古典経路検索部136によって検索された古典通信経路に対応する相関関係に基づいて所定のノード間の量子通信経路を決定する処理部である。具体的には、量子経路決定部132は、古典経路検索部136によって検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグが古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する旨を示す「1」である場合には、量子通信経路の検索を行わずに、検索された古典通信経路を前定のノード間の量子通信経路として決定する。
一方、量子経路決定部132は、古典経路検索部136によって検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグが古典通信経路と同一経路である量子通信経路が存在しない旨を示す「0」である場合には、量子通信経路テーブル134から、所定のノード間の量子通信経路を検索し、検索された量子通信経路を所定のノード間の量子通信経路として決定する。
IPアドレスが図3に示す2階層のデータ構造で、図4に示すネットワーク構成の例において、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ量子情報送信を行う場合、アルファ社の各ノードの量子情報中継装置100では、自分が送信ノードとなる場合に、自分のIPアドレスの第2階層(当事者)のアドレスからセンタノードEの第2階層のアドレスまでの量子通信経路を決定する必要がある。このため、アルファ社の各ノードの量子情報中継装置100では、量子経路決定部132によって、古典通信経路テーブル133の検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグを調べ、フラグの値によって検索された古典通信経路を量子通信経路として決定したり、自己の送信者アドレスをキーにして図8に示す量子通信経路テーブル134から量子通信経路を検索する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、ベータ社のネットワークの送信ノードとなる量子情報中継装置100において、量子経路決定部132によって、図9に示す古典通信経路テーブル133と図10に示す量子通信経路テーブル133を参照して自己のノードからセンタノードHまでの第2階層の量子通信経路の決定が同様に行われる。
また、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合、センタノードEの量子情報中継装置100は、送信者アドレスの第1階層のアドレスから受信者アドレスの第1階層のアドレスまでの経路決定を行う必要がある。このため、センタノードEの量子情報中継装置100では、量子経路決定部132によって、古典通信経路テーブル133の検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグを調べ、フラグの値によって検索された古典通信経路を量子通信経路として決定したり、アルファ社のネットワーク内の送信ノードから受信した送信者アドレスと宛先である受信ノードの受信アドレスの第1階層の各アドレスをキーにして、図6に示す量子通信経路テーブル134から量子通信経路を検索する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、ベータ社のネットワークのセンタノードHとなる量子情報中継装置100において、量子経路決定部132によって、図5に示す古典通信経路テーブル133と図6に示す量子通信経路テーブル133を参照して自己のノードからセンタノードEまでの第1階層の量子通信経路の決定が同様に行われる。
また、アルファ社のネットワーク内のノードからベータ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合、ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100では、センタノードHから受信者アドレスのノードまでの第2階層(当事者)の量子通信経路の決定を行う必要がある。このため、ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100では、量子経路決定部132によって、古典通信経路テーブル133の検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグを調べ、フラグの値によって検索された古典通信経路を量子通信経路として決定したり、センタノードEから受信した受信者アドレスの第2階層のアドレスをキーにして図10に示す量子通信経路テーブル134から量子通信経路を検索する。
なお、ベータ社のネットワーク内のノードからアルファ社のネットワーク内のノードへ送信を行う場合には、アルファ社のネットワークのセンタノードEとなる量子情報中継装置100において、量子経路決定部132によって、図5に示す古典通信経路テーブル133と図6に示す量子通信経路テーブル133を参照してセンタノードEから受信者ノードまでの第2階層の量子通信経路の決定が同様に行われる。
次に、図2に戻り、中継器120について説明する。中継器120は、図2に示すように、EPR対生成ユニット121と、光子入力ユニット122と、光子−固体EIT間変換ユニットと、光子−固体EIT量子計算機124と、光子送信ユニット126とを主に備えている。
EPR対生成ユニット121は、EPR対を生成するものであり、光子対を発生するデバイスを用いることができる。ここで、EPR対とは、もつれあった光子対である。2つの光子のもつれ合いの度合いが最も大きいのは2光子がベル状態の場合である。ベル状態とは、次の(1)〜(4)式で表される4つの状態である。なお、ベル状態を基底として2光子に対して行う観測をベル合同測定という。
Figure 0005032105
ここで、|0>は光子の偏光が0度の状態であり、|1>は光子の偏光が90度の状態である。また、(1/√2)(|0>+|1>)は光子の偏光が45度の状態であり、(1/√2)(|0>−|1>)は光子の偏光が135度の状態である。
光子対を発生するデバイスの詳細については、技術文献「R.M. Stevenson, R.J. Young, P. Atkinson, K. Cooper, D.A. Ritchie, and A.J. Shields. A semiconductor wource of triggered entangled photon pairs. Nature, Vol. 439, pp. 179−182, 2006.」に記載されている。
光子送信ユニット126(通信手段)は、生成されたEPR対の一方の光子を隣接するノードの量子情報中継装置100に送信するものである。
光子入力ユニット122は、EPR対の一方の光子を隣接するノードの量子情報中継装置100から受信するものである。
光子−固体EIT間変換ユニット123は、受信した光子の量子状態および生成したEPR対の光子の量子状態を、原子核スピンの量子状態、具体的には、酸化物結晶(Y2SiO5)中に分散させた希土類イオン(Pr3+)の核スピンの量子状態に置き換えて、光子−固体EIT量子計算機124に出力するものである。
光子−固体EIT量子計算機124は、原子核スピンの量子状態で置換された光子の量子状態に対して、固体EIT(Electromagneticlly indused transparency:電磁波誘起透明化)現象を使用して、量子計算を行う計算機である。ここで、固体EIT現象とは、3つのエネルギー準位に2つの光を作用させることで誘起される現象である。作用させる光の片方、あるいは両方に対し、もともと不透明であるはずの物質が、透明になり、その際、3つのエネルギー準位のうち2つが量子力学的な重ね合わせの状態になる現象である。光子−固体EIT量子計算機の詳細については、技術文献「K. Ichimura. A simple frequency-domain quantum computer with ions in a crystal coupled to acavity mode. Optics communications,196,pp.119-125, 2001.」および「H. Goto and K. Ichimura. Multiqubit controlled unitary gate by adiabatic passage with an optical cavity. Phys. Rev. A, Vol. 70, p. 012305, 2004.」に記載されている。
本実施の形態では、光子−固体EIT量子計算機124は、エンタングルメント交換処理やエンタングルメント純粋化プロトコル処理を行っている。光子−固体EIT量子計算機124は、図2に示すように、制御部301と、エンタングルメント交換実行部302(以下、「ES実行部302」という)と、エンタングルメント純粋化プロトコル実行部303(以下、「EPP実行部303」という)と、量子メモリ125とを主に備えている。
ES実行部302は、隣接するノードの量子情報中継装置との間で、EPR対を共有するエンタングルメント交換処理(以下、「ES処理」という)を実行するものである。ES処理は、複数のEPR対について、対のパートナーの光子(粒子)を交換する処理である。
EPP実行部303は、エンタングルメント交換処理によって共有したEPR対の共有先のノードの量子情報中継装置との間で、EPR対の忠実度を回復するためのエンタングルメント純粋化プロトコル処理(以下、「EPP処理」)を実行するものである。EPP処理は、忠実度の低い複数のEPR対から忠実度の高いEPR対を生成するプロトコルである。ES処理とEPP処理は、量子情報中継の処理で実行される。
量子メモリ125は、キュービットで構成され、EPR対の一方の光子を隣接ノードと共有する際に、光子を一時的に保存する記憶媒体である。
ここで、エンタングルメント純粋化プロトコルには種種のバリエーションがあり、詳細については、技術文献「C.H. Bennett et.al. Purification of noisy entanglement and faithful teleportation via noisy entanglement.Phys.Rev.Lett.,Vol.76,No.5,pp.722, 1996.」、「R. Matsumoto. Conversion of a general quantum stabilizer code to an entanglement distillation protocol. uant-ph/0209091, 2002.」、「P.W. Shor and J. Preskill. Simple proof of security of the bb84 quantum key distribution protocol. e-print,quant-ph/0003004, 2000.」に記載されている。
制御部301は、送信者から受信者までの経路が決定された後、送信ノードから受信ノードまでの経路中の自己のノードの位置により、センタノードの量子情報中継装置100によって決定された役割(ES処理やEPP処理の実行の際の古典通信経路、ES処理やEPP処理の実行回数、ES処理やEPP処理の実行タイミング等)に従って、ES処理およびEPP処理の制御を行うものである。
ここで、一般化量子中継プロトコルについて説明する。一般化量子中継プロトコルは、量子状態配送ステップとEPR対の長さの伸長ステップからなっている。量子状態配送ステップは、もつれ合った光子対を短距離で共有するステップである。EPR対の長さの伸長ステップは、長さの短い粒子対の長さを伸長するステップであって、量子状態の通信路による伝送は行わずに、古典情報の通信路による伝送のみを行うものである。
本実施の形態では、さらに、一般化量子中継を構成する量子状態配送ステップ及びEPR対の長さの伸長ステップの中で、EPR対の長さの伸長ステップを複数の段階に分けたときに、最終段階において使用される古典通信経路がそれ以前の段階において使用される古典通信経路のうちのいずれか1つ以上と異なるように経路選択を行っている。かかる経路選択については、後述するEPP処理およびES処理において詳細に説明する。
また、ES処理およびEPP処理を利用した量子情報中継の処理について説明する。Lを1回のES処理で同時に連結する光子対の個数とする。このとき、N=Lnとする。送信者Aと受信者Bとを結ぶ光ファイバーには、N−1個の量子情報中継装置C1、C2、・・・CN-1が接続されているものとする。かかる量子情報中継装置100には、光子を保存しておくための量子メモリ125と、1キュービット演算量子回路と2キュービット演算量子回路が設置されているものとする。
まず、隣接するノードの量子情報中継装置100間でEPR対を共有する。具体的には、各量子情報中継装置100でEPR対を生成し、EPR対の一方の光子を隣接するノードの2つの量子情報中継装置100の中で受信者Bの方向にある量子情報中継装置100に対して送信する。
そして、第1段階のES処理として、L個のEPR対を以下のように連結する。
量子情報中継装置CL、C2L、・・・CN-Lを除く全ての量子情報中継装置100でES処理を行い、EPR対を連結する。その結果、長さLのペアがN/L個生成され、A&CL、CL&C2L・・・間で共有される。
このES処理の操作によりEPR対の忠実度が低下するが、この値がEPP処理によって回復可能な忠実度の下限よりも大きければEPP処理を実行することにより忠実度を回復させることができる。このため、第1段階のEPP処理を行って、忠実度を回復する。
次に、第2段階のES処理として、生成された長さL倍のEPR対をさらにL個連結する。
kL(k=1,2,・・・)を満たす量子情報中継装置100であって、量子情報中継装置CL2、C2L2、・・・CN-L2を除く全ての量子情報中継装置100でES処理によって、EPR対を連結する。その結果、長さL2のEPR対がN/L2個生成され、A&CL2、CL&C2L2・・・間で共有される。次いで、第2段階のEPP処理を実行してEPR対の忠実度を回復する。
このようにして、ES処理とEPP処理を交互にn段階繰り返すことによって、送信ノードAと受信ノードB間で忠実度の高いEPR対が共有される。このため、距離が増加しても共有されるEPR対の忠実度を一定に保つことができる。図11は、N=4の場合におけるES処理およびEPP処理によるEPR対の状態を示している。ここで、図11および以降に示す図12〜16の各図において、実線で結線されている2つの光子は、互いにもつれあっていることを示している。
ここで、ES処理について詳述する。図12は、ES処理を説明するための模式図である。図12に示すように、例えば、光子1と光子2からなるEPR対及び光子3と光子4からなるEPR対にES処理を施すことによって、光子1と光子4からなるEPR対及び光子2と光子3からなるEPR対に変換される。ここで、送信者Aと受信者Bとの間に2つの量子情報中継装置C1,C2が存在する場合を考えると、A−C1間で共有されているEPR対とC1−B間で共有されているEPR対とを結び付けるES処理は以下のように実行される。
まず、AとC1で共有されているもつれ合った光子対のうちC1にある光子、及びC1とBで共有されているEPR対のうちC1にある光子に対してベル合同測定を行う。次に、ベル合同測定の結果を、光子送信ユニット126を介して古典通信を用いてA及びBに送信する。そして、A及びBで測定結果に対応する演算を施す。
次に、EPP処理の詳細について説明する。例えば、送信者Aと受信者Bとの間で共有されているEPR対に対してEPP処理を行う場合を考える。図13は、EPP処理を説明するための模式図である。ここで、図13に示すように、送信者Aと受信者Bとの間で2対のEPR対が共有されているとする。
A、Bともに、自己の2光子にランダムバイラテラル変換を施す。そして、A、B間で共有されている2対のEPR対に関して、Aにある2つの粒子に制御NOT(CNOT)を施すとともに、Bにおいても2つの粒子にも制御NOT(CNOT)を施す。そして、A及びBでの制御NOT(CNOT)の標的となったキュービットを観測し、Aでの観測結果を古典通信経路によってBに送信する。そして、BはAの観測結果と自己の観測結果とを比較しこれに対応した操作を施す。これによってEPP処理が実行され、EPR対の忠実度が回復することになる。
本実施の形態では、上述したES処理およびEPP処理を実行している。図14〜16は、実施の形態1にかかる量子情報中継装置100において、EPR対生成からEPP処理までの光子の状態を示す説明図である。図14は、EPR対生成からEPR対の一方の光子を隣接する量子情報中継装置100に送信する前までの光子の状態を示し、図15は、光子が送信されることによって、EPR対が2つの量子情報中継装置100で共有された状態を示している。また、図16は、共有されたEPR対に対してES処理を実行した状態を示している。図14〜16に示すように、共有されたEPR対の2つ光子は、光子−固体EIT量子計算機124の量子メモリ125に保持され、光子−固体EIT量子計算機124によって(ES実行部302、EPP実行部303)、ES処理、EPP処理が実行される。
実施の形態1では、さらに、EPP実行部303は、最後に実行されたES処理で使用した古典通信経路、最後に実行されたES処理以前のEPP処理で使用した古典通信経路のうちいずれか1つ以上と異なる古典通信経路を選択して最後のEPP処理を実行している。また、ES実行部302は、前段階で実行したES処理で使用し、かつ前段階で実行したEPP処理で使用した古典通信経路のうちいずれか1つ以上と異なる古典通信経路を選択して最後のES処理を実行している。
また、ES実行部302では、以前に実行されたES処理で使用された古典通信経路、および以前に実行されたEPP処理で使用された古典通信経路のうちのいずれかと異なる古典通信経路を選択してES交換処理を実行する。
ネットワークを管理するセンタノードでは、経路中の量子情報中継装置100のノードの位置からどの古典通信経路を選択してES処理、ESS処理を実行すべきか、ES処理やEPP処理の実行回数、ES処理やEPP処理の実行タイミング等の役割を決定し、決定した役割を各量子情報中継装置100に送信している。
制御部301は、受信した役割に基づいて、ES処理部302、EPP処理部303を制御して、ES処理、EPP処理の実行制御を行う。
具体的には、隣接する送信ノード側の量子情報中継装置100と共有するEPR対に対して第1段階のES処理を実行し、ES処理を実行したノードの送信ノード側の隣接ノードと受信ノード側の量子情報中継装置100で第1段階のEPP処理を行う。その後、EPP処理を実行した受信ノード側の量子情報中継装置100において第2段階のES処理を行い、さらに、第1段階のEPP処理を行ったノードで第2段階のEPP処理を行う際、第1段階のES処理およびEPP処理と第2段階のES処理で使用した古典通信経路とは異なる古典通信経路の量子情報中継装置100との間でEPP処理を行う。
次に、このように構成された実施の形態1にかかる複数の量子情報中継装置100による量子情報通信処理について説明する。ここで、図4に示すネットワーク構成において、アルファ社のネットワーク内の送信ノードAからベータ社のネットワーク内の受信ノードGに量子情報を送信する場合を例にあげて説明する。
図17は、実施の形態1における量子情報通信処理の流れを示すシーケンス図である。まず、送信ノードAの量子情報中継装置100は、自己のIPアドレス(送信者アドレス)の第2階層(当事者)のアドレスから第2階層の経路決定処理を行い(ステップS1)、送信ノードAから自己のネットワークのセンタノードEまでの第2階層の古典通信経路および量子通信経路を決定する。なお、かかる第2階層の経路決定処理については後述する。
そして、送信ノードAは、自己のIPアドレス(送信者アドレス)とともに、送信宛先である受信ノードGのIPアドレス(受信者アドレス)を、決定された古典通信経路または量子通信経路でセンタノードEに送信する(ステップS2)。
センタノードEの量子情報中継装置100は、宛先である受信ノードGのIPアドレス(受信者アドレス)を受信すると、送信ノードAのIPアドレスの第1階層のアドレスと受信ノードGのIPアドレスの第1階層のアドレスとに基づき第1階層(組織)の経路決定処理を行って、ベータ社のネットワークのセンタノードHまでの古典通信経路と量子通信経路を決定する(ステップS3)。なお、かかる第1階層の経路決定処理については後述する。
そして、センタノードEは、受信ノードGのIPアドレス(宛先)を、ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100に決定された古典通信経路または量子通信経路で送信する(ステップS4)。
ベータ社のセンタノードHの量子情報中継装置100は、受信ノードGの宛先(IPアドレス)を受信すると、受信ノードGのIPアドレスの第2階層(当事者)のアドレスに基づき第2階層の経路決定処理を行って(ステップS5)、センタノードHから受信者ノードGまでの古典通信経路と量子通信経路を決定する。そして、決定された古典通信経路と量子通信経路をセンタノードEに送信する(ステップS6)。
次に、センタノードHでは、ベータ社のネットワーク内で、センタノードHから受信ノードGまでの決定された古典通信経路と量子通信経路に存在する量子情報中継装置100(中継地点)の個数を算出する(ステップS7b)。そして、その個数と量子通信経路および古典通信経路と各量子情報中継装置100の位置から、各量子情報中継装置100の量子情報中継処理におけるES処理やEPP処理をどの古典通信経路で実行するか、ES処理やEPP処理の実行回数、ES処理やEPP処理の実行タイミング等の役割を決定し(ステップS8b)、決定した役割を各量子情報中継装置100に送信する(ステップS9b)。
一方、センタノードHから古典通信経路と量子通信経路を受信したセンタノードEでも、同様に、アルファ社のネットワーク内で、送信ノードAからセンタノードEまでの決定された古典通信経路と量子通信経路に存在する量子情報中継装置100(中継地点)の個数を算出する(ステップS7a)。そして、その個数と量子通信経路および古典通信経路と各量子情報中継装置100の位置から、各量子情報中継装置100の量子情報中継処理における上記役割を決定し(ステップS8a)、決定した役割を各量子情報中継装置100に送信する(ステップS9a)。
そして、アルファ社、ベータ社の各ネットワークおよびセンタノードEからセンタノードHの間で、量子情報中継処理が行われ、送信ノードAから受信ノードGまでの量子鍵配送などの光子の送信が行われる(ステップS10)。かかる量子情報中継処理については後述する。
次に、ステップS3における第1階層(組織)の経路決定処理について説明する。図18は、第1階層の経路決定処理の手順を示すフローチャートである。まず、量子情報中継装置100(センタノード)では、古典経路検索部136によって、送信者アドレス(送信ノードのIPアドレス)の第1階層のアドレスと、送信ノードから受信した受信者アドレス(受信ノードのIPアドレス)の第1階層のアドレスとをキーにして、図5に示す古典通信経路テーブル133からセンタノード間(E−H間)の古典通信経路を検索する(ステップS11)。
次に、量子経路決定部132によって、古典通信経路テーブル133において、検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグの内容を取得し(ステップS12)、取得した量子通信経路存在フラグの値が「1」であるか否か、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在するか否かを判断する(ステップS13)。
その結果、量子通信経路存在フラグの値が「1」である場合、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在する場合には(ステップS13:Yes)、量子通信経路テーブル134を検索せずに、古典経路検索部136で決定された古典通信経路を量子通信経路として決定する(ステップS14)。例えば、図5において、古典経路検索部136で古典通信経路が「31」と決定された場合には、量子通信経路を同一経路の「31」と決定する。
一方、ステップS13において、量子通信経路存在フラグの値が「1」でない場合(「0」の場合)、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在しない場合には(ステップS13:No)、量子経路決定部132によって、送信者アドレス(送信ノードのIPアドレス)の第1階層のアドレスと、送信ノードから受信した受信者アドレス(受信ノードのIPアドレス)の第1階層のアドレスとをキーにして、図6に示す量子通信経路テーブル134からセンタノード間(E−H間)の量子通信経路を検索する(ステップS15)。そして、検索された量子通信経路を、センタノード間(E−H間)の量子通信経路として決定する(ステップS16)。このようにして、第1階層の経路決定処理が行われることになる。
次に、ステップS2およびS5における第2階層(当事者)の経路決定処理について説明する。図19は、第2階層の経路決定処理の手順を示すフローチャートである。まず、アルファ社およびベータ社のネットワーク内のノードの量子情報中継装置100では、古典経路検索部136によって、IPアドレスの第2階層のアドレスをキーにして、図7または8に示す古典通信経路テーブル133からノード間の古典通信経路を検索する(ステップS21)。
キーとする第2階層のアドレスは、以下のように選定される。すなわち、送信ノードで第2階層の経路決定を行う場合には(ステップS2の場合)、送信ノードのIPアドレスの第2階層のアドレスをキーとする。これにより、送信ノードから送信ノードが属するネットワークのセンタノードまでの第2階層の古典通信経路が検索される。例えば、図4の例で、送信ノードAから受信ノードGに送信する場合において、送信ノードAは、自己のIPアドレスの第2階層のアドレスをキーに古典通信経路テーブル133を検索する。
また、受信ノードが属するネットワークのセンタノードで第2階層の経路決定を行う場合(ステップS5の場合)、受信ノードのIPアドレスの第2階層のアドレスをキーとする。これにより、センタノードから受信ノードまでの第2階層の古典通信経路が検索される。例えば、図4の例で、送信ノードAから受信ノードGに送信する場合において、ベータ社のセンタノードHは、受信ノードGのIPアドレスの第2階層のアドレスをキーに古典通信経路テーブル133を検索する。
次に、量子経路決定部132によって、古典通信経路テーブル133において、検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグの内容を取得し(ステップS22)、取得した量子通信経路存在フラグの値が「1」であるか否か、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在するか否かを判断する(ステップS23)。
その結果、量子通信経路存在フラグの値が「1」である場合、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在する場合には(ステップS23:Yes)、量子通信経路テーブル134を検索せずに、古典経路検索部136で決定された古典通信経路を量子通信経路として決定する(ステップS24)。
一方、ステップS23において、量子通信経路存在フラグの値が「1」でない場合(「0」の場合)、すなわち、検索された古典通信経路と同一の量子通信経路が存在しない場合には(ステップS23:No)、量子経路決定部132によって、IPアドレスの第2階層のアドレスをキーにして、図8または10に示す量子通信経路テーブル134からノード間の量子通信経路を検索する(ステップS25)。そして、検索された量子通信経路を、センタノード間(E−H間)の量子通信経路として決定する(ステップS16)。このようにして、第2階層の経路決定処理が行われることになる。
ここで、キーとする第2階層のアドレスは、上述した古典通信経路の経路決定の場合と同様に選定される。
このように、第1階層および第2階層の経路決定処理において、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する場合には、量子通信経路の検索を行わずに、古典通信経路を量子通信経路として決定するので、経路探索処理の負荷を軽減することができる。
次に、ステップS10における量子情報中継処理について説明する。ここでは、アルファ社のネットワークにおいて、送信ノードAからセンタノードEまでの量子情報中継処理を例にあげて説明する。センタノードEからセンタノードH、センタノードHから受信ノードGまでの量子情報中継処理についても同様に行われる。
なお、図4に示すように、送信ノードAからセンタノードEまでの量子通信経路は、A−T,T−F,F−U,U−Eであり、古典通信経路はA−Eである。
図20は、実施の形態1の各量子情報中継装置100における量子情報通信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、量子情報中継装置A,T,F,U、EにおいてEPR対を生成する(ステップS31〜S35)。次に、量子情報中継装置A,T,F,Uで生成したEPR対の一方の光子を、隣接する量子情報中継装置に送信する(ステップS36〜S39)。これにより、A−T間、T−F間、F−U間、U−E間でEPR対がそれぞれ共有されることになる。
そして、量子情報中継装置T,Uにおいて、第1段階のES処理を実行する(ステップS40,S41)。これによって、A−F間およびF−E間でEPR対が共有される。
次に、量子情報中継装置A,Fにおいて、第1段階のEPP処理をA−F間で実行し、量子情報中継装置F,Eにおいて、第1段階のEPP処理をF−E間で実行する(ステップS42〜S44)。これによりA−F間およびF−E間で、EPR対の忠実度が回復される。
次に、量子情報中継装置Fにおいて、第2段階のES処理を実行する(ステップS45)。これによって、量子情報中継装置A−E間でEPR対が共有される。
ここで、使用される古典通信経路については次のようになる。図4に示すように、第1段階のES処理では、経路A−T−F及び経路F−U−Eを古典通信経路として使用している。第1段階のEPP処理でも経路A−T−Fと経路F−U−Eを使用している。また、第2段階のES処理では、経路A−T−F及び経路F−U−Eを使用している。
次に、量子情報中継装置A,Eにおいて、第2段階のEPP処理をA−E間で実行する(ステップS46,S47)。これによって、A−E間でEPR対の忠実度が回復される。すなわち、第2段階のEPP処理では、第1段階のES処理及びEPP処理で使用される古典通信経路および第2段階のES処理で使用する古典通信経路とは、異なる古典通信経路A−Eを使用している。これにより、AからEまで通信する際には、量子情報中継装置Fを経由せずに、短距離のA−E間の古典通信経路で直接通信することができ、かつEPR対の忠実度の減衰も防止されることになる。
このように実施の形態1にかかる量子情報通信システムでは、経路決定処理において、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する場合には、量子通信経路の検索を行わずに、古典通信経路を量子通信経路として決定するので、経路探索処理の負荷を軽減することができる。
また、実施の形態1にかかる量子情報通信システムでは、経路決定処理において、古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在しない場合に、量子通信経路の検索を行っているので、通信経路の状況に応じて最適な経路探索を行うことができる。
(実施の形態2)
実施の形態1にかかる量子情報中継装置100では、経路決定をネットワーク内の送信ノードおよびセンタノードとなる量子情報中継装置100で実行していたが、この実施の形態2では、経路決定をネットワーク管理装置で実行する。
図21は、実施の形態2にかかる量子情報通信システムのネットワーク構成を示すブロック図である。図21に示すように、実施の形態2にかかる量子情報通信システムは、複数の量子情報中継装置2100とネットワーク管理装置2130とが光ファーバー140で接続された構成となっている。
図22は、ネットワーク管理装置2130の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるネットワーク管理装置2130は、図22に示すように、通信部2131と、古典経路検索部2133と、量子経路決定部2132と、古典通信経路テーブル133と、量子通信経路テーブル134とを主に備えている。
ここで、古典通信経路テーブル133と量子通信経路テーブル134は、実施の形態1の各テーブルと同様であり、HDDやメモリ等の記憶媒体に格納されている。
通信部2131は、送信ノードとなる量子情報中継装置100から送信ノードのIPアドレス(送信者アドレス)および受信ノードのIPアドレス(受信者アドレス)を含む経路決定要求メッセージを受信し、古典経路検索部2133により決定された古典通信経路および量子経路決定部2132により決定された量子通信経路を含む経路メッセージを生成し、生成された経路メッセージを、決定された古典通信経路および量子通信経路中に存在する全てのノードの量子情報中継装置2100に送信する処理部である。
古典経路検索部2133は、経路決定要求メッセージに含まれる送信ノードのIPアドレスと受信ノードのIPアドレスから、古典通信経路テーブル133から送信ノードと受信ノードとの間に存在する所定のノード間の古典通信経路を検索する処理部である。
具体的には、古典経路検索部2133は、送信ノードのIPアドレスと受信ノードのIPアドレスの第1階層から第n階層の一部のアドレスをキーにして、古典通信経路テーブル133から送信ノードと受信ノードとの間に存在する所定のノード間の古典通信経路を検索し、検索された古典通信経路を所定のノード間の古典通信経路として決定する。
本実施の形態にかかるネットワーク管理装置2130の古典経路検索部2133は、IPアドレスの全ての階層についての古典通信経路を決定する。
量子経路決定部2132は、古典経路検索部2133によって検索された古典通信経路に対応する相関関係に基づいて所定のノード間の量子通信経路を決定する処理部である。具体的には、量子経路決定部2132は、古典経路検索部136によって検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグが古典通信経路と同一経路の量子通信経路が存在する旨を示す「1」である場合には、量子通信経路の検索を行わずに、検索された古典通信経路を前定のノード間の量子通信経路として決定する。
一方、量子経路決定部2132は、古典経路検索部2133によって検索された古典通信経路に対応する量子通信経路存在フラグが古典通信経路と同一経路である量子通信経路が存在しない旨を示す「0」である場合には、量子通信経路テーブル134から、所定のノード間の量子通信経路を検索し、検索された量子通信経路を所定のノード間の量子通信経路として決定する。
本実施の形態にかかるネットワーク管理装置2130の量子経路決定部2132は、IPアドレスの全ての階層についての古典通信経路を決定する。
ネットワーク管理装置2130は、経路中の量子情報中継装置100のノードの位置からどの古典通信経路を選択してES処理、ESS処理を実行すべきか、ES処理やEPP処理の実行回数、ES処理やEPP処理の実行タイミング等の役割を決定し、決定した役割を通信部2131によって各量子情報中継装置100を送信している。
本実施の形態のネットワーク管理装置2130は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、ネットワークボード等の通信装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
次に、実施の形態2にかかる量子情報中継装置2100について説明する。図23は、実施の形態2にかかる量子情報中継装置2100の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかる量子情報中継装置2100は、図23に示すように、制御用古典計算機2110と中継器120とを備えている。制御用古典計算機2110は、CPUやメモリ等を備えた通常のコンピュータの構成となっている。中継器120の機能的構成は、実施の形態1と同様である。
制御用古典計算機2110は、通信部135を主に備えている。なお、本実施の形態では、古典通信経路および量子通信経路の決定は、ネットワーク管理装置2130によって行われるため、実施の形態1の量子情報中継装置100のように古典経路検索部、量子経路決定部は設けられていない。
通信部135は、実施の形態1と同様に、送信ノードのIPアドレス、受信ノードのIPアドレス、古典通信経路や量子通信経路を他のノードに送信したり、他のノードから受信する処理部である。
また、通信部135は、自己の量子情報中継装置100が送信ノードとなる場合に、送信ノードのIPアドレスと受信ノードのIPアドレスを含み、受信ノードまでの経路決定要求メッセージをネットワーク管理装置2130に送信し、かかる要求に対する応答として、ネットワーク管理装置2130から決定された古典通信経路および量子通信経路を含む経路メッセージを受信する。
次に、このように構成された実施の形態2にかかる複数の量子情報中継装置100による量子情報通信処理について説明する。ここで、図4に示すネットワーク構成において、アルファ社のネットワーク内の送信ノードAからベータ社のネットワーク内の受信ノードGに量子情報を送信する場合を例にあげて説明する。
図24は、実施の形態2における量子情報通信処理の流れを示すシーケンス図である。まず、送信ノードAの量子情報中継装置2100は、自己のIPアドレス(送信者アドレス)とともに、送信宛先である受信ノードGのIPアドレス(受信者アドレス)を自己のネットワーク(アルファ社のネットワーク)のネットワーク管理装置2130に送信する(ステップS51)。
受信ノードGのIPアドレスを受信したネットワーク管理装置2130は、送信ノードAのIPアドレスの第1階層(組織)のアドレスおよび受信ノードGのIPアドレスの第1階層のアドレスから、第1階層の経路決定処理を行い(ステップS52)、センタノードEから送信先のネットワーク(ベータ社のネットワーク)のセンタノードHまでの第1階層の古典通信経路および量子通信経路を決定する。
そして、アルファ社のネットワーク管理装置2130は、送信宛先である受信ノードGのIPアドレス(受信者アドレス)を、送信先のネットワーク(ベータ社のネットワーク)のネットワーク管理装置2130に送信する(ステップS53)。
そして、アルファ社のネットワーク管理装置2130では、送信ノードAのIPアドレス(送信者アドレス)の第2階層(当事者)のアドレスから第2階層の経路決定処理を行い(ステップS54)、送信ノードAから自己のネットワークのセンタノードEまでの第2階層の古典通信経路および量子通信経路を決定する。
一方、送信先のネットワーク(ベータ社のネットワーク)のネットワーク管理装置2130は、受信ノードGのIPアドレスを受信すると、受信ノードGのIPアドレスの第2階層(当事者)のアドレスに基づき第2階層の経路決定処理を行って(ステップS55)、センタノードHから受信者ノードGまでの古典通信経路と量子通信経路を決定する。そして、決定された古典通信経路と量子通信経路を、アルファ社のネットワーク管理装置2130に送信する(ステップS56)。
なお、ステップS52の第1階層の経路決定処理、およびステップS54、S55の第2階層の経路決定処理は、実施の形態1の各経路決定処理と同様に行われる。
アルファ社のネットワーク管理装置2130は、受信した古典通信経路と量子通信経路、およびステップS52および54で決定した古典通信経路と量子通信経路を、送信ノードAに送信する(ステップS57)。
そして、アルファ社のネットワーク管理装置2130は、アルファ社のネットワーク内で、送信ノードAからセンタノードEまでの決定された古典通信経路と量子通信経路に存在する量子情報中継装置2100(中継地点)の個数を算出する(ステップS58a)。そして、その個数と量子通信経路および古典通信経路と各量子情報中継装置2100の位置から、各量子情報中継装置2100の量子情報中継処理におけるES処理やEPP処理をどの古典通信経路で実行するか、ES処理やEPP処理の実行回数、ES処理やEPP処理の実行タイミング等の役割を決定し(ステップS59a)、決定した役割を自己のネットワーク内の各量子情報中継装置2100に送信する(ステップS60a)。
一方、ベータ社のネットワーク管理装置2130においても同様に、センタノードHから受信ノードGまでの決定された古典通信経路と量子通信経路に存在する量子情報中継装置2100(中継地点)の個数の算出(ステップS58b)、各量子情報中継装置2100の量子情報中継処理における上記役割の決定(ステップS59b)、決定した役割の自己のネットワーク内の各量子情報中継装置2100への送信(ステップS60b)の各処理が実行される。
そして、アルファ社、ベータ社の各ネットワークおよびセンタノードEからセンタノードHの間で、量子情報中継処理が行われ、送信ノードAから受信ノードGまでの量子鍵配送などの光子の送信が行われる(ステップS61)。かかる量子情報中継処理については実施の形態1と同様に行われる。
このように実施の形態2にかかる量子情報通信システムでは、ネットワーク管理装置2130によって、古典通信経路の検索および量子通信経路の決定が行われるので、各ノードの量子情報中継装置2100における経路探索の負担がなくなり、量子情報通信の処理効率を向上させることができる。
なお、実施の形態2では、ネットワーク管理装置2310を通常のコンピュータとして各ノードの量子情報中継装置2100とは異なる構成として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、センタノードの量子情報中継装置2100にネットワーク管理装置としての機能を有するように構成してもよい。
また、実施の形態1および2では、2階層のデータ構造のIPアドレスを用いて説明したが、3階層以上のデータ構造のIPアドレスを用いることもでき、この場合には、第3階層以上の経路決定は、第1階層、第2階層の経路決定処理と同様に行われることになる。
また、本実施の形態では、図4に示すネットワーク構成の量子情報通信システムを例にあげて説明したが、これに限定されるものではなく、古典通信経路と量子通信経路の双方が存在するネットワークであればいずれにも適用することができる。
実施の形態1および2の量子情報中継装置100,2100、ネットワーク管理装置2130で実行される量子情報通信プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
実施の形態1および2の量子情報中継装置100,2100、ネットワーク管理装置2130で実行される量子情報通信プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、実施の形態1および2の量子情報中継装置100,2100、ネットワーク管理装置2130で実行される量子情報通信プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施の形態1および2の量子情報中継装置100,2100、ネットワーク管理装置2130で実行される量子情報通信プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
実施の形態1および2の量子情報中継装置100,2100、ネットワーク管理装置2130で実行される量子情報通信プログラムは、上述した各部(古典経路検索部、量子経路決定部、通信部、ES実行部、EPP実行部、制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから量子情報中継プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、古典経路検索部、量子経路決定部、通信部、ES実行部、EPP実行部、制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
実施の形態1にかかる量子情報通信システムのネットワーク構成を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる制御用古典計算機と中継器の機能的構成を示すブロック図である。 IPアドレスのデータ形式の一例を示すデータ構造図である。 2個のセグメントから構成されるIPアドレスのデータ構造図である。 実施の形態1のネットワーク構成および量子通信経路と古典通信経路の一例を示す模式図である。 第1階層の古典通信経路テーブルの一例を示す説明図である。 第1階層の量子通信経路テーブルの一例を示す説明図である。 第2階層の古典通信経路テーブルの一例を示す説明図である。 第2階層の量子通信経路テーブルの一例を示す説明図である。 第2階層の古典通信経路テーブルの他の例を示す説明図である。 第2階層の量子通信経路テーブルの他の例を示す説明図である。 ES処理およびEPP処理によるEPR対の状態の例を示す模式図である。 ES処理を説明するための模式図である。 EPP処理を説明するための模式図である。 EPR対生成からEPP処理までの光子の状態を示す説明図である。 EPR対生成からEPP処理までの光子の状態を示す説明図である。 EPR対生成からEPP処理までの光子の状態を示す説明図である。 実施の形態1における量子情報通信処理の流れを示すシーケンス図である。 第1階層の経路決定処理の手順を示すフローチャートである。 第2階層の経路決定処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態1の量子情報通信処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかる量子情報通信システムのネットワーク構成を示すブロック図である。 ネットワーク管理装置の機能的構成を示すブロック図である。 実施の形態2にかかる量子情報中継装置の機能的構成を示すブロック図である。 実施の形態2における量子情報通信処理の流れを示すシーケンス図である。
符号の説明
100,2100 量子情報中継装置
110,2110 制御用古典計算機
121 EPR対生成ユニット
122 光子入力ユニット
123 光子−固体EIT間変換ユニット
124 光子−固体EIT量子計算機
125 メモリ
126 光子送信ユニット
132,2132 量子経路決定部
133 古典通信経路テーブル
134 量子通信経路テーブル
135,2131 通信部
136,2133 古典経路検索部
140 光ファイバー
301 制御部
302 ES実行部
303 EPP実行部

Claims (6)

  1. 量子通信ネットワークと古典通信ネットワークとに接続された量子情報通信装置であって、
    前記量子通信ネットワークに接続されたノード間の量子通信による経路を示す量子通信経路を登録した量子通信経路テーブルと、前記古典通信ネットワークに接続されたノード間の古典通信による経路を示す古典通信経路と当該古典通信経路のノード間の前記量子通信経路の相関関係とを対応付けた古典通信経路テーブルとを記憶する記憶手段と、
    送信ノードのネットワークアドレスと受信ノードのネットワークアドレスとに基づいて、前記古典通信経路テーブルから前記送信ノードと前記受信ノードとの間に存在する所定のノード間の前記古典通信経路を検索する古典経路検索手段と、
    検索された前記古典通信経路に対応する前記相関関係に基づいて前記所定のノード間の前記量子通信経路を決定する量子経路決定手段と、
    検索された前記古典通信経路または決定された前記量子通信経路に従って、光子の量子情報通信を行う通信手段と、
    を備えたことを特徴とする量子情報通信装置。
  2. 前記古典通信経路テーブルは、前記相関関係として、前記古典通信経路と同一経路の前記量子通信経路の存在の有無を示す存在情報を含み、
    前記量子経路決定手段は、検索された前記古典通信経路に対応する前記存在情報が前記古典通信経路と同一経路の前記量子通信経路が存在する旨を示す場合には、前記検索された前記古典通信経路を前記所定のノード間の前記量子通信経路として決定すること
    を特徴とする請求項1に記載の量子情報通信装置。
  3. 前記量子経路決定手段は、さらに、検索された前記古典通信経路に対応する前記存在情報が前記古典通信経路と同一経路である前記量子通信経路が存在しない旨を示す場合には、前記量子通信経路テーブルから、前記所定のノード間の前記量子通信経路を検索することを特徴とする請求項2に記載の量子情報通信装置。
  4. 前記送信ノードから前記受信ノードへの光子の量子情報通信の際に、もつれ合った光子対であるEPR対を生成するEPR対生成手段と、
    生成された前記EPR対の一方の光子を隣接するノードの前記量子情報通信装置に送信する光子送信手段と、
    隣接するノードの前記量子情報通信装置との間で、前記EPR対を共有するエンタングルメント交換処理を実行するエンタングルメント交換実行手段と、
    前記エンタングルメント交換処理によって共有した前記EPR対の共有先のノードの前記量子情報通信装置との間で、前記EPR対の忠実度を回復するための処理であるエンタングルメント純粋化プロトコル処理を実行するエンタングルメント純粋化プロトコル実行手段と、を備え、
    前記通信手段は、さらに、前記EPR対を他のノードと共有し、前記EPR対の各光子間の距離を伸張する量子中継を行い、
    前記エンタングルメント純粋化プロトコル実行手段は、前記エンタングルメント純粋化プロトコル処理のうち最後の前記エンタングルメント純粋化プロトコル処理を実行する場合に、最後に実行された前記エンタングルメント交換処理および当該エンタングルメント交換処理以前に実行された前記エンタングルメント交換処理で使用された古典通信経路、および以前に実行された前記エンタングルメント純粋化プロトコル処理で使用された古典通信経路のうちのいずれか1つ以上と異なる古典通信経路を選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の量子情報通信装置。
  5. 量子通信ネットワークと古典通信ネットワークとに接続された量子情報通信装置で実行される量子情報通信方法であって、
    前記量子情報通信装置は、前記量子通信ネットワークに接続されたノード間の量子通信による経路を示す量子通信経路を登録した量子通信経路テーブルと、前記古典通信ネットワークに接続されたノード間の古典通信による経路を示す古典通信経路と当該古典通信経路のノード間の前記量子通信経路の相関関係とを対応付けた古典通信経路テーブルとを記憶する記憶手段を備え、
    送信ノードのネットワークアドレスと受信ノードのネットワークアドレスとに基づいて、前記古典通信経路テーブルから前記送信ノードと前記受信ノードとの間に存在する所定のノード間の前記古典通信経路を検索する古典経路検索ステップと、
    検索された前記古典通信経路に対応する前記相関関係に基づいて前記所定のノード間の前記量子通信経路を決定する量子経路決定ステップと、
    検索された前記古典通信経路または決定された前記量子通信経路に従って、光子の量子情報通信を行う通信ステップと、
    を含むことを特徴とする量子情報通信方法。
  6. 量子通信ネットワークと古典通信ネットワークとに接続されたコンピュータで実行される量子情報通信プログラムであって、
    前記コンピュータは、前記量子通信ネットワークに接続されたノード間の量子通信による経路を示す量子通信経路を登録した量子通信経路テーブルと、前記古典通信ネットワークに接続されたノード間の古典通信による経路を示す古典通信経路と当該古典通信経路のノード間の前記量子通信経路の相関関係とを対応付けた古典通信経路テーブルとを記憶する記憶手段を備え、
    送信ノードのネットワークアドレスと受信ノードのネットワークアドレスとに基づいて、前記古典通信経路テーブルから前記送信ノードと前記受信ノードとの間に存在する所定のノード間の前記古典通信経路を検索する古典経路検索ステップと、
    検索された前記古典通信経路に対応する前記相関関係に基づいて前記所定のノード間の前記量子通信経路を決定する量子経路決定ステップと、
    検索された前記古典通信経路または決定された前記量子通信経路に従って、光子の量子情報通信を行う通信ステップと、
    を前記コンピュータに実行させる量子情報通信プログラム。
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