JP5033115B2 - ドライアイを治療又は予防する新規医薬組成物並びに加工食品 - Google Patents

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本発明はドライアイ並びにコンタクトレンズによる眼障害等の難治性眼疾患の治療・予防に関する。
近年、テレビ、パソコンなどに囲まれ眼を酷使する機会が多く、目が疲れやすい、あるいは何となく目に不快感を感ずる人が増えている。疲れ眼などのように眼に不快感があると、仕事だけでなく、日常生活でもたいへん不便を来すことが多い。このような疲れ眼などの原因として最近注目を集めているのが眼の乾き、ドライアイである。ドライアイはわが国で800万人以上の患者が悩まされていると推定されているが、病気としての認識度の低い疾患である。
眼が乾くために不快な症状が現れるドライアイは、涙の減少あるいは質的変化により眼の表面に障害を生じる疾患である。涙が不足していると、眼は乾いて傷つきやすい状態になる。重症になると眼の表面に無数の傷が付いている場合もある。軽い症状はやがて治癒することもあるが、症状が重かったり、いつまでも続くようであれば、眼の表面が傷ついている可能性がある。このような場合、傷から病原菌が感染したり、傷が深くなって視力の低下が懸念されるので、医療機関で診察を受ける必要がある。
目は、「みる」ことにより多くの情報を手にいれるのに必要な重要器官である。涙が少なくなりドライアイが起こると、さまざまな症状があらわれ、快適にものをみることができなくなる。さらにひどくなると、常習性角膜上皮剥離という眼病が起こる。とくに、季節的な「乾燥+オフィスでの暖房による乾燥」、「コンピューター作業によるストレスの蓄積」、「熱中してディスプレイを凝視することによる“マバタキ”の減少」、「眼の緊張をとるための休息もない場合」、眼を酷使し、涙が減って“マバタキ”しても、眼球を涙で潤すことができなくなる。普通ドライアイにより失明することはないが、重症になると眼の表面に無数の傷が入り角膜や結膜に障害が起こって、視力低下、眼が開けられない事態に陥ることも珍しくない。コンタクトレンズを使用する場合にも、ドライアイが頻発し最終的には装着できなくなることがある。
また、全身の病気の一症状としてドライアイが起こることがある。その代表的なものとして、シェーグレン症候群がある。これは、涙を分泌している涙腺が自己免疫により徐々に破壊されて涙の分泌量が減少する病気で、涙腺だけでなく唾液腺も破壊されるので唾液の分泌が低下し、乾燥した食品を食べるとき水分が必要になる。そのほか、ドライアイは慢性関節リウマチ、膠原病及び糖尿病に合併することがある。一方、精神安定剤やその他のさまざまな薬の副作用によって涙の量が減ることもある。また、目薬の種類や点眼回数によってドライアイが起こることもあるので、新しい薬をのみはじめたり、新しい目薬をさしはじめてから、目が乾く・疲れるなどの症状がでたときには、医師に相談する必要がある。
一般的に、軽いドライアイの場合は、少なくなった涙を補充する目的で人工涙液とよばれる涙とよく似た成分の目薬を必要に応じて使用する。この場合も、さまざまな種類の人工涙液があり、患者にもっとも適した人口涙液をさがす必要がある。また、乾燥感が強く点眼回数が増える場合には、防腐剤の入っていない点眼薬を選択するなどの配慮も必要である。さらに、黒目(角膜)や白目(結膜)の表面に傷があり、まばたきをすると異和感・痛みがあるといった場合には、点眼剤とともに潤滑剤として眼軟膏を使う場合もある。そのような治療をしても効果のない重症のドライアイの場合には、残っている本人の涙を少しでも長い時間、目の表面に滞留させておくため、涙の排出口を閉じてしまう治療を行う。その他の治療法として、涙の乾きを抑えるために特別に開発された眼鏡をかけるという方法もある。
シェーグレン症候群によるドライマウスの内服治療薬としては塩酸セビメリンが2002年に認可され、医療機関で使われ始めたが、ドライアイへの適用拡大は成功していない。胆汁分泌を促進する経口剤であるアネトールトリチオンも唾液分泌促進作用もあることから、シェーグレン症候群に伴う唾液分泌減少の改善にも使用される。しかし、これらの薬物はドライマウス並びにドライアイに共通した病因である唾液腺並びに涙腺に対する自己免疫を改善する方向には作用しない。つまり、現状では内服ないし注射で安全にドライアイに改善できる薬物は存在しない。従って、高度に安全でドライアイを改善できる医薬品ないし加工食品は、長年探し求められていたのである。
安全かつ生活の質を低下させることなくドライアイを改善できる物質を発見することが、この発明が解決しようとする課題である。上述したようにドライアイは、いろいろの原因で起こる。涙を産生する涙腺を破壊する自己免疫を発症するシェーグレン症候群がドライアイを起こすことが知られているが、その他にも慢性関節リューマチ、膠原病、II型糖尿病もしばしばドライアイを随伴する。また、コンピューター及びテレビのディスプレイ、コンタクトレンズの脱着もドライアイを誘発すると言われるが、因果関係は明確ではない。いずれにせよ、ドライアイは生命を危険に陥れるような病気ではないので、ドライアイの治療薬ないし治療用食品はまったく生活の質を低下することなく病態を改善できる物質である必要がある。これは甚だ難しい課題である。
本発明者らは課題を解決するため試行錯誤を繰り返したところ、ラクトフェリンが臨床的にドライアイを改善することを発見し本発明を完成するに至った。本発明に使用されたラクトフェリンは、牛乳から抽出されたラクトフェリン、遺伝子工学的に調製された遺伝子組み換えヒトラクトフェリンを含む。本発明のヒントとなったのは、牛乳ラクトフェリン300mgを一日一回、健常者に1週間経口投与すると、唾液のpHを有意に上昇させる効果がある実験である。唾液のpHは唾液の産生量と比例するので、この事実はラクトフェリンが健常者の唾液産生を増加させたことを意味する。この試験における被験者は健常者なので、牛乳ラクトフェリンがドライマウスに悩む病者の唾液産生を増加させることを意味しない。しかし、牛乳ラクトフェリンを経口投与すると、自己免疫と考えられるアレルギー性鼻炎、慢性気管支喘息、慢性関節リューマチ、蕁麻疹などを改善するので、経口投与した牛乳ラクトフェリンは自己免疫に対する免疫的寛容を導入し、慢性炎症を改善する作用があると考えられる。つまり、健常者に対する唾液産生増大効果と免疫的寛容を導入する作用の二つから、ラクトフェリンは涙腺にも作用して涙の産生を増大させるであろうと推定した。
ドライアイには適切な実験動物の病態モデルが存在しない。従って、直接にヒトに投与して有用性を判定する人体実験に依存せざるを得ない。そこで中程度から重症のドライアイに悩むボランティアー5人に牛乳ラクトフェリンを一日あたり2〜6錠、毎日2〜3回1カ月経口投与し、ドライアイに及ぼす効果を検討した。使用したのは牛乳ラクトフェリンを1錠中に100mg含有する腸溶性製剤である。その結果、実施例に示すように早いもので内服を始めて3日後、遅くとも7日後にドライアイが著しく改善された。また、視力が回復したボランティアーが3名あったが、ドライアイが改善されて頻繁にマバタキする必要がなくなったので、一カ所を長時間見つめることができるようになったための現象と思われる。
本発明の実施態様は、経口剤が主要なものであるが、その他にトローチなどの剤型で実用に供することができる。ラクトフェリンは分子量が8万ダルトン前後の高分子であり、比較的不安定なこと、胃内では酸性条件下でペプシンにより容易に分解されるので製剤化にあたって注意が必要である。例えば、経口剤はラクトフェリン顆粒ないしは錠剤の表面を胃では溶解せず、腸に流入して溶解する腸溶性の皮膜で被覆した製剤が望ましい。より詳細には、次のようなものである。牛乳由来ラクトフェリン凍結乾燥粉末は、かさ比重が非常に小さく、直接錠剤に打錠することは困難である。また、水分と高温で不安定なので、乾燥状態で製剤化することが望ましい。したがって、ラクトフェリンと賦形剤、結合剤、崩壊剤を混合し、混合物をスラグマシンで強圧成型し薄い大きな平たい円盤をつくり・それを砕いて箭過し、一定の大きさの穎粒をそろえる。この穎粒を腸溶性皮膜で覆い、一定量をハードカプセルに充填して製品化することができる。錠剤として製品化する場合には、穎粒に滑沢剤を加えて打錠し、錠剤を腸溶性皮膜で覆って製品化することができる。
本発明の腸溶性製剤を製造する際に用いる賦形剤としては、乳糖、庶糖、マルチトール、グルコースなどの単糖ないし二糖類、コーンスターチ、ポテトスターチのような澱粉類、結晶セルローズ、無機物としては軽質シリカゲル、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウムなどがある。また、結合剤としては澱粉類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルローズ(HPC)、カルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩、ポリビニルピロリドン等がある。また、下部消化管でもとの一次粒子にまで崩壊させることを目的として用いる崩壊剤としては、澱粉、カルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース−カルシウム塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどがある。錠剤ならびに穎粒を腸溶性に被覆するための皮膜剤としては、PH5〜6で溶解するヒドロキシプロピルメチルセルローズフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルローズ、メタクリル酸コポリマー、トウモロコシ穀粒に含まれるツェインや、アルカリ性領域で溶解するシェラックなどがある。
本発明の製剤は、一般的には、活性成分として1日あたり、約0.1mg〜約100,000mg、好ましくは約1mg〜約50,000mg、より好ましくは約10mg〜約10,000mgを一度に又は分割して、本発明の製剤による治療または状態の改善が必要とされている患者に投与することができる。投与量及び投与剤型は、個別に、投与される患者の年齢、体重、病態および投与目的に応じて定めることができる。
実施例1:
牛乳から抽出したラクトフェリン原末(蛋白質として純度97%、タンパク質中のラクトフェリン含有93%)30kgに微結晶セルローズ(商品名;アビセル)57.5kg、デキストリン2.4kg、ステアリン酸マグネシウム0.1kgをミキサーで粉砕し、100メッシュを通過する粉末とした。この混合粉末を打錠機により打錠して直径9mm、重量の錠剤とした。次ぎにコーティング機に錠剤をいれ、ツェイン9%、パルミチン酸モノグリセライド1%、エタノール75%、純水15%よりなる腸溶性コーティング液を噴霧し、対錠剤重量比で10%の腸溶性コーティングを施して製品とした。
実施例2:
48才女性;近眼のために十代からコンタクトレンズを装着していた。しかし、35才のとき眼が痛いので眼科医の診断を受けたところ、ドライアイによる常習性角膜上皮剥離と診断された。それ以来、眼の痛みのため点眼剤が手放せなくなった。2003年3月19日から実施例1で調製した牛乳ラクトフェリンを100mg含有する腸溶製剤を一日2個朝夕に分けて内服したところ、3日目に眼の痛みが消失し、それに伴って点眼薬が不要になった。さらにラクトフェリン腸溶製剤の内服を続け2週間目に眼科医の診断を受けたところ、常習性角膜上皮剥離が治癒したと云われた。また、30年以上も装着できなかったコンタクトレンズを再び使用できるようになった。
実施例3:
ドライアイと診断され、視力が左0.6,右0.5の55才女性が実施例1の錠剤を2カ月、毎日2錠内服した。1週間経過するとドライアイが著しく改善され、視力が左右とも1.0に回復した。3日頃から20年来悩まされてきた頭痛が消失した。頭痛はよく効くクスリがあったが、副作用が出て効力が弱いクスリに切り替えていたがほとんど効果がなかった。しかし、牛乳ラクトフェリンの腸溶錠を一日2錠内服すると頭痛が消失したので、現在、頭痛薬はのんでいない。また、昔からうつ病気味で、過呼吸症候群で二度ほど救急車を呼んで病院に運ばれた経験がある。7月3日に社交ダンスの会合があったが、昔ほど本番前の激しい動悸がしなくなった。ラクトフェリン内服1カ月後で血清中性脂肪が316mg/dlから85mg/dlへと大きく低下した。
実施例4:
45才女性のドライアイが実施例1の錠剤を一日6錠7日間内服して著明に改善された。彼女は18才のときに検眼で近視(左0.5,右0.3)を指摘され、コンタクトレンズをはめるようになった。しかし、30才になってひどいドライアイで、コンタクトレンズがはめるときに痛みが走るようになった。ドライアイは次第に悪化し、40才になると常習性角膜上皮剥離のためコンタクトレンズの装着ができなくなった。眼球が乾燥して痛みがあるため、頻繁に瞬きしなければならず、目薬の携帯が必須なった。しかし、実施例1の錠剤を朝食と夕食直前に3錠ずつ内服したところ、1週間後からドライアイが改善し、目薬の点眼が不要になった。
実施例5:
ドライアイのためにゴルフのスコアが低下していた男性(46才)の視力が実施例1の錠剤を一日3錠内服することにより大きく改善された。彼は三十歳台ではゴルフリンクを70台のスコアで回っていたが、四十才になるとドライアイのために視力が低下し、芝生のアンジュレーションが見えないので落とし所がわからず、パターを打つときには心臓がどきどきして失敗が多かった。2003年5月1日から実施例1の錠剤を一日3錠を毎食前に内服した。内服1週間目に気づいたもつとも大きな変化は、視力が回復してグリーンのアンジュレーションが再び見えるようになったことである。見えるようになってゴルフのスコアが大きく改善され、再び70台後半から80台のスコアが出るようになった。また、パターを打つときも、ビビラなくなったこともラクトフェリン腸溶製剤を内服し始めて起こった大きな変化である。
実施例6:
ドライアイと診断されていた53才の女性の視力が、実施例1の錠剤を一日6錠内服1カ月後に劇的に改善した。2003年4月19日ラクトフェリン錠を内服する直前の視力は、左0.6と右0.8だった。腸溶性ラクトフェリン錠剤(1錠中に牛乳から抽出したラクトフェリン100mg含有)を2錠ずつ10:00,15:00と20:00の一日三回、噛まずに内服したところ、5月24日の視力測定では左右とも視力は1.2に改善していた。この視力改善は、ドライアイが改善されたため頻繁にマバタキをしなくなった結果と思われる。

Claims (1)

  1. ラクトフェリンを有効成分として含有することを特徴とする、ドライアイ、常習性角膜上皮剥離、又はコンタクトレンズによる眼障害の治療又は予防用腸溶性製剤。
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