JP5048984B2 - 光導波路用縮合生成物、硬化物及び光導波路デバイス - Google Patents

光導波路用縮合生成物、硬化物及び光導波路デバイス Download PDF

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Description

本発明は、光通信用途及び光集積回路用途に用い得る光導波路デバイスを作製するために好適に用いられる光導波路用縮合生成物、この光導波路用縮合生成物の硬化物、並びにこの硬化物にて形成される光導波路デバイスに関するものである。
光導波路用材料に要求される特性としては、光通信で使用される近赤外線領域において吸収が小さいこと、偏波依存性が小さいこと、屈折率調整が可能であること、導波路のパターニング性に優れること、吸湿による光損失の増加が少ないこと、生産性に優れること等がある。従来、光導波路用材料としては通常は石英系材料が使用されてきた。しかしながら、石英系材料は、近赤外線領域における光の吸収が小さいものの、光導波路の作製に要する工程が多く、しかも焼結工程が含まれるため、生産効率が悪いという問題がある。
かかる問題を解決するため、さまざまなポリマー材料が開発されている。例えば特許文献1には、光導波路の光学材料として使用可能なフッ素化ポリイミドが記載されている。しかしながら、フッ素化ポリイミド系の材料には、分子中のCH基が少なく近赤外線領域の吸収が小さいものの、分子中にフェニル基を多く含むため、その配向性による偏波依存性の問題がある。また、高温での焼付を要することから基板と膜との線膨張率差に起因する応力によるクラックの問題、パターニングを行うために反応性イオンエッチングを要し工程数の増加により生産性が悪くなる問題等もある。
また、特許文献2には、特定のシリコーン材料から構成される熱光学デバイスが記載されている。しかしながら、シリコーン系材料においても、残留させた水酸基やアルコキシ基を反応させることにより硬化させるため、水やアルコールの発生を伴い、その結果、膜厚を厚くすることができず、得られるデバイスが制限される問題がある。また、パターニングを行うために反応性イオンエッチングを要し工程数の増加により生産性が悪くなる問題等もある。
近赤外線領域での吸収や偏波依存性が小さく、フォトリソグラフィーによるパターニングが可能で、副生成物がない材料として、有機反応基と、シロキサン骨格を有する有機/無機ハイブリッド材料が報告されている(特許文献3参照)。
ここで開示されている材料は、Ar2Si(OH)2における水酸基とRSi(OR')3におけるアルコキシ基を1:1で反応させることによって樹脂組成物を作製し、その後、光重合開始剤を配合することによりフォトリソグラフィーを可能としたものである。該材料においては、フェニル基を含有させても直鎖上に配列することがないため偏波依存性が小さい。また、有機反応基の硬化時に水やアルコール等の副生成物が発生しないため、光導波路材料として優れた特性を有している。しかし、Ar2Si(OH)2における水酸基とRSi(OR')3におけるアルコキシ基を1:1で反応させるため、アルコキシ基が残留し、吸水及び吸湿性にはなお課題がある。
このように、全ての特性をバランスよく満足しているポリマー材料は従来存在しなかった。
特開平5−1148号公報(特許第2851019号) 特許第3445485号公報 国際公開第01/04186号パンフレット
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、光通信で使用される近赤外線領域において吸収及び偏波依存性が小さく、屈折率調整が可能であり、導波路のパターニング性に優れ、生産性に優れることに加えて、信頼性に優れた硬化物を得ることができる光導波路用縮合生成物、この光導波路用縮合生成物を硬化して得られる硬化物、並びにこの硬化物にて形成される光導波路デバイスを提供することを目的とする。
請求項1に係る光導波路用縮合生成物は、
(A)一般式(1):
Si(OR (1)
〔式中、Rは、少なくとも1個の芳香族基を有する炭素原子数が6〜20個の基を示し、Rは、H(Hは重水素Dであってよい)を示す。〕
で示されるシランジオール化合物と、
(B)一般式(2):
Si(OR (2)
〔式中、Rは、少なくとも1個のC=C二重結合を有する有機基を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
で示される変性シラン化合物と
(C)一般式(3):
Si(OR (3)
〔式中、Rは、少なくとも1個のC=C二重結合を有する有機基を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
で示される変性シラン化合物と
(D)一般式(4):
Si(OR (4)
〔式中、Rは、CF(CF(CH−基(n=0〜9の数である)又はC−基(X=H又はFである)を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
で示される変性シラン化合物のうち、少なくとも化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を、
0≦b×3+c×2+d×3−a×2≦0.4
〔式中、a乃至dはそれぞれ化合物(A)乃至(D)の総量に対する各化合物(A)乃至(D)のモル比率を示す。〕
の関係を満たす範囲内で縮合させることにより得られ、上記一般式(2)中のR と一般式(3)中のR のうち少なくとも一方が、CH =CH−C −(CH −基(X=H又はFであり、n=0〜2の数である)であることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1において、
上記一般式(4)中のRが、CF(CF)n(CH−基(n=5〜7の数である)であることを特徴とする。
請求項に係る硬化物は、請求項1又は2に記載の光導波路用縮合生成物を熱硬化又は光硬化させて成ることを特徴とする。
請求項に係る光導波路デバイスは、コア及びクラッドを含んでなる光導波路デバイスであって、前記コア及びクラッドが、それぞれ請求項に記載の硬化物にて形成されていることを特徴とする。
本発明に係る光導波路用縮合生成物では、重合開始剤を使用することにより光硬化や熱硬化させることが可能であり、且つ粘度を低くすることが可能であって取扱性が良好であり、また光通信で使用される近赤外線領域における光吸収や吸湿による材料損失が少ないと共に偏波依存性が小さく、また屈折率調整が可能なものであり、このため導波路のパターニング性に優れ、生産性に優れることに加えて、長期信頼性に優れる材料であり得る。この材料は、光通信用途及び光集積回路用途に用い得る高性能の光導波路デバイス、並びにそれらの関連部品を形成するために、好適に使用し得る。
さらに、一般式(2)中のR と一般式(3)中のR のうち少なくとも一方が、CH =CH−C −(CH −基(X=H又はFであり、n=0〜2の数である)であることによって、光導波路用縮合生成物は、芳香族環を含むためCH基が少なくなって近赤外線領域での光吸収を抑制して、材料損失を低減することができ、また、−C −基におけるXの一部又は全てをフッ素化することにより、更なる材料損失の低減が可能となる。
請求項2に係る発明では、光導波路用縮合生成物におけるフッ素比率が高くなると共にCH基数が少なくなることから、近赤外線領域における光の吸収を更に低減すると共に水の吸湿も更に低減することができて、光吸収や吸湿による材料損失を更に低減することができ、且つ変性シラン化合物(D)の変性鎖長が長くなることから柔軟性が増し、熱衝撃を受けた際に割れや欠けが起こりにくくなって良好な耐ヒートサイクル性を発現し得ると共にダイシング時にも切断面に割れや欠けが起こりにくくなって耐切断性に優れるものである。
請求項に係る硬化物では、重合開始剤を使用することにより光硬化や熱硬化させることが可能であり、且つ粘度を低くすることが可能であって取扱性が良好であり、また光通信で使用される近赤外線領域における光吸収や吸湿による材料損失が少ないと共に偏波依存性が小さく、また屈折率調整が可能な光導波路用縮合生成物にて形成することができ、このため導波路のパターニング性に優れ、生産性に優れることに加えて、長期信頼性に優れる材料であり得る。この材料は、光通信用途及び光集積回路用途に用い得る高性能の光導波路デバイス、並びにそれらの関連部品を形成するために、好適に使用し得る。
請求項に係る光導波路デバイスによれば、重合開始剤を使用することにより光硬化や熱硬化させることが可能であり、且つ粘度を低くすることが可能であって取扱性が良好であり、また光通信で使用される近赤外線領域における光吸収や吸湿による材料損失が少ないと共に偏波依存性が小さく、また屈折率調整が可能な光導波路用縮合生成物にて光導波路デバイスを形成することができ、すなわち導波路のパターニング性に優れ、生産性に優れることに加えて、長期信頼性に優れる光導波路用縮合生成物を硬化させることで、光通信用途及び光集積回路用途に用い得る高性能の光導波路デバイスを得ることができるものである。
以下、本発明の実施をするための最良の形態について説明する
本発明では、上記一般式(1)で示されるシランジオール化合物(A)と、上記一般式(2)で示される変性シラン化合物(B)と、上記一般式(3)で示される変性シラン化合物(C)と、上記一般式(4)で示される変性シラン化合物(D)とのうち、少なくとも化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を、
0≦b×3+c×2+d×3−a×2≦0.4
〔式中、a乃至dはそれぞれ化合物(A)乃至(D)の総量に対する各化合物(A)乃至(D)のモル比率を示す。〕
の関係を満たす範囲内で縮合させて、縮合生成物を得る。
或いは、上記一般式(1)で示されるシランジオール化合物(A)と、上記一般式(2)で示される変性シラン化合物(B)と、上記一般式(3)で示される変性シラン化合物(C)と、上記一般式(5)で示される変性シラン化合物(E)とのうち、少なくとも化合物(A)、化合物(C)及び化合物(E)を、
0≦b×3+c×2+e×2−a×2≦0.4
〔式中、a,b,c及びeはそれぞれ化合物(A),(B),(C)及び(E)の総量に対する各化合物(A),(B),(C)及び(E)のモル比率を示す。〕
の関係を満たす範囲内で縮合させて、縮合生成物を得る。
或いは、上記一般式(1)で示されるシランジオール化合物(A)と、上記一般式(2)で示される変性シラン化合物(B)と、上記一般式(3)で示される変性シラン化合物(C)と、上記一般式(4)で示される変性シラン化合物(D)と、上記一般式(5)で示される変性シラン化合物(E)とのうち、少なくとも化合物(A)、化合物(C)、化合物(D)及び化合物(E)を、
0≦b×3+c×2+d×3+e×2−a×2≦0.4
〔式中、a乃至eはそれぞれ化合物(A)乃至(E)の総量に対する各化合物(A)乃至(E)のモル比率を示す。〕
の関係を満たす範囲内で縮合させて、縮合生成物を得る。
このようにして得られる縮合生成物は、重合反応性の有機基を有するため、重合開始剤を使用することにより光硬化や熱硬化させることが可能であり、且つ粘度を低くすることが可能であることから材料の取扱い性に優れる。
また、縮合生成物の近赤外線領域における光の吸収を小さくすることができ、更には、縮合生成物中の水酸基やアルコキシ基の残留を少なくすることが可能となり、その結果、吸湿してアルコキシ基がOH基への置換することによるOH基の増加や水のOH基が増加することにより引き起こされる近赤外線領域の光の吸収増加を低減することができる。
従って、この縮合生成物は光通信で使用される近赤外線領域において吸収及び偏波依存性が小さく、また屈折率調整が可能である。このため、この縮合生成物は導波路のパターニング性に優れ、生産性に優れることに加えて、長期信頼性に優れる材料であり得る。この材料は、光通信用途及び光集積回路用途に用い得る高性能の光導波路デバイス、並びにそれらの関連部品として、好適に使用し得る。
一般式(1)中のR1は、少なくとも1個の芳香族基を有する炭素原子数が6〜20個の基であるが、このように芳香族基を有することにより系全体のCH基を少なくすることができ、硬化物中のCH基を更に少なくして、近赤外線領域での光吸収を抑制し、材料損失を低減することができる。このR1は、好ましくは立体障害性の置換又は未置換の芳香族基である。R1の特に好ましい例としては、フェニル基、トリル基、スチリル基及びナフチル基を挙げることができる。
ここで、特に一般式(1)中のR1が、C65−基(X=H又はFである)である場合には、このような嵩高い基が立体障害となってシランジオール化合物(A)同士の自己反応が阻害され、その結果、設定した所定の割合での縮合反応を完結させ得る。また、硬化物中のCH基を更に少なくして、近赤外線領域での光吸収を抑制し、材料損失を低減することができる。C65−基におけるXの一部又は全てをフッ素化することにより、更なる材料損失の低減を達成することができる。
一般式(1)中のOR2は、通常は水酸基であってこの場合R2は水素(H)であるが、この水素(H)は重水素Dであってよい。重水素を使用する場合は、OD基には光通信にて使用される近赤外線領域における光の吸収がなく、このため仮に原料としてのシランジオール化合物(A)の未反応物が縮合生成物中に含まれる場合であっても、残留する基はOD基となり、近赤外線領域における光の吸収には影響しない。本発明において、シランジオール化合物又は水酸基などの用語の意味は、水素(H)に代えて重水素(D)を用いた場合の意味を包含し得る。
一般式(2)中のR3及び一般式(3)中のR5は、少なくとも1個のC=C二重結合を有する有機基であって、反応性を有する。このため縮合生成物中には前記R3、R5に由来する反応性のC=C二重結合を有する反応性有機基が存在することとなる。従って、前記縮合生成物に重合開始剤を配合して反応させると、この縮合生成物中の反応性有機基を反応させて架橋構造を形成させることが可能である。
ここで、特に一般式(2)中のR3が、CH2=CH−C64−(CH2n−基(X=H又はFであり、n=0〜2の数である)である場合、及び一般式(3)中のR5が、CH2=CH−C64−(CH2n−基(X=H又はFであり、n=0〜2の数である)である場合には、得られる縮合生成物は、重合開始剤を用いて好適に光硬化あるいは熱硬化させ得ることに加え、芳香族環を含むため硬化物中のCH基が少なくなって近赤外線領域での光吸収を抑制し、材料損失を低減することができる。また、−C64−基におけるXの一部又は全てをフッ素化することにより、更なる材料損失の低減が可能である。
一般式(2)中のR4、一般式(3)中のR7及び一般式(5)中のR12は、Cn2n+1(n=1又は2の数である)であり、すなわち、R4、R7、及びR12は、メチル基又はエチル基である。このため、シランジオール化合物(A)の水酸基と反応しなかったR4、R7、R9が縮合生成物中に残存しても、このR4、R7、R12に含まれるCH基を少なくして、近赤外線領域における光の吸収を小さくすることができる。
一般式(4)中のR8及び一般式(5)中のR10は、CF3(CF2n(CH22−基(n=0〜9の数である)又はC65−基(X=H又はFである)であるため、縮合生成物又はその硬化物は、高いフッ素比率と低いCH基数によって、近赤外線領域における光の吸収が小さくなり得ると共に水の吸湿も減少する。このため、吸湿による導波路の光損失の増加を抑制することができる。
ここで、特に一般式(4)中のR8及び一般式(5)中のR10が、CF3(CF2n(CH22−基(n=5〜7の数である)である場合には、得られる縮合生成物又はその硬化物は、特にフッ素比率が高くなると共にCH基数が少なくなることから、近赤外線領域における光の吸収を更に低減すると共に水の吸湿も更に低減することができる。このため、導波路の光損失の増加が著しく抑制される。更に、変性シラン化合物(D)や変性シラン化合物(E)の変性鎖長が長くなることから、得られる縮合生成物又はその硬化物は柔軟性が増し、熱衝撃を受けた際に割れや欠けが起こりにくくなって良好な耐ヒートサイクル性を発現し得ると共にダイシング時にも切断面に割れや欠けが起こりにくくなって耐切断性に優れる。
一般式(2)で示される変性シラン化合物(B)の好ましい例としては、例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等を挙げることができる。
一般式(3)で示される変性シラン化合物(C)の好ましい例としては、例えば、メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリロキシプロピルジエトキシエチルシラン、スチリルジメトキシメチルシラン、スチリルジエトキシエチルシラン、スチリルエチルジメトキシメチルシラン、スチリルエチルジエトキシエチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン等を挙げることができる。
一般式(4)で示される変性シラン化合物(D)の好ましい例としては、例えば、
CF3CH2CH2−Si(OCH33
CF3CH2CH2−Si(OCH2CH33
CF3(CF23CH2CH2−Si(OCH33
CF3(CF23CH2CH2−Si(OCH2CH33
CF3(CF25CH2CH2−Si(OCH33
CF3(CF25CH2CH2−Si(OCH2CH33
CF3(CF27CH2CH2−Si(OCH33
CF3(CF27CH2CH2−Si(OCH2CH33
CF3(CF29CH2CH2−Si(OCH33
CF3(CF29CH2CH2−Si(OCH2CH33
65Si(OCH33
65Si(OCH2CH33
65Si(OCH33
65Si(OCH2CH33
65CH2CH2Si(OCH33
65CH2CH2Si(OCH2CH33
を挙げることができる。
また、一般式(5)で示される変性シラン化合物(E)の好ましい例としては、例えば、
CF3CH2CH2−SiCH3(OCH32
CF3CH2CH2−SiCH2CH3(OCH2CH32
CF3(CF23CH2CH2−SiCH3(OCH32
CF3(CF23CH2CH2−SiCH2CH3(OCH2CH32
CF3(CF25CH2CH2−SiCH3(OCH32
CF3(CF25CH2CH2−SiCH2CH3(OCH2CH32
CF3(CF27CH2CH2−SiCH3(OCH32
CF3(CF27CH2CH2−SiCH2CH3(OCH2CH32
CF3(CF29CH2CH2−SiCH3(OCH32
CF3(CF29CH2CH2−SiCH2CH3(OCH2CH32
65SiCH3(OCH32
65SiCH2CH3(OCH2CH32
65SiCH3(OCH32
65SiCH2CH3(OCH2CH32
65CH2CH2SiCH3(OCH32
65CH2CH2SiCH2CH3(OCH2CH32
を挙げることができる。
ここで、縮合生成物を得るにあたり、シランジオール化合物(A)のモル比率a、変性シラン化合物(B)のモル比率b、変性シラン化合物(C)のモル比率c、変性シラン化合物(D)のモル比率d、変性シラン化合物(E)のモル比率eの関係が、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を必須成分とすると共に化合物(E)を用いない場合にb×3+c×2+d×3−a×2<0となり、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(E)を必須成分とすると共に化合物(D)を用いない場合にb×3+c×2+e×2−a×2<0となり、化合物(A)、化合物(C)、化合物(D)及び化合物(E)を必須成分とする場合にb×3+c×2+d×3+e×2−a×2<0となる場合には、シランジオール化合物(A)の水酸基が反応せずに縮合生成物中に残留してしまうため、近赤外線領域における吸収が大きくなるという問題が生じる。
また、前記関係が、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を必須成分とすると共に化合物(E)を用いない場合にb×3+c×2+d×3−a×2>0.4となり、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(E)を必須成分とすると共に化合物(D)を用いない場合にb×3+c×2+e×2−a×2>0.4となり、化合物(A)、化合物(C)、化合物(D)及び化合物(E)を必須成分とする場合にb×3+c×2+d×3+e×2−a×2>0.4となる場合には、縮合生成物中に残留するアルコキシ基が過剰となり、吸湿による光損失の増加が著しくなる。
また、吸湿性を低減すると共に材料の取扱い性を向上するためには、特に前記関係が、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を必須成分とすると共に化合物(E)を用いない場合に0≦b×3+c×2+d×3−a×2≦0.2となり、化合物(A)、化合物(C)及び化合物(E)を必須成分とすると共に化合物(D)を用いない場合に0≦b×3+c×2+e×2−a×2≦0.2となり、化合物(A)、化合物(C)、化合物(D)及び化合物(E)を必須成分とする場合に0≦b×3+c×2+d×3+e×2−a×2≦0.2となることが望ましい。
また、C=C二重結合を有する有機基を有する変性シラン化合物(B)、変性シラン化合物(C)とC=C二重結合を有する有機基を有さないシランジオール化合物(A)、変性シラン化合物(D)、変性シラン化合物(E)の配合比率を変化させることにより、縮合生成物中のC=C二重結合を有する有機基の量をコントロールすることが可能である。特にC=C二重結合を有する有機基の量を低減すれば、縮合生成物から得られる硬化物の靭性が向上し、耐熱衝撃性や切断性に優れた硬化物を得ることができる。
シランジオール化合物(A)、変性シラン化合物(B)、変性シラン化合物(C)、変性シラン化合物(D)、変性シラン化合物(E)の縮合反応は、従来既知の方法、例えば国際公開第01/04186号パンフレットに記載の方法に従って行い得る。好適には、ゾル・ゲル法に従い、20〜100℃の範囲内、より好適には50〜100℃の範囲内の温度、又は最も低沸成分の沸点で、縮合反応を行う。特に好適には、メタノールの沸点で縮合反応を行う。縮合反応後には、例えば加熱及び/又は減圧など通常の方法によって、揮発分を除去する。
この縮合反応を開始又は促進するために、ルイス塩基又はブレンステッド塩基を使用し得る。このような塩基の具体例としては、例えばN−メチルイミダゾール又はベンジルジメチルアミンなどのようなアミンが挙げられる。好適な実施態様においては、トリメチルアミン、フッ化アンモニウム又はアルカリ土類金属水酸化物を塩基として使用し得る。具体的には酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、トリエチルアミン等が使用可能であり、とりわけ、アルカリ土類金属水酸化物として水酸化バリウムを使用することが好ましい。
例えばアルカリ土類金属水酸化物などの不溶性塩基を反応媒体中で使用する場合には、縮合反応が終了後に得られる混合物から、例えば濾過によって、該塩基を分離することが推奨される。
また、前記の塩基に代えて、キレート化され、又はキレート化されていないアルミニウム又はジルコニウムのアルコキシドを、縮合反応のために使用することができる。
本発明の縮合生成物は、そのままで使用し得るが、意図する用途に適合する添加剤を更に含有する組成物としても使用し得る。かかる添加剤には、重合開始剤、流れ調節剤及び顔料などが含まれ得る。好適には、重合開始剤を用い、本発明の縮合生成物を、従来既知の方法に従って光硬化又は熱硬化させることにより硬化物を得る。ここで、縮合生成物を硬化して硬化物を得るにあたっては、縮合生成物を一種のみ用いて硬化させるほか、二種以上の縮合生成物を配合したものを硬化させても良い。
光硬化を行う際に用い得る光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル-ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
また、熱硬化を行う際に用い得る熱重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等の有機過酸化物が挙げられる。とりわけ、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−[t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、α,α'ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン等を、好適に使用し得る。
このようにして得られる硬化物は、材料の取扱い性、スピンコート性、透明性、耐湿性、耐熱衝撃性、切断性または生産性等に優れるため、光導波路デバイスに好適に用い得る。すなわち、この硬化物にてコア及びクラッドを形成して、前記コア及びクラッドを有する光導波路デバイスを形成することができる。
光導波路デバイスを構成する前記コア及びクラッドは、通常、互いに屈折率が相違するよう設計される。屈折率の調整は、例えば、コア及びクラッドに用いるそれぞれの前記の縮合生成物又はその硬化物の組成、置換基、分子量などを相互に変えることにより行い得る。その際、前記の縮合生成物を2種以上調製し、それらのブレンド比率を変える方法も好適に採用し得る。
このようにして作製される光導波路デバイスは、低光損失、低吸湿、フォトパターニング性、切断性、耐熱衝撃性などの特性を兼ね備えたデバイスであり得る。
このようにして得られる光導波路デバイスは熱光学特性に優れ、低消費電力で大きな減衰特性を示し得る。光導波路デバイスとしては、VOA(Variable Optical Attenuator)や光スイッチ等を例示し得る。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例によって何ら制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
〔実施例1〜9、比較例1〜2〕
シランジオール化合物(A)としてジフェニルシランジオールを、変性シラン化合物(B)としてスチリルエチルトリメトキシシランを、変性シラン化合物(C)としてスチリルエチルジメトキシメチルシランを、変性シラン化合物(D)としてトリデカフルオロオクチルトリメトキシシランをそれぞれ用いた。
上記化合物(A)乃至(D)を、表1に示すモル比率で配合し、得られた混合物を25℃で30分攪拌した後、触媒として水酸化バリウム・1水和物を、前記化合物(A)乃至(D)の合計量に対して0.1重量%の割合で添加し、更に30分攪拌した。その後、混合物を60℃に加熱し、還流下で攪拌した。
これを3日間放置した後にFT−IRで分析し、シランジオール化合物(A)(ジフェニルシランジオール)に由来する未反応のOH基の有無を確認したところ、実施例1〜9及び比較例1ではOH基は確認できなかったが、比較例2ではOH基が残存していた。
次いで、反応中に生じたアルコールを、エバポレータを用いて取り除いた後、目開きが0.45μmのフィルタを通すことにより、最終組成物としての合成材料を得た。
(粘度評価)
各実施例及び比較例で得られた合成材料を容器に入れ、この容器を傾けた場合の合成材料の流動の様子を目視で観察することで、この合成材料を高粘度、中粘度、低粘度に分類した。その結果、表1に示すように、実施例1〜9ではいずれも粘度が低いのに対し、比較例1、比較例2はどちらも粘度が高かった。
(材料損失の測定)
前記合成材料の1310nmと1550nmの近赤外光に対する材料損失を求めることにより、通信波長における特性を調べた。
各実施例及び比較例で得られた合成材料に、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、イルガキュア369)を前記合成材料に対して1重量%の割合で添加し、60℃にて60分間加熱攪拌することにより均一に溶解させた。このとき合成材料の粘度が高い場合はこの合成材料にアセトンを加えた後に光重合開始剤を添加し、加熱攪拌の後にアセトンを除去した。
この材料を厚みが一定となるように型枠に入れて、7mW/cm2の強度で10分間紫外線を照射し、光硬化させた。この後、材料を型枠から取出し、窒素雰囲気下に200℃で2時間加熱することにより、更に硬化を促進させた。
このようにして得られた硬化物の材料損失を分光光度計で測定した結果を表1に示す。この結果、それぞれの実施例及び比較例から得られた硬化物としての材料損失は、波長1310nmで0.1〜0.2dB/cm、波長1550nmで0.3〜0.4dB/cmであって大きな相違はなく、近赤外線領域における光の吸収の小さい材料が得られた。
(屈折率の測定)
各実施例及び比較例で得られた合成材料に、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、イルガキュア369)を前記合成材料に対して1重量%の割合で添加したもの80重量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を20重量部添加して溶解させた後、これを目開き0.2μmのフィルタで濾過した。
この材料を、スピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布し、100℃で3分間加熱し、溶媒を除去した。その後、窒素雰囲気下でi線フィルタを通した20mW/cm2の強度の紫外線を5分間照射して硬化させた。更に、窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱することにより、更に硬化を促進した。
このように形成されたシリコンウェハー上の膜について、プリズムカップラー法(メトリコン社製model2010)により、波長1319nm、1547nmでの屈折率をそれぞれ測定した。この結果を表1に示す。
(導波路の作製)
(1)クラッド材料の調製
表2のクラッド材料の欄に示される一種単独の合成材料又は所定割合で二種混合した合成材料に、この合成材料80重量部に対して20重量部のPGMEAを添加して溶解させ、更に光重合開始剤としてイルガキュア369(チバガイギー社製)を合成材料に対して1重量%添加した。これを攪拌した後、目開き0.2μmのフィルタで濾過し、クラッド材料を調製した。
(2)コア材料の調製
表2のコア材料の欄に示される一種単独の合成材料又は所定割合で二種混合した合成材料に、この合成材料75重量部に対して25重量部のPGMEAを添加して溶解させ、更に光重合開始剤としてイルガキュア369を合成材料に対して1重量%添加した。これを攪拌した後、目開き0.2μmのフィルタで濾過した。これにより、上記「屈折率の測定」と同一手法で測定される屈折率が、クラッド材料よりも表2の屈折率差に示す値だけ大きいコア材料を調製した。
(3)アンダークラッド層の作製
シリコンウェハー上にクラッド材料を塗布後、スピンコーターにて1000rpmで回転させ、100℃で3分間加熱した。その後、窒素雰囲気下、20mW/cm2の強度で5分間紫外線硬化させた後、窒素雰囲気下、200℃で1時間ポストベークし、アンダークラッド層を得た。
尚、この際、アンダークラッド層作製後にプラズマ処理等の表面処理を行うことにより、コア材料との密着性を向上させることも可能である。
(4)コア層の作製
アンダークラッド層上にコア材料を塗布後、スピンコーターにて2500rpmで回転させ、100℃で3分間加熱した。その後、マスクを通して、窒素雰囲気下、20mW/cm2の強度で6秒間紫外線硬化させ、メチルイソブチルケトン(MIBK)によって現像した。その後、100℃で3分間加熱し、更に、窒素雰囲気下、20mW/cm2の強度で5分間紫外線硬化させ、7μm×7μmのコア層を得た。
(5)オーバークラッド層の作製
コア層の上にクラッド材料を塗布後、スピンコーターにて1000rpmで回転させ、100℃で3分間加熱した。その後、窒素雰囲気下、20mW/cm2の強度で5分間紫外線硬化させ、オーバークラッド層を得た。その後、窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱した。
(導波路損失の評価)
作製した各直線導波路について、カットバック法(長さの異なる複数の直線導波路の損失を測定し、傾きから単位長さあたりの損失を算出する方法)によって求めた導波路損失を、それぞれ表2に示した。
合成した材料が導波路として十分使用可能であることがわかる。
それぞれの実施例から得られた導波路としての損失は、1310nmで0.2dB/cm、1550nmで0.4〜0.6dB/cmであり、近赤外線領域における光の吸収の小さい導波路が得られた。
(信頼性の評価)
上記のようにして作製した各直線導波路について、温度85℃、湿度85%の雰囲気下中に500時間、1000時間放置後の導波路損失を測定し、初期(放置開始前)の導波路損失と比較した波長1550nmにおける損失増加をもって「吸湿による損失増加」とした(表2)。尚、波長1310nmに関しては、損失増加は見られなかった。
Figure 0005048984
Figure 0005048984
表1に示す結果によれば、各実施例で得られた合成材料は、材料損失が少ないと共に粘度が低く、且つ、どの配合においても合成後の縮合生成物中にシランジオール化合物(A)に由来するOH基の残存が認められなかった。
このことから、シランジオール化合物(A)と変性シラン化合物(B)、変性シラン化合物(C)、変性シラン化合物(D)を0≦b×3+c×2+d×3−a×2≦0.4の範囲内で縮合させることにより得られる縮合生成物は、粘度が小さいことからフィルタリングや配合等の工程において材料の取扱い性が優れ、このため生産性に優れると共にスピンコート後の膜の平滑性にも優れることが明らかになった。
また、表2に示す結果によれば、シランジオール化合物(A)の水酸基と変性シラン化合物(B)乃至(D)のアルコキシ基のモル数を等しくした場合の配合においても、粘度が低く、かつ合成材料中の残留アルコキシ基の量を少なくでき、更に水酸基の残留を無くすことが可能であるため、導波路デバイスとした場合に光通信において使用される波長1310nm、1550nmにおける導波路損失を低減すると共に、吸湿による損失増加を抑制することが可能なことが明らかとなった。

Claims (4)

  1. (A)一般式(1):
    Si(OR (1)
    〔式中、Rは、少なくとも1個の芳香族基を有する炭素原子数が6〜20個の基を示し、Rは、H(Hは重水素Dであってよい)を示す。〕
    で示されるシランジオール化合物と、
    (B)一般式(2):
    Si(OR (2)
    〔式中、Rは、少なくとも1個のC=C二重結合を有する有機基を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
    で示される変性シラン化合物と
    (C)一般式(3):
    Si(OR (3)
    〔式中、Rは、少なくとも1個のC=C二重結合を有する有機基を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
    で示される変性シラン化合物と
    (D)一般式(4):
    Si(OR (4)
    〔式中、Rは、CF(CF(CH−基(n=0〜9の数である)又はC−基(X=H又はFである)を示し、Rは、C2n+1(n=1又は2の数である)を示す。〕
    で示される変性シラン化合物のうち、少なくとも化合物(A)、化合物(C)及び化合物(D)を、
    0≦b×3+c×2+d×3−a×2≦0.4
    〔式中、a乃至dはそれぞれ化合物(A)乃至(D)の総量に対する各化合物(A)乃至(D)のモル比率を示す。〕
    の関係を満たす範囲内で縮合させることにより得られ、上記一般式(2)中のR と一般式(3)中のR のうち少なくとも一方が、CH =CH−C −(CH −基(X=H又はFであり、n=0〜2の数である)であることを特徴とする光導波路用縮合生成物。
  2. 上記一般式(4)中のRが、CF(CF(CH−基(n=5〜7の数である)であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路用縮合生成物。
  3. 請求項1又は2に記載の光導波路用縮合生成物を熱硬化又は光硬化させて成ることを特徴とする硬化物。
  4. コア及びクラッドを含んでなる光導波路デバイスであって、前記コア及びクラッドが、それぞれ請求項に記載の硬化物にて形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
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