JP5052500B2 - Dnaの同時分解を伴う逆転写及びrnaの増幅 - Google Patents

Dnaの同時分解を伴う逆転写及びrnaの増幅 Download PDF

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Description

本発明は、RNAの処理のための方法、特にRNA反応方法、および本発明に記載のRNA反応方法を実施するためのキットに関する。
分子生物学における多数の方法が、リボ核酸(RNA)の分析に繋がる。RNAの分析を可能にするためには、すべての阻害物質および混入物質から精製されなければならない。したがって、たとえば、ゲノムデオキシリボ核酸(DNA)の混入は、阻害作用を有しうるかまたは偽陽性結果に繋がりうる。分子RNA分析のいくつかの方法は、RNAのcDNAへの逆転写で始まる。cDNAはゲノムDNAと、構造および配列の両方で、非常に似ているかまたは同一でさえある。したがってゲノムDNAによる混入は、cDNAを分析すべき場合(たとえばcDNA量の光度測定またはPCRによるその定量)には誤った結果に繋がりうる。
RNAを確実に分析するためには、したがって、対応する分析の前にたとえばゲノムDNAといった他のすべての妨害核酸をRNAから分離するか、またはそれらを個々の成分へ分解する必要がある。DNAおよびRNAについてしばらく使用された分離方法が、いわゆる密度勾配遠心分離である。密度勾配遠心分離のための標準的な物質は、塩化セシウム(CsCl)およびショ糖である。CsClの場合では、密度勾配は、たとえば開始溶液の密度に依存して、遠心分離中に平衡状態において成立し、その中で個々の高分子が、勾配中で固有の密度に対応するゾーンに整列する。遠心分離後に遠心分離容器内で成立した核酸バンドを可視化するために、エチジウムブロマイドがCsCl溶液に添加され、これは核酸に取り込まれおよびUV光で蛍光を発する。この方法は、個々のDNA断片の沈降速度が近いため他の方法では互いに区別するのが非常に困難な、個々のDNA断片の信頼性の高い分離を可能にする。CsCl密度勾配遠心分離では、1.0ないし1.9g/mlの密度値が通常使用される。RNAの浮遊密度は通常、1.9g/mlより大であるため、平衡遠心分離(等密度遠心分離ともいう)では、RNAは密度上限が1.9g/mlである勾配中で試料容器の底に沈む一方、他のすべての種類の分子(DNAを含む)は勾配中でそれぞれのバンドを形成する。このようにして、対応する分離操作はRNAおよびDNAの良好な分離に繋がる。しかし、密度勾配遠心分離法は、使用する化学物質のために相対的に高額であり、装置が非常に複雑であり、およびまた非常に時間がかかる(従来のCsCl勾配では平衡が成立するまでに最大2日間の長い遠心分離運転を必要とする)。
したがって、DNA混入を酵素的に分解するためにRNA調製中または調製後に一種類のDNアーゼまたは数種類のDNアーゼが実験バッチに添加されることによるRNAの単離のために製品が作られている。この目的のための系(いわゆる「キット」)が、キアゲン社(QIAGEN、ドイツ、ヒルデン(Hilden))によって「RNイージー・マイクロ・キット(RNeasy Micro Kit)」および「RNイージー・線維組織キット(RNeasy Fibrous Tissue Kit)」の名称で、およびプロメガ社(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン(Madison))によって「SV総RNA単離システム(SV Total RNA Isolation System)」の名称で市販されている。しかし、これらのRNA調製方法は、純粋なRNAの単離には繋がらない。単離されたRNAはむしろ、ゲノムDNA、塩類、阻害剤などで異なる程度に汚染された材料として存在する。上記で挙げたキットで達成可能な純度のレベルは、多数の用途について実際に適当でありうるが、しかしこれはいくつかの他の分野の用途(たとえばRT−PCR)については当てはまらない。
RNAをさらに濃縮しおよびDNAの量を低減するためにクロマトグラフィー法(たとえばイオン交換クロマトグラフィー、オリゴ−dTクロマトグラフィー)が用いられる別の方法もまた使用されている。しかし、リボソームRNAをこの方法で精製することは不可能である。
最後に、米国特許出願20020042052号は、増幅反応用のバッチからの核酸不純物の除去のための別の方法を記載する。ここでは、増幅バッチ中の不要な二本鎖DNAを実際の増幅反応の前に常に分解する熱不安定性DNアーゼが用いられる。その熱不安定性のため、使用されるDNアーゼは、遅くともPCR反応中の90℃を上回る最初の加熱中に非可逆的に不活性化される。PCR反応は、DNアーゼ反応が終了して初めて開始されうる。引用された米国公開明細書から公知の方法では、DNA分解反応およびRNA反応の同時性はしたがって示唆されない。
また、すべてのこれらのより近年の方法は、しかし、一部で時間がかかりコスト集約的であり、および、いくつかのRNA調製の同時処理中にクロスコンタミネーションにおそらく繋がりうる。さらに、上記の従来公知の方法では、DNA分解はRNA反応またはRNA分析とは同時に起こらないが、しかしDNA分解は実際のRNA反応またはRNA分析の前に常に実施されるということもまた当てはまる。
このように、本発明の基礎となる問題は、上記の公知の方法の欠点を有しない、RNA分析のための方法を提供することである。その新しい方法は、費用効果的で、および要する時間がより短く、および装置についての経費を適度に保たなければならない。
本発明はこの問題を、独立請求項1に記載の方法および独立請求項13に記載のキットによって解決する。本発明の別の有利な実施形態、態様および詳細は、従属請求項、説明、実施例および図面によって提供される。
本発明はしたがって、DNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼ活性を有する酵素によって二本鎖DNAの分解が行われることによってRNA反応および存在する二本鎖DNAの分解が同一の容器内で起こる点で特徴づけられるRNA反応方法に関する。RNA反応および存在する二本鎖DNAの分解は、好ましくは同時に起こる。このことは、反応バッチ中に存在する不要な二本鎖DNAが完全に分解されるかまたは少なくともRNA反応または随伴する分析反応に干渉しないほど分解されるまでRNA反応の開始を待つ必要がもう無いという顕著な長所を有する。また、本発明に記載の方法によって、反応容器を頻繁に開けることによって不純物が反応バッチへ導入される危険が低減される。
また、本発明に記載の方法では、一方でのRNA反応および他方でのDNA分解は、同一の温度にて実施されうる。温度はしたがって、たとえば、10ないし80℃、好ましくは20ないし70℃、特に20ないし60℃の範囲でありうる。
このように本発明は初めて、試料のDNA混入除去をRNA反応と同一の処理に組み合わせる、すなわち一方でDNA混入除去および他方でRNA反応またはRNA分析が連続的にまたは同時にまたは平行して全く同一の反応容器で行われる。典型的なRNA反応は、たとえば、逆転写、1段階RT−PCR(1段階での逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)またはRNAのタグ化反応であるが、しかしこれらに限定されない。
本発明はこのように、分析物としてRNAを含む反応(たとえば逆転写、上記参照)と同時の、望ましくない二本鎖DNA(たとえばゲノムDNA(gDNA)、直鎖または環状DNA、たとえばプラスミドDNA)の分解を確実にする。二本鎖DNAの分解は、DNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼ活性を有する酵素によって、分析物としてRNAを含む反応中に起こる。この酵素は、分子間または分子内二本鎖として存在するDNAのヌクレオチド鎖切断加水分解によって、特異的に切断、または、完全にまたは少なくとも部分的に切断する、一種類のデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)またはいくつかのDNアーゼである。さらに、これらのDNアーゼはDNA一本鎖およびRNA一本鎖およびまたRNA−DNAハイブリッドとして存在するRNAおよびDNAの切断が起こらないかまたは非常に小さい程度である点で特徴づけられる。本発明を用いて、たとえば、RNAが一本鎖DNAへ転写されるcDNA合成反応の存在下での、合成過程によって生じたばかりの一本鎖cDNAがごくわずかしかまたは全く分解されない、二本鎖DNAの分解のための二本鎖特異的DNアーゼの同時使用が初めて可能となる。本発明に記載の使用されうるDNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼは、熱安定性または熱不安定性でありうる。
上述の通り、本発明は、同時の処理における一方でのdsDNA混入の低減および他方でのRNA反応の組み合わせに関する。したがって重要なのは、dsDNA混入除去がたとえば二本鎖特異的DNアーゼを用いて実施される、DNA分解およびまたRNAとの反応が起こるのを等しく可能にする反応条件である。
RNA単離物中の「DNA混入」は、別起源でありうる、および望ましくない分子としてRNAと一緒に同一の反応容器中に存在する任意の二本鎖デオキシリボ核酸分子と定義される。DNAの二本鎖性はまた、一本鎖DNAが自己ハイブリダイゼーションによって折りたたまれて存在しおよびそのようにして二本鎖として少なくともしばらく存在する場合に生じうる。
二本鎖DNA(dsDNA)は、RNAもまた単離されている元の生物材料に由来しうる。これは本質的に核、色素体、またはミトコンドリアDNAでありうる。dsDNAはまた、感染、形質転換、融合、組み込みなどといった生物学的手段によって外部起源から元の生物材料へ移行される可能性もあり、およびしたがって、たとえば、ウイルス、原核または真核起源でありうる。さらに、DNAはまた、たとえば、エレクトロポレーション、形質転換、トランスフェクションまたは他の方法といった自然でない手段によって元の生物材料へ移行されうる。それはゲノムDNA、プラスミドDNA、二本鎖オリゴヌクレオチド(たとえばプライマー二量体といった)または他の形の二本鎖DNAでありうる。さらに、二本鎖DNAはまた、RNA単離中または単離後にRNA調製へ導入されうる。
たとえば下記が「RNA反応」として定義される:
(1) たとえば、分解、タグ化、伸長、修飾などといった、RNAへの任意の形の変化。RNAはしたがって一本鎖、二本鎖として、またはハイブリッド分子(たとえばRNA−DNAハイブリッド)として存在しうる;
分解に関して、たとえば、リボザイム、RNアーゼHおよび/またはsiRNAによってRNAが選択的に分解される、選択的分解である。たとえば変異または化学修飾によって得られたRNアーゼH-酵素もまたRNアーゼHとして使用されうる;
(2) たとえば、(a)逆転写または(b)RNAポリメラーゼによる転写などといった、RNAがポリメラーゼ反応のテンプレートとして用いられる、任意の形の変換;
(a)に関して:逆転写はたとえば、ウイルス、レトロトランスポゾン、細菌などに由来する逆転写酵素といった変異または非変異RNA依存性DNAポリメラーゼによって実施されうる。これらはRNアーゼH活性を有しうるか、または逆転写酵素のRNアーゼH活性が制限されたかまたは存在しないほど変異した逆転写酵素が使用されうる(たとえばMMLV−RTRNアーゼH-)。RNA依存性DNA合成(逆転写)はまた、変異または反応条件変更によって変化した核酸依存性を示しおよびそのようにしてRNA依存性DNAポリメラーゼの機能を得た酵素によっても実施されうる。例としてここに引用されるのは、Tth−DNAポリメラーゼであり、これはDNA依存性であり、および変更した反応条件を用いることによってRNAもまたマトリクスとして使用されうる。
(b)に関して:マトリクスとしてRNAから開始されるRNAポリメラーゼ反応は、たとえば、ウイルス、原核生物または真核生物に由来する変異および非変異RNA依存性RNAポリメラーゼを用いて実施されうる。RNA依存性RNA合成はまた、変異または反応条件変更によって変化した核酸依存性を有しおよびそのようにしてRNA依存性RNAポリメラーゼの機能を得た酵素を用いても実施されうる。例としてここに引用されるのは、T7−RNAポリメラーゼおよびRNAをマトリクスとして用いるRNA増幅方法である(EP 1 056 884);
(3) RNAがたとえば、リボザイムなどといった触媒として機能する、任意の形の変換;
(4) 任意の形の結合反応。少なくとも一つのパートナーがRNAとなるように、結合反応に異なる結合パートナーが含まれうる。下記の結合反応が実行可能であり、たとえば、RNA−RNA、RNA−DNA、RNA−PNA(ハイブリダイゼーションとして大変広く知られている)、RNA抗体反応、RNAアプタマー反応、たとえば抗生物質などといった他の分子とのRNAの認識反応;
(5) 上記の反応 (1)から(4)が反応全体のうちの成分である、任意の形の複合反応、たとえば、直鎖RNA増幅反応(たとえばエバーワイン(Eberwine)、エピクローンズ(epiclones)、ニュージェン(Nugen))、指数RNA増幅方法 (たとえばNASBA、TMA)または他の増幅方法(たとえばSAGE、RT−PCR、RCA)。
本発明について、議論が、「反応参加者」としてのRNAまたは「RNA反応方法」、「RNA反応」または「RNA分析」に関する場合、これはRNAが各反応または分析に実際に関与するがしかし必ずしも変化しないことを意味する。また、本発明に従って、RNAが変化せずに回収される反応(たとえばRNAが触媒またはマトリクスとして用いられる場合)において、または考察が「RNA反応方法」、「RNA反応」または「RNA分析」に言及する場合、RNAは「反応参加者」と呼ばれる。
本発明に関連して「同時に」または「同時性」、「平行して」、「同時の」などが用いられる場合、dsDNA分解およびRNA反応が同一の反応容器内で起こると理解すべきである。dsDNA混入物の分解およびRNA反応はしたがって同時におよび全く同一の反応バッチにおいて実施される。同時性は、RNA反応およびdsDNA混入物の分解が、同時に同一の反応容器内でおよび同一の反応条件下で起こることを表すことが意図される。
本発明に記載の方法において、特に米国特許出願20020042052号により公知の方法とは対照的に、本発明に記載の方法は均一温度にて起こりうること、すなわちRNA反応およびdsDNA分解が同一の温度にて起こりうることもまた有利である。さらに、本発明に記載の方法では、DNアーゼを用いたdsDNA分解後におよび新しい酵素(90℃を超える加熱によっておそらく不可逆的に損傷されうる)を加えるために反応容器を再び開ける必要が無く、そのようにして不必要な混入が回避されうる点でもまた、US 20020042052より公知の方法とは対照的に有益である。
本発明によると、RNA反応は、RNA反応を決定するだけでなく同時にdsDNA混入物の分解も可能にすべき反応条件によって限定される。これは、最適条件がRNAの反応についておよびdsDNAの分解についてそれぞれ設定されないことを意味し、RNA反応およびDNAの分解のための条件が全体を通じて互いに適用されうる。本発明は、RNA反応およびdsDNAの分解が同時に全く同一の反応容器内で起こることを初めて可能にする。
「デオキシリボヌクレアーゼ」、または短縮された「DNアーゼ」はここでは、分子間または分子内二本鎖として存在するDNAのヌクレオチド鎖切断加水分解によって特異的に完全にまたは少なくとも部分的に切断(分解)する酵素、すなわちDNA二本鎖特異的DNAエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素として定義される。このDNアーゼはしたがって、RNA一本鎖のおよびDNA一本鎖のおよびまたRNA−DNAハイブリッドとして存在するRNAまたはDNAの分解または切断が、起こらないかまたは無視可能な小さい程度でしか起こらない点で特徴づけられる。本発明の意味内でのDNアーゼは、配列特異的であるかまたはdsDNAを非特異的に切断する。両方の変異体が本発明に関連して使用されうる。同様に、熱不安定性および/または熱安定性DNアーゼを使用することもまた可能である。このように、各RNA反応の、またはそれぞれの後続の反応を考慮して、酵素が適していることが当業者に明らかである。
dsDNAの「分解」によって、分解過程はこれまですべての場合においてDNAが、RNA反応または以降の用途に対してわずかしかまたはまったく破壊的作用を示さないことが理解されるべきである。分解は、二本鎖DNAのその個別成分(ヌクレオチド)への完全な崩壊を意味しうるが必ずしも必要ではない。本発明の意味において、dsDNAの分解は少なくとも一部がRNA反応と同時に起こる。
下記の酵素が、二本鎖DNAの分解に、特に逆転写酵素反応に使用されうる:
1)配列非依存性(配列非特異的)エンドヌクレアーゼ:これらのエンドヌクレアーゼは、天然酵素(生物からの単離物)または遺伝子組み換え生物(GMO)から調製され、またはこれらの酵素の変異体でありうる。配列非依存性エンドヌクレアーゼの例は、DNアーゼIであり、これは本発明によるとdsDNAの分解のために特に好ましい;
2)配列特異的エンドヌクレアーゼ:これらのエンドヌクレアーゼは、天然酵素(生物からの単離物)または遺伝子組み換え生物(GMO)から調製され、またはこれらの酵素の変異体でありうる。配列特異的エンドヌクレアーゼの例は、酵素AluIまたはHaeIIIである。配列特異的エンドヌクレアーゼの混合物もまた使用されうる。
3)配列特異的エンドヌクレアーゼおよび配列非特異的エンドヌクレアーゼの組み合わせ。
エンドヌクレアーゼは、反応バッチが約0.01から約100U、好ましくは約0.05から約20U、より好ましくは約0.1から約10Uの酵素活性を含むような方法で一般的に用いられる。国際合意によると、1U(ユニット、酵素単位)と表される酵素活性は、a)配列非特異的DNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼについては1分当たり基質1μmolを25℃にて最適条件下で変換するのに必要な酵素の量、およびb)配列特異的DNA二本鎖特異的制限エンドヌクレアーゼについては1時間当たりラムダDNA1μgを37℃にて最適条件下で変換するのに必要な酵素の量に相当する。
RT−PCRの場合には、dsDNAの分解は、逆転写酵素の存在下で実施される。適当な逆転写酵素は、たとえば、HIV、AMV、MMLV、オムニスクリプト(Omniscript(R))(キアゲン社(QIAGEN GmbH))、センシスクリプト(Sensiscript(R))(キアゲン社)などといったレトロウイルス由来の、またはレトロトランスポゾン由来の逆転写酵素である。逆転写酵素は、アミノ酸配列について元の生物に対応する可能性があり、または元の生物からの変動、たとえば、RNアーゼH活性の欠損、進化性の変化または酵素の熱安定性への影響に繋がる変化を有しうる。逆転写酵素活性をほとんどまたはまったく有しないDNAポリメラーゼもまた使用することができ、および適当な反応条件の使用によってまたは変異によって(たとえばrTthポリメラーゼ)、逆転写酵素として使用されうる。
逆転写酵素の存在下でその中でdsDNA分解が起こる水系緩衝溶液は少なくとも下記を含む:
1)DNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼ(上記の通り);
2)逆転写酵素(上記の通り);
3)実験バッチのpH値を干渉する緩衝物質;
4)pH値6ないし10、特に好ましい7ないし9;および
5)逆転写酵素反応およびゲノムDNAの酵素分解を支持する、たとえば、Mg2+(濃度範囲0.1ないし50mMで)、Mn2+(濃度範囲0.01ないし10mMで)、またはCa2+(濃度範囲0.01ないし50mMで)といった2価陽イオン。
反応バッチはまた、たとえば、他の酵素、2価陽イオンまたは塩といった他の成分を含みうる。熱安定性DNAポリメラーゼもまたしたがって存在しうる。
反応温度は、たとえば、10ないし70℃、好ましくは15℃ないし60℃、特に非常に好ましくは20℃ないし50℃でありうる。
本発明はさらに、請求項1から12のいずれかに記載の方法を実施するためのキットに関し、キットは請求項1から12のいずれかに記載の方法を実施するための少なくとも一つの逆転写酵素、DNA二本鎖特異的エンドヌクレアーゼおよび反応緩衝液を含み、および一個の容器内でのdsDNA分解を含む。好ましくはキットは、cDNA合成の実施用かまたは1段階RT−PCRの実施用である。キットが1段階PCRの実施に用いられる場合は、キットは追加で熱安定性DNAポリメラーゼを含みうる。
本発明は実施例によって下記により詳細に記載される。
実施例1
各例でHeLa細胞由来のgDNA1μgおよび総RNA1μgを、逆転写酵素反応での使用のために混合した。逆転写酵素反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、dNTP、RNアーゼ阻害剤、緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のオムニスクリプト(Omniscript)RTキットからの緩衝液RT)および逆転写酵素(オムニスクリプト(Omniscript(R))、キアゲン社(ドイツ、ヒルデン)の商標)を含む水系媒体中で実施された。さらに異なる二本鎖特異的DNアーゼが添加された:
(1)10U量のAluI制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社(Roche)(ドイツ、マンハイム(Mannheim))より入手可能);
(2)10U量のHaeIII制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社)。
(3)10U量のRNアーゼフリーDNアーゼI(ロシュ社);
(4)10U量のAluI制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社)および10U量のHaeIII制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社)。
別の一つの反応バッチにはDNアーゼは添加されなかった。このバッチは対照として用いられた。反応混合物は1時間37℃にてインキュベートされ、および次いで(A)PCRによってcDNA分解に関して分析され、および(B)RNA完全性およびDNA分解に関してアガロースゲル(1.2%)で分析された。
結果を図1に示す。gDNAの分解は、DNアーゼAluI、HaeIII、DNアーゼIを用いてまたはDNアーゼAluIおよびHaeIIIの混合物を用いて認識可能であり、それによってrRNAの完全性は損傷されなかった。同様に、β−アクチン転写物のRT−PCRシグナルに基づいて、DNアーゼAluI、HaeIII、DNアーゼI、またはDNアーゼAluIおよびHaeIIIの混合物の存在は、シグナル強度の変化を生じないことが明らかになり、このことは使用したDNアーゼがRT反応を損なわなかったことを実証する。
実施例2
各回でHeLa細胞由来の総RNA1ngが、逆転写酵素反応での使用のために1μgの0.2〜9.5kB RNAラダー(インビトロジェン社(Invitrogen))と混合された。逆転写酵素反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、dNTP、RNアーゼ阻害剤、緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のオムニスクリプト(Omniscript)RTキットからの緩衝液RT)および逆転写酵素(オムニスクリプト(Omniscript(R))、キアゲン社(ドイツ、ヒルデン)の商標)を含む水系媒体中で実施された。さらにDNA二本鎖特異的−エンドヌクレアーゼDNアーゼI(RNアーゼフリーDNアーゼI)が添加された。エキソヌクレアーゼVII(「エキソVII」)が他のバッチに添加された。
DNアーゼI(ウシ膵臓由来;ロシュ社(Roche)(ドイツ、マンハイム(Mannheim))より入手可能)およびエキソヌクレアーゼVIIは異なる量で用いられた。別の一つの反応バッチにはヌクレアーゼは添加されなかった。このバッチは陽性対照として用いられた。エキソヌクレアーゼVIIを含むバッチは陰性対照として用いられた。エキソヌクレアーゼVIIは二本鎖特異的でなく、および一本鎖DNAを分解できる。各反応混合物は1時間37℃にてインキュベートされ、および次いでPCRによってcDNA分解に関して分析された。β−アクチン転写物全体がPCRで増幅された。
結果を図2に示す。DNアーゼIは逆転写酵素反応の障害に繋がらなかった。これは陽性対照と明らかに逆である。DNアーゼIはRT−PCR断片について陽性対照の強度に相当するシグナル強度を示す。陰性対照として使用された一本鎖特異的ヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼVIIだけが、一本鎖−cDNAの相当な分解に繋がり、そのためRT−PCR特異的シグナルは見つからなかった。
実施例3
それぞれHeLa細胞由来のゲノムDNA1μgおよび総RNA1μgを、逆転写酵素反応での使用のために混合した。逆転写酵素反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、dNTP、RNアーゼ阻害剤および緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のオムニスクリプト(Omniscript)RTキットからの緩衝液RT)を含む水系媒体中で実施された。さらに異なる量の二本鎖特異的ヌクレアーゼが添加された:
(1)0〜10U量のAluI制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社(Roche)(ドイツ、マンハイム(Mannheim)));
(2)0〜10U量のHaeIII制限エンドヌクレアーゼ(ロシュ社(ドイツ、マンハイム));および
(3)0〜10U量のRNアーゼフリーDNアーゼI(ロシュ社(ドイツ、マンハイム))。
一本鎖cDNAの合成に対するヌクレアーゼの影響を調べることができるように、逆転写酵素が一組のバッチに添加された。ゲノムDNAの分解を追跡できるように、別の一組のバッチには逆転写酵素は添加されなかった。反応混合物は1時間37℃にてインキュベートされ、および次いでPCRによって分析された。cDNA合成が追跡されたバッチでは、β−アクチン転写物の完全なcDNAが増幅された。ゲノムDNAの分解が追跡されたバッチでは、β−アクチン遺伝子の5'末端由来の領域が増幅された。プライマーセットはイントロンを補うため、ゲノム増幅物は600bpを超えるサイズを示し、一方でcDNAの増幅物は約200bpのサイズを有する。
結果を図3に示す。図3は異なるヌクレアーゼ濃度を用いたバッチがトラック上で調べられている1%アガロースゲルの写真を示す。図3から、逆転写は試験したヌクレアーゼの存在によって障害されなかったのがわかり、このことは3種類すべてのヌクレアーゼについてcDNAバンドがすべての濃度で明瞭に見えるままである点で認められる、図3の上部参照。対照的に、ヌクレアーゼの使用は、ゲノムDNA一定の最小量のヌクレアーゼ(5U)が添加される場合にゲノムDNAのおおよそ完全な分解に繋がることが等しく明らかである、図3の下部参照。
実施例4
各回でHeLa細胞由来の総RNA150ngが、逆転写酵素反応条件下でDNアーゼ反応を実施するために、gDNA150ngと混合された。反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、dNTP、RNアーゼ阻害剤および緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のオムニスクリプト(Omniscript)RTキットからの緩衝液RT)を含む水系媒体中で実施された。さらに0;0.1;0.5;または2.5単位の二本鎖特異的ヌクレアーゼ(RNアーゼフリーDNアーゼI)がバッチに添加された。また、塩化マグネシウム0mM、0.5mM、1mM、1.5mM、2mMまたは2.5mMがバッチに添加された。逆転写酵素反応条件下でのDNアーゼI活性を調べるために、逆転写酵素は添加されなかった。反応混合物1時間37℃にてインキュベートされた。DNA分解は次いで定量リアルタイムPCRによって分析された。このために各回1μlの反応混合物がリアルタイムPCR用に使用された。β−アクチンの5'末端由来の200bp断片を増幅したプライマー対が使用された。結果として生じた増幅物はSYBRグリーンで検出された。
結果を図4および表1に示す。ゲノムDNAの分解はCT値から決定し、および使用したRNアーゼフリーDNアーゼIの量に依存する。RNアーゼフリーDNアーゼIの活性は、CT最高値がDNアーゼ2.5Uおよび2mM MgCl2で得られたため、追加の塩化マグネシウムの添加によって調節されうる。
実施例5
各回でHeLa細胞由来の総RNA150ngが、逆転写酵素反応での使用のために、gDNA0ngまたは150ngと混合された。反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、dNTP、RNアーゼ阻害剤および緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のオムニスクリプト(Omniscript)RTキットからの緩衝液RT)を含む水系媒体中で実施された。さらに、2.5単位の二本鎖特異的エンドヌクレアーゼ(RNアーゼフリーDNアーゼI)が一部のバッチに添加された。一本鎖cDNAの合成に対するヌクレアーゼの影響を調べることができるように、逆転写酵素が一組のバッチに添加された。ゲノムDNAの分解を追跡できるように、別のバッチには逆転写酵素は添加されなかった。反応混合物は1時間37℃にてインキュベートされた。次いでcDNA合成およびDNA分解が定量リアルタイムPCRによって分析された。各例で1μlおよび0.1μlの逆転写酵素反応物がリアルタイムPCRに使用された。β−アクチンの3'末端由来の210bp断片を増幅したプライマー対が使用された。結果として生じた増幅物はSYBRグリーンで検出された。
この試験の結果は、逆転写はRNアーゼフリーDNアーゼIの存在によって障害されなかったということであった。RNアーゼフリーDNアーゼIの使用によって、ゲノムDNAは1000倍を超えて分解された。同時に、生じたcDNAは消化されなかったかまたは有意でない消化しかされなかった。結果を表2に列記する。
DNアーゼ段階はまた、実際のRNA修飾反応の前に非常に短い反応で実施することができ、それによって、しかし、上記のバッチでのようにDNアーゼは反応混合物中に残りおよび熱不活性化または精製段階によって系から除去されない。
実施例6
各回でHeLa細胞由来の総RNA10pgから1μgが、逆転写酵素反応での使用のために、等量のgDNAと混合された。反応は、逆転写のためのオリゴ−dTプライマー、ランダム8量体、dNTP、RNアーゼ阻害剤および緩衝液(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden)のクオンティテクト(QuantiTect(R))逆 転写キットからのgDNAワイプアウト緩衝液およびクオンティスクリプト(Quantiscript)RT緩衝液)を含む水系媒体中で実施された。また2.5単位の二本鎖特異的エンドヌクレアーゼ(RNアーゼフリーDNアーゼI)が一部のバッチへ添加された。一本鎖cDNAの合成に対するヌクレアーゼの影響を調べることができるように、逆転写酵素が一組のバッチに添加された。ゲノムDNAの分解を追跡できるように、別の一組のバッチには逆転写酵素は添加されなかった。実際のcDNA合成の前に、DNアーゼ段階が2分間37℃にて実施された。その後はじめて反応 混合物が15分間逆転写酵素の存在下で37℃にてインキュベートされた。次に、cDNA合成およびDNA分解が定量リアルタイムPCRによって分析された。各例で1μlの逆転写酵素反応物がリアルタイムPCRに使用された。クオンティテクト(QuantiTect)遺伝子発現アッセイ(キアゲン社(ドイツ、ヒルデン))がGenRPSLAに、クオンティテクト・プローブPCRキット(同じくキアゲン社より)と一緒に用いられ、これはホットスター(HotStar)TaqDNAポリメラーゼ(キアゲン社)、反応緩衝液およびdNTPといったすべての必要な反応成分を含む。ホットスターTaqDNAポリメラーゼは15分間95℃にて再活性化され、その後PCRが50サイクル、下記の温度プロファイルを用いて実施された:15秒56℃、30秒76℃、30秒94℃。逆転写酵素反応は、PCR反応での使用の前に、5分間95℃にて不活性化された。ゲノムDNA減少の程度は下記の表3でCT値として報告される:
結果は、インキュベートが実際の逆転写酵素段階の前に行われるRNアーゼフリーDNアーゼIの使用によって、ゲノムDNAが一般的に1000倍を超えて減少することを示す。
別のバッチを用いて、DNアーゼ段階もまたいわゆる1段階RT−PCRの処理に統合可能であることが示された。1段階RT−PCR反応では、逆転写酵素段階および続くPCR段階に必要なすべての試薬を含む反応バッチ全体が混合される。反応は逆転写で開始され、および反応容器を開けることなくPCR段階へ直接続く。下記の実施例は、DNアーゼ段階もまた、操作者がそれ以上干渉できないそのような連続的な方法の系へ導入されうることを示す。
実施例7
各例でHeLa細胞由来の総RNA20ngおよび高分子gDNA20ngがそれぞれの1段階RT−PCRに用いられた。CaCl2150μMが反応に添加された。各反応はクオンティテクト(QuantiTect)RT−PCRキット(キアゲン社(QIAGEN GmbH)(ドイツ、ヒルデン(Hilden))を使用して実施され、このキットは逆転写酵素、ホットスター(HotStar)TaqDNAポリメラーゼ、反応緩衝液およびdNTPといったすべての必要な反応成分を含む。反応はDNアーゼIありまたは無しで開始された。逆転写酵素cDNA由来の追加のシグナルを得ることのないように、ゲノムDNAを検出するためだけの反応で使用されなかった。DNアーゼIが使用された反応バッチに、0.25単位のDNアーゼIを加えた。ゲノムDNA中に同一の配列が存在する転写物領域が標的遺伝子として検出された。ゲノムDNAおよびcDNAから生じたPCR産物は同一のサイズを有し、およびしたがって同一の効率で増幅および検出されるはずである。
結果は図5に示され、および下記のように要約されうる。ゲノムDNAのCT値はDNアーゼの使用によって6サイクルより大きく増加し、これは100倍のgDNA分解に相当し、一方でcDNAのCT値は有意でない変化しかしない。このことは、gDNA除去段階もまた1段階RT−PCRにおいて使用可能でありおよびゲノムDNAの有意な分解に繋がり、一方でcDNAは未変化のままであり、または有意でない分解しかされないという結論に繋がる。RNA(cDNA)の使用に際してのCT値の上昇は、本質的に、RNA試料に含まれるゲノムDNAの減少に帰することができる。
実施例1に記載の電気泳動の結果を示すアガロースゲルの写真。 さまざまなヌクレアーゼによる逆転写酵素反応の可能な作用に関する実験の結果が示される棒グラフ(実施例2)。 実施例3に記載の電気泳動の結果を示すアガロースゲルの写真。 表1に列記する結果を図示する図。 実施例7に記載の、cDNAおよびgDNAシグナルに対する膵臓DNアーゼの作用を示す棒グラフ。

Claims (9)

  1. 二本鎖DNAの分解が制限エンドヌクレアーゼを用いて実施されることにより、逆転写および存在する二本鎖DNAの分解が同一の反応容器内で同時におよび同一の温度にて実施される点で特徴づけられる逆転写方法であって、
    逆転写のためのポリメラーゼ反応の鋳型としてRNAが用いられ、逆転写反応が、RNアーゼH活性を有する、RNA依存性DNAポリメラーゼによって実施される、方法
  2. RNAのタグ化、伸長および/または修飾をさらに含む、請求項に記載の方法。
  3. RNAが触媒として作用する点で特徴づけられる、請求項1または項に記載の方法。
  4. 反応がpH値6ないし10にて実施される点で特徴づけられる、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  5. 反応がpH値7ないし9にて実施される、請求項に記載の方法。
  6. 反応バッチが2価陽イオンを含む点で特徴づけられる、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  7. 2価陽イオンがMg2+、Mn2+および/またはCa2+である点で特徴づけられる、請求項に記載の方法。
  8. 前記制限エンドヌクレアーゼが、AluI及びHaeIIIのうちの少なくとも一つである、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  9. キットが少なくとも一つのRNアーゼH活性を有するRNA依存性DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、および反応緩衝液を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
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