JP5070828B2 - 無アルカリガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)実質的にアルカリ金属イオンを含まない無アルカリガラスであること(ガラス基板中のアルカリ金属酸化物が、アルカリ金属イオンとして薄膜中に拡散し、膜特性を劣化させることがあるので、その劣化防止のため)。
(2)高い歪点を有していること(薄膜トランジスタ(TFT)の形成工程で、ガラス基板が高温にさらされることによるガラス基板の変形、収縮を最小限に抑えるため)。
(3)TFT形成に用いる各種薬品に対して充分な化学的耐久性を有すること。特にSiOXやSiNXのエッチングに使用するバッファードフッ酸(フッ酸+フッ化アンモニウム;BHF)、ITO(スズがドープされたインジウム酸化物)のエッチングに用いる塩酸を含有する薬液、金属電極のエッチングに用いる各種の酸(硝酸、硫酸等)、またはアルカリ性のレジスト剥離液に対して耐久性があること。
(4)ガラス基板の内部および表面に、ディスプレイ表示に影響を及ぼす欠点(泡、キズ等)をもたないこと。
しかし、As2O3およびSb2O3、特にAs2O3は溶融ガラスから気泡を取り除くという点で、きわめて優れた清澄剤であるが、環境への負荷が大きいため、その使用の抑制が求められている。
また、ガラス原料にSnO2を添加し、該ガラス原料を1350℃以上に加熱し、減圧下で脱泡する方法が提案されている(特許文献2)。該方法は、上記方法同様に、SnO2の還元反応で生じる酸素ガスが、溶融ガラス中の微小な泡とともに減圧下で大きな気泡となって溶融ガラス表面に浮上し脱泡させるものである。
また、SnO2の還元反応により酸素ガスが発生する温度はどのような組成のガラスでも同様というものではないこと、さらに脱泡効果は溶融ガラス粘度にも影響されることを見出し、減圧値等の規定(特許文献2)だけでは泡の抑制効果が不十分であることを本願発明者は見出した。
したがって、本発明は、泡の少ない無アルカリガラス及び効率的に泡を少なくする無アルカリガラスの製造方法を提供することを目的とする。
特に、一辺が2m以上の矩形の大きな面積を有するディスプレイ用ガラス基板に対して泡が少ないことは有効である。
また、本発明は、原料を溶解して、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO及びBaOをガラス母組成として含有し、アルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、前記ガラス母組成の塩基性度が、0.490〜0.505であり、logη=2(ηは粘度)となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃である、Snを含む無アルカリガラスを製造する方法であって、前記原料を1400〜1550℃に加熱して溶融ガラスとする溶解工程1と、前記溶解工程1の後、前記溶融ガラスを1530〜1680℃に加熱してガラス中の泡を脱泡させる溶解工程2とを具備し、前記溶解工程2における溶融ガラスの温度を、前記溶解工程1における溶解ガラスの温度より30℃以上高くする無アルカリガラスの製造方法を提供する。
本発明の無アルカリガラスは泡が少ないので液晶ディスプレイパネル用の基板ガラスとして好適である。
特に、薄板、大型の基板ガラス(例えば、板厚0.3〜1.1mm、一辺が2m以上の矩形)に適用することができる。
本発明の無アルカリガラスは、
SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO及びBaOをガラス母組成として含有し、アルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、前記ガラス母組成の塩基性度が、0.490〜0.505であり、logη=2(ηは粘度)となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃である、Snを含む無アルカリガラスである。
本発明の無アルカリガラスにおいて、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO及びBaOを含有するガラス母組成(以下、「母組成」という。)の塩基性度の値が、0.490〜0.505である。
γiはPaulingの電気陰性度χと次の数式(2)で表される関係にある。
SiO2、Al2O3、B2O3は、母組成の塩基性度を低くし、粘度ηを高くしうる成分である。
MgO、CaO、SrO、BaOは、母組成の塩基性度を高くし、粘度ηを低くしうる成分である。
したがって、MgO、CaO、SrO、BaOの組成割合を調整することによって、ガラス母組成の塩基性度を詳細に制御することができる。
ガラス中の陽イオンiとしては、Si4+、Al3+、B3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+が挙げられる。
ガラス中の全酸化物イオンは、(各成分1分子が有する酸素原子の個数×各成分のモル%)の和となる。
例えば、SiO2:50mol%、Al2O3:10mol%、CaO:40mol%のガラスの場合、ガラス中の全酸化物イオンは、[2×0.5(SiO2)+3×0.1(Al2O3)+1×0.4(CaO)]となり、ガラス中の全酸化物イオンに対する各陽イオン(Si4+、Al3+、Ca2+)の割合riは次のように計算できる。
rsi=[1(SiO21分子が有するケイ素原子の数)×0.5(SiO2のモル%)]/[2×0.5(SiO2)+3×0.1(Al2O3)+1×0.4(CaO)]
≒0.294
rAl=[2(Al2O31分子が有するアルミニウム原子の数)×0.1(Al2O3のモル%)]/[2×0.5(SiO2)+3×0.1(Al2O3)+1×0.4(CaO)]
≒0.118
rCa=[1(CaO1分子が有するカルシウム原子の数)×0.4(CaOのモル%)]/[2×0.5(SiO2)+3×0.1(Al2O3)+1×0.4(CaO)]
≒0.235
なお、塩基性度Λcalは経験式による計算光学的塩基性度であり、J.A.Duffy and M.D.Ingram, J.Non-Cryst.Solids 21(1976)373において提案されている。
尚、本発明において、Sn−レドックスはメスバウアー分光法により測定されるものである。
また、母組成の塩基性度は、0.493〜0.502が好ましく、0.496〜0.502がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいては、logη=2(ηは粘度[dPa・s])となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃である。
本発明において、粘度ηは、溶解された溶融ガラスの粘度である。
logη=2となる溶融ガラス温度を以下「T2」ということがある。
T2は、1550〜1650℃が好ましく、1560〜1620℃がより好ましい。
なお、本発明において、T2は、高温回転粘度計を用いて測定されるものである。
SnO2は、原料を加熱し溶解する際に、下記反応式(3)に示すようにSnOに還元されて酸素を発生させ、発生した酸素は溶融ガラスに含まれる泡とともに溶融ガラス表面に浮上する。
本願発明者は、無アルカリガラスの塩基性度を0.490〜0.505とすることによって溶融ガラス中におけるSnO2からSnOへの還元反応を促進してSn−レドックスを増加させることができるという、塩基性度によるSn−レドックスの制御方法を見出した。
図1は、異なるガラス組成の無アルカリガラスの塩基性度に対する、Sn−レドックスおよび1/η(1/ηは溶融ガラス中の泡の浮上速度にほぼ比例するもの)の関係を示すグラフである。
実験は、それぞれの無アルカリガラスを1500℃で30分保持した後、溶解温度を1630℃に上げて30分保持させた際のSn−レドックス、粘度ηを測定している。
1630℃において、母組成の塩基性度が高いガラスであるとSn−レドックスが低いこと、また母組成の塩基性度が0.490〜0.505である場合、Sn−レドックスが15〜30%となることが示されている。
また、図1において、母組成の塩基性度が高いと1/ηが高くなることが示されている。
下記成分をガラス母組成として含有し、
前記ガラス母組成の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部のSnO2を含有し、
酸化物基準のmol百分率表示による成分が、
SiO2 58〜68mol%
Al2O3 7〜15mol%
B2O3 0〜15mol%
MgO 3〜15mol%
CaO 3〜15mol%
SrO 2〜8mol%
BaO 0〜0.2mol%
MgO+CaO+SrO+BaO 13〜20mol%であるのが好ましい。
SiO2の量が68mol%以下である場合、失透傾向を抑制できる。
また、SiO2の量が58mol%以上の場合、耐酸性に優れ、密度が低く、高い歪点を有し、線膨張係数を低くし、ヤング率を高くすることができる。
Al2O3の量が7mol%以上である場合、分相性を抑制し、歪点を上げ、ヤング率を高くすることができる。
Al2O3の量が15mol%以下である場合、失透傾向を抑制し、耐酸性、耐BHF性に優れる。
B2O3をこのような範囲で含有させると密度を低下させ、密度を低下させ、耐BHF性を向上させ、ガラスの溶解反応性を向上させ、失透傾向を抑制できるので好ましい。
この含有率が高すぎると、ヤング率を低下させ、耐酸性を低下させる場合がある。
MgOの量が4mol%以上である場合、密度を低下させ、溶解反応性を向上させ、線膨張係数を高くせず、歪点を低下させないので好ましい。
MgOの量が10mol%以下である場合、ガラスが分相しにくく、失透傾向を抑制でき、耐酸性に優れる。
CaOをこのような範囲で含有させると密度を低下させ、線膨張係数を高くせず、歪点を低下させず、耐酸性を改善させ、溶解反応性を向上させ、粘性を低下させ、ガラスが分相しにくく、失透傾向を抑制できるので好ましい。
この含有率が高すぎると線膨張係数の増大、密度の増大を招く場合がある。
SrOをこのような範囲で含有させると密度を低下させ、線膨張係数を高くせず、歪点を低下させず、耐酸性を改善させ、溶解反応性を向上させ、粘性を低下させ、ガラスが分相しにくく、失透傾向を抑制できるので好ましい。
この含有率が高すぎると線膨張係数の増大、密度の増大、耐酸性の低下を招く場合がある。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合計量が13mol%以上である場合、粘性が低くなるので好ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合計量が20mol%以下である場合、線膨張係数、歪点、耐酸性に優れる。
SnO2は、無アルカリガラス中の泡をより少なくする観点から、また、無アルカリガラス表面のSnの析出を安定して抑制する観点から、SnO2の無アルカリガラス中の含有量が、前記母組成の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部であるのが好ましく、0.15〜0.5質量部であるのがより好ましい。
原料を溶解して、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO及びBaOをガラス母組成として含有し、アルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、前記ガラス母組成の塩基性度が、0.490〜0.505であり、logη=2(ηは粘度)となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃である、Snを含む無アルカリガラスを製造する方法であって、
前記原料を1400〜1550℃に加熱して溶融ガラスとする溶解工程1と、
前記溶解工程1の後、前記溶融ガラスを1530〜1680℃に加熱してガラス中の泡を脱泡させる溶解工程2とを具備し、
前記溶解工程2における溶融ガラスの温度を、前記溶解工程1における溶解ガラスの温度より30℃以上高くする無アルカリガラスの製造方法である。
Clは、母組成原料の総量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部含有するのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5質量部である。
まず、本発明の無アルカリガラスになるように工業用ガラス原料を調製する(調製工程)。
溶解工程は、原料を溶解窯へ投入し加熱し原料を溶融ガラスとする溶解工程1と、その後、溶融ガラスをさらに加熱してガラス中の泡を脱泡させる溶解工程2とを具備するのが、SnO2の還元反応による酸素を一挙に発生させ、泡がより少ない無アルカリガラスが得られるという観点から好ましい。
初期温度1500℃でのSn−レドックスは0%以上10%以下であることが好ましい。
また、初期温度1530℃でのSn−レドックスは0%超20%未満であることが好ましい。
到達温度1630℃でのSn−レドックスは15〜30%であることが好ましい。
また、到達温度でのSn−レドックスは、初期温度でのSn−レドックスよりも10%以上高いことが好ましい。
減圧脱泡における絶対圧は、160〜660torr(21,328〜87,978Pa、1torr=133.3Paとして計算)であるのが好ましく、より好ましくは200〜400torr(26,660〜53,320Pa)である。
溶解工程1、2において使用される、溶解窯の仕様、また原料、溶融ガラスを加熱する方法は特に制限されない。
本発明の無アルカリガラスは、耐還元性にすぐれているので、成形の際に還元雰囲気に晒されるフロート法に有効である。
また、本発明の無アルカリガラスは、ダウンドロー法、フュージョン法等のフロート法以外の方法を用いても成形することができるが、大型の板ガラスを安定して生産できるフロート法に特に適している。
熱膨張係数がこのような範囲である場合、大型(例えば、一辺が2m以上の矩形)の液晶ディスプレイパネル用の基板として好適に使用することができる。
なお、本発明において、熱膨張係数は、指差熱膨張計(TMA)を用いて測定された、50℃〜350℃の平均線膨脹係数である。
表1、2の例1〜10は実施例、例11〜13は比較例を示す。
成形後のガラスが表1、2の母組成(SiO2〜BaO(mol%))となるように母組成原料を調製すると共に、該母組成原料の総量100質量部に対して表1、2のSnO2〜F(質量部)が母組成原料に含まれるように原料を調製し、ガラス原料とする。
また、表1、2のSnO2〜Fの、カッコが付されていない数値は母組成原料の総量100質量部に対する各成分の量(質量部)を示す。
表1、2のSnO2〜Fの、カッコ内の数値は成形後のガラス中の母組成の総量100質量部に対する各成分の量(質量部)である。
また、表中、「<」は数値が定量限界未満であることを示す。
原料を白金るつぼに入れ、以下に示す評価に対応する方法で無アルカリガラスを作製した。
ガラス母組成の塩基性度、T2(logη=2となる溶融ガラス温度)、T2.5(logη=2.5となる溶融ガラス温度)、1630℃におけるlogη、1630℃における1/η、Sn−レドックス、泡数、熱膨張係数、得られた無アルカリガラスの組成を下記の方法により測定、分析した。結果を表1、2に示す。
母組成の成分から数式(1)、(2)より求めた。
溶融ガラスの粘度ηは、高温回転粘度計を用いて測定された。
また、このデータをもとに、T2(logη=2となる溶融ガラス温度)、T2.5(logη=2.5となる溶融ガラス温度)、1630℃におけるlogηを算出した。
また、例1、8、12、13の原料について1500℃で30分間溶解した後1630℃で30分間溶解させた際における1/ηを算出した。
1/ηは、溶融ガラス中における泡の浮上速度にほぼ比例する。
結果を表1、2および図1に示す。
原料を白金るつぼに入れ、1500℃で30分間加熱し溶解し(溶解工程1)この後、1630℃で30分間溶解し(溶解工程2)、その後冷却して760℃で1時間保持後12時間かけて室温まで冷却して得られたガラスについて、Sn−レドックスを測定した。
Sn−レドックスは、Sn−メスバウアー分光法によってガラス中のSn2+量を室温で測定し、[Sn2+量/全Sn]で算出した値である。
結果を表1、2および図1に示す。
結果を表3および図2に示す。
119mSnから119Snへのエネルギー遷移に伴って発生するγ線(23.8keV)をプローブにして、透過法(ガラス試料を透過したγ線を計測)により、試料中のSnの2価と4価の存在割合(Sn−レドックス)を測定した。具体的には、以下の通りである。
放射線源のγ線出射口、ガラス試料、Pdフィルター、気体増幅比例計数管(LND社製、型番45431)の受光部を300〜800mm長の直線上に配置した。
放射線源は、10mCiの119mSnを用い、光学系の軸方向に対して放射線源を運動させ、ドップラー効果によるγ線のエネルギー変化を起こさせた。放射線源の速度はトランスデューサー(東陽リサーチ社製)を用いて、光学系の軸方向に−10〜+10mm/秒の速度で振動するように調整した。
ガラス試料は、前記の得られたガラスを3〜7mmの厚さに研磨したガラス平板を用いた。
Pdフィルターは、気体増幅比例計数管によるγ線の計測精度を向上させるためのものであり、γ線がガラス試料に照射された際にガラス試料から発生する特性X線を除去する厚さ50μmのPd箔である。
気体増幅比例計数管は、受光したγ線を検出するものである。気体増幅比例計数管からのγ線量を示す電気信号を増幅装置(関西電子社製)で増幅して受光信号を検出した。マルチチャンネルアナライザー(Wissel社CMCA550)で上記の速度情報と連動させた。
気体増幅比例計数管からの検出信号を縦軸に、運動している放射線源の速度を横軸に表記することで、スペクトルが得られる(メスバウアー分光学の基礎と応用 45〜64頁 佐藤博敏・片田元己共著 学会出版)。評価可能な信号/雑音比が得られるまでに、積算時間は2日から16日を必要とした。
0mm/秒 付近に出現するピークがSnの4価の存在を示し、2.5mm/秒と4.5mm/秒 付近に出現する2つに分裂したピークが2価の存在を示す。それぞれのピーク面積に補正係数(Journal of Non-Crystaline Solids 337(2004年) 232-240頁 「The effect of alumina on the Sn2+/Sn4+ redox equilibrium and the incorporation of tin in Na2O/Al2O3/SiO2 melts」 Darja Benner,他共著)(Snの4価:0.22、Snの2価:0.49)を乗じたものの割合を計算し、2価のSn割合をSn−レドックス値とした。
原料を300ccの白金るつぼに入れ、1500℃の電気炉で30分間静置し溶解した後、1590℃の電気炉に移し替え、30分間静置した。その後、760℃の電気炉に移し替え、2時間かけて560℃までガラスを徐冷し、さらに約10時間かけて室温までガラスを徐冷した。るつぼ上部中央のガラスをコアドリルで直径38mm、高さ35mmの円柱状ガラスにくり貫き、該円柱状ガラスの中心軸を含む厚さ2〜5mmのガラス板に切り出した。切り出し面両面を光学研磨加工(鏡面研磨仕上げ)した。るつぼのガラス上面から1〜10mmの間に相当する部位について、光学研磨加工面を実体顕微鏡で観察し、ガラス板中の直径50μm以上の泡数を計測し、その値をガラス板の体積で割り、得られた数値を泡数とした。
泡数は、好ましくは200個以下、より好ましくは100個以下、さらに好ましくは50個以下である。
熱膨張係数は、指差熱膨張計(TMA)を用いて測定された、50℃〜350℃の平均線膨脹係数である。
得られた無アルカリガラス中の、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaOの含有量、ならびにSnO2、SO3、FおよびClの無アルカリガラス中の残存量は、蛍光X線分析装置を用いて測定した。
図2において、ガラス母組成の塩基性度が0.490未満でありT2が1680℃を超える例12は、原料が加熱され、約1400℃付近からSnO2のSnOへの還元反応が起こり始め、約1450℃付近(Sn−メスバウアー分光の測定法によるSn−レドックス約10%)から、SnO2のSnOへの還元反応が活性化するため、原料がガラス化する1500℃付近では、還元反応による酸素泡(初期泡)が、既に溶融ガラス内に含まれ、1530℃〜1680℃の溶解温度における酸素発生による泡抜けが効果的に行えない。また、粘度ηも高いため泡浮上しにくい。
そして、溶融ガラス内の泡と初期泡とが系内に共存して共存泡となるため、該共存泡を溶融ガラスから抜くために溶融ガラスを長時間溶解槽に滞在させなければならず、生産性が低下してしまうという問題を本発明者は見出した。
また、ガラス母組成の塩基性度が0.505を超えT2が1530℃未満の例13は、1530℃〜1680℃の溶解温度においてSn−レドックスが低いため酸素が発生しにくく、また粘度ηが低い。この結果無アルカリガラスに泡が多く残存し、酸素を発生させようとして溶融ガラスの温度を高温とすると粘度ηが更に低くなり、ガラス成分の一部が揮散し、ガラスが不均質になりやすくなる。
これらに対して、例1、8は、ガラス母組成の塩基性度が0.490〜0.505であることによって1530℃〜1680℃の溶解温度におけるSn−レドックスを適正に調節してSnO2の還元反応による酸素を一挙に発生させ泡抜きを行い、さらにlog=2となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃であることによって泡を溶融ガラスから浮上させやすくすることによって、得られる無アルカリガラス中の泡数が少ない。
Claims (1)
- 下記成分をガラス母組成として含有するように母組成原料を調製し、
前記母組成原料の総量100質量部に対して、0.06〜1.25質量部のSnO 2 を前記母組成原料に含有するように原料を調製し、
前記原料を溶解して、アルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、前記ガラス母組成の塩基性度が、0.490〜0.505であり、logη=2(ηは粘度)となる溶融ガラス温度が1530〜1680℃である、Snを含む無アルカリガラスを製造する方法であって、
前記原料を1400〜1550℃に加熱して溶融ガラスとする溶解工程1と、
前記溶解工程1の後、前記溶融ガラスを1530〜1680℃に加熱してガラス中の泡を脱泡させる溶解工程2とを具備し、
前記溶解工程2における溶融ガラスの温度を、前記溶解工程1における溶融ガラスの温度より30℃以上高くする無アルカリガラスの製造方法。
酸化物基準のmol百分率表示による成分:
SiO 2 58〜68mol%
Al 2 O 3 7〜15mol%
B 2 O 3 0〜15mol%
MgO 3〜15mol%
CaO 3〜15mol%
SrO 2〜8mol%
BaO 0〜0.2mol%
MgO+CaO+SrO+BaO 13〜20mol%
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