JP5090890B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明はエンジンの排気浄化装置に係り、詳しくは排気通路を流通する排ガス中に噴射ノズルから還元剤を噴射して下流側の後処理装置に供給する排気浄化装置に関するものである。
この種の排ガス中に還元剤を噴射して下流側の後処理装置に供給する排気浄化装置としては、例えば選択還元型のNOx触媒を備えたものがある。周知のように選択還元型のNOx触媒は排ガス中のNOxを還元するためにアンモニア(NH3)を必要とすることから、排気通路のNOx触媒の上流側に配置した噴射ノズルから還元剤として尿素水溶液を噴射し、尿素水溶液が排気熱及び排ガス中の水蒸気により加水分解されて生成されるアンモニアを利用してNOx還元作用を得ている。
NOx触媒のNOx還元作用は尿素水溶液の供給状態の影響を強く受け、良好な還元作用を得るには、排ガス中に尿素水溶液を十分に拡散させて、NOx触媒の各部位に均等にアンモニアを供給する必要がある。このような要望を達成するために排気通路に排ガスを撹拌するための手段を設けた種々の対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1の技術では、その図1,2に示すようにエンジンの排気管の下流側にNOx触媒を収容したケースを接続し、排気管に尿素水溶液の噴射ノズルを設けると共に、排気管の噴射ノズルの排気上流側に4枚のフィンを備えたフィン装置を配設し、排ガスがフィン装置を流通する際にフィンの作用で旋回流を生起させ、これにより噴射ノズル噴射された尿素水溶液の排ガス中への拡散促進を図っている。
特許第3892452号明細書(図1,2)
上記フィン装置により尿素水溶液の拡散促進に好適な強い旋回流を生起するには、ある程度広いフィン面積を確保する必要があると共に、排ガスの流通方向を急角度で変更すべく大きなフィン角度を設定する必要がある。しかしながら、フィン面積の増加に伴ってフィン装置の位置での通路面積が絞られると共に、フィン角度の増加に伴って排ガスの流通方向が急角度で変更されて圧損が増大し、結果としてエンジンの排圧が増大して走行性能の低下を引き起こすという問題があった。
従って、特許文献1の技術では、尿素水溶液の拡散の促進とエンジンの排圧低減とがトレードオフの関係にあり、両者を高次元で両立することができず、今一つ改良の余地があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、還元剤の拡散の促進とエンジンの排圧低減とを両立でき、もって、後処理装置の各部位に還元剤を均等に供給して良好な浄化性能を達成できると共に、エンジンの排圧を低減して良好な走行性能を実現することができるエンジンの排気浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの排気通路に配設されて内部にエンジンからの排ガスが導入される上流側ケーシングと、単一のケーシング内を隔壁により区画して上流側ケーシングと共に形成され、内部に還元剤の供給を受けて浄化作用を奏する後処理装置を収容した下流側ケーシングと、円筒状をなして上流側ケーシングと下流側ケーシングとの並設方向に対して軸線を略直交させた姿勢で上流側ケーシング内に配設されて、一端を後処理装置の入口に対して斜めに面する隔壁の傾斜面に接続されて傾斜面に形成された連通孔を介して内部を下流側ケーシング内と連通させ、上流側ケーシング内の排ガスを外周面に列設された多数の孔を介して内部に導入すると共に、各孔に対応するように列設されたフィンにより各孔を流通する排ガスを所定方向に案内して内部で旋回流を生起させる一方、他端を上流側ケーシングの外壁を貫通して外部への開口端を閉塞された円筒フィンと、上流側ケーシング外で円筒フィンの閉塞箇所に配設され、円筒フィン内に還元剤を噴射する噴射ノズルとを備えたものである。
従って、上流側ケーシング内を流通する排ガスは円筒フィンの各孔を経て内部に流入し、その際にフィンにより所定方向に案内されて円筒フィン内で旋回流を生起する。この旋回流を生起した排ガス中に噴射ノズルから還元剤が噴射され、噴射された還元剤は排ガスと撹拌されながら下流側ケーシングに移送されて、内部の後処理装置は還元剤の供給を受けて浄化作用を奏する。
円筒フィンでは、通路断面積に関係なく全周の広い面積にフィンを設けることが可能であり、これにより広いフィン面積をもって排ガスに強い旋回流を生起して、噴射ノズルから噴射された還元剤を排ガス中に良好に拡散できるため、後処理装置の各部位に均等に還元剤を供給可能となる。また、フィン面積の拡大により通路面積が絞られることがなく、旋回流の強化を目的としてフィン角度を増加させる必要もないことから、排ガスの圧損を抑制可能となる。
また、ケーシング内を隔壁により区画して上流側及び下流側ケーシングとして機能させているため、車体への設置の際には単一のケーシングとして取り扱うことが可能となる。
しかも、傾斜面が斜状に配置されていることから連通孔は楕円形状をなして、下流側ケーシング内に対する円筒フィンの開口面積が拡大されると共に、傾斜面と共に連通孔が後処理装置の入口に対して斜めに面しているため、円筒フィン内からの排ガスを円滑に後処理装置に導くことが可能となる。
好ましくは、円筒状をなす円筒フィンの軸線に沿って噴射ノズルから還元剤を噴射するように構成することが望ましい。円筒フィンでは、全周の孔より排ガスを導入して中心ほど角速度が大きくなる旋回流が生起されるため、このように構成すれば、軸線に沿って噴射された還元剤が最も角速度が高い排ガスに晒され続けて良好に撹拌される。
また、別の態様として好ましくは、後処理装置を選択還元型のNOx触媒とし、噴射ノズルを還元剤として尿素水溶液を噴射するように構成することが望ましい。従って、この場合には、排ガス中に尿素水溶液が良好に拡散するため、尿素水溶液が排気熱及び排ガス中の水蒸気により加水分解されて生成されるアンモニアをNOx触媒の各部位に均等に供給してNOx浄化性能を向上可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、円筒フィンの各孔が、それぞれ円筒フィンの軸線方向に延びるスリット状をなして円筒フィンの外周面に列設され、各孔に対応する形状のフィンを円筒フィンの内周側または外周側に折曲することにより形成されたものである。
従って、スリットの形成と同時にフィンが形成されるため、円筒フィンの製作工程が簡略化される。
好ましくは、円筒フィンの各孔及び各スリットを台形状または四角状に形成することが望ましい。
以上説明したように請求項1の発明のエンジンの排気浄化装置によれば、還元剤の拡散の促進とエンジンの排圧低減とを両立でき、もって、後処理装置の各部位に還元剤を均等に供給して良好な浄化性能を達成できると共に、エンジンの排圧を低減して良好な走行性能を実現でき、さらに上流側及び下流側ケーシングを単一のケーシングとすることにより、排気浄化装置を車体に容易に設置でき、しかも円筒フィン内からの排ガスを円滑に後処理装置に導いて排ガスの圧損を低減することができる。
請求項2の発明のエンジンの排気浄化装置によれば、請求項1に加えて、スリットの形成と同時にフィンを形成して、円筒フィンの製作工程を簡略化することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を選択還元型のNOx触媒を備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す全体構成図である。本実施形態の排気浄化装置はトラックに搭載されており、図1ではトラックへの搭載状態と同様の配置でエンジン1及び排気浄化装置2を示すと共に、トラックの床下を部分的に示している。なお、以下の説明では、車両を主体として前後方向及び左右方向を規定する。
トラックの車体フレーム3としては、前後方向に延設した左右一対のサイドメンバ3aを複数のクロスメンバ3b(1本のみ図示)により相互に連結した所謂ラダーフレームが採用され、この車体フレーム3上にエンジン1等のパワープラント、及びキャビンや荷台3c等が搭載されている。図1では、車体フレーム3が部分的に示されると共に、車体フレーム3上に載置された荷台3cが二点鎖線で示され、この荷台3cの下側の床下に排気浄化装置2が設置されている。
エンジン1は車体フレーム3の左右のサイドメンバ3a間に位置し、直列6気筒ディーゼルエンジンとして構成されている。エンジン1の各気筒には燃料噴射弁4が設けられ、各燃料噴射弁4は共通のコモンレール5から加圧燃料を供給され、開弁に伴って対応する気筒の筒内に燃料を噴射する。
エンジン1の吸気側には吸気マニホールド6が装着され、吸気マニホールド6に接続された吸気管7には、上流側よりエアクリーナ8、ターボチャージャ9のコンプレッサ9a、インタクーラ10が設けられている。また、エンジン1の排気側には排気マニホールド12が装着され、排気マニホールド12には上記コンプレッサ9aと同軸上に連結されたターボチャージャ9のタービン9bが接続されている。タービン9bには排気管13(排気通路)が接続され、排気管13に上記排気浄化装置2が設けられている。
一方、エンジン1の後部には変速機15が結合され、変速機15の出力軸にはプロペラシャフト16の前端が連結されている。プロペラシャフト16は車体の床下で左右のサイドメンバ3a間を後方に延設され、その後端は図示しないディファレンシャルギアを介して左右の後輪に接続されている。
上記排気管13は、車体の床下のプロペラシャフト16と右側のサイドメンバ3aとの間において後方に延設されており、その後端には上記排気浄化装置2のケーシング22が接続されると共に、排気管13のケーシング22より若干上流位置には、後述するDPF28の強制再生用の燃料噴射弁21が設置されている。ケーシング22は前後方向に沿った円筒状をなし、ケーシング22の下流端には排気管23(排気通路)の前端が接続され、排気管23は右方に湾曲形成されて後端を車両右側に開口させている。なお、車体フレーム3上の排気浄化装置2の配置はこれに限ることはなく、例えば右側のサイドメンバ3aの右側方に排気浄化装置2を配置してもよい。
排気浄化装置2のケーシング22は外観上では単一のものであるが、ケーシング22内は隔壁24により前後に区画されていることから、実質的にケーシング22は前後一対のケーシングと見なすことができる。そこで、以下の説明では、隔壁24により区画されたケーシング22内の前側の空間を上流側ケーシング22aと称し、後側の空間を下流側ケーシング22bと称する。隔壁24はケーシング22内の前後方向の略中央位置で平面視においてクランク状をなし、左右に面した中央面24a、中央面24aの前端と連続する前後に面した右面24b、同じく中央面24aの後端と連続する前後に面した左面24cから構成されている。
上流側ケーシング22a内の上流側には前段酸化触媒27が配設され、下流側には排ガス中のPM(パティキュレートマター)を捕集するためのウォールフロー式のDPF(ディーセルパティキュレートフィルタ)28が配設されている。また、下流側ケーシング22b内の上流側にはアンモニア(NH3)の供給により排ガス中のNOxを還元する選択還元型NOxのNOx触媒29(後処理装置)が配設され、下流側には後段酸化触媒30が配設されている。
図2はケーシング22内の隔壁24周辺の構成を示す部分拡大断面図である。上流側ケーシング22a内において隔壁24の中央面24aの左側には円筒フィン33が配設されている。円筒フィン33は同一径で左右方向に延びる円筒状をなし、その軸線Lは上流側及び下流側ケーシング22a,22bの並設方向と直交している。円筒フィン33の右端は中央面24aに溶接され、円筒フィン33の内部は中央面24aに形成された連通孔34を介して下流側ケーシング22b内と連通している。円筒フィン33の左端は上流側ケーシング22aの外壁を貫通して外部で開口し、その開口端は蓋体35が溶接されて閉塞されている。蓋体35には円筒フィン33の軸線L上に位置するように噴射ノズル36が配設され、噴射ノズル36の先端36a(図3に示す)は蓋体35を貫通して円筒フィン33内に突出している。噴射ノズル36は図示しないタンクから圧送される尿素水溶液を還元剤として円筒フィン33内に任意に噴射可能であり、その噴射方向は、円筒フィン33の軸線Lに沿って隔壁24の連通孔34の中心部を指向している。
図3は円筒フィン33の内部構造を示す図2に対応する断面図、図4は円筒フィン33のフィン形状を示す図2のIV−IV線断面図である。なお、図4は円筒フィン33の外周面の一部を示しているが、円筒フィン33は全周において同様の構成をなしている。
上流側ケーシング22a内において円筒フィン33の外周面には、左右方向に延びる多数のスリット38が周方向に列設されており、各スリット38は左右方向に長い台形状をなし、これらのスリット38を介して円筒フィン33の内周側と外周側(上流側ケーシング22a内)とが連通している。各スリット38は、台形の下底(平行な2辺の内の長辺側とする)以外の3辺を周囲より切り離した上で、下底を基点として台形状の領域を円筒フィン33の内周側に折曲して形成されており、内周側に所定角度αで折曲された台形状の領域をフィン39としている。結果として、各フィン39はスリット38と対応するように円筒フィン33の内周面に列設され、円筒フィン33は所謂サーキュラーフィンとして構成されている。各フィン39の角度αは、後述するように各スリット38を経て円筒フィン33内に導入される排ガスを所定方向に案内して効率的に旋回流を生起するために好適な角度として設定されている。
本実施形態では、適切な肉厚の直管を円筒フィン33の素材とし、台形状の下底を基点として各スリット38を円筒フィン33の内周側に打ち抜き、その際に各スリット38と対応して所定角度αのフィン39を形成している。この製作手順によれば、スリット38の形成と同時にフィン39を形成可能なことから、円筒フィン33の製作工程を簡略化することができる。但し、スリット38及びフィン39を形成する手法はこれに限ることはなく、例えば各スリット38と各フィン39とを個別に形成してもよい。
一方、エンジン1の各気筒の燃料噴射弁4、強制再生用の燃料噴射弁21、噴射ノズル36等のデバイス類、及び図示しないセンサ類はECU41(電子コントロールユニット)に接続され、センサ類からの検出情報に基づいてECU41により駆動制御される。例えばECU41は機関回転速度や負荷等のエンジン1の運転状態に基づき、燃料噴射弁4の噴射量、噴射圧、噴射時期を制御してエンジン1を運転する。
運転中のエンジン1から排出された排ガスは排気管13を経て上流側ケーシング22a内に導入され、前段酸化触媒27及びDPF28を流通した後、下流側に位置する円筒フィン33の各スリット38を経て内部に流入する。円筒フィン33内において排ガスには噴射ノズル36から尿素水溶液が噴射され、この尿素水溶液と共に排ガスは円筒フィン33内を右方に移送されて連通孔34を経て下流側ケーシング22b内に排出される。その後、排ガスはNOx触媒29及び後段酸化触媒30を通過し、排気管23を経て車両右側から外部に排出される。
このとき、DPF28では排ガス中のPMが捕集され、これにより大気中へのPMの排出が防止される。PMの捕集に伴ってDPF28のPM捕集量は次第に増加するが、捕集されたPMは、エンジン1が所定の運転状態(例えば、排ガス温度が比較的高い運転状態)のときに、前段酸化触媒27上での酸化反応により排ガス中のNOから生成されたNO2 を酸化剤として利用して連続的に焼却除去される(連続再生)。
また、DPF28の連続再生作用が得られない運転状態が継続されると、PMの堆積によりDPF28が目詰まりを生じてしまうため、このような状況を想定して、ECU41はエンジン1の運転状態から推定したPM捕集量がDPF28の許容量を越える以前に、DPF28上のPMを強制的に焼却除去する(強制再生)。この強制再生には燃料噴射弁21から噴射される未燃燃料が利用され、噴射された未燃燃料を前段酸化触媒27上に供給して、その酸化反応熱により下流側のDPF28を昇温してPMを焼却除去する。なお、メイン噴射後の膨張行程または排気行程でのポスト噴射により前段酸化触媒27上に未燃燃料を供給するようにしてもよい。
一方、ECU41はエンジン1の運転状態や噴射ノズル36近傍に設置された図示しない温度センサの検出値等に基づき、噴射ノズル36からの尿素水溶液の噴射量を制御する。噴射された尿素水溶液は排ガスと共に円筒フィン33内から下流側ケーシング22b内を経てNOx触媒29まで移送されるが、この過程において排気熱及び排ガス中の水蒸気により加水分解されてアンモニアを生成する。このようにして生成されたアンモニアを利用してNOx触媒29上で排ガス中のNOxが無害なN2に還元される。なお、DPF28でのPMの燃焼により発生するCO,HC、及びNOx触媒24上で生じた余剰アンモニアは後段酸化触媒30により処理される。
そして、上記NOx触媒29上で良好なNOx還元作用を実現するには、NOx触媒29の各部位に均一にアンモニアを供給する必要があり、そのためには尿素水溶液を排ガス中に良好に拡散させることが重要となる。この対策として本実施形態ではケーシング22内に円筒フィン33を設けており、以下、当該円筒フィン33による作用効果を詳述する。
DPF28を流通後の排ガスは円筒フィン33の各スリット38を経て内部に流入するが、各スリット38を経た直後に対応するフィン39の傾斜に沿って案内されることにより、円筒フィン33の周方向の速度成分を付与される。従って、図4に示すように排ガスは、円筒フィン33の全周の各スリット38から同一周方向に向けて斜めに流入して、周方向に旋回しながら円筒フィン33の中心(軸線L)に向けて集約される。これと並行して排ガスが順次円筒フィン33内を右方へと移送されることから、結果として排ガスは円筒フィン33の軸線Lに沿った旋回流を生起しながら右方に移送される。円筒フィン33内から隔壁24の連通孔34を経て下流側ケーシング22b内に排出されると、排ガスは円筒フィン33の内周面に拘束されなくなり旋回半径を拡大するものの、依然として旋回流を維持してそのままNOx触媒29に流入する。
以上のように円筒フィン33内で旋回流を生起した排ガス中に噴射ノズル36から尿素水溶液が噴射され、噴射された尿素水溶液は排ガスと撹拌されながら、円筒フィン33内、連通孔34、下流側ケーシング22b内を順次移送された後にNOx触媒29に到達する。移送中の尿素水溶液は旋回流の撹拌作用により排ガス中に拡散することは勿論であるが、以下の要因により尿素水溶液の拡散は一層促進される。
まず、本実施形態の円筒フィン33では、通路面積に関わらず広いフィン面積を設定可能である。即ち、特許文献1の技術では排気管の通路面積を確保するためにフィン面積が制限されたが、本実施形態では、円筒フィン33内の通路断面積(特許文献1の排気管の通路面積に相当)に関係なく円筒フィン33の全周にスリット38と共にフィン39を設けることが可能であり、必要ならば円筒フィン33の全長を延長したり径を拡大したりして、さらにフィン面積を拡大することもできる。これにより広いフィン面積をもって円筒フィン33内の排ガスに強い旋回流を生起でき、噴射ノズル36から噴射された尿素水溶液を排ガス中に良好に拡散することができる。
一方、円筒フィン33は外周面の各スリット38を経て全周より排ガスを導入して内部で旋回流を生起させている。この旋回流は中心ほど角速度が大きくなる所謂自由渦と称されるものであり、例えば排気管内に設けたフィン装置により旋回流を生起する特許文献1の技術のように、角速度はほぼ一定で外周ほど速度が高くなる速度分布とは全く異なる。そして、噴射ノズル36からは中心と一致する軸線Lに沿って尿素水溶液が噴射されることから、尿素水溶液は最も角速度が高い排ガスに晒され続けて良好に撹拌される。
また、旋回流が円筒フィン33の外周側より中心に集約されるように流動することにより、噴射ノズル36から噴射された素水溶液は外周側に飛散することなく常に円筒フィン33内の中心付近で排ガスと撹拌される。一旦円筒フィン33の内周面に付着した尿素水溶液は排ガス中に拡散し難くなるが、このような事態を未然に回避して尿素水溶液の拡散を一層良好にすることができる。
さらに、円筒フィン33内から下流側ケーシング22b内に排出された後も排ガスは旋回流を維持するが、狭い円筒フィン33内から広い下流側ケーシング22b内に排出されることにより、排ガスは旋回半径を急激に拡大して流動状況を急変させる。従って、円筒フィン33内での移送中だけでなく、この円筒フィン33内から下流側ケーシング22b内に排出される際にも排ガスは十分に撹拌される。
以上の各要因により、排ガス中に尿素水溶液が十分に拡散され、尿素水溶液の加水分解により生成されたアンモニアがNOx触媒29の各部位に均等に供給される。よって、NOx触媒29によるNOx還元作用を最大限に発揮して、排ガス中に含まれるNOxを効率的に浄化することができる。
一方、上記のように円筒フィン33の採用によりフィン面積を拡大して強い旋回流を生起しているため、特許文献1の技術のようにフィン面積の拡大により通路面積が絞られることがなく、また、旋回流の強化を目的としてフィン角度を増加させる必要もない。従って、これらの要因によって排ガスの圧損が増大する事態を未然に防止でき、もってエンジン1の排圧を低減して良好な走行性能を実現することができる。
加えて、上流側ケーシング22a内に配置した円筒フィン33の左端(上流側に相当)に噴射ノズル36を設けているため、図3に示すように、噴射ノズル36からNOx触媒29までの距離が長く、排ガス内への尿素水溶液の拡散時間を十分に確保することができる。結果として、この要因も尿素水溶液の拡散促進に貢献する。
一方、図1から明らかなように、ケーシング22内を隔壁24により前後に区画して上流側及び下流側ケーシング22a,22bとして機能させているため、車体フレーム3上では前後方向に長い単一のケーシング22として取り扱うことができる。従って、車体フレーム3上への燃料タンクやスペアタイヤ等の走行用装備の設置を制限することなく、排気浄化装置2を車体フレーム3に容易に設置できるという効果もある。
以上で第1実施形態の説明を終えるが、この第1実施形態の排気浄化装置2の構成は種々に変更可能であり、以下、その別例を説明する。
図5は円筒フィン33の各フィン39を外周側に折曲した別例を示す図2に対応する断面図、図6は別例の円筒フィン33のフィン形状を示す図5のVI−VI線断面図である。
第1実施形態の円筒フィン33ではフィン39を内周側に折曲したが、この別例では、フィン39を外周側に折曲している。なお、円筒フィン33の全周に各フィン39が列設されていること、スリット38及びフィン39が左右方向の長い台形状をなしていること等は第1実施形態と同様である。このような別例では、DPF28を流通後の排ガスが各フィン39の傾斜に沿って案内された直後に対応するスリット38を経て円筒フィン33内に流入し、この排ガスの流入過程に関しては第1実施形態と若干相違するが、これにより円筒フィン33内に生起される旋回流の特性については第1実施形態と相違ない。
図7は他の別例の円筒フィン33のフィン形状を示す図6に対応する断面図である。
この別例は、第1実施形態のフィン形状と図5,6に示す別例のフィン形状とを組み合わせたものであり、円筒フィン33の外周面に残したベース部50の一端側を内周側に折曲してフィン51aを形成し、ベース部50の他端側を外周側に折曲してフィン51bを形成している。この別例でも円筒フィン33内に第1実施形態と同様の旋回流を生起できる。
図8は隔壁24の形状を変更した別例を示す図2に対応する断面図である。
この別例では、第1実施形態の隔壁24の中央面24a及び右面24bを斜状に配置された傾斜面61に変更しており、傾斜面61はNOx触媒29の入口に対して斜めに面している。円筒フィン33は傾斜面61に形成された連通孔62を関して下流側ケーシング22b内に開口しているが、傾斜面61が斜状に配置されていることから連通孔62は楕円形状をなして、下流側ケーシング22b内に対する円筒フィン33の開口面積が拡大されている。また、NOx触媒29の入口に対して連通孔34が直交する第1実施形態と異なり、傾斜面61と共に連通孔62がNOx触媒29の入口に対して斜めに面している。従って、円筒フィン33内からの排ガスを円滑にNOx触媒29に導いて、この箇所での排ガスの圧損を低減することができる。
図9は下流側ケーシング22bにも円筒フィン33を配設した別例を示す図2に対応する断面図である。
この別例では、上流側ケーシング22a内と同様に下流側ケーシング22b内にも同一形状の円筒フィンを同一配置で配設しており(以下、上流側円筒フィン71、下流側円筒フィン72と区別する)、双方の円筒フィン71,72の内部を相互に連通させている。従って、上流側円筒フィン71内で旋回流を生起した排ガスは右方に位置する下流側円筒フィン72内へと移送され、この下流側円筒フィン72のスリットを流通して下流側ケーシング22b内に排出される。下流側円筒フィン72の作用はフィン39の傾斜方向によって異なり、上流側円筒フィン71と同一方向にフィン39の傾斜が設定されている場合には、排ガスが旋回流を妨げられることなく下流側円筒フィン72の各スリット38を流通することから、その際の排ガスの圧損を一層低減できるという効果が得られる。また、上流側円筒フィン71と逆方向にフィン39の傾斜が設定されている場合には、下流側円筒フィン72の各スリット38を流通する際に排ガスが旋回流とは逆方向に案内されることから、その際に排ガスを急激に撹拌して尿素水溶液の拡散を一層促進できるという効果が得られる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別の選択還元型のNOx触媒を備えたディーゼルエンジン1の排気浄化装置2に具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態の排気浄化装置2は第1実施形態のものに対してケーシング22の構成を変更したものであり、排気浄化装置2以外の車両側の構成に関しては第1実施形態と相違ない。従って、共通の構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
図10は本実施形態のエンジン1の排気浄化装置2を示す全体構成図、図2は上流側及び下流側ケーシング71,72の連結箇所の構成を示す部分拡大断面図である。
端的に表現すると、ケーシング22を一体化した第1実施形態に対して、本実施形態では上流側及び下流側ケーシング71,72を独立させており、それに付随して円筒フィン73の配置状態を変更している。
第1実施形態の上流側ケーシング22aと同じく、本実施形態の上流側ケーシング71は前後方向に沿った円筒状をなして車体フレーム3上の同一位置に設置され、その上流端には排気管13の後端が接続されている。上流側ケーシング71内に前段酸化触媒18及びDPF19が収容されている点も相違ないが、本実施形態ではDPF19の下流側に空間74が形成され、この箇所を上流側ケーシング71の下流端としている。
上流側ケーシング71の空間74内には、上流側ケーシング71を左右方向に貫通するように円筒フィン73が配設され、円筒フィン73の周囲は上流側ケーシング71に対して溶接されている。第1実施形態と同じく、円筒フィン73の左端には蓋体35及び噴射ノズル36が取り付けられ、円筒フィン73の外周にはスリット38及びフィン39が周方向に列設されている。円筒フィン73の右端は上流側ケーシング71から突出して同一径を保って右方に延設され、この延設箇所が排気管75(排気通路)として機能している。排気管75は前方に湾曲形成されて下流側ケーシング72の外周面に溶接され、下流側ケーシング72は左右方向に沿った円筒状をなして右側方に向けて延設されている。下流側ケーシング72内にはNOx触媒29及び後段酸化触媒30が収容され、下流側ケーシング72の下流端には排気管76(排気通路)が接続され、排気管76の後端は車両右側に開口している。
以上のように構成されたエンジン1の排気浄化装置2では、エンジン1から排出された排ガスが上流側ケーシング71内で前段酸化触媒27及びDPF28を流通し、その後に空間74内で円筒フィン73のスリット38を経てフィン39により案内されながら内部に流入し、その排ガス中に噴射ノズル36から尿素水溶液が噴射される。さらに尿素水溶液と共に排ガスは円筒フィン73内を右方に移送されて、排気管75を経て下流側ケーシング72内に導入され、NOx触媒29及び後段酸化触媒30を流通した後に排気管76を経て外部に排出される。
そして、このときの円筒フィン73による作用は第1実施形態と同様であり、重複する説明はしないが、通路面積に関わらず広いフィン面積を設定できることから、円筒フィン73内の排ガスに強い旋回流を生起して排ガス中に尿素水溶液を良好に拡散でき、もってNOx触媒29の各部位に均等にアンモニアを供給してNOxを効率的に浄化することができる。また、フィン面積の拡大により通路面積が絞られることがなく、旋回流の強化を目的としてフィン角度を増加させる必要もないことから、エンジン1の排圧を低減して良好な走行性能を実現することができる。
しかも、本実施形態では、湾曲した排気管75を経て上流側ケーシング71から下流側ケーシング72に排ガスを移送しているため、湾曲箇所を通過する際に、排ガス中に拡散している尿素水溶液が遠心力で外周側に偏在してしまう傾向がある。この現象は尿素水溶液の拡散の観点からは好ましいことではないが、円筒フィン73により生起された旋回流により排気管75内の排ガスを絶えず周方向に移動させることで、遠心力の影響を軽減して尿素水溶液の外周側への偏在を抑制することができる。この点も尿素水溶液の拡散、ひいてはNOx浄化性能の向上に貢献する。
一方、図10から明らかなように、上流側ケーシング71に対して下流側ケーシング72はサイドメンバ3aを挟んだ右側方に位置しているため、全体としての排気浄化装置2の設置に要するスペースは、例えば第1実施形態のものに比較して前後方向に短縮化される。このため、車体フレーム3の前後長が短い車両に対しても搭載できるという効果もある。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、選択還元型のNOx触媒29を備えたディーゼルエンジン1の排気浄化装置2に具体化したが、適用対象はこれに限ることはない。例えばガソリンエンジンでも希薄燃焼運転時を想定してNOx触媒29を備える場合があるため、このようなガソリンエンジンに適用してもよい。
また、上記実施形態では、NOx触媒29に供給する尿素水溶液の拡散のために円筒フィン33,73による旋回流を利用したが、その利用態様はこれに限ることはない。例えば上記実施形態のDPF28に関する説明からも明らかなように、燃料噴射弁21から供給される未燃燃料を前段酸化触媒27上で酸化反応させてDPF28を昇温する強制再生では、前段酸化触媒27による酸化反応を最大限に発揮させるために、未燃燃料を前段酸化触媒27の各部位に均等に供給することが望ましい。そこで、前段酸化触媒27の上流側に上記各実施形態と同様の円筒フィン33,73を設けると共に、その円筒フィン33,73に燃料噴射弁21を配置し、円筒フィン33,73内で旋回流を生起した排ガス中に燃料噴射弁21から未燃燃料を噴射して拡散を図るようにしてもよい。この場合には、DPF28が本発明の後処理装置に相当することになる。
また、他のNOx浄化用触媒として公知の吸蔵型NOx触媒では、NOxの代わりにSOx(硫黄酸化物)が吸蔵されて浄化性能が低下する所謂硫黄被毒が生じるため、NOx触媒の上流側に前段酸化触媒を配置して未燃燃料の酸化反応熱によりNOx触媒を昇温して吸蔵されているSOxを除去するSOxパージを実行する必要がある。そこで、このSOxパージのために、上記DPF28の強制再生と同様の円筒フィン33,73に関する構成を適用してもよい。この場合には、吸蔵型NOx触媒が本発明の後処理装置に相当することになる。
また、上記実施形態では、上流側ケーシング22a,71を前段酸化触媒27及びDPF28の収容に利用したが、上流側ケーシング22a,71の用途はこれに限ることはなく、例えば消音器のケーシングとしてもよい。
また、上記実施形態では、円筒フィン33,73に左右方向に長い台形状をなすスリット38を形成したが、円筒フィン33,73内に排ガスを流入可能なものであれば、その形状はこれに限定されることはなく、例えば各スリット38を左右方向に分割して複数の孔としてもよい。
第1実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す全体構成図である。 ケーシング内の隔壁周辺の構成を示す部分拡大断面図である。 円筒フィンの内部構造を示す図2に対応する断面図である。 円筒フィンのフィン形状を示す図2のIV−IV線断面図である。 円筒フィンの各フィンを外周側に折曲した別例を示す図2に対応する断面図である。 別例の円筒フィンのフィン形状を示す図5のVI−VI線断面図である。 他の別例の円筒フィンのフィン形状を示す図6に対応する断面図である。 隔壁の形状を変更した別例を示す図2に対応する断面図である。 下流側ケーシングにも円筒フィンを配設した別例を示す図2に対応する断面図である。 第2実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す全体構成図である。 上流側及び下流側ケーシングの連結箇所の構成を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
1 エンジン
13,23,75,76 排気管(排気通路)
22a,71 上流側ケーシング
22b,72 下流側ケーシング
24 隔壁
29 NOx触媒(後処理装置)
33,73 円筒フィン
34,62 連通孔
36 噴射ノズル
61 傾斜面
L 軸線

Claims (2)

  1. エンジンの排気通路に配設されて内部にエンジンからの排ガスが導入される上流側ケーシングと、
    単一のケーシング内を隔壁により区画して上記上流側ケーシングと共に形成され、内部に還元剤の供給を受けて浄化作用を奏する後処理装置を収容した下流側ケーシングと、
    円筒状をなして上記上流側ケーシングと上記下流側ケーシングとの並設方向に対して軸線を略直交させた姿勢で該上流側ケーシング内に配設されて、一端を上記後処理装置の入口に対して斜めに面する上記隔壁の傾斜面に接続されて該傾斜面に形成された連通孔を介して内部を下流側ケーシング内と連通させ、該上流側ケーシング内の排ガスを外周面に列設された多数の孔を介して内部に導入すると共に、各孔に対応するように列設されたフィンにより各孔を流通する排ガスを所定方向に案内して内部で旋回流を生起させる一方、他端を上記上流側ケーシングの外壁を貫通して外部への開口端を閉塞された円筒フィンと、
    上記上流側ケーシング外で上記円筒フィンの閉塞箇所に配設され、上記円筒フィン内に還元剤を噴射する噴射ノズルと
    を備えたことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 上記円筒フィンの各孔は、それぞれ円筒フィンの軸線方向に延びるスリット状をなして該円筒フィンの外周面に列設され、各孔に対応する形状のフィンを上記円筒フィンの内周側または外周側に折曲することにより形成されたことを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
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