JP5091074B2 - 断片化抗体を用いたイムノクロマトグラフ方法 - Google Patents

断片化抗体を用いたイムノクロマトグラフ方法 Download PDF

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Description

本発明は、標識抗体を用いたイムノクロマトグラフ法に関する。
尿、血液等の生体試料中に存在する被験物質の存在を定性的にあるいは定量的に測定する方法として、免疫学的測定方法が汎用されている。その中でもイムノクロマトグラフ法は、操作が簡便であり短時間で測定可能であることから、一般的によく利用されている。
イムノクロマトグラフ法で用いられている免疫反応としては、競合型反応、サンドイッチ型反応が広く使われている。その中でも、イムノクロマトグラフ法ではサンドイッチ型反応が主流であり、その典型例においては、試料中の抗原よりなる被験出物質を検出するために、以下のような操作が行われる。(1)被験出物質である抗原に対する抗体により感作させた微粒子を固相微粒子としてクロマトグラフ媒体に固定化することにより、あるいはこの抗体そのものをクロマトグラフ媒体に直接固定化することにより、検出部位を有するクロマトグラフ媒体を調製する。(2)一方、標識物質に被験出物質と特異的に結合可能な抗体を感作させて標識抗体を調製する。(3)この標識抗体を、試料と共に、クロマトグラフ媒体上でクロマトグラフ的に移動させる。
以上の操作により、クロマトグラフ媒体に形成された検出部位において、固定化された抗体が固定化試薬となり、これに被験出物質である抗原を介して標識抗体特異的に結合し、その結果、標識抗体が検出部位に捕捉されることにより生ずるシグナルの有無または程度を目視で判定することにより、試料中の被験出物質の存在の有無または量を測定する。
また、毒素、ホルモン、農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質などといった極微量で作用する物質を検出する時には、検出シグナルの増幅を行う場合もある。例えば、標識物質として、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素を用いた場合には酵素発色法、金コロイドを用いた場合には銀増幅法などにより、シグナル増幅を行うことができる。
イムノクロマトグラフ法など一般的にシグナル増幅を行う場合、固相に特異的に結合した標識物質だけでなく、非特異的に吸着した標識物質のシグナルも同時に増幅されてしまうため、非特異吸着抑制が大きな課題となっている。そのため、アルブミン、グロブリン、カゼインなどのタンパク質やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどといった高分子ポリマーなどの非特異吸着抑制剤で、抗体を固定化した後に固相をブロッキングする方法が行われている。
特開平7−146280号公報 特開平11−295313号公報 特表2005−512074号公報 特開2002−202307号公報 特開平7−83923号公報
しかしながら、上記のような従来から行われているブロッキング法では非特異吸着抑制が不充分で、検出部位に標識物質が非特異吸着した結果、擬陽性となってしまう場合がある。そのため、検出部位への標識物質の非特異吸着を低減させる技術が求められている。
本発明は、標識抗体が検出部位に非特異吸着する問題を解決し、偽陽性を抑制して、検出感度が高く、かつ、信頼性の高い測定を行うことができるイムノクロマトグラフ方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明によれば、被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質とをこれらを混合させた状態で多孔性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する多孔性担体上の検出部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、少なくとも一つの結合物質として断片化抗体を用い、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増幅することによって被験物質の検出を行うことを含み、標識物質の非特異吸着密度が106個/mm2以下(好ましくは105個/mm2以下)の系で、増幅前の該検出部位と該多孔性担体上の非検出部位における非特異吸着標識物数の比が、0.4から2.5である(好ましくは0.7から2.0であり、より好ましくは0.8から1.5である)イムノクロマトグラフ方法が提供される。
好ましくは、該第一の結合物質として断片化抗体を用い、かつ、該検出部位における該第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質の密度が、0.007μg/mm2から1.1μg/mm2の範囲であり、かつ、該標識物質の粒子直径が、20nmから80nmの範囲である。
より好ましくは、該第一の結合物質として断片化抗体を用い、かつ、該検出部位における該第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質の密度が、0.014μg/mm2から0.84μg/mm2の範囲であり、かつ、該標識物質の粒子直径が、20nmから80nmの範囲である。
さらにより好ましくは、該第一の結合物質として断片化抗体を用い、かつ、該検出部位における該第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質の密度が、0.021μg/mm2から0.63μg/mm2の範囲であり、かつ、該標識物質の粒子直径が、20nmから80nmの範囲である。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、及び/又は第二の結合物質が抗体である。
好ましくは、該第一の結合物質としてのみ、Fabフラグメント及び/又はF(ab')2フラグメント及び/又はFab'フラグメントである断片化抗体を用いる。
好ましくは、該多孔性担体が、ニトロセルロース、又はポリエチレンである。
本発明により、イムノクロマトグラフ方法で、擬陽性を抑制し、高感度かつ明瞭なアッセイ結果を得ることができる。
本発明において、「被験物質」とは、免疫化学的反応(本発明では抗原抗体反応)により抗体と結合してサンドイッチ免疫複合体を形成しうるものであれば特に限定されない。例えば、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSV、HIV、HBV、HCVなど)、細菌(例えば、大腸菌O157、メチシリン体制黄色ブドウ球菌などの病原性細菌)、放線菌、酵母、かび、などの微生物又はそれらに対する抗体、細菌等が産生する毒素、又は腫瘍マーカー抗原などの生体試料中の抗原性ペプチドなどが挙げられる。
前記「被験物質」を含む被験試料としては、被験物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、前記被験試料をそのままで、あるいは、前記被験試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法において使用することのできるイムノクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のイムノクロマトグラフ法に用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。また、ストリップの幅、形状に関しても、特に限定されるものでもなく、操作しやすい幅であれば問題ない。例えば、図1に模式的に従来のイムノクロマトグラフ用ストリップの平面図を模式的に示す。図2に図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。
本発明のイムノクロマトグラフ用ストリップ10は、展開方向(図1において矢印Aで示す方向)の上流から下流に向かって、試料添加パッド5、標識物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)2、クロマトグラフ担体(例えば抗体固定化ニトロセルロースメンブレン)3、及び吸収パッド4がこの順に、粘着シート5上に配置されている。
前記クロマトグラフ担体3は、「検出部位」31を有し、所望により、コントロール用抗体又は抗原を固定化した領域であるコントロール部位32とから構成される、補足部位3aを有する。
本発明における「検出部位」とは、多孔性担体の一部に検出物質(被験物質と特異的に結合する抗体)を固定化させて作製された部位である。検出物質は、検出物質を多孔性担体の一部に物理的または化学的結合により直接固定化させてもいいし、検出物質をラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的に結合させ、この微粒子を多孔性担体の一部にトラップさせて固定化させてもいい。この検出物質は、1種類の担体に2種類以上固定化することも可能である。
「検出部位」は、検出物質を塗布、あるいは点着することにより作製可能で、検出物質の塗布濃度と塗布量により、「検出部位」における検出物質密度が決まる。
例えば、5mm幅のニトロセルロースストリップに抗体を1mm幅のラインになるように0.7μL/cmで塗布する場合、検出部位に固定化する抗体密度としては、0.1mg/mL濃度の抗体を塗布すると0.007μg/mm2となり、1.0mg/mL濃度の抗体を塗布すると0.07μg/mm2となり、10.0mg/mL濃度の抗体を塗布すると0.7μg/mm2となる。また、ライン幅が2mmになるように2.1μL/cmで塗布した場合、0.1mg/mL濃度の抗体では0.011μg/mm2となり、1.0mg/mL濃度の抗体では0.11μg/mm2となり、10.0mg/mL濃度の抗体では1.1μg/mm2となる。
また、ポリエチレンストリップの場合はニトロセルロースの場合と異なり、単純に抗体を塗布し乾燥するだけでは固定することはできない。そのため、抗体をラテックスマイクロスフィアに吸着させるなどし、これをスポットし乾燥させることでストリップ上に固定することができる。
気孔径20μmのポリエチレン片(AQ800、1cm×5cm×0.1cm;旭化成ケミカルズ社)に抗体を固定化する場合としては、以下のような方法がある。まず、「Adsorption to Microspheres(TechNote 204、バングズ・ラボラトリー社.)」に記載されている方法によって、ラテックスマイクロスフィア(粒子直径:0.3μm、バングズ・ラボラトリー社)に抗体を固定化する。この抗体固定化ラテックスマイクロスフィアをポリエチレン片にスポットすると円状に広がり、37℃で30分乾燥させることで、ラテックスマイクロスフィアを固定化できる。この時用いるラテックスマイクロスフィアの粒子直径によって1粒子当たりに固定化できる抗体の量が変わり、粒子濃度とスポット量によってスポットした時の粒子密度が変わる。従って、これらを変えることで、ポリエチレンストリップの場合は、固定化抗体密度を変えることができる。
例えば、粒子直径0.3μmのラテックスマイクロスフィアには、1mgの粒子に47.6μgの抗体を固定化することができる(Adsorption to Microspheres(TechNote 204、Bangs Lablatories, Inc.))。この抗体固定化ラテックスマイクロスフィアを1%(=0.01mg/μL)に調整し、ポリエチレン片(AQ800、1cm×5cm×0.1cm;旭化成ケミカルズ社)に3μLスポットすると、直径5mmの円形に広がる。よって、この時の検出部位の抗体密度は、0.073μg/mm2となる。同様にして、粒子直径0.3μmの抗体固定化ラテックスマイクロスフィアを1.5%(=0.015mg/μL)に調整し、ポリエチレン片(AQ800、1cm×5cm×0.1cm)に3μLスポットすると、直径5mmの円形に広がるので、この時の抗体密度は0.11μg/mm2となる。
また、本発明における「多孔性担体上の非検出部位」とは、多孔性担体上において何も検出しない部位のことであり、つまり、「検出部位」でもなく、かつ、コントロール部位でもない領域のことである。本発明では、「検出部位」と「多孔性担体上の非検出部位」との「非特異吸着標識物数」を比較するので、「多孔性担体上の非検出部位」は「検出部位」に近い方がよい。「多孔性担体上の非検出部位」のストリップ上における具体的な部位としては、「検出部位」とコントロール部位の中間部位が挙げられる。
本発明における「非特異吸着標識物数」とは、イムノクロマトグラフキットに抗原を含まない検体液を点着して展開させ、洗浄した後(増幅前)でも多孔性担体上に残存している標識物質の個数のことである。具体的に本発明で実施した方法は、以下のようになる。(i)インフルエンザイムノクロマトキットに100μLの1 %BSAを含むPBSバッファーを点着し、15分展開させた後、(ii)吸水パッドをはずし、新しい吸収パッド(5 mm×100 mmに切ったセルロース膜)を同部位に貼り付けた。その後、(iii) 1 %BSAを含むPBSバッファーを700μL入れたマイクロチューブに検体液滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1時間洗浄した。(iV)チューブからストリップを取り出してパッド類をはずし、幅2.0mmの「検出部位(幅1mm)」を含む部位と幅2.0mmの「多孔性担体上の非検出部位」(「検出部位」とコントロール部位の中間部位)を切り出し、各部位の金量をHR-ICP-MSで測定した(本発明の標識物質は金を使用)。この時、「検出部位(幅1mm)」を含む部位の非特異吸着標識物質密度と「多孔性担体上の非検出部位」の非特異吸着標識物質密度から「検出部位」のみの非特異吸着標識物質密度を算出した。
本発明では、検出部位における非特異吸着の程度を測る指標として、「検出部位」への標識物質の非特異吸着数(L)と「多孔性担体上の非検出部位」への標識物質の非特異吸着数(BG)の比(L/BG)が重要であることを見い出した。L/BG>2.5の時、非検出部位と比較して検出部位へ非特異吸着する標識物質の割合が大きくなって、擬陽性になりやすい傾向があり、また擬陽性にならなくても増幅時間が短くなってしまい検出感度が極めて低くなってしまう。ちなみに、本発明における擬陽性とは、「抗原を含まない検体液を点着して展開させ洗浄した後、増幅してラインが検出された時間」が30秒以内の場合と定義している。逆に、L/BG<0.4の時のように、検出部位に非特異吸着する標識物質の量が非検出部位に比べて非常に少ない時、抗原抗体反応により特異的にトラップされる標識の絶対量が少ないので、シグナルが小さくなって感度が低下するといった問題がある。
すなわち、本発明におけるL/BGは、0.4から2.5であることが特徴で、好ましくは0.7から2.0、より好ましくは、0.8から1.5となる。
また、イムノクロマトグラフ法で標識抗体が検出部位へ非特異吸着する原因の一つとして、標識粒子に抗体が吸着する時に抗体のFc部分が表面に向いてしまった場合、このFc部分が検出部位の抗体と非特異吸着してしまうことが挙げられる。従って、好ましくは第一の結合物質として断片化抗体を用いることで、より好ましくは該第一の結合物質としてのみ、Fabフラグメント及び/又はF(ab')2フラグメント及び/又はFab'フラグメントである断片化抗体を用いることで、検出部位への非特異吸着を抑制することができる。
本発明では、標識物質は、被験物質に対する第一の結合物質で修飾されている。第一の結合物質とは、例えば該被検物質(抗原)に対する抗体、該被検物質(抗体)に対する抗原、該被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、該被検物質に対して親和性を持つ化合物であればなんでもよい。
本発明では、多孔性担体は、(a)被験物質に対する第二の結合物質、又は(b)第一の結合物質への結合性を有する物質を有している。 該被験物質に対する第二の結合物質とは、例えば該被検物質(抗原)に対する抗体、該被検物質(抗体)に対する抗原、該被検物質(たんぱく質、低分子化合物等)に対するアプタマーなど、該被検物質に対して親和性を持つ化合物であればなんでもよい。また、第二の結合物質と第一の結合物質とは異なるものでも良いし、同一のものでもよい。被検物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質とは、被験物質そのものでも良いし、第一の結合物質が認識する部位を持つ化合物でもよく、たとえば被験物質の誘導体とタンパク質(例えばBSAなど)とを結合させたような化合物などがそれにあたる。
好ましくは、第一の結合物質が抗体であり、及び/または第二の結合物質が抗体である。 抗体は、2つの重鎖と2つの軽鎖とからなり、Y字型の4本鎖構造を基本構造としている。この重鎖と軽鎖がジスルフィド結合で結びついてヘテロダイマーを形成し、さらにこのヘテロダイマー同士が2つのジスルフィド結合で結びついて、Y字型のヘテロテトラマーを形成する。Y字型の上半分のV字部分をFabフラグメントといい、2つの軽鎖と2つの重鎖からなる。この2つのFabフラグメントの先端の部分で抗原と結合する。また、Y字型の下半分の直線部分をFcフラグメントといい、2つの重鎖からなる。本発明で用いる断片化抗体とは、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて、未処理の抗体からFcフラグメントを除去したものである。
断片化抗体の作製方法として代表的なものは、次の2つである。まず、抗体をパパイン酵素で処理した場合、2つのFabフラグメントと1つのFcフラグメントに分解される。また、抗体をペプシン酵素で処理した場合、Fabフラグメントが2つ結合したF(ab')2と断片化されたFcフラグメントに分解される。更に、F(ab')2は2−メルカプトエチルアミンなどの還元剤で処理することにより、Fab'にすることもできる。これら以外にも、断片化抗体を作製する酵素としては、フィシン、リシルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ、ブロメライン、クロストリパイン、メタロエンドペプチダーゼ、パパインを活性化処理した活性化パパインなどがある。これらの酵素処理で得られるFabフラグメントとF(ab')2フラグメント及びFab'フラグメントには抗体結合部位があるが、不要なFcフラグメントが除去されている。従って、抗原検出でこれらのフラグメントを使用することで、非特異吸着が減少しノイズも減少する。本発明で用いる断片化抗体は、上記の方法によって作製されたものに限定されず、Fcフラグメントが除去された抗体であれば、何でもよい。
本発明で用いる抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM等であり、ポリクローナルもしくはモノクローナルの両方に適用可能である。
前記標識物質保持パッドは、検出物質を固定化した標識物質を含む懸濁液を調製し、その懸濁液を適当な吸収パッド(例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等)に塗布した後、それを乾燥することにより調製することができる。
本発明で用いる標識物質としては、被験物質(抗原)と特異的に結合する検出物質を標識するのに用いる標識として、金属コロイド標識又は金属硫化物標識を用いる。前記金属コロイド標識又は金属硫化物標識としては、通常のイムノクロマト法に用いることができる標識である限り、特に限定されるものではなく、金属コロイド標識としては、例えば、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、鉄コロイド、又は水酸化アルミニウムコロイドなどを挙げることができ、金属硫化物標識としては、例えば、鉄、銀、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、又は水銀の各硫化物を挙げることができる。本発明のイムノクロマト法においては、これらの金属コロイド標識及び/又は金属硫化物標識の1又はそれ以上を標識として用いることができる。金属コロイドと特異結合物質との結合は、従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry, Vol.30,No.7,pp691-696,(1982))に従い行うことができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法において、標識物質の粒径が20nmよりも小さいと若干非特異吸着量が増える傾向があり、また、80nmよりも大きいと粒子当たりのシグナルは大きくなるが粒子が凝集し易くなるので、その結果、検出感度が若干低下する傾向が見られる。従って、標識物質の粒子直径は20nmから80nmの範囲であることが、好ましい。
「検出部位」に関しては、一般的に検出物質密度が大きくなるにつれ、シグナルが大きくなる傾向があり、逆に検出物質密度が小さくなるとシグナルも小さくなる。そのため、0.007μg/mm2よりも小さいと検出感度が若干低下する傾向が見られる。また、1.1μg/mm2よりも大きいと若干非特異吸着量が増える傾向が見られるので、その結果若干検出感度が下がる傾向がある。従って、「検出部位」における検出物質密度の範囲は、0.007μg/mm2から1.1μg/mm2が好ましく、0.014μg/mm2から0.84μg/mm2がより好ましく、0.021μg/mm2から0.63μg/mm2がさらにより好ましい。
本発明では、多孔性担体として、ニトロセルロース膜、ポリエチレン膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等などを使用できるが、非特異吸着を抑制し、かつ検出感度がよいイムノクロマトグラフキットを作製するためには、ニトロセルロース膜、又はポリエチレン膜を使用することが好ましい。
なお、多孔性担体は、検出物質を固定化後、不活性蛋白による処理等により非特異的吸着防止処理をして用いるのが好ましい。
また、特開2006-189317号公報に記載されているように、検出物質と非特異吸着防止剤とで形成した検出部位は非特異吸着反応が減少することは知られているが、本発明の系で実施するとより非特異吸着反応を防止できるためよい。例えば、アルブミン、カゼイン、グロブリン、ゼラチン、スキムミルク、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの少なくとも1種類以上を非特異吸着防止剤として用いることができる。具体的な例としては、検出部位を作製する際、抗体とカゼインをライン状に混合塗布することで、実施できる。
さらに、特開2001-289852号公報に記載されているような安定化剤、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、シトルリン、グルコサミンなどの少なくとも1種類以上と、検出物質とで検出部位を形成することでも、より非特異吸着反応を抑制することができるためよい。具体的な例としては、検出部位を作製する際、抗体とアルギニンをライン状に混合塗布することで、実施できる。
また、増幅前のイムノクロマトキットが検出できる抗原濃度の1/100の濃度の抗原を検出する際に検出部位にトラップされる標識物質密度は大体105個/mm2程度であるので、これを検出するためには標識物質の非特異吸着密度が少なくとも同程度でなくてはならない。従って、本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、標識物質の非特異吸着密度が106個/mm2以下であることが特徴であり、好ましくは105個/mm2以下である。
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された被験物質を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の被験物質が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部位に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被験物質の測定に合った速度を設定することができる。
本発明の方法によれば、標識物質として金属コロイド標識又は金属硫化物標識、その他金属合金標識(以下、金属系標識と称することがある)、また金属を含むポリマー粒子標識を用いるイムノクロマト法において、前記金属系標識の信号を増幅あるいは増感させることができる。具体的には、前記被験物質と検出用標識物の複合体の形成後に、還元剤及び金属イオンを接触させ、還元剤によって金属イオンを還元して金属粒子を生成させると、その金属粒子が前記金属系標識を核として前記金属系標識上に沈着するので、前記金属系標識が増幅され、被験物質の分析を高感度に実施することができる。従って、本発明のイムノクロマト法は、還元剤による金属イオンの還元作用により生じた金属粒子を用いて、免疫複合体の標識に沈着させる反応を実施し、こうして増幅された信号を分析することを除けば、それ以外の点では従来公知のイムノクロマトグラフ方法をそのまま適用することができる。
また、本発明におけるイムノクロマトグラフ方法を行う装置は、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を内蔵していてもよく、前記固定化試薬に結合した前記被験物質と検出用標識物の複合体を核として増幅反応によって、シグナルを増幅し、結果として高感度化を達成することができる。これにより、従来のイムノクロマトグラフ方法におけるような外部より増幅のための金属イオンや還元剤溶液を供給することを必要とせず、一段と簡便で、迅速な高感度イムノクロマトグラフを行うことができる。
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法及び競合法について説明する。
サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第1抗体を、予め標識化しておく。第2抗体を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定し、被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在する場合には、抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。前記抗原抗体反応と同時又は反応後に、過剰量の標識化第1抗体を更に接触させると、被検試料中に被験物質が存在する場合には、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と標識化第1抗体とからなる免疫複合体が形成される。
サンドイッチ法では、固定化第2抗体と被験物質(抗原)と第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった標識化第1抗体を除去し、続いて、例えば、第一の不溶性担体における固定化第2抗体を固定した領域に金属イオン及び還元剤を供給することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅し検出することができる。あるいは、標識化第1抗体に金属イオン及び還元剤を添加し、同時に薄膜状支持体に添加することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅して検出、測定することもできる。
競合法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質の分析を実施することができる。競合法は、サンドイッチ法でアッセイすることができない低分子化合物の抗原を検出する手法として知られている。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体を予め調製しておく。また、第1抗体を、予め金属コロイドなどで標識化しておく。第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物を、適当な第一の不溶性担体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定しておく。被験物質(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被験物質が存在しない場合には、標識化された第一抗体と、第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物とにより、第一の不溶性担体上の抗原抗体反応が起きる。一方、被験物質が存在する場合には、標識された第1抗体に被験物質(抗原)が結合するため、その後の第一抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第一抗体に対するエピトープを持つ化合物との、第一の不溶性担体上の抗原抗体反応が阻害され、抗原抗体反応による結合が起こらない。
第一抗体に対して結合性を有する固定化物と標識化された第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった標識化第1抗体を除去し、続いて、例えば、第一抗体に対して結合性を有する物質を固定した領域に、金属イオン及び還元剤を供給することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅して検出することもできる。あるいは、標識化第1抗体に金属イオン及び還元剤を添加し、同時に薄膜状支持体に添加することにより、前記免疫複合体を形成した標識化第1抗体の標識からの信号を増幅し、検出・測定することもできる。
本発明において、使用することのできる増幅液とは、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液のことである。
本発明では、液中に銀イオンを含み、液中の銀イオンが現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元される、いわゆる物理現像液であれば、どんなものでも増幅液として用いることができる。
本発明で用いる銀含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。
本発明に用いられる有機銀塩は、還元可能な銀イオンを含む有機化合物である。本発明で用いられる、還元可能な銀イオンを含む化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体など何でも良い。例えば、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀などが知られている。
また還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する銀塩または配位化合物であってもよい。
本発明に用いられる有機銀塩は、アゾ−ル化合物の銀塩およびメルカプト化合物の銀塩より選ばれる化合物であってもよい。好ましくは、アゾ−ル化合物としては含窒素ヘテロ環化合物であり、より好ましくはトリアゾ−ル化合物およびテトラゾ−ル化合物である。メルカプト化合物は、メルカプト基またはチオン基を分子内に少なくとも1つ有する化合物である。
本発明における窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩は、好ましくはイミノ基を有する化合物の銀塩である。代表的な化合物としては次にあげるものであるが、これらの化合物に限定されることはない。1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、又はベンゾトリアゾ−ルおよびその誘導体の銀塩(例えば、メチルベンゾトリアゾ−ル銀塩又は5−クロロベンゾトリアゾ−ル銀塩)、米国特許第4,220,709に記載されているフェニルメルカプトテトラゾ−ルのような1H−テトラゾ−ル化合物、米国特許第4,260,677に記載のイミダゾ−ルおよびイミダゾ−ル誘導体。この種の銀塩のうち、特に好ましい化合物はベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩、又はこれらの2つ以上の混合物である。
本発明に用いられる窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩として最も好ましくは、ベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩である。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物は、好ましくは5つまたは6つの原子を含むヘテロ環化合物である。この場合に環中の原子の少なくとも1つは窒素原子であり、その他の原子は炭素、酸素、硫黄原子である。このようなヘテロ環化合物としてはトリアゾ−ル類オキサゾ−ル類、チアゾ−ル類、チアゾリン類、イミダゾ−ル類、ジアゾ−ル類、ピリジン類、およびトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
メルカプト基またはチオン基を持つ化合物の銀塩のうち代表的な化合物を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアゾ−ルの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾ−ルの銀塩、および米国特許第4,123,274記載の化合物の銀塩。
本発明におけるメルカプト基またはチオン基を持つ化合物としては、ヘテロ環を含まない化合物を用いることも出来る。ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体としては、総炭素数が10以上の脂肪族または芳香族炭化水素化合物が好ましい。
ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体のうち有用な化合物としては以下に挙げるものがあるが、これらに制限されるわけではない。
チオグリコ−ル酸銀塩(例えば炭素原子数12から22までのアルキル基を持つS−アルキルチオグリコ−ル酸の銀塩)、ジチオカルボン酸の銀塩(たとえばジチオ酢酸の銀塩又はチオアミドの銀塩)
カルボン酸の銀塩を持つ有機化合物もまた好ましく用いられる。例えば、直鎖のカルボン酸である。具体的には、C数6〜22のカルボン酸が好ましく用いられる。加えて芳香族カルボン酸の銀塩である。芳香族カルボン酸とその他のカルボン酸の例として、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。
置換または無置換の安息香酸銀(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセタミド安息香酸銀、およびp−フェニル安息香酸銀)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、又はピロメリット酸銀。
本発明においては米国特許第3,330,663に記載されたようなチオエ−テル基を含む脂肪酸銀もまた好ましく用いられる。エ−テルまたはチオエ−テル結合を含む炭化水素鎖を有するか、α−位(炭化水素基の上)またはオルト位(芳香族基の上)に立体的に遮蔽された置換基を有する可溶性のカルボン酸銀も用いることができる。これらは、塗布溶媒中で溶解性が向上し、光散乱が少ない塗布物になる。
そのような銀のカルボン酸塩は、米国特許第5,491,059に記載されている。ここで記載されている銀塩の混合物はどれでも、本発明においては必要に応じて使うことができる。
米国特許第4,504,575に記載のスルホン酸塩の銀塩もまた、本発明の態様においては使用することが出来る。
さらに、本発明においては例えば米国特許第4,761,361と米国特許第4,775,613に記載のアセチレンの銀塩も使用することが出来る。米国特許第6,355,408に記載のコア−シェル型銀塩として提供されることもできる。これらの銀塩は、一つ以上の銀塩から成るコアと一つ以上の異なる銀塩からなるシェルで構成される。
本発明中において、非感光性銀源としてもう一つ有用なものは米国特許6472131に記載の2つの異なった銀塩から構成される銀の二量体合成物である。そのような非感光性の銀の二量体合成物は2つの異なる銀塩から成る。前記二種の銀塩が直鎖の飽和炭化水素基を銀の配位子として含む場合にはそれら配位子の炭素原子数の差が6以上である。
有機銀塩は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.001モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
本発明に用いられる無機銀塩、もしくは銀錯体は、還元可能な銀イオンを含む化合物である。好ましくは、還元剤の存在下で50℃以上まで加熱されると、光に比較的に安定な金属銀を形成する無機銀塩、もしくは銀錯体である。
本発明に用いられる無機銀塩は、例えば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀、およびヨウ臭化銀等)、チオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩等が挙げられる。
本発明に用いられる無機銀塩は、好ましくはハロゲン化銀、硝酸銀である。
本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子形成方法は、写真業界でよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びハロゲン供給化合物を添加することにより調製される。
ハロゲン化銀の粒子サイズは、検査ノイズを小さくする上で微細であることが好ましく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくはナノ粒子の範囲がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
チオ硫酸銀、チオシアン酸銀、および亜硫酸銀等もハロゲン化銀と同様の粒子形成方法により銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びチオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)を混合することにより調製される。
また、一般に増幅液中の銀イオン濃度が高すぎると、増幅液中で銀イオンが還元されてしまうので、それを防ぐ為に錯化剤を用いて銀イオンが錯体を形成するようにしてもよい。このような錯化剤としては、グリシン、ヒスチジンのようなアミノ酸及び複素環式塩基や、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、プリン、ピリジン、アミノピリジン、ニコチンアミド、キノリン、その他類似の芳香族複素環式系が知られており、例えばヨーロッパ特許第0293947号中に記載されている。また、錯塩形成剤としては、チオ硫酸塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる銀錯体の具体例としては、例えば、チオ硫酸塩と銀イオンの錯体、チオシアン酸塩と銀イオンの錯体、またはこれらの複合銀錯体、および、シュガーチオン誘導体と銀イオンの錯体、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体、1,1−ビススルホニルアルカン類と銀イオンの錯体である。本発明に用いられる好ましい銀錯体は、環状イミド化合物(例えば、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸など)と銀イオンの錯体である。
本発明に用いられる銀錯体は、通常知られている塩形成反応により調製することができる。例えば、水もしくは水混和性溶媒中で水溶性銀供給体(例えば、硝酸銀)と銀錯体に対応する配位子化合物とを混合することにより調製される。調製された銀錯体は、透析法もしくは限外濾過法などの公知の脱塩方法により副成する塩類を除去して用いることが出来る。
無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.01モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
また、無機銀塩または銀錯体を使用する場合は、無機銀塩もしくは銀錯体の溶剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる溶剤としては、上記の銀錯体の項で説明した銀錯体を形成する配位子として用いられる化合物が好ましく用いられる。例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、シュガーチオン誘導体、環状イミド化合物、および1,1−ビススルホニルアルカン類糖である。本発明に用いられる溶剤として、より好ましくは、ウラシル、ウラゾール、5−メチルウラシル、バルビツール酸などの環状イミド化合物である。本発明に用いられる溶剤は、銀イオンに対してモル比で0.1モル〜10モルの範囲で好ましく用いられる。
銀イオンのための還元剤は、銀(I)イオンを銀に還元することができる無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元
性金属塩、還元性金属錯塩が知られており、本発明に用いることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe+2を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。
本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
また、湿式のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる現像主薬(例えばメチル没食子酸塩、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、3−ピラゾリドン類、p−アミノフェノール類、p−フェニレンジアミン類、ヒンダードフェノール類、アミドキシム類、アジン類、カテコール類、ピロガロール類、アスコルビン酸(またはその誘導体)、およびロイコ色素類)、および本分野での技術に熟練しているものにとって明らかなその他の材料は、たとえば米国特許第6,020,117号(バウアーほか)で記述されるように、本発明において用いることができる。
「アスコルビン酸還元剤」はアスコルビン酸、その誘導体との複合体を意味する。アスコルビン酸還元剤は下記のように多くの文献において記載されており、例えば米国特許第5,236,816号(プロルほか)とその中で引用されている文献が挙げられる。
本発明における還元剤として、アスコルビン酸還元剤が好ましい。有用なアスコルビン酸還元剤は、アスコルビン酸と類似物、異性体とその誘導体を含む。そのような化合物は含む以下にあげるものであるが、これらに限定されるわけではない。
D−またはL−アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ−ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL−エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ−ルタイプのアスコルビン酸、たとえば米国特許第5,498,511、EP−A−0585,792、EP−A−0573700、EP−A−0588408、米国特許第5,089,819、米国特許第5,278,035、米国特許第5,384,232、米国特許第5,376,510、JP7−56286、米国特許第2,688,549、およびReseach Disclosure37152(1995年3月)に記載されているような化合物。
これらの化合物のうち、好ましくは、D、LまたはD,L−アスコルビン酸(そして、そのアルカリ金属塩)若しくはイソアスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)であり、ナトリウム塩が好ましい塩である。必要に応じてこれらの還元剤の混合物を用いることができる。
ヒンダードフェノール類も単独で、または一つ以上の硬調化還元剤とコントラスト強化剤と組み合わせて好ましく用いられる。
ヒンダードフェノールは、ベンゼン環上に一つだけの水酸基を有し、少なくとも一つの置換基を水酸基に対してオルト位に有する化合物である。ヒンダードフェノール還元剤は複数の水酸基を別々のベンゼン環に持っていれば、複数の水酸基を有していて構わない。
ヒンダードフェノール還元剤は、たとえば、ビナフトール類(すなわちジヒドロキシビナフトール類)、ビフェノール類(すなわちジヒドロキシビフェノール類)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類(すなわちビスフェノール類)、ヒンダ−ドフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げられ、これらは置換されていて構わない。
代表的なビナフトール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−メチル−2−ナフトール、および米国特許第3,094,417号と米国特許第5,262,295号に記載されている化合物。
代表的なビフェノール類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシナフチル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
4,4’−メチレンビス(2−メチル−1−ナフト−ル)、米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なビス(ヒドロキシフェニル)メタン類は以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(NONOXまたはPERMANAX WSO)、1,1’−ビス(3,5−di−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノ−ル)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノ−ル)(LOWINOX 221B46)、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
代表的なヒンダードフェノールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール、および2−t−ブチル−6−メチルフェノール。
代表的なヒンダードナフトールは以下に挙げられる化合物であるが、これらに制限されることはない。
1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
その他、下記の化合物の還元剤として開示されている。
アミドキシム類(例えばフェニルアミドキシム)、2−チエニルアミドキシム、p−フェノキシフェニルアミドキシム、脂肪族カルボン酸アリルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ(例えば2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ)、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトンおよびヒドラジンの少なくとも一方の組み合わせ(たとえばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンの組み合わせ)、ピペリジ−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、およびo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノール類の組合せ(たとえばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えばエチル−α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸、エチル−α−シアノフェニル酢酸)、ビス−o−ナフトール(例えば2,2’−ジヒドロキシ−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン)。
ビス−ナフト−ルと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン)、5−ピラゾロン(例えば3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン)、レダクトン類(例えばジメチルアミノヘキソ−スレダクトン、アンヒドロジヒドロ−アミノヘキソ−スレダクトン、またはアンヒドロジヒドロ−ピペリドン−ヘキソースレダクトン)、インダン−1,3−ジオン類(例えば2−フェニルインダン−1,3−ジオン)、クロマン類(例えば2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン)、1,4−ジヒドロキシピリジン類(例えば2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリジン)、アスコルビン酸誘導体(1−アスコルビン酸パルミテ−ト、アスコルビン酸ステアレ−ト)、不飽和アルデヒド(ケトン)、3−ピラゾリドン類。
本発明に用いることのできる還元剤として、米国特許第5,464,738に記載されるようなスルホニルヒドラジンを含む置換ヒドラジンがある。この他の有用な還元剤は、例えば、米国特許第3,074,809、米国特許第3,094,417、米国特許第3,080,254および米国特許第3,887,417に記載されている。米国特許第5,981,151に記載の補助還元剤もまた有用である。
還元剤として、ヒンダードフェノール還元剤とその他以下に挙げるような様々な補助還元剤から選ばれる化合物と組み合わせて用いられる場合もある。さらにコントラスト強化剤を加えた3成分の還元剤の混合物もまた有用である。補助還元剤としては米国特許第5,496,695に記載のトリチルヒドラジド、ホルミル−フェニルヒドラジドを用いることができる。
コントラスト強化剤を還元剤とともに用いることができる。コントラスト強化剤としては例えば、下記の化合物が有用であるが、これらに限定されるわけではない。
ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミンとアルキルとアリ−ル置換誘導体を含む)、米国特許第5,545,505に記載のアルカノールアミンとフタル酸アンモニウム、米国特許第5,545,507に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,983に記載のN−アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449に記載の水素原子ドナー化合物。
全ての還元剤と有機銀塩の組み合わせが等しく効果があるわけではない。好ましい組合せの一つは、有機銀塩としてベントリアゾ−ルの銀塩又はその置換化合物、又はその混合物と、還元剤としてアスコルビン酸型還元剤である。
本発明における還元剤は、有機銀中の銀に対して1質量%〜10質量%(乾燥質量)含まれる。多層構造において、還元剤が有機銀塩を含む層以外の層に加えられるならば、わずかに割合は高く、およそ2質量%〜15質量%がより望ましい。補助還元剤は、およそ0.001質量%〜1.5質量%(乾燥重)含まれる。
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅液に最適なpHに調整することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
比較例1:抗体密度0.004μg/mm2、金コロイド粒子直径100nmのインフルエンザキットの作製・評価
1.抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド(粒子直径100 nm)の作製
粒子直径100 nm金コロイド溶液(EMGC100、BBI社)9 mLに20 mM Boraxバッファー(pH 9.0)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、500 μg / mLの抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番 7307、メディックスバイオケミカ社)抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(粒子直径100 nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パッドの作製
1で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水の比が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、7.0)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3.抗体固定化メンブレン(抗体密度0.004μg/mm 2 )の作製
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から8 mmの位置に、0.05 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番 7307、メディックスバイオケミカ社)溶液をインクジェット方式の塗布機(バイオドット社)を用いて0.7μL/cmとなるよう設定し、幅1 mmのライン状に塗布した(検出部位における上記抗体密度は、0.004 μg/mm2である)。同様に、下から14 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した(コントロール部位における上記抗体密度は、0.04 μg/mm2である)。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50 ℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロース、0.05 w%コール酸ナトリウム、50 mM Tris-Hcl(pH 7.5))500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンを作製した。
4.キットの組み立て
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、3で作成した抗体固
定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗インフルエンザ抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2 mm重なるように2で作成した金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5 mm重なるように吸収パッド(5 mm×20 mmに切ったセルロース膜(Cellulose Fiber Sample Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。これら重ね張り合わせた部材を、部材の長辺側を5 mm幅になるように短辺に平行にギロチン式カッター(CM4000、ニップンテクノクラスタ社)切断していくことで、イムノクロマト用ストリップを作成した。これらをプラスチックケース(ニップンテクノクラスタ社)に入れ、イムノクロマトキットとした。
5.非特異吸着量測定方法
1 %BSAを含むPBSバッファーを作製し、上記1から4の方法により作製したイムノクロマトキットに100 μL点着した。15分後にプラスチックケースからストリップを取り出し、吸水パッドを取り外した。その部分に新たに吸収パッド(5 mm×100 mmに切ったセルロース膜)をセロテープ(登録商標)で巻くことで貼り付けた。このストリップを1 %BSAを含むPBSバッファーを700μL入れたマイクロチューブに検体滴下部が液に漬かるように立てかけ、このまま1時間洗浄した。その後、チューブからストリップを取り出してパッド類をはずし、幅2.0mmの「検出部位(ライン部)」を含む部位(ライン部は1mm幅で、その上流0.5mmとその下流0.5mmを含む)と幅2.0mmの「多孔性担体上の非検出部位(非ライン部)」(「ライン部」とコントロール部位の中間部位)を切り出した。各部位の金量定量は、HR-ICP-MS(型番:Element XR、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)で測定した。また、切り出した各部位の辺の長さをノギスを用いて測定し、「非ライン部」の非特異吸着金密度から「ライン部」のみの非特異吸着金量を計算した。
6.検出感度測定方法
(6-1)銀増幅液の作製
(i)増幅液-1の作製
水325gに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬、095-00995)を水に溶解して作成した1mol/Lの硝酸鉄水溶液40mL、クエン酸(和光純薬、038-06925)10.5g、ドデシルアミン(和光純薬、123-00246)0.1g、C919-C64-O-(CH2CH2O)50H 0.1gを溶解させる。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%,)を40mL加える。この溶液80mLを測りとり、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(和光純薬、091-00855)を11.76g加えこれを増幅液A-1とした。
(ii)増幅液-2の作製
硝酸銀溶液10mL(10gの硝酸銀を含む)に水を加えて全体量が100gとなるようにし、増幅液A-2(10重量%硝酸銀水溶液)を作成した。
(iii)増幅液の作製
増幅液-1 40mLを測りとり、増幅液-2を4.25mL加え攪拌し、増幅液とした。
(6-2)検出感度評価方法
(i)増幅時間の設定
まず、作製したイムノクロマトグラフキットに、1%BSAを含むPBSバッファーを100μL滴下し、15分静置した。その後、プラスチックケースからストリップを取り出し、吸水パッドを取り外した。その部分に新たに吸収パッド(5 mm×100 mmに切ったセルロース膜)をセロテープ(登録商標)で巻くことで貼り付けた。このストリップを700μLの洗浄液(1 %BSAを含むPBSバッファー)が入ったマイクロチューブに入れた。このまま1時間放置することで、メンブレンの洗浄を行った。その後、予めストリップに固定されている吸水パッドをはずし、増幅液40mLをバランスディッシュ(150mm×105mm×15mm)に入れ、その中にイムノクロマトストリップを浸して振とうさせることで増幅させた。増幅液中にストリップを入れた時点を0分とし、検出部位のラインが目視で検出できるまで増幅を行い、その時間を測定した。増幅後直ちに3分間水洗を行った。この時検出したラインは非特異吸着した金が原因である。よって、非特異吸着金が原因でラインが検出されない時間として、「(抗原なしでラインが検出された時間)−30秒」を増幅時間に設定した。また、「抗原なしでラインが検出された時間」が30秒以内の場合は、擬陽性とし、検出感度は測定しなかった。
(ii)検出感度の測定
1%BSAを含むPBSバッファーにBD Flu エグザマンコントロールA+B-(ベクトン・ディッキンソン社)を溶解し、抗原希釈溶液を作製した。この抗原希釈溶液を(6-2)(i)と同様にイムノクロマトキットに点着し、洗浄を行った。増幅操作に関しては、(6-2)(i)で設定した時間で同様に行い、目視で検出部位のラインが検出できた限界の抗原濃度を、そのキットの検出感度とした。
比較例2:抗体密度1.4μg/mm2、金コロイド粒子直径100nmのインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を20mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度1.4μg/mm2)、それ以外は全て比較例1の1から4と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、比較例1の5、6と同様に評価を行った。
実施例1:抗体密度0.11μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1. F(ab') 2 化抗インフルエンザA型ウイルス抗体の作製
抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番7307、メディックスバイオケミカ社)を使用し、ImmunoPureR IgG1 Fab and F(ab')2 Preparation Kit(品番 44880、ピアース社)を用いて作製した。
2. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製
抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液の作製は、1で作製したA型抗体を使用し、以下の同様な操作を行った。
直径50 nm金コロイド溶液(EMGC50、BBI社)9 mLに20 mM Boraxバッファー(pH 8.5)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、170 μg / mLのF(ab')2化抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
3.金コロイド抗体保持パッドの作製
2で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水の比が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、1.5)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
4. 抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を1.5mg/mLにして比較例1の3と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.11ug/mm2)、実施例1の1、2で作製したF(ab')2化抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド(粒子直径50 nm)を用い、それ以外は比較例1の4と同様にして、イムノクロマトキットを作製した。
このキットを用いて、比較例1の5、6と同様に評価を行った。
実施例2:抗体密度0.005μg/mm2、金コロイド粒子直径100nm、抗体固定化メンブレン側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1.F(ab')2化抗体固定化メンブレン(抗体密度0.005μg/mm 2 )の作製
実施例1と同様にして、F(ab')2化抗インフルエンザA型ウイルス抗体を作製し、0.7mg/mLとなるように濃度を調整した。これを用いて比較例1と同様に抗体固定化メンブレンを作製した(ライン幅1mm、抗体密度0.005μg/mm2)。
2. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製
実施例2の1で作製したF(ab')2化抗体固定化メンブレンを用い、それ以外は比較例1の1、2、4と同様にして、イムノクロマトキットを作製した。
このキットを用いて、比較例1の5、6と同様に評価を行った。
実施例3:抗体密度1.4μg/mm2、金コロイド粒子直径15nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製
実施例1の1と同様にしてF(ab')2化A型抗体を作製し、以下の操作で抗体修飾金コロイドを作製した。
直径15 nm金コロイド溶液(EMGC15、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 8.0)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、500 μg / mLのF(ab')2化抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(15 nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パッドの作製
1で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、0.032)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3. 抗体固定化メンブレン(抗体密度1.4μg/mm 2 )の作製
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を20mg/mLにして比較例1の3と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度1.4μg/mm2)、実施例3の2で作製したF(ab')2化抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド保持パッド(粒子直径15 nm)を用い、それ以外は比較例1の4と同様にして、イムノクロマトキットを作製した。
このキットを用いて、比較例1の5、6と同様に評価を行った。
比較例3:抗体密度1.4μg/mm2、金コロイド粒子直径15nmのインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を20mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度1.4μg/mm2)、それ以外は全て実施例3の3と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、比較例1の5、6と同様に評価を行った。
実施例1から3、比較例1から3より、「ライン部非特異吸着量(L)/「非ライン部非特異吸着金量(BG)」が0.4より小さいと検出感度が低く、2.5より大きいと擬陽性になる場合があり、擬陽性にならなくても検出感度が極端に低かった。従って、「L/BG」は0.4から2.5の範囲が良い(表1)。また、非特異吸着密度が106個/mm2より大きいと検出感度が極端に低く、105個/mm2より大きいと若干検出感度が低い傾向がある(表1)。従って、本発明は、非特異吸着密度が106個/mm2以下であることが特徴で、好ましくは非特異吸着密度が105個/mm2以下である。さらに、このような条件を満たすためには、金コロイド側抗体、あるいは、メンブレン側抗体のいずれかがF(ab')2である必要がある(表1)。
実施例4:抗体密度0.02μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を0.3mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.02μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例5:抗体密度0.02μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側と抗体固定化メンブレン側両方の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
0.3mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例2と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.02μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例6:抗体密度0.02μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、抗体固定化メンブレン側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1.抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド(粒子直径50 nm)の作製
粒子直径50 nm金コロイド溶液(EMGC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.5)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、90 μg / mLの抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番 7307、メディックスバイオケミカ社)抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(粒子直径100 nm)溶液を得た。
2. 抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製・評価
0.3mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例2と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.02μg/mm2)、実施例6の1で作製した抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド(粒子直径50 nm)を用い、それ以外は全て比較例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例4から6より、金コロイド側の抗体をF(ab')2化する方がより検出感度が高いことが確認された(表2)。
実施例7:抗体密度0.007μg/mm2、金コロイド粒子直径20nm、金コロイド側と抗体固定化メンブレン側両方の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製
実施例1の1と同様にしてF(ab')2化A型抗体を作製し、以下の操作で抗体修飾金コロイドを作製した。
直径20 nm金コロイド溶液(EMGC20、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 8.0)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、300 μg / mLのF(ab')2化抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(20 nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パッドの作製
1で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、0.080)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3. 抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製・評価
0.1mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例2と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.007μg/mm2)、実施例7の2で作製したF(ab')2化抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド保持パッド(粒子直径20 nm)を用い、それ以外は比較例1の4と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、比較例1の5、6と同様にして評価を行った。
実施例8:抗体密度0.007μg/mm2、金コロイド粒子直径80nm、金コロイド側と抗体固定化メンブレン側両方の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製
実施例1の1と同様にしてF(ab')2化A型抗体を作製し、以下の操作で抗体修飾金コロイドを作製した。
直径80 nm金コロイド溶液(EM.GC80、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.0)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、500 μg / mLのF(ab')2化抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(80 nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パッドの作製
1で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、4.6)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3. 抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製・評価
0.1mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例7と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.007μg/mm2)、実施例8の2で作製したF(ab')2化抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド保持パッド(粒子直径80 nm)を用い、それ以外は全て実施例7と同様にしてイムノクロマトキットを作製して、評価を行った。
実施例9:抗体密度0.007μg/mm2、金コロイド粒子直径15nm、金コロイド側と抗体固定化メンブレン側両方の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
0.1mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例7と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.007μg/mm2)、それ以外は全て実施例3と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例10:抗体密度0.007μg/mm2、金コロイド粒子直径100nm、金コロイド側と抗体固定化メンブレン側両方の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
1. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製
実施例1の1と同様にしてF(ab')2化A型抗体を作製し、以下の操作で抗体修飾金コロイドを作製した。
直径100 nm金コロイド溶液(EMGC100、BBI社)9 mLに20 mM Boraxバッファー(pH 8.5)1 mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、1000 μg / mLのF(ab')2化抗体溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4℃、30分間遠心(himacCF16RX、日立社)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05%PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1%BSA, 0.1%NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(100 nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パッドの作製
1で作成した各抗体修飾金コロイドと金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)と水が1:2:1という比率で、5.6×1010個/mLとなるように希釈した(この時の520 nmのODは、7.0)。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3. 抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドを使用したキットの作製・評価
0.1mg/mLとなるように濃度を調整したF(ab')2化抗体を用いて、実施例7と同様に抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.007μg/mm2)、実施例10の2で作製したF(ab')2化抗インフルエンザ抗体修飾金コロイド保持パッド(粒子直径100 nm)を用い、それ以外は全て実施例7と同様にしてイムノクロマトキットを作製して、評価を行った。
実施例7から10より、金コロイド粒径は20nmから80nmの方がより検出感度が高く、それよりも大きくても小さくても検出感度が若干低下することが確認された(表3)。
実施例11:抗体密度0.006μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を0.09mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.006μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例12:抗体密度0.007μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を0.1mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.007μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例13:抗体密度0.014μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を0.2mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.014μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例14:抗体密度0.021μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を0.3mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.021μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例15:抗体密度0.63μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を9.0mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.63μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例16:抗体密度0.84μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を12.0mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度0.84μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例17:抗体密度1.1μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を16.0mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度1.1μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例18:抗体密度1.2μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化したインフルエンザキットの作製・評価
抗体固定化メンブレンに塗布する抗体濃度を17.0mg/mLにして抗体固定化メンブレンを作製し(ライン幅1mm、抗体密度1.2μg/mm2)、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例11から18より、抗体密度が0.007μg/mm2から1.1μg/mm2の範囲が、検出感度が高く、0.014μg/mm2から0.84μg/ mm2の範囲ではより検出感度が高く、さらに0.021μg/mm2から0.63μg/ mm2の範囲ではより検出感度が高いことが確認された(表4)。
実施例19:抗体密度0.11μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化し、ポリエチレン膜を用いたインフルエンザキットの作製・評価
1.抗体固定化ポリエチレン片(抗体密度0.11μg/mm 2 )の作製
「Adsorption to Microspheres(TechNote 204、バングズ・ラボラトリー社)」に記載されている方法で、抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番 7307、メディックスバイオケミカ社)抗体を粒子直径0.3μmのラテックスマイクロスフィア(バングズ・ラボラトリー社)に固定し、抗体固定化ラテックスマイクロスフィア(1mgの粒子あたり、47.6μgの抗体を固定化)を作製した。この抗体固定化ラテックスマイクロスフィアを1.5%(=0.015mg/μL)に調整し、ポリエチレン片(AQ800、0.5cm×2.5cm×0.1cm;旭化成ケミカルズ社)の中心に3μLスポットし、37℃で30分乾燥させて、抗体固定化ポリエチレン片を作製した(この時の検出部位は直径5mmの円形で、抗体密度は、0.11μg/mm2)。
2. F(ab') 2 化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイド・金コロイド抗体保持パッドの作製とキットの組立て・評価
F(ab')2化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイド保持パッドは、実施例1と同様にして作製した。
キットの組立ては、まず5mm幅に切断したバック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、1で作成した抗体固定化ポリエチレン片を貼り付けた。抗体固定化ポリエチレン片の一方に約2 mm重なるように金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化ポリエチレン片のもう一方には約5 mm重なるように吸収パッド(5 mm×20 mmに切ったセルロース膜(Cellulose Fiber Sample Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付け、イムノクロマト用ストリップを作製した。これらをプラスチックケース(ニップンテクノクラスタ社)に入れ、イムノクロマトキットとした。
評価は、実施例1と同様に行った。
実施例20:抗体密度0.11μg/mm2、金コロイド粒子直径50nm、金コロイド側の抗体をF(ab')2化し、ナイロン66膜を用いたインフルエンザキットの作製・評価
1.抗体固定化ナイロンメンブレン(抗体密度0.11μg/mm 2 )の作製
25 mm×200 mmに切断したナイロンメンブレン(Immunodyne ABC、孔径:3.0um、日本ポール社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から8 mmの位置に、1.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番 7307、メディックスバイオケミカ社)溶液をインクジェット方式の塗布機(バイオドット社)を用いて0.7μL/cmとなるよう設定し、幅1 mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から14 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した(コントロール部位における上記抗体密度は、0.035 μg/mm2である)。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50 ℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロース、0.05 w%コール酸ナトリウム、50 mM Tris-Hcl(pH 7.5))500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンを作成した。
F(ab')2化抗インフルエンザウイルス抗体修飾金コロイドの作製、及び、それ以外は全て実施例1と同様にしてイムノクロマトキットを作製し、評価を行った。
実施例1、19、20より、抗体固定化メンブレンの材質としては、ニトロセルロース、又はポリエチレンを用いた方が、より検出感度が高いことが確認された(表5)。
また、実施例1から20、比較例1から3の検出感度とL/BGの関係は、図3のように示すことができる。この時、L/BGがある一定値より大きくなると検出感度が低下するのは、抗原なしでラインが検出される時間が短くなり、その結果増幅時間が短くなることが原因である。従って、本発明においては、検出部位(L)と該多孔性担体上の非検出部位(BG)における非特異吸着標識物数の比が、0.4から2.5であることが特徴で、好ましくは0.7から2.0であり、より好ましくは0.8から1.5である。
Figure 0005091074
Figure 0005091074
Figure 0005091074
Figure 0005091074
Figure 0005091074
本発明で用いることができるイムノクロマトグラフキットの一態様を模式的に示す平面図である。 図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。 実施例1から21、比較例1、2の検出感度とL/BGの関係を示す図である。
符号の説明
1:バック粘着シート
2:金コロイド抗体保持パッド
3:抗体固定化メンブレン
3a:捕捉部位
31:検出部
32:コントロール部
4:吸収パッド
5:試料添加パッド
10:イムノクロマトグラフキット

Claims (5)

  1. 被験物質と、該被験物質に対する第一の結合物質で修飾した標識物質とをこれらを混合させた状態で多孔性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質を有する多孔性担体上の検出部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、少なくとも一つの結合物質として断片化抗体を用い、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増幅することによって被験物質の検出を行うことを含み、検出部位及び非検出部位における標識物質の非特異吸着密度が106個/mm2以下の系で、増幅前の該検出部位と該多孔性担体上の非検出部位における非特異吸着標識物数の比が、0.4から2.5であり、上記非検出部位が、検出部位とコントロール物質を固定化したコントロール部位との中間部位である、イムノクロマトグラフ方法。
  2. 該第一の結合物質として断片化抗体を用い、かつ、該検出部位における該第二の結合物質、又は被験物質に対する第一の結合物質への結合性を有する物質の密度が、0.007μg/mm2から1.1μg/mm2の範囲であり、かつ、該標識物質の粒子直径が、20nmから80nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  3. 第一の結合物質が抗体であり、及び/又は第二の結合物質が抗体である、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフ方法。
  4. 該第一の結合物質としてのみ、Fabフラグメント及び/又はF(ab')2フラグメント及び/又はFab'フラグメントである断片化抗体を用いる、請求項1から3の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
  5. 該多孔性担体が、ニトロセルロース、又はポリエチレンである、請求項1から4の何れかに記載のイムノクロマト方法。
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