本発明の実施形態に係る歩行補助装置Aを図面を参照して説明する。
歩行補助装置Aは、図1に示すように、荷重伝達部としての着座部1と、利用者(図示省略)の各脚の足平に装着される左右一対の足平装着部2,2と、各足平装着部2,2を着座部1にそれぞれ連結する左右一対の脚リンク3,3とを備えている。左右の足平装着部2,2は互いに左右対称の同一構造である。左右の脚リンク3,3も互いに左右対称の同一構造である。なお、本実施形態の説明では、歩行補助装置Aの左右方向は、足平装着部2,2を足平に装着した利用者の左右方向(図1では、その紙面にほぼ垂直な方向)を意味する。
各脚リンク3は、着座部1から第1関節4を介して下方に延設された上側リンク部材5と、足平装着部2から第2関節6を介して上方に延設された下側リンク部材7と、上側リンク部材5と下側リンク部材7とを、第1関節4と第2関節6との中間で屈伸自在に連結する第3関節8とから構成される。
そして、歩行補助装置Aは、各脚リンク3毎に、第3関節8を駆動するための駆動機構9を備えている。左側脚リンク3の駆動機構9と、右側脚リンク3の駆動機構9とは、左右対称の同一構造である。なお、図1では右側脚リンク3の駆動機構9については、図を判りやすくするために、該駆動機構9の一部の記載を省略している。
着座部1は、利用者が跨ぐようにして(利用者の両脚の付け根の間に配置するようにして)着座するサドル状のシート部1aと、シート部1aの下面に装着された基体フレーム1bと、基体フレーム1bの後端部(シート部1aの後側で上方に立ち上がる立ち上がり部分)に取り付けた腰当て部1cとから構成されている。
各脚リンク3の第1関節4は、前後方向及び左右方向の2つの関節軸周りの回転自由度(2自由度)を有する関節である。さらに詳細には、各第1関節4は、着座部1の基体フレーム1bに組み付けられた円弧状のガイドレール11を備えている。そして、このガイドレール11には、各脚リンク3の上側リンク部材5の上端部に固定されたスライダ12が、該スライダ12に軸着した複数のローラ13を介して移動自在に係合されている。このため、各脚リンク3は、ガイドレール11の曲率中心4aを通る左右方向の軸(より詳しくはガイドレール11の円弧を含む平面に垂直な方向の軸)を第1関節4の第1の関節軸として、該第1の関節軸周りに前後方向の揺動運動(前後の振り出し運動)を行うことが可能となっている。
また、ガイドレール11は、着座部1の支持フレーム1bの後上端部に、軸心を前後方向に向けた支軸4bを介して軸支され、該支軸4bの軸心周りに揺動可能とされている。これにより、各脚リンク3は、支軸4bの軸心を第1関節4の第2の関節軸として、該第2の関節軸周りに左右方向の揺動運動(内転・外転運動)を行うことが可能になっている。なお、本実施形態では、第1関節4の第2の関節軸は、右側の第1関節4と左側の第1関節4とで共通の関節軸となっている。
上記のように第1関節4は、各脚リンク3が、前後方向及び左右方向の2つの関節軸周りの揺動運動を行うことが可能となるように構成されている。
なお、第1関節の回転自由度は2つに限られるものではない。例えば3つの関節軸周りの回転自由度(3自由度)を有するように第1関節を構成してもよい。あるいは、例えば左右方向の1つの関節軸周りの回転自由度(1自由度)だけを有するように第1関節を構成してもよい。
各足平装着部2は、利用者の各足平に履かせる靴2aと、靴2a内から上方に突出する連結部材2bとを備え、利用者の各脚が立脚(支持脚)となる状態で、靴2aを介して接地する。そして、連結部材2bに各脚リンク3の下側リンク部材7の下端部が第2関節6を介して連結されている。この場合、連結部材2bは、靴2a内の中敷2cの下側(靴2aの底部と中敷2cとの間)に配置される平板状部分2bxを一体に備えている。そして、連結部材2bは、足平装着部2を接地させた時に、該足平装着部2に床から作用する床反力の一部(少なくとも歩行補助装置Aと利用者の体重の一部とを合わせた重量を支えるのに充分な程度の大きさの並進力)を連結部材2b及び第2関節6を介して脚リンク3に作用させることができるように、平板状部分2bxを含めて比較的高剛性の部材により形成されている。なお、足平装着部2は、靴2aの代わりに、例えばスリッパ状のものを備えるようにしてもよい。
第2関節6は、本実施形態では、ボールジョイントなどのフリージョイントにより構成され、3軸周りの回転自由度を有する関節となっている。ただし、第2関節は、例えば前後及び左右方向の2軸周り、あるいは、上下及び左右方向の2軸周りの回転自由度を有する関節であってもよい。
第3関節8は、左右方向の1軸周りの回転自由度を有する関節であり、上側リンク部材5の下端部に下側リンク部材7の上端部を軸支する支軸8aを有する。該支軸8aの軸心は、第1関節4の第1の関節軸(ガイドレール11の円弧を含む平面に垂直な方向の軸)とほぼ平行である。そして、この支軸8aの軸心が第3関節8の関節軸となっており、その関節軸の周りに、下側リンク部材7が上側リンク部材5に対して相対回転可能とされている。これにより、該第3関節8での脚リンク3の屈伸運動が可能となっている。
各駆動機構9は、着座部1に着座した利用者の体重の一部を支える荷重(上向きの並進力)を着座部1から利用者に作用させるために、足平装着部2が接地している脚リンク3の第3関節8に対して、該脚リンク3の伸展方向の回転駆動力(トルク)を付与するものである。この駆動機構9は、脚リンク3の上側リンク部材5に搭載されており、直動出力軸(ボールネジ)14aを有する直動アクチュエータ14と、その直動出力軸14aから出力される動力(直動出力軸14aの軸心方向の並進力)を回転駆動力に変換して第3関節8に付与する動力伝達機構15とから構成されている。なお、上側リンク部材5には、電源電池5aやハーネス等の付属部品(図示省略)が駆動機構9の上方に並設するように搭載されている。
以下、駆動機構9の詳細を図2〜図4を参照して説明する。
駆動機構9が搭載された上側リンク部材5は、図2に示すように、その第3関節8側の端部(以下、膝側端部という)が開口した中空構造のものである。そして、駆動機構9の直動アクチュエータ14は、第1関節4側の端部(以下、股側端部という)寄りの箇所にかけて、動力伝達機構15は、上側リンク部材5の股側端部寄りの箇所から膝側端部寄りの箇所にかけて、それぞれ上側リンク部材5の内部に収容されている。
直動アクチュエータ14は、回転アクチュエータとしての中空電動モータ16と、この中空電動モータ16が出力する回転駆動力(トルク)を直動出力軸14aの軸心方向の並進力に変換するためのボールネジ機構等を収容した概略四角筒状の筐体17とを備える。筐体17は、中空電動モータ16の股側に隣接し、且つ、その内部を貫通する直動出力軸14aの軸心が概ね上部リンク部材5の長手方向に向くようにして上側リンク部材5の股側端部寄りの箇所に配置されている。
直動出力軸14aの軸心と直交する方向(図2の紙面にほぼ垂直な方向)での筐体17の両端部には、図3に示すように、ベアリング18aがそれぞれ組み込まれた一対の軸受け部材18,18が装着されている。これらの軸受け部材18,18は、それぞれのベアリング18aが同軸心に対向するようにして、筐体17に固定されている。
各軸受け部材18のベアリング18aの内輪には、それぞれ、上側リンク部材5の内壁から、第3関節8の関節軸と平行な軸心を有するようにして突設された支軸19が嵌挿されている。これにより、筐体17は、支軸19の軸心周りに揺動自在に、上側リンク部材5に支持されている。以下、支軸19を揺動軸19ともいう。
筐体17の内部には、ボールネジ機構の主要部が収容されている。本実施形態では、前記直動出力軸14aがボールネジ機構のネジ軸となっており、その外周面に螺旋状のネジ溝14aaが形成されている。また、該ボールネジ機構は、直動出力軸14aに同軸心に外挿された筒状のナット部材20と、このナット部材20の内周面に保持されると共にネジ溝14aaに係合された複数のボール21とを備え、ナット部材20及びボール21が筐体17の内部に収容されている。ナット部材20の内周面には、ボール21と係合されたネジ溝が形成されている。そして、ナット部材20を直動出力軸14aに対してその軸心周りに回転させることによって、ボール21がネジ溝14aaに沿って転動しつつ、直動出力軸14aが、ナット部材20に対して軸心方向に移動するようになっている。
ナット部材20は、その軸心方向の中央部が、前記揺動軸19,19の間に位置するようにして筐体17の内部に配置されている。そして、ナット部材20の軸心方向の一端部(股側端部)には、中空電動モータ16の後述する出力軸16aが固定されている。出力軸16aは、ナット部材20と同軸心に、直動出力軸14aとの間にクリアランスを有して、該直動出力軸14aに外挿されており、そのナット部材20側の端部は筐体17の内部に位置している。
そして、ナット部材20の他端部(出力軸16aと反対側の端部)の外周面と筐体17の内周面との間、並びに、出力軸16aのナット部材20寄りの外周面と筐体17の内周面との間には、それぞれ、ナット部材20と同軸心のベアリング22a,22bが介装されている。これにより、ナット部材20及出力軸16aがそれらの軸心周り(直動出力軸14aの軸心周り)に一体に回転し得るように、ベアリング22a,22bを介して筐体17に支承されている。
なお、本実施形態では、ナット部材20と出力軸16aとは別体構造であるが、ナット部材20と出力軸16aとを一体化に構成してもよい。
ここで、ナット部材20の回転時には、直動出力軸14aがその軸心方向に働くことで、ナット部材20にその軸心方向の力(スラスト力)が作用する。このため、本実施形態では、ベアリング22a,22bはアンギュラベアリングにより構成されている。この場合、ベアリング22aの内輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング22b側の端面には、ナット部材20の外周面に形成された顎部20aが当接されている。さらに、ベアリング22aの外輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング22bと反対側の端面には、筐体17の膝側端部に装着された環状キャップ部材23が当接されている。また、ベアリング22bの内輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング22a側の端面には、出力軸16aの外周面に形成された顎部16aaが当接されている。さらに、ベアリング22bの外輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング22aと反対側の端面には、筐体17の股側端部の内周面に形成された顎部17aが当接されている。これにより、ナット部材20の回転時にナット部材20に作用するスラスト力を、ベアリング(アンギュラベアリング)22a,22bを介して筐体17で受けるようにしている。この場合、ナット部材20及び出力軸16aは、ベアリング22a,22bの内輪間に介在するインナーカラーとして機能する。
なお、ベアリング22aの外輪とベアリング22bの外輪との間には、ナット部材20に外挿された筒状のアウターカラー24が介装されている。そして、ベアリング22aの外輪は、このアウターカラー24と前記環状キャップ部材23との間に挟まれ、ベアリング22bの外輪は、アウターカラー24と筐体17の顎部17aとの間に挟まれている。
ところで、筐体17を揺動軸19,19に揺動自在に支持するための軸受け部材18,18をアウターカラー24の外側に配置することも可能である。しかるに、これでは、揺動軸19,19の軸心方向での筐体17の幅、即ち左右方向の幅が大きくなって、上側リンク部材5や直動アクチュエータ14の左右方向の幅も大きくなる。
そこで、本実施形態では、前記各軸受け部材18の装着箇所(前記ベアリング22a,22bの間隔内の箇所)において、筐体17と、その内側のアウターカラー24とに、図3に示すように、それぞれ開口17b,24aが穿設されている。そして、各軸受け部材18がこれらの開口17b,24a内に収まると共にナット部材20の外周面に近接するようにして、各軸受け部材18が筐体17に装着されている。さらに詳細には、円筒状のアウターカラー24には、その側壁の一部を切り欠いて開口24aを穿設している。また、四角筒状の筐体17の側壁には、軸受け部材18の外形と略同形状を切り欠くようにして開口17bが穿設されている。そして、軸受け部材18は、開口17b,24a内に配置され、筐体17にボルト止めされる。これにより、各軸受け部材18を筐体17の外表面から突出させないようにして、各軸受け部材18の装着箇所における筐体17の幅(揺動軸19の軸心方向での幅)ができるだけ小さくなるようにしている。
図4に示すように、中空電動モータ16を内部に収容するモータハウジング25が、筐体17の膝側端部に隣接するように、該筐体17にボルト止めによって固定されている。これにより、モータハウジング25は、利用者の太腿部に隣接するように配置される。中空電動モータ16は、軸心に沿って貫通穴が形成され、インナーロータを兼用する中空の出力軸16aと、この出力軸16aの外周面に固定される多極着磁されたロータ磁石16bと、これらロータ磁石16bに対向してモータハウジング25の内部に固定されたステータ16cなどを備えている。このように、中空電動モータ16は、その内部中心に位置する出力軸16aが直動出力軸14aと同軸心に配置されるので、直動アクチュエータ14の対する中空電動モータ16の外側形状の特定方向への突出が抑止され、上側リンク部材5を全体的にスリム化される。よって、中空電動モータ16による横方向の張り出しを少なくすることが可能となり、利用者の体幹部軸周りの慣性モーメントを低減させることができると共に、利用者の歩行を妨げとなるおそれが少なくすることができる。
そして、モータハウジング25には、詳細は図示しないが、出力軸16aの回転角度や回転方向等を検出する磁気式等のエンコーダ26も内蔵されており、中空電動モータ16はエンコーダ26と一体化されている。なお、出力軸16aと分離した中空のロータを設け、ギア等でロータの回転速度を減じて出力軸16aから高回転駆動力(トルク)を得るための減速機を、モータハウジング25に内蔵してもよい。この場合、中空電動モータ16、エンコーダ26及び減速機は一体化してモータハウジング25に収容されることが好ましい。
中空電動モータ16の出力軸16aは、前述したように、直動出力軸14aと同軸心になるようにして、股側端部がナット部材20に固定されている。さらに詳細には、出力軸16aは、ナット部材20の膝側端部とドグ部を介して連結されている。これにより、中空電動モータ16がその出力軸16aから出力する回転駆動力が、該出力軸16aと一体化して回転するナット部材20に伝達され、これに従い、直動出力軸14aがその軸心方向に移動するように駆動されることとなる。換言すれば、中空電動モータ16の回転駆動力が、ボールネジ機構を介して直動出力軸14aの軸心方向の並進力に変換されることとなる。
ところで、例えば、直動出力軸14aの股側端部を延伸させ、この延伸部に並設する電動モータの回転駆動力を所謂プーリ・ベルト式回転伝達機構によってナット部材20を回転させることも可能である。しかし、この場合、直動出力軸14aの股側端部を延伸するため、直動出力軸14aが長軸化するという欠点が生じる。また、直動出力軸14aの延伸部に並設した電動モータの外形状が、直動出力軸14aの軸心に対して一方向に突出するので、上側リンク部材5の外形状に張り出し部分が生じるという欠点が生じる。
中空電動モータ16の出力軸16aの回転時には、直動出力軸14aがその軸心方向に動くことで、出力軸16aにその軸心方向の力(スラスト力)が作用する。そのため、一対のアンギュラベアリングを介して出力軸16aを支持することが好ましい。しかし、本実施形態では、ベアリング数を削減すると共に直動アクチュエータ14を短軸化するために、出力軸16aと一体化して回転するナット部材20を支持するベアリング22bを、出力軸16aを支持する一対のアンギュラベアリングのうちの一方として兼用している。そして、他方のアンギュラベアリングであるベアリング27をモータハウジング25の内部に配置している。
このベアリング27は、より詳細には、出力軸16aの股側端部の外周面とモータハウジング25の内周面との間にて、出力軸16aと同軸心に介装されている。そして、ベアリング27の内輪の軸心方向の両端面のうちの膝側の端面には、出力軸16aの外周面に形成された顎部16aaが当接されている。さらに、ベアリング27の外輪の軸心方向の両端面のうちの股側の端面には、モータハウジング25の内周面に形成された顎部25aが当接されている。これにより、出力軸16aに作用するスラスト力を、ベアリング222b,27を介して筐体17及びモータハウジング25で受けるようにしている。
図3及び図4に示すように、筐体17の内部から股側に突出した直動出力軸14aの端部(以下、直動出力軸14aの後端部という)には、直動出力軸14aの移動量を制限するストッパ部材28が装着されている。このストッパ部材28は、直動出力軸14aの後端部の端面から突設された雄ネジ部14abに螺合されたナット28aと、雄ネジ部14abに外挿され、直動出力軸14aの後端部の端面とナット28aとの間に挟み込まれた金属製のワッシャ28b及び環状緩衝部材28cとから構成される。なお、環状緩衝部材28cは、ウレタンゴム等の弾性材から成り、ワッシャ28bとナット28aとの間に介在する。
この場合、ストッパ部材28の外径は、直動出力軸14aの外径(より詳しくは、筐体17から突出している部分の最大外径)よりも若干大きなものとされ、該ストッパ部材28が筐体17に近づく向き(図3及び図4の左向き)に直動出力軸14aが移動したとき、ストッパ部材28のワッシャ28bが最終的にナット部材20に端面(出力軸16aと反対側の端面)に当接するようになっている。そして、この当接により、直動出力軸14aのさらなる移動が制限されるようになっている。また、環状緩衝部材28cの弾性変形により、当接時の衝撃を緩和している。さらに、環状緩衝部材28cの当接側にワッシャ28bを配置することにより、環状緩衝部材28cがナット部材20等に噛み込み、動作不能となることを防止している。なお、以降の説明では、ストッパ部材28が筐体17に近づく向きへの直動出力軸14aの移動を直動出力軸14aの前進、これと逆向きへの直動出力軸14aの移動を直動出力軸14aの後退という。
ここで、中空電動モータ16からナット部材20に回転駆動力(直動出力軸14aを前進させる向きの回転駆動力)を作用させた状態で、ストッパ部材28がナット部材20の端面に当接すると、ナット部材20からストッパ部材28に回転駆動力が作用する。この場合、仮に、この回転駆動力が、雄ネジ部14abに対するストッパ部材28のナット28aのネジ締めを緩める向きの回転駆動力である場合には、ナット28aのネジ締めが緩んでしまう恐れがある。このため、本実施形態では、直動出力軸14aの前進によってストッパ部材28がナット部材20の端面に当接した時にナット部材20からストッパ部材28に作用する回転駆動力の向きが、ストッパ部材28のナット28aをネジ締めする向きとなるように、ナット28aのネジ締めの回転方向と、直動出力軸14aの前進時のナット本体20の回転方向とが設定されている。例えば、雄ネジ部14abに対するナット28aのネジ締めが、ナット28aを時計周り方向に回転することでなされるように雄ネジ部14ab及びナット28aのネジ切方向が設定されている場合には、ボールネジ機構のナット部材20を時計周り方向に回転することで、直動出力軸14aが前進する(直動出力軸14aに対してナット部材20が後退する)ように、該直動出力軸14a及びナット部材20のネジ切方向が設定されている。これにより、直動出力軸14aの前進によってストッパ部材28が筒状部材20bの端面に当接した時に、ナット28aのネジ締めを緩める向きの回転駆動力がストッパ部材28に作用することが無いようになっている。
以上が、直動アクチュエータ14の詳細構造であるが、直動アクチュエータ14は、上側リンク部材5の内部に全て収容されている。そのため、上側リンク部材5の外側ハウジングを金属製とし、中空電動モータ16を含むノイズ源をシールドすれば、ノイズの外部への漏出を抑えることができるので好ましい。また、直動アクチュエータ14が上側リンク部材5の外側ハウジングから飛び出さないので、利用者は歩行補助装置Aを引っ掛かり無く容易に装脱着することができる。
各駆動機構9の動力伝達機構15を図2を参照して説明する。
動力伝達機構15は、第3関節8の関節軸(支軸8aの軸心)と同軸心に下側リンク部材7に設けられたクランクアーム29と、このクランクアーム29と直動出力軸14aとの間で直動出力軸14aと同軸心に延在する連結ロッド30とを備える。連結ロッド30の長手方向の両端のうち、直動出力軸14a側の一端は、該連結ロッド30の端面から突設された雄ネジ部30a(図3及び図4に示す)を直動出力軸14aに螺着することにより該直動出力軸14aに固定されている(図3及び図4を参照)。また、連結ロッド30の他端はクランクアーム29端部の枢支部29aに枢着されている。詳細は図示しないが、連結ロッド30は、球面ジョイントを介して、クランクアーム29の枢支部29aに枢着されている。なお、連結ロッド30とクランクアーム29との間に樹脂製のバネワッシャを介装して、球面ジョイントのガタを吸収するようにしている。
以上が動力伝達機構15の詳細である。
かかる動力伝達機構15では、中空電動モータ16を作動させることによって、直動アクチュエータ14の直動出力軸14aに、その軸心方向の並進力を発生させると、その並進力が、連結ロッド30を介してクランクアーム29の枢支部29aに作用する。例えば図2に矢印Fで示す如く並進力Fが作用する。このとき、枢支部29aは、第3関節8の関節軸に対して偏心しているので、枢支部29aに作用する並進力Fによって(より詳しくは、並進力Fのうち、第3関節8の関節軸(支軸8aの軸心)と枢支部29aとを結ぶ直線と直交する方向の成分によって)、第3関節8の関節軸周りのモーメント(トルク)が下側リンク部材7に作用する。そして、このトルクによって、下側リンク部材7が上側リンク部材5に対して回転駆動され、第3関節8での脚リンク3の屈伸動作が行われる。この場合、本実施形態では、枢支部29aは、第3関節8の関節軸の軸心方向で見た場合に、該第3関節8の関節軸(支軸8aの軸心)と、前記揺動軸19とを結ぶ直線よりも、上側に配置されている。このため、直動アクチュエータ14の直動出力軸14aに、その後退方向の並進力(クランクアーム29の枢支部29aとナット部材20との間で引張り力となる並進力)を発生させることで、第3関節8が脚リンク3の伸展方向の駆動されることとなる。また、この場合、脚リンク3の屈伸動作に伴い筐体17を揺動させるための揺動軸19,19の軸心が、ボールネジ機構のナット部材20の内部において、該ナット部材20の軸心と直交しているので、ナット部材20の内側で直動出力軸14aに曲げ力が作用するのを極力抑制することができる。このため、ナット部材20の回転駆動に応じた直動出力軸14aの軸心方向の移動を安定且つ円滑に行うことができる。
以上が本実施形態の歩行補助装置Aの機構的な主要構成である。なお、図示は省略するが、直動アクチュエータ14の中空電動モータ16の運転制御を行うために、歩行補助装置Aの適所に、マイクロコンピュータ等を含む制御装置などが搭載される。例えば制御装置は、着座部1の基本フレーム1bの内部に搭載される。さらに、歩行補助装置Aには、利用者の踏力を検出するためのセンサや、各脚リンク3の屈曲角度を検出するセンサも搭載され、これらセンサの出力が、中空電動モータ16の運動制御に利用される。
かかる歩行補助装置Aでは、利用者の歩行時に、利用者の体重の一部を支える荷重(上向きの並進力)を定常的に着座部1から利用者に作用させるように、接地状態の各脚リンク3の第3関節8が駆動される。より詳しくは、所定値の並進力(例えば利用者の体重の所定割合(例えば20%等)を支える並進力)を着座部1から利用者に作用させるべき目標荷重とし、この目標荷重を発生させるために要求される第3関節8の必要トルク(脚リンク3の伸展方向の必要トルク)が図示しない制御装置の演算処理により決定される。そして、この必要トルクを第3関節8に作用させるように、電動モータ16の出力トルクが制御される。これにより、着座部1から利用者に目標とする荷重が作用し、利用者の脚の負担が軽減される。
なお、以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、前記実施形態では、中空電動モータ16を内部に収容するモータハウジング25を、筐体17の膝側端部に隣接するように配置したが、筐体17の股側端部に隣接するように配置することも可能である。
また、前記実施形態では、荷重伝達部をサドル状のシート部1aを有する着座部1により構成したが、利用者の腰周りに装着するハーネス状の可撓性部材により荷重伝達部を構成してもよい。荷重伝達部は、利用者の体幹部に上向きの並進力を作用させるために、両脚の付け根の間で利用者に接する部分を備えることが好ましい。
また、前記実施形態では、第1関節4を円弧状のガイドレール11を有するものに構成して、各脚リンク3の前後方向の揺動支点としてのガイドレール11の曲率中心4aが着座部材1の上方に位置するようにしたが、例えば脚リンク3の上端部を着座部1の上方に位置するようにしたが、例えば脚リンク3の上端部を着座部1の側部や下部で横方向(左右方向)の軸で軸支する単純な構造の関節構造で第1関節4を構成してもよい
また、片方の脚が骨折等で不自由な利用者の歩行を補助するため、前記実施形態の左右の脚リンク3,3のうち、利用者の不自由な脚側の脚リンクのみを残して、他方の脚リンクを省略するようにしてもよい。
A…歩行補助装置、1…着座部材(荷重伝達部)、2…足平装着部、3…脚リンク、4…第1関節、4a…ガイドレールの曲率中心、5…上側リンク部材、6…第2関節、7…下側リンク部材、8…第3関節、8a…支軸、9…駆動機構、11…ガイドレール、12…スライダ、14…直動アクチュエータ、14a…直動出力軸(直動軸部材)、14aa…ネジ溝、15…動力伝達機構、16…中空電動モータ、16a…出力軸(インナーロータ)、17…筐体、18…軸受け部材、18a…ベアリング、19…支軸、揺動軸、20…ナット部材(インナーカラー)、20…ナット部材、21…ボール、22a,22b…ベアリング、24…アウターカラー、25…モータハウジング、26…エンコーダ、27…ベアリング、29…クランクアーム、29a…枢支部、30…連結ロッド。