JP5097741B2 - 木材の成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木材を圧縮することによって該木材を所定の3次元形状に成形する木材の成形方法に関する。
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その成形技術も飛躍的に進歩しつつある。
従来、かかる木材の成形技術として、吸水軟化した1枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、軟化処理した状態で圧縮した1枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特許第3078452号公報 特開平11−77619号公報
しかしながら、木材は上述したように個体差があるため、原木から同じ形状に形取って圧縮成形しても、圧縮によって木材が変形する際の木材成分の流動の仕方によって所望の強度が部分的に得られない場合があった。この場合、強度が弱い箇所には割れ等の不具合が発生することも多いため、圧縮後に補強を行うこともできずに廃棄せざるを得ず、成形品の歩留まりを向上させる上での障害となっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原木から形取った木材の木目の入り方によらず所望の強度を有する成形を行うことができ、成形品の歩留まりを向上させることができる木材の成形方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る木材の成形方法は、木材を圧縮することによって該木材を所定の3次元形状に成形する木材の成形方法であって、略椀状に形取った木材の内側面で圧縮前後の曲率の変化が最も大きくかつ木目の間隔が最も大きい場所を含む領域に伸縮性を有する補強材を貼付する補強材貼付工程と、前記補強材貼付工程で補強材を貼付した木材を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で軟化させる軟化工程と、前記軟化工程で軟化させた木材を前記水蒸気雰囲気中で圧縮することによって所定の3次元形状に変形させる圧縮工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る木材の成形方法は、上記発明において、前記補強材貼付工程は、前記木材の内側面で圧縮前後における曲率の変化が最も大きくかつ前記木目の間隔が最大である場所が複数ある場合、前記圧縮工程によって繊維が最も曲がる場所を含む領域に貼付することを特徴とする。
また、本発明に係る木材の成形方法は、上記発明において、前記補強材は、前記木材の繊維方向と交差する方向を指向する複数の繊維を含み、前記複数の繊維は、木材繊維成分であるセルロースを含む材料からなることを特徴とする。
本発明によれば、略椀状に形取った木材の内側面で圧縮前後の曲率の変化が最も大きくかつ木目の間隔が最も大きい場所を含む領域に伸縮性を有する補強材を貼付することにより、木目の状態によらず所望の強度を有する成形を行うことができ、成形品の歩留まりを向上させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
図1は、本発明の実施の形態1に係る木材の成形方法の概要を示すフローチャートである。本実施の形態1に係る木材の成形方法においては、最初に略椀状をなす木材を原木から形取る(ステップS1)。図2は、この形取り工程の概要を示す図であり、原木1から略椀状の木材2を形取る状況を模式的に示す図である。このステップS1では、後述する工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有するように木材の形取りを行う。原木1としては、ヒノキ、ヒバ、桐、杉、松、桜、欅、黒檀、紫檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、成形後の木材の用途に応じて最適なものを選択すればよい。また、原木1のどの部分を形取るかは、その木材に対して要求する強度や美観等の条件に応じて定めればよい。
続いて、木材2に対して補強材を貼付する(ステップS2)。図3は、補強材を貼付する工程の概要を示す図であり、木材2を図2の上方から見た平面図である。図3において、破線で示す楕円状の閉曲線Dは、木材2を圧縮した後で立ち上がりの部分と底面との境界となる部分である。すなわち、木材2は、閉曲線Dの近傍領域で最も曲率が変化する。図3に示す場合、閉曲線Dの上部中央付近が木目Gの間隔が最も大きく、他の領域よりも圧縮後に補強が必要となる可能性が高い。そこで、図3に示す場合には、この領域に補強材3を貼付している。
補強材3は、木材と同等の成分を有し、伸縮性のある素材から構成される。具体的には、補強材3は、セルロース等の木材繊維成分を含む天然繊維である木綿、麻、絹、亜麻などからなる布や不織布、または再生セルロース繊維であるレーヨンなどを用いて構成される。補強材3は接着剤を用いて木材2に接着してもよいが、圧縮後に補強材3と木材2は木材2の樹脂成分によって一体化するため、木材2に対する位置決めを行うことができる程度の微量の接着剤を用いて接着すれば十分である。なお、補強材3を貼付する際には、少なくとも木材2の繊維方向と補強材3の繊維とが交差するように貼付するのが好ましい。また、補強材3の形状は、貼付すべき領域の大きさに応じて適宜変更可能である。
続いて、木材2を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して水分を過剰に吸収させることにより、木材2を軟化させる(ステップS3)。水蒸気は、温度が100〜230℃程度であり、圧力が0.1〜3.0MPa(メガパスカル)程度である。このような水蒸気雰囲気は、例えば圧力容器を用いることによって実現することができる。圧力容器を用いる場合には、その圧力容器の中に木材2を放置することによって軟化させる。なお、水蒸気雰囲気中で木材2を放置して軟化させる代わりに、木材2の表面に水分を供給した後、マイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって木材2を加熱して軟化させてもよいし、木材2を煮沸して軟化させてもよい。
この後、ステップS3で十分に軟化した木材2を上記ステップS3と同様の水蒸気雰囲気中で圧縮する(ステップS4)。圧力容器の中で木材2を軟化させた場合には、引き続きその圧力容器の中で木材2を圧縮すればよい。
図4は、圧縮工程の概要を示すとともに、圧縮工程で使用する一対の金型の構成を示す図である。図4で木材2の上方から圧縮力を加える金型61は、木材2の内側面に当接可能な凸部62を備えたコア金型である。これに対し、図4で木材2の下方から圧縮力を加える金型71は、木材2の外側面に当接可能な凹部72を備えたキャビティ金型である。
図5は、金型61が木材2に当接し、木材2に金型61、71からの圧縮力が加わり始めた状態を示す図であり、図4に示す木材2、および金型61、71のA−A線を切断面とする縦断面図である。
図5に示す状態から金型61を下降させていくと、木材2は金型61、71からの圧縮力によって徐々に変形していく。その結果、木材2の上面は凸部62の表面と密着した状態になる一方、木材2の下面は凹部72の表面と密着した状態となる。図6は、この密着した状態を示す図であって、圧縮工程における木材2の変形がほぼ完了した状態を示す図である。図6に示すように、木材2は、金型61と金型71との隙間に相当する3次元形状に変形する。圧縮工程では、図6に示す状態で木材2に所定時間(1〜数十分、より好ましくは5〜10分程度)圧縮力を加え続ける。
この圧縮工程により、補強材3の表面は木材2の表面と面一となり、補強材3は木材2に食い込んでいるが(図6を参照)、補強材3をなす繊維の主成分は木材が含有する成分と同じなので、線膨張係数によって表される収縮率等の物理的性質も類似しており、木材との親和性が高い。したがって、補強材3が木材2自体の繊維を切断等によって傷つけたりすることがなく、木材2になじんだ状態でその木材の表面に固着することとなる。
圧縮工程が終了した後、金型61、71を型締めした状態を保持したまま、上述した水蒸気よりさらに高温の水蒸気を金型61、71の周囲に加えることにより、木材2の形状を固定化する(ステップS5)。この固定化処理を圧力容器中で行う場合には、圧縮工程における水蒸気よりもさらに高温の水蒸気を圧力容器へ吹き込めばよい。
続いて、金型61、71および木材2を大気中へ開放し、木材2を乾燥させる(ステップS6)。この際には、金型61、71の型締め状態を解除し、金型61または71を木材2から離間することによって木材2の乾燥を促進させるようにしてもよい。乾燥終了後の木材2の肉厚は、圧縮前の木材2の肉厚の30〜50%程度であれば好ましい。これは、木材2の圧縮率が0.50〜0.70程度であることに相当する。以後、乾燥工程まで終了した木材2を「木材4」と称する。
ステップS6の後、木材4に対して切削による端面処理等を施すことにより、木材4を所定の形状に整形する(ステップS7)。
図7は、以上説明した木材の成形方法によって形成された木材の構成を示す斜視図である。同図に示す木材4は、略長方形状の表面を有し平板状をなす主板部4aと、主板部4aの表面の長手方向と略平行な2辺の各々から主板部4aに対して立ち上がるように延出する二つの側板部4bと、主板部4a表面の短手方向と略平行な2辺の各々から主板部4aに対して立ち上がるように延出する二つの側板部4cとを備える。側板部4b、4cの端面は互いに連なっており、これらの端面が全体として周回して閉じた矩形形状をなしている。また、木材4の肉厚は、ほぼ均一である。
図8は、木材4を外装体の一部とするデジタルカメラの構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ100は、外装体101と、撮像部102と、フラッシュ103と、シャッターボタン104とを有する。外装体101の前面側は、木材4に対して撮像部102およびフラッシュ103をそれぞれ表出する開口部、およびフラッシュ103の一部を表出する切り欠きを形成したものである。一方、デジタルカメラ100の背面側は、木材2を用いて木材4と同様に形成される木材5によって外装される。なお、木材5の木目は木材4の木目とは異なるため、補強材3を貼付する箇所は異なっている。外装体101をなす木材4、5の肉厚は、0.8〜2.0mm程度であればより好ましい。
以上の構成を有するデジタルカメラ100においては、木材2における外側面が外装体101の表面となるため、木材2の内側面に貼付した補強材3は裏面側に隠れている。したがって、補強材3を貼付しても、外装体101の外観の美観が損なわれることがない。
なお、木材4は、デジタルカメラ以外の電子機器用外装体としても適用することが可能である。
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、略椀状に形取った木材の内側面で圧縮前後の曲率の変化が最も大きくかつ木目の間隔が最も大きい場所を含む領域に伸縮性を有する補強材を貼付することにより、木目の状態によらず所望の強度を有する成形を行うことができ、成形品の歩留まりを向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、例えば略椀状をなす内側面全体に補強を施した場合のように、圧縮後に残留応力が残ってしまう可能性が低くなり、製品としての形状安定性を維持しつつも、弱い箇所を補強することが可能となる。加えて、補強材もわずかな量で済むため、資源の節約や低コスト化も実現することができる。
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を詳述してきたが、本発明は上述した一実施の形態によって限定されるべきものではない。図9は、本発明の別な実施の形態に係る木材の成形方法における補強材貼付工程の概要を示す図である。図9に示す木材8は、上述した木材2と同じ形状(略椀状)を有するが、木目Gの入り方が異なっている。図9において、楕円状をなす閉曲線Dのうち木目Gの間隔が最大である箇所は、図の上端部付近と右端部付近である。このような場合、上記一実施の形態では、その両方に補強材3を設けることになる。これに対し、図9では、木目Gの間隔がほぼ同じ2つの領域のうち、圧縮前後における木材の繊維の曲がり方がより大きい右辺の中央部にのみ補強材3を貼付している。このように、木材の繊維方向および圧縮前後の木材の変形の態様を勘案することにより、補強材3の使用量を最小限に抑えることが可能となる。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
本発明の一実施の形態に係る木材の成形方法の処理の概要を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係る木材の成形方法の形取工程の概要を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の成形方法の補強材貼付工程の概要を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の成形方法の圧縮工程の概要を示す図である。 圧縮工程において圧縮を開始した時点の状態を示す図である。 圧縮工程において木材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。 圧縮成形後の木材の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の成形方法によって形成された木材の適用例であるデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。 本発明の別な実施の形態に係る木材の成形方法の補強材貼付工程の概要を示す図である。
1 原木
2、4、5、8 木材
3 補強材
4a 主板部
4b、4c 側板部
61、71 金型
62 凸部
72 凹部
100 デジタルカメラ
101 外装体
102 撮像部
103 フラッシュ
104 シャッターボタン
D 閉曲線
G 木目

Claims (3)

  1. 木材を圧縮することによって該木材を所定の3次元形状に成形する木材の成形方法であって、
    略椀状に形取った木材の内側面の一部の領域であって圧縮前後の曲率の変化が最も大きくかつ木目の間隔が最も大きい場所を含む領域に伸縮性を有する補強材を貼付する補強材貼付工程と、
    前記補強材貼付工程で補強材を貼付した木材を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で軟化させる軟化工程と、
    前記軟化工程で軟化させた木材を前記水蒸気雰囲気中で圧縮することによって所定の3次元形状に変形させる圧縮工程と、
    を有することを特徴とする木材の成形方法。
  2. 前記補強材貼付工程は、
    前記木材の内側面で圧縮前後における曲率の変化が最も大きくかつ前記木目の間隔が最大である場所が複数ある場合、前記圧縮工程によって繊維が最も曲がる場所を含む領域に貼付することを特徴とする請求項1記載の木材の成形方法。
  3. 前記補強材は、前記木材の繊維方向と交差する方向を指向する複数の繊維を含み、
    前記複数の繊維は、木材繊維成分であるセルロースを含む材料からなることを特徴とする請求項1または2記載の木材の成形方法。
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