JP5100253B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、窓や玄関等の開口部を有する建物に関する。
地震などにより住宅等の建物に外力が加わった場合、窓や玄関等の開口部が変形し、障子やドア等の開閉が困難となることがある。このため、避難の際において開口部を通じての出入りに支障が生じる問題があった。
そこで、上記問題を解決しようとするものとして、柱や梁等からなる主構造体と、窓等の開口部を形成するサブ構造体とを各々独立して設けるとともに、それら主構造体とサブ構造体とを、振動エネルギを吸収するダンパにより連結した技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これによれば、主構造体とサブ構造体とで固有振動数を異ならせることで、ダンパを介して互いの振動が打ち消し合って振動が抑制される。また、ダンパにより振動自体が減衰される。これらの作用によりサブ構造体の変形が抑制され、開口部においてドア等の開閉を確保することができる。その結果、開口部を非常用出口として利用することが可能となるとしていた。
特開2001−207549号公報
ここで、主構造体及びサブ構造体には室内空間を形成するために外壁材や内壁材等の壁材が取り付けられることとなる。したがって、上記技術では、地震等による揺れ発生時には主構造体に加わる振動が壁材を介してサブ構造体に伝わりその開口部が変形してしまうおそれがある。ゆえに、開口部の変形抑制効果の観点では不十分であると考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、開口部の変形抑制効果を高めることのできる建物を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.主構造体(構造フレーム20)と、その主構造体とは独立して変位可能に設けられ開口部を形成するサブ構造体(開口部フレーム30)とを備える建物において、
前記主構造体に壁材(外壁材22、内壁材39)が取り付けられるとともに、前記壁材と前記サブ構造体とが相対移動可能に設けられていることを特徴とする建物。
手段1によれば、主構造体に取り付けられた壁材とサブ構造体とが相対移動可能に設けられている。これにより、地震等による揺れが発生した場合にも、主構造体に加わる振動が壁材を介してサブ構造体に伝わり開口部が変形してしまうという不具合を抑制することが可能となる。その結果、地震等による揺れ発生時において開口部を非常用出口として利用することができる。
手段2.前記サブ構造体及びそのサブ構造体に一体に設けられる開口枠部材(窓枠40、窓枠見切り41、屋内見切り板45)の少なくともいずれかと、前記壁材の周端部とを対向させて設けた建物であり、
それら対向する両者間において前記壁材の面方向に第1クリアランス(クリアランスC1,C3)を設けて、それら両者を水平方向に相対移動可能とした手段1に記載の建物。
手段2によれば、地震等による揺れ発生時において壁材が振動する場合、その振動が第1クリアランスの範囲内であれば壁材とサブ構造体との干渉が回避できる。これにより、壁材の振動がサブ構造体に伝わり開口部が変形する、といった不具合を解消することができる。
手段3.前記第1クリアランスは、前記建物において層間変形角(δ/h)があらかじめ定めた最大値となる場合にも前記壁材と前記サブ構造体との相対移動を許容する寸法にて設けられている手段1又は2に記載の建物。
手段3によれば、あらかじめ想定した範囲内で建物が最大限変形する場合にも、壁材とサブ構造体とが相対移動し、開口部の変形を抑制することが可能となる。
手段4.前記サブ構造体及びそのサブ構造体に一体に設けられる開口枠部材(窓枠40、窓枠見切り41、屋内見切り板45)の少なくともいずれかと、前記壁材の壁面とを対向させて設けた建物であり、
それら対向する両者間において前記壁材の面直交方向に第2クリアランス(クリアランスC2,C4)を設けて、それら両者を水平方向に相対移動可能とした手段1乃至3のいずれか1つに記載の建物。
手段4によれば、壁材の面直交方向に重複する壁材と開口枠部材との間に第2クリアランスが設けられているため、主構造体とサブ構造体とを好適に相対移動させることができる。この場合、地震等による揺れ発生時において壁材の表面部が損傷したりするなどの不具合を抑制できる。
手段5.前記第2クリアランスにその隙間を埋めるためのシール材(シーリング材42、バックアップ材43)及び緩衝部材(見切り緩衝部材49)の少なくともいずれかを設けた手段4に記載の建物。
手段5によれば、第2クリアランスにシール材及び緩衝部材の少なくともいずれかが設けられているため、そのクリアランス(隙間)からの雨水の浸入等を抑制したり、建物の気密性を高めたりすることができる。
手段6.前記主構造体は上下に設けられる上梁(天井大梁13)及び下梁(床大梁14)を備え、
前記サブ構造体において上下いずれか一方の端部を前記上下の各梁のうち第1梁に連結するとともに、同サブ構造体の他方の端部を前記上下の各梁のうち第2梁に直接連結せず制振装置(ダンパ37)を介して連結した手段1乃至5のいずれか1つに記載の建物。
手段6によれば、地震等による揺れが発生した場合、第2梁とサブ構造体との間に連結された制振装置により主構造体の変形が抑制される。これにより、主構造体の変形量が許容変形量(例えば第1クリアランスの許容レベル)を超えることを阻止し、壁材とサブ構造体とを好適に相対移動させることができる。
手段7.前記サブ構造体は、同サブ構造体よりも剛性の高い剛体(高剛性フレーム33)に連結されている手段6に記載の建物。
手段7によれば、サブ構造体は、剛体に連結されているため、制振装置を介して伝達される振動に対して剛体との協働により抵抗することができる。
手段8.前記制振装置として、前記第2梁と前記サブ構造体との間に、水平方向に伸縮可能となる向きにダンパ装置を設けた手段6又は7に記載の建物。
手段8によれば、地震等による揺れが発生した場合、ダンパ装置が水平方向に伸縮することにより、地震等による振動エネルギを好適に吸収することができる。これにより、サブ構造体に伝わる振動を低減し、開口部の変形を抑制することが可能となる。なお、ダンパ装置はそれ自体が水平方向に設けられること以外に、斜め方向に設けられていてもよく、いずれにしろ水平方向の伸縮が可能であればよい。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、ユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、窓部を備えた建物ユニットを含む複数個の建物ユニットを互いに連結することで構築されている。図3には、当該ユニット式建物に用いられる建物ユニットの構成を示す。
図3に示すように、建物ユニット11は、その四隅に配された柱12を有し、各柱12の上端部及び下端部がそれぞれ4本の天井大梁13、床大梁14により連結されている。そして、それら柱12、天井大梁13及び床大梁14により直方体状の構造フレーム20(主構造体)が形成されている。柱12は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁13及び床大梁14は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット11の長辺部の相対する天井大梁13の間には、所定間隔で複数の天井小梁15が架け渡されている。同じく建物ユニット11の長辺部の相対する床大梁14の間には、所定間隔で複数の床小梁16が架け渡されている。天井小梁15と床小梁16とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に水平に設けられている。
本実施形態の建物ユニット11では、上記のような構造フレーム20にサブ構造体としての開口部フレームが一体に設けられ、その開口部フレームによって窓や玄関等の開口部が形成される構成となっている。以下、開口部フレーム等の構成について図1を参照しつつ説明する。図1は建物ユニット11の正面図であり、(a)は外壁ありの正面図、(b)は外壁なしの正面図である。
図1(a)(b)に示すように、建物ユニット11を構成する構造フレーム20には開口部フレーム30が一体に設けられ、同ユニット11の外壁面(四方の側面のうち外壁となる側面)において、開口部フレーム30により形成される開口部23を除く部位には、複数の外壁材22が取り付けられている。本実施形態での開口部23は窓として構成されている。各外壁材22は、柱12、天井大梁13及び床大梁14により形成される枠体にボルト等により取り付けられている。
開口部フレーム30は、天井大梁13と床大梁14との間に設けられている。開口部フレーム30は、離間対向して配される一対の縦桟31,32を備え、その一対の縦桟31,32との間に開口部23が形成されている。縦桟31,32は、いずれも四角柱状の角形鋼よりなる。
縦桟31,32は、上端部と天井大梁13との間に所定の隙間が形成された状態で、その下端部が床大梁14に連結されている。つまり、縦桟31,32は、床大梁14上に鉛直方向に設けられ、その上端部が天井大梁13に対して相対移動可能(水平方向にスライド可能)な納まりとなっている。これにより、地震等による揺れ発生時に生じる水平力が建物ユニット11に加わった場合に、その水平力が天井大梁13から開口部フレーム30に直接伝わらないようになっている。なお、開口部フレーム30は、床大梁14上に自立する自立フレームとなっている。本実施形態では、床大梁14が「第1梁」に相当し、天井大梁13が「第2梁」に相当する。
床大梁14上には、開口部フレーム30に沿うようにして剛体としての高剛性フレーム33が設けられており、それら開口部フレーム30と高剛性フレーム33とが連結片34により連結されている。
具体的には、高剛性フレーム33は、開口部フレーム30側において床大梁14に対して略垂直に延びる直立材35と、その直立材35と床大梁14との間に斜めに配されて同直立材35の上端部付近と床大梁14とを連結する斜材36とを備えている。直立材35及び斜材36は縦桟31,32よりも高剛性の部材よりなる。例えば、直立材35及び斜材36として、縦桟31,32よりも厚肉の鋼材が使用されている。そして、直立材35の上端部と開口部フレーム30の縦桟31の上端部とが連結片34により連結されている。上記構成により、開口部フレーム30の剛性が高められている。
直立材35及び斜材36は、その上端部と天井大梁13との間に所定の隙間が形成された状態で、その下端部が床大梁14に連結されている。このため、開口部フレーム30に高剛性フレーム33が連結されていても、これら両フレームが天井大梁13に対して相対移動可能(水平方向にスライド可能)となっている。
直立材35の上端部付近と天井大梁13との間には、オイルダンパ等のダンパ37が取り付けられており、このダンパ37が水平方向に伸縮可能となっている。ダンパ37は変形吸収部材を構成するものであり、このダンパ37によって、地震等による揺れ発生時に生じる振動エネルギが吸収され、構造フレーム20の変形が抑制されるようになっている。
ここで、外壁材22は、構造フレーム20に対して固定されるのに対し、開口部フレーム30には固定されない構成となっている。つまり、開口部フレーム30及びその開口部フレーム30に一体に設けられた開口枠部材と、外壁材22(後述する内壁材39も同様)との間には所定のクリアランスが設けられ、それにより外壁材22が開口部フレーム30に対して相対移動可能となっている。したがって、地震等による揺れ発生時において構造フレーム20の振動が外壁材22を介して開口部フレーム30に伝達されて開口部23が変形する、といった不具合が抑制されるようになっている。
次に、壁材(外壁材22及び内壁材39)と開口部フレーム30とが相対移動可能となっている構成について、図2を参照しつつ説明する。図2は図1(b)のA−A線断面図である。なお、図2では、図の上側が屋外側、下側が屋内側を示す。
図2に示すように、縦桟31の屋外側には外壁材22が配置され、屋内側には内壁材39が配置されている。内壁材39は例えば石膏ボードからなり、間柱38に取り付けられて支持されている。
一対の縦桟31,32(図示の縦桟31と図示しない縦桟32)の間には、正面視で四角枠状をなす窓枠40が取り付けられており、この窓枠40によって窓障子24が開閉可能に支持されている。窓枠40は、縦桟31に固定される枠本体部40aと、その枠本体部40aに鉛直方向に一体形成され、窓障子24の端部を収容する横断面コ字状の収容部40bと、枠本体部40aから屋外方向へ延びる見切り取付部40cとを有している。そして、窓枠40は、枠本体部40aがビス止めされることにより各縦桟31,32に取り付けられている。
窓枠40は、外壁材22の周端部(端面)に対向する位置に設けられている。より具体的には、窓枠40の見切り取付部40cと外壁材22の周端部とは離間しており、それら両者間にクリアランスC1が設けられている。
見切り取付部40cの屋外側先端部には、外壁材22の表面を外側(屋外側)から覆うようにしてその外壁材22に沿って延びる窓枠見切り41が設けられている。つまり、窓枠見切り41は、外壁材22の周縁部の一部に重複(オーバーラップ)して設けられている。この場合、窓枠見切り41と外壁材22とは、外壁材22の面直交方向に離間して設けられており、それら両者間にクリアランスC2が設けられている。外壁材22と窓枠見切り41との間(クリアランスC2)には、シーリング材42とバックアップ材43とが設けられている。これらシーリング材42とバックアップ材43とにより、屋外から吹き付ける雨水等の水分がクリアランスC2から外壁材22の内側に浸入するといった不都合が解消されるようになっている。
また、窓枠40において窓障子24よりも屋内側には屋内見切り板45が設けられており、その屋内見切り板45によって窓枠40と内壁材39との間の隙間が隠されるようになっている。屋内見切り板45は、横断面が略L字状をなし壁の厚み方向に延びる長辺部45aと、その長辺部45aから略直角に延びて内壁材39を外側(屋内側)から覆う短辺部45bとを有する構成となっている。この場合、長辺部45aがビス等により窓枠40に取り付けられ、短辺部45aが内壁材39の周縁部の一部に重複(オーバーラップ)して設けられている。なお本実施形態では、窓枠40と窓枠見切り41と屋内見切り板45とが「開口枠部材」に相当する。
屋内見切り板45は、内壁材39の周端部(端面)に対向する位置に設けられている。より具体的には、屋内見切り板45の長辺部45aと内壁材39の周端部とは、内壁材39の面方向に離間しており、それら両者間にクリアランスC3が設けられている。また、屋内見切り板45の短辺部45bと内壁材39とは、内壁材39の面直交方向に離間して設けられており、それら両者間にクリアランスC4が設けられている。内壁材39と屋内見切り板45の短辺部45bとの間(クリアランスC4)には、建物ユニット11内部の気密性を確保するために発泡系ゴム等よりなる見切り緩衝部材46が設けられている。
次に、上記構造の建物ユニット11において地震や強風等により振動や傾き変形が生じた場合の作用について説明する。
図4に示すように、地震や強風等により天井大梁13に水平力Fが加わった場合、各柱12が図示のごとく傾斜するとともに、床大梁14に対して天井大梁13が水平方向(図では右方向)に相対移動する。このとき、建物ユニット11の骨格フレームの変形に応じてダンパ37が圧縮され、そのダンパ37によって振動エネルギが吸収される。その結果、開口部フレーム30に伝わる振動が抑制される。またこの場合、開口部フレーム30が高剛性フレーム33により高剛性化されているため、ダンパ37による振動エネルギの吸収量が高められている。これにより、建物ユニット11の骨格フレームの変形量も低減されるようになっている。
また、上記のごとく建物ユニット11に傾き変形が生じた場合、外壁材22及び内壁材39も柱12や天井大梁13の変位に合わせて変位し、図4に破線で示すごとく片側(図では右側)に傾くこととなる。つまり、外壁材22及び内壁材39は、主構造体である構造フレーム20と一体に傾斜する。
ただし本実施形態では、構造フレーム20と開口部フレーム30とが独立して変位可能に設けられるとともに、開口部フレーム30に対して外壁材22や内壁材39が相対移動可能となっている。具体的には、外壁材22及び内壁材39の各端面と、それに対向する窓枠40及び屋内見切り板45との間には、壁面方向の相対移動スペースとしてクリアランスC1,C3が設けられるとともに、外壁材22及び内壁材39の各壁表面と、それに対向する窓枠見切り41及び屋内見切り板45との間には、壁直交方向の相対移動スペースとしてクリアランスC2,C4が設けられている。したがって、上記のごとく外壁材22及び内壁材39が構造フレーム20と一体に傾斜したとしても、開口部フレーム30がその影響を受けないようになっている。つまり、地震等による揺れ発生時において外壁材22等が水平方向に振動しても、その振動が開口部フレーム30へ伝わらないようになっている。
ここで、クリアランスC1,C2は、建物ユニット11に水平力が作用した場合において建物ユニット11に生じる層間変位に基づき設定されることが望ましい。すなわち、図4に示すように、建物ユニット11に水平力が作用した場合には建物ユニット11が斜めに傾き、建物ユニット11の高さhに対して層間変位がδとなる。このとき、層間変形角はδ/hである。クリアランスC1,C2は、建物ユニット11において層間変形角(δ/h)があらかじめ定めた最大値(例えば、1/200)となる場合にも外壁材22等と開口部フレーム30との相対移動を許容する寸法となっている。これにより、あらかじめ想定した範囲内で建物ユニット11(ユニット式建物)が最大限変形する場合にも開口部フレーム30への振動の伝達が抑制されるようになっている。
ちなみに、外壁材22や内壁材39が振動する際、クリアランスC2,C4に設けられたシーリング材42やバックアップ材43、見切り緩衝部材46が弾性変形する。これにより、外壁材22や内壁材39と開口部フレーム30との相対移動が許容されている。なお、シーリング材42やバックアップ材43、見切り緩衝部材46は、地震等による揺れ発生後において、損傷したそれらシーリング材42等を取り除き新たにシーリング作業を行うことにより容易に復旧可能となっている。
なお、クリアランスC2,C4にシーリング材42やバックアップ材43、見切り緩衝部材46を必ずしも設ける必要はない。この場合、防水性及び気密性をある程度確保するために、クリアランスC2,C4の寸法を外壁材22等と開口部フレーム30とが相対移動可能な範囲において最小限にすることが好ましい。
以上説明した構成及び作用により、本実施形態のユニット式建物では、以下に示す有利な効果が得られる。
外壁材22や内壁材39と開口部フレーム30とを相対移動可能としたため、地震等による揺れが発生した場合に、構造フレーム20の振動が外壁材22や内壁材39を介して開口部フレーム30に伝わり開口部23が変形する、という不具合を抑制することが可能となる。その結果、地震時等において開口部23を非常用脱出口として利用することができる。つまり、地震時等において構造フレーム20に変形が生じたとしても、開口部23に設けた窓障子24を開放させることができ、その開放部分からの屋外避難等が可能となる。
外壁材22及び内壁材39の各端面と、それに対向する窓枠40及び屋内見切り板45との間に設けるクリアランスC1,C3を、建物ユニット11に水平力が作用した場合において建物ユニット11に生じる層間変位に基づき設定したため、あらかじめ想定した範囲内で建物ユニット11が最大限変形する場合にも開口部フレーム30への振動の伝達が抑制されるようになっている。
外壁材22及び内壁材39の各壁表面と、それに対向する窓枠見切り41及び屋内見切り板45との間において、一方のクリアランスC2にシーリング材42及びバックアップ材43を設けるとともに、他方のクリアランスC4に見切り緩衝部材46を設けたため、外壁材22や内壁材39と開口部フレーム30とを相対移動可能としつつ、防水性及び気密性を確保することができる。
構造フレーム20を構成する天井大梁13と高剛性フレーム33とをダンパ37を介して連結したため、地震等の揺れ発生時における構造フレーム20の変形量を低減することが可能となる。その結果、開口部フレーム30の変形抑制効果を一層高めることが可能となる。
開口部フレーム30を高剛性フレーム33に連結したため、仮にダンパ37を介して変形力が加わったとしても、その変形力に対して高剛性フレーム33との協働により抵抗することができる。
なお、以上説明した実施形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。本実施形態と同一の構成は同一符号を付して説明を省略し、本実施形態との相違点を中心に説明する。
上記実施形態では、外壁材22及び内壁材39の各壁表面の外側に窓枠見切り41及び屋内見切り板45を重複(オーバーラップ)させ、その隙間にクリアランスC2,C4を設けたが(図2参照)、これを変更し、外壁材22及び内壁材39の各壁表面の内側に窓枠見切り41及び屋内見切り板45を重複(オーバーラップ)させ、その隙間にクリアランスC2,C4を設ける構成とする。
具体的には、図5(a)に示すように、横断面コ字状をなす窓枠見切り50を外壁材22の端部に嵌め込むように取り付け、その窓枠見切り50と窓枠40との間にクリアランスC11を設ける。これにより、外壁材22と窓枠40とが相対移動可能となっている。かかる場合、上記実施形態と同様に、クリアランスC11にシーリング材42及びバックアップ材43を設けて防水性を確保してもよい。また、内壁材39の端部を見切り板52に当接させた状態で、見切り板52において内壁材39よりも屋外側の位置にて見切り板52を内壁材39に沿って分断するようにして見切り緩衝部材53を設けてもよい。図5(a)の構成では、内壁材39の端面と、それに対向する見切り板52との間にクリアランスが設けられない構成となるが、見切り緩衝部材53によって両部材の相対移動が可能となっている。なお、内壁材39に間柱38が固定されている構成の場合、その間柱38と見切り板52との間に隙間を設けておくことが好ましい。
窓枠見切り50と窓枠40との間にクリアランスC11にシーリング材42及びバックアップ材43を設ける構成に代えて、図5(b)に示すように、例えば同クリアランスC11にシーリング材42及び止水シート54を設けることも可能である。この場合、止水シート54の両端を窓枠見切り50及び窓枠40にそれぞれ取り付けて、2次防水用として機能させるとよい。なお、外壁材22と開口部フレーム30とが相対移動する際に支障がないよう、止水シート54にたわみを持たせた状態で取り付けることが好ましい。
図1の構成では、開口部フレーム30において片側の縦桟31に高剛性フレーム33及びダンパ37を設ける構成としたが、両側の縦桟31,32にそれぞれ高剛性フレーム33及びダンパ37を設ける構成としてもよい。また、高剛性フレーム33及びダンパ37のうちいずれか一方のみ設ける構成や、それら両方とも設けない構成とすることも可能である。
上記実施形態では、開口部フレーム30において、縦桟31,32の下端部を床大梁14に連結するとともに、その上端部を天井大梁13に直接連結せずダンパ37を介して連結する構成としたが、その上下の構成を逆にすることも可能である。すなわち、縦桟31,32の上端部を天井大梁13に連結するとともに、その下端部を床大梁14に直接連結せずダンパ37を介して連結する構成としてもよい。
上記実施形態では、変形吸収部材(制振装置)としてダンパ37を用いたが、特定の種類の変形吸収部材(制振装置)に限定されることはなく、図6に示すように縦桟31,32の上端部と天井大梁13との間に粘弾性体や金属系の変形吸収部材61,62をそれぞれ設けてもよい。なお、縦桟31に高剛性フレーム33が連結されている構成は上述のとおりである。
具体的には、図7(a)に示すように、高減衰ゴムからなる粘弾性体ダンパ63を設けてもよい。粘弾性体ダンパ63は、天井大梁13の底面及び縦桟31の上端面にそれぞれ固定される一対のプレートPL間に設けられるものであり、板状をなす複数の高減衰ゴムを積層することで全体として円柱状や角柱状に形成されるものとなっている。又は、図7(b)(c)に示すように、上下のプレートPL間に、縦向きに複数の高減衰ゴムを配することで粘弾性体ダンパ64を設ける構成であってもよい。なお、図7(b)(c)の構成では、上下の各プレートPLに起立部が設けられ、その起立部に挟まれるようにして複数(図では2枚)の高減衰ゴムが設けられている。粘弾性体ダンパ63,64の剛性は、開口部フレーム30の剛性よりも小さくものとなっている。これにより、地震等による揺れ発生時において振動エネルギが粘弾性体ダンパ63,64により吸収され、開口部フレーム30へ伝達される振動を低減することができる。その結果、開口部23の変形を抑制することができる。この場合、地震等による揺れが許容レベル内であれば、粘弾性体ダンパ63,64をその揺れ発生後もそのまま継続して使うことができ、粘弾性体ダンパ63,64の取り替え等のメンテナンスが不要となる利点がある。
また、図7(d)(e)に示すように、一対のプレートPL間に、金属系ダンパとして円柱状や角柱状などの鉛ダンパ65や板状の低降伏点鋼材66を設けてもよい。
鉛ダンパ65の剛性は開口部フレーム30の剛性よりも小さく設定されている。これによれば、地震等による揺れ発生時において鉛ダンパ65が塑性変形することにより振動エネルギが吸収され、開口部フレーム30に伝わる振動を低減することができる。その結果、開口部23の変形を抑制することができる。
また、低降伏点鋼材66の降伏点を開口部フレーム30の降伏点よりも低く設定している。これによれば、地震等による揺れ発生時において低降伏点鋼材66が開口部フレーム30よりも早期に降伏することにより、振動による振動エネルギを低降伏点鋼材66の塑性エネルギに変換して開口部フレーム30に伝わる振動を抑制することができる。その結果、開口部23の変形を抑制することができる。これら鉛ダンパ65や低降伏点鋼材66を用いる場合、地震等による揺れ発生後において損傷した鉛ダンパ65や低降伏点鋼材66を取り替えることにより、ユニット式建物を元の健全な状態に戻することができる。
その他に、変形吸収部材として摩擦ダンパなど、振動エネルギを吸収可能なものであれば種々のダンパが使用できる。
窓以外の開口部にも適用できる。例えば、建物ユニット11の下面部に至るまで開口した玄関開口部などであってもよい。具体的には、図8(a)に示すように、床大梁14のうち一部を取り除いた部位に開口部フレーム71を設け、その開口部フレーム71により、下方に開いた形状の開口部72を形成する。開口部フレーム71は、2本の縦桟71a,71bと1本の横桟71cとからなる。この場合、開口部72が玄関として用いられる。本構成では、既述の構成と同様に壁材(外壁材や内壁材)と開口部フレーム71とが相対移動可能となっている。なお、図8(a)では、高剛性フレーム33が、2つの斜材33a,33bにより構成されている。
高剛性フレームとして図8(b)に示す構成を採用することも可能である。かかる構成では、開口部フレーム81の片側に、正面視において略L字状をなすL字材82と、そのL字材82に取り付けられた構造用壁材83とからなる高剛性フレーム84が配設されている(L字材82は開口部フレーム81の一部となっている)。そして、L字材82の上端部にダンパ37が連結されている。
上記実施形態では、複数の建物ユニット11を備えたユニット式建物を例に説明したが、他の工法で構築された建物について適用することもできる。
本実施形態における建物ユニットについて(a)は外壁材ありの正面図、(b)は外壁材なしの正面図。 壁材及び開口部フレームの構成を示す横断面図。 ユニット式建物に用いられる建物ユニットの構成を示す斜視図。 建物ユニットにおいて地震や強風等により振動や傾き変形が生じた場合の作用を説明するための図。 (a)(b)窓枠等の別例を示す横断面図。 別の変形吸収部材を設けた建物ユニットを示す正面図。 (a)(b)変形吸収部材の別例を示す拡大正面図、(c)変形吸収部材の別例を示す拡大側面図、(d)(e)変形吸収部材の別例を示す拡大正面図。 (a)開口部フレームの別例を示す正面図、(b)高剛性フレームの別例を示す正面図。
符号の説明
11…建物ユニット、12…柱、13…天井大梁、14…床大梁、20…構造フレーム、22…外壁材、23…開口部、30…開口部フレーム、33…高剛性フレーム、37…ダンパ、39…内壁材、40…窓枠(開口枠部材)、41…窓枠見切り(開口枠部材)、42…シーリング材、43…バックアップ材、45…屋内見切り板(開口枠部材)、46…見切り緩衝部材、52…見切り板(開口枠部材)、53…見切り緩衝部材、54…止水シート、C1〜C4,C11…クリアランス。

Claims (7)

  1. 主構造体と、その主構造体とは独立して変位可能に設けられ開口部を形成するサブ構造体とを備える建物において、
    前記主構造体に壁材が取り付けられるとともに、前記サブ構造体に一体に前記開口部の周縁部を形成する開口枠部材が取り付けられ、
    前記壁材と前記サブ構造体とが相対移動可能に設けられているとともに、
    前記開口枠部材と前記壁材の周端部とが対向させて設けられ、かつそれら対向する両者間において前記壁材の面方向に第1クリアランスを設けて、それら両者を水平方向に相対移動可能としたことを特徴とする建物。
  2. 前記第1クリアランスは、前記建物において層間変形角があらかじめ定めた最大値となる場合にも前記壁材と前記サブ構造体との相対移動を許容する寸法にて設けられている請求項1に記載の建物。
  3. 前記サブ構造体及びそのサブ構造体に一体に設けられる前記開口枠部材の少なくともいずれかと、前記壁材の壁面とを対向させて設けた建物であり、
    それら対向する両者間において前記壁材の面直交方向に第2クリアランスを設けて、それら両者を水平方向に相対移動可能とした請求項1又は2に記載の建物。
  4. 前記第2クリアランスにその隙間を埋めるためのシール材又は緩衝部材を設けた請求項に記載の建物。
  5. 前記主構造体は上下に設けられる上梁及び下梁を備え、
    前記サブ構造体において上下いずれか一方の端部を前記上下の各梁のうち第1梁に連結するとともに、同サブ構造体の他方の端部を前記上下の各梁のうち第2梁に直接連結せず制振装置を介して連結した請求項1乃至のいずれか1つに記載の建物。
  6. 前記サブ構造体は、同サブ構造体よりも剛性の高い剛体に連結されている請求項に記載の建物。
  7. 前記制振装置として、前記第2梁と前記サブ構造体との間に、水平方向に伸縮可能となる向きにダンパ装置を設けた請求項又はに記載の建物。
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