JP5105509B2 - 摩擦材用造粒物の製造方法、摩擦材用造粒物、摩擦材の製造方法および摩擦材 - Google Patents

摩擦材用造粒物の製造方法、摩擦材用造粒物、摩擦材の製造方法および摩擦材 Download PDF

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Description

本発明は、品質に優れる摩擦材を安定して与えることができる摩擦材用造粒物を効率よく製造する方法およびその方法で得られた摩擦材用造粒物、並びに、前記の摩擦材用造粒物を用いて品質に優れる摩擦材を安定して製造する方法およびその方法で得られた摩擦材に関するものである。
各種車輌や産業機械などのブレーキパッド、ブレーキライニングやクラッチフェーシングなどにおいては摩擦材が使用されている。そして、この摩擦材の製造方法としては、一般に、その構成成分である無機・有機充填材、各種繊維材、摩擦調整材及び樹脂結合材などを所定の割合で乾式混合して得られた、摩擦材の原材料混合物を、予備成形型に投入して圧縮成形し、次いでこの予備成形体に対して所定の圧力、温度による熱成形処理を施して所定の摩擦材形状に成形し、さらにその熱成形体に対して後熱処理や研磨処理などを適宜実施することで、所望形状の摩擦材を得る方法が用いられている。
前記摩擦材の原材料混合物は、サイズ差や比重差の大きい各種原材料を乾式混合して調製されるために、原材料の分離や偏析が発生しやすく、成分が均一な状態の成形体を得ることが困難であり、その結果、摩擦特性の安定性に問題が生じる。
当該原材料混合物は、数μmから数百μmオーダーのそれぞれ異なる粒度分布をもった原材料の集合体であるため、混合物の流動性や付着性などについては、原材料の特性に依存し、制御することができない。したがって、前述したように当該原材料混合物は、熱成形前に予備成形する必要があり、前述のように、予備成形型に投入され、圧縮成形されている。しかしながら、この予備成形においては、成形型に投入された混合物に外力を加え、表面を均すために、原材料の偏析・分離の原因となっている。
これらの対策として、当該原材料混合物からなる造粒物の使用が考えられるが、一般的に、造粒物は強固な表面をもった球形状をしており、成形体内での造粒体界面の残存が、該成形体の強度低下の原因となっている。
摩擦材用造粒物としては、例えば少なくとも、摩擦調整の作用をもつ第1成分と凝集剤とを成形してなる造粒体であって、気孔率が体積基準で30〜60%であることを特徴とする摩擦材用造粒物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この摩擦材用造粒物は、好ましくは流動層造粒法によって製造されるが、第1成分である摩擦調整材を凝集させ、粉粒体(造粒物)を形成させるために、凝集剤として液状フェノール樹脂が用いられており、水溶性ないし水分散性結合剤含有液を用いるものではない。
特開2002−97454号公報
本発明は、このような事情のもとで、原材料の偏析・分離の原因となる予備成形工程を省略することができ、かつ成形体内での造粒体界面の残存を抑制し、品質の優れる摩擦材を与えることのできる摩擦材用造粒物を効率よく製造する方法、およびその方法で得られた摩擦材用造粒物、並びに、前記摩擦材用造粒物を用いて品質の優れる摩擦材を安定して製造する方法およびその方法で得られた摩擦材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む混合物を、水溶性ないし水分散性結合剤含有液の存在下に流動層で造粒することにより、所望の摩擦材用造粒物が得られること、および前記摩擦材用造粒物を加熱圧縮成形して熱成形体を得たのち熱処理することにより、所定の摩擦材が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
)摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む混合物を、ポリビニルアルコール水溶液の存在下に流動層で造粒して摩擦材用造粒物を得、次いで得られた造粒物を加熱圧縮成形して熱成形体を得たのち、熱処理して摩擦材を得ることからなり、
造粒して得られた摩擦材用造粒物が、粒径100〜2,000μm、安息角35°以下、圧縮破壊強度5MPa以下のものであり、
造粒に際して流動層に供給するポリビニルアルコール水溶液の添加量およびポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度を制御することにより、得られる造粒物の熱成形体におけるポリビニルアルコールの含有量が、0.2〜5質量%となるように調整することを特徴とする
摩擦材の製造方法、
(2)ポリビニルアルコール水溶液を流動層内で噴霧する上記(1)に記載の摩擦材の製造方法、および
) 上記(1)または(2)に記載の方法により得られたことを特徴とする摩擦材
を提供するものである。
本発明によれば、原材料の偏析・分離の原因となる予備成形工程を省略することができ、かつ成形体内での造粒体界面の残存を抑制し、品質の優れる摩擦材を与えることのできる摩擦材用造粒物を効率よく製造する方法、およびその方法で得られた摩擦材用造粒物、並びに、前記摩擦材用造粒物を用いて品質の優れる摩擦材を安定して製造する方法およびその方法で得られた摩擦材を提供することができる。
まず、本発明の摩擦材用造粒物の製造方法について説明する。
[摩擦材用造粒物の製造方法]
本発明の摩擦材用造粒物の製造方法は、摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む混合物を、水溶性ないし水分散性結合剤含有液の存在下に流動層で造粒することにより、摩擦材用造粒物を製造することを特徴とする。
<原材料混合物>
本発明の摩擦材用造粒物の製造方法においては、まず、摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む原材料混合物を調製する。
当該原材料混合物に用いられる摩擦調整用粒状材料としては、従来、摩擦材に一般に摩擦調整材として使用されているものを用いることができる。このような摩擦調整材としては、例えば研削材、潤滑材、有機ダスト、金属類などを挙げることができる。
ここで、研削材としては特に制限はなく、従来摩擦材に研削材として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択することができる。この研削材の具体例としては、酸化鉄等の金属酸化物、アルミナ、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ケイ酸ジルコニウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、シリカ等のセラミック酸化物などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、摩擦係数の確保や攻撃性抑制などの観点から、原材料混合物の全量に基づき、通常0〜30質量%程度、好ましくは5〜15質量%である。
潤滑材としては特に制限はなく、従来摩擦材に潤滑材として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択することができる。この潤滑材の具体例としては、黒鉛、カーボンブラック、グラファイトや、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン等の金属硫化物などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、潤滑力の保持や結合剤含有液との濡れ性などの観点から、原材料混合物の全量に基づき、通常0〜30質量%程度、好ましくは0〜15質量%である。
有機ダストとしては特に制限はなく、従来摩擦材に有機ダストとして使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択することができる。この有機ダストの具体例としては、NBR、SBRなどのゴムダスト、カシューダストなどを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、フェード時のガス発生の抑制や気孔の効果維持などの観点から、原材料混合物の全量に基づき、通常0〜30質量%程度、好ましくは0〜15質量%である。
金属類としては特に制限はなく、従来摩擦材に金属類として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択することができる。この金属類の具体例としては、銅、真ちゅう、亜鉛、鉄などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、造粒物の比重の増加による摩擦材中での偏析を抑制する観点から、原材料混合物の全量に基づき、通常0〜50質量%程度、好ましくは0〜25質量%である。
一方、樹脂結合材としては特に制限はなく、従来摩擦材に樹脂結合材として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。この樹脂結合材の具体例としては、フェノール樹脂、各種変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂の粉末を挙げることができる。これらの粉末は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中でフェノール樹脂粉末が好適である。その配合量は、バインダーとしての機能および他の各成分の含有量との兼ね合いなどの観点から、原材料混合物の全量に基づき、通常5〜20質量%程度、好ましくは7〜15質量%である。
当該原材料混合物においては、前記の摩擦調整用粒状材料および樹脂結合材と共に、増量剤などとして、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、あるいはバーミキユライトやマイカなどの鱗片状無機物等の無機充填材、さらには有機充填材を含有することができる。これらの充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、樹脂結合材が充分に行き渡って結合力を維持すると共に、摩擦材の異常摩耗を抑制するなどの観点から、原材料混合物全量に基づき、通常0〜70質量%程度、好ましくは0〜50質量%である。
当該原材料混合物においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種の短繊維、例えば長さが200μm程度以下の短繊維を適宜含有させることができる。この短繊維における繊維の種類としては、後述で説明する繊維の中から、適宜選択することができる。なお、造粒物中に繊維が含有すると、該造粒物の流動性が悪化する傾向があるので、その量や形状については充分に検討することが肝要である。
当該原材料混合物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、着色剤、硬化剤などを、適宜含有させることができる。
当該原材料混合物の調製方法に特に制限はなく、例えば摩擦調整用粒状材料、樹脂結合材および所望により用いられる各成分を、ヘンシェルミキサーやタンブラーブレンダーなどの通常の混合機を用いてドライブレンドする方法を採用することができる。
<水溶性ないし水分散性結合剤含有液>
本発明の摩擦材用造粒物の製造方法においては、前述の原材料混合物を流動層で造粒するために、バインダーとして水溶性ないし水分散性結合剤含有液が用いられる。
この結合剤含有液に含まれる水溶性ないし水分散性結合剤としては、水溶性ないし水分散性高分子化合物を好ましく挙げることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、可溶性デンプン、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどを例示することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、摩擦材作製における最終工程の熱処理(200〜300℃程度)において、熱分解するものが好ましく、特にポリビニルアルコールが好適である。
このポリビニルアルコールは、重合度およびけん化度により、水に対する溶解性が異なり、本発明においては部分けん化ポリビニルアルコールが好ましく、特に重合度が500〜3500程度であり、かつけん化度が85〜92%程度のものが好ましい。
当該結合剤含有液は、水溶液状および水系エマルジョン状のいずれであってもよい。また水溶性ないし水分散性結合剤の濃度は、使用する結合剤の種類によって異なるが、ポリビニルアルコールである場合、通常1〜10質量%程度、好ましくは2〜8質量%である
本発明においては、前記のようにして調製した原材料混合物と、水溶性ないし水分散性結合剤含有液を用い、前記原材料混合物を、当該結合剤含有液の存在下に流動層で造粒することにより、摩擦材用造粒物を製造する。
この造粒に使用する流動層造粒機としては、下部から吹き込まれる気体によって、流動層を形成し得る造粒機であればよく、特に制限されず、従来公知の各種流動層造粒機、例えば通常流動層造粒機、循環流型流動層造粒機、強制循環流型流動層造粒機、噴流層造粒機などいずれも用いることができる。
通常流動層造粒機を用いる場合の具体的造粒法としては、底を整流板とした容器内に、原材料混合物の粉粒体を入れ、該整流板から加温された空気を送り込むことによって、前記粉粒体を流動層状態とし、これに水溶性ないし水分散性結合剤含有液をスプレーノズルから噴霧することによって、粒粒体同士をポーラスな状態で結合させることにより、摩擦材用造粒物を形成させる。
この場合、流動層となっている容器内の温度、容器内の圧力(流動層の状態)、噴霧される結合剤含有液の濃度や量、該結合剤の種類、結合剤含有液の噴霧圧力などを制御することにより、摩擦材用造粒物の気孔率、粒子径などを調整することができる。例えば、気孔率を高くするためには、相対的に、容器内温度を高く、結合剤濃度を高く噴霧量を少なく噴霧圧を高くすればよく、粒子径を大きくするためには、相対的に、容器内温度を低く、結合剤濃度を高く噴霧量を多く噴霧圧を低くすればよい。
本発明の摩擦材用造粒物の製造方法によれば、上述のようにして摩擦材用造粒物を得ることができるが、得られた摩擦材用造粒物の詳細は下記する。
次に、本発明の摩擦材用造粒物について説明する。
[摩擦材用造粒物]
本発明の摩擦材用造粒物は、前述した本発明の摩擦材用造粒物の製造方法により、得られたことを特徴とする。
本発明の方法によれば、以下に示す物性を有する摩擦材用造粒物を得ることができる。すなわち、粒径は、流動性の観点から100〜2,000μmであって、中位径D50は300〜900μm程度である。なお、粒径および中位径の測定方法については、後で説明する。また、JIS R9301−2−2に準拠して測定した安息角は40°以下である。この安息角が40°を超えると流動性が不十分であり、下限は、通常15°程度である。好ましい安息角は20〜40°であり、より好ましくは20〜35°である。さらに、圧縮破壊強度は10MPa以下である。この圧縮破壊強度が10MPaを超えると、造粒物を熱成形型に投入して加熱圧縮成形する際に、該造粒物が壊れにくく、成形体内に造粒物界面が残存し、成形体強度低下の原因となる。また、圧縮破壊強度が低すぎると造粒物の搬送中や造粒物と他の成分との混合中に壊れたりするなどの不都合が生じる。したがって、該圧縮破壊強度の下限は、通常1MPa程度である。好ましい圧縮破壊強度は1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。なお、この圧縮破壊強度の測定方法については、後で説明する。
本発明はまた、前記物性を有する摩擦材用造粒物をも提供するものである。
本発明の摩擦材用造粒物は、以下に示す効果を奏する。
(1)当該造粒物は、その高い流動性により、摩擦材製造プロセスを簡易化することができる。例えば短時間混合、すり切り容積計量、予備成形の廃止、成形型内での材料均し廃止、低圧・短時間成形、締め付け加熱廃止、などが可能である。
(2)当該造粒物を使用することで、摩擦材において、各原料の分離・偏析を抑制することができ、各成分を均質に分散させることができる。
(3)造粒用の結合剤含有液の濃度や種類を変えることで、摩擦材の気孔率、気孔径を制御することができる。
次に、本発明の摩擦材の製造方法および摩擦材について説明する。
<摩擦材の製造方法、摩擦材>
本発明の摩擦材の製造方法は、摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む混合物を、水溶性ないし水分散性結合剤含有液の存在下に流動層で造粒して摩擦材用造粒物を得、次いで得られた造粒物を加熱圧縮成形して熱成形体を得たのち、熱処理することを特徴とする。
すなわち、本発明の摩擦材の製造方法において、摩擦材用造粒物を得るまでの工程は、前述の摩擦材用造粒物の製造方法と同一であるので、その説明を省略する。本発明の摩擦材の製造方法においては、上で得られた摩擦材用造粒物を、熱成形型に投入し、加熱圧縮成形して熱成形体を作製したのち、この熱成形体をさらに熱処理することにより、所望の摩擦材を製造する。
本発明においては、当該摩擦材用造粒物を熱成形型に投入し、加熱圧縮成形するに際し、当該摩擦材用造粒物と繊維状物質との混合物を熱成形型に投入することもできる。この場合、繊維状物質は、摩擦材中で骨格を形成し、摩擦材に形成された気孔がつぶれないように、その骨格を維持する機能を有している。
<繊維状物質>
この繊維状物質としては、有機繊維および無機繊維のいずれも用いることができる。有機繊維としては、高強度の芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維;デュポン社製、商品名「ケブラー」など)、耐炎化アクリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアクリレート繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。一方、無機繊維としては、チタン酸カリウムウイスカーや炭化珪素ウイスカーなどの無機ウイスカー;ガラス繊維;炭素繊維;ワラストナイト、セピオライト、アタパルジャイト、ハロイサイト、モルデナイト、ロックウールなどの鉱物繊維;アルミナシリカ系繊維などのセラミック繊維;アルミニウム繊維、ステンレス繊維、銅繊維、黄銅繊維、ニッケル繊維などの金属繊維等を挙げることができる。これらの繊維状物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
前記繊維状物質の平均直径は、強度の観点から、通常0.1〜30μm程度、好ましくは0.1〜15μmであり、平均長さは、補強の観点から、通常5〜1000μm、好ましくは10〜300μmである。
当該摩擦材用造粒物と繊維状物質の割合は、繊維状物質が、摩擦材中で骨格を形成し、摩擦材に形成された気孔がつぶれるのを抑制する観点から、両者の合計量に基づき、繊維状物質が3〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
本発明においては、当該摩擦材用造粒物、または当該摩擦材用造粒物と繊維状物質との混合物を、熱成形型に投入し、加熱圧縮成形する際の条件としては、通常、温度100〜250℃程度、圧力10〜70MPa程度であり、好ましくは温度140〜190℃程度、圧力30〜50MPaである。
本発明においては、このようにして熱成形体が得られるが、この熱成形体中の水溶性または水分散性結合剤の含有量は、造粒工程における前記結合剤含有液の添加量および結合剤含有液中の結合剤濃度を制御することによって、調整することができる。前記結合剤がポリビニルアルコールである場合、熱成形体中のポリビニルアルコールの含有量は0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜5質量%となるように調整することが好ましい。
このように、熱成形体中の結合剤含有量を調整することにより、摩擦材の気孔率および気孔径を制御することができる。
本発明においては、前記熱成形体をさらに熱処理することにより、その中に含まれている水溶性または水分散性結合剤を熱分解して除去することにより、目的の気孔率、気孔径を有する摩擦材を製造する。この熱処理は、通常150〜350℃程度の温度で、0.5〜12時間程度、好ましくは200〜300℃の温度で、0.5〜6時間行われる。
本発明の摩擦材は、前述した本発明の摩擦材の製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明はまた、前述した性状を有する本発明の摩擦材用造粒物を加熱圧縮成形して得られた熱成形体を、熱処理してなることを特徴とする摩擦材をも提供するものである。
本発明の摩擦材は、各成分が均質に分散しており、また、気孔率および気孔径などを任意に変化させることができるため、従来よりも摩擦特性が向上したものを提供することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って測定した。
(1)摩擦材用造粒物の粒度分布、中位径(D50
レーザー回折散乱法粒度分布測定装置にて測定した。
(2)摩擦材用造粒物の安息角
JIS R9301−2−2に準拠して測定した。
(3)摩擦材用造粒物の圧縮破壊強度
粒子硬度測定装置にて測定した。
(4)熱成形体中のポリビニルアルコール含有量
結合液濃度および投入量から計算した。
(5)摩擦材の機効率、平均気孔径
各例で得られた摩擦材からテストピースを切り出し、水銀ポロシメーターにより気孔率および平均気孔径を測定した。
(6)摩擦材の3点曲げ強度
各例で得られた摩擦材からテストピースを切り出し、引張試験機を用い、JIS D4311に準拠して試験を行い、常温における3点曲げ強度を測定した。
(7)摩擦材のフェード摩擦係数
各例で得られた摩擦材からテストピースを切り出し、テストピース摩擦試験機により、JASO−C406−82に準拠して試験を行い、第1フェードの平均摩擦係数およびその標準偏差(δ)を求めた。
実施例1〜3
表1に示す種類と量の原材料を、高速攪拌型混合機を用いて乾式混合して原材料混合物粉粒体を得た。
次いで、この原材料混合物粉粒体を、通常流動層造粒機に供給し、表2に示す濃度のポリビニルアルコール[日本合成化学社製、商品名「ゴーセノールGH−17」水溶液を噴霧し、造粒することにより、摩擦材用造粒物を得た。通常流動層造粒機の運転条件を表2に示す。
次に、前記摩擦材用造粒物を熱成形型に投入し、予め接着剤を塗布したプレッシャプレートを重ね、150℃、40MPaの条件で5分間加熱圧縮成形を行い、熱成形体を作製した。この熱成形体を220℃で、3時間熱処理することにより、摩擦材を製造した。諸特性を表4に示す。
Figure 0005105509
Figure 0005105509
比較例1および2
前記表1に示す種類と量の原材料を、高速攪拌型混合機を用いて乾式混合して原材料混合物粉粒体を得た。次いで、この原材料混合物粉粒体を高速攪拌型混合機に供し、造粒用結合液として水を添加し、造粒を行い、摩擦材用造粒物を得た。
高速攪拌型混合機の運転条件を表3に示す。
次に、前記摩擦材用造粒物を熱成形型に投入し、予め接着剤を塗布したプレッシャプレートを重ね、150℃、40MPaの条件で5分間加熱圧縮成形を行い、熱成形体を作製した。この熱成形体を220℃で、3時間熱処理することにより、摩擦材を製造した。諸特性を表4に示す。
Figure 0005105509
比較例3
前記表1に示す種類と量の原材料を、高速攪拌型混合機を用いて乾式混合して原材料混合物粉粒体を得た。次いで、この原材料混合物粉粒体を20MPaで10秒間、予備成形したのち、熱成形型に投入し、予め接着剤を塗布したプレッシャプレートを重ね、150℃、40MPaの条件で5分間加熱圧縮成形を行い、熱成形体を作製した。この熱成形体を220℃で、3時間熱処理することにより、摩擦材を製造した。諸特性を表4に示す。
Figure 0005105509
表4から分かるように、本発明の摩擦材(実施例1〜3)は、比較例のものに比べて、3点曲げ強度が高い上、フェード摩擦係数も高く、かつその標準偏差が小さい。
本発明の摩擦材用造粒物は、流動層で特定の結合剤含有液を用いて造粒してなるものであって、それを用いて得られた摩擦材は、各成分が均質に分散し、かつ気孔率および気孔径を任意に変化させることができ、従来よりも摩擦特性の向上した摩擦材となる。

Claims (3)

  1. 摩擦調整用粒状材料と樹脂結合材とを含む混合物を、ポリビニルアルコール水溶液の存在下に流動層で造粒して摩擦材用造粒物を得、次いで得られた造粒物を加熱圧縮成形して熱成形体を得たのち、熱処理して摩擦材を得ることからなり、
    造粒して得られた摩擦材用造粒物が、粒径100〜2,000μm、安息角35°以下、圧縮破壊強度5MPa以下のものであり、
    造粒に際して流動層に供給するポリビニルアルコール水溶液の添加量およびポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度を制御することにより、得られる造粒物の熱成形体におけるポリビニルアルコールの含有量が、0.2〜5質量%となるように調整することを特徴とする
    摩擦材の製造方法。
  2. ポリビニルアルコール水溶液を流動層内で噴霧する請求項1に記載の摩擦材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により得られたことを特徴とする摩擦材。
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