JP5109448B2 - デジタルオシロスコープ - Google Patents

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本発明は、エンベロープモードにおいてもXY表示などのデータ処理を適切に行うことができるデジタルオシロスコープに関するものである。
図3にデジタルオシロスコープの構成を示す。図3において、測定信号はAD変換器10に入力されてデジタル値に変換され、このデジタル値はピーク検出部11と間引き部12に入力される。ピーク検出部11は所定の区間の最大値、最小値を選択部13に出力し、間引き部12は入力されたデジタル値を一定間隔で間引いた値を選択部13に出力する。
選択部13にはモード信号が入力され、このモード信号がエンベロープモードのときはピーク検出部11の出力を選択し、エンベロープモードでないときは間引き部12の出力を選択して、この選択したデジタル値を波形メモリ14に出力する。波形メモリ14は選択部13の出力を保存する。波形メモリ14に保存されたデジタル値はデータ処理部15によって読み出されて所定のデータ処理が行われ、その結果は表示部16に表示される。
デジタルオシロスコープでは、横軸を時間、縦軸を電圧とした座標で波形を表示する。横軸にはグリッドと称される目盛が付されており、グリッドの幅の時間を指定することにより、横軸のスケールを設定する。通常、横軸全体には10のグリッドが付されている。
グリッドの幅を1μSに設定すると、横軸の時間幅は10μS(1μS×10)になる。測定信号を1GHzのサンプリング周波数でAD変換すると、表示に必要なデータ数は10,000(10μS/1nS)になる。少なくともこの数のデータが波形メモリ14に格納される。
サンプリング周波数が同じであると、データ数はグリッド幅の設定時間(以下時間軸設定値と称する)に比例して増大する。例えば、時間軸設定値を1mSにすると、データ数は1千万個(10mS/1nS)になり、波形メモリ14の容量が膨大な値になる。そのため、時間軸設定値によって、AD変換器10の出力を間引いて波形メモリ14に格納する。例えば、時間軸設定値を2μSに設定すると1つおき、10μSに設定すると10個おきにデータを間引いて波形メモリ14に格納する。
しかし、このようにデータを間引くと、別の問題が発生する。デジタルオシロスコープの欠点の一つとしてエイリアジングがある。エイリアジングは、測定信号にナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)より高い周波数成分が含まれていると、高い周波数成分がナイキスト周波数を中心にして折り返されて見える現象のことを言う。このエイリアジングが発生すると、波形を正確に表示することができなくなる。このことを、図4を用いて説明する。
図4は測定信号の波形の一例であり、白丸はサンプリング周波数1GHzにおけるサンプリング点を、数字はサンプリング番号を表す。グリッドの設定時間を2μSにするとデータは1つおきに間引かれ、0、2、4、6・・・・番目のデータが波形メモリ14に格納され、5番目のデータは格納されない。このときのサンプリング周波数は500MHz、ナイキスト周波数は250MHzになる。
5番目のデータが保存されないので最大値が小さくなり、波形が正確に表示されない。5番目の白丸の部分の周波数成分はナイキスト周波数(250MHz)より高いので、この部分の周波数成分がナイキスト周波数で折り返されたように波形が表示される。時間軸設定値を10μSにすると0、10、20番目のデータしか保存されないのでナイキスト周波数が更に低くなり、実際より振幅が小さい波形が表示される。
この問題を解決するために、エンベロープモードを設けている。エンベロープモードは単に間引いたデータをそのまま表示するのではなく、波形のアウトラインを表示するモードである。
このため、ピーク検出部11により所定区間の最大値と最小値を求め、この最大値/最小値データを所定区間の代表値として波形メモリ14に格納する。データ処理部15でこの最大値/最小値データから測定信号の波形を再生して、この波形を表示部16に表示する。例えば、グリッドを10μSに設定した場合、0〜19番目の最大値、最小値、20〜39番目の最大値、最小値の順にデータを波形メモリ14に格納する。このようにすると、図4の5番目の最大値、17番目の最小値を保存でき、より正確な波形を表示することができる。波形の細かい情報は失われるが、表示部16の分解能に起因する制限のために元々表示できないので、実用上支障をきたすことはない。
デジタルオシロスコープの波形表示では、データに種々の処理を施してその結果を表示することも行われている。このようなデータ処理には、XY表示、FFT、データ補間などがある。これらのデータ処理のためには等時間間隔で採取した間引きデータが必要である。エンベロープモードで保存した最大値/最小値データは、最大値、最小値の時間が決まっていないので、このようなデータ処理を行うことができない。また、近年のオシロスコープでは採取した波形データを重ね書きして頻度情報を生成し、輝度や色の階調を付けて表示するものがあるが、エンベロープモードで保存した最大値/最小値データでは、元の波形の特性を再現することができない。
頻度情報による階調表示は、表示器の1画素に複数ビットのメモリを割り当てたメモリアレイ(ビットマップ)に採取したデータを重ね描きして2次元の頻度情報を生成し、この頻度情報に応じて、輝度や色を変調して波形表示を行う表示手法である。図5に間引きデータを用いて階調表示した表示例と、最大値/最小値データを用いて階調表示した表示例を示す。図5(A)は間引きデータを用いて階調表示した表示例であり、ノイズで観測しにくくなった波形の特徴を良く再現している。同図(B)は最大値/最小値データで階調表示した表示例である。線幅が太くなり、波形の特長を再現することが難しい。
さらに、デジタルオシロスコープでは振幅、実効値、立ち上がり時間、周期、パルスカウント等波形のパラメータ算出を行うことがある。このうち実効値は、1周期間の測定値の2乗和の時間平均である。この実効値を計算するためには測定信号を2乗した信号を積分しなければならず、等時間間隔で測定した間引きデータが必要であり、最大値/最小値データだけでは正確な値を計算することができない。例えば、矩形波の実効値はおよそ振幅×デューティ比になる。サンプリング周波数と測定信号の周波数が同期していないと、矩形波の山をサンプリングする確率はデューティ比に依存する。従って、間引きデータを用いるとほぼ正確に実効値を計算できる。しかし、最大値/最小値データでは矩形波の山と谷がほぼ等しく表れるので、デューティ比に関わらず、0.4〜0.5×振幅になる。
XY表示は、同じ時間に測定した2つの測定値の一方をX座標、他方をY座標として、XY平面に表示する表示手法である。この表示を、図6を用いて説明する。図6(A)は位相が90度ずれた振幅一定の2つの正弦波信号であり、白丸は等時間間隔で測定した測定値(間引きデータ)、黒丸は最大値/最小値データを表す。白丸の間引きデータをXY表示すると(B)のように円になるが、黒丸は最大値、最小値の2点のみであり、(C)に示すように円にならない。
FFT(Fast Fourier Transform)は時間領域のデータを周波数領域のデータに変換するデータ処理である。よく知られているように、FFTを実行するためには等時間間隔で測定した間引きデータが必要である。データ補間には種々の手法があるが、いずれも補間を実行する近傍の測定値の挙動データが必要であり、最大値/最小値データだけでは補間を行うことができない。
一方、パルスカウントは時間当たりのパルスの数である。間引きデータではパルスの山を見逃す可能性があるが、最大値/最小値データでは確実にパルスの山と谷を検出することができるので、最大値/最小値データの方が適している。
図7に波形メモリ14のデータ配置の一例を示す。前述したように、AD変換器10は1GHz程度のサンプリング周波数(サンプリング周期1nS)で測定信号をデジタル値に変換する。この変換したデジタル値をそのまま波形メモリ14に格納しようとすると、高速なメモリが必要になる。そのため、図7に示すように、波形メモリ14に同時にアクセスできる単位(ワード)に4つのデータを格納する。例えば、1ワード目には0〜3番目の測定値、2ワード目には4〜7番目の測定値を格納する。このようにすることにより、波形メモリ14として比較的アクセス時間が長い安価なメモリを使用することができる。
しかしながら、このようなデジタルオシロスコープには次のような課題があった。前述したように、エンベロープモードでは所定期間内の測定値の最大値、最小値のみ波形メモリに保存する。そのため、実効値測定、XY表示、FFT、データ補間等のデータ処理を伴う処理を適切に行うことができなかったという課題があった。
デジタルオシロスコープがアナログオシロスコープに比して優位な点の1つは、波形表示だけでなく、データ処理を用いて種々の測定を行うことができる点であるが、エンベロープモードで測定するとデータ処理を適切に行うことができないので、デジタルオシロスコープの優位点が大きく低下してしまうという課題もあった。
従って本発明の目的は、最大値/最小値データと間引きデータを同時に保存することにより、正確な波形を表示でき、かつデータ処理を適切に行うことができるデジタルオシロスコープを提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
所定のサンプリング周波数で測定信号をサンプリングし、デジタル値に変換するAD変換器と、
前記AD変換器が変換したデジタル値が入力され、このデジタル値のうち、時間軸設定値で定まる時間範囲に取得したデータの最大値と最小値である最大値/最小値データを出力するピーク検出部と、
前記AD変換器が変換したデジタル値が入力され、時間軸設定値で定まる間隔で入力されたデジタル値を間引いた間引きデータを出力する間引き部と、
前記最大値/最小値データおよび前記間引きデータを保存する波形メモリと、
前記波形メモリに保存されたデータを読み出し、波形表示を行うときは前記最大値/最小値データから波形データを生成して出力し、実効値表示、XY表示、FFT(Fast Fourier Transform)、データ補間を行うときに、前記間引きデータを用いてデータ処理を行い、その結果を出力するデータ処理部と、
前記データ処理部の出力が入力され、この出力を表示する表示部と、
を具備したものである。波形を正確に表示でき、かつXY表示、FFTなどのデータ処理を適切に行うことができる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記波形メモリは、一度にアクセスできる1ワード中に前記最大値/最小値データと前記間引きデータの両方を格納するようにしたものである。波形メモリとして、比較的低速のメモリを用いることができる。
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1および2の発明によれば、最大値/最小値のデータと間引きデータの両方を波形メモリに格納し、波形表示を行うときは最大値/最小値データを用い、XY表示やFFTなどのデータ処理を行うときは間引きデータを用いるようにした。
波形表示には最大値/最小値データを用い、等時間間隔のデータが必要なXY表示やFFTなどのデータ処理には間引きデータを用いることができるので、エイリアジングが発生しない波形表示ができ、かつ種々のデータ処理を適切に行うことができるという効果がある。
また、間引きデータから頻度情報を作成して表示し、またデータ補間を行うことにより、従来エンベロープモードで行うことができなかった頻度情報の表示や、時間拡大時のデータ補間を行うことができるという効果もある。
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るデジタルオシロスコープの一実施例を示す構成図である。なお、図3と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図1において、測定信号はAD変換器10でデジタル値に変換される。AD変換器10は、例えばサンプリング周波数1GHzで測定信号をデジタル値に変換する。
20はピーク検出部であり、AD変換器10が変換したデジタル値が入力され、このデジタル値の所定期間内の最大値と最小値を検出して出力する。21は間引き部であり、AD変換器10が変換したデジタル値が入力され、所定の間隔でこのデジタル値を間引き、この間引いたデータを出力する。
22は波形メモリであり、ピーク検出部20が検出した最大値と最小値、および間引き部21が間引いたデータを保存する。23はデータ処理部であり、波形メモリ22に保存されたデータを読み出し、このデータを処理する。このデータ処理部23が処理した結果は表示部16に表示される。
ピーク検出部20と間引き部21には、エンベロープモードであるかどうかを表すモード信号と、1グリッドの時間幅を表す時間軸設定値が入力される。ピーク検出部20と間引き部21はこれらに信号に基づいて最大、最小値を求める区間、あるいは間引き間隔を決定する。
次にこの実施例の動作を説明する。なお、AD変換器10のサンプリング周波数を1GHzとし、波形メモリ22に格納できるデータの数を20,000とする。また、エンベロープモードに設定されているとする。
表示部16の横方向の表示幅が20μS(グリッドの数を10とすると、時間軸設定値2μS)以下のときは、AD変換器10の出力の全てを波形メモリ22に格納することができる。ピーク検出部20は最大値、最小値を出力せず、間引き部21は間引きを行わないで、入力された全データを波形メモリ22に出力する。波形メモリ22はこのデータを格納する。
表示部16の表示幅が20μSを越えると、ピーク検出部20は最大値、最小値を出力し、間引き部21は間引きを実行する。表示幅が50μSのときは、ピーク検出部20は10データ毎の最大値、最小値を求め、この値(最大値/最小値データ)を出力する。すなわち、0〜9番目のデータの最大値、最小値、10〜19番目の最大値、最小値の順に出力する。50μSの幅を表示するための最大値/最小値データの個数は、50μS/1nS/10×2=10,000個になる。間引き部21は5データ毎にデータを間引いて出力する(間引きデータ)。すなわち、0番目、5番目、10番目の順にデータを出力する。50μSの幅を表示するためのデータの個数は、50μS/1nS/5=10,000個になる。データの個数は合わせて20,000個になり、波形メモリ22に格納することができる。
表示幅が50μSを越える場合も同様にしてピーク検出と間引きを行う。表示幅をw(秒)、AD変換器10のサンプリング周期をst(秒)、波形メモリ22に格納できるデータ数をndとすると、ピーク検出部20は2×w/st/(nd/2)データ毎に最大値、最小値を求め、間引き部21はw/st/(nd/2)毎にデータを間引いて出力する。
データ処理部23は、波形メモリ22に保存されたデータの中で、波形表示、最大値/最小値表示、パルスカウントを行うときは最大値/最小値データを用い、実効値表示、XY表示、FFT、データ補間、平均値表示、標準偏差等データの同時性あるいは等時間間隔性が要求されるときは間引きデータを用いる。このようにすることにより、エンベロープモードのときでも適切なデータ処理を行うことができる。
図2に波形メモリ22にデータを格納する形式の一例を示す。この実施例でも図7と同じように、波形メモリ22に同時にアクセスできる単位(ワード)に4つのデータを格納するようにする。すなわち、前半の2つに間引きデータを、後半の2つに最大値/最小値データを格納する。この実施例は表示幅を50μSに設定した例であり、5データ毎に間引きを行い、また10データ毎の最大値、最小値を保存している。
なお、この実施例ではエンベロープモードのときに間引きデータと最大値/最小値データを同時に保存するようにしたが、エンベロープモードでないときも同じように最大値/最小値と間引きデータの両方を保存するようにしてもよい。このようにすると、常にエイリアジングの影響を受けない波形を表示することができ、かつ種々のデータ処理を行うことができる。すなわち、モードを意識しなくてもよいので、操作性を向上させることができる。
また、エンベロープモードでないときに最大値/最小値を保存しないようにすると、間引き率を半分にすることができ、より正確にデータ処理を行うことができる。
最近のデジタルオシロスコープでは、オーバーサンプリングしたデータをビットマップ上に重ね書きし、重ね書きの頻度に応じて輝度や色を変えて表示する機能を具備したものがある。アナログオシロスコープでは、重ね書きの頻度が高い部分は輝度が高くなるので、デジタルオシロスコープでも同じような機能を実現して、頻度が高い部分が一目でわかるようにしたものである。しかし、頻度情報は間引きデータからのみ作ることができ、最大値/最小値データから作ることはできないので、従来のデジタルオシロスコープではエンベロープモードに設定するとこのような機能を実現することができなかった。
本発明ではエンベロープモードでも最大値/最小値データと間引きデータの両方を保存しているので、間引きデータから頻度情報を求め、最大値/最小値データから生成した波形にこの頻度情報を重ね書きすることにより、頻度の高い部分を一目で見分けることができる表示を簡単に実現することができる。
またデジタルオシロスコープには、新たにデータを取り込まないで、波形メモリに格納されているデータを用いて時間軸を拡大表示する機能を有しているものが多い。時間軸を拡大すると測定データの間隔が広くなり波形が見難くなるので、sin補間法を用いて測定データの間を埋めるようにしている。sin補間するためには間引きデータが必要なので、従来のデジタルオシロスコープではエンベロープモードにすると、時間軸を拡大表示する際にデータ補間を行うことができなかった。
本発明ではエンベロープモードでも最大値/最小値データと間引きデータの両方を保存しており、間引きデータを用いてsin補間を実行することができるので、モードに関わらず時間軸の拡大表示の際にデータ補間を行うことができる。なお、sin補間以外の補間手法を使用することもできる。
本発明の一実施例を示す構成図である。 波形メモリのデータ配置の一例を示す図である。 従来のデジタルオシロスコープの構成図である。 データ取得の手法を説明するための図である。 頻度情報による階調表示を説明する図である。 XY表示を説明する図である。 従来の波形メモリのデータ配置を示す図である。
符号の説明
10 AD変換器
16 表示部
20 ピーク検出部
21 間引き部
22 波形メモリ
23 データ処理部

Claims (2)

  1. 所定のサンプリング周波数で測定信号をサンプリングし、デジタル値に変換するAD変換器と、
    前記AD変換器が変換したデジタル値が入力され、このデジタル値のうち、時間軸設定値で定まる時間範囲に取得したデータの最大値と最小値である最大値/最小値データを出力するピーク検出部と、
    前記AD変換器が変換したデジタル値が入力され、時間軸設定値で定まる間隔で入力されたデジタル値を間引いた間引きデータを出力する間引き部と、
    前記最大値/最小値データおよび前記間引きデータを保存する波形メモリと、
    前記波形メモリに保存されたデータを読み出し、波形表示を行うときは前記最大値/最小値データから波形データを生成して出力し、実効値表示、XY表示、FFT(Fast Fourier Transform)、データ補間を行うときに、前記間引きデータを用いてデータ処理を行い、その結果を出力するデータ処理部と、
    前記データ処理部の出力が入力され、この出力を表示する表示部と、
    を具備したことを特長とするデジタルオシロスコープ。
  2. 前記波形メモリは、一度にアクセスできる1ワード中に前記最大値/最小値データと前記間引きデータの両方を格納するようにしたことを特長とする請求項1に記載のデジタルオシロスコープ。
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