JP5111693B2 - 反射特性を有する接触部を備えた発光構造及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、全体として、発光ダイオード・ランプに関するものであり、更に詳細に記せば、背面反射体を有する発光ダイオード・チップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発光ダイオード(LED)ランプは、光の生成を開始するために励起信号を伝導するリード・フレームに取付けられたLEDチップを使用する。LEDは、所定のスペクトル分散を有する光を発光することができる周知の固体デバイスである。LEDは、照明装置、インジケータ及びディスプレイとして広く使用されている。典型的なLEDランプにおいて、LEDチップは、ダイ取付工程中にLEDチップをリード・フレームに接合するエポキシの層を含む。
【0003】
従来のLEDの幾つかの種類は、発光に対して透過的で活性層とリード・フレームとの間に配置された半導体層を有する。サファイア上のInGaN、透明基板−AlInGaP(透明GaP基板に接合されたAlInGaPウェーハ)及びGaPのLEDもその種類で、いずれも発光に対して透過的な基板を有する。
【0004】
従来のLEDランプに伴う問題は、LEDチップからの発光のかなりの量が、基板材料に吸収され、ランプの光出力(LOP)を低減することである。この問題を緩和する典型的な方法は、LEDチップ上のエポキシの層中に銀(Ag)を含有し、Agに反射体の働きをさせることである。エポキシ層中にAgを含有することで、基板材料によって吸収されてきた光の一部は、Agによって反射され、出力光としてLEDチップから発光され、それによって、ランプのLOPが増加する。
【0005】
しかしながら、最近、米国Hewlett-Packard Companyによって開発された高出力LEDチップは、エポキシ/Ag層よりも非常に低い耐熱性を有する接合(ボンディング)層及びパッケージを必要とする。この高出力LEDチップは、論文「High-flux high-efficiency transparent-substrate AlGaInP/GaP light-emitting diodes」(G.E. Hofler等著、Electronic Letters、1998年9月3日、Vol. 34, No. 18)中に記載されている。この高出力LEDチップは、LEDチップを、熱だめの役割も果たすリード・フレーム又はダイ・パッドに接合するために、エポキシ/Ag層ではなく、はんだ付け材料からなる層を使用する。このはんだ付け材料は、LEDチップの動作温度を下げるために低耐熱性を有することが好ましく、それによって光出力及び信頼性が向上する。更に、高出力LEDチップは、この高出力LEDチップを取り入れたランプのLOPを増加させる反射体として機能する反射材料の層を含む。この反射材料は、反射体が、発光波長に対して高い反射率(80%より大きい)を有し良好な熱伝導性を有するものが選択される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図1は、LED12及びはんだ付け材料の層14を有する高出力LEDチップ10を示すものである。このLEDは、活性層16を有するAlInGaP LEDで、電気エネルギーの印加に応答して発光が生じる。発光した光は、活性層付近に矢印で図示するように、全方向に放射される。LEDの下面に装着されているのは、オーム接触部18である。このオーム接触部は、Ag反射体20によって被覆されている。また、高出力LEDチップ10は、LEDの上面上に配置されたオーム接触部21を含む。このLEDが動作しているとき、LEDの活性層によって生成される光は、下部オーム接触部から離れて伝播され、出力光22としてLEDから発光されるものもあるが、オーム接触部に向かって伝播される光もある。その光の一部は、下部オーム接触部18に入射し、場合によっては吸収される。また、その光の他の一部は、チップからの入射光を反射するように動作するAg反射体に入射する。そのため、出力光の輝度は、Ag反射体からの反射光に応じて上昇する。
【0007】
Ag反射体は、LEDとはんだ層14との間に配置される。はんだ層中のはんだ付け材料は、インジウム(In)である。このはんだ層によって、LEDチップは外面(不図示)に装着又は接合されることが可能となる。
【0008】
はんだ層14の融点(Inであれば、融点は摂氏約156度)より上の温度で行なわれるダイ取付工程など、高温工程の間、Ag反射体20とInはんだ層14は混合する可能性があり、Ag反射体20の反射率を約95%から約70%未満まで減少させる。その結果、パッケージ装置中で約15%〜20%のLOP減少が発生する。
【0009】
したがって、必要とされるものは、LEDチップがダイ取付工程などの高温工程を経た後でも高い反射率をもたらす反射体を含む、はんだ付け可能な高出力LEDチップである。
【0010】
【問題を解決するための手段】
はんだ付け可能な発光ダイオード(LED)チップ及びそのLEDチップを取り入れたLEDランプを製造する方法は、高温工程中のLEDチップの2つの異なる層の大幅な混合を防止する拡散隔壁を使用する。この拡散隔壁は、層が高温を経験したときの該当する2つの層の間の移動を大幅に遮蔽する材料から形成される。好適実施形態において、LEDチップの2つの異なる層は、背面反射体及びはんだ層である。背面反射体及びはんだ層の材料の混合を防止することによって、拡散隔壁は、LEDによって発光された光を反射するその機能によって、背面反射体の劣化を防止する役割を果たす。この拡散隔壁は、はんだ層から反射体への移動及び混合を防止して、反射体とLEDチップとの間の面で、反射層の反射率が、大幅に減少(すなわち反射率において10%より大きな減少)しないようにしなければならない。この拡散隔壁は、はんだ層を溶融するために必要な高温においても、構造上の保全性を維持、すなわち拡散に対する隔壁を維持しなければならない。
【0011】
本発明の第1の実施形態において、LEDチップは、高出力AlInGaP LEDを含む。しかしながら、LEDチップに含まれるLEDの種類は、本発明において重要ではない。この発明の利点は、発光に透過的で活性層とはんだ層との間に配置された半導体層を有する全LEDに対して、適用可能である。LEDの背面に装着されているのは、背面反射体である。背面は、LEDの発光面の逆の面である。AlInGaP LEDに対して、背面反射体は、LEDの背面上にスパッタリングされた銀(Ag)又はAg合金を有して構成されることが好ましい。ただし、この反射体は発光の波長に応じて最適化されなければならない。良好な反射体は、90%より大きな反射率を有する。他の反射体の例は、透明基板AlGaAs LEDのAlGaN及びAuの代わりにAl又はAgを含むものである。背面反射体は、蒸着、電気めっき又はその他の適切な技術によって形成されることが可能である。背面反射体に隣接して配置されるのは、拡散層である。本実施形態において、この拡散層は、ニッケル(Ni)又はニッケル−バナジウム(NiV)からなる。背面反射体がスパッタリングされる場合、NiVは背面反射体上にスパッタリング可能であるため、NiよりもNiVの方が好ましい。拡散隔壁を形成するためにスパッタリング工程を使用することによって、背面反射体及び拡散隔壁は、単一の製造システム中で形成可能となる。他の方法によれば、この拡散隔壁は、Niの蒸着又は電気めっきで形成されることが可能である。
【0012】
また、LEDチップは、拡散層に固着されたはんだ層を含み、背面反射体とはんだ層とが拡散層によって分離されるようになっている。このはんだ層は、インジウム(In)、鉛(Pb)、金(Au)、スズ(Sn)又はそれらの合金及び共晶からなることが可能である。このはんだ層によって、LEDチップは、スラグ又はダイ取付工程中のダイパッドとしても知られる集積熱だめ上に取付けられることが可能となる。このダイ取付工程は、LEDチップをスラグ又はダイパッドに物理的に接合するためにLEDチップのはんだ層を溶融することを含む。しかしながら、このダイ取付工程は、背面反射体、拡散隔壁及びはんだ層を、はんだ付け材料の融点(Inであれば、融点は、摂氏約156度)より上の温度にさらすことになる。この高温工程中、この拡散隔壁が、はんだ層のInを背面反射体のAgと混合してしまうのを防止する。拡散隔壁のこの特徴は、背面反射体の汚染を防ぎ、それによって、背面反射体の高反射特性が劣化しないようにする。材料の混合を防止することに加え、この拡散隔壁は、大気に露出されたときの反射体中のAgの劣化も防止する。
【0013】
この拡散隔壁の厚さは、約500〜20,000オングストロームでなければならない。この拡散隔壁の好ましい厚さは、Niであれば約2,000〜15,000オングストロームで、NiVであれば約1,000〜10,000オングストロームである。好ましい厚さの下限は、拡散隔壁がIn/Ag混合を効果的に防止できることを保証するように選択され、上限は、膜中の過剰応力に起因する層間剥離及び信頼性の問題を防止するように選択される。Ni及びNiVの好ましい厚さにおける違いは、粒径、粒形及び膜の応力の違いによるものである。
【0014】
本発明の第2の実施形態において、LEDチップは、第1の実施形態によるLEDチップと同様の構成部分を含む。ただし、第2の実施形態において、拡散隔壁は、Ni又はNiVではなく、チタン−タングステン−窒化物(TiW:N)からなる。第1の実施形態のNi又はNiVの拡散隔壁と同様に、TiW:Nの拡散隔壁は、はんだ層のInが背面反射体のAgと混合することを防止し、また、背面反射体中のAgが大気中に露出されたときに劣化することを防止する。
【0015】
また、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びタンタル(Ta)などの耐熱性を有する金属は、拡散隔壁を形成するために使用可能であるが、それらの材料の融点は、非常に高く(NiのTm=1455ーCと比較すると、それぞれ、Tm=2610, 3410, 2996ーC)、そのため、成膜するのがより困難で、蒸着できない。
【0016】
他の実施形態において、拡散隔壁は、絶縁材料からなる。この実施形態において、拡散隔壁は、酸化アルミニウム(AlyOx)、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)又はケイ素−酸化物−窒化物(SiOxNy)などの誘電体からなることが可能である。誘電体は、金属又は半導体よりも非常に高い抵抗率()を有する材料である(例えば、Al2O3であれば、=11011ohm-cm、Si及びNiであれば、それぞれ、=3ohm-cm、610-6ohm-cm)。結果的な拡散隔壁は、反射体とはんだ層との間に絶縁隔壁を形成するもので、それによって反射体の反射材料とはんだ層のはんだ付け材料との混合が防止され、更に電気の流れが抑制される。しかしながら、それでもLEDの熱抵抗は重要であり、拡散隔壁の追加に伴って大幅に増加してはならない。良好な見積もりによれば、隔壁層を追加しても、パッケージLEDの熱抵抗の増加は10%以下でなければならない。
【0017】
この絶縁拡散隔壁は、発光に対して透過的で活性層とはんだ層との間に配置された層を含むLED構造に適用可能であるが、導電する必要はない。それは、サファイアに成長したInGaN LEDに対しても同様である。絶縁隔壁は、導電材料の何倍も大きな抵抗率を有する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)及び酸化ケイ素(SiOx)の抵抗率は、8ohm-cmの抵抗率を有するNiと比較すると、それぞれ31019及び11021ohm-cmである。耐熱金属の抵抗率は、先に挙げたその他の絶縁隔壁のものよりもはるかに低い。しかしながら、隔壁の電流の伝導を必要としないLEDでも導電性拡散隔壁を使用することが可能で、それによって拡散隔壁を形成するために使用可能な材料の選択肢は増える。
【0018】
本発明による高出力LEDランプを製造する方法は、反射材料の層が、LEDの背面上に成膜される工程を含む。反射材料の層は、ランプ中に取り入れられるLEDチップの背面反射体を形成する。好適実施形態において、反射材料は、Ag又はAg合金で、LEDの背面上にスパッタリングされることが可能である。ただし、この背面反射体を形成するために、他の同等の反射材料を使用することも可能である。次に、拡散隔壁が背面反射体上に形成され、背面反射体はLEDと拡散隔壁との間に配置されるようにする。一実施形態において、拡散隔壁は、Ni又はNiVを有して構成される。他の実施形態において、拡散隔壁は、TiW:Nを有して構成される。次に、はんだ付け材料の層が、拡散隔壁上に成膜され、それによって背面反射体が拡散隔壁によってはんだ付け材料の層から物理的に分離される。このはんだ付け材料は、インジウム(In)、鉛(Pb)、金(Au)、スズ(Sn)又はそれらの合金及び共晶とされ得る。次に、背面反射体、拡散層及びはんだ付け材料の層を有するLEDチップが、スラグ、ダイパッド又はリード・フレームなどのダイプラットフォーム上に配置され、はんだ付け材料の層がダイプラットフォームと接触状態となる。その後、はんだ付け材料の層を溶融することによって、このLEDチップはダイプラットフォームに装着され、はんだ付け材料は、スラグの表面に接合される。LEDチップがダイプラットフォームに取付けられた後、高出力LEDランプを完成するためのその他の従来の製造工程が行なわれる。
【0019】
本発明の利点は、LEDチップ中に拡散隔壁を含むことによって、LEDランプの光出力の13〜21%の増加が実現可能となることである。更に、この拡散隔壁は、背面反射体を形成するために使用されるのと同様のスパッタリング又は蒸着工程を使用して形成されることが可能である。
【0020】
【発明の実施形態】
図2に、本発明の第1の実施形態によるはんだ付け可能な発光ダイオード(LED)チップ26を示す。このLEDチップは、活性層30を有するLED28を含む。このLEDは、約550〜650nmの範囲のスペクトル分散を有する光を発するAlInGaP LEDであることが好ましい。ただし、LED28は、別の種類のLEDでもよい。このLEDチップに含まれるLEDの種類は、本発明において重要ではない。発光に対して透過的で活性層とはんだとの間に配置された半導体層を有する全てのLEDに対して本発明の利点を適用可能である。LEDの下面又は背面に装着されるのは、オーム接触部32である。このオーム接触部は、LEDチップの背面反射体を形成する反射材料の層34内にある。また、LEDチップは、LEDの上面上に配置されたオーム接触部33を含む。上下のオーム接触部32及び33は、活性化された時に、良好に分散された電流をLEDに供給する。好適実施形態では、反射体34中で使用される反射材料は、銀(Ag)又はAg合金である。ただし、Al及びAuなどのその他の反射材料も、この反射体を形成するために使用可能である。この反射体は、発光波長において、〜90%より上の反射率を有するように選択されなければならない。
【0021】
背面反射体34上に形成されるのは、拡散隔壁36である。この実施形態において、拡散隔壁はニッケル(Ni)からなる。この拡散隔壁は反射体34とはんだ層38との間に配置され、それによって反射体は、はんだ層から分離される。反射体の厚さは、約500〜20,000オングストロームでなければならない。このはんだ層は、インジウム(In)、鉛(Pb)、金(Au)、スズ(Sn)又はそれらの合金及び共晶とされ得る。このはんだ層によって、LEDチップ26は、ダイ取付工程中に、スラグ、ダイパッド又はリードフレームとしても既知の集積化されたヒートシンクなどの外部ダイプラットフォーム上に取付けられることが可能となる。このダイ取付工程は、LEDチップをダイプラットフォームの導電体に物理的に接合するために、LEDチップのはんだ層を溶融することを含む。残念ながら、このダイ取付工程によって、はんだ層とともに、背面反射体及び拡散隔壁も、はんだ付け材料の融点(例えば、Inであれば、その融点は、摂氏約156度)より高い温度にさらされることになる。そのような温度において、例えばInなどのはんだ付け材料は、拡散隔壁がなければ、背面反射体に拡散する可能性がある。この拡散隔壁は、この高温工程中にはんだ層のはんだ付け材料と背面反射体の例えばAgなどの反射材料との混合を防止する。材料の混合の防止に加え、この拡散隔壁は、大気への露出時の反射体中のAgの劣化を防止する。この拡散隔壁の好ましい厚さは、約500〜20,000オングストロームである。好ましい厚さの下限は、拡散隔壁がIn/Ag混合を効果的に防止可能であることを確実にするように選択され、上限は、膜中の過剰応力に起因する層間剥離及び信頼性の問題を防止するように選択される。
【0022】
LEDチップがダイプラットフォーム40に装着され、LEDランプ中に取り入れられると、LEDチップは、発光するように動作可能である。動作中、LED28の活性層30は、オーム接触部32及び33によって供給される電気エネルギーを印加することによって励起される。電気エネルギーを印加することによって、活性層は、活性層付近の矢印で図示したように、全方向に向けて発光するようになる。LEDチップの上部又は側部に伝搬され、出力光42としてLEDから発光される光もあるが、はんだ層38に向けて下方向に伝搬される光もある。下方向に伝わったその光の一部は、オーム接触部32に入射し、オーム接触部32は、その入射光のかなりの部分を吸収する。また、下方向に伝わった光の別の一部は、反射体34に入射する。反射体は、その入射光を反射し、その反射光の一部は、最後に、出力光としてLEDから出射される。この反射体は、ダイ取付工程中にはんだ層からのはんだ付け材料によって汚染されないため、反射体は、入射光の大部分を反射する高反射特性を有する。吸収されて消失した以外の反射光によって、出力光全体の輝度は上昇する。
【0023】
Ni拡散隔壁36を含むと、図1のLEDチップ10を取り入れたLEDランプよりも約13〜21%高い光出力(LOP)を有するLEDランプが実現される。Ni拡散隔壁が厚くなるほど、LEDランプのLOPゲインは高くなる。2,000オングストロームの厚さのNi拡散隔壁によって、従来の高出力ランプよりも約13%高いLOPを有するランプが実現される。Ni拡散隔壁が7,000オングストロームの厚さであれば、約17〜21%高いLOPを有するランプが実現される。データは、Ni拡散隔壁が、外部応力(温度衝撃:TMSK40〜120C大気―大気、200周期)又は高温動作寿命試験に起因する温度衝撃(TMSK)動作によって劣化しないことを表している。
【0024】
拡散隔壁36にNiを使用することの欠点は、反射体34及び拡散隔壁を形成するために、異なる成膜手順が必要な場合があることである。反射体は、スパッタリング、蒸着及び電気めっきなど、数多くの成膜手順によって形成されることが可能である。しかしながら、Ni拡散隔壁は、電気めっきも使用可能であるが、典型的には、蒸着工程によって形成される。Niの磁気特性のため、拡散隔壁を形成するためのNi成膜にスパッタリング工程は使用できない。したがって、反射体が、スパッタリングによって形成される場合、拡散隔壁を形成するために異なる成膜工程が必要となる。この問題を克服するための方法の1つは、純粋なNiではなく、ニッケル−バナジウム(NiV)を使用することである。VはNiが磁化することを防止し、NiVが標準のスパッタリング装置を使用して成膜可能となるようにする。NiV中のVの量は、Niと比較すると、比較的少ない。例えば、NiVは約7%のVと約93%のNiを含有するものでもよい。拡散隔壁36を形成するNiVの好ましい厚さは、約1,000〜10,000オングストロームである。NiV拡散隔壁とNi拡散隔壁の好ましい厚さの違いは、粒径と膜の応力の違いによるものである。このNiVを選択することによって、同じスパッタリング装置が、反射体を形成するAgの成膜と拡散隔壁を形成するNiV成膜のために使用可能となる。
【0025】
図3には、本発明の第2の実施形態によるはんだ付け可能な高出力LEDチップ44を示される。LEDチップ44は、図2のLEDチップ26と構造的に類似する。したがって、図3に図示されている同様の構成部分を識別するために、図2と同一の参照番号を使用する。LEDチップ44は、活性層30、オーム接触部32、反射体34及びはんだ層38を有するLED28を含む。ただし、図2のLEDチップ26とは異なり、LEDチップ44は、チタン−タングステン−窒化物(TiW:N)拡散隔壁46を含む。このTiW:N拡散隔壁は、約800オングストローム以上の厚さを有することが可能である。LEDチップ26のNi拡散隔壁36と同様に、TiW:N拡散隔壁は、ダイ取付工程などの、高温工程中の反射体の反射材料(例えばAg)とはんだ層のはんだ付け材料(例えばIn)との混合を防止する。その結果、反射体は、高反射特性を維持可能となる。通常、TiW:Nの層が厚いほど、良好な拡散隔壁となる。しかしながら、この厚さは、非再現性及び信頼性の問題を発生させる可能性のある膜中の過剰応力のため、約10,000オングストロームに制限されている。更に、隔壁の効果は、ピンホール密度によって大部分が決定される。低ピンホール密度を有する膜に対しては、TiW:Nの薄層が使用可能である。
【0026】
隔壁の性能は、粒径及び形状を含む様々な性質に依存する。4,000オングストロームの厚さまでのTiからなる隔壁や、1,000オングストロームまでの厚さのTiWとからなる隔壁が試みられた。しかしながら、それらの材料のいずれもIn/Ag混合を防止するための100%の隔壁を供給しなかった。
【0027】
このLEDチップ44を取り入れた高出力ランプは、図2のLEDチップ26を取り入れた高出力ランプと同様に動作する。LED28の活性層30は、印加された電気エネルギーに応答して光を生成する。電気エネルギーが印加されることによって、活性層は、活性層付近の矢印によって図示されるように、全方向に発光するようになる。この光の一部は、出力光42としてLEDの上部及び側部から発光する。また、光の一部は、はんだ層38に向かって、下方向に伝わる。下方向に伝わった光の一部は、反射体34に入射し、その反射体によって上方向に反射される。その反射光の大部分は、LEDを通過して出力光として出射し、それによって、LEDチップによって生成される出力光全体の輝度は増す。
【0028】
従来の高出力LEDランプのLOPに対する約13%のLOP利得は、約800オングストロームの厚さのTiW:N拡散隔壁46を使用して得られた。TiW:N拡散隔壁が厚いと、汚染及び応力問題のない、高いLOP利得が期待される。
【0029】
他の実施形態において、拡散隔壁は、絶縁材料からなる。この実施形態のおいて、拡散隔壁は、酸化アルミニウム(AlyOx)、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)又はケイ素−酸化物−窒化物(SiOxNy)などの誘電体からなることが可能である。結果的な拡散隔壁は、反射体とはんだ層との間に絶縁隔壁を形成し、それが、反射体の反射材料とはんだ層のはんだ付け材料との混合を防止し、更に電気の流れを抑制する。ただし、LEDの熱抵抗は重要であり、拡散隔壁の追加に伴って大幅に増加してはならない。良好な見積もりによれば、隔壁層を追加しても、パッケージLEDの熱抵抗の増加は10%以下でなければならない。
【0030】
この絶縁拡散隔壁は、発光に対して透過的で活性層とはんだ層との間に配置された層を含むLED構造に適用可能であるが、それらの層の導電を必要としない。しかしながら、それらのLEDは導電性拡散隔壁を使用することが可能であり、それによって拡散隔壁を形成するために使用可能な材料の選択肢は増える。
【0031】
図4は、高出力LEDランプの製造工程を示す流れ図である。本発明による高出力LEDランプを製造する方法を、図4を参照して説明する。工程48において、反射材料の層は、オーム接触部を有するLEDの背面上に成膜される。その背面は、LEDの発光面の逆の面である。反射材料の層は、ランプに取り入れられるLEDチップの背面反射体を形成する。好適実施形態において、反射材料は、Ag又はAg合金で、LEDの背面上にスパッタリングされる。ただし、背面反射体を形成するために他の同等の反射材料が使用されてもよく、反射材料の選択は、発光の波長に依存する。工程50において、拡散隔壁は、背面反射体上に形成され、背面反射体が、LEDと拡散隔壁との間に配置されるようになる。一実施形態において、拡散隔壁は、Ni又はNiVを有して構成される。このNi拡散隔壁は、約7,000オングストロームの厚さを有することが好ましい。NiV拡散隔壁の好ましい厚さは約2,000オングストロームである。他の実施形態において、拡散隔壁はTiW:Nを有して構成される。この他の実施形態では、この拡散隔壁は、約800オングストローム以上の厚さを有することが可能である。
【0032】
次に、工程52において、はんだ付け材料の層が拡散隔壁上に成膜され、背面反射体は、この拡散隔壁によってはんだ付け材料の層から物理的に分離される。このはんだ付け材料は、In, Pb, Au, Sn又はそれらの合金及び共晶が可能である。ただし、その代わりに、同等の材料を使用してもよい。工程54において、背面反射体を有するLEDチップと、拡散層と、はんだ付け材料の層は、スラグ、ダイパッド、又はリードフレームなどのダイプラットフォーム上に配置されて、はんだ付け材料はダイプラットフォームと接触状態となる。その後、工程56において、LEDチップは、はんだ付け材料の層を溶融することによって、ダイプラットフォームに装着され、はんだ付け材料は、背面反射体の反射材料をはんだ付け材料と混合することなく、ダイプラットフォームの表面に接合される。LEDチップがダイプラットフォーム上に取り付けられたら、高出力LEDランプの製造を完了するために、その他の従来の製造工程が行なわれる。
【0033】
以上のように本発明の好適実施形態を詳細に説明したが、これはあくまでも例示的なものであって、本発明を制限するものではなく、当業者によって更に様々な変形変更が可能である。
【0034】
本発明を、上述の好適実施形態に沿って説明すると、本発明は、励起信号に応答する少なくとも1つの層を有する光発生装置又は発光ダイオード(28)と、該光発生装置に結合された反射体(34)にして、該反射体(34)上に投射される前記光発生装置の発光による光の一部を反射するよう前記光に対して所定の反射率を有する反射材料の層を含む反射体(34)と、該反射体の反射層と逆の側にあり、前記光発生装置を取付面(40)に装着するための接合層(38)にして、前記取付面に接合される接合材料を含む接合層(38)と、前記反射体(34)を前記接合層(38)から分離して、前記接合材料が、高温にさらされたときに前記反射材料へ移動することを大幅に防止するように、前記反射体と前記接合層との間に配置された拡散隔壁(36;46)とを備えることを特徴とする発光構造(26;44)を提供する。
【0035】
好ましくは、前記拡散隔壁(36;46)は、導電材料からなる。
【0036】
好ましくは、前記拡散隔壁(36,46)の前記導電材料は、ニッケル、ニッケル−バナジウム及びチタン−タングステン−窒化物からなる群から選択された材料である。
【0037】
好ましくは、前記拡散隔壁(36,46)は、絶縁材料からなる。
【0038】
好ましくは、前記拡散隔壁(36;46)の前記絶縁材料は、誘電体又は絶縁体である。
【0039】
更に本発明は、光発生装置(28)の表面上に反射材料の層(34)を成膜する工程(48)と、前記反射材料の層上に拡散隔壁(36;46)を形成して、前記反射材料の層が前記拡散隔壁と前記光発生装置との間に配置されるようにする工程(50)と、前記拡散隔壁上にはんだ付け材料の層(38)を成膜して、前記反射材料の層と前記はんだ付け材料の層とを前記拡散隔壁によって物理的に分離する工程(52)と、前記はんだ付け材料の層が前記取付面と接触するように、前記反射材料の層と、前記拡散隔壁と、前記はんだ付け材料の層とともに、前記光発生装置を取付面(40)上に配置する工程(54)と、前記光発生装置を前記取付面に装着するために、前記はんだ付け材料の層を溶融しつつ、前記拡散隔壁によって前記反射材料と前記はんだ付け材料との大幅な混合を防止する工程(56)とからなることを特徴とする発光装置(26,44)の製造方法を提供する。
【0040】
好ましくは、前記拡散隔壁(36,46)を形成する前記工程(50)は、前記反射材料の層(34)上に導電材料の層を成膜する工程を含む。
【0041】
好ましくは、前記導電材料の層(34;46)を成膜する前記工程は、前記反射材料の層(34)上に、ニッケル、ニッケル−バナジウム、チタン−タングステン−窒化物からなる群から選択された材料の層を成膜する工程である。
【0042】
好ましくは、前記拡散隔壁(36;46)を形成する前記工程(50)は、前記反射材料の層(34)上に絶縁材料の層を成膜する工程を含む。
【0043】
好ましくは、前記絶縁材料(36;46)を成膜する前記工程は、前記反射材料の層(34)上に誘電材料の層を成膜する工程である。
【図面の簡単な説明】
【図1】背面反射体及びはんだ層を有する先行技術の高出力LEDチップの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるはんだ付け可能な高出力LEDチップの概略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるはんだ付け可能な高出力LEDチップの概略図である。
【図4】本発明による高出力LEDランプを製造する方法の流れ図である。
【符号の説明】
26、44 LEDチップ
28 LED
38 はんだ層
30活性層
32、33 オーム接触部
34 反射体
42 出力光
36、46 拡散隔壁
40 取付面
Claims (5)
- 励起信号に応答する少なくとも1つの層を有する光発生装置と;
該光発生装置に結合された反射体にして、該反射体上に投射される前記光発生装置の発光による光の一部を反射するよう前記光に対して所定の反射率を有する反射材料の層を含む反射体と;
該反射体の反射層と逆の側にあり、前記光発生装置を取付面に装着するための接合層にして、前記取付面に接合される接合材料を含む接合層と;
前記反射体を前記接合層から分離して、前記接合材料が、高温にさらされたときに前記反射材料へ移動することを大幅に防止するように、前記反射体と前記接合層との間に配置された拡散隔壁とを備え、
前記拡散隔壁は、チタン−タングステン−窒化物の単一の層のみからなり、前記反射材料の層は銀又は銀合金を有し、前記接合層はインジウムを有することを特徴とする発光構造。 - 光発生装置の表面上に反射材料の層を成膜する工程と;
前記反射材料の層上に拡散隔壁を形成して、前記反射材料の層が前記拡散隔壁と前記光発生装置との間に配置されるようにする工程と;
前記拡散隔壁上にはんだ付け材料の層を成膜して、前記反射材料の層と前記はんだ付け材料の層とを前記拡散隔壁によって物理的に分離する工程と;
前記はんだ付け材料の層が前記取付面と接触するように、前記反射材料の層と、前記拡散隔壁と、前記はんだ付け材料の層とともに、前記光発生装置を取付面上に配置する工程と;
前記光発生装置を前記取付面に装着するために、前記はんだ付け材料の層を溶融しつつ、前記拡散隔壁によって前記反射材料と前記はんだ付け材料との大幅な混合を防止する工程とからなり、
前記拡散隔壁は、チタン−タングステン−窒化物の単一の層のみからなり、前記反射材料の層は銀又は銀合金を有し、前記はんだ付け材料の層はインジウムを有することを特徴とする発光装置の製造方法。 - 前記拡散隔壁は、800オングストロームから10000オングストロームの範囲内の厚さを有する請求項1記載の発光構造。
- 所定のスペクトル分散を有する光を発光し、第1の表面及び発光面を有する発光ダイオードと、
反射された光が前記発光ダイオードの前記発光面に向けられるように、前記発光ダイオードの前記第1の表面から放射された光を反射するために、前記発光ダイオードの前記第1の面に一体的に取り付けられると共に、銀を含む反射層と、
前記発光ダイオードの反対側の、前記反射層の表面に取り付けられ、チタン−タングステン−窒化物の単一の層のみからなる拡散隔壁と、
前記拡散隔壁が前記反射層との間に配置されるように、前記拡散隔壁に取り付けられたはんだ層と、を備え、該はんだ層は、インジウムのみからなり、或いは、鉛、スズ、及び金からなる群から選択された材料及びインジウムを含むことを特徴とする発光ダイオードチップ。 - 所定のスペクトル分散を有する光を発光し、第1の表面及び発光面を有する発光ダイオードと、
反射された光が前記発光ダイオードの前記発光面に向けられるように、前記発光ダイオードの前記第1の表面から放射された光を反射するために、前記発光ダイオードの前記第1の面に一体的に取り付けられた反射層と、
前記発光ダイオードの反対側の、前記反射層の表面に取り付けられ、チタン−タングステン−窒化物の単一の層のみからなる拡散隔壁と、を備え、該拡散隔壁はチップの熱抵抗を10%以下増加させ、
さらに、前記拡散隔壁が前記反射層との間に配置されるように、前記拡散隔壁に取り付けられたはんだ層と、を備え、該はんだ層は、前記拡散隔壁によって前記反射層から絶縁され、前記反射層は銀又は銀合金を有し、前記はんだ層はインジウムを有することを特徴とする発光ダイオードチップ。
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