JP5113523B2 - アミロイド−βに対するナノ抗体及びアルツハイマー病のような神経変性疾患の治療のためのナノ抗体TMを含むポリペプチド - Google Patents
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Description
本発明は、該ナノ抗体及びポリペプチドをコードする核酸;該ナノ抗体及びポリペプチドの製造方法;該ナノ抗体及びポリペプチドを発現しているか又は発現できる宿主細胞;該ナノ抗体、ポリペプチド、核酸及び/又は宿主細胞を含む組成物、特に医薬組成物;並びに該ナノ抗体、ポリペプチド、核酸、宿主細胞及び/又は組成物の使用、特に本明細書で述べる予防、治療又は診断目的のような予防、治療又は診断目的のための使用にも関する。
本発明の他の局面、実施態様、利点及び応用は、本明細書のさらなる説明から明らかになるだろう。
AD及び他の神経変性疾患の動物モデルは技術上周知である。一例は、Games et al., Nature,, 1995, 373:523-527に記載されたAPPトランスジェニックマウスモデルである。
いくつかの神経変性疾患は、タンパク質の誤ったフォールディング若しくはプロセシング又はプリオンに起因し、両方ともアミロイド斑として知られる浸潤性の神経沈着をもたらす。最も広く知られている神経変性疾患はおそらくアルツハイマー病(AD)である。当業者には、他の神経変性疾患及び障害の例が明白だろう。
ADの発生率が、緊急かつ満たされていない医療ニーズの正当な理由となる:65〜85歳のすべての人の10〜40%がADにかかる。さらに、この区分の人口は指数関数的に増加している。従って、社会的及び経済的観点からのみならず、人道的からもこの破壊的障害を効率的に診断かつ治療するための方法を見出すことが肝要である。治療に関し、薬物は、病気の進行を遅らせ、又は止めるのみならず、ADの初期段階の間(診断前)に既に起こった脳損傷を修復する必要がある。今、早期診断も治療措置も有効でない。
アミロイド斑の主成分は、39〜43個のアミノ酸の長さの非常に不溶性のペプチド、βアミロイドペプチド(β-AP)であり、このペプチドはβシート構造を採る強い傾向があり、オリゴマー形成してタンパク質凝集体を形成する。セクレターゼとして知られる群の特定プロテアーゼによってアミロイドペプチド前駆体が切断されるとβ-APの産生が起こる。βアミロイドペプチドのアミノ末端におけるβ-セクレターゼによる切断と、残基39〜43(多くの場合残基42で)の間のγ-セクレターゼによる切断が、このペプチドの産生を構成する。α-セクレターゼ(及び他のメタロプロテアーゼ)による切断は、βアミロイドペプチドの残基16と17の間を切断することによって、可溶性の切断産物を与える。この経路は、可溶性産物を生成することによって、β-APの潜在的な蓄積を減少させる。
A-βタンパク質は、アルツハイマー病(AD)の特性を示す老人斑の主要成分である。A-βは、A-β前駆体タンパク質(APP)から2つのタンパク質分解事象によって生成される。β-セクレターゼ活性は、アミノ酸Met-671とAsp-672(APPの770-aaイソ型のナンバリングを使用)の間のA-β(β-部位)のN末端にてAPPを切断する。β-部位における切断が99aa(C99)の膜関連APPフラグメントを生じさせる。次に、C99の膜貫通ドメイン内の第2部位(γ部位)がγ-セクレターゼによって切断されて39-42aaのペプチド、A-βが放出される。或いは、APPがそのA-β領域内、主にAPPのα-セクレターゼ切断部位で切断されて、83aa(C83)のC-末端APPフラグメントを生成することもあり、これはさらにγ-セクレターゼで切断されて小さい分泌ペプチド、p3を生成しうる。APPは、APLP1とAPLP2(APLP又はAPP-様タンパク質と呼ばれる)に密接に関連する。
早期発生家族性ADの形態では、APP内における多くのミスセンス変異が関係している。これらすべての変異は、APPの正準な切断部位又はその近傍にある。従って、Swedish二重変異(K670N/M671L)は、β-切断部位に直接隣接し、β-セクレターゼ活性の効率を高め、より多くの全A-βをもたらす。γ部位近傍のAPP残基717の3つのいずれの変異も、A-βのアミロイド形成的な42-aa型[A-β(1-42)]の、一般的な40-残基型[A-β(1-40)]に対する比率を高める。
α-部位に近いが隣接していない、APPの2つのさらなる変異が開示されている。Flemishファミリーにおける変異(A692G、A-β残基21)及びDutchファミリーにおける変異(E693Q、A-β残基22)は、それぞれ別個の型の家族性ADに関係している。特にFlemish変異は、反復性脳内出血の症候群として、又はAD-型認知症として現れる。神経病理学的発見として、皮質及び海馬内の老人斑、並びに大脳の微小管壁内の一般的に多数のアミロイド沈着が挙げられる。
BACE2はAPPをそのβ-部位にて、A-βのPhe-19及びPhe-20の後の、APPのA-β領域内の部位におけるより効率的に切断する。これら内部のA-β-部位は、残基21でのFlemish APP変異に隣接し、かつこの変異は、BACE2によって生成されるβ-部位切断産物の比率を顕著に増やす。β-セクレターゼ活性を増やす(Swedish変異)か又は阻害する(M671V)、APPの保存的なβ-部位変異は、BACE1とBACE2の活性に同様に影響を及ぼす。BACE2は、BACE1と同様、酸性pHで最大にAPPをタンパク分解する。さらに、両酵素に共通の単一Argの変化は、A-βに対して内側のそれのそれぞれの部位ではなく、そのAPPのβ部位での切断する能力を遮断する。BACE1とBACE2の別個の特異性及びβ-部位切断に重要なキーとなる活性部位残基の同定が、β-セクレターゼ活性を選択的に阻害するための戦略を示唆するだろう。A-β領域内での野生型APPのBACE2切断は、BACE2-発現組織内でのインタクトなA-βの産生を制限しうる。
τは、神経細胞骨格を安定化し、かつ小胞輸送及び軸索極性に関与する微小管結合タンパク質である。脳内では、τの6つのイソ型があり、染色体17上に位置する単一の遺伝子の選択的mRNAスプライシングによって生成される。アルツハイマー病、核上麻痺、及びパーキンソン症による前頭側頭点認知症といったいくつかの神経変性障害でτの病的変化が起こる。
ADでは、過リン酸化型のτで構成される不溶性の神経原線維変化(NFT)が、最初に嗅内皮質及び海馬のCA1亜領域内で蓄積する。最近の研究により、コンホメーション変化及び過リン酸化といった神経変性をもたらすτの変化の筋道が明らかになり始めた。τにおける異常なフォールディングをしたコンホメーション変化は、最も早期のτの病的事象の1つであると考えられる。このようなτの変化は、その微小管に対する結合親和性を低減し、ひいては微小管の脱重合を生じさせ、ADで観察される神経細胞の損失に寄与する。
最近の研究(Rissman et al., J. Clin. Invest., 114(1), 121-130, 2004)は、τのカスパーゼ切断がADの変形体形成における初期事象であると示唆している。カスパーゼ切断されたτは、初期段階の変形体で見られるコンホメーションを採り、かつ過リン酸化されうるフィラメント形成を触媒する。τのカスパーゼ切断は、A-βとも共存して、トランスジェニックマウス内とAD脳内の両方で変形体を発達させる。主な皮質神経細胞内では、A-β誘導カスパーゼ活性化がτの切断につながり、変形体様形態学を生じさせる。これは、カスパーゼ活性化が、A-βに引き起こされうるNFT形成における早期事象であり、カスパーゼ活性化は、ADの重要な特徴的病変に寄与しうることを示唆している。細胞内及び細胞外の両A-βがτのカスパーゼ切断を誘導しうる。
過リン酸化はPHFの自己構築を促進しうるので、τの過リン酸化は、変形体病理学の開発で優勢な仮説である。カスパーゼ切断後にτが過リン酸化されうることが実証されたので、τの生成は、その後の過リン酸化を妨げないことを示唆している。
最近の研究は、アミロイド斑と神経原線維変化の両方を発生しているマウスにおいて、アミロイドのクリアランスが初期段階のτ病理の除去をももたらすことを実証した(Oddo et al. (2004) Neuron 43, 321-332)。抗-変形体抗体は、初期変形体を除去したが、アミロイド斑を除去せず、かつ進行した変形体にも影響を及ぼさなかった。
ADの最近の治療はアセチルコリンエステラーゼインヒビター(J&JのReminyl、NovartisのExelon、PfizerのAriceptとして市販されている)を用いてアセチルコリンの欠損(Auld et al. (2002) Progress in Neurobiology 68, 209-245で精査された)を目標にする。アセチルコリン欠損は、基底前脳のコリン作動性ニューロンの変性を反映し、該疾患の神経精神医学的徴候とよく相関するようである。従って、アセチルコリンエステラーゼインヒビターによる治療はいくつかの有益な効果を有するが、神経変性の病因は処理されないままなので、該疾患を治癒し、又はその進行を止めることはできない。
メマンチンはNMDA受容体アンタゴニスト(Merz Pharmaceuticals)であり、中度乃至重度の認知障害のあるAD患者の認知低下を鈍化して進行を遅らせるようである(III相臨床試験, Reisberg et al (2003) N Engl. J. Med. 348, 1333-1341)。この薬物は新しいタイプの短期又は近い将来の有望な療法を代表しているが、これも対症療法にとどまり、この疾患を治癒し或いはその進行を止めるものではない。
a)アミロイドペプチド凝集体のβ-シート構造を妨げるように設計されるβ-シートブレーカーと称する小分子(しばしばペプチド-ミメティック)の開発。ADのトランスジェニックマウスに投与した場合、安定な“β-シートブレーカー”は血液脳関門に浸透して、アミロイド斑の数を減少させることができることが実証された(Permanne et al. (2002) FASEB J. 16, 860-862)。このアプローチが認知保護及び/又は回復をもたらすかを実証することが残っている。ADの可溶性プロトフィブリル形態の毒性を考えると、アミロイド斑の効率的な溶解と、それに伴う可溶性小凝集体の増加は神経変性を悪化さえするだろう。
b)APPの、アミロイドペプチドへのタンパク質分解プロセシングを阻害する小分子の開発。β-セクレターゼ又はγ-セクレターゼのインヒビターはA-βの形成を効率的に遮断し、ひいてはアミロイドの神経毒作用から脳を保護するだろう。最もよく研究されているインヒビターはγ-セクレターゼインヒビターtDAPTであり、その投与は若い動物及びCSF内の脳A-βレベルを下げる。また原形質内のA-βレベルも下げるが、年長の(斑含有)動物の脳内のA-βレベルを下げない(Lanz et al. (2003) J. Pharmacol. Exp. Ther. in press; Dovey et al. (2001) J. Neurochem. 76, 173-181)。γ-セクレターゼはノッチ-シグナリングのような多くの細胞プロセスに関与するので、これら薬剤の毒性に関して中心的な問題が残っている(Francis et al (2002) Dev. Cell 3, 85-97)。さらに、γ-セクレターゼの必須サブユニットをコードするPS1遺伝子のノックアウトは致死的である。他方、PS1の“ニューロン特異的ノックアウト”のあるマウスは生存能力があり、斑形成を阻止する顕著に低いA-βレベルを有する。それにもかかわらず、これは認知欠陥を阻止せず、さらに悪化させた。これの説明は、A-βの中間前駆体であり、かつ完全アミロイド配列を含有する、APPの神経毒性C-末端フラグメント(β-CTF又はC99)の蓄積であろう(Dewachter et al, J. Neurosci., 22(9), 3445-53, 2002)。
c)A-βに対する受動的及び能動的なワクチン接種。この研究系統は、A-β-42によるトランスジェニックADマウスのワクチン接種がアミロイド斑の形成を阻止したという観察(Schenk et al. (1999) Nature 400, 173-177)で始まった。第1実験で、青年マウス(6週齢)の毎月のワクチン接種は、星状細胞増加症及び小神経膠腫症の脳内の斑形成と随伴性炎症反応を本質的に阻止し、すなわちアミロイド斑がなかった。アミロイド斑が既に確立された場合、後の年齢で開始するワクチン接種は、部分的クリアランスとなった。引き続き、他の群は、独立に、A-βによるワクチン接種が水迷路記憶テストで測定した場合、行動と記憶の欠損を改善することを実証した(Janus et al. (2000) Nature 408, 979-982; Morgan et al. (2000) Nature 408, 982-985)。
見込みのある前臨床データの後に、臨床試験を開始して(Elan)、安全性と毒性を評価し、かつ完全A-β-42ペプチドによるワクチン接種の効率を試験した。ワクチン接種は、前凝集した合成A-β-42で、表面活性サポニンQS-21アジュバントと共にi.m.(筋肉内)注射で行った(Hock et al. (2002) Nature Med. 8, 1270-1275; Nicoll et al. (2003) Nature Med. in press)。I相毒性試験はいかなる問題も示さなかったが、次のII相試験は重大な合併症のため早々に停止された。ワクチン接種した患者306人の16人で炎症性髄膜-脳炎反応が発生した。A-β-42ペプチド部分が体内に天然に存在するという事実を考えると、この有害な反応は自己免疫反応に属していた。
この有害な自己免疫反応は、受動的免疫化、すなわちA-βに対する抗体の投与によって明らかに回避される。このアプローチは、トランスジェニックADマウス内の脳A-βバーデンの低減での成功を示した(DeMattos et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 8850-8855)。抗体は血液脳関門を通過して脳内に存在する斑を標的にできるとはあまり考えられないので、この背景にある機序は分かっていない。従って、著者は、抗体が原形質内で‘A-βシンク’を生成し、これが脳からA-βを滴定して減少させると示唆した。引き続き、ゲルソリン(gelsolin)とGM1を用いて、いずれのA-β-結合性リガンドも、血液脳関門を通過することなく、トランスジェニックADマウス内のアミロイドバーデンを減少させる可能性を有することを実証した(Matsuoka et al. (2003) J. Neuroscience 23, 29-33)。
短期間(24時間)の受動的免疫化は、全体的な脳アミロイド負荷に影響を及ぼすことなく、トランスジェニックADマウスの認知欠損を修復するようだった(Dodart et al. (2002) Nature Neuroscience 5, 452-457)。この結果は、A-βの小さい、まだ可溶性の凝集体がまずいくつかの抗体の標的にされ、かつこれらがA-βの最も毒性の形態であることを示唆しているだろう。従って、プロトフィブリルA-βのクリアランスは、少なくともトランスジェニックAPP-マウスでは記憶を回復できるだろう。記憶の回復に伴い、原形質及びCSFのA-βレベル上昇が観察され、この“シンク”仮説を支持している。
能動的ではなく受動的な免疫化は、自己免疫反応の明白な非存在、記憶についての迅速な正の効果及びA-βに対して予め規定された親和性を有するいずれのタイプの適切な抗体も使用できるという可能性のため、最も魅力的であると思われる。本発明のポリペプチドは、この仕事のため、その製造の容易さ、高い特異性と親和性、低い抗原性と低分子量を併せ持った高い安定性を考えて、非常によく研究されている。
1984年に、神経及び伝達障害と脳卒中の国立機関並びにアルツハイマー病及び関連障害協会(National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association (NINCDS-ADRDA))がADの診断の公式基準を確立した(Petrella et al. (2003) Radiology 226, 315-336に総説されてる)。以下のすべての基準を満たす患者はおそらくADであると診断される:
−実験及び試験で証明される認知症(例えばミニメンタルテスト(Mini-Mental Test)、Blessed 認知症評価尺度、又は同様の試験)
−記憶及び少なくとも1つの他の認知機能の障害
−正常な意識
−40〜90歳の年齢で発生
−認知症を引き起こす他の疾患の徴候が存在しないこと(排他基準)
神経繊維タンパク質(AD7C-NTP)のELISA(Nymoxによって開発された)は、AD患者由来の尿中の非AD認知症患者又は健康なコントロール由来の尿中のレベルより高いレベルを実証した(Munzar et al. (2002) Neurol. Clin. Neurophysiol. 1, 2-8)。しかし、早期ADの場合、その平均レベルは有意に低く、この試験が早期発生ADの試験には信頼できないことを示唆している。
神経変性疾患及び該疾患におけるA-βの役割に関するさらなる情報のため、とりわけ、以下の文献を参照する:Anguiano et al. (2001) Neurobiol Aging 22, 335, Benveniste et al. (1999). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 14079-14084, DeMattos et al. (2002) Science 295, 2264-2267, Herms et al. (2002) J. Biol. Chem. 278, 2484-2489, Muruganandam et al (2002) FASEB J.16, 240-242, Poduslo et al. (2002) J. Neurochem. 81, 61, Small et al. (2001) Alzheimer's disease. Neurobiol Aging 22, 335, Vanhoutte, Dewachter, Borghgraef, Van Leuven, Van der Linden (2003) (Submitted)。
さらなる目的は、前記抗-A-βポリペプチドの製造方法、スクリーニング方法及びスクリーニング用キット、並びにA-β若しくはその機能障害によって媒介される病気及び疾患の診断及び調査のための診断用キットを提供することである。
一般的に、本発明の目的は、ADのような神経変性疾患及び本明細書で述べるさらなる疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療で使用できる薬理学的に活性な薬剤、及び該薬剤を含む組成物を提供すること、並びに前記薬剤及び組成物の使用及び/又は投与といった前記疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療方法を提供することである。
特に、本発明の目的は、現在先行技術で使用され、及び/又は知られている薬剤、組成物及び/又は方法と比較して確かな利点を提供する、前記薬理学的に活性な薬剤、組成物及び/又は方法を提供することである。
さらに詳しくは、本発明の目的は、ADのような神経変性疾患及び本明細書で述べるさらなる疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療のため、薬理学的に活性な薬剤として使用できる治療用タンパク質、及び該タンパク質を含む組成物を提供すること、並びに前記薬剤と組成物の使用及び/又は投与といった前記疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療方法を提供することである。本発明では、これら治療用タンパク質は、さらに後述するように、(単一)ドメイン抗体、特にナノ抗体(NanobodiesTM)、及び/又は該抗体を主成分とするタンパク質若しくは該抗体を含むタンパク質である。
従って、本発明の1つの目的は、A-βに対する、詳しくは温血動物由来のA-βに対する、さらに詳しくは哺乳動物由来のA-βに対する、特にヒトA-βに対するナノ抗体を提供すること;並びに少なくとも1つの該ナノ抗体を含む、又は本質的に少なくとも1種の該ナノ抗体から成るタンパク質およびポリペプチドを提供することである。
特に、本発明の目的は、温血動物、詳しくは哺乳動物、さらに詳しくはヒトにおける予防、治療及び/又は診断用途に適したナノ抗体及びタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することである。
さらに詳しくは、本発明の目的は、温血動物、詳しくは哺乳動物、さらに詳しくはヒトにおけるA-βと関連する及び/又はA-βによって媒介される1種以上の疾患、障害又は状態(例えば、本明細書で述べる疾患、障害及び状態)の予防、治療、軽減及び/又は診断のために使用可能なナノ抗体とタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することである。
温血動物、詳しくは哺乳動物、さらに詳しくはヒトにおけるA-βと関連する及び/又はA-βによって媒介される1種以上の疾患、障害又は状態(例えば、本明細書で述べる疾患、障害及び状態)の予防及び/又は治療のための医薬組成物若しくは獣医学組成物の製造で使用できるナノ抗体とタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することも本発明の目的である。
これら目的は、本明細書で述べるナノ抗体、タンパク質及びポリペプチドによって達成される。これらナノ抗体を“本発明のナノ抗体”と称することもあり;本明細書では、これらタンパク質及びポリペプチドを総称して“本発明のポリペプチド”と称することもある。
従って、第1局面では、本発明は、A-βに対するナノ抗体、詳しくは温血動物由来のA-βに対するナノ抗体、さらに詳しくは哺乳動物由来のA-βに対するナノ抗体、特にヒトA-βに対するナノ抗体に関する。
別の局面では、本発明は、本質的に、A-βに対する少なくとも1種の前記ナノ抗体を含むか前記ナノ抗体から成るタンパク質又はポリペプチドを提供する。
当業者には、医薬的使用では、本発明の前記ナノ抗体及びポリペプチドを好ましくはヒトA-βに向け;獣医学的目的では、本発明のナノ抗体及びポリペプチドを好ましくは治療すべき種由来のA-βに向けることが明白だろう。
また、本発明によれば、第1の種の温血動物由来のA-βに対するナノ抗体及びポリペプチドは、1つ以上の他の種の温血動物由来のA-βとの交叉反応を示すことも示さないこともある。例えば、ヒトA-βに対するナノ抗体及びポリペプチドは、1つ以上の他の種の霊長類由来のA-β及び/又は疾患用動物モデルで多く使用される動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ又はイヌ)の1つ以上の種、特にA-β関連の疾患及び障害用の動物モデルの種(例えば、本明細書で述べる種及び動物モデル)由来のA-βとの交叉反応を示すことも示さないこともあろう。この点に関して、当業者には、このような交叉反応が存在する場合、該交叉反応は該疾患モデルでヒトA-βに対するナノ抗体及びポリペプチドを試験するのを可能にするので、薬物開発の観点から利益を有するだろう。
さらに一般的に、ある種の動物由来のA-βに対するナノ抗体及びポリペプチド(例えばヒトA-βに対するナノ抗体及びポリペプチド)を別の種の動物の治療で使用することも、そのナノ抗体及び/又はポリペプチドの使用が治療すべき該種で所望効果を与える限り、本発明の範囲に包含される。
A-βはAPPの切断によってin vivo形成されるので、本発明のナノ抗体及びポリペプチドはAPPに、又はその特異的部分若しくはエピトープにも結合しうることにも留意すべきである。例えば、A-βのN-末端エピトープ又は中央領域に対する従来の抗体はAPPにも結合することが技術的に報告されている(この場合もやはりWekslerによる総説及びそこで引用されている参考文献を参照されたい)。さらに、A-βのC-末端領域に対する従来の抗体はAPPに結合できないと報告されているが、C-末端エピトープに対する本発明のナノ抗体及びポリペプチドはそのより小さいサイズとその“キャビティ結合”特性のため、APPにも結合できることを排除すべきでない。
従って、本発明の最も広い意味では、本発明は、いずれの特有の機序の本発明のナノ抗体及びポリペプチドの作用又は標的にも限定されない。特に、本発明のナノ抗体及びポリペプチドは、A-β若しくはAPP又はその両者に結合することによって、その所望の予防及び/又は治療作用を提供することが本発明の範囲に包含される。例えば、本発明のナノ抗体及びポリペプチドが(また若しくはさらに)APPの切断の量及び/又は速度を減少させることによって、A-βの形成を減少させることを本発明の範囲から排除すべきでない。
一般的に、本発明のナノ抗体及びポリペプチドは、当業者に明らかなように、少なくとも生物学的及び/又は治療的観点から最も適切な当該形態(モノマー、マルチマー及び会合形態を含む)に結合するだろう。
本発明のナノ抗体及びポリペプチドの部分、フラグメント、類似体、変異体、変種、対立遺伝子及び/又は誘導体を使用すること、及び/又はそれらを含むか若しくは本質的にそれらから成るタンパク質又はポリペプチドを使用することも、これらが本明細書で想定される用途に適する限り、本発明の範囲内である。本明細書のさらなる説明において、このような部分、フラグメント、類似体、変異体、変種、対立遺伝子、誘導体、タンパク質及び/又はポリペプチドについて述べる。
a)A-βに対する少なくとも1つのVHHドメインを、
一般的に以下の工程:(i)ラクダ科に属する哺乳動物をA-β又はその一部若しくはフラグメントで免疫して、A-βに対する免疫反応を生じさせ、及び/又は抗体(特に重鎖抗体)を産生させる工程;(ii)このようにして免疫した哺乳動物から生物学的サンプルを得る工程(ここで、前記サンプルは重鎖抗体を含み、及び/又はA-βに対するVHH配列を含む);及び(iii)前記生物学的サンプルから、A-βに対する重鎖抗体配列及び/又はVHH配列を得る工程を含む方法によって、
及び/又は、
一般的に以下の工程:(i)A-βに対する、又はA-βの少なくとも1つの部分若しくはフラグメントに対する重鎖抗体配列及び/又はVHH配列について、重鎖抗体配列及び/又はVHH配列を含むライブラリーをスクリーニングする工程;及び(ii)前記ライブラリーから、A-βに対する重鎖抗体配列及び/又はVHH配列を得る(すなわち単離する)工程を含む方法によって、
供給する工程;
b)場合により、このようにして得られた、A-βに対する重鎖抗体配列及び/又はVHH配列を親和性成熟、変異導入(例えば、ランダム変異導入又は部位特異的変異導入)及び/又はA-βの重鎖抗体配列及び/又はVHH配列の親和性及び/又は特異性を増大させる他の技術に供する工程;
c)このようにして得られた、A-βに対する重鎖抗体配列及び/又はVHH配列の、CDRの配列を決定する工程;及び場合により、
d) CDRの少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、さらに好ましくは全3種のCDR(すなわちCDR1、CDR2及びCDR3、特に少なくともCDR3)が工程c)で決定された配列を有するナノ抗体を供給する工程。
通常、工程d)では、本発明のナノ抗体に存在するすべてのCDR配列は、同じ重鎖抗体又はVHH配列から誘導されるだろう。しかし、最も広い意味の本発明はそれに限定されない。例えば本発明のナノ抗体において、A-βに対する2若しくは3種の異なる重鎖抗体又はVHH配列由来のCDRを適宜併用し、及び/又は本発明のナノ抗体において、異なる起源由来の1種以上のCDR(例えば合成CDR又はヒト抗体若しくはVHドメイン由来のCDR)から誘導された1種以上のCDRを有する重鎖抗体又はVHH配列(特に少なくともCDR3)由来の1種以上のCDRを適宜併用することも可能である(多くの場合好ましくないが)。
i)CDR1が、以下の配列:
GGTFSSVGMG[配列番号37]
GFTFSNYGMI[配列番号38]
GGTFSSIGMG[配列番号39]
GFTFSNYWMY[配列番号40]
GFTLSSITMT[配列番号41]
GRTFSIYNMG[配列番号42]
GRTFTSYNMG[配列番号43]
GFTFSNYWMY[配列番号44]
GGTFSSIGMG[配列番号45]
GGIYRVNTVN[配列番号46]
GFTFSNYWMY[配列番号47]
GFTLSSITMT[配列番号48]
から成る群、
又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるアミノ酸配列であり;
及び/又は
ii)CDR2が、以下の配列:
AISRSGDSTYYAGSVKG[配列番号49]
GISDGGRSTSYADSVKG[配列番号50]
AISRSGDSTYYADSVKG[配列番号51]
TISPRAAVTYYADSVKG[配列番号52]
TINSGGDSTTYADSVKG[配列番号53]
TITRSGGSTYYADSVKG[配列番号54]
TISRSGGSTYYADSVKG[配列番号55]
TISPRAGSTYYADSVKG[配列番号56]
AISRSGDSTYYADSVKG[配列番号57]
TITRAGSTNYVESVKG[配列番号58]
TISPRAANTYYADSVKG[配列番号59]
TINSGGDSTTYADSVKG[配列番号60]
から成る群、又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は、
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるアミノ酸配列であり;
及び/又は
iii)CDR3が、以下の配列:
RPAGTPINIRRAYNY[配列番号61]
AYGRGTYDY[配列番号62]
RPAGTAINIRRSYNY[配列番号63]
SLKYWHRPQSSDFAS[配列番号64]
GTYYSRAYYR[配列番号65]
ARIGAAVNIPSEYDS[配列番号66]
RPAGTPINIRRAYNY[配列番号67]
SLIYKARPQSSDFVS[配列番号68]
RPAGTAINIRRSYNY[配列番号69]
NGRWRSWSSQRDY[配列番号70]
SLRYRDRPQSSDFLF[配列番号71]
GTYYSRAYYR[配列番号72]
から成る群、又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるアミノ酸配列である、ナノ抗体に関する。
特に、本発明のナノ抗体では、存在する少なくともCDR3配列は、表A-1に列挙されるCDR3配列から成る群、又は表A-1に列挙されるCDR3配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列の群;及び/又は表A-1に列挙されるCDR3配列の少なくとも1つと3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するCDR3配列から成る群より選択される。
好ましくは、本発明のナノ抗体では、存在するCDR1、CDR2及びCDR3配列の少なくとも2つは、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列から成る群、又はそれぞれ表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1、CDR2及びCDR3配列から成る群;及び/又はそれぞれ、表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列の少なくとも1つと3、2又は1つだけ“アミノ酸の相違”を有するそれぞれCDR1、CDR2及びCDR3配列から成る群より選択される。
特に、本発明のナノ抗体では、存在する少なくともCDR3配列は、表A-1に列挙されるCDR3配列から成る群、又は表A-1にそれぞれ列挙されるCDR3配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列の群から選択され;かつ、存在するCDR1及びCDR2配列の少なくとも1つは、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列から成る群、又はそれぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1及びCDR2配列の群;及び/又はそれぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列の少なくとも1つと3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するそれぞれCDR1及びCDR2配列からなる群より選択される。
なおさらに好ましくは、本発明のナノ抗体では、存在するCDR1、CDR2及びCDR3の少なくとも1つは、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列から成る群より選択される。好ましくは、この実施態様では、他の2つのCDR配列の少なくとも1つ、好ましくは両方が、A-1に列挙されるそれぞれ対応するCDR配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列;及び/又はA-1に列挙されるそれぞれ対応する配列の少なくとも1つと3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するCDR配列から成る群より選択される。
特に、本発明のナノ抗体では、存在する少なくともCDR3配列は、表A-1に列挙されるCDR3から成る群より選択される。好ましくは、この実施態様では、存在するCDR1及びCDR2配列の少なくとも一方、好ましくは両方とも、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1及びCDR2配列の群及び/又はそれぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列の少なくとも1つと3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するそれぞれCDR1及びCDR2配列から成る群より選択される。
特に、本発明のナノ抗体では、少なくともCDR3配列は、表A-1に列挙されるCDR3配列から成る群より選択され、かつCDR1配列又はCDR2配列のどちらかは、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1及びCDR2配列から成る群より選択される。好ましくは、この実施態様では、存在する残りのCDR配列は、表A-1に列挙される対応するCDR配列の少なくとも1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群;及び/又は表A-1に列挙される対応するCDR配列配列と3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するCDR配列から成る群より選択される。
なおさらに好ましくは、本発明のナノ抗体では、存在する3つすべてのCDR1、CDR2及びCDR3が、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列から成る群より選択される。
従って、非限定例により、本発明のナノ抗体は、例えば、表A-1に示される1つのCDR1と80%より高い配列同一性を有するCDR1配列と、表A-1に示される1つのCDR2配列と3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有する(が異なる組合せに属する)CDR2配列、および、CDR3配列を含むことができる。
いくつかの特に好ましい本発明のナノ抗体は、例えば以下の配列を含み得る:(1)表A-1に示されるCDR1配列の1つと80%より高い配列同一性を有するCDR1配列;その同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR2配列と3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するCDR2配列;及びその同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR3配列と80%より高い配列同一性を有するCDR3配列;(2)CDR1配列;表A-1に示されるCDR2配列及び表A-1に示されるCDR3配列(このとき、該CDR2配列とCDR3は、異なる組合せに属してよい)を。
本発明のいくつかのなおさらに好ましいナノ抗体は、例えば以下の配列を含み得る:(1)表A-1に示される1つのCDR1配列と80%より高い配列同一性を有するCDR1配列;その同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR2配列;及び異なる組合せに属する、表A-1に示されるCDR3配列;又は(2)表A-1に示されるCDR1配列;その同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR2配列と3、2又は1つだけアミノ酸の相違を有するCDR2配列;及び同じ/異なる組合せに属する、表A-1に示されるCDR3配列と80%より高い配列同一性を有するCDR3配列を含みうる。
本発明の特に好ましいナノ抗体は、例えば表A-1に示されるCDR1配列、その同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR2配列と80%より高い配列同一性を有するCDR2配列;及びその同じ組合せに属する、表A-1に示されるCDR3配列を含みうる。
本発明のナノ抗体で最も好ましくは、存在するCDR1、CDR2及びCDR3配列は、それぞれ表A-1に列挙されるCDR1、CDR2及びCDR3配列の1つの組合せから選択される。
i)いずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、表A-1に列挙されるCDR配列と比較して、好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない。
本発明の限定でないが好ましい実施態様により、本発明のナノ抗体中のCDR配列は上で規定したとおりであり、かつ本発明のナノ抗体が10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットルの解離定数(KD)及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012 M-1の結合親和性及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10nM、例えば500pM未満の親和性でA-βに結合するようなものである。例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、それ自体既知のやり方で本発明のナノ抗体の親和性を決定することができる。
上記CDR配列を有するナノ抗体は、好ましくはフレームワーク配列(本明細書でさらに定義するとおり)を有する。
別の局面では、本発明は、配列番号73〜105から成る群、又は配列番号73〜105の1つ以上のアミノ酸配列と80%より高い、好ましくは90%より高い、さらに好ましくは95%より高い、例えば99%以上の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するナノ抗体に関する。
特定の、しかし限定でない実施態様によれば、本明細書でさらに述べるように、後者のアミノ酸配列は“ヒト化”されている。該ヒト化ナノ抗体のいくつかの限定でないが好ましい例を配列番号85〜105に示す。
本発明では、配列番号80〜84のナノ抗体及びそのヒト化変種が特に好ましい。
本発明のポリペプチドは、本発明の少なくとも1つのナノ抗体を含むか、又は本質的に該ナノ抗体から成る。
一般的に、単一のナノ抗体(例えば本発明の単一のナノ抗体)を含むか又は本質的に該単一のナノ抗体から成るタンパク質又はポリペプチドは、本明細書では“一価”タンパク質又はポリペプチド或いは“一価構築物”と呼ばれる。2つ以上のナノ抗体(例えば、本発明の少なくとも2つのナノ抗体又は本発明の少なくとも1つのナノ抗体と少なくとも1つの他のナノ抗体)を含むか又は本質的に該2つ以上のナノ抗体から成るタンパク質及びポリペプチドは、本明細書では“多価”タンパク質又はポリペプチド或いは“多価構築物”と呼ばれ、これらは、本発明の対応する一価のナノ抗体と比較して特定の利益を提供しうる。このような多価構築物のいくつかの非限定例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
さらに別の特定の、しかし限定でない実施態様によれば、本発明のポリペプチドは少なくとも1つの本発明のナノ抗体(場合により1つ以上のさらなるナノ抗体を含んでよい)と、前記本発明のナノ抗体及び/又は生じる融合タンパク質に少なくとも1つの所望特性を与える少なくとも1つの他のアミノ酸配列(例えばタンパク質又はポリペプチド)を含み、或いは本質的に本発明のポリペプチドは少なくとも1つの本発明のナノ抗体(場合により、1つ以上のさらなるナノ抗体を含んでよい)と、前記本発明のナノ抗体及び/又は生じる融合タンパク質に少なくとも1つの所望特性を与える少なくとも1つの他のアミノ酸配列(例えばタンパク質又はポリペプチド)から成る。この場合もやはり、このような融合タンパク質は、本発明の対応する一価ナノ抗体と比較して特定の利益を提供しうる。このようなアミノ酸配列及びこのような融合構築物のいくつかの非限定的な例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
2つ以上の上記実施態様を組み合わせて、例えば本発明の2つのナノ抗体と、1つの他のナノ抗体を含み、場合により1つ以上の他のアミノ酸を含んでもよい三価の二重特異性構築物を提供することも可能である。このような構築物、及び本発明の文脈で特に好ましいいくつかの構築物のさらなる非限定例は、本明細書のさらなる説明から明らかになるだろう。
上記構築物では、1つ以上のナノ抗体及び/又は他のアミノ酸配列は、直接連結していてよく、或いは1つ以上のリンカー配列を介して連結していてもよい。このようなリンカーのいくつかの好適であるが非限定的な例は、本明細書のさらなる説明から明らかになるだろう。
本発明の別の好ましい実施態様では、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドのin vivo半減期を増やす1つ以上(例えば2つ好ましくは1つ)のアミノ酸配列に連結した(場合により1つ以上の適切なリンカー配列を介してよい)1つ以上(例えば2つ好ましくは1つ)の本発明のナノ抗体を含む。特に、前記本発明のポリペプチドのin vivo半減期を増やすアミノ酸配列は、1つ以上(例えば2つ好ましくは1つ)のナノ抗体、特にヒト血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに対するナノ抗体でよく、配列番号110〜116はそのいくつかの非限定例であり、PMP6A6(“ALB-1”、配列番号34)、ALB-8(AlB-1のヒト化変形、配列番号35)及びPMP6A8(“ALB-2”、配列番号36)は、好ましい非限定的な例である。
非限定的な好ましい本発明の実施態様によれば、本発明のポリペプチドは、好ましくは、それらが10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットルの解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10 nM未満、例えば500pMの親和性でA-βに結合するようなポリペプチドである。例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、それ自体既知のやり方で、A-βに対する本発明のポリペプチドの親和性を決定することができる。
−配列番号151〜166は、本発明の多価(特に二価)ポリペプチドのいくつかの例であり;
−配列番号117〜150及び配列番号167〜174は、1又は2つの本発明のナノ抗体と、(それぞれヒト又はマウス)血清アルブミンに対するナノ抗体とを含む本発明の二重特異性ポリペプチドのいくつかの例であり;
−配列番号175〜178は、1又は2つの本発明のナノ抗体と、本発明のポリペプチドが血液脳関門を通過できるようにするナノ抗体とを含む本発明の二重特異性ポリペプチドのいくつかの例であり;かつ
−配列番号179〜184は、1又は2つの本発明のナノ抗体と、ヒト血清アルブミンに対するナノ抗体と、本発明のポリペプチドが血液脳関門を通過できるようにするナノ抗体とを含む本発明の三重特異性ポリペプチドのいくつかの例である。
本発明の他のポリペプチドは、例えば配列番号117〜184の1つ以上のアミノ酸配列と80%より高い、好ましくは90%より高い、さらに好ましくは95%より高い、例えば99%以上の“配列同一性”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群より選択され、前記アミノ酸配列内に含まれるナノ抗体は、好ましくは本明細書の定義によるである。
別の局面では、本発明は、本発明のナノ抗体及び/又は本発明のポリペプチドを発現しているか又は発現可能であり、及び/又は本発明の核酸を含有する宿主又は宿主細胞に関する。このような宿主又は宿主細胞のいくつかの非限定的な好ましい例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明のナノ抗体、少なくとも1つの本発明の核酸、及び/又は少なくとも1つの本発明のポリペプチドを含有する製品又は組成物に関し、場合により、すなわち前記組成物の意図した用途によって、該組成物はそれ自体既知の1つ以上のさらなる成分を含んでもよい。このような製品又は組成物は、例えば、医薬組成物(本明細書の定義による)、獣医学組成物又は診断用の製品若しくは組成物(これも本明細書で述べるとおり)でよい。このような製品又は組成物のいくつかの好ましいが限定でない例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
本発明は、さらに、本明細書で述べるナノ抗体、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、製品及び組成物の調製又は製造方法に関する。このような方法のいくつかの好ましいが限定でない例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
本発明は、さらに、本明細書で述べるナノ抗体、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、製品及び組成物の用途及び使用、並びにA-βと関連する疾患及び障害の予防及び/又は治療方法に関する。このような用途及び使用のいくつかの好ましいが限定でない例は、本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
他の局面、実施態様、利点及び用途も本明細書のさらなる説明で明らかになるだろう。
本発明の上記局面及び他の局面、実施態様並びに利点は、以下のさらなる説明から明らかになるだろう。ここで、
a)特に示し又は定義しない限り、使用するすべての用語は当業者にとって明白な技術的に普通の意味を有する。例えば、以下に示す標準ハンドブック:Sambrook et al, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual” ( 2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); F. Ausubel et al, eds., “Current protocols in molecular biology”, Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987); Lewin, “Genes II”, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985); Old et al., “Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering”, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981); Roitt et al., “Immunology” (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001); Roitt et al., Roitt’s Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001); and Janeway et al., “Immunobiology” (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York (2005)、並びに本明細書で引用した一般的な背景技術を参照されたい。
b)別に示さない限り、用語“免疫グロブリン配列”は、−本明細書において重鎖抗体を指して使用するか、又は通常の4-鎖抗体を指して使用するかいずれにしても−完全サイズの抗体、その個々の鎖、並びにそのすべての部分、ドメイン又はフラグメント(限定するものではないが、抗原結合ドメイン又はフラグメント、例えばそれぞれVHHドメイン又はVH/VLドメインが挙げられる)の両方を含む一般用語として使用される。さらに、本明細書では、用語“配列”(例えば、“免疫グロブリン配列”、“抗体配列”、“可変ドメイン配列”、“VHH配列”又は“タンパク質配列”のような用語で)は、その文脈がより限定した解釈を要しない限り、通常、関連するアミノ酸配列のみならず、該アミノ酸をコードする核酸配列又はヌクレオチド配列の両方を包含するものと解釈され;
c)別に示さない限り、当業者には明白なように、それ自体既知のやり方で、具体的に詳述しないすべての方法、工程、技術及び操作を行うことができ、かつそのように行った。この場合もやはり、例えば、本明細書で言及した標準ハンドブック及び一般的な背景技術並びにそこで引用したさらなる参考文献を参照されたい;
d)下の表A-2に列挙するように、標準的な三文字又は一文字アミノ酸コードによってアミノ酸残基を示す。
或いは、NCBI Blast v2.0のような配列アラインメント用の既知のコンピューターアルゴリズムを用いて、標準的な設定で、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の度合程度を計算することができる。
配列同一性の度合を決定するためのいくつかの他の技術、コンピューターアルゴリズム及び設定は、例えば、WO 04/037999、EP 0 967 284、EP 1 085 089、WO 00/55318、WO 00/78972、WO 98/49185及びGB 2 357 768-Aに記載されている。
通常、上で概要を述べた計算方法に従って2つのヌクレオチド配列間の“配列同一性”のパーセンテージを決定する目的のため、最も数の多いヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を“第1” のヌクレオチド配列とし、他方のヌクレオチド配列を“第2” のヌクレオチド配列とするだろう;
或いは、ヌクレオチド配列の配列同一性の度合を決定するための上述したもののような既知のコンピューターアルゴリズムを用い、この場合もやはり標準的な設定を用いて、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の度合を計算することができる。
通常、上で概要を述べた計算方法に従って2つのアミノ酸配列間の“配列同一性”のパーセンテージを決定する目的では、最も数の多いアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を“第1” のアミノ酸配列とし、他方のアミノ酸配列を“第2” のアミノ酸配列とするだろう。
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の決定において、当業者は、一般的に、アミノ酸残基が、同様の化学構造の別のアミノ酸残基と置き換わり、該ポリペプチドの機能、活性若しくは他の生物学的特性にほとんど又は本質的に影響を及ぼさない、アミノ酸置換と述べうる、いわゆる“保存的”アミノ酸置換を考慮するだろう。このような保存的アミノ酸置換は、例えば、WO 04/037999、GB-A-2 357 768、WO 98/49185、WO 00/46383及びWO 01/09300から技術上周知であり;また、WO 04/037999及びWO 98/49185並びにそこで引用されているさらなる参考文献の関連する教示に基づいて、該置換の(好ましい)タイプ及び/又は組合せを選択することができる。
特に好ましい保存的置換は以下のとおり:Ala→Gly又は→Ser;Arg→Lys;Asn→Gln又は→His;Asp→Glu;Cys→Ser;Gln→Asn;Glu→Asp;Gly→Ala又は→Pro;His→Asn又は→Gln;Ile→Leu又は→Val;Leu→Ile又は→Val;Lys→Arg、→Gln又は→Glu;Met→Leu、Tyr又は→Ile;Phe→Met、→Leu又は→Tyr;Ser→Thr;Thr→Ser;Trp→Tyr;Tyr→Trp;及び/又はPhe→Val、→Ile又は→Leu。
本明細書で述べるポリペプチドに適用されるいずれのアミノ酸置換も、Schulz et al., Principles of Protein Structure, Springer-Verlag, 1978によって開発された異なる種の相同性タンパク質間のアミノ酸変異の頻度の解析、Chou and Fasman, Biochemistry 13: 211, 1974 and Adv. Enzymol., 47: 45-149, 1978によって開発された構造形成ポテンシャルの解析、及びEisenberg et al., Proc. Nad. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984; Kyte & Doolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 198 1, and Goldman et al., Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質の疎水性パターンの解析にも基づいているだろう(上記文献は参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)。ナノ抗体の一次、二次及び三次構造に関する情報は、本明細書の説明及び上で引用した一般的な背景技術で与えられる。また、この目的のため、例えば、ラマ由来のVHHドメインの結晶構造が、Desmyter et al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803 (1996); Spinelli et al., Natural Structural Biology (1996); 3, 752-757;及びDecanniere et al., Structure, Vol. 7, 4, 361 (1999)によって与えられる。通常のVHドメインがVH/VL界面とその位置で強力なラクダ化(camelizing)置換を形成するいくつかのアミノ酸残基についてのさらなる情報;
h)2つのアミノ酸配列を比較する場合、用語“アミノ酸の相違”は、第1の配列の位置における単一アミノ酸配列の第2の配列と比較した挿入、欠失又は置換を指し;該2つのアミノ酸配列が1、2又はそれより多くのこのようなアミノ酸の相違を含みうるものと解釈し;
i)核酸配列又はアミノ酸配列は、例えば、その天然の生物学的起源及び/又はそれを得た反応媒体若しくは培養媒体と比較して、核酸配列又はアミノ酸配列が通常前記起源又は媒体と関連する少なくとも1つの他の成分、例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分若しくは巨大分子又は少なくとも1つの夾雑物、不純物若しくは微量成分から分離されている場合、“本質的に単離された(形態)”であるとみなされる。特に、核酸配列又はアミノ酸配列は、核酸配列又はアミノ酸配列が少なくとも2倍、特に少なくとも10倍、さらに特に少なくとも100倍、1000倍以上まで精製されているとき、“本質的に単離”されているとみなされる。“本質的に単離された形態の”核酸配列又はアミノ酸配列は、好ましくは適切な方法、例えば適切なクロマトグラフ法、例えばポリアクリルアミド-ゲル電気泳動法を用いて決定した場合、本質的に均一であり;
j)本明細書では、用語“ドメイン”は、一般的に抗体鎖の球状領域、特に重鎖抗体の球状領域、又は本質的に該球状領域から成るポリペプチドを指す。通常、このようなドメインは、例えば、シートとして又はジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループ(例えば3又は4個のペプチドループ)を含むだろう。
l)特有の抗原決定基、エピトープ、抗原若しくはタンパク質(又は少なくともその一部、フラグメント若しくはエピトープ)に結合でき、それらに対する親和性を有し、及び/又はそれらに対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば本発明のナノ抗体、抗体、ポリペプチド、又は一般的に、抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド又はそのフラグメント)は、前記抗原決定基、エピトープ、抗原若しくはタンパク質“に対する”又は“に向けられている”と言われる。
o)この場合も本明細書でさらに述べるように、ナノ抗体のアミノ酸残基の総数は110〜120の範囲内でよく、好ましくは112〜115、最も好ましくは113である。しかし、ナノ抗体の部分、フラグメント、類似体又は誘導体(本明細書でさらに述べるように)は、該部分、フラグメント、類似体又は誘導体が本明細書で概要を述べるさらなる要求を満たし、また好ましくは本明細書で述べる目的に適する限り、その長さ及び/又は大きさについて特に限定されず;
類似の様式でラクダ科由来のVHHドメイン及びナノ抗体にも適用できる、VHHドメインのアミノ酸残基をナンバリングする代替方法は、Chothiaらによって記載されている方法(Nature 342, 877-883 (1989))、いわゆる“AbM定義”及びいわゆる“接触定義”である。しかし、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、別に示さない限り、Riechmann及びMuyldermansによってVHHドメインに適用したKabatのナンバリングに従い;かつ
q)図面、配列表及び実験部分/実施例は、本発明をさらに説明するためだけに与えたものであり、本明細書で明白に別に示さない限り、いかなる場合にも本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものと判断又は解釈すべきでない。
Hamers-Casterman et al., Nature 1993 June 3; 363 (6428): 446-8; Davies and Riechmann, FEBS Lett. 1994 Feb 21; 339(3): 285-90; Muyldermans et al., Protein Eng. 1994 Sep; 7(9): 1129-3; Davies and Riechmann, Biotechnology (NY) 1995 May; 13(5): 475-9; Gharoudi et al., 9th Forum of Applied Biotechnology, Med. Fac. Landbouw Univ. Gent. 1995; 60/4a part I: 2097-2100; Davies and Riechmann, Protein Eng. 1996 Jun; 9(6): 531-7; Desmyter et al., Nat Struct Biol. 1996 Sep; 3(9): 803-11; Sheriff et al., Nat Struct Biol. 1996 Sep; 3(9): 733-6; Spinelli et al., Nat Struct Biol. 1996 Sep; 3(9): 752-7; Arbabi Ghahroudi et al., FEBS Lett. 1997 Sep 15; 414(3): 521-6; Vu et al., Mol Immunol. 1997 Nov-Dec; 34(16-17): 1121-31; Atarhouch et al., Journal of Camel Practice and Research 1997; 4: 177-182; Nguyen et al., J. Mol. 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上で参照した先行技術で述べられているように、VHHドメインはいくつかのユニークな構造的特徴と機能的特性を有し、これにより単離VHHドメイン(及び前記天然に存在するVHHドメインとこれら構造的特徴と機能的特性を共有する、前記単離VHHドメインに基づいたナノ抗体)および前記ドメインを含むタンパク質は、機能的な抗原結合ドメイン又はタンパク質として使うために非常に有利になる。特に、限定ではないが、VHHドメイン(軽鎖可変ドメインの非存在下、かつ軽鎖可変ドメインといかなる相互作用もなく、抗原に機能的に結合するように自然に“設計”されている)及びナノ抗体は、単一の比較的小さい機能的な抗原結合構造単位、ドメイン又はタンパク質として作用しうる。このことにより、VHHドメインは、一般的にそれ自体は単一の抗原結合タンパク質又はドメインとして実用用途に適合していないが、(例えばFabフラグメントのような通常の抗体フラグメントやVLドメインに共有結合しているVHドメインから成るScFvにおけるように)機能的な抗原結合単位を与えるために何らかの形態又は別の形態で結合される必要がある、通常の4-鎖抗体のVHドメイン及びVLドメインと区別される。
−高い親和性と高い選択性で抗原と結合するために単一のドメインのみを必要とするので、2つの別個のドメインが存在する必要がなく、これら2つのドメインが正しい空間的コンホメーションとコンフィギュレーションで存在することを保証する必要がない;
−単一の遺伝子からVHHドメイン及びナノ抗体を発現させることができ、翻訳後フォールディング又は修飾は必要ない;
−容易にVHHドメイン及びナノ抗体を操作して多価及び多重特異性形態にすることができる(本明細書でさらに議論するように);
−VHHドメイン及びナノ抗体は高度に可溶性であり、かつ凝集する傾向がない(Ward et al., Nature, Vol.341, 1989, p. 544に記載されている“マウス誘導抗原結合ドメイン”とのように);
−VHHドメイン及びナノ抗体は、熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は条件に対して非常に安定している(例えば、前出のEwertらの文献を参照されたい);
−VHHドメイン及びナノ抗体は、製造に必要な規模でさえ、調製しやすく、かつ比較的安価である。例えば、VHHドメイン、ナノ抗体及びそれらを含有するタンパク質/ポリペプチドは、微生物の発酵(例えば、以下にさらに述べるような)を用いて製造され、かつ例えば通常の抗体フラグメントの場合のように、哺乳動物発現系の使用を必要としない;
−VHHドメイン及びナノ抗体は、通常の4-鎖抗体及びその抗原結合フラグメントと比較してかなり小さいので(約15kDa、又は通常のIgGより10倍小さい)、このような通常の4-鎖抗体及びその抗原結合フラグメントより、組織(限定するものではないが、固体腫瘍又は他の高密度組織を含む)への高い浸透性を示す;
−VHHドメイン及びナノ抗体は、いわゆるキャビティ-結合特性(とりわけ、通常のVHドメインと比較して拡張されたそのCDR3ループのため)を示すことができ、ひいては通常の4-鎖抗体及びその抗原結合フラグメントにアクセスできない標的及びエピトープにもアクセスできる。例えば、VHHドメイン及びナノ抗体は酵素を阻害できることが分かっている(例えばWO 97/49805;Transue et al.,(1998)(前出);及びLauwereys et al., (1998)(前出)を参照されたい)。
また、本明細書でさらに述べるように、本発明は、さらに、前記ナノ抗体及びポリペプチドをコードする核酸、前記ナノ抗体及びポリペプチドの製造方法、前記ナノ抗体若しくはポリペプチドを発現しているか又は発現できる宿主細胞、前記ナノ抗体、ポリペプチド、核酸又は宿主細胞を含む組成物、並びに前記ナノ抗体、ポリペプチド、核酸、宿主細胞又は組成物の使用に関する。
或いは、A-βに対するこのような天然に存在するVHHドメインは、ラクダ科動物VHH配列の未感作ライブラリーから、例えば、A-β又は少なくともその一部、フラグメント、抗原決定基若しくはエピトープを用いて、それ自体既知の1種以上のスクリーニング技術で該ライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。このようなライブラリー及び技術は、例えばWO 99/37681、WO 01/90190、WO 03/025020及びWO 03/035694に記載されている。或いは、未感作VHHライブラリーから誘導される改良された合成若しくは半合成ライブラリー、例えばWO 00/43507に記載されているようなランダム変異導入及び/又はCDRシャッフリングのような技術で未感作VHHライブラリーから得られたVHHライブラリーを使用することができる。
A-βに対するVHH配列を得るさらに別の技術は、重鎖抗体を発現することができるトランスジェニック哺乳動物を適切に免疫し(すなわち、A-βに対する免疫反応及び/又は重鎖抗体が生じるように)、前記トランスジェニック哺乳動物から適切な生物学的サンプル(例えば血液サンプル、血清サンプル又はB-細胞のサンプル)を得てから、それ自体既知のいずれかの適切な技術を用いて、前記サンプルから出発してA-βに対するVHH配列を生成することを含む。例えば、この目的では、WO 02/085945及びWO 04/049794に記載されている重鎖抗体-発現マウス及びさらなる方法と技術を使用することができる。
(a)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQである);
及び/又は:
(b)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は荷電アミノ酸(本明細書の定義による)又はシステイン残基であり、かつ位置44は好ましくはEである);
及び/又は:
(c)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され、特にR及びSから成る群より選択される)。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、かつ
(a)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQであり;
及び/又は:
(b)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は荷電アミノ酸又はシステインであり、かつKabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は好ましくはEであり;
及び/又は:
(c)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され、特にR及びSから成る群より選択され;
及び/又は:
(d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義によるである。
(a)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQである);
及び/又は:
(b)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基はEであり、かつKabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基はRである);
及び/又は:
(c)3つの相補性決定領域/配列で中断されている4つのフレームワーク領域/配列で構成されるアミノ酸配列(ここで、Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され、特にR及びSから成る群より選択される)。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、かつ
(e)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQであり;
及び/又は:
(f)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基はEであり、かつKabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基はRであり;
及び/又は:
(g)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され、特にR及びSから成る群より選択され;
及び/又は:
(h)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義により、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、かつ
(a)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQであり;
及び/又は:
(b)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基はEであり、かつKabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基はRであり;
及び/又は:
(c)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され、特にR及びSから成る群より選択され;
及び/又は:
(d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義により、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様で定義したとおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
(a-1)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、A、G、E、 D、G、Q、R、S、Lから成る群より選択され;好ましくはG、Eから成る群又はQより選択され;かつ
(a-2)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は、L、Rから成る群又はCより選択され;好ましくはL又はRから成る群より選択され;かつ
(a-3)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、W、Rから成る群又はSより選択され;好ましくはW又はR、最も好ましくはWであり;
(a-4)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQであり;
或いは:
(b-1)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、E及びQから成る群より選択され ;かつ
(b-2)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基はRであり;かつ
(b-3)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群より選択され;好ましくはWであり;
(b-4)Kabatナンバリングによる位置108は、Q及びLから成る群より選択され;好ましくはQ であり;
或いは:
(c-1)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群より選択され;好ましくはG、E及びQから成る群より選択され;かつ
(c-2)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群より選択され;好ましくはL及びRから成る群より選択され;かつ
(c-3)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群より選択され;特にR及びSから成る群より選択され;かつ
(c-4)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基は、Q及びLから成る群より選択され;好ましくはQであり;
かつ
(d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、A、G、E、 D、G、Q、R、S、Lから成る群より選択され;好ましくはG、Eから成る群又はQより選択され;
及び:
(b)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は、L、Rから成る群又はCより選択され;好ましくはL及びRから成る群より選択され;
及び:
(c)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、W、Rから成る群又はSより選択され;好ましくはW又はRであり、さらに好ましくはWであり;
及び:
(d)Kabatナンバリングによる位置108はQであり;
及び:
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、E及びQから成る群より選択され; 及び:
(b)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基はRであり;
及び:
(c)Kabatナンバリングによる位置103のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群より選択され;好ましくはWであり;
及び:
(d)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基はQであり;
及び:
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様で定義されるとおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)Kabatナンバリングによる位置44のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群より選択され;好ましくはG、E及びQから成る群より選択され;
及び:
(b)Kabatナンバリングによる位置45のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群より選択され;好ましくはL及びRから成る群より選択され;
及び:
(c)Kabatナンバリングによる位置103は、P、R及びSから成る群より選択され;特にR及びSから成る群より選択され;
及び;
(d)Kabatナンバリングによる位置108のアミノ酸残基は、Q及びLから成る群より選択され;好ましくはQであり;
及び:
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
a)Kabatナンバリングによる位置44〜47のアミノ酸残基はGLEW(又は本明細書で定義されるGLEW様配列)を形成し、位置108のアミノ酸残基はQであり;
或いは:
b)Kabatナンバリングによる位置43〜46のアミノ酸残基は配列KERE又はKQRE(又はKERE様配列)を形成し、位置108のアミノ酸残基はQ又はL、好ましくはQである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)Kabatナンバリングによる位置44〜47のアミノ酸残基は配列GLEW(又は本明細書で定義されるGLEW-様配列)を形成し、位置108のアミノ酸残基はQであり;
及び:
(b)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)Kabatナンバリングによる位置43〜46のアミノ酸残基は、配列KERE又はKQRE(又はKERE様配列)を形成し、位置108のアミノ酸残基はQ又はL、好ましくはQであり;
及び:
(b)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
Kabatナンバリングによる位置43〜46のアミノ酸残基が配列KERE又はKQREを形成している本発明のナノ抗体では、位置37のアミノ酸残基はFが最も好ましい。Kabatナンバリングによる位置44〜47のアミノ酸残基が配列GLEWを形成している本発明のナノ抗体では、位置37のアミノ酸残基は、Y、H、I、L、Vから成る群又はFより選択され、最も好ましくはFである。
a)“GLEW群”:Kabatナンバリングによる位置44〜47にアミノ酸配列GLEWがあり、Kabatナンバリングによる位置108にQがあるナノ抗体。本明細書でさらに述べるように、この群内のナノ抗体は、通常、位置37にVを有し、位置103にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは位置103にWを有する。このGLEW群は、いくつかのGLEW様配列、例えば下の表A-3に示されるGLEW様配列をも含む;
b)“KERE-群”:Kabatナンバリングによる位置43〜46に配列KERE又はKQREがあり、かつKabatナンバリングによる位置108にQ又はLがあるナノ抗体。本明細書でさらに述べるように、この群内のナノ抗体は、通常、位置37にF、位置47にL又はFを有し;かつ位置103にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは位置103にWを有する;
c)“103 P, R, S-群”:位置103にP、R又はSがあるナノ抗体。これらナノ抗体は、Kabatナンバリングによる位置44〜47にアミノ酸配列GLEWを有するか又はKabatナンバリングによる位置43〜46にアミノ酸配列KERE若しくはKQREを有することができ、後者は、最も好ましくは位置37のFと位置47のL若しくはFの組み合わせ (KERE群について定義したとおり);かつKabatナンバリングによる位置108にQ又はLを有することができ、好ましくはQを有する。
別の非限定的な好ましい局面では、本発明のナノ抗体は、KERE群(本明細書の定義による)に属するナノ抗体でよく、ここで、CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
従って、別の非限定的な好ましい局面では、本発明のナノ抗体は103 P, R, S-群(本明細書の定義による)に属するナノ抗体でよく、ここで、CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
また、さらに一般的に、上述した108Q、43E/44R及び103P,R,S残基に加え、本発明のナノ抗体は、通常のVHドメインがVH/VL界面(の一部)を形成するであろう1つ以上の位置に、対応する天然に存在するVH配列内のその同じ位置に天然に存在するアミノ酸残基より高く荷電している1つ以上のアミノ酸残基、特に1つ以上の荷電アミノ酸残基(表A-2に示されるような)を含みうる。このような置換として、限定するものではないが、下の表A-3に示されるGLEW様配列;並びに、国際出願WO 00/29004で、例えば位置44〜47のKLEWと共に位置108にQがあるナノ抗体を得るために、いわゆる“マイクロボディ(microbody)”について述べている置換が挙げられる。これらの位置における他の可能な置換は、本明細書の開示を基礎として当業者には明白だろう。
また、本発明の1つの実施態様では、位置83のアミノ酸残基は、R、K、N、E、G、I、T及びQから成る群より選択され;(天然に存在するVHHドメインに対応するナノ抗体では)最も好ましくはK又はEのどちらか或いは(本明細書に記載したように、“ヒト化”ナノ抗体では)Rである。一実施態様では、位置84のアミノ酸残基は、P、A、R、S、D T、及びVから成る群より選択され、最も好ましくは(天然に存在するVHHドメインに対応するナノ抗体では)P又は(本明細書に記載したように、“ヒト化”ナノ抗体では)Rである。
さらに、本発明のナノ抗体の一実施態様では、位置104のアミノ酸残基は、G及びDから成る群より選択され;最も好ましくはGである。
一括して、ナノ抗体において、上述した位置11、37、44、45、47、83、84、103、104及び108のアミノ酸残基を、本明細書では“特徴(Hallmark)残基”とも称する。これら特徴残基と、最も密接に関連するヒトVHドメインであるVH3の対応する位置のアミノ酸残基を表A-3にまとめる。
天然に存在するVHHドメインに存在するようなこれら特徴残基のいくつかの非限定的な特に好ましい組合せを表A-4に列挙する。比較のため、DP-47と呼ばれる、ヒトVH3の対応するアミノ酸残基に下線を引いた。
これら組合せのヒト化については、明細書を参照されたい。
このようなアミノ酸残基は当業者には明白だろう。表A4〜A7は、天然に存在するVHHドメインのFR1、FR2、FR3及びFR4の各位置(Kabatナンバリングによる位置による)に存在しうるいくつかの非限定的な残基を列挙する。各位置では、天然に存在するVHHドメインの各位置で最も頻繁に現れるアミノ酸残基(かつナノ抗体の前記位置で最も好ましいアミノ酸残基である)を太字で示し;各位置で他の好ましいアミノ酸残基に下線を付した(注:天然に存在するVHHドメインの位置26〜30で見られるアミノ酸残基の数は、これらの位置の残基が既にCDR1の一部を形成しているというChothiaのナンバリング(前出)の根底にある仮説を支持する。)
表A4〜A7には、ヒトVH3ドメインの各位置に存在しうるいくつかの非限定的な残基も列挙した。この場合もやはり、各位置では、天然に存在するヒトVH3ドメインの各位置に最も頻繁に現れるアミノ酸残基を太字で示し;他の好ましいアミノ酸残基に下線を付した。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)特徴残基は本明細書の定義どおりであり;
及び:
(b)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)FR1は、下記アミノ酸配列:
[1] QVQLQESGGGXVQAGGSLRLSCAASG [26] [配列番号1]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置のいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択され;
及び、
(b)FR2は、下記アミノ酸配列:
[36] WXRQAPGKXXEXVA [49] [配列番号2]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択され;
及び、
(c)FR3は、下記アミノ酸配列:
[66] RFTISRDNAKNTVYLQMNSLXXEDTAVYYCAA [94] [配列番号3]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択され;
及び、
(d)FR4は、下記アミノ酸配列:
[103] XXQGTXVTVSS [113] [配列番号4]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択され;
及び、
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりであり、
特徴残基は“X”で示され、かつ上で定義したとおりであり、括弧内の数字はKabatナンバリングによるアミノ酸位置を示す。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)FR1は、下記アミノ酸配列:
[1] QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG [26] [配列番号5]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、上記配列に示されるとおりである);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、上記配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(b)FR2は、下記アミノ酸配列:
[36] WFRQAPGKERELVA [49] [配列番号6]
[36] WFRQAPGKEREFVA [49] [配列番号7]
[36] WFRQAPGKEREGA [49] [配列番号8]
[36] WFRQAPGKQRELVA [49] [配列番号9]
[36] WFRQAPGKQREFVA [49] [配列番号10]
[36] WYRQAPGKGLEWA [49] [配列番号11]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(c)FR3は、下記アミノ酸配列:
[66] RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA [94] [配列番号12]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(d)FR4は、下記アミノ酸配列:
[103] WGQGTQVTVSS [113] [配列番号13]
[103] WGQGTLVTVSS [113] [配列番号14]
から成る群;
又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)FR1は、下記アミノ酸配列:
[1] QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG [26] [配列番号5]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、上記配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(b)FR2は、下記アミノ酸配列:
[36] WFRQAPGKERELVA [49] [配列番号6]
[36] WFRQAPGKEREFVA [49] [配列番号7]
[36] WFRQAPGKEREGA [49] [配列番号8]
[36] WFRQAPGKQRELVA [49] [配列番号9]
[36] WFRQAPGKQREFVA [49] [配列番号10]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらか であり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(c)FR3は、下記アミノ酸配列:
[66] RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA [94] [配列番号12]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び:
(d)FR4は、下記アミノ酸配列:
[103] WGQGTQVTVSS [113] [配列番号13]
[103] WGQGTLVTVSS [113] [配列番号14]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び:
(a)FR1は、下記アミノ酸配列:
[1] QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG [26] [配列番号5]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、上記配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(b)FR2は、下記アミノ酸配列:
[36] WYRQAPGKGLEWA [49] [配列番号11]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(c)FR3は、下記アミノ酸配列:
[66] RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA [94] [配列番号12]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び:
(d)FR4は、下記アミノ酸配列:
[103] WGQGTQVTVSS [113] [配列番号13]
から成る群;
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(e)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
別の非限定的な好ましい局面では、本発明のナノ抗体は下記構造を有しうる。
FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4に相当し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3に相当し、及び、
(a)FR1は、配列番号73〜105のナノ抗体に存在するFR1配列から成る群、特に配列番号85〜105のヒト化ナノ抗体に存在するFR1配列から成る群、
(b)又は、前記FR1配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、前記FR1配列に示されるとおりである);
及び/又は、
前記FR1配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-5の定義どおりのアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)特徴位置の残基は、前記FR1配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(c)FR2は、配列番号73〜105のナノ抗体に存在するFR2配列から成る群、特に配列番号85〜105のヒト化ナノ抗体に存在するFR2配列から成る群、
又は、
前記FR2配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、前記FR2配列に示されるとおりである);
及び/又は、
前記FR2配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-6に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置37、44、45及び47の特徴残基は、上記各配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(d)FR3は、配列番号73〜105のナノ抗体に存在するFR3配列から成る群、特に配列番号85〜105のヒト化ナノ抗体に存在するFR3配列から成る群、
又は、
前記FR3配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、前記FR3配列に示されるとおりである);
及び/又は、
前記FR3配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-7に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置83及び84の特徴残基は、前記FR3配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(e)FR4は、配列番号73〜105のナノ抗体に存在するFR4配列から成る群、特に配列番号85〜105のヒト化ナノ抗体に存在するFR4配列から成る群、
又は、
前記FR4配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、前記FR4配列に示されるとおりである);
及び/又は、
前記FR4配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
i)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表A-8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まず;及び
iii)位置103、104及び108の特徴残基は、前記FR4配列に示されるとおりである);
から選択され;
及び、
(f)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書の定義どおりであり、好ましくは本明細書の1つの好ましい実施態様の定義どおりであり、さらに好ましくは本明細書の1つのさらに好ましい実施態様の定義どおりである。
i)特徴残基は、上表A-3に示されるとおりでよく;
ii)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表5〜8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
iii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されうる。
(1)特徴残基は、配列番号73〜105から(好ましくは配列番号85〜105から)選択される適切な配列に示されとおりでよく;
(2)特徴位置以外のいずれの位置にあるいずれのアミノ酸置換も、好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義どおり)及び/又は表5〜8に規定されるアミノ酸置換のどちらかであり;及び/又は
(3)前記アミノ酸配列は、配列番号73〜105から(好ましくは配列番号85〜105から)選択される適切な配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない。
好ましくは、本発明のナノ抗体中のCDR配列及びFR配列は、本発明のナノ抗体が、A-βに、10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットルの解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012 M-1の結合親和性で、及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10nM、例えば500pM未満の親和性で結合するようなものである。それ自体既知の方法、例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、A-βに対する本発明のナノ抗体の親和性を決定することができる。
また、本発明のヒト化ナノ抗体は、本明細書の定義どおりでよいが、ヒト化ナノ抗体が、そのフレームワーク領域の少なくとも1つに、天然に存在するVHHドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、少なくとも“1つのアミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有することを条件とする。より詳細には、本発明の1つの非限定的局面により、ナノ抗体は本明細書の定義どおりでよいが、ナノ抗体が、その特徴残基(位置108、103及び/又は45の当該残基を含む)の少なくとも1つに、天然に存在するVHHドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、少なくとも“1つのアミノ酸の相違”(本明細書の定義どおり)を有することを条件とする。通常、ナノ抗体は、少なくとも1つのFR2及び/又はFR4において、特にFR2及び/又はFR4の少なくとも1つの特徴残基(この場合もやはり、位置108、103及び/又は45の当該残基を含む)において、天然に存在するVHHドメインと少なくとも1つのこのようなアミノ酸の相違を有するだろう。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、A-βに対する少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ナノ抗体TM、又はその機能的フラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、配列番号73〜105、好ましくは85〜105のいずれかによって示される配列に相当する、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、A-βに対するナノ抗体、又はその機能的フラグメントの数が少なくとも2である、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、該ポリペプチドのin vivo半減期を改善する少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントをさらに含む、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、該ポリペプチドのin vivo半減期を改善する前記重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、血清タンパク質に対する重鎖抗体、又はその機能的フラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、脳又は体の他の部分からアミロイド斑を除去できるポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、A-βと別のA-βとの間の相互作用を阻止できるポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントの1つ以上のアミノ酸が、実質的にその抗原結合能を変えずに置換されているポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体又はナノ抗体が、その全長重鎖抗体又はナノ抗体の相同配列、機能部分、又は相同配列の機能部分であるポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、APP及びAPLPのセクレターゼ媒介切断、又はA-β切断産物を生じさせる他のいずれかの切断後に生成又は露出したネオ-エピトープに結合できるポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、その半減期を改善する少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、PEG化によって修飾されているポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、血清タンパク質に対する前記重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ナノ抗体、又はその機能的フラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、前記血清タンパク質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン-結合タンパク質、トランスフェリン又はフィブリノーゲンのいずれかである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、血清タンパク質若しくはナノ抗体、又はその機能的フラグメントに対する前記重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ヒト化されている、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、血清タンパク質が血清タンパク質のフラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、タンパク質τに対する重鎖抗体、又はその機能的フラグメントをさらに含む、上で規定したポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、タンパク質τに対する前記重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ナノ抗体である、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、タンパク質τに対する前記重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ヒト化されている、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、タンパク質τが、タンパク質τのフラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、前記A-βが、A-βのフラグメントである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、実質的にその抗原結合能を変えずに1つ以上のアミノ酸残基が置換されているVHである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、特有のナノ抗体配列又はアミノ酸残基で1つ以上のアミノ酸残基が置換されているVHである、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ヒト化されている、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、少なくとも1つの重鎖抗体、又はその機能的フラグメントが、ヒトフレームワーク配列を含む、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、前記ヒトフレームワーク配列が、ヒト生殖系列抗体遺伝子セグメントによりコードされるフレームワーク領域に相当するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、前記ヒトフレームワーク配列が、DP-29、DP-47及びDP-51のいずれかのフレームワーク領域のいずれかに含まれている、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドであって、前記ヒトフレームワーク配列が1つ以上のFR1、FR2又はFR3であり、残りのフレームワーク領域が前記重鎖抗体の等価なFR1、FR2及びFR3フラグメントから選択される、ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチド及び/又は核酸を含む組成物である。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチド及び/又は核酸と、対象に同時、個別又は逐次投与するため、少なくとも1種の抗-変形体因子とを含む組成物である。
本発明の別の実施態様は、上で規定した組成物であって、前記抗-変形体因子が、前記ポリペプチドに共有結合又は非共有結合している、組成物である。
本発明の別の実施態様は、医薬的に許容しうるビヒクルをさらに含む、上で規定した組成物である。
本発明の別の実施態様は、薬物として使用するための、上で規定したポリペプチド、又は上で規定した核酸、又は上で規定した組成物である。
本発明の別の実施態様は、アミロイド斑形成によって媒介される障害の治療、予防及び/又は軽減で使うための、上で規定したポリペプチド、又は上で規定した核酸、又は上で規定した組成物である。
本発明の別の実施態様は、アミロイド斑形成によって媒介される障害の治療、予防及び/又は軽減用薬物製造のための、上で規定したポリペプチド、又は上で規定した核酸、又は上で規定した組成物の使用である。
本発明の別の実施態様は、前記障害がアルツハイマー病である、上で規定したポリペプチド、核酸若しくは組成物、又はその使用である。
本発明の別の実施態様は、前記ポリペプチドが、静脈内、皮下、経口、舌下、経鼻投与又は吸入によって投与される、上で規定したポリペプチド、核酸若しくは組成物、又はポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、有効用量の上で規定した組成物を患者に投与することを含む、アルツハイマー病の予防的又は治療的処置方法である。
a)上で規定したポリペプチドをコードできる核酸を含む宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を許容する条件下で培養する工程、および
b)生成したポリペプチドを前記培養から回収する工程。
本発明の別の実施態様は、前記宿主細胞が細菌又は酵母菌である、上で規定した方法である。本発明の別の実施態様は、以下の工程を含むアミロイド斑形成によって媒介される疾患又は障害の診断方法である:
a)サンプルを上で規定したポリペプチドと接触させる工程、及び
b)前記ポリペプチドの前記サンプルとの結合を検出する工程、及び
c)工程(b)で検出された結合を基準と比較する工程(ここで、前記サンプルに比較した結合における相違がアミロイド斑形成の特徴がある疾患又は障害の診断指標となる)。
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含むアミロイド斑形成によって媒介される疾患又は障害の診断方法である:
a)サンプルを上で規定したポリペプチドと接触させる工程、及び
b)前記サンプル中のA-βの量を決定する工程、及び
c)工程(b)で決定されたA-βの量を基準と比較する工程(ここで、前記サンプルに比較した量の相違がアミロイド斑形成の特徴がある疾患又は障害の診断指標となる)。
本発明の別の実施態様は、上で規定した方法で使うための、アミロイド斑形成によって媒介される疾患又は障害の診断用キットである。
本発明の別の実施態様は、上で規定したポリペプチドを含む、アミロイド斑形成によって媒介される疾患又は障害の診断用キットである。
本発明の別の実施態様は、1種以上のin vivo造影剤をさらに含む、上で規定したポリペプチドである。
本発明者らは、明白に、本発明の抗-A-βポリペプチドがAPPトランスジェニックマウスに有益な効果を有することを示す。
本発明のポリペプチドが効果を有しうるA-β関連疾患は、侵襲性の神経沈着に関連する神経変性疾患である。
本発明の一実施態様は、脳又は体の他部分からアミロイド斑を除去できる少なくとも1つのナノ抗体を含むポリペプチドに関する。
本発明の別の実施態様は、A-βと別のA-β又はA-βのフラグメントとの間の相互作用を阻止できる少なくとも1つのナノ抗体を含むポリペプチドに関する。
本発明の一局面により、本発明のポリペプチドを用いて、侵襲性の神経沈着に関連する神経変性疾患の症状を治療又は軽減することができる。
本発明の一局面により、本発明のポリペプチドを用いて、侵襲性の神経沈着に関連する神経変性疾患を予防することができる。すなわち予防的使用が可能である。このような使用は、例えば、早期発生家族性ADのリスクが高い患者の場合に適用できる。
1つの非限定的な好ましい実施態様によれば、前記医薬組成物は経口投与に適する。
本発明の抗-A-βポリペプチドはA-βに結合する。本発明の一局面によれば、抗-A-βポリペプチドが標的A-βに結合して、1つ以上の他のA-βとのその相互作用を阻害する。標的A-βは、懸濁液若しくは溶液又は1種以上の懸濁液若しくは溶液中、斑の一部として存在しうる。他のA-βも、懸濁液若しくは溶液又は1種以上の懸濁液若しくは溶液中、斑の一部として存在しうる。
抗-A-βポリペプチドの結合を測定するためのELISAアッセイは周知である。
抗-A-βポリペプチドの阻害作用の程度を測定するためのアッセイは、例えば凝集A-βからのビオチン化A-βの遊離を測定するための脱重合アッセイである。
本発明の一局面によれば、抗-A-βポリペプチドは、その存在が、A-βと別のA-βとの間の結合をポリペプチドの非存在下のA-β−A-β結合と比較して減じるとき、阻害作用を示す。本発明の一局面によれば、抗-A-βポリペプチドの存在下の結合は、前記ポリペプチドの非存在下の結合と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70又は75%より多く減少する。
この異常な種類の重鎖抗体の抗原結合部位は独特の構造を有し、単一の可変ドメインを含む。明瞭さのため、天然に軽鎖のない重鎖抗体由来の可変ドメインは、本明細書ではVHH若しくはVHHドメイン又はナノ抗体として知られる。このようなVHHドメインペプチドは、ラクダ科種、例えば、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、アルパカ及びグアナコで産生された抗体から誘導されうる。ラクダ科以外の種(例えばサメ、フグ)は、天然に軽鎖のない機能的な抗原結合重鎖抗体を産生しうる。このようなVHHドメインは、本発明の範囲内である。
ラクダ科抗体は、軽鎖を欠いている、機能的な重鎖抗体の独特の広範なレパートリーを発現する。ラクダ科抗体由来のVHH分子は、既知の最小の無傷抗原結合ドメインであるので(約15kDa、つまり通常のIgGより10倍小さい)、高密度な組織へのデリバリーにうまく適合し、また巨大分子間の限界空間にアクセスするために好都合である。
重鎖抗体の他の例として、1個以上のアミノ酸残基をラクダ科に特異的な残基と置き換えることによって修飾(いわゆるラクダ化、WO 94/04678)されている通常の4-鎖抗体から誘導される重鎖抗体が挙げられる。このような位置は、優先的にVH-VL界面及びいわゆるラクダ科の特徴残基(WO 94/04678)(位置37、44、45、47、103及び108を含む)のところに存在しうる。
該重鎖抗体のVHHフラグメントは、単一の免疫グロブリン(Ig)ドメインによって形成される小さくて頑丈かつ効率的な認識単位に相当する。
本明細書で開示される抗-A-βポリペプチド及びその誘導体は、通常の抗体の有利な特性、例えば低い毒性と高い選択性を有するのみならず、追加の特性も有する。これらは、より可溶性であり;それ自体通常の抗体と比較して高濃度で貯蔵及び/又は投与することができる。
通常の抗体は室温で不安定であり、調製及び貯蔵のため冷却しなければならず、冷蔵実験設備、貯蔵及び輸送を必要とし、時間と費用がかかる。本発明の抗-A-βポリペプチドは室温で安定であり;それ自体、冷却設備を使わずに製造、貯蔵及び/又は輸送することができ、コスト、時間及び環境的な節約を与える。さらに、通常の抗体は、生物学的に活性な温度範囲外の温度(例えば37±20℃)で行われるアッセイ又はキットでの使用に適さない。
通常の抗体は、普通の生理学的pH範囲外の環境で使うのに適さない。通常の抗体は、低いか又は高いpHで不安定なので、経口投与に不適である。ラクダ科抗体は、過酷な条件、例えば過剰pH、変性試薬及び高温に耐えるので、本明細書で開示される抗-A-βポリペプチドを経口投与によるデリバリーに適するようにする。ラクダ科抗体はプロテアーゼの作用に耐性である。通常の抗体の場合はプロテアーゼの作用に耐性が低い。
通常の抗体の発現の収率は非常に低く、製造方法は非常に大きな労働力を要する。さらに、無傷かつ活性な抗体の発現に必要な哺乳動物細胞系は時間と設備について高度の支援を必要とするので、前記抗体の製造又は小規模生産は費用がかかり、かつ収率が非常に低い。簡便な組換え宿主生物、例えば大腸菌及び酵母菌における発酵によって、費用効果的に本発明の抗-A-βポリペプチドをすることができ;高価な哺乳動物細胞培養設備をも必要とする通常の抗体と異なり、達成しうる発現レベルが高い。本発明のポリペプチドの収量の例は、1〜10mg/ml(大腸菌)であり1g/l(酵母菌)まで達する。
本発明の抗-A-βポリペプチドは、広範囲の異なる抗原型に対する高い結合親和性、及び通常の抗体によって認識されないエピトープに結合するための能力を示す;例えば、本発明の抗-A-βポリペプチドは、キャビティ中に浸透する可能性を有する長いCDR3ループを表示する。
本発明の抗-A-βポリペプチドは、WO96/34103(参照によって本明細書に取り込まれる)に開示されているような(頭−尾)融合による二機能性又は多機能性分子の率直な生成を示す。
その小さいサイズにより、本発明の抗-A-βポリペプチドは、通常の抗体より良い組織浸透性と体のすべての部分に到達する能力を許容する。
ラマ単一ドメイン抗体は、ヒト血液脳関門を通過して移行できる。本発明の一実施態様では、抗-A-βポリペプチドは血液脳関門を透過し得る。本発明の別の実施態様では、抗-A-βポリペプチドは血液脳関門を透過できない。
本発明の一局面は、少なくとも1つの抗-A-β重鎖抗体、特にそれから誘導されるナノ抗体を含む抗-A-βポリペプチドである。該ポリペプチドが追加成分を含みうることも本発明の一局面である。このような成分はポリペプチド、例えば1つ以上の抗-A-βナノ抗体、1つ以上の抗血清アルブミンナノ抗体、1つ以上の抗-τナノ抗体でよい。他の融合タンパク質が本発明の範囲内であり、例えば、担体ポリペプチド、シグナリング分子、標識、及び酵素との融合が挙げられる。他の成分として、例えば、放射標識、有機染料、蛍光化合物が挙げられる。
1つの抗-A-βナノ抗体を含む本発明の抗-A-βポリペプチドの例は配列番号117〜184のいずれかによって示される配列に相当するポリペプチドである。
1つの非限定的な好ましい実施態様によれば、本発明のポリペプチドは4〜11の等電点を有する。
好ましくは、本発明のポリペプチドは5〜10の等電点を有する。
1つの非限定的な好ましい実施態様によれば、本発明のポリペプチドは、共有結合している2本のアミノ酸鎖(本明細書では“重鎖”と呼ぶ)を含む。
本発明の重鎖は、好ましくはジスルフィド結合によって連結している。
さらに好ましくは、本発明の重鎖は、システイン残基を介して連結してジスルフィド結合を形成している。
1つの非限定的な好ましい実施態様によれば、本発明の重鎖は、35kdal〜50kdalの近似分子量を有する。分子量は、Hamers-Castermanら(Nature 1993)によって記載されているとおりに決定される。
好ましくは、本発明の重鎖は40kdal〜50kdalの分子量を有する。
さらに好ましくは、本発明の重鎖は41kdal〜49kdal、42kdal〜48kdal、43kdal〜47kdal、又は44kdal〜46kdalの分子量を有する。
最も好ましくは、本発明の重鎖は43kdal〜46kdalの分子量を有する。
1つの非限定的な好ましい実施態様では、本発明の重鎖は43kdalの分子量を有する。
別の非限定的な好ましい実施態様では、本発明の重鎖は46kdalの分子量を有する。
本発明の別の局面では、抗-A-βポリペプチドは、少なくとも2つの抗-A-βナノ抗体を含みうる。該ポリペプチドが上述したような追加成分を含みうることも本発明の一局面である。
本発明の一局面によれば、本発明の抗-A-βポリペプチドは、少なくとも2つの同一又は同一でない抗-A-βナノ抗体配列を有しうる。上記少なくとも2つの配列がA-βに対して等しい親和性を持たないので、弱い結合親和性の配列と高い結合親和性の配列を併せ持った抗-A-βポリペプチドを形成しうることも本発明の一局面である。
二価ポリペプチドの構築法は技術上周知でああり(例えば、US 2003/0088074)、本明細書でも後述する。
本発明の抗-A-βポリペプチドの治療効力を高めるようにエフェクター機能に関して本発明の抗-A-βポリペプチドを修飾することが望ましいだろう。例えば、特定のFcドメイン、特にヒト起源のFcドメインとナノ抗体の融合は有利だろう。
従って、A-βに対する1つ以上のナノ抗体と、血清タンパク質に対して特異性を有する1つ以上のナノ抗体とを含む、本明細書で開示される抗-A-βポリペプチドは、A-βだけを標的にするポリペプチドよりずっと有効である。
血清タンパク質は、対象の血清中に見られるいずれの適切なタンパク質、又はそのフラグメントでもよい。本発明の一局面では、血清タンパク質は、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン又はフィブリノーゲンのいずれかである。対象は、例えばウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ウシ、子ウシ、ラクダ、ラマ、モンキー、ドンキー、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマでよく、好ましくはヒトである。有効な治療に必要な半減期及び/又は標的抗原の区画化のような意図した用途によって、ナノ抗体相手を上記血清タンパク質の1つに向けることができる。
本発明の一局面によれば、本発明の抗-A-βポリペプチド中の、血清タンパク質に対するナノ抗体の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は15より多い。
ナノ抗体と他の物質を結合して二重特異性ポリペプチド及び多重特異性ポリペプチドを形成する方法は当業者に知られており、後述する。
半減期を増やすために本発明に従って修飾していない本発明のポリペプチドは体から迅速に除去されるという特徴を有する。逆に、A-βに対する1つ以上のナノ抗体と1つ以上の抗-血清タンパク質ナノ抗体とを含む二重特異性ポリペプチドは対象の血清内で数週間循環することができ、治療頻度を減らし、体内での機能活性の持続時間を増やし、対象にとっての不便さを低減し、結果として治療コストを下げることができる。半減期を向上させることを目的とした他の物質を含む本発明のポリペプチドで同様の有利な特性が観測される。さらに、ここで開示される抗-A-βポリペプチドの半減期を、該ポリペプチドに存在する抗-血清タンパク質ナノ抗体の数によって制御できることも本発明の一局面である。半減期を制御できることは、いくつかの状況で、例えば、時限用量の治療用抗-A-βポリペプチドの適用において望ましい。
本発明の一局面によれば、本ポリペプチドは、該ポリペプチドのin vivo半減期を増やすことのできる1つ以上の分子に結合することができる。
半減期は、例えば、リガンドの分解及び/又は自然のメカニズムによるリガンドのクリアランス若しくは隔離によって、生体内で該ポリペプチドの血清濃度が50%まで下がるのにかかる時間である。本発明のポリペプチドは生体内で安定であり、分解及び/又はクリアランス若しくは隔離に耐える分子に結合することによって、その半減期が増す。典型的に、このような分子は天然に存在するタンパク質であり、それ自体長いin vivo半減期を有する。
本発明のポリペプチドの半減期は、半減期を増大させる分子に特異的でない同様のポリペプチドよりも長期間生体内でその機能活性が存続する場合に増大したという。そこで、HSAと標的分子に特異的な本発明のポリペプチドを、HSAと結合しないが別の分子と結合する、HSAに対する特異性が存在しない同様のポリペプチドと比較する。例えば、該ポリペプチドは標的分子上の第2エピトープと結合しうる。典型的に、半減期は10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上に増大する。半減期の2x、3x、4x、5x、l0x、20x、30x、40x、50x又はそれ以上の範囲の増大が可能である。これとは別に、または更に、半減期の30x、40x、50x、60x、70x、80x、90x、100x、150xまでの範囲の増大が可能である。
典型的に、ポリペプチドのin vivo半減期を増大させる分子は、生体内に天然に存在し、かつ該生体から不要物質を除去する内因性メカニズムによる分解又はクリアランスに耐えるポリペプチドである。例えば、生体の半減期を増大させる分子は以下のものから選択しうる:(i)細胞外マトリックス由来のタンパク質;例えばコラーゲン、ラミニン、インテグリン及びフィブロネクチン。コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要タンパク質である。現在、体の種々の部分で見られる約15種類のコラーゲン分子、例えば骨、皮膚、腱、靭帯、角膜、内臓で見られるI型コラーゲン(体コラーゲンの90%を占める)又は関節、無脊椎ディスク、脊索、目のガラス体液で見られるII型コラーゲンが知られている;(ii)血中で見られるタンパク質、例えばフィブリン、α-2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブロネクチンA、フィブロネクチンB、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、プロフィリン、ユビキチン、ウテログロブリン(uteroglobulin)及びβ-2-ミクログロブリンのような血漿タンパク質が挙げられる;(iii)酵素及びインヒビター、例えばプラスミノーゲン、リゾチーム、システインC、α-1-抗トリプシン及び膵臓チロシンインヒビター。プラスミノーゲンは、チロシン様セリンプロテアーゼプラスミンの不活性前駆体である。通常、血流を通じて循環しているプラスミノーゲンが見られる。プラスミノーゲンが活性化して、プラスミンに変換されると、血餅内で血液細胞をもつれさせるフィブロネクチン線維を溶かす強力な酵素ドメインをほどく。これが線維素溶解と呼ばれる;(iv)免疫系タンパク質、例えばIgE、IgG、IgM;(v)輸送タンパク質、例えばレチノール結合タンパク質、α-1ミクログロブリン;デフェンシン(defensin)、例えばβ-デフェンシン1、好中球デフェンシン1、2及び3;(vi)血液脳関門又は神経組織内で見られるタンパク質、例えばメラノコルチン受容体、ミエリン、アスコルビン酸輸送体;(vii)トランスフェリン受容体特異的リガンド-神経医薬剤融合タンパク質(US5977307参照);(viii)脳毛細血管の内皮細胞受容体、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、インスリン、インスリン様成長因子1(IGF1)受容体、インスリン様成長因子2(IGF2)受容体、インスリン受容体;(ix)腎臓に局在化するタンパク質、例えばポリシスチン、IV型コラーゲン、有機アニオン輸送体KI、ヘイマン(Heymann’s)抗原;(x)肝臓に局在化するタンパク質、例えばアルコールデヒドロゲナーゼ、G250;(xi)血液凝固因子X、α1抗トリプシン、HNF1α;(xii)肺に局在化するタンパク質、例えば分泌成分(IgAと結合);(xiii)心臓に局在化するタンパク質、例えば、HSP 27。これは拡張型心筋症に関連する;(xiv)皮膚に局在化するタンパク質、例えばケラチン;(xv)骨特異的タンパク質、例えば骨形態形成タンパク質(BMP)、これは骨形成活性を示す形質転換成長因子βスーパーファミリーのサブセットであり、例として、BMP-2、-4、-5、-6、-7が挙げられる(骨形成タンパク質(OP-1)及び-8(OP-2)とも呼ばれる);(xvi)腫瘍特異的タンパク質(ヒト栄養芽層抗原、ハーセプチン(herceptin)受容体、エストロゲン受容体、カテプシン、例えばカテプシンB(肝臓及び脾臓で見られる);(xvii)疾患特異的タンパク質、例えば活性化T-細胞上でのみ発現される抗原:例えばLAG-3(リンパ球活性化遺伝子)、オステオプロテゲリン(osteoprotegerin)リガンド(OPGL)、OX40(TNF受容体ファミリーのメンバー、活性化T細胞上、及びヒトT細胞白血病I型ウイルス(HTLV-I)-産生細胞内で特異的に上方制御されることが分かっている同時刺激T細胞分子上だけで発現される);(関節炎/癌に関連する)メタロプロテアーゼ、例えばCG6512ショウジョウバエ、ヒトパラプレギン(paraplegin)、ヒトFtsH、ヒトAFG3L2、マウスftsH;血管形成成長因子、例えば酸性線維芽細胞成長因子(FGF-1)、塩基性線維芽細胞成長因子(FGF-2)、血管内皮成長因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)、形質転換成長因子-a(TGFa)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、アンジオテンシン、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-8(IL-8)、血小板由来内皮成長因子(PD-ECGF)、胎盤成長因子(P1GF)、ミッドカイン、血小板由来成長因子-BB(PDGF)、フラクタルカイン;(xix)ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質);(xx)HSPは、通常細胞内で見られる。HSPが細胞外で見られる場合、細胞が死に、その内容物を流出させていることを示している。外傷、疾患又は傷害の結果として、それゆえ生体内で、細胞外HSPが感染及び疾患と戦う反応を免疫系から誘導するときだけ、この非プログラム細胞死(壊死)が起こる。細胞外HSPに結合する二重特異性は、患部に局在化しうる;(xxi)Fc輸送に関与するタンパク質:ブラムベル(Brambell)受容体(FcRBとしても知られる)。このFc受容体は2つの機能を有し、両方ともデリバリーに有用である。この機能は、胎盤を横断する母から子へのIgGの輸送と、IgGを分解から保護してIgGの血清半減期を延ばすことである。前記受容体はエンドソームからIgGを再生利用すると考えられる(Holliger et al, Nat Biotechnol 1997 Jul; 1 5(7):632-6参照)。
本発明の別の実施態様は、1つ以上の抗-変形体因子をさらに含む、本明細書で開示されるとおりの抗-A-βポリペプチドである。このような抗-変形体因子は共有結合し、又は非共有結合していてよい。
本発明の別の実施態様は、1つ以上の抗-変形体因子をさらに含む、本明細書で開示されるとおりの抗-A-βポリペプチドであって、前記抗-変形体因子が抗-τナノ抗体である、抗-A-βポリペプチドである。
抗-変形体因子の例は、抗-τ、抗-リン酸化及び/又は抗-カスパーゼ薬若しくは抗体又はそのフラグメントを含みうる。
抗-A-βナノ抗体は、斑及び初期段階の変形体を除去しうるのが、抗-変形体因子は進行した変形体を除去しうる。
このような抗-A-β/抗-変形体因子の組合せは、斑と原繊維変化の両方を標的にして、相乗作用をもたらす。すなわち、別々の治療法に比し、治療効果が増す。このような併用療法は後期段階のADで特に有効だろう。
本発明の別の局面は、A-βに対する1つ以上のナノ抗体と、τに対する1つ以上のナノ抗体とを含む抗-A-βポリペプチドである。ナノ抗体は、リンカーで連結され、又はリンカーなしで連結されていてよい。
本発明の一局面によれば、本発明の抗-A-βポリペプチド中のタンパク質τに対するナノ抗体の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は15より多い。疾患の進行又は段階によっては、さらに抗-τナノ抗体を追加して進行した又は後期段階の変形体を除去し、或いは変形体の再形成を防止するための維持用量を管理することができる。
本発明の別の局面は、半減期を延長するため、血清タンパク質に対する1つ以上のナノ抗体をさらに含む、A-βに対する1つ以上のナノ抗体と、τに対する1つ以上のナノ抗体とを含む抗-A-βポリペプチドである。
本発明のさらなる局面は、少なくとも1つの本明細書で開示されるとおりの抗-A-βポリペプチドと、少なくとも1つの抗-変形体因子を含む、対象への同時、個別若しくは逐次投与用組成物である。
同時投与は、抗-A-βポリペプチドと抗-変形体因子を対象に同時に投与することを意味する。例えば前記ポリペプチドと薬剤の混合物として、又は前記ポリペプチドと薬剤を含む組成物として投与される。例として、限定するものではないが、静脈内投与される溶液、錠剤、液剤、局所クリーム等が挙げられ、各製剤は、問題のポリペプチドと薬剤を含む。
個別投与は、抗-A-βポリペプチドと抗-変形体因子を対象に同時又は実質的に同時に投与することを意味する。前記ポリペプチドと薬剤を別々の非混合製剤として投与する。例えば、ポリペプチドと薬剤は個々の錠剤としてキット中に存在してもよい。両錠剤を同時に飲み込み、或いは一方の錠剤の直後に他方の錠剤を飲み込むことによって、錠剤が対象に投与される。
逐次投与は、抗-A-βポリペプチドと抗-変形体因子を対象に逐次的に投与することを意味する。ポリペプチドと薬剤は別々の非混合製剤としてキット内に存在する。投与間に時間間隔がある。例えば、薬剤投与の336、312、288、264、240、216、192、168、144、120、96、72、48、24、20、16、12、8、4、2、1、又は0.5時間後にポリペプチドを投与し、或いはその逆でもよい。
逐次投与では、薬剤の投与前及び/又は投与後に、ポリペプチドを1回又は何回でも、種々の用量で投与してよい。
本発明の一実施態様は、1つ以上のヒト化抗-A-βナノ抗体と、1つ以上のヒト化抗-ヒト血清アルブミンナノ抗体を含む抗-A-βポリペプチドナノ抗体である。
ヒト化とは、ヒト患者に投与したときに免疫原となる可能性が少ないか又は存在しないように変異を起こすことを意味する。本発明によるポリペプチドのヒト化は、1つ以上の非ヒト免疫グロブリンアミノ酸を、ヒトコンセンサス配列又はヒト生殖系列遺伝子配列内で見られるようなそのヒト対応物で、該ポリペプチドがその典型的な特徴を失わないように、置き換える工程を含みうる。すなわち、ヒト化は、生じるポリペプチドの抗原結合能に有意に影響を及ぼさない。
本発明の一局面では、ヒト化ナノ抗体は、ヒトフレームワーク領域に少なくとも50%(例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%)の相同性を有するナノ抗体と定義される。
発明者らは、非相同種に関してナノ抗体の免疫原性を減少させるため、本来の親和性を減じずに修飾しうる、ナノ抗体のアミノ酸残基を決定した。
発明者らは、ナノ抗体ポリペプチドのヒト化は、結合及び/又は阻害活性の劇的な損失生じさせずに単一のポリペプチド鎖内の限られた数のアミノ酸の導入と変異導入しか必要としないこと見いだした。これは、scFv、Fab、(Fab)2及びIgGのヒト化が、2本の鎖、すなわち軽鎖及び重鎖のアミノ酸変化の導入および両鎖のアッセンブリの保存を必要とするのと対照的である。
上記分類に属するナノ抗体、又はこの分類の変異を有するナノ抗体は、それ自体で、ヒトVHフレームワーク領域に高いアミノ酸配列相同性を示し、これらを含む本発明のポリペプチドは、該ポリペプチドからの不要な免疫反応を予測することなく、かつさらなるヒト化の負担もなく、直接ヒトに投与しうる。本発明は、前記ポリペプチドをコードできる核酸にも関する。
ヒト化技術は、ナノ抗体残基のいずれかの、生殖系列VH遺伝子(例えばDP47、DP29及びDP51)の対応するフレームワーク1、2及び3(FR1、FR2及びFR3)残基との単独又は組合せ置換を含む方法によって果たされる。
−FR1アミノ酸残基1、3、5、14及び24,
−FR2アミノ酸残基44、45及び49、
−FR3アミノ酸残基74、77、78、83及び84
−FR4(生殖系列Jセグメント由来)アミノ酸位置104及び105。
本発明の一局面によれば、ナノ抗体の置換されないフレームワーク領域は元のナノ抗体フレームワークとして残存している。
本発明の一局面では、1つ以上のFR1、FR2及びFR3が上記スキームに従って置換される。 本発明の一局面では、FR1の少なくとも1、2、3又はすべての残基が上記スキームに従って置換される。
本発明の一局面では、FR2の少なくとも1、2、3又はすべての残基が上記スキームに従って置換される。
本発明の一局面では、FR3の少なくとも1、2、3、4、5、6又はすべての残基が上記スキームに従って置換される。
本発明の一局面では、FR4の少なくとも1、2、3又はすべての残基が上記スキームに従って置換される。
本発明の別の態様では、ヒト化ナノ抗体は、該ナノ抗体のCDR領域のすべて又は一部を生殖系列ヒトVHフレームワーク骨格上に移植することによって得られる。
本発明の一局面により、ナノ抗体のヒト化は、前記ナノ抗体のCDR1、CDR2及びCDR3の1つ以上を生殖系列ヒトVHフレームワーク骨格上に置換することによって行われる。好適なフレームワーク骨格の例として、DP47、DP29及びDP51が挙げられる。
本発明のナノ抗体は、本発明の一部である上述のヒト化方法によって得らる。
上記ナノ抗体を、技術上周知の方法で結合して、1つより多くのナノ抗体を含む、本明細書で開示されるいずれかの抗-A-βポリペプチドを形成することができる。例えば、アミノ酸残基を、Blattlerら(Biochemistry 24, 1517-1524; EP294703)によって記載されているような有機誘導体化薬と反応させることのよる化学的架橋によってナノ抗体を融合させうる。或いは、DNAレベルでナノ抗体を遺伝的に融合させうる。すなわち、1つ以上の抗-A-βナノ抗体を含み、場合により1つ以上の抗-血清タンパク質ナノ抗体を含んでよく、かつ場合により1つ以上の抗-タンパク質τナノ抗体を含んでよい完全抗-A-βポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが形成される。二価又は多価ナノ抗体の製造方法は、PCT特許出願WO 96/34103に開示されている。
本発明の一局面によれば、リンカーを使わずに直接ナノ抗体を相互に結合する。2つのサブユニットの結合活性を保持するためにリンカー配列が必要なかさ高い通常の抗体を結合するのと対照的に、本発明のポリペプチドは直接結合できるので、ヒト対象に投与した場合の抗原性、又はサブユニットの解離をもたらすリンカー配列の不安定性のようなリンカー配列の潜在的な問題を回避できる。
本発明の別の局面では、ペプチドリンカー配列を介してナノ抗体を相互に連結する。該リンカー配列は天然に存在する配列でも天然に存在しない配列でもよい。リンカー配列は、抗-A-βポリペプチドが投与される対象内で非免疫原性であることが期待される。リンカー配列は、多価抗-A-βポリペプチドに十分な柔軟性を与えると同時に、タンパク質分解による分解に耐えるようにする。リンカー配列の非限定例はWO 96/34103に記載されているように、ナノ抗体のヒンジ領域から誘導できるものである。別の例は、リンカー配列3a(Ala-Ala-Ala)である。
二重特異性及び多価抗-A-βポリペプチドの融合のために発明者らが構築したこれとは別のリンカー配列は、係属中の国際出願PCT/EP2004/004928に列挙されている。1つのリンカー配列は、ラマの上部長ヒンジ領域である。他のリンカーは異なる長さのGly/Serリンカーである。当業者には、この発明のいずれの2つの一価配列も前記リンカー配列を用いて融合できることが明白である。
本発明の一局面により、抗-A-βポリペプチドを形成するために使用するナノ抗体は完全ナノ抗体(例えばナノ抗体)又はその相同配列でよい。本発明の別の局面により、抗-A-βポリペプチドを形成するために使用するナノ抗体は完全ナノ抗体の機能部分である。本発明の別の局面により、抗-A-βポリペプチドを形成するために使用するナノ抗体は完全ナノ抗体の相同配列でよい。本発明の別の局面により、抗-A-βポリペプチドを形成するために使用するナノ抗体は完全ナノ抗体の相同配列の機能部分でよい。本明細書の別の箇所で言及したように、重鎖抗体はナノ抗体でよい。
本明細書では、本発明の相同配列は、本発明のポリペプチドの機能的特徴を実質的に変えない、1つ以上のアミノ酸の付加、欠失又は置換を含んでよい。アミノ酸の欠失又は置換の数は、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70個までのアミノ酸である。
本発明の相同配列は、アミノ酸の付加、欠失又は置換によって修飾された抗-A-βポリペプチドでよく、前記修飾は、未修飾ポリペプチドと比較して実質的にその機能的特徴を変えない。
本発明の相同配列は、例えばラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、アルパカ、グアナコ等のような他のラクダ科の種に存在する配列でよい。
相同配列が配列同一性を示す場合、それはその親配列と高い配列同一性(70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%より高い配列同一性)を示し、好ましくは親配列の同様の特性、すなわち同一標的に対する結合性によって特徴づけられることを意味する。
本発明の相同ヌクレオチド配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えばSambrook et al., Molecular Cloning, Laboratory Manuel, Cold Spring, Harbor Laboratory press, New Yorkに記載されている条件)下で、その親配列をコードしうるヌクレオチド配列の逆補体にハイブリダイズ可能な、50、100、200、300、400、500、600、800又は1000ヌクレオチドより多いヌクレオチド配列を意味しうる。
本明細書では、機能部分は、1x10-6 Mかそれより良い親和性で問題の相互作用を維持するのに十分な大きさである、重鎖抗体又はナノ抗体の配列を意味する。
或いは、機能部分は、完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、標的の結合及び標的との相互作用に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。
或いは、本発明の重鎖抗体又はナノ抗体の機能部分は、完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、標的の結合及び標的との相互作用に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。
或いは、配列番号73〜105又は117〜184で示されるいずれかの配列の機能部分は、完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、A-βの別のA-βへの結合の阻害に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。
或いは、配列番号73〜105又は117〜184で示されるいずれかの配列の機能部分は、完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、A-βの結合及びA-βとの相互作用に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。
或いは、機能部分は、あるポリペプチドの完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、抗原(該ポリペプチドがこの抗原に対して産生された)の結合及び該抗原との相互作用に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。該ポリペプチドとして、限定するものではないが、ナノ抗体が挙げられる。
本明細書では、機能部分は、完全配列の100%未満(例えば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%等)を指すが、5個以上のアミノ酸又は15個以上のヌクレオチドを含む。
本発明の相同配列として、ヒト化された抗-A-βポリペプチドが挙げられる。さらに、本発明の相同配列として、ヒト化された抗-τポリペプチドが挙げられる。この新分類の抗体ナノ抗体のヒト化は、投与したときのヒト個体内における不要な免疫反応の可能性をさらに減少させるだろう。
重鎖抗体又はナノ抗体のさらに他の例には、(WO03/035694に記載されているような) “機能的フラグメント”が含まれるが、これは抗原結合において機能するフラグメントを意味する。該フラグメントは、活性な抗原結合領域を含む。このようなフラグメントは、上述した機能的な重鎖抗体又はナノ抗体のフラグメント、或いは機能的な重鎖抗体又はナノ抗体と同様に振る舞う分子のフラグメント、或いは機能化抗体のフラグメント、或いは1つ以上のアミノ酸残基をラクダ科-特異的残基と置換することによって修飾された、通常の4鎖抗体由来の重鎖抗体のフラグメントでよい。
重鎖抗体、ナノ抗体、VHドメイン又はそのフラグメントについて“機能化”とは、前記重鎖抗体、ナノ抗体、VHドメイン又はそのフラグメントを機能的にすることを意味する。
機能的フラグメントの意味で使用する場合、“そのフラグメント”とは、該配列の95%を超える、該配列の90%を超える、該配列の85%を超える、該配列の80%を超える、該配列の75%を超える、該配列の70%を超える、該配列の65%を超える、該配列の60%を超える、該配列の55%を超える、又は該配列の50%を超える部分に相当する部分を意味する。
A-β、τ及び血清タンパク質(例えば血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン)のような本明細書で述べる標的は、前記標的のフラグメントでよい。従って、標的は、免疫反応を誘導できる、前記標的のフラグメントでもある。標的は、全長標的に対して産生された重鎖抗体又はナノ抗体に結合できる、前記標的のフラグメントでもある。
標的に対する重鎖抗体又はナノ抗体は、その標的に10-6 Mより良い親和性で結合できる重鎖抗体又はナノ抗体を意味する。
A-βは、全長A-β又はA-βのいずれのフラグメントでもあると解釈すべきである。A-βフラグメントは、APP及びAPLPのセクレターゼ媒介切断後に生成されるいずれかA-βでもあり、或いはいずれかの他のプロセスによって直接又は中間的に生成されるいずれの他のA-βでもある。A-βフラグメントの例は、限定するものではないが、背景セクションで上述したような切断後に得られるフラグメントを含む。フラグメントの例として、A-β(1-42)及びA-β(1-40)が挙げられる。
本明細書ではフラグメントは該配列の100%未満(例えば99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%等)を指すが、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又はそれより多くのアミノ酸を含む。フラグメントは、問題の相互作用を1x10-6M又はそれより良い親和性で維持するのに十分な長さのものである。
本明細書ではフラグメントは、野生型標的に対して産生されたナノ抗体に該標的が結合する能力を実質的に変えない、1つ以上のアミノ酸の任意的な挿入、欠失及び置換をも指す。アミノ酸の挿入、欠失又は置換の数は、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70個のアミノ酸までである。
本発明の別の実施態様は、APP及びAPLPのセクレターゼ媒介切断又はA-β切断産物を生じさせるいずれかの他の切断、例えばBACE1若しくはBACE2による切断後に生成又は露出されたA-βネオエピトープに結合できる少なくとも1つのナノ抗体を含むポリペプチドに関する。
A-β、τ及び血清タンパク質のような本明細書で言及する標的は、いずれの種に存在する配列でもよい。この種として、限定するものではないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、サメ、フグ、ヤギ、ウサギ、ウシが挙げられる。
標的は完全な標的の相同配列でよい。標的は完全な標的の相同配列のフラグメントでもよい。
当業者には、本発明の抗-A-βポリペプチド及び抗-τポリペプチドを修飾できること、及びこのような修飾が本発明の範囲内であることが分かるだろう。例えば、本ポリペプチドを薬物担体として使用することができ、この場合、本ポリペプチドを治療的に活性な薬剤に融合させ、或いはイオン性/双極性基への融合によって本ポリペプチドの溶解特性を変え、或いは本ポリペプチドを適切な造影マーカーに融合させて画像化処理で使用し、或いは修飾アミノ酸などを含むことができる。ポリペプチドを塩として調製してもよい。A-β及び/又はタンパク質τへの結合を本質的に保持するこのような変更は本発明の範囲内である。
一般的に、このような類似体では、本明細書における本発明のナノ抗体と比較して1つ以上のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されていてよい。このような置換、挿入又は欠失は、1つ以上のフレームワーク領域内及び/又は1つ以上のCDR内で起こりうる。該置換、挿入又は欠失が1つ以上のフレームワーク領域内で起こる場合、それらは該フレームワーク残基内の1つ以上の特徴残基及び/又は1つ以上の他の位置で起こりうるが、特徴残基における置換、挿入又は欠失は(これらが本明細書で述べたような適切なヒト化置換でない限り)一般的にあまり好ましくない。
非限定例として、置換は、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書で述べるとおり)及び/又はアミノ酸残基を、別のVHHドメインの同じ位置に天然に存在する別のアミノ酸残基で置き換えてよいが(このような置換のいくつかの非限定例については表4〜7参照)、本発明は通常これらに限定されない。従って、本発明のナノ抗体の特性を改良するか、或いは少なくとも本発明のナノ抗体の所望特性又は本発明のナノ抗体の所望特性のバランス若しくは組合せが大きく損なわれない、いずれの1つ以上の置換、欠失若しくは挿入、又はそのいずれの組合せをも本発明の範囲に包含される。当業者は、一般的に、本明細書の開示に基づき、また、場合により、例えば、有限数の可能な置換を導入すること及びこのようにして得られたナノ抗体の特性に対するその影響を決定することを含みうる限られた程度のルーチン実験後に、適切な置換、欠失若しくは挿入、又はその適切な組合せを決定及び選択することができる。
当業者の能力範囲内であるように、例えば、本発明のナノ抗体又はポリペプチドを発現させるために使用する宿主生物によって、翻訳後修飾のための1つ以上の部位(例えば、1つ以上のグリコシル化部位)が除去されるように該欠失及び/又は置換を設計することができる。或いは、(本明細書で述べた)官能基の付加用の1つ以上の部位を導入するように置換又は挿入を設計することができ、例えば、部位特異的PEG化(この場合もやはり本明細書で述べるとおり)を可能にする。
本類似体は、好ましくは、10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012 M-1の結合親和性で、及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10nM未満、例えば500pMの親和性でA-βに結合できるような類似体である。それ自体周知の方法、例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、類似体のA-βに対する親和性を決定することができる。
類似体は、好ましくは本明細書で述べるような、ナノ抗体の有利な特性を保持するようなものでもある。
また、好ましい一実施態様によれば、類似体は、配列番号73〜105のナノ抗体の1つと、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、例えば少なくとも95%又は99%以上の度合の配列同一性を有し;及び/又は好ましくは多くて20、好ましくは多くて10、なおさらに好ましくは多くて5、例えば4、3、2又は1つだけのアミノ酸の相違(本明細書の定義どおり)を有する。
また、類似体のフレームワーク配列及びCDRは、好ましくはこれらが本明細書で定義した好ましい実施態様に従うようなものである。さらに詳しくは、本明細書で述べるように、類似体は(a)位置108にQ:及び/又は(b)位置45に荷電アミノ酸若しくはシステイン残基、好ましくは位置にE、さらに好ましくは位置44にEかつ位置45にR;及び/又(c)位置103にP、R若しくはSを有するだろう。
ヒト化置換は、生じるヒト化ナノ抗体が本明細書の定義どおりのナノ抗体の有利な特性を保持したままであるように、さらに好ましくは先行するパラグラフで類似体について述べたように選択されなければならない。当業者は、一般的に、本明細書の開示に基づき、また、場合により、例えば、有限数の可能なヒト化置換を導入すること及びこのようにして得られたナノ抗体の特性に対するその影響を決定することを含みうる限られた程度のルーチン実験後に、適切なヒト化置換、又はヒト化置換の適切な組合せを決定及び選択することができる。
本発明のヒト化ナノ抗体のいくつかの非限定的な好ましい例を配列番号85〜105に示す。
一般的に、ヒト化の結果として、本発明のナノ抗体は、さらに“ヒトらしく”なり、さらに本明細書で述べるようなナノ抗体の有利な特性を保持したままである。結果として、このようなヒト化ナノ抗体は、天然に存在するVHHドメインに比し、いくつかの利点、例えば免疫原性の減少を有しうる。この場合もやはり、本明細書の開示に基づき、また、場合により、限られた程度のルーチン実験後に、当業者は、一方でヒト化置換によって与えられる有利な特性と、他方で天然に存在するVHHドメインの有利な特性との間の望ましい又は好適なバランスを最適化又は達成する、ヒト化置換又はヒト化置換の適切な組合せを選択できるだろう。
いくつかの非限定的な好ましいラクダ化置換は、表4〜7より導かれる。ラクダ化置換は、一般的に、1つ以上の他のアミノ酸位置における置換より所望特性に大きな影響を与えるであろう1つ以上の特徴残基における置換であることも明らかだろうが、両方及びそのいずれの適切な組合せも本発明の範囲に包含される。例えば、1つ以上のラクダ化置換を導入して、既に少なくとも何らかの所望特性を与えてから、さらにラクダ化置換を導入して、前記特性をさらに向上させ、及び/又は追加の有利な特性を与えることができる。この場合もやはり、当業者は、一般的に、本明細書の開示に基づき、また場合により、例えば、有限数の可能なラクダ化置換を導入すること及びナノ抗体の有利な特性が得られたか又は改善されたか(すなわち元のVHドメインと比較して)を決定することを含みうる限られた程度のルーチン実験後に、適切なラクダ化置換、又はラクダ化置換の適切な組合せを決定及び選択できるだろう。
しかしながら、一般的に、このようなラクダ化置換は、好ましくは生じるアミノ酸配列が少なくとも(a)位置108にQ;及び/又は(b)位置45に荷電アミノ酸又はシステイン残基と、好ましくは位置にEも、さらに好ましくは位置44にEと位置45にR;及び/又は(c)位置103にP、R若しくはSを含み;かつ場合により1つ以上のさらなるラクダ化置換を含みうるようなものである。さらに好ましくは、ラクダ化置換は、本発明のナノ抗体及び/又はその類似体(本明細書の定義どおり)、例えばヒト化類似体及び/又は好ましくは先行するパラグラフで定義した類似体をもたらすようなものである。
一般的に、このような本発明のナノ抗体(その類似体を含む)の部分又はフラグメントは、本発明の対応する全長ナノ抗体(又はその類似体)のアミノ酸配列に比し、N-末端の1つ以上のアミノ酸残基、C-末端の1つ以上のアミノ酸残基、1つ以上の隣接する内部アミノ酸残基、又はこれらのいずれかの組合せが欠失及び/又は除去されている、アミノ酸配列を有する。
これら部分又はフラグメントは、好ましくは、それらが、10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットルの解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012 M-1の結合親和性で、及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10nM未満、例えば500pMの親和性で、A-βに結合できるようなものである。例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、それ自体既知のやり方で、A-βに対する該類似体の親和性を決定することができる。
いずれの部分又はフラグメントも、好ましくは、本発明の対応する全長ナノ抗体のアミノ酸配列の少なくとも10個の隣接するアミノ酸残基、好ましくは少なくとも20個の隣接するアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも30個の隣接するアミノ酸残基、例えば少なくとも40個の隣接するアミノ酸残基を含むようなものである。
また、いずれの部分又はフラグメントも、好ましくは、少なくとも1つのCDR1、CDR2及び/又はCDR3、或いは少なくともその一部(特に、少なくともCDR3又は少なくともその一部)を含むようなものである。さらに好ましくは、いずれの部分又はフラグメントも、好ましくは適切なフレームワーク配列又は少なくともその一部で連結されている、少なくとも1つのCDR(好ましくは少なくともCDR3又はその一部)と、少なくとも1つの他のCDR(すなわちCDR1若しくはCDR2)又は少なくともその一部とを含むようなものである。さらに好ましくは、いずれの部分又はフラグメントも、この場合もやはり、好ましくは適切なフレームワーク配列又は少なくともその一部で連結されている、少なくとも1つのCDR(好ましくは少なくともCDR3又はその一部)と、残りのCDRの少なくとも一部とを含むようなものである。
別の非限定的な特に好ましい実施態様では、このような部分又はフラグメントは、本発明の対応する全長ナノ抗体の少なくともCDR3、例えばFR3、CDR3及びFR4を含む。すなわち、例えば国際出願WO 03/050531(Lasters et al.)に記載されているとおりである。
既に上述したように、2つ以上のこのような部分又はフラグメント(すなわち、本発明の同一又は異なるナノ抗体由来)を組み合わせて、すなわち類似体(本明細書の定義どおり)を提供し、及び/又は本発明のナノ抗体のさらなる部分若しくはフラグメント(本明細書の定義どおり)を提供することもできる。例えば、本発明のナノ抗体の1つ以上の部分又はフラグメントを、ヒトVHドメインの1つ以上の部分又はフラグメントと組み合わせることができる。
好ましい一実施態様では、該部分又はフラグメントは、配列番号73〜105のナノ抗体の1つと、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、なおさらに好ましくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%、95%又は99%以上の配列同一性の度合を有する。
該部分及びフラグメント、並びに該部分及びフラグメントをコードする核酸配列は、それ自体周知のいずれの方法によっても提供し、任意に組み合わせることができる。例えば、このような部分又はフラグメントは、本発明の完全長ナノ抗体をコードする核酸に終止コドンを挿入してから、このようにして得られた核酸を、それ自体周知の方法(例えば、本明細書で述べるような)で発現させることによって得られる。或いは、本発明のフルサイズナノ抗体をコードする核酸を適切に制限するか、又はこのような核酸を、それ自体周知の方法で合成することによって、前記部分又はフラグメントを得ることができる。それ自体周知のペプチド合成の技術を用いて、部分又はフラグメントを提供することもできる。
このような修飾の例、並びにこのような様式で(すなわちタンパク質骨格上でも側鎖上でもよいが、好ましくは側鎖で)修飾しうるナノ抗体配列内のアミノ酸残基の例、該修飾を導入するために使用可能な方法と技術、及び該修飾の可能な用途と利点は、当業者にとっては明らかだろう。
例えば、該修飾は、本発明のナノ抗体中又はナノ抗体上への、1つ以上の官能基、残基又は部分、特に本発明のナノ抗体に1つ以上の所望の特性又は官能性を与える1つ以上の官能基、残基又は成分の導入を含みうる。当業者にはこのような官能基の例が明白だろう。
例えば、該修飾は、本発明のナノ抗体の半減期、溶解性及び/又は吸収作用を増大させ、本発明のナノ抗体の免疫原性及び/又は毒性を低減し、本発明のナノ抗体のいかなる望ましくない副作用も排除若しくは弱め、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドに他の有利な特性を与え、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドの望ましくない特性を減少させる;或いは上記2つ以上のいずれかの組合せに該当する1つ以上の官能基の導入(例えば、共有結合により、又は他のいずれかの適切な様式で)を含みうる。このような官能基の例、及び該官能基を導入する技術の例は、当業者には明らかであろうし、通常、本明細書で引用した一般的な背景技術で言及されているすべての官能基と技術、及び医薬用タンパク質の修飾、特に抗体若しくは抗体フラグメント(ScFv及び単一抗体を含む)の修飾のためのそれ自体周知の官能基と技術を含みうる。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1980)を参照されたい。このような官能基は、例えば、本発明のナノ抗体に直接連結(例えば、共有結合で)され、或いは場合により適切なリンカーを介して連結される。この場合もやはり、当業者には明らかだろう。
好ましくは、特にシスチン-残基による部位特異的PEG化が用いられる(例えばYang et al., Protein Engineering, 16, 10, 761-770 (2003)参照)。例えば、この目的のため、本発明のナノ抗体中に天然に存在するシスチン残基にPEGを付着させ、或いはPEGの付着用の1つ以上のシスチン残基を適切に導入するように本発明のナノ抗体を修飾し、或いはPEGの付着用の1つ以上のシスチン残基を含むアミノ酸配列を本発明のナノ抗体のN-末端及び/又はC-末端に融合することでき、すべて、当業者にはそれ自体周知のタンパク質操作技術を利用する。
好ましくは、本発明のナノ抗体及びタンパク質のためには、5000より大きい分子量、例えば10,000より大きく、200,000未満、例えば100,000未満;例えば20,000〜80,000の範囲の分子量のPEGを用いる。
別の通常あまり好ましくない修飾は、本発明のナノ抗体又はポリペプチドを発現させるために用いる宿主細胞によって決まる、通常、翻訳と同時及び/又は翻訳後の修飾の一部としてN-結合又はO-結合グリコシル化を含む。
本発明のこのような標識化ナノ抗体及びポリペプチドは、特定標識の選択によるだろうが、例えば、in vitro、in vivo又はin situアッセイ(それ自体周知のイムノアッセイ、例えばELISA、RIA、EIA及び他の“サンドイッチアッセイ”等が挙げられる)、並びにin vivo診断及び画像処理目的で使用される。
当業者には明らかなように、別の修飾はキレート基の導入、例えば上記金属又は金属カチオンの1つをキレート化することを含みうる。適切なキレート基として、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられるが、これらは限定的でない。
当業者には、他の可能性のある化学的及び酵素的修飾が明白だろう。このような修飾を研究目的で(例えば、機能-活性の関連性を研究するため)導入することもできる。例えば、Lundblad and Bradshaw, Biotechnol. Appl. Biochem., 26, 143-151 (1997)を参照されたい。
好ましくは、誘導体は、10-5〜10-12モル/リットル以下、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、さらに好ましくは10-8〜10-12モル/リットルの解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、さらに好ましくは少なくとも109 M-1、例えば少なくとも1012 M-1の結合親和性で、及び/又は500nM未満、好ましくは200nM未満、さらに好ましくは10nM未満、例えば500pMの親和性で、A-βに結合するようなものである。例えば本明細書で述べるアッセイを用いて、それ自体既知の方法で、A-βに対する本発明のナノ抗体の誘導体の親和性を決定することができる。
上述したように、本発明は、本質的に少なくとも1つの本発明のナノ抗体から成るか又は該ナノ抗体を含むタンパク質又はポリペプチドにも関する。“本質的に〜から成る”とは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が、本発明のナノ抗体のアミノ酸配列と完全に同一であるか、或いは本発明のナノ抗体のアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシ末端、又はアミノ末端とカルボキシ末端の両方に付加された有限数のアミノ酸残基、例えば1〜20個のアミノ酸残、例えば1〜10個のアミノ酸残基、好ましくは1〜6個のアミノ酸残基、例えば1、2、3、4、5若しくは6個のアミノ酸残基を有する、前記ナノ抗体のアミノ酸配列に相当する意である。
a)例えば異種宿主細胞又は宿主生物内での発現の結果として、N-末端Met残基を含みうる。
b)合成時に宿主細胞からナノ抗体の分泌を方向づけるシグナル配列又はリーダー配列を形成しうる。好適な分泌リーダーペプチドは当業者には明らかだろうし、本明細書でされに述べるとおりでよい。通常、このようなリーダー配列をナノ抗体のN-末端に連結するが、最も広い意味の本発明はそれに限定されない;
c)ナノ抗体を、特有の器官、組織、細胞、又は細胞の部分若しくは区画に向けさせ及び/又はそれらの中に浸透又は入るようにする配列若しくはシグナル、及び/又はナノ抗体を生体関門、例えば細胞膜、細胞層、例えば上皮細胞の層、固形腫瘍といった腫瘍、又は血液脳関門に浸透又は通過するようにする配列若しくはシグナルを形成しうる。このようなアミノ酸配列の例は当業者には明白だろう。いくつかの非限定例は、WO 03/026700及びTemsamani et al., Expert Opin. Biol. Ther., 1, 773 (2001); Temsamani and Vidal, Drug Discov. Today, 9, 1012 (004)及びRousselle, J. Pharmacol. Exp. Ther., 296, 124-131 (2001)に記載されている小ペプチドベクター(“Pep-トランスベクター”)、及びZhao et al., Apoptosis, 8, 631-637 (2003)に記載されている膜トランスロケーター配列である。抗体フラグメントの細胞内ターゲティングのためのC-末端及びN-末端アミノ酸は、例えばCardinale et al., Methods, 34, 171 (2004)に記載されている。細胞内ターゲティングの他の適切な技術は、後述するような、本発明のナノ抗体を含むいわゆる“イントラボディ(intrabody)(細胞内抗体)”の発現及び/又は使用を含む;
d)“タグ”を形成し得る。該アミノ酸残基は、例えば本ナノ抗体の精製を許容又は促進するアミノ酸配列若しくは残基対して親和性技術を用いて、本ナノ抗体の精製を許容又は促進するアミノ酸配列若しくは残基を形成しうる。その後、前記配列又は残基を除去して(例えば化学的又は酵素的切断)ナノ抗体配列を与えることができる(この目的のため、場合により切断しうるリンカー配列を介してナノ抗体配列に連結してよく、或いはタグが切断しうるモチーフを含んでよい)。このような残基の非限定的な好ましいいくつかの例は、複数のヒスチジン残基、グルタチオン残基及びmyc-タグ、例えばAAAEQKLISEEDLNGAA[配列番号31]である;
e)官能化されている及び/又は官能基の付加用部位として働きうる1つ以上のアミノ酸残基であり得る。適切なアミノ酸残基及び官能基は当業者には明らかだろうし、限定するものではないが、本発明のナノ抗体の誘導体について本明細書で言及したアミノ酸残基及び官能基が挙げられる;
この1つ以上のさらなるアミノ酸配列は、いずれの適切な及び/又は望ましいアミノ酸配列でもよい。このさらなるアミノ酸配列は、ナノ抗体の(生物学的)特性を変更し、変化させ、又は別のやり方で前記特性に影響を与えても与えなくてもよく、本発明のナノ抗体若しくはポリペプチドにさらなる機能性を追加してもしなくてもよい。好ましくは、さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノ抗体又はポリペプチドに1つ以上の望ましい特性を与えるようなものである。
このようなアミノ酸配列の例は当業者には明らかだろうし、一般的に、通常の抗体及びそのフラグメント(限定するものではないが、ScFv及び単一抗体が挙げられる)に基づくペプチド融合で用いられるすべてのアミノ酸配列を含みうる。例えばHolligerとHudsonのレビュー:Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136 (2005)を参照されたい。
例えば、このようなアミノ酸配列は、本発明のナノ抗体自体に比し、本発明のポリペプチドの半減期、可溶性、若しくは吸収作用を増大させ、その免疫原性若しくは毒性を減少させ、望ましくない副作用を排除若しくは弱め、及び/又は他の有利な特性を与え、及び/又はその望ましくない特性を減じるアミノ酸配列でよい。このようなアミノ酸配列のいくつかの非限定例は、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン(例えば、WO 00/27435参照)又はハプテン分子(例えば循環する抗体によって認識されるハプテン、例えばWO 98/22141参照)である。
本発明の別の実施態様により、1つ以上のさらなるアミノ酸配列は、通常の4-鎖抗体(特にヒト抗体)及び/又は重鎖抗体の1つ以上の部分、フラグメント若しくはドメインを含みうる。例えば、通常あまり好ましくないが、本発明のナノ抗体を通常の(好ましくはヒトの)VH若しくはVLドメインに、又はVH若しくはVLドメインの天然若しくは合成類似体に連結してよく、この場合もやはり、場合によりリンカー配列(限定するものではないが、他の(単)ドメイン抗体、例えばWard et al.によって記載されているdAb)を介して連結してよい。
少なくとも1つのナノ抗体を1つ以上の(好ましくはヒト)CH1、CH2及び/又はCH3ドメインに連結することができ、場合によりリンカー配列を介して連結してもよい。例えば、適切なCH1ドメインに連結したナノ抗体は、例えば、適切な軽鎖と一緒に用いて、通常のFabフラグメント若しくはF(ab’)2フラグメントに類似しているが、通常のVHドメインの一方(この場合はF(ab’)2フラグメント)又は両方が、本発明のナノ抗体で置き換えられている抗体フラグメント/構造を生成できるだろう。また、2つのナノ抗体をCH3ドメインに連結して(場合によりリンカーを介してもよい)、in vivo半減期が増大した構築物を与えることもできるだろう。
さらなるアミノ酸配列は、合成時に宿主細胞からの本発明のナノ抗体又はポリペプチドの分泌を方向づけるシグナル配列又はリーダー配列をも形成しうる(例えば、本発明のポリペプチドを発現させるために用いる宿主細胞にもよるだろうが、本発明のプレ-、プロ-又はプレプロ-型を与えるため)。
さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノ抗体又はポリペプチドを、特有の器官、組織、細胞、又は細胞の部分若しくは区画に向けさせ及び/又はそれらの中に浸透又は入るようにする配列若しくはシグナル、及び/又は本発明のナノ抗体又はポリペプチドを生体関門、例えば細胞膜、細胞層、例えば上皮細胞の層、固形腫瘍といった腫瘍、又は血液脳関門に浸透又は通過するようにする配列若しくはシグナルをも形成しうる。このようなアミノ酸配列の好適な例は当業者には明白だろうし、例えば限定するものではないが、上述した“Peptrans”ベクター、Cardinale et al.らによって記載されている配列、及び例えばWO 94/02610、WO 95/22618、US-A-6004940、WO 03/014960、WO 99/07414;WO 05/01690;EP 1 512 696;及びCattaneo, A. & Biocca, S. (1997) Intracellular Antibodies: Development and Applications. Landes and Springer-Verlag;及びKontermann, Methods 34, (2004), 163-170、及び本明細書に記載のさらなる参考文献に記載されているような、いわゆる“イントラボディ(細胞内抗体)”として本発明のナノ抗体及びポリペプチドを発現又は産生させるために使用できる、それ自体既知のアミノ酸配列と抗体フラグメントが挙げられる。
本発明の多価ポリペプチドでは、2つ以上のナノ抗体は同一又は異なってよく、かつ同一の抗原若しくは抗原決定基に向けられ(例えば同一の部分若しくはエピトープに向けられ、又は異なる部分若しくはエピトープに向けられ)、或いは異なる抗原若しくは抗原決定基に向けられてよく;或いはそのいずれかの適切な組合せでよい。例えば、本発明の二価ポリペプチドは、(a)2つの同一のナノ抗体;(b)タンパク質又は抗原の第1の抗原決定基に対する第1のナノ抗体と、前記第1のナノ抗体と異なる、前記タンパク質又は抗原の同じ抗原決定基に対する第2のナノ抗体;(c)タンパク質又は抗原の第1の抗原決定基に対する第1のナノ抗体と、前記タンパク質又は抗原の別の抗原決定基に対する第2のナノ抗体;(d)第1のタンパク質又は抗原に対する第1のナノ抗体と、第2のタンパク質又は抗原(すなわち、前記第1の抗原と異なる)に対する第2のナノ抗体を含みうる。同様に、本発明の三価ポリペプチドは、例えば、限定するものではないが、(a)3つの同一のナノ抗体;(b)抗原の第1の抗原決定基に対する2つの同一のナノ抗体と、同じ抗原の異なる抗原決定基に対する第3のナノ抗体;(c)抗原の第1の抗原決定基に対する2つの同一のナノ抗体と、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に対する第3ナノ抗体;(d)第1の抗原の第1の抗原決定基に対する第の1ナノ抗体と、前記第1の抗原の第2の抗原決定基に対する第2のナノ抗体と、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に対する第3のナノ抗体;又は(e)第1の抗原に対する第1のナノ抗体と、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に対する第2のナノ抗体と、前記第1及び第2の抗原と異なる第3の抗原に対する第3のナノ抗体を含みうる。
従って、本発明の二重特異性ポリペプチドは、その最も簡単な形態では、A-βに対する第1のナノ抗体と、第2の抗原に対する第2のナノ抗体を含み、前記第1及び第2のナノ抗体は場合によりリンカー配列(本明細書の定義による)を介して連結していてもよい、本発明の二価ポリペプチドであり;本発明の三重特異性ポリペプチドは、その最も簡単な形態では、A-βに対する第1のナノ抗体と、第2の抗原に対する第2のナノ抗体と、第3の抗原に対する第3のナノ抗体とを含み、前記第1、第2及び第3のナノ抗体は場合により1つ以上、特に1つ、さらに特に2つのリンカー配列を介して連結していてもよい、本発明の三価ポリペプチド(本明細書の定義どおり)である。
しかしながら、上記説明から明らかなように、本発明の多重特異性ポリペプチドが、A-βに対する少なくとも1つのナノ抗体と、A-βと異なる1つ以上の抗原に対するいずれの数のナノ抗体も含みうるという意味で、本発明はこれらに限定されない。
さらに、本発明のポリペプチド中の種々のナノ抗体の特有の順序又は配置が本発明の最終ポリペプチドの特性(限定するものではないが、A-βに対する親和性、特異性若しくはアビディティー又は1つ以上の他の抗原に対する親和性、特異性若しくはアビディティーが挙げられる)に何らかの影響を与えうることは本発明に範囲に包含されるが、前記順序又は配置は通常重要でなく、当業者は、場合により本明細書の開示に基づく有限数のルーチン実験後に、前記順序又は配置を適宜選択することができる。従って、本発明の特有の多価又は多重特異性ポリペプチドに言及している場合、明示的に別の意味で指定しない限り、これは関連ナノ抗体のいずれの順序又は配置も包含することに留意すべきである。
1つ以上のVHHドメインを含有する多価ポリペプチドと多重特異性ポリペプチド及びその製法については、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001、並びに例えばWO 96/34103及びWO 99/23221も参照されたい。本発明のいくつかの特有の多重特異性及び/又は多価ポリペプチドのいくつかの他の例は、本明細書で言及した出願人の出願で見られる。
本発明の多重特異性ポリペプチドの1つの非限定例的な好ましい例は、少なくとも1つの本発明のナノ抗体と、半減期を増やす少なくとも1つのナノ抗体を含む。このようなナノ抗体のいくつかの非限定的な好ましい例として、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、チロキシン-結合タンパク質、(ヒト)トランスフェリン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、例えばIgG、IgE若しくはIgM、又は本明細書若しくはWO 04/003019に列挙される他の血清タンパク質が挙げられる。
好ましくは、半減期を増加させる前記ナノ抗体は、好ましくは血清アルブミン、特に哺乳動物の血清アルブミンに対するナノ抗体である。通常、医薬用途では、ヒト血清アルブミンに対するナノ抗体が好ましい;しかし、例えばマウス、ラット、ブタ又はイヌの実験では、それぞれマウス血清アルブミン(MSA)、ラット血清アルブミン、ブタ血清アルブミン又はイヌ血清アルブミンに対するナノ抗体を使用できる。くつかの異なる哺乳動物種由来の血清アルブミンに対するナノ抗体を使用することも可能である。
本発明の別の実施態様は、上述したポリペプチド構築物であって、前記少なくとも1つの(ヒト)血清タンパク質が、(ヒト)血清アルブミン、(ヒト)血清免疫グロブリン、(ヒト)のいずれかである、ポリペプチド構築物である。
i)CDR1は以下のアミノ酸配列:
SFGMS [配列番号15]
LNLMG [配列番号16]
INLLG [配列番号17]
NYWMY [配列番号18]
から成る群、
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと2若しくは1つだけ“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるアミノ酸配列であり;
及び、
ii)CDR2は以下のアミノ酸配列:
SISGSGSDTLYADSVKG [配列番号19]
TITVGDSTNYADSVKG [配列番号20]
TITVGDSTSYADSVKG [配列番号21]
SINGRGDDTRYADSVKG [配列番号22]
AISADSSTKNYADSVKG [配列番号23]
AISADSSDKRYADSVKG [配列番号24]
RISTGGGYSYYADSVKG [配列番号25]
から成る群、
又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるアミノ酸配列であり;
及び、
iii)CDR3は下記アミノ酸配列:
DREAQVDTLDFDY [配列番号26]
から成る群、
又は、
上記アミノ酸配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、なおさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
又は、
下記アミノ酸配列:
GGSLSR [配列番号27]
RRTWHSEL [配列番号28]
GRSVSRS [配列番号29]
GRGSP [配列番号30]
からなる群、
及び/又は、
上記アミノ酸配列の1つと3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
より選択される。
- CDR1: SFGMS; CDR2: SISGSGSDTLYADSVKG; CDR3: GGSLSR;
- CDR1: LNLMG; CDR2: TITVGDSTNYADSVKG; CDR3: RRTWHSEL;
- CDR1: INLLG; CDR2: TITVGDSTSYADSVKG; CDR3: RRTWHSEL;
- CDR1: SFGMS; CDR2: SINGRGDDTRYADSVKG; CDR3: GRSVSRS;
- CDR1: SFGMS; CDR2: AISADSSDKRYADSVKG; CDR3: GRGSP;
- CDR1: SFGMS; CDR2: AISADSSDKRYADSVKG; CDR3: GRGSP;
- CDR1: NYWMY; CDR2: RISTGGGYSYYADSVKG; CDR3: DREAQVDTLDFDY。
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない);
及び/又は、
上記CDR、上記アミノ酸配列の1つと(前のパラグラフで示したように)3、2又は1つだけの“アミノ酸の相違”(本明細書の定義による)を有するアミノ酸配列から成る群(ここで、
(1)いずれのアミノ酸置換も好ましくは保存的アミノ酸置換(本明細書の定義による)であり;及び/又は
(2)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較して好ましくはアミノ酸置換だけを含み、アミノ酸の欠失又は挿入を含まない)
から選択されるCDRと置き換わっていてもよい。
ヒト血清アルブミンに対するこれらナノ抗体では、フレームワーク領域FR1〜FR4は、好ましくは本発明のナノ抗体について上で規定したとおりである。
ヒト血清アルブミンに対する、本発明で使用可能ないくつかの非限定的な好ましい例を下の表A-9に列挙する。いくつかの代替的血清アルブミンバインダー(マウス血清アルブミンに対する、ヒト血清アルブミンに対する、及びヒト血清アルブミンに対するヒト化ナノ抗体)は、それぞれ添付の表3、4及び5に示される。
また、半減期が増加した本発明のいずれの誘導体及び/又はポリペプチドも好ましくは1時間より長い、好ましくは2時間より長い、さらに好ましくは6時間より長い、例えば12時間より長い半減期、例えば、約1日、2日、1週間、2週間若しくは3週間、好ましくは最高2カ月の半減期を有するが、後者はあまり重要でないかもしれない。
半減期は、一般的に該ポリペプチドの血清濃度が、例えば、リガンドの分解及び/又は自然のメカニズムによるリガンドのクリアランス若しくは隔離によって、生体内で50%まで減少するのにかかる時間として定義することができる。当業者は、半減期の薬物動態学的解析方法及び決定方法に精通している。詳細はKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)で見つかるだろう。Marcel Dekker, 2 nd Rev. ex edition (1982)によって出版された“Pharmacokinetics”, M Gibaldi & D Perronも参照されたい。
多価及び多重特異性ポリペプチドで使うための好適なスペーサー又はリンカーは当業者に明らかだろうし、一般的にアミノ酸配列を連結するために当技術で用いられるいずれのリンカー又はスペーサーでもよい。好ましくは、前記リンカー又はスペーサーは、医薬用途を意図したタンパク質又はポリペプチドの構築で使うのに適する。
いくつかの特に好ましいスペーサーとして、抗体フラグメント又は抗体ドメインを連結するために当技術で用いられるスペーサー及びリンカーが挙げられる。これには、上で引用した一般的な背景技術で言及したリンカー、並びに例えばディアボディ(diabody)又はScFvフラグメントを構築するために当技術で用いられるリンカーが挙げられる(しかし、この点に関して、ディアボディ及びScFvフラグメントでは、使用するリンカーが、隣接するVH及びVLドメインが一緒になって完全な抗原結合部位を形成できるような長さ、フレキシビリティー度及び他の特性を持たなければならないが、本発明のポリペプチドで使用するリンカーの長さ又はフレキシビリティーには、各ナノ抗体単独で完全な抗原結合部位を形成するので、何ら特定の制限がないことに注意すべきである)。
例えば、リンカーは適宜のアミノ酸配列、特に1〜50、好ましくは1〜30、例えば1〜10個のアミノ酸残基のアミノ酸配列でよい。このようなアミノ酸配列のいくつかの好ましい例として、gly-serリンカー、例えば(glyxsery)z型、例えばWO 99/42077に記載されているような(gly4ser)3又は(gly3ser2)3、ヒンジ様領域、例えば天然に存在する重鎖抗体のヒンジ領域又は同様の配列(例えば、WO 94/04678に記載されている当該配列)が挙げられる。
いくつかの他の特に好ましいリンカーは、ポリ-アラニン(例えばAAA)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS30”、配列番号32)及びGGGGSGGGS(“GS9”、配列番号33)であり、AAAとGS9が特に好ましい。いくつかの他のリンカー配列は表7に列挙されている。
他の適切なリンカーは、一般的に有機化合物又はポリマー、特に医薬用途のタンパク質で使うのに適したものを含む。例えば、ポリ(エチレングリコール)成分を用いて抗体ドメインを連結している。例えば、WO 04/081026を参照されたい。
例えば、多量体の抗原(例えば多量体の受容体又は他のタンパク質)に対するナノ抗体を含む本発明の多価ポリペプチドでは、リンカーの長さとフレキシビリティーは、好ましくは該ポリペプチド中に存在する本発明の各ナノ抗体が該多量体の各サブユニット上の抗原決定基に結合できるようにするようなものである。同様に、同じ抗原上の2つ以上の異なる抗原決定基に対する(例えば抗原の異なるエピトープに対する、及び/又は多量体の受容体、チャンネル若しくはタンパク質の異なるサブユニットに対する)ナノ抗体を含む本発明の多重特異性ポリペプチドでは、該リンカーの長さとフレキシビリティーは、好ましくは各ナノ抗体がその意図した抗原決定基に結合できるようにするものである。この場合もやはり、当業者は、本発明の開示に基づいて、場合により有限のルーチン実験後に、本発明の特有のポリペプチドで使う最適のリンカーを決定できるだろう。
使用するリンカーが本発明のポリペプチドに1つ以上の他の有利な特性又は機能性を与え、及び/又は誘導体の形成用の1つ以上の部位及び/又は官能基の付着用の1つ以上の部位を与える(例えば、本発明のナノ抗体の誘導体について本明細書で述べたとおり)ことも本発明の範囲内である。例えば、1つ以上の荷電アミノ酸残基(上表A-2参照)を含有するリンカーは親水特性を改良することができ、さらに小さいエピトープ又はタグを形成又は含むリンカーは、検出、同定及び/又は精製の目的で使用できる。この場合もやはり、当業者は、本明細書の開示に基づいて、場合により有限のルーチン実験後に、本発明の特有のポリペプチドで使う最適のリンカーを決定できるだろう。
通常、発現及び生産を容易にするため、本発明のポリペプチドは直線状ポリペプチドだろう。しかし、最も広い意味の本発明はそれに限定されない。例えば、本発明のポリペプチドが3つ以上のナノ抗体を含む場合、3つ以上の“腕”を持つリンカーを用いてそれらを連結して、各“腕”をナノ抗体に連結して“星形”構築物を与えることができる。通常あまり好ましくないが、環状構築物を使うこともできる。
本発明は、本発明のナノ抗体の誘導体に本質的に類似しうる、すなわち本明細書で述べるような、本発明のポリペプチドの誘導体をも含む。
本発明は、本発明のポリペプチドから“本質的に成る”タンパク質又はポリペプチドをも含む(ここで、“本質的に〜から成る”という表現は、上述した意味と本質的に同じ意味を有する)。
本発明の1つの実施態様により、本発明のポリペプチドは、本明細書の定義による、本質的に単離された形態である。
当業者には明らかなように、本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドの1つの特に有用な調製方法は、一般的に以下の工程を含む:
−本発明の前記ナノ抗体又はポリペプチドをコードする核酸(本明細書では“本発明の核酸”とも称する)の、適切な宿主細胞又は宿主生物(本明細書では“本発明の宿主”とも称する)内、又は別の適切な発現系内での発現、場合により、その後:
−このようにして得られた本発明のナノ抗体又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程。
特に、該方法は、以下の工程:
−本発明の宿主を、本発明の前記宿主が、本発明の少なくとも1つのナノ抗体及び/又はペプチドを発現及び/又は産生するような条件下で培養及び/又は維持する工程;場合により、その後:
−このようにして得られた本発明のナノ抗体又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程。
本発明の一実施態様によれば、本発明の核酸は、本明細書においては、本質的に単離された形態である。
本発明の核酸は、本明細書で提供される本発明のポリペプチドのアミノ酸配列についての情報に基づき、それ自体周知の方法で調製され、又は得られ、及び/又は適切な天然源から単離されうる。類似体を提供するため、例えば、天然に存在するVHHドメインをコードするヌクレオチドを部位特異的変異導入に供して、前記類似体をコードする本発明の核酸を提供することができる。また、当業者には明らかなように、本発明の核酸を調製するため、いくつかのヌクレオチド配列、例えばナノ抗体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、例えば1つ以上のリンカーをコードする核酸を適切な方法で一緒に連結することができる。
本発明の核酸の生成技術は当業者には明らかだろうし、例えば、限定するものではないが、自動DNA合成;部位特異的変異導入;2つ以上の天然に存在する及び/又は合成配列(又はその2つ以上の部分)の組合せ;切り詰められた(truncated)発現産物の発現をもたらす変異の導入;1つ以上の制限部位の導入(例えば、適切な制限酵素を用いて容易に消化及び/又は連結されるカセット及び/又は領域を生成するため)、及び/又は1つ以上の“ミスマッチ”プライマーを用いる、例えば鋳型として天然に存在するGPCRを用いるPCR反応を利用する変異の導入が挙げられる。これらの技術及び他の技術は当業者には明白だろうし、この場合もやはり、標準ハンドブック、例えば上述したSambrook et al.及びAusubel et al.、並びに以下の実施例を参照されたい。
本発明の遺伝的構築物はDNA又はRNAでよく、好ましくは二本鎖DNAである。本発明の遺伝的構築物は、意図した宿主細胞又は宿主生物の形質転換に適した形態、意図した宿主細胞のゲノムDNA中への組込みに適した形態或いは意図した宿主生物内での自主的複製、維持及び/又は遺伝に適した形態でもよい。例えば、本発明の遺伝的構築物は、ベクター、例えばプラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター又はトランスポゾンの形態でよい。特に、ベクターは発現ベクター、すなわちin vitro及び/又はin vivo発現(例えば適切な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系内で)を与えうるベクターでよい。
a)機能可能に以下の要素b)に連結されている、少なくとも1つの本発明の核酸;
b)少なくとも1つの調節要素、例えばプロモーター、場合により適切なターミネーター
を含み、場合により、
c)それ自体既知の、遺伝的構築物の1つ以上のさらなる要素を含んでよい。
用語“調節要素”、“プロモーター”“ターミネーター”及び“機能可能に連結”は、それらの技術上普通の意味を有し(さらに本明細書で述べるとおり);かつ遺伝的構築物に存在する前記“さらなる要素”は、例えば3’-若しくは5’-UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は形質転換若しくは組込み(の効率)を促進又は高めうる要素でよい。該遺伝的構築物に好適なこれらの要素及び他の要素は、当業者には明らかだろうし、例えば、使用する構築物のタイプ、意図した宿主細胞若しくは宿主生物;問題の本発明のヌクレオチド配列を発現させる様式(例えば、構成性発現、一時的発現又は誘導性発現);及び/又は使用する形質転換技術によって決まるだろう。例えば抗体及び抗体フラグメント(限定するものではないが、(単)ドメイン抗体及びScFvフラグメントが挙げられる)の発現及び生産用のそれ自体既知の調節配列、プロモーター及びターミネーターは、本質的に類似の様式で使用しうる。
好ましくは、本発明の遺伝的構築物の調節要素及びさらなる要素は、それらが、意図した宿主細胞又は宿主生物内でその意図した生物学的機能を与えうるようなものである。
例えば、プロモーター、エンハンサー又はターミネーターは、意図した宿主細胞又は宿主生物内で“機能可能”でなければならない。これは、(例えば)前記プロモーターが、それが機能可能に連結されている(本明細書の定義による)ヌクレオチド配列(例えばコード配列)の転写及び/又は発現を開始又は他のやり方で制御/調節できなければならない。
いくつかの特に好ましいプロモーターとして、限定するものではないが、本明細書で述べる宿主細胞内の発現用として周知のプロモーター;特に細菌細胞、例えば本明細書で述べる細菌細胞及び/又は実施例で使用する細菌細胞内での発現用ベクターが挙げられる。
リーダー配列は、意図した宿主細胞又は宿主生物内で、所望の翻訳後修飾を可能にし、及び/又は転写されたmRNAを細胞の所望の部分若しくは器官に方向づけるようなものでなければならない。リーダー配列は、前記細胞由来の発現産物の分泌をも可能にしうる。それ自体では、リーダー配列は、宿主細胞又は宿主生物内で機能可能ないずれのプロ-、プレ-、若しくはプレプロ-配列でもよい。リーダー配列は、細菌細胞内での発現には必要でないこともある。例えば、抗体及び抗体フラグメント(限定するものではないが、単一抗体及びScFvフラグメントが挙げられる)の発現及び生産用として知られるリーダー配列は、本質的に類似の様式で使用されうる。
発現マーカー又はレポーター遺伝子は、宿主細胞又は宿主生物内で、該遺伝的構築物(上に存在する遺伝子又はヌクレオチド配列)の発現の検出ができるようなものでなければならない。発現マーカーは、場合により、例えば細胞の特有の部分若しくは器官内及び/又は多細胞生物の特有の細胞、組織、器官若しくは部分内の発現産物の局所化を可能にすることもある。該レポーター遺伝子は、本発明のアミノ酸配列との融合タンパク質として発現されることもある。いくつかの非限定的な好ましい例としてGFPのような蛍光タンパク質が挙げられる。
適切なプロモーター、ターミネーター及びさらなる要素のいくつかの非限定的な好ましい例として、本明細書で述べる宿主細胞内での発現に使用できるもの;特に細菌細胞、例えば本明細書で述べる細菌細胞及び/又は後述する実施例で使用する細菌細胞の発現に好適なものが挙げられる。プロモーター、選択マーカー、リーダー配列、発現マーカー及び本発明の遺伝的構築物で存在/使用しうるさらなる要素、例えばターミネーター、転写及び/又は翻訳エンハンサー及び/又は組込み因子については、一般的なハンドブック、例えば、上述したSambrooket al.及びAusubel et alの文献、並びにWO 95/07463、WO 96/23810、WO 95/07463、WO 95/21191、WO 97/11094、WO 97/42320、WO 98/06737、WO 98/21355、US-A-6,207,410、US-A-5,693,492及びEP 1 085 089で与えられている例を参照されたい。他の例は当業者には明白だろう。上述の一般的な背景技術及び本明細書で引用したさらなる参考文献も参照されたい。
多くの場合、本発明の遺伝的構築物は、それ自体既知の適切な(発現)ベクター内に本発明のヌクレオチド配列を挿入することによって得られるだろう。適切な発現ベクターのいくつかの非限定的な好ましい例は、後述する実施例で使用するもの、及び本明細書で言及するものである。
本発明の核酸及び/又は本発明の遺伝的構築物を用いて、本発明のナノ抗体又はポリペプチドの発現及び/又は生産のため、宿主細胞又は宿主生物を形質転換できる。好適な宿主又は宿主細胞は当業者には明らかだろうし、例えば、いずれの適切な真菌性、原核生物若しくは真核生物の細胞又は細胞系でもよく、或いはいずれの適切な真菌性生物、原核生物若しくは真核生物でもよい。例えば:
−細菌株、限定するものではないが、グラム陰性菌株、例えば大腸菌、プロテウス属、例えばプロテウス・ミラビリス(mirabilis);シュードモナス属、例えば蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)の株;及びグラム陽性菌株、例えばバシラス属、例えば枯草菌若しくはブレビス菌の株;ストレプトミセス属、例えばストレプトミセス・リビダンス(lividans)の株;又はスタヒロコッカス属、例えばスタフィロコッカス・カルノーサス(carnosus)の株;及びラクトコッカス属、例えばラクトコッカス・ラクティスの株が挙げられる;
−真菌細胞、限定するものではないが、トリコデルマ属、例えばトリコデルマ・レエセイ(reesei);パンカビ属、例えばアカパンカビ(Neurospora crassa);ソルダリア属、例えばソルダリア・マクロスポラ(macrospora);アスペルギルス属、例えばアスペルギルス・ニガー若しくはアスペルギルスソーヤ;又は他の糸状菌の種由来の細胞が挙げられる;
−酵母菌細胞、限定するものではないが、サッカロミセス属、例えばサッカロミセス・セレビジエ;スキゾサッカロミセス属、例えばスキゾサッカロミセス・ポンベ;ピキア属、例えばピキア・パストリス又はピキア・メタノリカ(methanolica);ハンセヌラ属(Hansenula)、例えばハンセヌラ・ポリモルファ(polymorpha);クリヴェロミセス属(Kluyveromyces)、例えばクリヴェロミセス・ラクティス;アルクスラ属(Arxula)、例えばアルクスラ・アデニニボランス(adeninivorans);ヤロウイア属(Yarrowia、例えばヤロウイア・リポリチカ(lipolytica)の種由来の細胞が挙げられる;
−両生類の細胞又は細胞系、例えばアフリカツメガエル卵母細胞;
−昆虫由来の細胞又は細胞系、例えば鱗翅目の昆虫由来の細胞/細胞系、限定するものではないが、スポドプテラSF9及びSf21細胞又はショウジョウバエ由来の細胞/細胞系、例えばシュナイダー及びKc細胞が挙げられる;
−植物又は植物細胞、例えばタバコの細胞;及び/又は
−哺乳動物の細胞又は細胞系、例えばヒト由来、哺乳動物由来、限定するものではないが、CHO-細胞、BHK-細胞(例えばBHK-21細胞)及びヒトの細胞又は細胞系、例えばHeLa、COS(例えばCOS-7)及びPER.C6細胞;
並びに、当業者には明らかなように、抗体及び抗体フラグメント(限定するものではないが、(単)ドメイン抗体及びScFvフラグメントが挙げられる)の発現及び生産用として知られている他のすべての宿主又は宿主細胞が挙げられる。上で引用した一般的な背景技術、並びに、例えばWO 94/29457;WO 96/34103;WO 99/42077;Frenken et al., (1998)(前出);Riechmann and Muyldermans, (1999)(前出);van der Linden, (2000)(前出);Thomassen et al., (2002)(前出);Joosten et al., (2003)(前出);Joosten et al., (2005)(前出);及び本明細書で引用するさらなる参考文献も参照されたい。
生産のため、例えば、トランスジェニック動物のミルク内、例えばウサギ、ウシ、ヤギ又はヒツジのミルク内(導入遺伝子を哺乳動物中に導入するための一般的な技術については、例えばUS-A-5,741,957、US-A-5,304,489及びUS-A-5,849,992参照)、植物又は植物の部分(限定するものではないが、葉、花、果実、種子、根又は塊茎(turbers)(例えば、タバコ、トウモロコシ、大豆又はアルファルファ)が挙げられる)又は例えばカイコボムビックス・モリ(Bombix mori)の蛹内で、本発明のナノ抗体及びポリペプチドを生産することもできる。
さらに、細胞のない発現系で本発明のナノ抗体及びポリペプチドを発現及び/又は産生させることもでき、このような系の適切な例は当業者には明らかだろう。いくつかの非限定的な好ましい例として、コムギ胚芽系、ウサギ網状赤血球ライセート;又は大腸菌ズベイ(Zubay)系における発現が挙げられる。
上述したように、ナノ抗体を使用することの1つの利点は、ナノ抗体に基づくポリペプチドを、適切な細菌系内の発現を通じて調製でき、かつ適切な細菌発現系、ベクター、宿主細胞、調節要素などは、例えば上で引用した参考文献から当業者にとって明白なことである。しかしながら、最も広い意味の本発明は細菌系内での発現に限定されないことに留意すべきである。
好ましくは、本発明では、医薬用途に好適な形態で本発明のポリペプチドを与える(in vivo又はin vitro)発現系、例えば細菌発現系が使用され、この場合もやはり、このような発現系は当業者に明白だろう。当業者には明らかなように、ペプチド合成の技術を用いて、医薬用途に好適な本発明のポリペプチドを調製できる。
或いは、哺乳動物の細胞系、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、大規模発現/生産/発酵、特に大規模な医薬用発現/生産/発酵に使用できる。この場合もやはり、このような発現/生産系は、上述したいくつかの会社によって提供されている。
特有の発現系の選択は、部分的に、特定の翻訳後修飾、さらに詳しくはグリコシル化の要求によって決まるだろう。グリコシル化が望ましいか又は必要なナノ抗体含有組換えタンパク質の生産は、発現されたタンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳動物の発現宿主の使用を必要とするだろう。この点に関して、得られるグリコシル化パターンは、発現用に使用される細胞又は細胞系によって決まることは、当業者には分かるだろう。好ましくは、ヒトの細胞又は細胞系を使用するか(すなわち、本質的にヒトグリコシル化パターンを有するタンパク質をもたらす)、或いは本質的及び/又は機能的にヒトグリコシル化又は少なくとも模擬ヒトグリコシル化と同じであるグリコシル化パターンを与えることのできる別の哺乳動物の細胞系を使用する。一般的に、大腸菌のような原核生物宿主はタンパク質をグリコシル化する能力を持たず、酵母菌のような低級真核生物の使用は、通常、ヒトグリコシル化と異なるグリコシル化パターンをもたらす。それにもかかわらず、得るべき所望のナノ抗体又はタンパク質にもよるが、上述したすべての宿主細胞及び発現系を本発明では使用できることに留意すべきである。
従って、本発明の1つの非限定的な実施態様によれば、本発明のナノ抗体又はポリペプチドはグリコシル化される。本発明の別の非限定的な実施態様では、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、グリコシル化されない。
本発明の非限定的な好ましい実施態様により、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、細菌細胞、特に大規模の医薬用生産に好適な細菌細胞、例えば上述した菌株の細胞内で産生される。
別の本発明の非限定的な好ましい実施態様により、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、酵母細胞、特に大規模の医薬用生産に好適な酵母細胞、例えば上述した種の細胞内で産生される。
さらに別の本発明の非限定的な好ましい実施態様により、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、哺乳動物細胞、ヒト細胞内又はヒト細胞系の細胞内、さらに特に大規模の医薬用生産に好適なヒト細胞内又はヒト細胞系の細胞内、例えば上述した細胞系内で産生される。
従って、本発明の1つの非限定的な実施態様によれば、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、細胞内で生産され、かつ宿主細胞から、特に細菌細胞から若しくは細菌細胞内の封入体から単離された、ナノ抗体又はポリペプチドである。本発明の別の非限定的な実施態様によれば、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、細胞外で生産され、かつ宿主細胞を培養している培地から単離された、ナノ抗体又はポリペプチドである。
−大腸菌における発現用:lacプロモーター(及びその誘導体、例えばlacUV5プロモーター);アラビノースプロモーター;ファージλの左方(PL)及び右方(PR)プロモーター;trpオペロンのプロモーター;ハイブリッドlac/trpプロモーター(tac及びtrc);T7-プロモーター(さらに詳しくはT7-ファージ遺伝子10のT7-プロモーター)及び他のT-ファージプロモーター;Tn10テトラサイクリン耐性遺伝子のプロモーター;外来性の調節オペレーター配列の1つ以上のコピーを含む、上記プロモーターの操作された変種;
−酵母(S. cerevisiae)における発現用:構成的発現用:ADH1(アルコールデヒドロゲナーゼ1)、ENO(エノラーゼ)、CYC1(チトクロームc iso-1)、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ);PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK1(ピルビン酸キナーゼ);調節された発現用:GAL1,10,7(ガラクトース代謝酵素)、ADH2(アルコールデヒドロゲナーゼ2)、PHO5(酸ホスファターゼ)、CUP1(銅メタロチオネイン);異種発現用:CaMV(カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター);
−ピキア・パストリスにおける発現用:AOX1プロモーター(アルコールオキシダーゼI)
−哺乳動物細胞における発現用:ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期エンハンサー/プロモーター;該プロモーターがTetリプレッサーによって調節されうるような2つのテトラサイクリンオペレーター配列を含むヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーター変種;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター;ラウス肉腫ウイルス末端反復配列(Rous Sarcoma Virus long terminal repeat)(RSV LTR)エンハンサー/プロモーター;ヒト、チンパンジー、マウス又はラット由来の延長因子1α(hEF-1α)プロモーター;SV40初期プロモーター;HIV-1末端反復配列プロモーター;β-作用プロモーター。
−哺乳動物細胞における発現用ベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pSG5 (Stratagene)、EBO-pSV2-neo(ATCC 37593)、pBPV-1(8-2)(ATCC 37110)、pdBPV-MMTneo(342-12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2-dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及び1ZD35(ATCC 37565)、並びにウイルスベース発現系、例えば、アデノウイルスに基づくもの;
−細菌細胞における発現用:pETベクター(Novagen)及びpQEベクター(Qiagen);
−酵母菌又は他の真菌細胞における発現用:pYES2 (Invitrogen)及びピキア発現ベクター(Invitrogen);
−昆虫細胞における発現用ベクター:pBlueBacII(Invitrogen)及び他のバキュロウィルスベクター;
−植物又は植物細胞における発現用ベクター:例えば、カリフラワーモザイクウイルス若しくはタバコモザイクウイルス、アグロバクテリウム属の適切な菌株に基づいたベクター、又はTi-プラスミドベースベクター。
−細菌細胞、例えば大腸菌で使うため:PelB、Bla、OmpA、OmpC、OmpF、OmpT、StII、PhoA、PhoE、MalE、Lpp、LamB等;TATシグナルペプチド、ヘモリシンC-末端分泌シグナル;
−酵母菌で使うため:α-交配因子プレプロ配列、ホスファターゼ(pho1)、インベルターゼ(Suc)等;
−哺乳動物細胞で使うため:標的タンパク質が真核生物起源の場合の常在シグナル;マウスIgκ鎖V-J2-Cシグナルペプチド等。
形質転換した宿主細胞(安定な細胞系の形態でよい)又は宿主生物(安定な変異体系又は株の形態でよい)が、本発明のさらなる局面を形成する。
好ましくは、これら宿主細胞又は宿主生物は、本発明のアミノ酸配列を発現する、或いは少なくとも本発明のアミノ酸配列を発現できる(例えば、適切な条件下で)ようなものである(並びに、宿主生物の場合:その少なくとも1つの細胞、部分、組織又は器官内で)。本発明は、例えば、細胞分割又は有性生殖又は無性生殖によって得られる、本発明の宿主細胞又は宿主生物のさらなる世代、子孫(progeny)及び/又は子孫(offspring)をも包含する。
一般的に、適切な条件は、適切な培地の使用、適切な起源の食物及び/又は適切な栄養物の存在、適切な温度の使用を含み、場合により適切な誘導因子又は化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にある場合)を含むことがあり;すべて当業者は選択できる。この場合もやはり、このような条件下で、構成的様式で、一時的様式で、又は適切に誘導されたときだけ、本発明のアミノ酸配列が発現しうる。
当業者には、使用する宿主細胞/宿主生物にもよるが、本発明のアミノ酸配列は(まず)未成熟形態(上述したように)で生成され、次いで翻訳後修飾を受けうるということも明白だろう。また、この場合もやはり使用する宿主細胞/宿主生物にもよるが、本発明のアミノ酸配列は、グリコシル化されうる。
次に、本発明のアミノ酸配列は、宿主細胞/宿主生物から及び/又は前記宿主細胞又は宿主生物を培養した培地から、タンパク質の単離及び/又は精製のそれ自体既知の技術、例えば、(調製用)クロマトグラフィー及び/又は電気泳動技術、差別沈降技術、親和性技術(例えば、本発明のアミノ酸配列と融合される特有の切断可能なアミノ酸配列を用いて)及び/又は免疫学的調製技術(すなわち、単離すべきアミノ酸配列に対する抗体を用いて)単離される。
一般的に、医薬用途では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドと、少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体、希釈剤若しくは賦形剤及び/又はアジュバントとを含み、場合により、1種以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチド及び/又は化合物を含んでもよい医薬製剤として、本発明のナノ抗体又はポリペプチドを製剤化しうる。非限定例により、このような製剤は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下注射又は静脈内注入によって)、局所投与、吸入、皮膚パッチ、インプラント、座剤による投与などに適切な形態でよい。このような適切な投与形態−投与様式によって、固体、半固体又は液体でよい−並びにその調製で使う方法及び担体は当業者には明らかだろうし、本明細書でさらに述べる。
一般的に、例えば上記一般的な背景技術(特に、WO 04/041862、WO 04/041863、WO 04/041865及びWO 04/041867)及び標準的なハンドブック、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Company, USA (1990) or Remington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005)を参照して、それ自体既知のいずれの適切な方法でも本発明のナノ抗体及びポリペプチドを製剤化かつ投与することができる。
例えば、通常の抗体及び抗体フラグメント(ScFv及びディアボディが挙げられる)並びに他の医薬的に活性なタンパク質について既知のいずれの方法でも本発明のナノ抗体及びポリペプチドを製剤化及び投与することができる。このような製剤及び該製剤の調製方法は当業者には明らかだろうし、例えば、非経口投与(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、腔内、動脈内又はクモ膜下腔内投与)又は局所(すなわち経皮又は皮内)投与に好適な製剤が挙げられる。
非経口投与用製剤は、注入又は注射に好適な、例えば無菌溶液、懸濁液、分散系又はエマルジョンでよい。このような製剤用の適切な担体又は希釈剤として、限定するものではないが、無菌水及び医薬的に許容しうる緩衝液及び溶液、例えば生理学的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース液、及びハンクス液;水油;グリセロール;エタノール;グリコール、例えばプロピレングリコール、並びに鉱油、動物油及び植物油、例えばピーナツ油、大豆油、並びに適切なこれらの混合物が挙げられる。通常、水溶液又は水性懸濁液が好ましい。
また、通常の抗体又は抗体フラグメントに比し、本発明のナノ抗体及びポリペプチドを使用することの1つの主な利点は、それらを非経口投与以外の経路で容易に投与でき、かつ該投与のために容易に製剤化できることである。例えば、国際出願WO 04/041867及び上で参照したさらなる先行技術に記載されているように、経口、鼻腔内、肺内及び経皮投与用に、ナノ抗体及びナノ抗体構築物を製剤化しうる。
本発明の別の実施態様は、血小板媒介凝集を調節する薬剤の同定方法であって、以下の工程:
(a)上述したとポリペプチド構築物を、その標的に対応するポリペプチド、又はそのフラグメントと、前記ポリペプチド間の結合を許容する条件下で、候補調節因子の存在下と非存在下で接触させる工程、及び
(b)工程(a)のポリペプチド間の結合を測定する工程
を含み、
前記候補調節因子の非存在下での結合と比較して、前記候補調節因子の存在下での結合が低減しているとき、前記候補調節因子を、血小板媒介凝集を調節する薬剤と同定する、前記方法である。
本発明の別の実施態様は、血小板媒介凝集という機能障害の特徴がある疾患又は障害の診断方法であって、以下の工程:
(a)サンプルを、上述したポリペプチド構築物と接触させる工程、
(b)前記ポリペプチド構築物の前記サンプルへの結合を検出する工程、および、
(c)工程(b)で検出された結合を基準と比較する工程を含み、
前記サンプルと比較した結合における相違が、血小板媒介凝集という機能障害の特徴がある疾患又は障害の診断指標となる、前記方法である。
本発明の別の実施態様は、上述した方法に従って、血小板媒介凝集という機能障害の特徴がある疾患又は障害の診断用スクリーニングキットである。
本発明の別の実施態様は、上述したポリペプチド構築物を含む、上述したキットである。
技術上周知の方法又はいずれかのさらなる方法を用いて、本発明のナノ抗体を結合して、1つより多くの本発明のナノ抗体を含む、本明細書で開示されるいずれの本発明のポリペプチドをも形成することができる。例えば、アミノ酸残基を、Blattler et al, Biochemistry 24,1517-1524; EP294703によって開示されているような有機誘導体化薬と反応させて、本発明のナノ抗体を化学的架橋によって融合することができる。
本発明のナノ抗体及びポリペプチドは、通常の抗体の有利な特徴、例えば低い毒性と高い選択性を有するのみならず、さらなる特性も示す。本発明のナノ抗体及びポリペプチドは、より可溶性であり、通常の抗体と比較して、より高濃度で貯蔵及び/又は投与しうることを意味する。本発明のナノ抗体及びポリペプチドは室温で安定であり、冷蔵設備なしで調製、貯蔵及び/又は輸送しうることを意味し、コスト、時間及び環境的な節約を与える。
短くて制御できる半減期は、例えば、限られた時間で血小板媒介凝集の阻害を要する外科手術手順で望ましい。また、出血問題又は他の合併症が生じた場合、即座に用量を減少させることができる。本発明のポリペプチドは、普通の生理学的範囲外のpH及び温度でも結合活性を保持し、血小板媒介凝集の調節を要する極端なpH及び温度の状況、例えば、胃の手術、胃の出血の制御、室温で行うアッセイ等において役立ちうることを意味する。本発明のポリペプチドは、過度なpHで持続した安定性をも示し、経口投与による送達に好適であろうことを意味する。本発明のポリペプチドは、簡便な組換え宿主生物、例えば大腸菌及び酵母菌における発酵によって、費用効果的に製造され;高価な哺乳動物細胞培養設備をも必要とする通常の抗体と異なり、達成しうる発現レベルが高い。本発明のポリペプチドの収量の例は、1〜10mg/ml(大腸菌)及び1g/l(酵母菌)までである。本発明のポリペプチドは広範な種々のタイプの抗原に対する高い結合親和性、及び通常の抗体によっては認識されないエピトープに結合する能力をも示し;例えば、本発明のポリペプチドは、キャビティ中に浸透する可能性のある長いCDRベースループ構造を提示し、かつ酵素機能阻害を示す。さらに、多くの場合結合はCDR3ループのみによって生じるので、CDR3由来のペプチドを治療的に使用できると予想される(Desmyter et al., J Biol Chem, 2001, 276: 26285-90)。
本明細書では、機能部分は、問題の相互作用が1x10-6Mかそれより良い親和性で維持されるのに十分な長さの本発明のナノ抗体を指す。
或いは、本発明のナノ抗体の機能部分は、完全アミノ酸配列の一部の欠失を含むが、標的の結合及び標的との相互作用に必要な結合部位及びタンパク質ドメインをなお維持している。
本発明の一局面は、本発明のポリペプチド構築物を提供することによって、先行技術のこれら問題を克服する。前記構築物は、活性を失わずに、経口、舌下、局所、経鼻、膣、直腸デリバリー又は吸入によってデリバリーするのに十分小さく、耐性かつ安定である。本発明のポリペプチド構築物は、注射の必要を回避し、コスト/時間を節約するのみならず、対象にとって便利かつ快適でもある。
本発明のさらなる局面、すなわち活性輸送担体の使用でこの目的をさらに増強することができる。本発明のこの局面では、VHHを、腸壁を通じた血流中への移動を促す担体に融合する。非限定例では、この“担体”は、治療用VHHに融合している第2のVHHである。このような融合構築物は、技術上周知の方法で調製される。この“担体”VHHが腸壁上の受容体に特異的に結合して、腸壁を通じた能動的移行を誘導する。
このプロセスは、本発明のさらなる局面、すなわち活性輸送担体の使用によってさらに促進される。本発明のこの局面では、本明細書で述べたとおりの本発明のナノ抗体又はポリペプチドを、腸壁を通じた血流中への移動を促す担体に融合する。非限定例では、この“担体”は、前記ポリペプチドに融合しているVHHである。このような融合構築物は、技術上周知の方法で調製される。この“担体”VHHが腸壁上の受容体に特異的に結合して、腸壁を通じた能動的移行を誘導する。
本発明の別の実施態様では、本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、肺管腔を介して血液に本発明の前記ナノ抗体又はポリペプチドを輸送するための活性輸送担体として作用する、本発明の担体ナノ抗体(例えばVHH)をさらに含む。
粘膜表面(気管支上皮細胞)上に存在する受容体に特異的に結合する担体をさらに含む本発明のナノ抗体又はポリペプチドは、該ポリペプチドの、肺管腔から血液への能動的な移行をもたらす。本発明の担体ナノ抗体を本発明のナノ抗体又はポリペプチドに融合できる。技術上周知の方法で調製される該融合構築物については本明細書で開示される。本発明の“担体”ナノ抗体が粘膜表面上の受容体に特異的に結合し、該表面を通じた能動的移行を誘導する。
肺から血流への能動的輸送のための受容体の非限定例はFc受容体N(FcRn)である。
本発明の一局面によれば、抗-A-βポリペプチドを経口投与に使用できる。通常の抗体ベース治療薬は、その標的に対する精巧な特異性と低い固有の毒性を有するので、薬物として有意な可能性を有するが、1つの重要な欠点を有する。すなわち、それらはかなり不安定で、かつプロテアーゼによる分解に敏感である。このことは、通常の抗体薬物は経口、舌下、局所、経鼻、膣、直腸投与又は吸入による投与ができないことを意味する。これら部位における低いpH、これら部位におけるプロテアーゼの作用及び血液内で通常の抗体薬物は耐性でなく、及び/又はその大きいサイズのためである。通常の抗体薬物を注射(静脈内、皮下など)で投与して、これらの問題のいくつかを克服しなければならない。注射による投与は、皮下注射器又は針を正確かつ安全に使用するため、専門家の訓練が必要である。さらに、注射による投与は、無菌設備、治療用ポリペプチドの液体製剤、無菌かつ安定な形態の前記ポリペプチドのバイアルパッキング、及び対象の、針を入れるのに適した部位を要する。さらに、注射を受ける前及び受けているとき、対象は一般的に肉体的及び精神的ストレスを経験する。それにもかかわらず、本発明のポリペプチドを注射による投与のために使用してもよい。
本発明の一局面は、本発明の抗-A-βポリペプチドを提供することによって、先行技術のこれら問題を克服する。前記ポリペプチドは、活性を失わずに、経口、舌下、局所、経鼻、膣、直腸デリバリー又は吸入によるデリバリーするのに十分に小さく、耐性かつ安定である。本発明のポリペプチドは、注射の必要を回避し、コスト/時間を節約するのみならず、対象にとって便利かつ快適でもある。
当業者には分かるように、前記ポリペプチドが手に入ったならば、製剤化技術を適用して、正確な位置(胃内、結腸内など)に最大量のポリペプチドを放出しうる。デリバリーのこの方法は、標的が消化管系内にある障害の症状を治療、予防及び/又は軽減するために重要である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、胃環境を通過できるA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を、前記物質を不活性化せずに治療、予防及び/又は軽減する方法である。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、胃環境を通過できるA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を、前記物質を不活性化せずに治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、A-βを制御する物質を、前記物質を不活性化せずに消化管系にデリバリーする方法である。
本発明の別の実施態様は、鼻、上気道及び/又は肺にデリバリーされたA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減するときに使用するための、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドである。
非限定例では、本発明の製剤は、鼻スプレー(例えばエアロゾル)又は吸入器の形態で、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを含む。該ポリペプチドは小さいので、治療用IgG分子よりずっと効率的にその標的に到達できる。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に口又は鼻を通じた吸入によって投与することによって、上気道及び肺にデリバリーされたA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減する方法である。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、鼻、上気道及び/又は肺にデリバリーされたA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を、前記ポリペプチドを不活性化せずに治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象の鼻、上気道及び/又は肺に投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく鼻、上気道及び肺にデリバリーする方法である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象の鼻、上気道及び/又は肺に投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく対象の血流にデリバリーする方法である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に舌下投与することによって、舌下の組織を効率的に通過できるA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減する方法である。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、舌下の組織を通過できるA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に舌下投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく舌下の組織にデリバリーする方法である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく対象の血流にデリバリーする方法である。
本発明の一局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、腸粘膜にデリバリーされたA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減する方法であって、前記障害が腸粘膜の浸透性を増やす場合の前記方法である。
このプロセスは、本発明のさらなる局面、すなわち活性輸送担体の使用によってさらに促進される。本発明のこの局面では、重鎖抗体を、腸壁を通じた血流中への移動を促す担体に融合する。非限定例では、この“担体”は、前記治療用重鎖抗体に融合している第2の重鎖抗体である。このような融合ポリペプチドは、技術上周知の方法で調製される。この“担体”重鎖抗体が腸壁上の受容体に特異的に結合して、腸壁を通じた能動的移行を誘導する。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、腸粘膜にデリバリーされたA-βを制御する物質による調節に敏感な障害の症状を治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用であって、前記障害が腸粘膜の浸透性を増やす場合の前記使用である。
本発明の一局面は、本発明の抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく腸粘膜にデリバリーする方法である。
本発明の一局面は、本発明の抗-A-βポリペプチドを対象に経口投与することによって、A-βを制御する物質を、不活性化することなく対象の血流にデリバリーする方法である。
このプロセスは、本発明のさらなる局面、すなわち活性輸送担体の使用によってさらに促進される。本発明のこの局面では、本明細書で述べたとおりの抗-A-βポリペプチドを、腸壁を通じた血流中への移動を促す担体に融合する。非限定例では、この“担体”は、前記ポリペプチドに融合しているナノ抗体である。このような融合ポリペプチドは、技術上周知の方法で調製される。この“担体”ナノ抗体が腸壁上の受容体に特異的に結合して、腸壁を通じた能動的移行を誘導する。
粘膜表面(気管支上皮細胞)上に存在する受容体に特異的に結合する担体をさらに含む抗-A-βポリペプチドは、該ポリペプチドの、肺管腔から血液への能動的輸送をもたらす。担体重鎖抗体を本ポリペプチドに融合することができる。技術上周知の方法で調製される該融合ポリペプチドについては本明細書で開示される。この“担体”重鎖抗体が粘膜表面上の受容体に特異的に結合し、該表面を通じた能動的移行を誘導する。
本発明の別の局面は、経鼻投与したときに重鎖抗体(例えばナノ抗体)が血流中に能動的に輸送されるかどうかを決定する方法である。同様に、ナイーブな又は免疫ナノ抗体ファージライブラリーを経鼻投与し、投与後の異なる時間後の時点で、血液又は器官を単離して、血流に能動的に輸送されたファージを救出することができる。肺管腔から血流への能動輸送のための受容体の非限定例はFc受容体N(FcRn)である。本発明の一局面には、該方法で同定されるナノ抗体が含まれる。次いで、該ナノ抗体を、経鼻投与したときに血流中の対応する標的に治療用ナノ抗体をデリバリーするための担体ナノ抗体として使用することができる。
ここで述べる障害として、成人ダウン症候群、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、アミロイド多発神経障害、アミロイド心筋症、透析患者のアミロイド、筋肉消耗疾患におけるβ2-ミクログロブリン、β2-アミロイド沈着、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、ボクサー認知症、重症家族性不眠症、ゲルストマン-ストライスラー-シャインカー症候群、グアム-パーキンソン認知症複合、ハレルフォルデン-スパッツ病、アミロイド症による遺伝性大脳白質出血、特発性骨髄腫、封入体筋炎、膵島2型糖尿病、膵島細胞腺腫、クールー、甲状腺の髄様癌、地中海熱、マックル-ウェルズ症候群、内臓神経脂質蓄積症、パーキンソン病、ピック病、ポリグルタミン病(ハンチントン病、ケネディ病及び伸長したポリグルタミン列が関与するすべての型の脊髄小脳失調症を含む)、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎、全身性老年性アミロイド症、スクラピーが挙げられる。
本発明の別の局面は、A-β又はその機能不全によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害又は状態の治療、予防及び/又は軽減するときに使用するための本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドである。
本発明の別の局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、A-β又はその機能不全によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害又は状態の治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用であって、前記ポリペプチドを静脈内、皮下、経口、舌下、局所、経鼻、膣、直腸投与又は吸入によって投与する場合の前記使用である。
本発明の別の局面は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドの、A-β又はその機能不全によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害又は状態の治療、予防及び/又は軽減するための薬物の調製のための使用である。
本発明の別の局面は、A-β又はその機能不全によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害又は状態の治療、予防及び/又は軽減する方法であって、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドを対象に投与する工程を含み、前記ポリペプチドを静脈内、皮下、経口、舌下、局所、経鼻、膣、直腸投与又は吸入によって投与する、前記方法である。
本発明の別の局面は、A-β又はその機能不全によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害又は状態の治療、予防及び/又は軽減する方法である。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体を用いて、対象における、A-β及び/又はタンパク質τ又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害を検出するための方法及びキットである。従って、本方法及びキットは、対象の治療を処方するのにも役立ちうる。適切な治療を設計して、該障害の発生を遅らせ、或いは阻止することができる。本発明は、処方された治療の有効性をモニターするのにも役立つ。
(a)対象からサンプルを得る工程;及び
(b)本発明のA-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体を用いて、前記サンプル中のA-β及び/又はタンパク質τの量を決定する工程。
本発明の別の実施態様は、A-β及び/又はタンパク質τ又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害を診断する方法であって、以下の工程:
(a)サンプルを上述した抗-A-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体と接触させる工程、
(b)前記ポリペプチド又は抗体の前記サンプルとの結合を検出する工程、及び
(c)工程(b)で検出された結合を基準と比較する工程(ここで、前記サンプルと比較した結合における相違がアミロイド斑又は神経原線維変化の形成の特徴がある障害の診断指標となる)
を含む方法である。
本発明の別の実施態様は、A-β及び/又はタンパク質τ又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害を診断する方法であって、以下の工程:
(a)サンプルを上述した抗-A-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体と接触させる工程、及び
(b)前記サンプル中のA-β及び/又はタンパク質τの量を決定する工程、
(c)工程(b)で決定された量を基準と比較する工程(ここで、前記サンプルに比較した量の相違がアミロイド斑又は神経原線維変化の形成の特徴がある障害の診断指標となる)を含む方法である。
本明細書では、用語“接触”は、A-β又はタンパク質τを含有すると推定されるサンプルを、該サンプルをそれぞれのポリペプチドといっしょにする、或いは混合することによって、それぞれ抗-A-βポリペプチド又は抗-タンパク質τ重鎖抗体と出会わせることを指す。A-β及び/又はタンパク質τがサンプル中に存在すると、複合体が形成され;該複合体を検出することができる。検出は定性的、定量的又は半定量的でよい。複合体を形成するために適した条件下で、サンプル中のA-β及び/又はタンパク質τのそれぞれ抗-A-βポリペプチド又は抗-タンパク質τ重鎖抗体への結合が達成される。このような条件(例えば適切な濃度、緩衝液、温度、反応時間)並びに該条件を最適化する方法は当業者には知られている。技術的に標準的な種々の方法を用いて結合を測定できる。該方法として、限定するものではないが、酵素イムノアッセイ(例えば、ELISA)、免疫沈降法、イムノブロットアッセイ、並びに例えばSambrook et al.(前出)及びHarlow et al., Antibodies, a Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Labs Press, 1988)に記載されているような他のイムノアッセイが挙げられる。これらの参考文献は、複合体形成条件の例も提供している。
本発明によれば、複合体が形成されると、複合体が検出される。本明細書では、用語“複合体形成を検出する”は、A-βと複合体を形成した抗-A-βポリペプチド及び/又はタンパク質τと複合体を形成した抗-タンパク質τ重鎖抗体の存在を同定することを意味する。複合体が形成された場合、形成された複合体の量を定量する必要はないが、定量することができる。技術的に標準化されている種々の方法(例えば、前出のSambrook et al参照、その例は本明細書で開示されている)で複合体形成、又は選択的結合を測定(すなわち、検出、決定)することができる。種々の手段で複合体を検出でき、その方法として、限定するものではないが、以下のアッセイの1つ以上の使用が挙げられる:エンザイム-リンクドイムノアッセイ、競合的エンザイム-リンクドイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、側流アッセイ、フロー-スルーアッセイ、アグルチネーションアッセイ、粒子ベースアッセイ(例えば、限定するものではないが、磁性粒子又はプラスチックポリマー、例えばラテックス若しくはポリスチレンビードのような粒子を用いて)、免疫沈降アッセイ、BioCoreアッセイ(例えば、コロイド金を用いて)、イムノドットアッセイ(例えば、CMGのイムノドットシステム, Fribourg, Switzerlandを用いて)、及びイムノブロットアッセイ(例えば、ウエスタンブロット)、リン光アッセイ、フロー-スルーアッセイ、粒子ベースアッセイ、クロマトグラフィーアッセイ、PAGE-ベースアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、分光光度アッセイ及び電子センサーアッセイが挙げられる。当業者には、このようなアッセイは周知である。
他のアッセイでは、検出可能マーカーの抗-A-βポリペプチド、抗-タンパク質τ重鎖抗体又はそれらの標的への連結が、複合体形成の検出を助ける。例えば、検出可能マーカーを、抗-A-βポリペプチド、抗-タンパク質τ重鎖抗体に、それぞれの標的と結合する能力と相互作用しない部位で連結させることができる。連結方法は当業者には周知である。検出可能マーカーの例として、限定するものではないが、放射標識、蛍光標識、化学発光標識、発色団標識、酵素標識、リン光標識、電子標識、金属ゾル標識、着色ビード、物理的標識、又はリガンドが挙げられる。リガンドは、別の分子に選択的に結合する分子を意味する。好ましい選択可能マーカーとして、限定するものではないが、フルオレッセイン、放射性同位体、発色団(例えば、アルカリ性ホスファターゼ)、ビオチン、アビジン、ペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、β-ガラクトシダーゼ、及びビオチン関連化合物又はアビジン関連化合物(例えば、ストレプトアビジン又はImmunoPure NeutrAvidin)が挙げられる。
アッセイによっては、展開剤を添加して、基質を分析用検出装置に委ねる。いくつかのプロトコルでは、一方又は両方の複合体形成工程後に洗浄工程を加えて、過剰な試薬を除去する。このような工程を使用する場合、該工程は、過剰な試薬を除去するが、複合体を保持するような、当業者には周知の条件を含む。
A-β及び/又はタンパク質τのレベルを測定したら、A-β及び/又はタンパク質τ、又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される障害が存在するどうかの評価を行うことができる。このような障害の存在を評価するとは、試験サンプル中のA-β及び/又はタンパク質τのレベルを健康な対象で見られるレベルと比較することを意味する。神経機能の変化がない場合、サンプル中にA-β及び/又はタンパク質τが存在することは、そのような障害の指標となる。
本発明の一局面により、診断キットは、本明細書で述べた本発明の1つ以上の抗-A-βナノ抗体又はポリペプチドを含む。本発明の一局面により、診断キットは、1つ以上の本発明の抗-タンパク質τナノ抗体を含む。
本発明の別の局面により、診断キットは、抗-A-βポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、かつ発現している、本発明の1つ以上の組換え細胞を含む。本発明の別の局面により、診断キットは、抗-タンパク質τ重鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ発現している、本発明の1つ以上の組換え細胞を含む。
本発明で有用なキットは、単離された抗-A-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体、その相同体、又はその機能部分を含みうる。本発明のキットは、前記ポリペプチドを発現するように形質転換された細胞を含みうる。
本発明で有用なキットは、単離されたA-β、又はそのフラグメントを含みうる。これとは別に、又はこれに加えて、キットは、A-β、又はそのフラグメントを発現するように形質転換された細胞を含むことができる。さらなる実施態様では、本発明のキットは、A-β、又はそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含みうる。なおさらなる実施態様では、本発明のキットは、A-β、又はそのフラグメントの増幅に有用な特有のプライマーを含みうる。
従って、本発明のすべてのキットは、言及したアイテム又はアイテムの組合せと、パッケージング材料を含むだろう。キットは、使用説明書も含むだろう。
A-β、タンパク質τ、抗-A-βポリペプチド及び/又は抗-タンパク質τ重鎖抗体は、例えば、マイクロタイタープレート上、高処理能力スクリーニングに好適なガラスチップ上、磁性ビード上、又は不溶性固形支持体上に固定化して供給されうる。
一般的に、“治療的に有効な量”、“予防的に有効な量”及び“有効な量”は、所望の結果(A-βの治療又は予防)を達成するために必要な量を意味する。当業者は、本発明で使用する、A-βを阻害する種々の化合物の効力、ひいては“有効な量”は変化しうることを認識しているだろう。当業者は、化合物の効力を容易に評価することができる。
本明細書では、用語“化合物”は、抗-A-βナノ抗体若しくはポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードしうる核酸、前記ポリペプチドの塩、又は1以上の誘導体化アミノ酸を含む前記ポリペプチドを指す。
“医薬的に許容しうる”とは、生物学的又は他の意味で望ましくなくない物質を意味する。すなわち、いかなる望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、或いは該物質が含まれる医薬組成物の他のいずれの成分とも有害な様式で相互作用することなく、化合物と共に該物質を個体に投与することができる。
治療的に有効な用量を達成するために必要な量は、該疾患の重症度及び患者自身の免疫系の全身状態によって決まるが、一般的に、体重1kg当たり0.005〜5.0mgの範囲、好ましくは0.05〜2.0mg/kg/用量の用量である。予防用途では、本発明のポリペプチド又はその混合物(cocktail)を含む組成物を同様に又はわずかに低用量で投与してもよい。
本発明の一局面は、対象における、A-β又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される状態を治療又は予防するための、本発明の化合物の使用であり、かつ医薬的に有効な量の化合物を、例えば、A-βフラグメントの形成に関与する1つ以上の酵素を阻害できる薬剤のような別の薬剤と併用して投与することを含む。
本発明の一局面は、対象における、A-β又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される状態を治療又は予防するための、本発明の化合物の使用であり、かつ医薬的に有効な量の化合物を、例えば、抗-変形体のような別の薬剤と併用して投与することを含む。
本発明は、本発明の単一の化合物を含む製剤の投与に限定されない。治療が必要な患者に、1種より多くの本発明の化合物を含む製剤を投与する併用療法を提供することは、本発明の範囲内である。
A-β又はその機能障害によって媒介され、或いはアミロイド斑形成によって媒介される状態として、限定するものではないが、本出願で上述したものが挙げられる。
本発明で有用な化合物は、選択した投与経路、例えば、経口又は非経口、鼻腔内、吸入による、静脈内、筋肉内、局所又は皮下経路に適合した種々の形態で、医薬組成物として製剤化し、かつ哺乳動物宿主、例えばヒト患者又は家畜に投与される。
従って、本化合物を、医薬的に許容しうるビヒクル、例えば不活性な希釈剤又は同化しうる食べられる担体と共に全身投与、例えば経口投与することができる。それらを硬又は軟シェルゼラチンカプセルに封入し、或いは圧縮して錠剤とし、或いは患者の食事の食物に直接組み入れてよい。経口治療用途では、化合物を1種以上の賦形剤と併用して、経口摂取しうる錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーハ等の形態で使用しうる。このような組成物及び製剤は少なくとも0.1%w/wの化合物を含みうる。当然、組成物及び製剤のパーセンテージは可変であり、好都合には約2〜約60%w/wの所定単位剤形でよい。このような治療的に有用な組成物中の化合物の量は、有効な薬用量レベルが得られるような量である。
活性化合物を注入又は注射によって静脈内又は腹腔内投与してもよい。活性化合物又はその塩の溶液を水中で調製し、場合により、無毒の界面活性剤と混合することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びその混合物中及び油中で分散系を調製することもできる。貯蔵及び使用の普通の条件下では、これら製剤は防腐剤を含有して微生物の増殖を阻止する。
無菌注射溶液は、必要量の活性化合物を、上で列挙した種々の他の成分と共に適切な溶媒に組み入れ、必要な場合は、その後フィルター滅菌することによって調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌散剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥法及び凍結乾燥法であり、活性成分と、予め無菌ろ過溶液中に存在するいずれかのさらなる所望成分との散剤を得る。
局所投与では、本化合物が液体の場合、それを純粋な形態で適用してよい。しかし、一般的に、固体でも液体でもよい、皮膚科学的に許容しうる担体と共に、本化合物を組成物又は製剤として皮膚に投与することが望ましいだろう。
有用な固形担体として、微粉固体、例えばタルク、クレー、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有用な液状担体として、本化合物が、場合により無毒の界面活性剤の助けを借りて、有効なレベルで溶解又は分散しうる、水、ヒドロキシアルキル若しくはグリコール又は水-アルコール/グリコールブレンドが挙げられる。芳香及び追加の抗菌剤のようなアジュバントを添加して、所定用途の特性を最適化することができる。結果の液体組成物を吸収パッドから適用し、或いは含浸絆創膏及び他の負傷手当用品を用い、或いはポンプ型又はエアロゾル噴霧器を用いて患部に噴霧することができる。
使用者の皮膚に直接適用するためには、液状担体と共に増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース又は変性鉱物材料を利用して、塗り広げられるペースト、ゲル、軟膏、セッケン等を形成することもできる。
本化合物を皮膚にデリバリーするために使用できる有用な皮膚科学的組成物の例は技術上周知であり;例えばJacquet et al. (米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smith et al. (米国特許第4,559,157号)及びWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照されたい。
本化合物の有用な投与量は、そのin vitro活性と動物モデルのin vivo活性を比較することによって決定される。マウス、及び他の動物における有効な投与量をヒトに外挿する方法は技術上周知であり;例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
一般的に、ローションのような液体組成物中の本化合物の濃度は、約0.1〜25wt%、好ましくは約0.5〜10質量%であろう。ゲル又は散剤のような半固体又は固体組成物中の濃度は、約0.1〜5質量%、好ましくは約0.5〜2.5質量%であろう。
治療で使うために必要な本化合物、又はその活性な塩若しくは誘導体の量は、選択した特定塩によってのみならず、投与経路、治療する状態の性質及び患者の年齢と状態によって変化するであろうが、最終的には主治医又は臨床医の決定によるだろう。また、本化合物の投与量は、標的細胞、腫瘍、組織、移植片、又は器官によっても変わる。
投与法は、長期の毎日の治療を含むことができる。“長期”とは少なくとも2週間、好ましくは数週間、数ヶ月、或いは数年の期間を意味する。本明細書の教示を考慮すれば、当業者は、ルーチン実験だけでこの用量範囲の必要な変更を決定しうる。Remington’s Pharmaceutical Sciences (Martin, E.W., ed. 4), Mack Publishing Co., Easton, PAを参照されたい。また、何らかの余病が併発した場合には、個々の医師が投与量を調整してもよい。
多価又は多重特異性重鎖抗体は、単一の核酸分子上でコードされ;或いは、各重鎖抗体が別個の核酸分子でコードされうる。多価又は多重特異性重鎖抗が単一の核酸分子によってコードされる場合、それのナノ抗体形成部は、scFv分子の形式で、融合ポリペプチドとして発現され、或いは、別々に発現され、引き続き例えば化学的な連結剤により一緒に連結される。別個の核酸から発現される多価又は多重特異性ナノ抗体は、適切な手段によって一緒に連結されるだろう。
核酸は、発現すると宿主細胞からポリペプチドを輸出するためのシグナル配列をさらにコードし、発現すると糸状バクテリオファージ粒子(又は選択表示系の他の成分)の表面成分と融合しうる。
本発明のさらなる局面では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を含むベクターを提供する。
本発明のなおさらなる局面では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
このようなベクターからの発現を例えばバクテリオファージ粒子の表面上に配置して、選択用ナノ抗体を生成しうる。これは、本発明の方法を用いて、表示されたナノ抗体の選択、ひいてはポリペプチドの選択を可能にする。
本発明で有用な細胞は、例えば大腸菌、酵母菌、例えばS. cerevisiae及びP. pastorisのようないずれの細菌細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞又はアスペルギルス属又はトリコデルマ属に属するものを含むカビでもよい。
本発明で有用な細胞は、本発明のナノ抗体若しくはポリペプチドをコードする核酸配列又は本発明の抗-A-βナノ抗体若しくはポリペプチドを、本明細書で記載したように、天然レベル又は天然レベル以上で該ポリペプチドが発現されるように、導入できるいずれの細胞でもよい。好ましくは、細胞内で発現される本発明のポリペプチドは、本明細書で定義されるように、正常又は正常に近い薬理学を示す。さらに好ましくは、細胞内で発現される本発明のポリペプチドは、本発明のナノ抗体及びポリペプチドをコードできるヌクレオチド配列を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、細胞は、COS7-細胞、CHO細胞、LM(TK-)細胞、NIH-3T3細胞、HEK-293細胞、K-562細胞又は1321N1星細胞腫細胞から成る群より選択されるが、他のトランスフェクトしうる細胞系でもよい。
画像処理技術はこのような診断力を提供できる。主に通常のCT及びMR画像処理を用いて、他のケースの認知症を除外して、脳萎縮の度合を評価する。SPECT、PET及びfMRIは、障害の初期段階中のわずかな病的変化の同定において大きな潜在力を有する。SPECT、PET又はMRIと標識化抗-A-βポリペプチドの組合せは、“A-β脳スキャン”と各患者の個々のリスク評価を可能にする。
本発明の一局面は、1種以上の造影剤をさらに含む、本明細書で開示した抗-A-βポリペプチドである。造影剤はin vivo使用に適するいずれのものでもよく、限定するものではないが、99mTc、111Indium、123Iodineが挙げられる。磁気共鳴画像処理に好適な他の造影剤として、常磁性化合物、MR常磁性キレートが挙げられる。他の造影剤として、光色素が挙げられる。
本発明の別の局面は、in vivo画像処理のための、1種以上の造影剤をさらに含む抗-A-βポリペプチドの使用である。
上記抗-A-βポリペプチドは、A-βとタンパク質τを同時に画像処理するため、1つ以上の抗-タンパク質τナノ抗体を含みうる。
技術上周知の方法を用いて、抗-A-βポリペプチドを造影剤で標識化しうる。
標識化ポリペプチドを、微粒子、超音波泡、微小球、エマルジョン、又はリポソームに組み入れることは、本発明の一局面である。このような製剤は、さらに効率的なデリバリーを可能にする。
本発明の文脈では、用語“予防及び/又は治療”は、該疾患を予防及び/又は治療することのみならず、通常、該疾患の発生を阻止し、疾患の進行を遅らせ若しくは逆にし、該疾患に関連する1種以上の症状の発生を阻止若しくは遅らせ、該疾患に関連する1種以上の症状を低減若しくは軽減し、該疾患及び/又は該疾患に関連するいずれの症状の重症度及び/又は持続期間も減らし、及び/又は該疾患及び/又は該疾患に関連するいずれの症状のさらなる増加を阻止し、該疾患によって引き起こされるいずれの生理的損傷も阻止し、低減し、又は逆にすること、及び治療すべき患者にとって有益ないずれの薬理学的作用をも含む。
治療すべき対象は、いずれの温血動物でもよいが、特に哺乳動物、さらに特にヒトである。当業者には明らかなように、治療すべき対象は、特に本明細書で言及した疾患及び障害を患う、又はその危険のある人である。
本発明は、患者における、A-β及び/又はアミロイド斑の(望ましくない)形成若しくは蓄積を調節、低減及び/又は逆にすることによって予防及び/又は治療できる少なくとも1種の疾患又は障害の予防及び/又は治療方法に関し、前記方法は、予防及び/又は治療が必要な対象に、医薬的に活性な量の本発明のナノ抗体、本発明のポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む。
特に、本発明は、少なくとも1種の神経変性疾患又は障害の予防及び/又は治療方法に関し、前記方法は、予防及び/又は治療が必要な対象に、医薬的に活性な量の本発明のナノ抗体、本発明のポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む。
さらに特に、本発明は、本明細書で列挙される疾患及び障害からなる群より選択される少なくとも1種の疾患又は障害の予防及び/又は治療方法に関し、前記方法は、予防及び/又は治療が必要な対象に、医薬的に活性な量の本発明のナノ抗体、本発明のポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む。
別の実施態様では、本発明は、認知低下の予防及び/又は治療方法、及び/又は認知機能の回復方法、及び/又は認知機能の改善方法に関し、前記方法は、予防及び/又は治療が必要な対象に、医薬的に活性な量の本発明のナノ抗体、本発明のポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む。
別の実施態様では、本発明は、免疫療法、特に受動免疫療法であって、本明細書で言及した疾患及び障害を患う、又はその危険のある対象に、医薬的に活性な量の本発明のナノ抗体、本発明のポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
従って、例えば、本発明の方法をADのような神経変性疾患並びに本明細書で言及した疾患及び障害の発生を遅らせ、その進行を遅くし、及び/又は逆にするための受動免疫療法で;A-βの有害な蓄積を阻止し、遅くし、低減し、及び/又は逆にするための受動免疫療法で;及び/又はアミロイド斑(すなわちADに関連)の形成を阻止し、その成長を遅くし、その大きさを縮小し、及び/又は除去するための受動免疫療法で使用しうる。
上記方法では、使用する特有の医薬製剤又は医薬組成物によって決まる、いずれの適切な様式でも、本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む組成物を投与することができる。従って、この場合もやはり使用する特有の医薬製剤又は医薬組成物により、経口、腹腔内(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、又は胃腸管を取取り囲むいずれかの他の投与経路)、鼻腔内、経皮、局所、座剤を用いて、吸入によって、本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチド、及び/又は本発明のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む組成物を投与することができる。臨床医は、予防又は治療すべき疾患又は障害及び臨床医に周知の他の因子によって、該投与で使用すべき適切な投与経路及び適切な医薬製剤又は医薬組成物を決定できるだろう。
一般的に、治療法は、1以上の医薬的に有効な量又は用量の、本発明の1種以上のナノ抗体及び/又はポリペプチドの投与、或いは本発明の1種以上のナノ抗体及び/又はポリペプチドを含む1種以上の組成物の投与を含むだろう。臨床医は、この場合もやはり、上述した因子に基づいて、投与すべき特有の量又は用量を決定することができる。
通常、上述したように、本発明の単一のナノ抗体又はポリペプチドを使用する。しかし、本発明の2種以上のナノ抗体及び/又はポリペプチドを使用することも本発明の範囲内である。
本発明のナノ抗体及びポリペプチドを1種のさらなり医薬的に活性な化合物若しくは素と併用して、すなわち、併用治療法としてもよい。これは相乗効果をもたらすこともあり、そうでないこともある。この場合もやはり、臨床医は、上述した因子及び自身の専門的判断に基づいてこのようなさらなる化合物又は素、並びに適切な併用治療法を選択できるだろう。
特に、本明細書で言及した疾患及び障害の予防及び/又は治療のために使用されているか又は使用できる他の医薬的に活性な化合物若しくは素と本発明のナノ抗体及びポリペプチドを併用することができ、結果として相乗効果が得られても得られなくてもよい。臨床医には、このような化合物及び素、並びにそれらを投与するための方法及び医薬製剤又は医薬組成物の例が明らかだろう。いくつかの非限定的な好ましい例として、本明細書で言及した疾患及び障害の予防及び治療のために現在市販され、又は臨床的に開発されている(A-βに活性であろうと、及び/又は別の関連標的若しくは生物学的経路に活性であろうと)活性物質及び素(すなわち、小さい分子及び生化学的薬剤、例えば抗体及び抗体フラグメント)、例えばコリンエステラーゼインヒビター(例えばDonepezil(AriceptTM);Rivastigmine(ExelonTM);Galantamine(ReminylTM);Tacrine(CognexTM))、NMDAアンタゴニスト(例えばMemantine(NamendaTM;ExuraTM))、β-セクレターゼ(BACE)及びγ-セクレターゼのようなセクレターゼのインヒビター、並びに神経変性疾患及び認知機能の低下を予防又は治療するための他の薬剤が挙げられる。
また、2種以上の活性物質又は活性素を併用治療法の一部として使用する場合、該化合物又は素を単独で使用するときに用いられるのと同じ量及び同じ方法で各物質又は素を投与してよく、このような併用は相乗効果をもたらし、又はもたらさないこともある。しかし、2種以上の活性物質又は活性素の併用が相乗効果をもたらす場合、投与すべき該物質又は素の1種以上又はすべての量を減らしても、なお所望の治療作用を達成することもできる。このことは、例えば、1種の物質又は素を通常の量で使用した場合のそれらの使用に関連するいかなる望ましくない副作用も回避、制限又は低減してもなお所望の医薬効果又は治療効果を得るのに役立つだろう。
臨床医には明らかなように、関与する疾患又は障害について既知のいずれの方法によっても、本発明で使用する治療法の効率を決定及び/又は理解することができる。臨床医は、妥当な場合及び/又は事例ごとに、個々の治療法を変更又は修正して所望の治療効果を果たし、望ましくない副作用を回避、制限若しくは低減し、及び/又は一方で所望の治療効果を果たし、他方で望ましくない副作用を回避、制限若しくは低減することの妥当なバランスを達成することもできるだろう。
一般的に、所望の治療効果が達成されるまで、及び/又は所望の治療効果が維持されている限り、該治療法は続けられるだろう。この場合もやはり、臨床医はこれを決定することができる。
治療すべき対象は、いずれの温血動物でもよいが、特に哺乳動物、さらに特にヒトである。当業者には明らかなように、治療すべき対象は、特に本明細書で言及した疾患及び障害を患っている人、又はその危険のある人であろう。
本発明は、本発明のナノ抗体又はポリペプチドを患者に投与することによって予防及び/又は治療できる少なくとも1種の疾患若しくは障害の予防及び/又は治療用医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用にも関する。
本発明は、特に、患者におけるA-β及び/又はアミロイド斑の(望ましくない)形成若しくは蓄積を調節し、低減し、及び/又は逆にすることによって予防及び/又は治療できる少なくとも1種の疾患若しくは障害の予防及び/又は治療用医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用に関する。
さらに特に、本発明は、少なくとも1種の神経変性疾患若しくは障害の予防及び/又は治療用、特に本明細書で列挙した1種以上の疾患及び障害の予防及び治療用医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用に関する。
本発明の非常に特有の局面は、アルツハイマー病の予防及び/又は治療用医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用に関する。
本発明は、さらに、認知力低下の予防及び/又は治療用、及び/又は認知機能を回復する、及び/又は認知機能を改善する医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用に関する。
本発明は、さらに、免疫療法用、特に受動免疫療法用、さらに特にADのような神経変性疾患並びに本明細書で言及した疾患及び障害の発生を遅らせ、その進行を遅くし、及び/又は逆にするための受動免疫療法用;例えば認知力低下と関連する症状の発生を遅らせ、その進行を遅くし、及び/又は逆にするための受動免疫療法用;A-βの有害な蓄積を阻止し、遅くし、低減し、及び/又は逆にするための受動免疫療法用;及び/又はアミロイド斑(すなわちADに関連)の形成を阻止し、その成長を遅くし、その大きさを縮小し、及び/又は除去するための受動免疫療法用医薬組成物の調製における本発明のナノ抗体又はポリペプチドの使用に関する。
この場合もやはり、このような医薬組成物において、本発明の1種以上のナノ抗体又はポリペプチドを1種以上の他の活性素、例えば と適宜併用してもよい。
従って、本発明の1つのさらなる局面は、A-βに対するドメイン抗体又は単一ドメイン抗体、並びに少なくとも1つの該(単一)ドメイン抗体を含む、及び/又は本質的に該(単一)ドメイン抗体から成るポリペプチドに関する。
特に、A-βに対するこのような(単一)ドメイン抗体は3個のCDRを含み、前記CDRは、本発明のナノ抗体について上で定義したとおりである。例えば、(単一)ドメイン抗体は、例えばWardら(前出)に記載されているような“dAb”として知られる単一ドメイン抗体でよいが、本発明のナノ抗体について上で定義したCDRを有する。しかし、上述したように、このような“dAb”の使用は、通常、本発明の対応するナノ抗体の使用と比較していくつかの欠点があるだろう。従って、本発明のこの局面のA-βに対するいずれの(単一)ドメイン抗体も、好ましくはA-βに対するこれら(単一)ドメイン抗体を本発明のナノ抗体と実質的に等価にする特性を有するこれら(単一)ドメイン抗体に与えるフレームワーク領域を有するだろう。
本発明のこの局面は、該(単一)ドメイン抗体及び/又はポリペプチドをコードする核酸、該(単一)ドメイン抗体、ポリペプチド若しくは核酸を含む組成物、該(単一)ドメイン抗体若しくはポリペプチドを発現する宿主細胞、並びに該(単一)ドメイン抗体、ポリペプチド若しくは核酸の調製方法及び使用方法をも包含し、これらは、本発明のナノ抗体について上述したポリペプチド、核酸、組成物、宿主細胞、方法及び使用と本質的に同様である。
さらに、本発明のナノ抗体について上述した1つ以上のCDRを、他の“骨格”(限定するものではないが、ヒト骨格又は非免疫グロブリン骨格が挙げられる)上に“移植”できることも当業者には明らかだろう。このようなCDR移植に適切な骨格及び技術は当業者には明らかだろうし、技術上周知であり、例えばUS-A-6,180,370、WO 01/27160、EP 0 605 522、EP 0 460 167、US-A-6,054,297、Nicaise et al., Protein Science (2004), 13:1882-1891; Ewert et al., Methods, 2004 Oct; 34(2):184-199; Kettleborough et al., Protein Eng. 1991 Oct; 4(7): 773-783; O’Brien and Jones, Methods Mol. Biol. 2003: 207: 81-100; and Skerra, J. Mol. Recognit. 2000: 13: 167-187、及びSaerens et al., J. Mol. Biol. 2005 Sep 23;352(3):597-607、並びにこれら文献で引用しているさらなる参考文献を参照されたい。例えば、ヒトフレームワーク及び骨格上にマウス又はラットのCDRを移植するために知られている技術を同様の方法で用いて、本発明のナノ抗体の1つ以上のCDRと、1つ以上のヒトフレームワーク領域又は配列を含むキメラタンパク質を提供することができる。
前記キメラポリペプチドでは、CDRをさらなるアミノ酸配列に連結し、及び/又はアミノ酸配列を介して相互に連結してよい。ここで、前記アミノ酸配列は、好ましくはフレームワーク配列として作用し或いはCDRを提供するための骨格を一緒に形成するアミノ酸配列である。この場合もやはり、最後のパラグラフで述べた先行技術を参照されたい。1つの好ましい実施態様によれば、該アミノ酸配列はヒトフレームワーク配列、例えばVH3フレームワーク配列である。しかし、非ヒト、合成、半合成又は非免疫グロブリンフレームワーク配列も使用しうる。好ましくは、使用するフレームワーク配列は、(1)キメラポリペプチドがA-βと結合できる、すなわち対応する本発明のナノ抗体の親和性の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、さらに好ましくは少なくとも10%、例えば少なくとも25%及び50%又は90%以上までの親和性で結合でき;(2)キメラポリペプチドが医薬用途に適し;かつ(3)キメラポリペプチドが、好ましくは、その医薬用途のために(すなわち、適応症、投与態様、投与量及び治療法)意図した条件(本発明のナノ抗体の使用について本明細書で述べた条件と本質的に同様でよい)下で本質的に免疫原性でないようなものである。
本発明は、このようなキメラポリペプチドを含み、及び/又は本質的に該キメラポリペプチドから成るタンパク質及びポリペプチド、該タンパク質若しくはポリペプチドをコードする核酸;該タンパク質及びポリペプチドの調製方法;該タンパク質若しくはポリペプチドを発現しているか又は発現できる宿主細胞;該タンパク質若しくはポリペプチド、核酸又は宿主細胞を含む組成物、特に医薬組成物;並びに該タンパク質若しくはポリペプチド、該核酸、該宿主細胞及び/又は該組成物の、特に予防、治療若しくは診断目的、例えば本明細書で言及した予防、治療若しくは診断目的のための使用にも関する。例えば、このようなタンパク質、ポリペプチド、核酸、方法、宿主細胞、組成物及び使用は、本発明のナノ抗体について本明細書で述べたタンパク質、ポリペプチド、核酸、方法、宿主細胞、組成物及び使用と同様でよい。
以下、非限定的な実施例及び図面を用いて本発明をさらに説明する。
実施例1:抗原特異性ナノ抗体
配列番号73〜84(表3)で表される配列は、凝集性合成ペプチドで免疫化したラマから得たナノ抗体である。ナノ抗体合成ペプチドを生成するため、Aβ40(配列番号188)及びAβ42(配列番号189)を免疫原として使用した。スペコール(specol)-アジュバント中で製剤化したin vitro凝集性合成Aβ40又はAβ42製剤をラマに注射した。1週間間隔で6回の皮下注射(100μg/用量)で動物を免疫化した。最後の追加免疫後1週間で血清を収集し、ELISAにてAβ40及びAβ42に対する抗体価を決めた。このELISAでは、Bohrmann et al (1999) J. Biol. Chem. 247, 15990-15995に記載されているとおりの手順に従って96-ウェルプレート(Maxisorp; Nunc)をペプチドで被覆した。希釈した血清サンプルを遮断及び添加後、ウサギ抗-ラマ免疫グロブリン抗血清と抗-ウサギ免疫グロブリンアルカリ性ホスファターゼの抱合体を用いて抗-A-βナノ抗体の存在を実証した。3匹の動物で体価が12800を超えた。
カルボキシ末端にヘキサヒスチジンタグとmyc-タグを抱える可溶性ペリプラズムタンパク質としてナノ抗体を大腸菌で産生した。ヘキサヒスチジンタグの存在はIMACクロマトグラフィーによる1工程精製で役立つ。myc-タグは免疫学的方法による簡易な検出を可能にする。配列番号73〜84及び85〜105で表される組換えタンパク質の合成ペプチドとの結合をELISAで実証した。このELISAでは、上述したペプチドで96-ウェルプレートを被覆した。2%カゼインでプレートを遮断後、粗製ペリプラズム抽出物又は精製ナノ抗体を数種の濃度で個々のウェルに添加した。1時間のインキュベーション後、ウェルを洗浄し、引き続きマウス抗-mycモノクロナール抗体とウサギ抗-マウス-アルカリ性ホスファターゼの抱合体(Sigma A 1902)を用いて、結合したナノ抗体を検出した。
A-βペプチドに対するナノ抗体は、APPトランスジェニックマウス脳の組織学的切片内でアミロイド斑を検出するためのプローブとして有用である。これらAPPトランスジェニックマウスはヒトAPPを発現し、脳内にAβ40及びAβ42ペプチドを蓄積し、ヒトAD患者の脳内の散在性及び老年性斑に非常によく似たアミロイド斑を示し、記憶欠損及びヒトADのアミロイド病理の他の特徴を示す(Moechars et al., (1999) J. Biol. Chem. 274, 6483-6492に記載されている)。アミロイド斑含有マウスの脳を固定し、40μMの切片にカットし、抗-A-βナノ抗体を例えばペルオキシダーゼと共に一次プローブとして用いた。この方法で、我々は、標識化二次抗体で該斑を染色して、アミロイド斑を染色することができた。図3で観察できるように、アミロイド斑はナノ抗体によって特異的に認識される。
抗-A-βナノ抗体をトランスジェニックAPPマウスに腹腔内注射(50μg/動物)し、コントロール群のAPPトランスジェニックマウスはビヒクルだけで処理する。注射は、3日間連続で与える。第2日及び第3日に、物体認識試験を行った。この試験では、黒色の垂直壁と半透明の床を備えたプレキシガラスのオープン-フィールドボックス(52x52x40cm)内、ボックスの下に置いたランプで薄暗い照明にマウスを1時間馴染ませた。次の日、動物を同じボックス内に置いて10分間の習得試験にかけた。この試験の間、マウスを個々に物体A(青色ボール又は赤色立方体、約4cmの同様の大きさ)の存在下に置き、物体Aを探索する(1cm未満の距離で動物の鼻が物体の方に向き、マウスが活発に物体の方向の臭いを嗅いだ場合)頻度を記録した(FreqAA)。3時間後に行った10分の保持試験(2回目の試験)の際、馴染んだ物体(物体A)と一緒に新しい物体(物体B、赤色立方体又は青色ボール)をオープンフィールド内に置いた。動物が2つの物体を探索する頻度を記録した(FreqA及びFreqB)。
両物体を探索する頻度に対する新しい物体を探索した頻度の比として定義される認識指数(RI)[FreqB/(FreqA+FreqB)x100]を用いて非-空間記憶を測定した。
図4から分かるように、抗-A-βナノ抗体で処理したマウスは高い認識指数を示す。
図3と図4の結果は、Hockらによる、トランスジェニックマウス脳切片内のアミロイド斑を認識できる抗体を発現している患者では有益な臨床効果が観察されるという考察((2003) Neuron, 38, 547-554)と共に、本発明による抗-A-βナノ抗体の治療上の潜在力を示している。
静脈内又は腹腔内投与におけるナノ抗体の血清半減期を延長するため、二重特異性分子抗体を構築した。このような分子の例を表8に示す。これらポリペプチドでは、1つ以上のA-β特異性ナノ抗体を、MSA21及びHSA MP13 B11のような血清アルブミンに特異的なナノ抗体に遺伝的に連結する。この実施例では、適切なリンカー配列の非限定例として、3つのアラニンを用いた。
1)抗-A-β配列とヒト生殖系列重鎖V-領域DP-29、DP-47及びDP-51との間の相同性
本発明のいくつかのナノ抗体とヒトVH3生殖系列配列DP-29、DP-47及びDP-51のアラインメントは、以下の位置でAA変化を行い得ることを明らかにした。
−位置1、3、5、14及び24でFR1のAA変化
−位置44、45及び49でFR2のAA変化
−位置74、77、78、83及び84でFR3のAA変化
−位置104及び105でFR4(生殖系列Jセグメント由来)のAA変化
Chen and Ruffner(Nucleic Acids Research, 1998)に記載されているような部位特異的変異導入法を用いて、Aβ MP1 B12(配列番号77)を変異させた。所望の変異を導入する2つの変異原性プライマーと共にプラスミドDNAを鋳型として使用した。これら2つのプライマーはそれぞれ鋳型プラスミドDNAの反対の鎖に相補性である。Pfu DNAポリメラーゼを用いるポリメラーゼ反応では、有限数のサイクルを用いるサイクリングプログラムの間、該プライマー配列から各鎖が伸長される。この結果、野生型と変異鎖の混合物となる。DpnIによる消化は、鋳型鎖だけが消化に感受性なので、変異in vitro合成DNA鎖の選抜となる。該DNAを沈澱させ、XL-Goldウルトラコンピテント(ultracompetent)細胞を形質転換して配列解析により必要な変異について解析した。
XL-Goldウルトラコンピテント細胞内の変異クローンからプラスミドを調製してWK-6エレクトロコンピテント細胞に形質転換させた。2%のグルコースと100μg/mlのアンピシリンを含有するLB内で単コロニーを接種して一晩培養を開始した。この一晩培養物を、100μg/mlのアンピシリンを含有する300mlのTB培地で100倍に希釈し、37℃にてOD600nm=2になるまでインキュベートし、1mMのIPTG(最終濃度)を添加して培養物を37℃で3時間以上又は28℃で一晩インキュベートした。培養物を15分間4,500rpmで遠心分離した。ペレットを一晩又は-20℃で1時間凍結させた。次に、ペレットを40分間室温で解凍して15mlのperi緩衝液(50mM NaHPO4,300mM NaCl)に再懸濁させ、1時間振り混ぜた。20分間14000rpmで遠心分離してペリプラズム画分を単離した。ナノ抗体を含有する上清をTALON(ClonTech)上に装填して均一に精製した。計算した吸光度係数を用いてナノ抗体の収率を決定した。
すべての変異ナノ抗体は野生型に匹敵して発現した。実施例1で述べたように、in vitro結合アッセイで変異体の結合活性について解析した。
2種のin vivo動物試験、すなわち新規物体認識試験とモリス水迷路(Morris Water Maze)試験で本発明のナノ抗体及びポリペプチドを試験する:
a)新物体認識試験
使用する手順はDewachter I.ら(Journal of Neuroscience, 2002, 22(9):3445-3453)に記載される方法に従う。黒色の垂直壁と半透明の床を備えたプレキシガラスのオープン-フィールドボックス(52x52x40cm)内、ボックスの下に置いたランプで薄暗い照明にマウスを1時間馴染ませる。次の日、動物を同じボックス内に置いて10分間の獲得試験にかける。この試験の間、マウスを個々に2つの物体A(青色ボール又は赤色立方体、約4cmの同様の大きさ)の存在下オープンフィールドに置き、物体Aを探索する(動物の鼻が1cm未満の距離で物体に向けられる、マウスが活発に物体の方向の臭いを嗅いだ場合)持続時間(TimeAA)と頻度(FreqAA)を、コンピューターシステム(Ethovision, Noldus information Technology, Wageningen, the Netherlands)で記録する。3時間後に行った10分の保持試験(2回目の試験)の際、馴染んだ物体(物体A)と一緒に新しい物体(物体B、赤色立方体又は青色ボール)をオープンフィールドに置く。(それぞれFreqAとFreqB及びTimeAとTimeB)。両物体を探索する持続時間に対する新しい物体を探索する持続時間の比として定義される認識指数(RI)[TimeB/(TimeA+TimeB)x100]を用いて非-空間記憶を測定する。習得試験の間に物体Aを探索する持続時間と頻度(TimeAAとFreqAA)を用いて好奇心を測定する。
古い物体と新しい物体を区別しないマウスは、50の認識指数を有する。古い物体を認識するマウスは、好んで新しい物体を探索するので、認識指数は50を超える。専ら新しい物体を探索するマウスは、100の認識指数を有する。
この試験では、コントロールとしてPBSで処理した野生型マウスは66.4±3.2の認識指数を示し(言及するすべての値は10匹のマウスの平均である);未処理APPマウスは50.7±3.8の認識指数を示し、リンカー配列GGGGSGAGGA[配列番号192]を介してC-末端で血液脳関門架橋ナノ抗体FC44[配列番号190]に連結しているH6 A-βナノ抗体[配列番号76]ベースのナノ抗体構築物で処置したAPPマウスは62.0±2.4の認識指数を示した。
プール(直径lmの白色円形容器)は、20℃の水と、エスケーププラットフォーム(水位の1cm下)を隠すための無臭の無毒性添加剤として二酸化チタンを含む。各マウスの泳ぎをビデオテープで撮って解析する(Ethovision, Noldus information Technology, Wageningen, the Netherlands)。訓練前、各マウスを15秒間プラットフォームのトップに置く。場所ナビゲーション試験のため、連続した3日間にわたって5ブロックの3回の試験においてマウスに隠れているプラットフォームの場所を見つける訓練をする。各試験は、最大120秒の強制水泳試験およびそれに続く60秒の休息から成る。各マウスがプラットフォームの場所を見つけるのに要した時間を測定する。5回の連続試験の結果、学習曲線を導く。最後の訓練の24時間後、プラットフォームを除去して各動物についてプローブ試験を行う。マウスに60秒間プラットフォームを捜させて、プラットフォームの元の位置の四分円を捜す時間と交差数を測定する。泳いでプラットフォームを捜すことを拒否し、その代わり実施者がマウスをプールから取り出すまで待つマウス、いわゆる“フローター”は解析から除外する。最後のプローブ試験の際、プラットフォームを除去後60秒間、マウスにプラットフォームの以前の場所を捜させる。
この試験の結果を下記の表13にまとめる。使用したナノ抗体構築物は、リンカー配列GGGGSGAGGA[配列192]を介してC-末端で血液脳関門架橋ナノ抗体FC44[配列番号190]に連結しているH6 A-βナノ抗体[配列番号76]だった。
表1:配列番号1〜36
Claims (18)
- A-βに対する少なくとも1つのナノ抗体を含むポリペプチドであって、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)から成り、ここで:
(a)CDR1が、以下の配列:
GGTFSSVGMG[配列番号37]
から選ばれるアミノ酸配列であり;
(b)CDR2が、以下の配列:
AISRSGDSTYYAGSVKG[配列番号49]
から選ばれるアミノ酸配列であり、
(c)CDR3が、以下の配列:
RPAGTPINIRRAYNY[配列番号61]
から選ばれるアミノ酸配列である、
または、
(a)CDR1が、以下の配列:
GGTFSSIGMG[配列番号39]
から選ばれるアミノ酸配列であり、
(b)CDR2が、以下の配列:
AISRSGDSTYYADSVKG[配列番号51]
から選ばれるアミノ酸配列であり、
(c)CDR3が、以下の配列:
RPAGTAINIRRSYNY[配列番号63]
から選ばれるアミノ酸配列である、
前記A-βに対する少なくとも1つのナノ抗体を含むポリペプチド。 - 少なくとも1つのナノ抗体がヒト化ナノ抗体である、請求項1に記載のポリペプチド。
- 少なくとも1つのナノ抗体が配列番号73、75または81のいずれかに記載の配列に相当する、請求項1に記載のポリペプチド。
- A-βに対するナノ抗体の数が、少なくとも2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- ポリペプチドのin vivo半減期を改善する少なくとも1つのポリペプチドをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- ポリペプチドのin vivo半減期を改善する少なくとも1つのポリペプチドが、血清タンパク質に向けられたポリペプチドである、請求項5に記載のポリペプチド。
- 少なくとも1つのポリペプチド又はナノ抗体が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン-結合タンパク質、トランスフェリン又はフィブリノーゲンに向けられたものである、請求項6に記載のポリペプチド。
- ポリペプチドが血液脳関門を通過できるようにする少なくとも1つのポリペプチドをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 少なくとも1つのポリペプチドがナノ抗体である、請求項5、6または8に記載のポリペプチド。
- 配列番号190または191のナノ抗体を含む、請求項9に記載のポリペプチド。
- 配列番号117、118、124、125、131〜135、140〜144、149〜151、154、155、158〜161、163〜165、167〜171、173、177または179のいずれかで表される配列に相当する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- PEG化されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド及び/又は請求項13に記載の核酸を含む組成物。
- (a)請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードしている核酸、又は請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドを発現できる核酸、を含む宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を許容する条件下で培養する工程、および、
(b)生成したポリペプチドを前記培養から回収する工程、を含み、
(c)場合により、前記ポリペプチドをPEG化する工程を含んでよい、
請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドの製造方法。 - 宿主細胞が細菌細胞又は酵母菌細胞である、請求項15に記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載のポリペプチドを含む、アミロイド斑形成によって媒介される疾患又は障害の診断用キット。
- 1種以上のin vivo造影剤をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
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