JP5113912B2 - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は表示装置に係り、放電電圧を低くすることが出来るプラズマディスプレイパネルの構成およびその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたPDP表示装置は、薄型で特に大画面の表示が可能なディスプレイとして需要が拡大している。PDP表示装置は、プラズマディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルの前面に配置された前面パネル、プラズマディスプレイパネルの背面に配置された駆動回路、およびこれらを収容するフレーム等から構成されている。
前面基板においては、走査電極が前面基板の例えば左側の端部から表示領域に延在し、放電維持電極が前面基板の例えば、右側から表示領域に延在している。背面基板においては、走査電極および放電維持電極と直角方向にアドレス電極が延在している。走査電極および放電維持電極とアドレス電極との交点にサブピクセルが形成される。表示領域にはサブピクセルがマトリクス状に形成されているので、画像を形成することが出来る。
前面基板に形成された走査電極と放電維持電極との間で放電を起こさせ、各サブピクセルに形成された蛍光体を発光させることによって画像を形成するが、走査電極と放電維持電極との間に放電を起こさせるためには、通常は走査電極と放電維持電極との間に180V〜190Vの電圧が印加される。したがって、走査電極と放電維持電極との間での絶縁破壊を防止するために、走査電極および放電維持電極を覆って誘電体層が形成される。
放電電圧を低く維持するためには、放電空間には2次電子放出係数γが小さい物質が存在していることが望ましい。このために、誘電体層の上に保護膜として2次電子放出係数γが大きいMgOが1μm程度コーティングされる。しかし、MgOは潮解性があり、空気中にさらすと表面が変質し、白濁したり、2次電子放出係数が低下したりする。
このように、保護膜が大気中で変質することを防止する対策として、「特許文献1」には、保護膜をSiO膜等の一時保護膜(以後、不活性膜)によって覆い、プラズマディスプレイパネルとして完成後、放電によって電極付近の不活性膜を除去する構成が記載されている。また、「特許文献2」には、不活性膜としてSiOxを用い、xの値を1.3〜1.9の範囲とすることによって酸素や水蒸気に対するバリア性を向上させる構成が記載されている。
特許第3073451号公報 特許第3563994号公報
表示基板上の保護膜はより低電圧で放電を開始・維持するために高い二次電子放出係数を持つことが要求される。そのための保護膜材料として,酸化マグネシウムの膜が一般的に使われている。酸化マグネシウムは十分実用に耐える材料であるが,さらにプラズマディスプレイを省電力で駆動するために、つまり、低電圧で放電させるために、酸化マグネシウムをしのぐ2次電子放出係数を持つ材料が必要とされている。
そのための高い2次電子放出係数を持つ材料として,酸化ストロンチウム,酸化カルシウムなどが見出されているが,これらの膜は大気中ではすぐに炭酸化物となったり水酸化物となったりして不安定であり、そのままでは製造工程上使いこなすことができない。これを対策するために、「特許文献1」に示すように製膜後のこれらの膜の表面を不活性な膜で覆い,大気中での反応を抑制し,パネル化後にこれらの不活性な膜を除去する手法が提案されている。
これらの不活性膜には(1)スパッタされやすいこと,(2)大気中の二酸化炭素や水蒸気を下地の高γ材料から完全に遮断できること(バリア性が高いこと),が要求される。(1)の性質を満たす材料としては例えばSiOが挙げられるが,SiOは構造的に多くの欠陥を含んでいるために,(2)のバリア性が不十分である。SiOのこうしたバリア性不足を改善する方法としては「特許文献2」がある。「特許文献2」ではSiOよりもO原子の結合数の少ないSiOx(x=1〜1.9)とすることでバリア性を改善するとしている。しかしながらこの方法でもバリア性は十分ではなく,まだ前記x値の制御が難しいなどの問題がある。
本発明の課題はスパッタリング特性が優れ、かつ、バリア特性が優れた不活性膜を形成することである。また、これによって放電電圧が低く安定したプラズマディスプレイパネルを実現することである。
本発明は以上述べたような課題を解決するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
(1)第1の放電電極と第2の放電電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層を覆って保護膜が形成された前面基板と、アドレス電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層の上に隔壁が形成された背面基板とが、周辺に形成されたシール材によってシールされたプラズマディスプレイパネルであって、前記保護膜の上には、金属酸化物と金属とによって形成される不活性膜が形成され、前記不活性膜は、前記放電電極に対応する部分においては除去されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
(2)前記金属酸化物の量をxとし、前記金属の量をyとした場合、y/(x+y)は0.5mol%〜50mol%であることを特徴とする(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(3)前記金属酸化物はSiO、Al、TiO、MgO、ZrOのいずれかであり、前記金属は、Tb、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scのような希土類金属、または、Mg,Ca、Sr、Baのようなアルカリ土類金属、または、K、Naのようなアルカリ金属であることを特徴とする(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(4)前記保護膜は、MgO、SrO、CaO、BaO、あるいは、これらを含む混合物であることを特徴とする(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(5)前記不活性膜の膜厚は10nm〜500nmであることを特徴とする(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(6)第1の放電電極と第2の放電電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層を覆って保護膜が形成され、前記保護膜の上に不活性膜が形成された前面基板と、アドレス電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層の上に隔壁が形成された背面基板とが、周辺に形成されたシール材によってシールされたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記不活性膜は、金属酸化物と金属を蒸着によって同時成膜し、前記不活性膜はエージング工程において、プラズマ放電に曝される部分からは除去されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
(7)前記蒸着は金属酸化物と金属を同一のハースに載置した蒸着材料を電子ビーム加熱によって加熱することを特徴とする(6)に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
(8)前記蒸着は金属酸化物と金属を別々のハースに載置し、前記金属酸化物と前記金属を別々に加熱、制御することによって行われることを特徴とする(6)に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
(9)第1の放電電極と第2の放電電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層を覆って保護膜が形成され、前記保護膜の上に不活性膜が形成された前面基板と、アドレス電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層の上に隔壁が形成された背面基板とが、周辺に形成されたシール材によってシールされたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記不活性膜は、金属酸化物と金属をスパッタリングによって同時成膜し、前記不活性膜はエージング工程において、プラズマ放電に曝される部分からは除去されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
希土類金属のような金属は酸素親和力が強いために大気中の二酸化炭素や水蒸気をトラップして下地の高い2次電子放出係数を持つ材料表面にこれら二酸化炭素や水蒸気が浸透することを防ぎ,結果として不活性膜が除去された後の高γ材料表面を清浄な状態に保つ。清浄な高γ材料からの二次電子放出は低電圧で起きるため,PDPの駆動電圧を低減できる。
さらに本発明によって優れたバリア性を持つ不活性膜を形成することが出来るので、従来は保護膜として使用することが困難であった、SrO、CaO、BaO、あるいはこれらを含む混合物を保護膜として使用することが出来る。これらの膜はMgOよりもさらに2次電子放出係数が大きいので、放電電圧の低いプラズマディスプレイパネルを実現することが出来る。
以下、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。
図1は、プラズマディスプレイパネルの表示領域の分解斜視図である。プラズマディスプレイパネルは,前面基板1と背面基板2の2枚のガラス基板から構成されている。前面基板1には、画像形成のための放電を生じさせる走査電極20(以後Y電極20ともいう)と放電維持電極10(以後X電極10ともいう)が平行に配置されている。
走査電極20は、さらに実際に放電電極となるITO(Indium Tin Oxide)によって形成された走査放電電極と、端子部から電圧を供給する走査バス電極から構成される。以後、走査バス電極をYバス電極22とも呼び、走査放電電極をY放電電極21とも呼ぶ。また、Y電極20という場合は、Yバス電極22とY放電電極21を含むものとする。
放電維持電極10は、さらに実際に放電電極となるITO(Indium Tin Oxide)によって形成された放電維持電極10と、端子部から電圧を供給する放電維持バス電極から構成される。以後、放電維持バス電極をXバス電極12とも呼び、放電維持電極10をX放電電極11とも呼ぶ。また、X電極10という場合は、Xバス電極12とX放電電極11を含むものとする。
Xバス電極12、Yバス電極22はいずれも金属の積層構造となっており、前面基板1の側からクロム、銅、クロムの積層構造となっている。前面基板1上に形成されたクロムは、ガラスとの接着性が優れており、かつ、クロムの表面が黒いので、コントラストの向上のための効果を有する。銅はバス電極の抵抗を小さくするために使用される。銅の上をさらにクロムが被覆しているが、このクロムは、銅の表面が酸化されて抵抗が変化することを防止するためである。
前面ガラス上のクロムはさらに、酸化クロムとクロムの積層構造となる場合もある。酸化クロムは黒色で、反射率がクロムよりも小さいので、画像のコントラストをさらに向上させることが出来る。酸化クロムもガラスとの接着性は優れている。また、銅との接触面はクロムなので、銅が酸化されることも無い。
図1においては、放電電極は透明導電膜であるITOを使用し、バス電極には抵抗の小さい金属積層膜を使用している。透明導電膜を使用すると、蛍光体8からの発光を外部により多く取り出すことが出来るからである。一方、放電電極をバス電極と同じ金属によって形成する場合もある。この場合は、プロセスが一回で済み、製造コストの大幅な低減になる。
X電極10およびY電極20を覆うように誘電体層5が形成される。誘電体層5には軟化点が500℃程度の低融点ガラスが使用される。誘電体層5の上に保護膜6が形成される。保護膜6としては,酸化マグネシウム(MgO)が主に使用され,スパッタ法または蒸着法によって形成される。本発明では、次ぎに述べるように、保護膜6の上に不活性膜60が形成されるので、MgO以外にSrO、CaO、BaO、あるいはそれらの合金も使用することが出来る。
図1において、保護膜6の上には不活性膜が蒸着あるいはスパッタリングによって形成される。この不活性膜60は、SiO膜と希土類金属等の混合物である。不活性膜60の役割は、保護膜6を大気中の酸素や水分から保護することである。この不活性膜60はプラズマディスプレイパネルが完成した後のエージング工程において、放電時のスパッタリングによってプラズマ放電に曝される部分からは除去される。不活性膜60は保護膜6を大気から保護することという条件と、放電時にスパッタリングによって容易に除去されることという条件を満足する必要があるので、膜厚は、10nm〜500nmに選定される。
なお、図1においては、省略されているが、X電極10とY電極20の外側には、画像のコントラストを向上させるために黒帯が形成される場合もある。黒帯はコントラストを向上させるものであるから、黒色である必要がある。黒帯はX電極10あるいはY電極20と同じ構造の金属の積層膜が使用される。したがって、黒帯とX電極10あるいはY電極20は同時に形成することが出来る。ガラスで形成された前面基板1と接する金属はCrあるいはCrOであるから黒色であり、コントラストの向上を図ることが出来る。
背面基板2には,アドレス電極30(以後A電極ともいう)が,Xバス電極12あるいはYバス電極22と直交して形成される。アドレス電極30の構造もXバス電極12あるいはYバス電極22と同様の構造であり、クロム、銅、クロムの積層構造となっている。アドレス電極30の上を誘電体層5が被覆している。一般的には背面基板2に形成された誘電体層5も前面基板1に形成された誘電体層5と同じ材料が使用される。
背面基板2の誘電体層5の上には、隔壁7がアドレス電極30を挟むように、アドレス電極30と同じ方向に延在させて形成されている。図3において、アドレス電極30と直角方向に横隔壁71が形成されており、隔壁7と横隔壁71とで囲まれた領域においてサブピクセル(サブピクセルをセルとも呼ぶ)が形成される。隔壁7の内側には蛍光体8が塗布されている。蛍光体8は、赤、緑、青の蛍光体8が図6の隔壁7によって形成された凹部に並列して塗布されている。
前面基板1と背面基板2及び隔壁7に囲まれた空間が放電ガスを封入する放電空間となっている。一対のバス配線と隔壁7の間がひとつの表示セル(サブピクセル)に対応し,カラー表示の場合、3つのサブピクセルがおのおの3原色(R,B,G)に対応してひとつの画素(ピクセル)を形成する。
プラズマディスプレイパネルの発光の原理は以下のようになっている。まず,発光させたいセルに対応するアドレス電極30と,同じく当該セルに対応する走査電極20との間に100-200V程度の電圧(放電開始電圧)をかける。アドレス電極30とバス配線は直交しているため,その交点にある単独のセルを選択することができる。選択されたセルでは電圧をかけた放電電極(この場合はY電極20)と,アドレス電極30の間で微弱放電が発生し,前面基板1側の誘電体層5の上の保護膜6上に電荷(壁電荷)が蓄積される。このようにして、表示領域の全セルに電荷による書き込みを行う。この期間は書き込み期間であり、画像は形成されない。
続いて、放電維持期間(サステイン期間)において、X電極10とY電極20との間に高周波パルスを印加して維持放電を行う。このとき、壁電荷が蓄積されているセルのみでサステイン放電が発生する。このサステイン放電によって紫外線が発生し、この紫外線によって蛍光体8が発光する。蛍光体8から放射された可視光は前面基板1から放出され、人間が視認する。書き込み期間に電荷が蓄積されたセルのみで蛍光体8が発光するので、画像が形成されることになる。
図2は本発明のプロセスを示す断面模式図である。図2は本発明のプロセスをわかり易く説明するために、前面基板1を水平方向に90度回転させて表示している。すなわち、図1に示すように、本来ならば、X放電電極11等とアドレス電極30とは直角方向に延在しているが、図2では平行に延在している。
図2(a)において、前面基板1上にX放電電極11、Xバス電極12、Y放電電極21、Yバス電極22等を形成し、その上に誘電体層5を20μmの厚みで形成する。誘電体層5の上にSrO+CaO材料を真空蒸着法により1μm形成し、保護膜6とする。連続して保護膜6の表面に金属酸化物であるSiOと金属Tbを混合した蒸着母材を蒸着して不活性膜60を形成する。以下金属酸化物の例としてSiOを取り上げて説明する。
図4はSiOと金属Tbが蒸着される状態を示す模式図である。図4において、SiOと金属Tbを混合した蒸着母材を基板ハース200内に載置し、電子ビームで加熱して蒸発させる。蒸着源の上方には、保護膜6まで形成された前面基板1が基板セット治具100に下向きにセットされ、SiOと金属Tbを混合した蒸着母材が蒸着される。蒸着が終わった前面基板1は矢印の方向に移動して外部に取り出される。SrO+CaOは潮解性をもっているが、不活性膜60であるSiO+Tbによっておおわれているので、変質することは無い。
不活性膜60の厚さは小さければバリア性を確保できず、大きければその後の放電除去工程の時間が増大する。最低限のバリア性が生じる下限膜厚はおよそ10μmで、現実的な除去工程時間に収まる上限膜厚はおよそ500nmである。理想的には、バリア性が確保できる最低限の膜厚で成膜することが望ましい。したがって、理想的な膜厚は混合する金属の種類や濃度に依存する。
必要な金属の混合比率は、不活性膜60が必要とするバリア性を持つことが出来る下限濃度によって下限が定まり、不活性膜60が放電に支障をきたすような導電性を持たないように上限濃度が定めされる。この条件を満たす金属の濃度の範囲は0.5mol%〜50mol%である。
図2(a)において、背面基板2にはアドレス電極30が形成され、その上に低融点ガラスを10μmの厚みで形成して誘電体層5とする。さらに、隔壁7用として、低融点ガラスペーストを成膜し、ドライフィルム層をラミネートする。ラミネートしたドライフィルムを露光、現像し、ドライフィルム層をパターニングする。パターニングされたドライフィルムをマスクとしてサンドブラストを行い、放電空間のための凹部を形成する。その後、ドライフィルムを除去し、その後、焼成してバインダを飛散させ、隔壁7を形成する。
その後、隔壁7で囲まれた凹部に蛍光体8を形成する。さらに、背面基板2にシール層となるフリットガラスをディスペンサ等で塗布する。その後、前面基板1と背面基板2を組み合わせ、ベーキング炉で加熱することによってシール材としてのフリットガラスを溶融固化させる。
シール材を溶融させるとともに、封止管を介して内部を数Pa程度まで真空に排気し、その後、例えば、Xe10%+Ne90%の放電ガスを50kPa程度封入し、封止管をチップオフする。
図2(b)は、このようにして形成されたプラズマディスプレイパネルのX放電電極11、Y放電電極21間にエージングのための交流電圧を印加し、放電電極間にエージング放電を発生させることを示す断面模式図である。
このエージング放電によって、保護膜6表面の不活性膜60、この場合は、Tb−SiO層を除去する。不活性膜60が除去されたか否かの確認は放電電圧をモニターすることによって判断することが出来る。図2(c)はこのようにして、不活性膜60が除去された状態を示す。
不活性膜60は、保護膜6上から全て除去されるわけではなく、放電電極に対応する部分のみから除去される。また、スパッタリングによって除去された不活性膜60の大部分は、除去された周辺の不活性膜60を含む構造物に付着するので、放電ガスを汚染することも無い。
このように、不活性膜60中に金属を混入することで、封止前に背面基板2が大気にさらされた場合でも、大気中の二酸化炭素や水分を金属がトラップし、下地の保護膜6に二酸化炭素や水分が浸透することを防止し、保護膜6が変質することを防止することが出来る。
以上の説明では、不活性膜60として、SiOとTbを同時成膜したものを例として説明した。不活性膜60の材料としては、これに限らず、SiOと他の金属を同時成膜した、酸化物―金属混合膜を用いることが出来る。SiOと組み合わせて使用することが出来る金属としては、Tbの他に、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scのような希土類金属、Mg,Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、K、Naのようなアルカリ金属を使用することが出来る。
以上の説明では、保護膜6の材料としてSrO+CaOを例に挙げて説明した。しかし、保護膜6の材料としては、これに限らず、BaO、MgOあるいはこれらを含む混合物を使用することが出来る。現在は保護膜6としてはMgOが最も広く使用されているが、MgO保護膜6に本発明を使用することによってMgOの変質を防止し、放電開始電圧のばらつきをさらに低下させることが出来る。
また、2次電子放出係数としては大きな値を有し、保護膜6特性としては優れているSrO、CaO、BaO、あるいはこれらを含む混合物は、従来は、大気中の酸素、水分等によって変質するために使用出来なかったが、本発明によって使用可能となり、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低下させることが出来る。
本実施例で形成されるプラズマディスプレイパネルの構成は実施例1で形成されるプラズマディスプレイパネルと同様である。本実施例では、不活性膜60の製造方法が実施例1とは異なる。図4は本実施例による不活性膜60の形成方法である。実施例1においては、SiOをTbを混合したものを基板ハース200内に設置して電子ビームによって加熱して成膜している。これに対して本実施例では、SiO膜とTbを別々のハースに配置し、各々を電子ビームで加熱することによって蒸着する。
SiOとTbとは蒸着速度が異なるが、本実施例においては、SiOとTbの蒸着を別々に制御することが出来るので、2種類の蒸着成分の混合比率を正確にコントロールすることが出来る。不活性膜60が蒸着された前面基板1は図4の矢印の方向に動いて大気中に取り出されることは実施例1の図3と同様である。
図4では、SiOが載置されたハースと、Tbが載置されたハースが蒸着チャンバ内に配置されている。Tbの他に、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scのような希土類金属、Mg,Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、K、Naのようなアルカリ金属を使用することが出来ることは実施例1と同様である。
本実施例で形成されるプラズマディスプレイパネルの構成は実施例1で形成されるプラズマディスプレイパネルと同様である。本実施例では、不活性膜60の製造方法が実施例1および実施例2とは異なる。実施例1および実施例2では不活性膜60の成膜に真空蒸着を用いているが、本実施例においてはスパッタリングを用いて不活性膜60を形成する。
図5は本実施例による不活性膜60を形成する方法を示す例である。図5において、スパッタリングターゲット300として、SiOターゲット中にTbが埋めこまれたものを使用している。なお、図5のようなスパッタリング法においては、SiOターゲット上にTb片をおいてスパッタリングすることも出来る。図5では、スパッタリングターゲット300からスパッタリングされたSiOおよびTbは上方の基板セット治具100にセットされた前面基板1に被着する。
図5では、前面基板1は下向きに配置されている。しかし、スパッタリング法の特徴は、図5とは異なり、基板を立て配置することが出来る点である。すなわち、図5に示すように、基板を水平に設置した場合、基板が大型になると、基板が撓むという現象が生じ、これを防止するための機構が必要となる。これに対して、スパッタリングにおいては、基板を立てて行うことが出来るので、基板の大型化が容易である。この場合、スパッタリングターゲット300も基板と平行に立てて配置される。
以上の実施例では、スパッタリングターゲット300として、SiOターゲットにTbを埋め込んだものを使用している。Tbの他に、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scのような希土類金属SiOターゲットにMg,Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属SiOターゲット、K、Naのようなアルカリ金属をSiOターゲット使用することが出来る。この場合もSiO膜と各金属の不活性膜60を形成することが出来る。
以上の例では、金属酸化物としてSiOを例に取って説明した。しかし、金属酸化物はSiOに限らず、Al、TiO、MgO、ZrO等の場合であっても本発明を適用することが出来る。
本発明によるプラズマディスプレイパネルの分解斜視図である。 本発明のプロセスを示す模式断面図である。 実施例1による蒸着方法である。 実施例2による蒸着方法である。 スパッタリングによって不活性膜を形成する例である。
符号の説明
1・・・前面基板、 2・・・背面基板、 3・・・シール部、 5・・・誘電体層、 6・・・保護膜、 7・・・隔壁、 8・・・蛍光体、10・・・X電極、 11・・・X放電電極、 12・・・Xバス電極、 20・・・Y電極、 21・・・Y放電電極、 22・・・Yバス電極、 30・・・アドレス電極、 60・・・不活性膜、 100・・・基板セット治具、 200・・・蒸着ハース、 300・・・スパッタリングターゲット。

Claims (6)

  1. 第1の放電電極と第2の放電電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層を覆って保護膜が形成された前面基板と、アドレス電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層の上に隔壁が形成された背面基板とが、周辺に形成されたシール材によってシールされたプラズマディスプレイパネルであって、
    前記保護膜の上には、SiO、Al、TiO、MgO、ZrOのいずれかの金属酸化物と、Tb、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scの希土類金属のいずれか、あるいは、Mg,Ca、Sr、Baのアルカリ土類金属のいずれか、あるいは、K、Naのアルカリ金属のいずれかの金属とによって構成され、かつ、膜厚が10nm〜500nmの不活性膜が形成され、
    前記不活性膜は、プラズマ放電に曝される部分においては全部または一部が除去されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記金属酸化物の量をxとし、前記金属の量をyとした場合、y/(x+y)は0.5mol%〜50mol%であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記保護膜は、SrO、CaO、BaOのいずれか、あるいは、これらのいずれかを含む混合物であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 第1の放電電極と第2の放電電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層を覆って保護膜が形成され、前記保護膜の上に不活性膜が形成された前面基板と、アドレス電極を覆って誘電体層が形成され、前記誘電体層の上に隔壁が形成された背面基板とが、周辺に形成されたシール材によってシールされたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記不活性膜は、SiO、Al、TiO、MgO、ZrOのいずれかの金属酸化物と、Tb、La、Ce、Eu,Yb、Y、Scの希土類金属のいずれか、あるいは、Mg,Ca、Sr、Baのアルカリ土類金属のいずれか、あるいは、K、Naのアルカリ金属のいずれかの金属を、膜厚が10nm〜500nmとなるように蒸着によって同時成膜し、
    前記不活性膜はエージング工程において、プラズマ放電に曝される部分の全部または一部において除去されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記蒸着は前記金属酸化物と前記金属を同一のハースに載置した蒸着材料を電子ビーム加熱によって加熱することを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記蒸着は前記金属酸化物と前記金属を別々のハースに載置し、前記金属酸化物と前記金属を別々に加熱、制御することによって行われることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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