JP5114410B2 - 融合タンパク質の製造方法 - Google Patents
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Description
コドン利用頻度のデータベースhttp://www.kazusa.or.jp/codon/ J.Mol.Biol., 262, 407-412, 1996 細胞工学, 5, 212-221, 1986 J.Biosci.Bioeng., 91(1), 53-7, 2001 Blood, 105(2), 562-6, 2005 J.Immunol.Method, 219, 119-29, 1998
本発明において、「融合タンパク質」とは、二若しくはそれ以上のタンパク質又はポリペプチドを、主に遺伝子工学に基づく手法により融合させることにより作製される人工のタンパク質又はポリペプチドをいう。なお、本明細書においては、用語「タンパク質」と「ポリペプチド」とは互換的に用いられる。融合タンパク質の作製方法は、遺伝子工学に基づく手法(以下、「遺伝子工学的手法」と指称する。)が用いられることが多いが、それに限定されるものではない。融合タンパク質を構成する各タンパク質は、天然に存在する全長タンパク質であってもよいし、各タンパク質中に存在する当該全長タンパク質の全部又は一部の機能を発揮するために必要な領域であるポリペプチドドメインであってもよい。こうしたポリペプチドドメインの例としてはカルモジュリン分子中のカルシウム結合ドメインなどが挙げられる。ポリペプチドドメイン自身は自己安定化機能を有することから、遺伝子工学的手法によって、あるタンパク質中のポリペプチドドメインを別のタンパク質のポリペプチドドメインと交換して新たな機能を有する融合タンパク質であるキメラタンパク質を作製することができる(Science, 198(4321), 1056-63, 1977)。キメラタンパク質は融合タンパク質の一類型であって、融合した各タンパク質のポリペプチドドメインが異なる種のタンパク質に由来するものを指称する。
(1)天然のタンパク質の分子中に存在するポリペプチドドメインを決定し、
(2)各ポリペプチドドメイン間に存在するポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を決定し、
(3)ポリヌクレオチド配列の翻訳速度が低下するような配列へ改変又は設計されたポリヌクレオチドを作製し、
(4)当該ポリヌクレオチドが発現可能なように挿入されたベクターにより形質転換された宿主を培養することを特徴とする天然タンパク質の製造方法を提供するものである。
本発明により提供される融合タンパク質であって、特に好適に利用されるものとしては、抗体断片分子を挙げることができる。
(N末端)[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL](C末端)
(N末端)[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL](C末端)
(N末端)[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH](C末端)
(N末端)[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL](C末端)
(N末端)[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH](C末端)
(N末端)[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH](C末端)
上記のsc(Fv)2分子中の各機能ポリペプチドドメインを結合するリンカーとして本発明のポリヌクレオチドでコードされるリンカーをいずれかの位置で、又複数の箇所で使用することができる。
[V領域1]リンカー[V領域2]リンカー[V領域3]リンカー[V領域4]リンカーで配置されている場合において、V領域1とV領域4、及び、V領域2とV領域3とが互いに会合することによって各々一つの抗原結合部位を形成する構造を有するsc(Fv)2分子のことを指称する。また、ビバレントscFv型とは、上記のsc(Fv)2分子中の各機能ポリペプチドドメインの配置がN末端から順に以下の順列
[V領域1]リンカー[V領域2]リンカー[V領域3]リンカー[V領域4]リンカーで配置されている場合において、V領域1とV領域2、及び、V領域3とV領域4とが互いに会合することによって各々一つの抗原結合部位を形成する構造を有するsc(Fv)2分子のことを指称する。
前述のように、Fv分子についてのヘテロ二量体としての分子構造が不安定であるという欠点が、scFv作製技術の確立により解決した。一般的に広く用いられているポリペプチドリンカーのアミノ酸配列としては、二次構造が強制されないようにグリシン残基を多く含み、親水性を確保するためにセリン残基を導入したGGGGSGGGGSGGGGS配列(配列番号13)を有する(G4S)3であり、このようなポリペプチドリンカーは一般にフレキシブルリンカーと称されている。しかしながら、当該ポリペプチド配列を使用した場合においても封入体の形成を阻止することができないため、上記以外のアミノ酸配列を有し、封入体形成を回避できるポリペプチドリンカーを設計する複数の試みがこれまでにもなされている(J.Immunol.Methods, 205(1), 43-54, 1997、及びProt.Eng.,11(5), 405-410, 1998等)。
WVWSSRGQRSFRPSGRTVPL(配列番号5)(以下、リンカーNo.10と指称する。)
KVVLWTTRVRDRGHTSTMWS(配列番号7)(以下、リンカーNo.12と指称する。)
ADGHCHLKNFPLKPPPYFSV(配列番号9)(以下、リンカーNo.14と指称する。)
LLKKLLKKLLKKLLKK(配列番号11)(以下、(LLKK)4と指称する。)
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)
本発明のポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列は、当該ヌクレオチド配列から転写され生成したmRNAが翻訳される際に、その翻訳速度が遅延するように設計されている。本発明のリンカーによって融合されるタンパク質又はポリペプチドの各ドメインの読取り枠が変化しないようにインフレームで接続することができれば、いずれのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドも好適に使用できる。具体例として、後述の実施例において詳細に記載する下記のヌクレオチド配列を有するリンカーを好適に用いることができる。
TGGGTTTGGAGTTCGCGGGGGCAGAGGTCTTTTCGGCCTTCGGGGCGGACGGTGCCGCTT(配列番号6)
AAGGUUGUUCUUUGGACUACGCGUGUUAGGGAUAGGGGUCAUACGUCGACGAUGUGGAGU(配列番号8)
GCGGATGGGCATTGTCATCTGAAGAATTTTCCTTTGAAGCCTCCGCCTTATTTTTCGGTT(配列番号10)
CTACTAAAAAAACTACTAAAAAAACTACTAAAAAAACTACTAAAAAAA(配列番号12)
GGTGGAGGCGGTTCCGGCGGAGGTGGCTCCGGCGGTGGCGGATCC(配列番号14)
scFvをコードするDNAは、重鎖可変領域ポリペプチドをコードするDNA、および軽鎖可変領域ポリペプチドをコードするDNAの配列の全部又は一部を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、ポリペプチドリンカー部分をコードするDNAの両端が各々重鎖、軽鎖と連結されるよう設計されたプライマー対を組み合せてさらに増幅することにより取得することができる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。
本発明はさらに、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明のベクターが導入される宿主細胞としては特に制限はなく、例えば真核細胞や原核細胞などいかなる細胞を用いることも可能であるが、本発明において好適に用いられる宿主細胞は原核細胞であり、特に好適に用いられる宿主は大腸菌である。
別の観点においては、本発明は、融合タンパク質、又は抗体断片を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体が適宜使用できる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。
<ランダムポリペプチドリンカーを有するscFvライブラリの構築>
ポリペプチドリンカーの配列がscFvの生産性に及ぼす影響を検討するために、ビスフェノールAを抗原とし、20アミノ酸長のランダムなアミノ酸配列からなるポリペプチドリンカーを有するscFvのファージライブラリを調製し、パンニング操作を行なった。即ち、フレキシブルリンカーを有するscFvの遺伝子からPCRによってVH遺伝子およびVL遺伝子を増幅した。PCRの鋳型にはAB097940記載の配列を有する抗体遺伝子(K. Nishi, M. Takai, K. Morimune and H. Ohkawa Molecular and Immunochemical Characteristics of Monoclonal and Recombinant Antibodies Specific to Bisphenol A Bioscience, Biotechnology and Biochemistry, 67(6), 1358-1367 (2003))を使用した。VH遺伝子の3'末端側17残基、ランダムリンカー遺伝子(NNK)20、およびVL遺伝子の5'末端側17残基を有するオリゴヌクレオチド(5'−CAGTCACCGTCTCCTCA(NNK)20GACATTGTGCTGACACA−3’、配列番号19に示す。)を合成した。VH,VL遺伝子およびこのオリゴヌクレオチドを用いてOverlapping PCRを行い、ランダムポリペプチドリンカー遺伝子をVH遺伝子とVL遺伝子の間に挿入した。パンニング用ベクターとしては、図1に示すものを用いた。
NcoI-cc-VH sense (Tm…68℃) (配列番号20)
5'-CTCCCATGGCCGATGTACAGCTTCAGGAGTCAGGACCTGCC-3'
BIS A VH antisense (Tm…61℃) (配列番号22)
5'-TGAGGAGACGGTGACTGAGGTTCCTTGACC-3'
BIS A VL sense (Tm…59℃) (配列番号23)
5'-GACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCC-3'
VL+NotI antisense (Tm…64℃) (配列番号21)
5'-ATATATGCGGCCGCCCGTTTGATTTCCAGCTTGGTGC-3'
上記のプライマーを合成した。フレキシブルリンカー(G4S)3を有する抗ビスフェノールA scFvの遺伝子を鋳型としてNcoI-cc-VH sense (配列番号20) およびBIS A VH antisense(配列番号22)を用いてVH遺伝子断片を、また、BIS A VL sense (配列番号23)およびVL+NotI antisense (配列番号21) を用いてVL断片をPCR法により増幅した。PCRの条件は、変性94℃(15秒)→アニーリング(30秒)→伸長68℃(30秒)を25サイクル繰り返した。アニーリング温度はVH遺伝子断片増幅の場合は56℃、VL遺伝子断片増幅の場合は54℃に設定した。増幅した遺伝子断片をアガロースゲル電気泳動によって分離、精製し下記の要領でOverlapping PCRをおこなった。PCRのポリメラーゼとしてはKOD-plus-(TOYOBO社製)を用いた。
バイオパンニングによって選択されたscFvのIPTG誘導後の菌体増殖を測定した。結果を図3に示す。なお、No.2は遺伝子の欠損により13アミノ酸のポリペプチドリンカーを有するscFvである。図3より、リンカーNo.10,12,14はOD600が0.7から1.0の範囲でIPTGで発現誘導をした後も増殖を続け、最終菌体濃度はOD600が5.5から5.7の範囲となった。一方、リンカーNo.4,6はフレキシブルリンカー(G4S)4を有するscFvと同様に誘導後増殖がほぼ停止し、最終菌体濃度はOD600が1から2となった。表4に示すように、増殖を続けたサンプルのリンカーをコードするヌクレオチド配列には大腸菌におけるレアコドンが、1から数個存在する傾向がみられた。
IPTGによる誘導後も増殖を維持した形質転換体(リンカーNo.2,10,12,14)が可溶性画分および不溶性画分に生産するscFvの生産性を比較した。発現したscFvの精製は以下の方法で行い、各画分についてその含有量を測定することにより、不溶性scFv及び可溶性scFvの生産量とした。
(2)菌体ペレットに5 mlのLysisバッファー(1% Triton X-100,20 mM Tris-HCl(pH 8.0),2 g/ml DNase,0.2 mg/ml リゾチウム)を加えて懸濁し、プローブ型超音波照射機を用いて氷冷下、15分間超音波照射を行った。
(3)100000g、30 min、4℃にて超遠心分離を行い、上清を菌体内可溶性画分として回収した。
(4)ペレットはLysisバッファーにて懸濁し、23000g、10 minで2回遠心分離することで洗浄した。
(5)洗浄後のペレットを蒸留水で懸濁し、同条件にて遠心分離を2回行うことによりLysisバッファーを除去した。
(6)得られたペレットを菌体内不溶性画分とし、蒸留水1 mlに懸濁した後、真空乾燥機をもちいてペレットを乾燥した。
(7)ペレットの重量を測定し、不溶性scFvの重量とした。
(8)菌体内可溶性画分は、Ni−固定化カラムに負荷し10 mM酢酸バッファー(0.3M NaClを含む、pH6.0)続いて0.2 mM リン酸バッファー(1M NaClを含む、pH7.2)で洗浄後、0.5 Mイミダゾール(pH8.0)で溶出した。
(9)イミダゾール溶出画分中のscFvの発現はSDS−PAGEによって解析した。(10)scFvの会合状態は5-Diol-300-II(nacalai tesque)を用いたゲルクロマトグラフィによって解析した。
(11)イミダゾール溶出画分をビスフェノール固定化カラムに負荷し、10 mM酢酸バッファー(0.3M NaClを含む、pH6.0)を用いて洗浄後、0.01N NaOH (pH 12)を用いて溶出した。
(12)培養上清をビスフェノール固定化カラムに負荷し、10 mM酢酸バッファー(0.3M NaClを含む、pH6.0)を用いて洗浄後、0.01N NaOH (pH 12)を用いて溶出した。
(13)イミダゾール溶出画分および培養上清から精製した溶出液は10 mM酢酸バッファー(0.3M NaClを含む、pH6.0)で一晩透析し、両溶出液中のscFv濃度をDC-プロテインアッセイによって定量した。標準物質としてウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。
(14)両溶出液中のscFv濃度から、菌体内および培養上清中に発現したscFv量を逆算し、その和を可溶性scFv発現量とした。
選択されたscFvの可溶性画分をNiキレートカラムで精製し、ゲルクロマトグラフィによる分子量の測定を行った。scFvのモノマーは分子量28 kDa、ダイマーは分子量56 kDaであり、各保持時間はそれぞれ23分、21分である。図4に示すように、得られたscFvはほとんどダイマーを形成していた。これらのダイマー形成が分子間相互作用によるものかジスルフィド結合によるものかを検討するために、還元および非還元SDS-PAGEを行った。図5に示すように、SDSによってscFvを変性させた場合、還元状態でも非還元状態でもモノマーとして存在しているため、これらのscFvのダイマー形成は分子間相互作用によるものであるということが確認できた。
Niキレートカラムで精製したscFvを抗原結合カラムに負荷し、洗浄後、吸着したscFvを0.1N 塩酸で溶出した。Niキレートカラム精製画分、ならびに抗原結合カラム素通り画分、抗原結合カラム溶出画分を用いてSDSPAGEを行い、scFvの活性確認を行った。図6に示すように、抗原結合カラム素通り画分にのみscFvのバンドが見られないことから、抗原結合カラムに負荷したscFvはほぼ全てカラムに吸着し、溶出されたことが分かった。したがって、発現したscFvのほとんどが抗ビスフェノールA抗体としての抗原結合活性を有していることが明らかとなった。
次に、これらのscFvをビオチン化し、アビジンHRPによってマイクロタイターウェルにコーティングしたビスフェノールAへの結合を検出した。図7に示すように、各scFvにおいて希釈率に応じて高いシグナルが得られた。したがって、ELISAにおいてもscFvの結合活性が示された。
<レアコドンを含むポリヌクレオチド配列を含むscFvの作製>
上記実施例1において記載した方法によって調製したVHおよびVL遺伝子断片と、(G4S)3をコードしレアコドンを有するminor (G4S)3(配列番号24)リンカーDNAを用いて、当該実施例中に示す方法によってOverlapping PCRを行い、minor(G4S)3をリンカーとして有するscFv遺伝子を調製した。リンカーNo.10と同じアミノ酸配列をコードするがレアコドンを有さないポリペプチドリンカーであるmajor No.10(配列番号25)を有するscFv遺伝子も同様の方法で調製した。得られたscFv遺伝子は脱リン酸化処理したpUC118/HincIIに挿入後、XL1-Blueを用いて青/白スクリーニングを行った。更にDNAシーケンシングによってscFv遺伝子の配列確認を行った。配列確認したscFvを含むpUC118ベクターをNcoI およびNotIによって処理し、scFv遺伝子を切り出した。アガロース電気泳動によって目的とするscFv遺伝子を精製後、あらかじめNcoIおよびNotIで処理したpET22ベクター中に挿入した。大腸菌XL1BlueをscFv遺伝子を挿入したpETベクター(pET-scFv)で形質転換し、挿入遺伝子の確認を行った。XL1-Blueから回収したpET-scFvベクターを用いて大腸菌BL21pLysSを形質転換した。
リンカー配列 (G4S)3 、minor (G4S)3、No.10、major No.10、(LLKK)4、No.4又はNo.14を有するscFvを含み、かつpET22をベクターバックボーンとして作製したベクターにより形質転換された大腸菌BL21(DE3)pLysS株を培養し、OD600が0.6から1.0の範囲に増殖した時点で0.1 mM IPTGによる誘導を行った。pET22により形質転換された大腸菌BL21(DE3)pLysS株を対照として用いた。誘導後の増殖を経時的に測定すると共に、不溶性scFv及び可溶性scFvの産生量を測定した。不溶性scFv量は、下記の計算式に基づき算出した。
不溶性scFv量=総不溶性タンパク質 - (64x最高菌体濃度 / 8.68)
この場合において、64は対照であるpET22により形質転換された大腸菌を培養したときの不溶性タンパク質量を表し、8.68はpET22を形質転換した大腸菌の最高菌体濃度を表したものである。結果を図8に示す。
上記の検証をより具体化するために、産生scFvの可溶化率が下記の計算式に基づき算出された。
可溶化率=100x可溶性scFv生産量 / (可溶性scFv生産量 + 不溶性scFv生産量)
結果を図9に示す。
0.1 mM IPTGによる誘導後の増殖を経時的に測定した結果を解析したものを図10に示す。
pCHOM2(国際公開番号WO2001066737の国際公開公報に記載されている)を鋳型としたPCRにより、VH-sense(配列番号26)およびVH-antisense(配列番号27)プライマーを用いてVH遺伝子断片が増幅された後に、アガロースゲル電気泳動により精製された。
pET-MABL scFvベクターを鋳型として、Nco-VH sense(配列番号32)ならびにVL antisense (配列番号29)を用いて、NcoIサイトを5’末端に有するNco-MABL scFv遺伝子がPCR法によって増幅され、アガロースゲル電気泳動によって精製された。同様にpET-MABL scFvベクターを鋳型として、VH sense(配列番号26)およびVL-FLAG-Stop antisense(配列番号34)を用いて、MABL scFv-FLAG-Stop遺伝子がPCR法によって増幅され、アガロースゲル電気泳動によって精製された。
<形質転換された大腸菌の培養>
アンピシリンおよびクロラムフェニコールを含む2xYT培地4 ml に前記形質転換された大腸菌のシングルコロニーが植菌され、37℃、160 rpm にて一晩培養された。500 ml容のバッフル付フラスコ中の50 ml の2xYT培地に前培養した形質転換体がOD600=0.1 となるよう植菌され、200 rpm、37℃にてOD600 が約0.6〜1.0 になるまで培養された。
菌体数[cells/L]= OD600×1.6×1011
(1)7時間目に採取した培養液が10000 gで10 分間、4℃にて遠心処理され、培養上清と菌体ペレットに分離された。
(2)菌体ペレットに5 mlの溶解液(1% Triton X-100、20 mM Tris-HCl (pH8.0)、2μg/ml DNase、0.2 mg/ml リゾチウム)が加えられ、37℃で20分間振とうされた。
(3)Ultrasonic Disruptor UD-201 がOUTPUT 4、DUTY 60 にセットされ、15分間超音波破砕が行われた。
(4)600000g、30分、4℃にて超遠心分離され、上清が菌体内可溶性画分として回収された。
(5)得られたペレットが溶解液1 ml に再懸濁され、23500g、5分間、4℃にて遠心処理された。
(6)上清が500μl 除かれ、ペレットに溶解液500μlが添加された。
(7)(5)および(6)が再度行われ、23500g、5分、4℃にて遠心処理された。
(8)上清が500μl 除かれ、ペレットに蒸留水500μlが添加された。
(9)23500g、5分、4℃にて遠心処理された。
(10)(8)および(9)が再度行われ、上清500μlが除かれた後、ペレットに蒸留水500μl が添加された。
(11)重量を測定したファルコンチューブに(10)を移して一晩凍結乾燥させた後、再度重量が測定された。
(12)凍結乾燥された標品が、8M 尿素、10 mM メルカプトエタノール 0.5 mlで可溶化され、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット解析に用いられた。
不溶性sc(Fv)2 発現量[mg]
= (測定したペレットのみの重量[mg]) −(1.3×10-10[mg/cell]×最終菌体数)
誘導前および誘導後1、3、5時間における培養液1mlが15000g、10分、4℃にて遠心分離された後、菌体ペレットが、BugBuster (Novagen)を1.0 OD当たり100μlを加えることにより処理された。処理された検体は、16000g, 20分, 4℃にて遠心分離され、上清が菌体内可溶性画分として回収された。ペレットは、不溶性画分として同量の8M 尿素で可溶化された。
(1)培養上清、菌体内可溶性画分、不溶性画分がサンプルバッファによって2倍に希釈された後に、94℃にて5分加熱された。
(2)それぞれのサンプル10μlずつが、プレキャストゲルSuperSep 10-20%(WAKO)にアプライされ、200Vにて1.5 時間電気泳動に供された。
(3)電気泳動後、プレキャストゲル内に分離されたタンパク質が、タンク型トランスブロッター(Bio-rad)を用いて100Vにて1時間通電することによって、PVDF膜上(ミリポア)に転写された。
(4)5% Blocking One(ナカライテスク)溶液中で室温にて1時間インキュベートすることによって、転写されたPVDF膜がブロックされた。
(5)TBSで洗浄後、TBS-Tで1000倍に希釈したビオチン化抗FLAG抗体溶液に膜が浸され、室温にて1時間インキュベートされた。
(6)TBS-Tで5分、3回洗浄後、TBS-Tで2000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン溶液に膜が浸され、室温にて1時間インキュベートされた。
(7)TBS-Tで5分、3回洗浄後、BCIP/NBT溶液が加えられて発色反応が観察された。
培養終了時におけるMABL sc(Fv)2およびMABL minor sc(Fv)2の発現状況を解析するために、SDS-PAGEおよびウエスタンブロットをおこなった。
図12に、発現の誘導後7時間のMABL sc(Fv)2およびMABL minor sc(Fv)2 のSDS-PAGEによる解析結果を示す。分子量マーカーは順に、97、66、45、31、21、14kDaである。レーン1から3、4から6、および7から9はそれぞれ、菌体内可溶性画分、培養上清、および菌体内不溶性画分を表す。レーン1、4および7はMABL sc(Fv)2を表す。レーン2、5および8はMABL minor sc(Fv)2を表す。レーン3、6および9は対照を表す。図12に示すように、不溶性画分において、コントロールにはないタンパク質のバンドが検出された。したがって、MABL minor sc(Fv)2およびMABL sc(Fv)2とも、発現後かなりの部分が不溶化していることが示された。MABL minor sc(Fv)2を発現させた場合には、予想される分子量位置にバンドが確認されたが、MABL sc(Fv)2を発現させた場合には、予想される分子量の約半分(約27kDa)の分子量に相当するバンドが確認された。
図13に、発現の誘導後7時間のMABL sc(Fv)2およびMABL minor sc(Fv)2のウエスタンブロットによる解析結果を示す。分子量マーカーは順に97、66、45、31、21、14kDaである。レーン1から3、4から6、およびレーン8から10はそれぞれ、菌体内可溶性画分、培養上清、および菌体内不溶性画分を表す。レーン7はブランクである。レーン1、4および8はMABL sc(Fv)2を表す。レーン2、5および9はMABL minor sc(Fv)2を表す。レーン3、6および10は対照を表す。図13に示すように、ウエスタンブロット解析では、MABL sc(Fv)2は、不溶性画分において55 kDa、27kDaの双方にバンドが見られたため、発現後にMABL sc(Fv)2はプロテアーゼの分解を受けていることが示唆された。これに対して、MABL minor sc(Fv)2は分子量相当の位置にバンドが確認された。
分子量マーカーは順に、97、66、45、31、21、14kDaである。レーン1から3、4から6、7から9、10から12、および13から15はそれぞれ、誘導前、誘導後1時間、誘導後3時間、誘導後5時間、および誘導後7時間である。レーン1、4、7、9、および13はMABL sc(Fv)2を表す。レーン2、5、8、10、および14はMABL minor sc(Fv)2を表す。レーン3、6、9、12、および15は対照を表す。図14に示すように、MABL sc(Fv)2およびその分解物は、誘導後1時間後には封入体として検出され、菌体増殖がストップしているにもかかわらず、単位菌体あたりの不溶性MABL sc(Fv)2生産量は、培養時間が長くなるにしたがって増加した。MABL minor sc(Fv)2は3時間後に封入体が検出され、単位菌体当たりの不溶性MABL minor sc(Fv)2の生産量は誘導3時間後以降ほぼ一定であることが示唆された。
可溶性ヒトCD47(soluble human CD47, 以下shCD47と指称される。)は、CD47の細胞膜外領域(1 - 124アミノ酸)のC末端側にFLAGタグを付加してCHO細胞で発現させた。発現させたshCD47は、抗FLAG M2 アガロース(SIGMA)を使用してマニュアルに準拠して精製された。
Claims (15)
- 2以上のポリペプチドドメインと、これらを連結するポリペプチドリンカーからなる抗体断片をコードするポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドリンカーをコードするポリヌクレオチドの配列は、前記ポリヌクレオチドが導入された宿主細胞において前記ポリヌクレオチドから転写されたmRNAが翻訳される際に、ポリペプチドリンカーをコードするmRNAの領域の翻訳速度がそのすぐ上流側のポリペプチドドメインをコードするmRNAの領域の翻訳速度より遅くなるよう選択されることを特徴とするポリヌクレオチド。
- ポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドが、1またはそれ以上のレアコドンを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- レアコドンが、GCC、CGG、AGG、CAA、CAC、CAT、CTA、CCC、CCA、TCCのいずれかから選択される請求項2に記載のポリヌクレオチド。
- レアコドンが、CGG、AGG、AGA、CTA、CCC、GGA、ATAのいずれかから選択される請求項2に記載のポリヌクレオチド。
- ポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドから転写されるmRNAの二次構造が、立体高次構造を取ることができる配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 立体高次構造がステム−ループ構造である請求項5に記載のポリヌクレオチド。
- ポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドがコードするアミノ酸の使用頻度が、当該ポリペプチドが導入された宿主細胞において低いことを特徴とする請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 抗体断片がscFvである請求項1−7のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
- 抗体断片がsc(Fv)2である請求項1−7のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
- ポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドが、配列番号6、8、10、12又は24に規定される配列を有する、請求項1−9のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
- 請求項1−10のいずれかに記載のポリヌクレオチドが前記宿主細胞において発現可能なように挿入されたベクター。
- 請求項11に記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
- 宿主細胞が原核生物の細胞であることを特徴とする請求項12に記載の宿主細胞。
- 原核生物が大腸菌であることを特徴とする請求項13に記載の宿主細胞。
- 請求項12に記載の宿主細胞を培養し、産生された抗体断片を回収することを特徴とする抗体断片の製造方法。
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