図1は、本発明の一形態に係る蓄圧システムが組み込まれた内燃機関を示している。図1の内燃機関(以下、エンジンと称することがある。)1は、車両に走行用動力源として搭載されるディーゼルエンジンであり、複数(図1では4つ)のシリンダ2を有する機関本体3と、各シリンダ2にそれぞれ接続される吸気通路4及び排気通路5とを備えている。吸気通路4には、吸気を濾過するためのエアクリーナ6と、ターボ過給機7のコンプレッサ7aと、吸気を冷却するためのインタークーラ8とが設けられている。排気通路5には、ターボ過給機7のタービン7bと、排気を浄化するための触媒コンバータ9と、排気通路5を閉じる全閉位置と排気通路5を開ける全開位置とに切り替え可能な排気遮断弁10とが設けられている。
排気通路5と吸気通路4とは、EGR通路11にて接続されている。図1に示したようにEGR通路11は、排気通路5の一部を形成する排気マニホールド5aと吸気通路4の一部を形成する吸気マニホールド4aとを接続している。EGR通路11には、排気通路5から吸気通路4に導かれる排気(以下、EGRガスと称することがある。)を冷却するためのEGRクーラ12及びEGRガスの流量を調整するためのEGR弁13が設けられている。EGRクーラ12は、EGR弁13よりも排気通路5側に設けられている。EGRクーラ12には、EGR通路11の排気の圧力(以下、排気圧と称することがある。)Peに対応する信号を出力する圧力取得手段としての排気圧センサ14が設けられている。各シリンダ2には、シリンダ2内に燃料を噴射するためのインジェクタ15がそれぞれ設けられている。各インジェクタ15は、インジェクタ15に供給される高圧の燃料が蓄えられるコモンレール16に接続されている。
図1に示したようにエンジン1は、ターボ過給機7の動作をアシストするための蓄圧システム20を備えている。蓄圧システム20は、蓄圧容器としての蓄圧タンク21を備えている。蓄圧タンク21は、加圧されたガスを溜めることが可能な圧力容器として構成されている。蓄圧タンク21には、ガスとして空気又は排気の少なくともいずれか一方が貯留される。
蓄圧タンク21は、ガス通路22にてEGR通路11と接続されている。この図に示したようにガス通路22は、EGR弁13より排気通路5側のEGR通路11と蓄圧タンク21とを接続している。ガス通路22には、流量制御弁23が設けられている。流量制御弁23は、蓄圧タンク21の内部とEGR通路11とが接続されるようにガス通路22を全開する接続位置(以下、全開位置と称することもある。)と蓄圧タンク21の内部とEGR通路11との接続が遮断されるようにガス通路22を全閉する遮断位置(以下、全閉位置と称することもある。)との間で開度を調整可能である。流量制御弁23よりも蓄圧タンク21側のガス通路22には、蓄圧タンク21の内部の圧力(以下、タンク圧と称することがある。)に対応する信号を出力する圧力センサ24が設けられている。
流量制御弁23の動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)30にて制御される。ECU30は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を有し、エンジン1に設けられた各種センサからの出力信号に基づいて排気遮断弁10、EGR弁13、及びインジェクタ15などの動作をそれぞれ制御することによりエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU30は、例えばエンジン1の回転数が予め設定した所定の燃料カット回転数以上であり、かつアクセル開度が0%すなわちアクセルペダルが踏まれていない場合、各シリンダ2への燃料供給が停止されるように各インジェクタ15の動作を制御する。以下、この制御を燃料カット制御と称することがある。また、ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて適正な量のEGRガスが吸気通路4に導入されるようにEGR弁13の開度を調整する。この他、ECU30はエンジン1の運転状態に応じて排気遮断弁10の開度を調整する。このような制御を行う際に参照するセンサとしてECU30には、エンジン1のクランク軸の回転速度(回転数)に対応する信号を出力するクランク角センサ31、アクセル開度に対応する信号を出力するアクセル開度センサ32、吸入空気量に対応する信号を出力するエアフローメータ33、及び車両の速度に対応する信号を出力する車速センサ34等が接続される。また、ECU30には、排気圧センサ14及び圧力センサ24も接続されている。なお、これらの他にもECU30には種々のセンサが接続されているがそれらの図示は省略した。
ECU30は、車両の走行状態及びエンジン1の運転状態に応じて蓄圧システム20を制御する。例えば、ECU30はターボ過給機7の動作をアシストする必要がある場合、蓄圧タンク21に溜められているガスがタービン7bに供給されるように蓄圧システム20を制御する。具体的には、ECU30はまずEGR弁13を全閉にし、その後流量制御弁23を全開位置に切り替える。これにより蓄圧タンク21内のガスをガス通路22、EGR通路11、及び排気マニホールド5aを介してタービン7bに供給することができる。そのため、ターボ過給機7の動作をこのガスでアシストすることができる。
また、ECU30は、このようにターボ過給機7の動作をアシストするために燃料カット制御が実行されているときに蓄圧タンク21内に加圧されたガスが溜められるように蓄圧システム20を制御する。この際、ECU30はタンク圧が予め設定した目標圧力に到達するまで蓄圧タンク21内にガスを溜める。なお、目標圧力としては、例えばこの圧力のガスを排気通路5に供給することによってタービン7bを十分に加速させることが可能な圧力が設定される。図2は、蓄圧タンク21に加圧されたガスを溜めるべくECU30がエンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行する蓄圧制御ルーチンを示している。
図2の制御ルーチンにおいてECU30は、まずステップS11で車両の走行状態及びエンジン1の運転状態を取得する。車両の走行状態としては、例えば車両の速度が取得される。エンジン1の運転状態としては、例えばエンジン1の回転数、アクセル開度、排気圧Pe、吸入空気量、及びタンク圧等が取得される。続くステップS12においてECU30は、所定の蓄圧条件が成立しているか否か判断する。蓄圧条件は、例えばエンジン1に対して燃料カット制御が実行されており、かつタンク圧がターボ過給機7の動作をアシストすることが可能な圧力以下の場合に成立したと判断される。蓄圧条件が不成立と判断した場合はステップS13〜S17をスキップしてステップS18に進む。
一方、蓄圧条件が成立していると判断した場合はステップS13に進み、ECU30は蓄圧タンク21に加圧されたガスを溜めている最中、すなわち蓄圧中であることを示す蓄圧フラグがオンの状態か否か判断する。蓄圧フラグがオンの状態であると判断した場合はステップS14及びS15をスキップしてステップS16に進む。一方、蓄圧フラグがオフであると判断した場合はステップS14に進み、ECU30は蓄圧タンク21に加圧したガスを溜めるための蓄圧開始制御を実行する。この蓄圧開始制御においてECU30は、まず排気遮断弁10及びEGR弁13をそれぞれ全閉に切り替える。その後、ECU30は流量制御弁23を全開に切り替える。これにより、排気遮断弁10よりも上流側の排気通路5のガスを加圧して蓄圧タンク21に溜めることができる。なお、蓄圧条件が成立している場合は燃料カット制御が実行中であるため、シリンダ2から排気通路5には空気が排出される。そのため、蓄圧タンク21に溜められるガスは殆ど空気である。続くステップS15においてECU30は、蓄圧フラグをオンの状態に切り替える。
次のステップS16においてECU30は、排気圧制御を実行する。蓄圧タンク21への蓄圧時は、排気遮断弁10及びEGR弁13をそれぞれ全閉にするので、排気遮断弁10より上流側の排気通路5内の圧力が上昇する。この際、圧力が上昇し過ぎると、例えば排気遮断弁10より上流側の排気通路5に設けられているシール部からガスが外部に漏れたり、過剰なエンジンブレーキによりエンジン1の回転数が急に低下したりするおそれがある。そこで、ECU30はこのようなガス漏れ及びエンジン回転数の急低下を防止するためにEGR弁13の開度を調整して排気遮断弁10より上流側の排気通路5内の圧力を調整する。なお、排気遮断弁10及びEGR弁13が全閉の場合は、排気遮断弁10より上流側の排気通路5内の圧力はEGR通路11の圧力と同じになる。そこで、以降では蓄圧タンク21への蓄圧時における排気遮断弁10より上流側の排気通路5内の圧力を排気圧Peと称することがある。
図3は、ECU30が蓄圧タンク21への蓄圧時に排気圧Peを調整するために実行する排気圧制御ルーチンを示している。すなわち、図2のステップS16では図3に示した制御ルーチンが実行される。なお、図3において図2と同一の処理には同一の参照符号を付して説明を省略する。この制御ルーチンを実行することにより、ECU30が本発明の制御手段として機能する。
図3の制御ルーチンにおいてECU30は、まずステップS11で車両の走行状態及びエンジン1の運転状態を取得する。次のステップS21においてECU30は、排気圧Peが所定の排気圧上限値Pmax以上か否か判断する。この排気圧上限値Pmaxは、蓄圧タンク21への蓄圧中に上述したようなガス漏れ及びエンジン回転数の急低下を防止するために設定される閾値である。排気圧上限値Pmaxは、例えば排気遮断弁10より上流側の排気通路5に設けられているシール部から外部にガスが漏れ始める圧力値及びエンジンブレーキによる車両の急な減速を防止可能な圧力値などに基づいて設定され、このような圧力値より低い値が設定される。また、この排気圧上限値Pmaxには、蓄圧タンク21の目標圧力より高い値が設定される。
排気圧Peが排気圧上限値Pmax以上と判断した場合はステップS22に進み、ECU30はEGR弁13の開度を設定する。EGR弁13の開度は、例えば図4に一例を示したマップを参照して設定される。図4は、エンジン1の回転数及び吸入空気量とEGR弁13の開度との関係の一例を示している。シリンダ2から排気通路5に排出されるガスの量はエンジン1の運転状態に応じて変化し、エンジン1の回転数が高いほど、また吸入空気量が多いほどそのガスの量は多くなる。そのため、排気圧Peを低下させるためには、エンジン1の回転数が高いほど、また吸入空気量が多いほど、EGR弁13をより大きく開ける必要がある。そこで、EGR弁13の開度は、エンジン1の回転数が高いほど、また吸入空気量が多いほど大きい値が設定される。なお、図4に示した関係は、予め実験などにより求めてECU30のRAMに記憶させておけばよい。続くステップS23においてECU30は、設定した開度までEGR弁13を開ける。その後、今回の制御ルーチンを終了する。EGR弁13を開ける際、ECU30は排気圧Peが急に低下しないようにEGR弁13の開度を制御する。具体的には、単位時間あたりの圧力の変化量が予め設定した所定の許容値以下になるようにEGR弁13を開弁させる。EGR弁13の開度を変化させたときに排気圧Peが単位時間あたりに変化する変化量は、排気遮断弁10より上流側の排気通路5の容積等に影響される。そこで、所定の許容値は、例えばこの排気遮断弁10より上流側の排気通路5の容積に応じて適宜に設定すればよい。
一方、排気圧Peが排気圧上限値Pmax未満と判断した場合はステップS24に進み、ECU30は排気圧Peが所定の排気圧下限値Pmin以下か否か判断する。蓄圧タンク21に目標圧力までガスを溜めるためには、排気遮断弁10より上流側の排気通路5内の圧力(排気圧Pe)をその目標圧力以上に高める必要がある。排気圧下限値Pminは、蓄圧タンク21に目標圧力までガスを溜めるために必要な圧力の下限値である。排気圧下限値Pminには、例えばその目標圧力が設定される。排気圧Peが排気圧下限値Pminより高いと判断した場合は、今回の制御ルーチンを終了する。一方、排気圧Peが排気圧下限値Pmin以下と判断した場合はステップS25に進み、ECU30はEGR弁13を全閉にする。なお、既にEGR弁13が全閉であった場合は、EGR弁13はその状態に維持される。その後、今回の制御ルーチンを終了する。このようにEGR弁13の開度を制御して排気圧Peを調整することにより、EGR弁13が本発明の圧力調整手段として機能する。
図2に戻って蓄圧制御の説明を続ける。ステップS16の排気圧制御が終了した後はステップS17に進み、ECU30はタンク圧が目標圧力以上か否か判断する。タンク圧が目標圧力未満と判断した場合は、今回の制御ルーチンを終了する。一方、タンク圧が目標圧力以上と判断した場合、又はステップS12が否定判断された場合はステップS18に進み、ECU30は蓄圧終了制御を実行する。この蓄圧終了制御においてECU30は、まず流量制御弁23を全閉に切り替える。これにより蓄圧タンク21への蓄圧が終了する。その後、ECU30は、排気遮断弁10及びEGR弁13をそれぞれ一旦全開にして排気圧Peを低下させた後、これらの弁の制御をエンジン1の運転状態に応じてこれらの弁の開度が制御される通常制御に切り替える。続くステップS19においてECU30は、蓄圧フラグをオフの状態に切り替える。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
図5は、図2の蓄圧制御ルーチンを実行して蓄圧タンク21への蓄圧を行ったときのアクセル開度、EGR弁13の開度、排気圧Pe、及びタンク圧の時間変化の一例を示している。なお、図5の実線L1が排気圧Peの時間変化を示し、実線L2がタンク圧の時間変化を示している。この図に示したように時刻T0にアクセル開度が0%になって蓄圧条件が成立するとEGR弁13が全閉にされる。これにより、排気圧Peが上昇し始める。そして、時刻T1において排気圧Peが排気圧上限値Pmaxに達するとEGR弁13が開けられる。これにより排気圧Peが低下し始める。その後、時刻T2において排気圧Peが排気圧下限値Pminまで低下するとEGR弁13が全閉にされる。これにより排気圧Peが再度上昇し始める。時刻T3においてタンク圧が目標圧力に到達すると蓄圧終了制御が実行されてEGR弁13が一旦全開にされ、その後EGR弁13の制御が通常制御に戻される。なお、図5では通常制御においてEGR弁13が全閉に制御されている。このように図5では、時刻T1〜T3の期間Tcにおいて排気圧Peが排気圧上限値Pmaxと排気圧下限値Pminの間の圧力範囲に調整される。
このように本発明の蓄圧システム20によれば、蓄圧タンク21への蓄圧時に排気圧Peが排気圧上限値Pmax以下に制限されるので、排気圧Peが過度に高くなることを防止できる。そのため、排気遮断弁10より上流側の排気通路5に設けられているシール部からのガス漏れ、及びエンジン1の回転数の急低下などを確実に防止することができる。
また、蓄圧タンク21に加圧されたガスを溜めるときは、まず排気圧Peを排気圧上限値Pmaxまで高めるので、蓄圧タンク21に加圧されたガスを速やかに溜めることができる。そして、排気圧Peを排気圧上限値Pmaxまで高めた後は、図5に示したように排気圧Peが排気圧上限値Pmaxと排気圧下限値Pminの間の圧力範囲内で変化するようにEGR弁13の開度を調整するので、蓄圧タンク21に加圧されたガスをさらに速やかに溜めることができる。
排気圧Peを調整する際は、単位時間あたりの排気圧Peの変化量が所定の許容値以下になるようにEGR弁13の開度が制御されるので、排気圧Peが急に低下することを抑制できる。そのため、エンジン1の回転数の急な変化を抑制することができる。
なお、排気圧上限値Pmax及び排気圧下限値Pminは、上述した値に限定されない。例えば、排気圧下限値Pminは、蓄圧タンク21の目標圧力より高い値が設定されてもよい。このように排気圧下限値Pminを排気圧上限値Pmaxに近付けることにより、蓄圧タンク21への蓄圧時に排気圧Peを排気圧上限値Pmaxの近傍の値に維持することができる。そのため、蓄圧タンク21に加圧されたガスをさらに速やかに溜めることができる。
排気圧上限値Pmaxは、車両の走行状態又はエンジン1の運転状態に応じて変更してもよい。例えば、エンジン1の出力軸が接続されている変速装置の変速比に応じて排気圧上限値Pmaxを変更してもよい。周知のように変速装置は、エンジン1と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられ、互いに大きさの異なる複数の変速比に切り替え可能である。そして、車両を同じ速度で走行させる場合、変速装置の変速比が小さいほど、すなわち高速ギヤにセットされているほど、エンジン1に要求されるトルクが大きくなり、エンジン1の回転数が低くなる。そのため、変速装置の変速比が小さいほどシリンダ2から排気通路5に排出されるガスの量が少なく排気圧Peが小さいと推定できる。従って、変速装置の変速比が小さいほど排気遮断弁10を全閉に切り替えたときのエンジンブレーキの効きが弱くなり、また車両が減速する際の減速度が小さくなる。すなわち、高速ギヤにセットされて変速比が小さい場合は、低速ギヤにセットされて変速比が大きい場合と比較して排気圧上限値Pmaxを高くしてもエンジン1の回転数が急に低下し難く、車両が急に減速され難くなる。そこで、変速装置の変速比が小さいほど、言い換えると高速側のギヤに設定されているほど、排気圧上限値Pmaxを高く設定する。
このように変速装置の変速比に応じて排気圧上限値Pmaxを変更する排気圧制御ルーチンのフローチャートを図6に示す。なお、図6において図3と同一の処理には同一の参照符号を付して説明を省略する。図6の制御ルーチンでは、まずステップS11で車両の走行状態及びエンジン1の運転状態が取得される。この際、車両の走行状態として変速装置のギヤ段、すなわち変速比も取得される。次のステップS31においてECU30は、取得したギヤ段に基づいて排気圧上限値Pmaxを設定する。この排気圧上限値Pmaxの設定は、例えば図7に一例を示したマップを参照して行えばよい。図7は、変速装置のギヤ段と排気圧上限値Pmaxとの関係の一例を示している。なお、図7に示した各圧力P0〜P4は、P0<P1<P2<P3<P4の関係になるように設定されている。そのため、排気圧上限値Pmaxは、ギヤ段が高速側にあるほど大きい値が設定される。この関係は、予め実験などにより求めてECU30のROMにマップとして記憶させておけばよい。このステップS31を実行することにより、ECU30が本発明の上限値設定手段として機能する。排気圧上限値Pmaxを設定した後はステップS21に進み、以降は図3と同様に処理が進められる。
図6の排気圧制御ルーチンによれば、変速装置のギヤ段が高速側であるほど排気圧上限値Pmaxの値を大きくするので、車両が急に減速されることを防止しつつ蓄圧タンク21に速やかに加圧されたガスを溜めることができる。なお、排気圧上限値Pmaxは、車両の速度に応じて設定されてもよい。一般に車両の速度が高い場合は、変速装置のギヤ段が高速側に切り替えられていると推定できる。そこで、車両の速度が高いほど排気圧上限値Pmaxの値を大きくしてもよい。この場合も車両が急に減速されることを防止しつつ蓄圧タンク21に速やかに加圧されたガスを溜めることができる。
本発明の蓄圧システム20において蓄圧タンク21への蓄圧時に排気圧Peを調整する弁は、EGR弁13に限定されない。例えば、排気遮断弁10として排気通路5を全開する全開位置と排気通路5を全閉する全閉位置との間で開度を変更可能な弁を設け、この弁をEGR弁13の代わりに制御して排気圧Peを調整してもよい。このような弁としては、例えばスライド方式の電磁排気遮断弁が設けられる。この場合、排気遮断弁10は上述したEGR弁13の制御方法と同じ方法で制御される。すなわち、排気遮断弁10は、排気圧Peが排気圧上限値Pmax以上になると開弁され、排気圧Peが排気圧下限値Pmin以下になると全閉に制御される。また、この場合は、単位時間あたりの排気圧Peの変化量が所定の許容値以下になるように排気遮断弁10が制御される。この場合、排気遮断弁10が本発明の圧力調整手段として機能する。
この他、図8に示したように排気通路5に排気遮断弁10をバイパスするバイパス通路40と、そのバイパス通路40を開閉するバイパス弁41とを設け、このバイパス弁41を制御して排気圧Peを調整してもよい。なお、図8は、排気遮断弁10付近の排気通路5を拡大して示している。この場合、バイパス弁41には、バイパス通路40を全開する全開位置とバイパス通路40を全閉する全閉位置との間で開度を調整可能な弁が設けられる。この場合も上述したEGR弁13又は排気遮断弁10と同様にバイパス弁41は、排気圧Peが排気圧上限値Pmax以上になると開弁され、排気圧Peが排気圧下限値Pmin以下になると全閉になるように制御される。また、バイパス弁41は、単位時間あたりの排気圧Peの変化量が所定の許容値以下になるように制御される。この場合、バイパス弁41が本発明の圧力調整手段として機能する。
このように排気遮断弁10又はバイパス弁41で排気圧Peを制御する場合は、タービン7bの下流で圧力を低下させるので、タービン7bより上流側の排気の圧力が低下し難い。すなわち、タービン7bより上流側の排気通路5内の圧力を高めておくことができる。そのため、蓄圧タンク21への蓄圧が終了した直後に車両の再加速が行われた場合などにタービン7bの回転を速やかに上昇させることができる。なお、排気圧Peの調整は、EGR弁13、排気遮断弁10、及びバイパス弁41の全ての弁を使用して行ってもよいし、これらの弁のうちのいずれか2つを組み合わせて行ってもよい。
EGR弁13の制御方法は、上述した制御方法に限定されない。例えば、排気圧Peが排気圧上限値Pmaxに達した場合、EGR弁13を予め設定した固定開度に開弁させてもよい。この場合、図3のステップS22の処理を省略することができる。また、この際にEGR弁13を開弁状態に維持する期間は、予め設定した固定時間でもよい。この場合、EGR弁13はこの固定時間が経過すると全閉位置に切り替えられる。このようにEGR弁13を制御しても蓄圧タンク21への蓄圧時の排気圧Peを排気圧上限値Pmax以下に制限することができる。なお、排気遮断弁10及びバイパス弁41も同様の制御方法で制御してもよい。
また、排気圧Peを低下させているときのEGR弁13の開度を排気圧Peに基づいてフィードバック制御してもよい。例えば、排気圧Peが低下するに従ってEGR弁13が漸次閉められるようにEGR弁13を制御してもよい。このようにEGR弁13を徐々に閉じ側に制御することにより排気圧Peの低下を抑制できるので、蓄圧タンク21に速やかに加圧されたガスを溜めることができる。なお、排気遮断弁10及びバイパス弁41も同様の制御方法で制御してもよい。
(参考例)
図9は、本発明の実施形態に対する参考例に係る蓄圧システムが組み込まれた内燃機関を示している。なお、図9において本発明と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。この図に示したように参考例では、EGR通路11に逃がし弁としてのチェック弁50が設けられている点が異なり、それ以外は本発明と同じである。このチェック弁50は、排気圧Peが排気圧上限値Pmaxに達すると開弁してEGR通路11内のガスを外部に排出するように構成されている。
参考例に係る蓄圧システムによれば、排気圧Peが排気圧上限値Pmaxに達するとチェック弁50が開弁するので、排気遮断弁10より上流側の排気通路5から外部にガスを排出することができる。これにより排気圧Peを低下させることができるので、蓄圧タンク21に蓄圧を行っているときに排気圧Peが過度に高くなることを防止できる。なお、蓄圧タンク21への蓄圧時はタンク圧が排気圧Peとほぼ同じになる。そのため、チェック弁50はタンク圧が排気圧上限値Pmaxに達すると開弁するように構成されていてもよい。
本発明は、上述した各形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明の蓄圧システムはディーゼルエンジンに限らず、ガソリンその他の燃料を利用する各種の内燃機関に適用してよい。蓄圧タンクに主に溜められるガスは空気に限定されず、排気を溜めてもよい。
排気遮断弁より上流側の排気通路内の圧力は、排気遮断弁及びEGR弁を全閉にしてから経過した時間、エンジンの回転数、及びエンジンの吸入空気量等に基づいて推定してもよい。この場合はECUが本発明の圧力取得手段に相当する。また、蓄圧タンク内にガスを溜めているときは蓄圧タンク内の圧力と排気遮断弁より上流側の排気通路内の圧力とが相関する。そこで、蓄圧タンク内の圧力に対応する信号を出力する圧力センサの出力信号に基づいてEGR弁及び排気遮断弁などの動作を制御し、これにより排気圧を排気圧上限値以下に制限してもよい。この場合、圧力センサが本発明の圧力取得手段に相当する。この他、蓄圧タンクにガスを溜めているときの排気通路内の圧力と相関する種々の物理量に基づいて排気圧又はタンク圧を推定し、その推定した排気圧又はタンク圧に基づいてEGR弁及び排気遮断弁などの動作を制御してもよい。すなわち、蓄圧タンクへの蓄圧時におけるEGR弁及び排気遮断弁などの動作は、そのときの排気通路内の圧力と相関する種々の物理量に基づいて制御してもよい。
蓄圧タンクの内部には、ガスを吸着可能かつ吸着したガスを放出可能な吸着材が収容されていてもよい。このような吸着材としては、例えば活性炭、ゼオライト、アルミナ、又はカーボンモレキュラーシーブなどが用いられる。なお、吸着材は、単一の物質に限定されず、これらの物質が混合されたものでもよい。