JP5115719B2 - 摩擦攪拌接合方法および密閉容器 - Google Patents

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本発明は、摩擦攪拌接合方法および密閉容器に関するもので、特に、容器本体の開口部に蓋体を全周に亘って摩擦攪拌接合する方法およびこの方法によって得られる密閉容器に関する。
従来、自動車に使用されているオイルリザーバ等のアルミニウム合金製の密閉容器においては、容器本体(本体)の開口部と蓋体との合せ部を全周に亘って摩擦攪拌接合することが行われている(例えば、特許文献1参照)。ところで、摩擦攪拌接合においては、回転ツールに、例えば、3°の前進角を持たせ、この回転ツールのショルダ部を、部材表面よりも押込んだ状態、例えば、0.1 〜 0.5 mmだけ押込んだ状態で、開口部と蓋体との合せ部に沿って回転ツールを送る。このため、摩擦攪拌接合における接合部は、部材表面に対して、例えば、0.2 mm程度凹む。
したがって、容器本体の開口部と蓋体とを全周に亘って摩擦攪拌接合する場合、接合始端と接合終端とでオーバーラップさせる部分(以下、オーバーラップ部という)が、少なくとも1箇所必要である。このオーバーラップ部においては、接合始端、すなわち、部材表面に対して凹んだ部分に、摩擦攪拌接合開始時の押込み量を維持した回転ツールが進入する。これにより、オーバラップ部における回転ツールの押込み量が接合始端の凹み分だけ不足し、オーバーラップ部に穴あきが発生するおそれがある。
特開平11−197856号公報
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部における穴あきを防止した摩擦攪拌接合方法を提供することを課題としてなされたものである。
また、本発明は、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部における穴あきを防止した密閉容器を提供することを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明の摩擦攪拌接合方法は、本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部を全周に亘って摩擦攪拌接合する方法であって、回転ツールを第1押込み量で前記合せ部に沿って移動させ、接合始端よりも、少なくとも、前記回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、前記回転ツールの押込み量を、前記接合始端の凹みによる前記回転ツールの押込み量の不足分だけ押込み量を増加させた第2押込み量に増加させ、該第2押込み量を維持しつつ、前記接合始端と接合終端とをオーバーラップさせることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の密閉容器は、本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部が全周に亘って摩擦攪拌接合される密閉容器であって、前記開口部と前記蓋体との接合部に、接合始端と接合終端とをオーバーラップさせて形成されるオーバーラップ部を設け、該オーバーラップ部は、前記接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、前記回転ツールの押込み量が前記接合始端の凹みによる前記回転ツールの押込み量の不足分だけ増加されて形成されることを特徴とする。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜()項の各々が、請求項1〜の各々に相当する。
(1)本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部を全周に亘って摩擦攪拌接合する方法であって、回転ツールを第1押込み量で合せ部に沿って移動させ、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量を、接合始端の凹みによる回転ツールの押込み量の不足分だけ押込み量を増加させた第2押込み量に増加させ、該第2押込み量を維持しつつ、接合始端と接合終端とをオーバーラップさせる摩擦攪拌接合方法。
摩擦攪拌接合においては、回転ツールを所定の前進角(例えば、3°)で傾斜させ、この傾斜させた回転ツールのショルダ部によって、軟化させた材料を押込みながら、回転ツールを開口部と蓋体との合せ部に沿って移動させる。これにより、摩擦攪拌接合によって形成された接合部は、部材表面に対して凹む(例えば、0.2 mm)。したがって、摩擦攪拌接合開始時の回転ツールの押込み量を維持したままの状態で、接合始端と接合終端とをオーバーラップさせると、接合始端が部材表面に対して凹んでいることから、その凹み分だけ回転ツールの押込み量が不足する。これにより、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部に穴あきが発生するおそれがある。
本項に記載の摩擦攪拌接合方法によれば、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量を増加させるので、前述したような、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部の回転ツールの押込み量の不足が解消され、全周に亘って穴あきのない均一な接合部を得ることができる。
本項の態様において、回転ツールの押込み量を増加させる位置は、回転ツールの外径の1/2の距離よりも手前であればよく、例えば、回転ツールの外径と同一の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量を増加させてもよい。
)第1押込み量および第2押込み量は、予め決められた押込み量の範囲内に設定され、第2押込み量は、第1押込み量の2倍に設定される(1)摩擦攪拌接合方法。
本項に記載の摩擦攪拌接合方法によれば、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量を2倍にする。これにより、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部の回転ツールの押込み量の不足が解消される。さらに、本項の態様では、第1押込み量および第2押込み量を予め決められた押込み量の範囲内に設定したことにより、全周に亘って穴あきのない接合部を得ることができる。
本項の態様において、予め決められた押込み量とは接合部に穴あきが発生する領域と接合部バリが発生する領域と、の間の領域(範囲)の押込み量をいう。
)本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部が全周に亘って摩擦攪拌接合される密閉容器であって、開口部と蓋体との接合部に、接合始端と接合終端とをオーバーラップさせて形成されるオーバーラップ部を設け、該オーバーラップ部は、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量が接合始端の凹みによる回転ツールの押込み量の不足分だけ増加されて形成される密閉容器。
本項に記載の密閉容器によれば、オーバラップ部は、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量を増加させることで形成されるので、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部の回転ツールの押込み量の不足が解消され、開口部と蓋体との合せ部の全周に亘って穴あきのない均一な接合部を得ることができる。これにより、密閉容器の密閉度ひいては品質を確保することができる。
本項の態様において、密閉容器は、例えば、アルミニウム合金からなるオイルリザーバである。
)オーバーラップ部は、予め決められた押込み量の範囲内で、回転ツールの押込み量が2倍に増加されて形成される(3)の密閉容器。
本項に記載の密閉容器によれば、接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツールの押込み量Pを、摩擦攪拌接合開始時の押込み量P0に対して2倍の押込み量P1に増加させることで、接合始端と接合終端とのオーバーラップ部を形成する。そして、本項の態様では、押込み量Pを増加させる前後の各押込み量P0、P1を予め決められた押込み量の範囲内に設定した。これにより、開口部と蓋体との合せ部に、全周に亘って穴あきのない接合部を得ることができ、密閉容器の密閉度ひいては品質を確保することができる。
接合始端と接合終端とのオーバーラップ部における穴あきを防止した摩擦攪拌接合方法および密閉容器を提供することができる。
本発明の一実施形態を図1〜図6に基いて説明する。なお、本実施形態では、アルミニウム合金からなる容器本体2(本体)の開口部3(以下、単に開口部3という)と蓋体4との合せ部5を全周に亘って摩擦攪拌接合する方法およびこれにより得られる密閉容器1を説明する。
図1および図2に示されるように、本実施形態の密閉容器1は、容器本体2の開口部3と蓋体4との接合部6に、接合始端7と接合終端8とをオーバーラップさせて形成されるオーバーラップ部9を有する。そして、本実施形態の密閉容器1では、このオーバラップ部9を、接合始端7よりも、少なくとも、回転ツール10の外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツール10の押込み量P(図3参照)を摩擦攪拌接合開始時における第1押込み量P0から第2押込み量P1へ2倍に増加させて形成した(P1=2P0)。これにより、オーバーラップ部9における第2押込み量P1と、他の部分(オーバーラップさせていない部分)の第1押込み量P0と同一になり、このようにして形成された密閉容器1においては、開口部3と蓋体4との合せ部5に、全周に亘って穴あきのない均一な接合部6を得ることができる。
次に、本実施形態の摩擦攪拌接合方法を詳細に説明する。
なお、本実施形態における摩擦攪拌接合の接合条件は以下に示すとおりである。
(1)容器本体2(本体)の開口部3周縁の板厚:5 mm
(2)蓋体4の板厚:2 mm
(3)回転ツール10の外径:7 mm
(4)回転ツール10のプローブ(先端部)の外径:3.5 mm
(5)回転ツール10のプローブ(先端部)の長さ:2 mm
(6)回転ツール10の回転数:1500 r.p.m
(7)回転ツール10の送り速度:0.75 m/min
(8)回転ツール10の前進角θ(図3参照):3°
(9)摩擦攪拌接合開始時の回転ツール10の部材表面に対する押込み量P0(第1押込み量):0.2 mm
(10)増加後の回転ツール10の部材表面に対する押込み量P1(第2押込み量、P1=2P0):0.4 mm
図1に示されるように、回転ツール10を、容器本体2(本体)の開口部3と蓋体4との合せ部5上に設定された接合始端7から、合せ部5に沿って規定方向(本実施形態では、図1における時計回り方向)へ移動させる。これにより、回転ツール10の軌跡には、接合部6(摩擦攪拌接合部)が形成される。ここで、図4に示されるように、接合部6は、合せ部5(部材表面)に対して、H(本実施形態では、0.2 mm)だけ凹む。
そして、本実施形態では、接合始端7よりも、少なくとも、回転ツール10の外径の1/2の距離だけ手前の位置、例えば、接合始端7よりも5 mmだけ手前の位置で、回転ツール10の押込み量P(図3参照)を、第1押込み量P0から第2押込み量P1へ2倍に増加させてオーバラップ部9を形成する。これにより、図5に示されるように、オーバーラップ部9における第2押込み量P1と他の部分(オーバーラップさせていない部分)の第1押込み量P0と同一にさせる。言い換えると、本実施形態では、押込み量Pが不足する前、すなわち、回転ツール10が接合始端7に到達する手前の位置で、押込み量Pを第1押込み量P0から第2押込み量P1(P1=2P0)へ2倍に増加させる。
また、本実施形態では、図6に示されるように、第1押込み量P0および第2押込み量P1を予め決定された押込み量の範囲内に設定することで、合せ部5の全周に亘って穴あきのない接合部6を得ることができる。ここで、予め決められた押込み量とは図6における回転ツール10の押込み量Pが0.1 mmよりも小さい領域すなわち、接合部6に穴あきが発生する領域と図6における回転ツール10の押込み量Pが0.5 mmよりも大きい領域すなわち、接合部6バリが発生する領域と、の間の領域(図6における押込み量の適正範囲)の押込み量Pをいう。
この実施形態では以下の効果を奏する。
摩擦攪拌接合によって形成された接合部6は、部材表面に対して凹む(例えば、0.2 mm)。したがって、摩擦攪拌接合開始時における回転ツール10の押込み量P0を維持したままの状態で、接合始端7と接合終端8とをオーバーラップさせると、接合始端7が部材表面に対して凹んでいることから、その凹み分だけ回転ツール10の押込み量が不足することになる。
本実施形態では、接合始端7よりも、少なくとも、回転ツール10の外径の1/2の距離だけ手前の位置で、回転ツール10の押込み量Pを、摩擦攪拌接合開始時の第1押込み量P0から第2押込み量P1(P1=2PO)へ増加させてオーバラップ部9を形成することにより、オーバーラップ部9における押込み量P1と、他の部分(オーバーラップさせていない部分)の押込み量P0と同一にした。言い換えると、本実施形態では、押込み量Pが不足する手前の位置、すなわち、回転ツール10が接合始端7に到達する手前の位置で、押込み量Pを第1押込み量P0から第2押込み量P1へ、接合始端7の凹みによる回転ツール10の押込み量Pの不足分(本実施形態では、0.2 mm)だけ、押込み量Pを増加させる。これにより、本実施形態では、オーバラップ部9における回転ツール10の押込み量Pの不足を解消することができ、さらに、第1押込み量P0および第2押込み量P1を予め決められた押込み量の範囲内に設定することで、全周に亘って穴あきのない良好な接合部6が得られ、密閉容器1の密閉度ひいては品質を確保することができる。
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施形態では、回転ツール10の押込み量Pを、摩擦攪拌接合開始時の第1押込み量P0から、接合始端7の手前で、第2押込み量P1に2倍に増加させて接合始端7と接合終端8とをオーバラップさせたが、接合部6の凹みによる押込み量の不足が解消でき、さらに、増加させる前後の各押込み量P0、P1が予め決められた押込み量の範囲内であれば、厳密に2倍である必要はない。
本実施形態では、回転ツール10の押込み量Pは、接合始端7よりも、少なくとも、回転ツール10の外径の1/2の距離だけ手前の位置で増加させればよく、例えば、接合始端7よりも、回転ツール10の外径と同一の距離(本実施形態では、7 mm)だけ手前の位置で、回転ツール10の押込み量Pを、第1押込み量POから第2押込み量P1へ増加させてもよい。
本実施形態では、オーバラップ部9を1箇所だけ設けて接合部6を形成したが、必要に応じて、オーバラップ部9を複数箇所設けて接合部6を形成してもよい。
本実施形態の密閉容器の説明図であって、回転ツールが容器本体の開口部と蓋体との合せ部に沿って移動する様子を示す平面図である。 図1において、容器本体の開口部と蓋体とが全周に亘って摩擦攪拌接合された状態を示す図である。 本実施形態の説明図であって、摩擦攪拌接合における回転ツールの前進角θと押込み量Pとを示す正面図である。 本実施形態の説明図であって、回転ツールが接合始端に向かって移動する状態を示す正面図である。 図4に示される状態から回転ツールがさらに前進(移動)し、接合始端の手前で押込み量を増加させた回転ツールによってオーバラップ部が形成される状態を示す正面図である。 本実施形態の説明図であって、予め決められた押込み量の範囲を示す図である。
1 密閉容器、2 容器本体(本体)、3 開口部、4 蓋体、5 合せ部、6 接合部、7 接合始端、8 接合終端、9 オーバラップ部、10 回転ツール

Claims (4)

  1. 本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部を全周に亘って摩擦攪拌接合する方法であって、
    回転ツールを第1押込み量で前記合せ部に沿って移動させ、接合始端よりも、少なくとも、前記回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、前記回転ツールの押込み量を、前記接合始端の凹みによる前記回転ツールの押込み量の不足分だけ押込み量を増加させた第2押込み量に増加させ、該第2押込み量を維持しつつ、前記接合始端と接合終端とをオーバーラップさせることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  2. 前記第1押込み量および前記第2押込み量は、予め決められた押込み量の範囲内に設定され、
    前記第2押込み量は、前記第1押込み量の2倍に設定されることを特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  3. 本体に形成された開口部と該開口部を閉塞させる蓋体との合せ部が全周に亘って摩擦攪拌接合される密閉容器であって、
    前記開口部と前記蓋体との接合部に、接合始端と接合終端とをオーバーラップさせて形成されるオーバーラップ部を設け、
    該オーバーラップ部は、前記接合始端よりも、少なくとも、回転ツールの外径の1/2の距離だけ手前の位置で、前記回転ツールの押込み量が前記接合始端の凹みによる前記回転ツールの押込み量の不足分だけ増加されて形成されることを特徴とする密閉容器。
  4. 前記オーバーラップ部は、予め決められた押込み量の範囲内で、前記回転ツールの押込み量が2倍に増加されて形成されることを特徴とする請求項に記載の密閉容器。
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