JP5118414B2 - 車両用動力源及び車輪ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪の空気圧低下の検出に関する。
車輪の空気圧が低下すると、急ハンドル操作を行ったとき車両の安定性を確保しにくくなることなどの問題があるため、車輪の空気圧の低下を検出して車両の安定性を確保する必要がある。車輪の空気圧の検出は、直接タイヤ内部に設置されたセンサを使用する直接式と、4輪の回転速度を比較して、空気圧の低下を検出する間接式がある。
空気圧の検出に係る先行技術として特許文献1がある。特許文献1には、車輪速度の相互比較によって空気圧の低下を検出することが記載されている。
特開2005−153794号公報
しかしながら、直接式はセンサを使用するためコストが高くなるという問題点がある。また、間接式では、全ての車輪が均等に圧力低下した場合(浸透漏洩)に圧力低下検知ができず、また、負荷半径の変化は微小で、制動及び駆動力によるスリップの影響や、タイヤの摩擦摩耗によるスリップの影響を取り除く必要があり、高精度な検出ができないという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ブレーキトルクを検出することにより、車輪の空気圧低下を判定する車両用動力源及び車両ブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明によれば、動力源と、車輪ブレーキと、前記車輪ブレーキが発生しているブレーキトルクを検出するブレーキトルクセンサと、前記動力源の出力及び前記車輪ブレーキのブレーキ力を制御するコントローラとを備えた車両用動力源及び車両ブレーキ制御装置において、所定の車輪の角加速度を検出する車輪角加速度検出手段と、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサと、ハンドルの操舵角を検出する舵角センサと、を備え、前記コントローラは、前記ブレーキトルクセンサが検出した前記ブレーキトルクと、前記前後加速度センサが検出した前記車両の前後方向の加速度と、前記横加速度センサが検出した前記車両の横方向の加速度と、前記舵角センサが検出した前記ハンドルの操舵角と、に基づいて前記所定の車輪がスリップしていないか否かを判定し、前記ブレーキトルクと、前記車両の前後方向の加速度と、前記車両の横方向の加速度と、前記ハンドルの操舵角と、がゼロであった場合、前記所定の車輪がスリップしていないと判定する制御判定手段と、前記制御判定手段が前記所定のがスリップしていないと判定したとき、駆動力が追加されるように前記動力源の出力を制御するとともに、前記駆動力と釣り合う分の前記ブレーキ力を付加させて、前記所定の車輪の角加速度がゼロとなるように前記動力源及び前記車輪ブレーキを制御するブレーキ力・駆動力制御手段と、前記ブレーキ力・駆動力制御手段により前記所定の車輪の角加速度がゼロになるように制御されているとき、前記動力源の出力により駆動輪に追加されている駆動トルク及び前記ブレーキトルクセンサで検出された前記ブレーキトルクに基づいて前記所定の車輪のタイヤ空気圧の低下を検出する空気圧低下検出手段とを備えたことを特徴とする車両用動力源及び車輪ブレーキ制御装置が提供される。
請求項1記載の発明によると、制御判定手段が所定のがスリップしていないと判定したときに、タイヤ空気圧低下を検出するので、所定の車輪の角加速度がゼロであるときに、車輪についての運動方程式が、ブレーキトルク、駆動トルク、転がり抵抗、車輪の上下荷重、車輪の動半径及び走行抵抗により表される。この運動方程式に基づいて、車輪のタイヤ空気圧の低下を検出することができる。従って、車輪速度を相互に比較せずに空気圧の低下を判定することができ、空気圧低下の検出精度が向上する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のブレーキ系及び駆動系を示す概略構成図である。図1に示すように、車両1は、液圧式ブレーキ装置2、エンジンE、自動変速機T、スロットル弁駆動装置4、車輪ブレーキ6FL〜6RR、ブレーキトルクセンサ8FL〜8RR、車輪速度センサ10FL〜10RR、前後加速度センサ12、横加速度センサ14、舵角センサ16、スロットル開度センサ18及びECU19を備える。
フロントエンジン・フロントドライブの車両1が備える左右の駆動輪である、左右前輪WFL,WFRには、エンジンEに直列に連結された自動変速機Tからの出力が伝達され、これらの前輪WFL,WFRには、左前輪車輪ブレーキ6FL、右前輪車輪ブレーキ6FRが装着される。また、左右の従動輪である左、右後輪WRL,WRRには左、右後輪車輪ブレーキ6RL,6RRが装着されている。
図2に示す液圧式ブレーキ装置2のマスタシリンダ31には、負圧ブースタ32を介してブレーキペダルPからブレーキ操作力が入力される。マスタシリンダ31は、タンデム型に構成されたものであり、例えば、左前輪ブレーキ6FL、右後輪ブレーキ6RRに対応する出力ポート35と、右前輪ブレーキ6FR及び左後輪ブレーキ6RLに対応する出力ポート36とを備え、出力ポート35,36には液圧路37,38がそれぞれ接続される。出力ポート35側のブレーキ装置と、出力ポート36側のブレーキ装置は同一構成であるので、出力ポート35側のブレーキ装置について説明し、出力ポート36側のブレーキ装置については説明を省略する。車輪ブレーキ6FL〜6RRは液圧配管によりブレーキ装置に接続される。
マスタシリンダ31の出力液圧は、吸入弁41及び吐出弁42を有し、モータ39で駆動されるポンプ40で増圧可能であり、吐出弁42は液圧路37に接続されている。
液圧路37及び車輪ブレーキ6FL,6RR間には、調圧装置44が設けられており、この調圧装置44は、液圧路37及び液圧路43間に設けられる比例型常開型電磁弁54と、液圧路37及びチェック弁52間に設けられる常閉型電磁弁53と、左前輪ブレーキ6FL及び液圧路37間に設けられる常開型電磁弁45と、右後輪ブレーキ6RR及び液圧路37間に設けられる常開型電磁弁46と、各ブレーキ6FL,6RR側から液圧路37側へのブレーキ液圧の流通を許容して常開型電磁弁45,46にそれぞれ並列に接続される一対の一方向弁47,48と、リザーバ49と、各車輪ブレーキ6FL,6RR及びリザーバ49間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁50,51とを備える。リザーバ49は、吸入弁41にチェック弁52を介して接続されている。
調圧装置44は、ブレーキ操作時に、常閉型電磁弁53を閉弁し、比例型常開型電磁弁54及び常開型電磁弁45,46を開弁するともに、常閉型電磁弁50,51を閉弁することによりマスタシリンダ31からの液圧を、液圧路37を通して車輪ブレーキ6FL,6RRに供給する。また、常閉型電磁弁53を閉弁し、常開型電磁弁45,46を開弁し、比例型常開型電磁弁54を閉弁するとともに、常閉型電磁弁50,51を閉弁することにより車輪ブレーキ6FL〜6RRのブレーキ液圧を保持する。
常閉型電磁弁53を閉弁し、常開型電磁45,46を開弁するともに、常閉型電磁弁50,51を閉弁し、比例型常開電磁弁54の通電量を制御して徐々に開弁することにより、車輪ブレーキ6FL,6RRのブレーキ液圧をマスタシリンダ31側に徐々に解放する。
更に、非ブレーキ操作中に、常閉型電磁弁53を開弁し、比例型常開型電磁弁54及び常開型電磁弁45,46を開弁するともに、常閉型電磁弁50,51を開弁した状態でモータ39を作動せしめることにより、ポンプ40がマスタシリンダ31側からブレーキ液を吸収して加圧したブレーキ液を液圧路37側に吐出することになり、この状態で、比例型常開型電磁弁54を閉弁し、常閉型電磁弁50,51を閉弁し、常開型電磁弁45,46のうち制動力を付加しようとする車輪ブレーキに対応する常開型電磁弁を開弁し、他の常開型電磁弁を閉弁することにより、制動力を付加しようとする車輪ブレーキにブレーキ液圧を作動せしめて、ブレーキ力を発揮せしめる。
液圧路37は、常閉型電磁弁53を介して吸入弁41及びチェック弁52間に接続されるとともに、比例型常開型電磁弁54を介して液圧路43に接続される。
ポンプ40を駆動するモータ39のオン・オフ作動、調圧装置44の各常開型電磁弁45,46、各常閉型電磁弁50,51の開閉作動、常閉型電磁弁53の開閉作動及び比例型常開型電磁弁54の通電量による開閉量の制御はECU19により制御される。
スロットル弁駆動装置4は、ECU19により制御されて図示しないスロットル弁を駆動する。車輪ブレーキ6FL〜6RRは、液圧式ブレーキ装置2より供給されたブレーキ液圧に基づいて、ブレーキトルクを発揮する。ブレーキトルクセンサ8FL〜8RRは、車輪ブレーキ6FL〜6RRにより発揮されたブレーキトルクを検出する。
車輪速度センサ10FL〜10RRは、車輪WFL〜WRRの車輪速度を検出する。前後加速度センサ12は、車両1の前後方向の加速度を検出する。横加速度センサ14は、横方向の加速度を検出する。舵角センサ16は、ハンドルの操舵角を検出する。スロットル開度センサ18は、スロットル弁の開度を検出する。これらセンサの出力は、ECU19に入力される。
図3は、本発明の実施形態に係るECU19の車両用動力源及び車輪ブレーキ制御装置に係る機能ブロック図である。図3に示すように、車両用動力源及び車両ブレーキ制御装置は、FR空気圧低下判定制御手段100FR、FL空気圧低下判定制御手段100FL、RR空気圧低下判定制御手段100RR、RL空気圧低下判定制御手段100RL及びパンク判定手段102を備える。FR空気圧低下判定制御手段100FRは、右前輪WFRの空気圧低下を判定する。FL空気圧低下判定制御手段100FLは、左前輪WFLの空気圧低下を判定する。RR空気圧低下判定制御手段100RRは、右後輪WRRの空気圧低下を判定する。RL空気圧低下判定制御手段100RLは、左後輪WRLの空気圧低下を判定する。パンク判定手段102は、各空気圧低下判定制御手段100FR〜100RLにより検出された空気圧が一定以上低下したと判定したとき、車輪WFR〜WRLに装備されたタイヤがパンクしていると判定する。
駆動輪である左前輪WFL及び右前輪WFRについてのFL空気圧低下判定制御手段100FL、FR空気圧低下判定制御手段100FRの処理は同じであり、以下、駆動輪空気圧判定制御手段と記載し、左右の駆動輪WFL,WFRを区別しない。また、従動輪である左後輪WRL及び右後輪WRRについてのRL空気圧低下判定制御手段100RL、RR空気圧低下判定制御手段100RRの処理は同じであり、以下、従動輪空気圧判定制御手段と記載し、左右の従動輪WRL,WRRを区別しない。
第1実施形態
図4は本発明の第1実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。図4に示すように、駆動輪空気圧低下判定制御手段は、制御判定手段150、駆動力制御手段152、駆動輪ブレーキ力制御手段154及び駆動輪空気圧低下判定手段156を備える。本実施形態では、両駆動輪WFL,WFRにそれぞれ駆動トルクTdを追加して、判定対象の駆動輪が一定速度なるように両駆動輪WFL,WFRにブレーキトルクTbを付加した状態で判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。
制御判定手段150は、判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する所定の条件を満たしていないか否かを判定する。所定の条件とは、判定対象の駆動輪がスリップしていないこと、車速が一定範囲であること及び判定対象の駆動輪の車輪速度が一定であることである。
転がり定数μrは、図5に示すように、空気圧正常時の転がり定数をμ1、空気圧低下小時の転がり定数をμ2、空気圧低下大時の転がり定数をμ3とすると、空気圧が低下すると、路面とタイヤの接触面積が大きくなることから、μ1<μ2<μ3の関係が成り立つ。
非ブレーキ操作状態、前後加速度センサ12より検出される前後加速度がゼロ、横加速度センサ14より検出される横加速度がゼロ、舵角センサ16より検出される舵角がゼロであれば、車両は等速直線運動をしており、車輪はスリップしていないと判断できる。
駆動輪の車輪速度が一定(角加速度がゼロ)であることが条件となっているのは、後述するように、車輪速度が一定の場合は、車輪の角加速度によるホイールイナーシャに基づくトルクがゼロとなり、ホイールイナーシャを無視することができるからである。車輪速度が一定であることは、車輪速度センサ10により検出される車輪速度から角速度を求めて、その時間微分した角加速度がゼロであること、あるいは、車輪速度が一定であることにより検出する。
車速が一定の範囲、例えば、車速が10km/h以上、30km/h未満であることとしたのは、それよりも低速走行であれば、車輪速度が一定時の駆動トルクが小さくなり空気圧低下判定の精度が悪くなること、高速走行であれば、車輪速度が一定時の駆動トルクが大きくなり、空気圧低下判定のための制御を行わなくても精度上問題がないからである。また、車輪速度が10km/h以上、30km/h未満の通常走行で空気圧低下判定を精度良く、且つ、頻繁に行うことができるからである。更に、後述するように、通常走行では、走行抵抗が一定であると仮定することができ、空気圧力低下判定がより容易になるからである。
駆動力制御手段152は、エンジン回転数、スロットル開度、トルクコンバータを有する自動変速機Tではエンジン回転数とメインシャフト回転数から算出されるトルコン増幅率に基づいて、スロットル弁駆動装置4を制御して、スロットル弁を開いて、一定の駆動トルクが駆動輪WFL,WFRに追加されるようにする。判定対象の駆動輪に追加された全体の駆動トルクをTdとする。追加する駆動トルクは、例えば、加速度で0.1G程度とする。
駆動輪ブレーキ力制御手段154は、追加された駆動トルクによる駆動輪の加速分を補償し、判定対象の駆動輪の車輪速度が駆動トルク追加前と同じ一定の速度となるように、空気圧低下判定対象の車輪速度センサ10が検出した車輪速度に基づいて、両駆動輪WFL,WFRにブレーキトルクTbを追加する。
例えば、液圧路37に係るブレーキ装置については、非ブレーキ操作中に、常閉型電磁弁53を開弁し、比例型常開型電磁弁54及び常開型電磁弁45,46を開弁するともに、常閉型電磁弁50,51を開弁した状態でモータ39を作動せしめることにより、ポンプ40がマスタシリンダ31側からブレーキ液を吸収して加圧・調整したブレーキ液を液圧路37側に吐出することになり、この状態で、比例型常開型電磁弁54を閉弁し、常閉型電磁弁50,51を閉弁し、常開型電磁弁45,46のうち制動力を付加しようとする駆動輪WFL,WFRの車輪ブレーキ6FL,6RRに対応する常開型電磁弁45を開弁し、他の常開型電磁弁46を閉弁することにより、制動力を付加しようとするWFL,WFRの車輪ブレーキ6FL,6RRにブレーキ液圧を作動せしめて、ブレーキ力を発揮せしめる。この際ブレーキトルクTbは、判定対象の駆動輪のブレーキトルクセンサ8で検出される。
このとき、駆動トルクが追加されているので、全体の駆動トルクTdは増加して、駆動トルクTdの算出精度が高くなり、空気圧低下判定の精度が向上する。
駆動輪空気圧低下判定手段156は、以下のようにして、判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。駆動トルクTdとブレーキトルクTbと走行抵抗Trが駆動輪に作用して、駆動トルクTdとブレーキトルクTbが釣り合ってとき(従動輪WRL,WRRにブレーキトルクが付加されていないとき)、路面を走行している駆動輪について、式(1)に示す運動方程式が成り立つ。
Idω/dt=W×r×(μ−μr)+Td−Tb−Tr ・・・ (1)
Iは駆動輪のホイールイナーシャ、dω/dtは判定対象の駆動輪の角加速度、Wは判定対象の駆動輪荷重、rは判定対象の駆動輪の動半径、μはタイヤと路面間の摩擦係数、μrはタイヤの転がり抵抗、Trは1つの車輪当りの走行抵抗のトルク換算値である。ここで、Tdはプラス、ブレーキトルクTbはマイナス、走行抵抗Trはマイナス、μrはプラスである。
判定対象の駆動輪の車輪速度が一定なので、dω/dt=0が成り立つ。また、判定車輪のスリップ率が0なので、スリップ率が0で路面を走行していることから、かかる路面から作用されるタイヤトルクにおける路面μは小さいものであると仮定できる。従って路面μは転がり抵抗μrに比べて十分小さくゼロと仮定することができ、μ−μr=−μrである。車輪速度が10〜30km/hと比較的低速なので、図6に示すように、走行抵抗Trが一定値であるとすることができる。尚、走行抵抗Trは、車速と走行抵抗との関係を示すマップを検索して、算出しても良い。
上記条件が成り立つと、式(2)が成り立つ。
0=W×r×(−μr)+Td−Tb−Tr ・・・ (2)
式(2)より式(3)が成り立つ。
r=(−Td+Tb+Tr)/(W×(−μr)) ・・・ (3)
ここで、Td,Tb,Tr,Wは既知であることから、r×(−μr)が算出される。図5に示すように、μrは、車輪の空気圧の変動により大きく変動(最小の転がり抵抗に対する転がり抵抗の比率の変動)するが、車輪の動半径rは、空気圧が低下するにつれて小さくはなるが、その変動(最小の車輪の動半径に対する動半径の比率の変動)は、転がり抵抗μrの変動よりも小さく、r×μrは、略μrにより決定されることから、転がり抵抗μrを算出(例えば、r×μrと転がり抵抗μrとの関係をマップに記憶しておきマップを検索)することができる。従って、転がり抵抗μrと空気圧との関係により、算出した転がり抵抗μrに相当する空気圧を算出することにより空気圧低下を判断することができる。
または、車輪の空気圧が低下すると、転がり定数μrは大きくなり、(−Td+Tb+Tr)においてTrを一定とすると、(−Td+Tb)が大きくなる。よって、(−Td+Tb)の絶対値が、前回判定したときよりも大きくなっているとき、あるいは、所定値を越えたときに、空気圧低下であると判定する。
逆に、車輪の空気圧が高くなると、転がり定数μrは小さくなり、(−Td+Tb+Tr)においてTrを一定とすると、(−Td+Tb)が小さくなる。よって、(−Td+Tb)の絶対値が、前回判定したときよりも小さくなっているとき、空気圧が高くなったと判定する。尚、算出した転がり定数μrを式(3)に代入して、動半径rを算出しても良い。
駆動輪空気圧低下判定手段156は、駆動力制御手段152の制御により判定対象の駆動輪に追加された、エンジン回転数、スロットル開度、トルクコンバータを有する自動変速機Tではエンジン回転数とメインシャフト回転数から算出されるトルコン増幅率に基づいて算出される判定対象の駆動輪への全体の駆動トルクTd、判定対象の駆動輪のブレーキトルクセンサ8により検出されたブレーキトルクTb、駆動輪の上下荷重W、走行抵抗Tr及び式(3)から転がり抵抗μrを算出する。そして、転がり抵抗μrより判定対象の駆動輪が空気圧低下しているか否かを判定する。
あるいは、以前に測定した(−Td+Tb)をメモリに記憶しておき、今回測定した(−Td+Tb)の絶対値と以前、例えば、前回測定したときの(−Td+Tb)の絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判断する。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなった判断する。
制御前の状態、即ち、駆動トルクTdを追加する前でも、駆動トルクTdから空気圧低下判定を行うことができる。しかしながら、駆動トルクTdが小さくなることから、その算出の精度が低下するという問題がある。本実施形態では、駆動トルクTdを追加していることから駆動トルクTdが増大しており、駆動トルクTdの算出の精度を高めることができ、その結果、通常走行において、高精度な空気圧低下を判定することができる。また、通常走行において、空気圧低下判定を実施することから、空気圧低下判定の頻度を高めることができる。
図7は本発明の第1実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。以下、図面を参照して、駆動輪の空気圧低下判定方法の説明をする。ステップS2で、車速が一定範囲であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS4に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。ステップS4で、判定対象の駆動輪の車輪速度が一定であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS6に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。
ステップS6で、4個の車輪ブレーキ6FL〜6RRが非ブレーキ操作状態であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS8に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。ステップS8で、舵角センサ16により検出された舵角がゼロであるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS10に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。
ステップS10で、前後加速度センサ12により検出された前後加速度がゼロであるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS12に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。ステップS12で、横加速度センサ14により検出された横加速度がゼロであるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS14に進み、否定判定ならば、制御条件を満たしていないので終了する。
ステップS14で、車輪がスリップしておらず、安定状態であり、通常車輪速度域であり、判定対象の駆動輪の車輪速度が一定であり、制御条件を満たしているので、液圧式ブレーキ装置2を制御して、スロットル弁を開き、エンジン出力トルクを増加して、判定対象の駆動輪に駆動トルクTdを追加する。ここで、追加する駆動トルクは一定とする。Tdは判定対象の駆動輪に作用する全体の駆動トルクである。
ステップS16で、液圧式ブレーキ装置2を制御して、駆動輪WFL,WFRの車輪ブレーキ6FL,6FRに所定のブレーキ液圧を作用せしめて、両駆動輪WFL,WFRに同じブレーキトルクTbを付加する。このブレーキトルクTbは、判定対象の車輪のブレーキトルクセンサ8で検出される。ステップS18で、判定対象の駆動車輪の速度が制御前の車輪速度に一致したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS20に進み、否定判定ならば、ステップS16に戻り、判定対象の駆動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致するまで、両駆動輪WFL,WFRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
ステップS20で、スロットル開度センサ18により検出されるスロットル開度及びエンジン回転数、並びにトルクコンバータを有する変速機Tではメインシャフト回転数とエンジン回転数に基づくトルク増幅率から算出した駆動輪WFL,WFRへの駆動トルクTd、判定対象の駆動輪のブレーキトルクセンサ8により検出されたブレーキトルクTb、車輪の荷重W及び走行抵抗Tr及び式(3)から、転がり定数μrを算出し、判定対象の駆動輪のタイヤ空気圧の低下を判定する。
あるいは、空気圧低下の判定毎に、判定対象の駆動輪について、(−Td+Tb)の絶対値をメモリに記憶しておき、今回の判定対象の駆動輪の(−Td+Tb)の絶対値とメモリに記憶された判定対象の駆動輪の以前の(−Td+Tb)の絶対値とを比較して、今回の絶対値が以前の絶対値よりも大きくなったとき、空気圧低下であると判定し、今回の絶対値が以前の絶対値よりも小さくなったとき、空気圧が高くなったと判定する。
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動トルクTdを追加していることから駆動トルクTdが増大し、駆動トルクTdの算出の精度を高めることができて、通常走行において、高精度な空気圧低下を判定することができる。また、通常走行において、空気圧低下判定を実施することから、空気圧低下判定の頻度を高めることができる。尚、今回の駆動輪の空気圧低下判定を本実施形態による方法により実施した場合は、次回の駆動輪の空気圧低下判定についても今回と同様に本実施形態による方法により実施される。
図8は本発明の第1実施形態による従動輪空気圧低下制御手段の機能ブロック図である。図8に示すように、従動輪空気圧低下制御手段は、制御判定手段160、駆動力制御手段162、従動輪ブレーキ力制御手段164、駆動輪ブレーキ力制御手段166及び従動輪空気圧低下判定手段168を具備する。本実施形態では、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加し、判定対象の従動輪が一定速度となるように、両駆動輪WFL,WFR及び両従動輪WRL,WRRにブレーキ力を付加した状態で判定対象の従動輪の空気圧低下を判定する。
制御判定手段160は、判定対象の従動輪がスリップしておらず、車速が上述したと同様に一定範囲であり、判定対象の従動輪の車輪速度が一定であるときに、従動輪の空気圧低下判定をするための条件が満たされたと判定する。従動輪がスリップしていないことは、駆動輪がスリップしていない条件と同じである。
駆動力制御手段162は、図4中の駆動力制御手段152と実質的に同一であり、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加する。追加する駆動トルクは、駆動力制御手段152の制御によるものと同じである。従動輪ブレーキ力制御手段164は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、両従動輪WRL,WRRの車輪ブレーキ6RL,6RRにブレーキ液圧を作用せしめて、両従動輪WFL,WFRにそれぞれブレーキトルクTbを付加する。駆動輪ブレーキ力制御手段166は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、両駆動輪WFL,WFRの車輪ブレーキ6FL,6FRにブレーキ液圧を作用せしめて、両駆動輪WFL,WFRにそれぞれブレーキトルクTbを付加する。ここで、従動輪WRL,WRRと駆動輪WFL,WFRに付加するブレーキトルクTbを等しくする。
更に、従動輪ブレーキ力制御手段164及び駆動輪ブレーキ力制御手段166は、判定対象の従動輪の車輪速度が制御前と同じ一定の車輪速度となるように、4個の車輪ブレーキ6FL〜6RRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
従動輪空気圧低下判定手段168は、以下のようにして、判定対象の車輪の空気圧低下を判定する。従動輪にブレーキトルクTbと走行抵抗Trが車輪に作用して、車輪が路面を走行しているとき、この従動輪について、式(4)に示す運動方程式が成り立つ。
Idω/dt=W×r×μ+W×r×(−μr)−Tb−Tr ・・・ (4)
Iは従動輪のホイールイナーシャ、dω/dtは判定対象の従動輪の角加速度、Wは車輪荷重、rは車輪動半径、μはタイヤと路面間の摩擦係数、μrはタイヤの転がり抵抗、Trは1つの車輪当りの走行抵抗のトルク換算値である。ここで、ブレーキトルクTbをマイナス、走行抵抗Trをマイナスとする。
従動輪にブレーキトルクTbを付加していることから、ブレーキトルクTbに見合うタイヤの回転方向と同じ方向に作用する路面からのタイヤトルクが発生し、μを正の値として扱うことができる。
判定対象の従動輪の車輪速度が一定なので、dω/dt=0が成り立つ。従動輪の車輪速度が10〜30km/hと比較的低速なので、走行抵抗Trが一定値とすることができる。上記条件が成り立つと、式(5)が成り立つ。
0=W×r×μ+W×r×(−μr)−Tb−Tr ・・・ (5)
式(5)より式(6)が成り立つ。
r=(Tb+Tr)/(W×μ+W×(−μr)) ・・・ (6)
判定対象の従動輪のスリップ率が0であり、従動輪がスリップ率が0で路面を走行していることから、かかる路面から作用されるタイヤトルクにおける路面μは小さいものであると仮定できる。従って、(6)において、路面μは転がり抵抗μrに比べて十分小さくゼロと仮定することができる。ここで、Tb,Tr,Wは既知であり、μ=0とし、上述したと同様にして、式(6)より転がり抵抗μrを算出し、タイヤ空気圧低下を判定する。
あるいは、空気圧低下の判定毎に、判定対象の従動輪について、Tbの絶対値をメモリに記憶しておき、今回の判定対象の従動輪のTbの絶対値とメモリに記憶された判定対象の従動輪の以前のTbの絶対値とを比較して、今回の絶対値が以前の絶対値よりも大きくなったとき、空気圧低下であると判定し、今回の絶対値が以前の絶対値よりも小さくなったとき、空気圧が高くなったと判定する。
図9は本発明の第1実施形態による従動輪の空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。以下、図面を参照して従動輪の空気圧低下判定方法の説明をする。ステップS50〜ステップS62までの処理は、制御対象が駆動輪から従動輪に変わるだけで、図7中のステップS2〜ステップS14と同様である。ステップS64で、両駆動輪WFL〜WFRにブレーキトルクTbを付加する。ステップS65で、両従動輪WRL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。駆動輪WFL,WFR及び従動輪WRL,WRRに付加されたブレーキトルクTbは、ブレーキトルクセンサ8FL〜8RRで検出される。ここで、駆動輪WFL,WFR及び従動輪WRL,WRRに付加するブレーキトルクTbを等しくする。
ステップS66で、判定対象の従動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS68に進み、否定判定ならば、ステップS64に戻り、車輪速度が制御前の速度に一致するまで、4輪WFL〜WRRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
ステップS68で、ブレーキトルクセンサ8により検出されたブレーキトルクTb、車輪への荷重W、走行抵抗Tr及び式(6)から、転がり定数μrを算出して、従動輪の空気圧低下を判定する。あるいは、以前に測定したTbをメモリに記憶しておき、今回測定したTbの絶対値と以前、例えば、前回測定したときのTbの絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判定することができる。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなったと判定することができる。
以上説明したように、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクを追加するとともに、駆動トルクの追加分を補償するために、車輪WFL〜WRRにブレーキトルクTbを付加して、判定対象の従動輪の車輪速度が一定となったときのブレーキトルクTbにより、従動輪の空気圧低下を正確に判定することができる。尚、今回の従動輪の空気圧低下判定を本実施形態による方法により実施した場合は、次回の従動輪の空気圧低下判定についても今回と同様に本実施形態による方法により実施される。
第2実施形態
図10は、本発明の第2実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。駆動輪空気圧低下制御手段は、制御判定手段200、駆動力制御手段202、駆動輪ブレーキ力制御手段204、従動輪ブレーキ力制御手段206及び駆動輪空気圧低下判定手段208を具備する。本実施形態では、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加し、判定対象の駆動輪が一定速度となるように両駆動輪WFL,WFR及び両従動輪WRL,WRRにブレーキトルクTbを付加した状態で判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。
制御判定手段200は、判定対象の駆動輪がスリップしておらず、車速が上述したと同様に一定範囲であり、駆動輪の車輪速度が一定であるときに、駆動輪の空気圧低下判定をするための条件が満たされたと判定する。
駆動力制御手段202は、図4中の駆動力制御手段152と実質的に同一であり、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加する。追加する駆動トルクは、駆動力制御手段152の制御によるものと同じである。駆動輪ブレーキ力制御手段204は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、両駆動輪WFL,WFRの車輪ブレーキ6FL,6FRにブレーキ液圧を作用せしめて、両駆動輪WFL,WFRにそれぞれブレーキトルクTbを付加する。
従動輪ブレーキ力制御手段206は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、両従動輪WRL,WRRの車輪ブレーキ6RL,6RRにブレーキ液圧を作用せしめて、両従動輪WFL,WFRにそれぞれブレーキトルクTbを付加する。ここで、駆動輪WFL,WFRと従動輪WRL,WRRに付加するブレーキトルクTbを等しくする。更に、駆動輪ブレーキ力制御手段204及び従動輪ブレーキ力制御手段206は、判定対象の駆動輪が制御前と同じ一定の車輪速度となるように、車輪ブレーキ6FL〜6RRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
駆動輪空気圧低下判定手段208は、以下のようにして、判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。駆動トルクTd、ブレーキトルクTb、走行抵抗Trが判定対象の駆動輪に作用して、駆動輪が路面を走行しているとき、駆動輪について、式(7)に示す運動方程式が成り立つ。
Idω/dt=W×r×(−μ)+W×r×(−μr)+Td−Tb−Tr
・・・ (7)
Iは駆動輪のホイールイナーシャ、dω/dtは判定対象の駆動輪の角加速度、Wは車輪荷重、rは車輪動半径、μはタイヤと路面間の摩擦係数、μrはタイヤの転がり抵抗、Trは1つの車輪当りの走行抵抗のトルク換算値である。ここで、ブレーキトルクTbをマイナス、走行抵抗Trをマイナスとする。
追加する駆動トルクは、第1実施形態の駆動輪の空気圧低下判定と同じであるが、第1実施形態では、駆動輪WFL,WFRにのみブレーキトルクTbを付加し、従動輪WRL,WRRには、ブレーキトルクTbを付加しなかったが、本実施形態では、4輪WFL〜WRRにブレーキトルクを付加していることから、そのブレーキトルクTbは式(1)中のブレーキトルクの約1/2である。
判定対象の車輪速度が一定なので、dω/dt=0が成り立つ。式(1)では、駆動トルクとブレーキトルクが釣り合っていたが、本実施形態では、ブレーキトルクTbが小さくなった分だけ、路面μは駆動トルクに見合うタイヤトルクによるものとなる。このとき、タイヤトルクがタイヤ回転方向と反対方向のトルクであることから、タイヤトルクによる路面μは負として扱うことができる。車輪速度が10〜30km/hと比較的低速なので、走行抵抗Trが一定値とすることができる。
上記条件が成り立つと、式(8)が成り立つ。
0=W×r×(−μ)+W×r×(−μr)+Td−Tb−Tr ・・・ (8)
式(8)より式(9)が成り立つ。
r=(−Td+Tb+Tr)/(W×(−μ)+W×(−μr)) ・・・ (9)
判定対象の駆動輪のスリップ率が0であり、駆動輪がスリップ率0の路面を走行していることから、かかる路面から作用されるタイヤトルクによる路面μは小さいものであると仮定できる。ここで、Tb,Tr,Wは既知であり、μ=0とし、上述したと同様にして、式(9)より転がり抵抗μrを算出し、タイヤ空気圧低下を判定する。
あるいは、以前に測定した(−Td+Tb)をメモリに記憶しておき、今回測定した(−Td+Tb)の絶対値と以前、例えば、前回測定したときの(−Td+Tb)の絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判断する。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなった判断する。
図11は本発明の第2実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。以下、図面を参照して従動輪の空気圧低下判定方法の説明をする。ステップS100〜ステップS112までの処理は、図7中のステップS2〜ステップS14と同様である。ステップS114で、両駆動輪WFL〜WFRにブレーキトルクTbを付加する。ステップS116で、両従動輪WRL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。駆動輪WFL,WFR及び従動輪WRL,WRRに付加されたブレーキトルクTbは、ブレーキトルクセンサ8FL〜8RRで検出される。ここで、駆動輪WFL,WFR及び従動輪WRL,WRRに付加するブレーキトルクTbを等しくする。
ステップS118で、判定対象の駆動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS120に進み、否定判定ならば、ステップS114に戻り、判定対象の駆動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致するまで、4輪WFL〜WRRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
ステップS120で、駆動トルクTd、ブレーキトルクセンサ8により検出されたブレーキトルクTb、車輪荷重W、走行抵抗Tr及び式(9)から、転がり定数μrを算出して、駆動輪の空気圧低下を判定する。あるいは、以前に測定した(−Td+Tb)をメモリに記憶しておき、今回測定した(−Td+Tb)の絶対値と以前、例えば、前回測定したときの(−Td+Tb)の絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判断する。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなった判断する。
本実施形態によれば、第1実施形態の駆動輪空気圧低下判定と同様の効果がある。尚、今回の駆動輪の空気圧低下判定を本実施形態による方法により実施した場合は、次回の駆動輪の空気圧低下判定についても今回と同様に本実施形態による方法により実施される。
第3実施形態
図12は、本発明の第3実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。駆動輪空気圧低下判定制御手段は、制御判定手段250、駆動力制御手段252、従動輪ブレーキ力制御手段254及び駆動輪空気圧低下判定手段256を具備する。本実施形態では、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加し、判定対象の駆動輪が一定速度となるように従動輪WRL,WRRにブレーキトルクTbを付加した状態で判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。
制御判定手段250は、判定対象の駆動輪がスリップしておらず、車速が上述したと同様に一定範囲であり、駆動輪の車輪速度が一定であるときに、駆動輪の空気圧低下判定をするための条件が満たされたと判定する。駆動力制御手段252は、図4中の駆動力制御手段152と実質的に同一である。従動輪ブレーキ力制御手段254は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、判定対象の駆動輪の車輪速度が制御前と同じ一定の車輪速度となるように、車輪ブレーキ6RL,6RRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
駆動輪空気圧低下判定手段256は、以下のようにして、判定対象の駆動輪の空気圧低下を判定する。駆動トルクTd、ブレーキトルクTb、走行抵抗Trが判定対象の駆動輪に作用し、駆動輪が路面を走行しているとき、駆動輪について、式(10)に示す運動方程式が成り立つ。
Idω/dt=W×r×(−μ)+W×r×(−μr)+Td―Tb−Tr
・・・ (10)
Iは駆動輪のホイールイナーシャ、dω/dtは判定対象の駆動輪の角加速度、Wは車輪荷重、rは車輪動半径、μはタイヤと路面間の摩擦係数、μrはタイヤの転がり抵抗、Trは1つの車輪当りの走行抵抗のトルク換算値である。
追加する駆動トルクは、第1実施形態の駆動輪の空気圧低下判定の場合と同じであるが、第1実施形態では、駆動輪WFL,WFRにのみブレーキトルクTbを付加し、従動輪WRL,WRRには、ブレーキトルクTbを付加しなかったが、本実施形態では、駆動輪WFL,WFRにはブレーキトルクTbを付加せずに、従動輪WRL〜WRRにのみブレーキトルクを付加していることから、判定対象の駆動輪に作用するブレーキトルクはゼロである。
判定対象の車輪速度が一定なので、dω/dt=0が成り立つ。また、式(1)では、駆動トルクとブレーキトルクが釣り合っていたが、本実施形態では、ブレーキトルクがゼロとなった分だけ、路面μは駆動トルクに見合うタイヤトルクによるものとなる。このとき、タイヤトルクがタイヤ回転方向と反対方向のトルクであることから、タイヤトルクによる路面μは負として扱うことができる。車輪速度が10〜30km/hと比較的低速なので、走行抵抗Trが一定値とすることができる。
上記条件が成り立つと、式(11)が成り立つ。
0=W×r×(−μ)+W×r×(−μr)+Td−Tr ・・・ (11)
式(11)より式(12)が成り立つ。
r=(−Td+Tr)/(W×(−μ)+W×(−μr)) ・・・ (12)
判定対象の駆動輪のスリップ率が0であり、駆動輪がスリップ率0の路面を走行していることから、かかる路面から作用されるタイヤトルクによる路面μは小さいものであると仮定できる。ここで、Td,Tr,Wは既知であり、μ=0とし、上述したと同様にして、式(12)より転がり抵抗μrを算出し、タイヤ空気圧低下を判定する。
あるいは、以前に測定した(−Td)をメモリに記憶しておき、今回測定した(−Td)の絶対値と以前、例えば、前回測定したときの(−Td)の絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判断する。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなった判断する。本実施形態によれば、第1実施形態の駆動輪空気圧低下判定と同様の効果がある。
図13は本発明の第3実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。以下、図面を参照して駆動輪空気圧低下判定方法の説明をする。ステップS150〜ステップS162までの処理は、図7中のステップS2〜ステップS14と同様である。ステップS164で両従動輪WRL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。この従動輪WRL,WRRに付加されたブレーキトルクTbは、ブレーキトルクセンサ8RL〜8RRで検出される。
ステップS166で、判定対象の駆動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS168に進み、否定判定ならば、ステップS164に戻り、車輪速度が制御前の車輪速度に一致するまで、従動輪WFL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。ステップS168で、駆動トルクTd、走行抵抗Tr、車輪荷重W及び式(12)から、転がり定数μrを算出して、駆動輪の空気圧低下を判定する。
あるいは、以前に測定した(−Td)をメモリに記憶しておき、今回測定した(−Td)の絶対値と以前、例えば、前回測定したときの(−Td)の絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判定することができる。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなったと判定することができる。本実施形態によれば、第1実施形態の駆動輪空気圧低下判定と同様の効果がある。尚、今回の駆動輪の空気圧低下判定を本実施形態による方法により実施した場合は、次回の駆動輪の空気圧低下判定についても今回と同様に本実施形態による方法により実施される。
図14は、本発明の第3実施形態による従動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。従動輪空気圧低下判定制御手段は、制御判定手段300、駆動力制御手段302、従動輪ブレーキ力制御手段304及び従動輪空気圧低下判定手段306を具備する。本実施形態では、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加し、判定対象の従動輪が一定速度となるように両従動輪WRL,WRRにブレーキ力を付加した状態で判定対象の従動輪の空気圧低下を判定する。
制御判定手段300は、判定対象の従動輪がスリップしておらず、車速が上述したと同様に一定範囲であり、判定対象の従動輪の車輪速度が一定であるときに、従動輪の空気圧低下判定をするための条件が満たされたと判定する。
駆動輪ブレーキトルク制御手段302は、図4中の駆動力制御手段152と実質的に同一であり、駆動輪WFL,WFRに駆動トルクTdを追加する。追加する駆動トルクは、駆動力制御手段152の制御によるものと同じである。従動輪ブレーキ力制御手段304は、液圧式ブレーキ装置2を制御して、判定対象の従動輪が制御前と同じ一定の車輪速度となるように、車輪ブレーキ6RL,6RRにブレーキトルクTbを少しずつ付加する。
従動輪空気圧低下判定手段306は、以下のようにして、判定対象の従動輪の空気圧低下を判定する。従動輪にブレーキトルクTbと走行抵抗Trが車輪に作用して、車輪が路面を走行しているとき、車輪について、式(13)に示す運動方程式が成り立つ。
Idω/dt=W×r×μ+W×r×(−μr)−Tb−Tr ・・・ (13)
Iは従動輪のホイールイナーシャ、dω/dtは判定対象の従動輪の角加速度、Wは車輪荷重、rは車輪動半径、μはタイヤと路面間の摩擦係数、μrはタイヤの転がり抵抗、Trは1つの車輪当りの走行抵抗のトルク換算値である。従動輪にブレーキトルクTbを付加していることから、ブレーキトルクTbに見合うタイヤの回転方向と同じ方向に作用する路面からのタイヤトルクが発生し、μを正の値として扱うことができる。尚、本実施形態では、駆動輪WFL,WRRにはブレーキトルクTbを付加していないことから、実施形態のブレーキトルクTbは、第1実施形態の従動輪の空気圧低下判定の場合のブレーキトルクの約2倍となる。
判定対象の従動輪の車輪速度が一定なので、dω/dt=0が成り立つ。従動輪の車輪速度が10〜30km/hと比較的低速なので、走行抵抗Trが一定値とすることができる。上記条件が成り立つと、式(14)が成り立つ。
0=W×r×μ+W×r×(−μr)−Tb−Tr ・・・ (14)
式(14)より式(15)が成り立つ。
r=(Tb+Tr)/(W×μ+W×(−μr)) ・・・ (15)
判定対象の従動輪のスリップ率が0であり、従動輪がスリップ率0の路面を走行していることから、かかる路面から作用されるタイヤトルクにおける路面μは小さいものであると仮定できる。従って、(15)において、路面μは転がり抵抗μrに比べて十分小さくゼロと仮定することができる。ここで、Tb,Tr,Wは既知であり、μ=0とし、上述したと同様にして、式(15)より転がり抵抗μrを算出し、タイヤ空気圧低下を判定する。
あるいは、空気圧低下の判定毎に、判定対象の従動輪について、Tbの絶対値をメモリに記憶しておき、今回の判定対象の従動輪のTbの絶対値とメモリに記憶された判定対象の従動輪の以前のTbの絶対値とを比較して、今回の絶対値が以前の絶対値よりも大きくなったとき、空気圧低下であると判定し、今回の絶対値が以前の絶対値よりも小さくなったとき、空気圧が高くなったと判定する。
図15は本発明の第3実施形態による従動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。以下、図面を参照して駆動輪空気圧低下判定方法の説明をする。ステップS200〜ステップS212までの処理は、図7中のステップS2〜ステップS14と同様である。ステップS214で両従動輪WRL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。この従動輪WRL,WRRに付加されたブレーキトルクTbは、ブレーキトルクセンサ8RL〜8RRで検出される。
ステップS216で、判定対象の従動輪の車輪速度が制御前の車輪速度に一致したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS218に進み、否定判定ならば、ステップS214に戻り、車輪速度が制御前の速度に一致するまで、従動輪WFL〜WRRにブレーキトルクTbを付加する。ステップS218で、ブレーキトルクセンサ8により検出されたブレーキトルクTb、走行抵抗Tr、車輪荷重W及び式(15)から転がり定数μrを算出して、駆動輪の空気圧低下を判定する。あるいは、以前に測定したTbをメモリに記憶しておき、今回測定したTbの絶対値と以前、例えば、前回測定したときのTbの絶対値とを比較することにより、今回値が前回値よりも大きくなっていれば、前回よりも空気圧が低下していると判定することができる。また、今回値が前回値よりも小さくなっていれば、前回よりも空気圧が高くなったと判定することができる。本実施形態によれば、第1実施形態の従動輪空気圧低下判定と同様の効果がある。尚、今回の従動輪の空気圧低下判定を本実施形態による方法により実施した場合は、次回の従動輪の空気圧低下判定についても今回と同様に本実施形態による方法により実施される。
本発明が適用される車両システムの概略構成図である。 図1中の液圧式ブレーキ装置の構成図である。 本発明の実施形態による車両用動力源及び車両ブレーキ制御装置の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。 空気圧とスリップ率と転がり定数の関係を示す図である。 走行抵抗を示す図である。 本発明の第1実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態による従動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態による従動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態による駆動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態による駆動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態による従動輪空気圧低下判定制御手段の機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態による従動輪空気圧低下判定方法を示すフローチャートである。
符号の説明
2 液圧式ブレーキ装置
4 スロットル弁駆動装置
6FF,6FR,6RL,6RR 車輪ブレーキ
8FL,8FR,8RL,8RR ブレーキトルクセンサ
10FL,10FR,10RL,10RR 車輪速度センサ
150,160,200,250,300 制御判定手段
152,162,202,252,302 駆動力制御手段
154,166,204 駆動輪ブレーキ力制御手段
164,206,254,304 従動輪ブレーキ力制御手段
156,208,256 駆動輪空気圧低下判定手段
168,306 従動輪空気圧低下判定手段

Claims (1)

  1. 動力源と、車輪ブレーキと、前記車輪ブレーキが発生しているブレーキトルクを検出するブレーキトルクセンサと、前記動力源の出力及び前記車輪ブレーキのブレーキ力を制御するコントローラとを備えた車両用動力源及び車両ブレーキ制御装置において、
    所定の車輪の角加速度を検出する車輪角加速度検出手段と、
    車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、
    車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサと、
    ハンドルの操舵角を検出する舵角センサと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記ブレーキトルクセンサが検出した前記ブレーキトルクと、前記前後加速度センサが検出した前記車両の前後方向の加速度と、前記横加速度センサが検出した前記車両の横方向の加速度と、前記舵角センサが検出した前記ハンドルの操舵角と、に基づいて前記所定の車輪がスリップしていないか否かを判定し、前記ブレーキトルクと、前記車両の前後方向の加速度と、前記車両の横方向の加速度と、前記ハンドルの操舵角と、がゼロであった場合、前記所定の車輪がスリップしていないと判定する制御判定手段と、
    前記制御判定手段が前記所定のがスリップしていないと判定したとき、駆動力が追加されるように前記動力源の出力を制御するとともに、前記駆動力と釣り合う分の前記ブレーキ力を付加させて、前記所定の車輪の角加速度がゼロとなるように前記動力源及び前記車輪ブレーキを制御するブレーキ力・駆動力制御手段と、
    前記ブレーキ力・駆動力制御手段により前記所定の車輪の角加速度がゼロになるように制御されているとき、前記動力源の出力により駆動輪に追加されている駆動トルク及び前記ブレーキトルクセンサで検出された前記ブレーキトルクに基づいて前記所定の車輪のタイヤ空気圧の低下を検出する空気圧低下検出手段とを、
    備えたことを特徴とする車両用動力源及び車輪ブレーキ制御装置。
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