JP5118717B2 - 液卵の加熱処理方法および加熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は液卵を搬送しながら連続的に加熱殺菌するための液卵の加熱処理技術に関する。
卵料理を顧客に提供する飲食業や、卵を素材とした食品を製造する食品加工業においては、工場で予め加熱殺菌されて容器に詰められた液卵が使用されている。このような調理用食品として用いられる液卵には、卵黄のみの液卵黄、卵白のみの液卵白、および卵白と卵黄とが混合された液全卵がある。調理用の液全卵を量産するには、特許文献1に記載されるように、殻付き卵を割卵機械により割卵し、ストレーナによりカラザと液卵とを分離する。分離された液卵は容器に貯蔵されて冷蔵保存され、加熱殺菌する際に保存された液卵は加熱装置に搬送される。
液卵を加熱殺菌するには、容器に貯蔵されて約5℃に冷蔵保存された液卵を加熱装置により殺菌温度である60℃にまで加熱した後に、保温装置により60℃で少なくとも3.5分保持する必要がある。この殺菌温度で3.5分保持することにより、液卵に含まれる有害細菌を殺滅することができる。殺菌処理された液卵は、冷却装置により保存温度である5℃まで冷却され、容器に詰め込まれて飲食業者や食品加工業者に搬送される。
液卵を加熱殺菌するために、従来では、特許文献1に記載されるように、バッチ式殺菌タンクにより液卵を58℃で10分間加熱する方法が提案されている。また、特許文献2に記載されるように、加熱工程を二段階に分けて第1の加熱工程では57〜60℃で1〜60秒加熱し、冷却後に第2の加熱工程では55〜58℃で3.5〜10分間加熱する方法が提案されており、それぞれの加熱工程にはプレート式熱交換器が使用されている。
特開平10−248532号公報 特開2002−165583号公報
例えば、卵スープを調理する際に、割卵して殻から取り出した未殺菌の液卵を熱湯に投入すると、卵が固まった状態となった卵スープを調理することができるのに対し、従来の技術で殺菌処理された液卵を熱湯に投入すると、液卵が固まった状態とならないことが判明している。この現象は、卵スープを調理する場合に限られず、オムレツや茶碗むし等の他の卵料理を調理する場合にも同様に発生し、加熱殺菌された液卵は加熱しても固まり難いという問題点があった。このように、殺菌液卵が未殺菌液卵に比して凝固特定が悪くなるという現象は、特に、殺菌処理された液卵を量産するために、プレート式やチューブ式の熱交換装置を使用して液卵を連続的に流路に搬送しながら加熱処理した液卵においては顕著であった。
殺菌液卵の凝固特性を向上させるために、種々の実験が繰り返された結果、流路内を搬送しながら加熱する場合には、液卵が20℃を超える温度となっている時間が長くなると、液卵の凝固特性を低下させることが判明した。液卵を殺菌処理するには、60℃程度の殺菌温度にまで液卵を加熱した状態のもとで210秒(3.5分)以上保持した後に、保存温度にまで冷却することになる。
従来の熱交換器を用いた加熱処理装置においては、図9に示される構造となっており、後述するように、加熱される液卵と冷却される液卵との間で熱交換を行う加熱回収ユニットや、冷却される液卵と加熱される液卵との間で熱交換を行う加熱回収ユニットを用いて加熱と冷却とに要するエネルギーを削減するようにしており、冷却処理を含めて、液卵が20℃を超える温度となっている時間を600秒以内に短縮することができなかった。
従来では、液卵を殺菌温度にまで加熱し、殺菌温度で一定時間保持し、さらに液卵を保存温度まで冷却するまでの液卵の装置内での移動時間と殺菌液卵の凝固特性との関係については、着目されていなかったが、液卵が20℃となっている時間を短くすると、液卵の凝固特性を高めることが判明した。さらに、液卵が加熱装置の流路内を流れると、剪断力を受けることになり、この剪断力が大きくなると、液卵の凝固特性が低下することが判明した。特に、殺菌温度に到達するまでの時間によって殺菌液卵の凝固特性が大きく影響を受けると考えられる。この理由は、液卵を60℃の殺菌温度にまで昇温する際に、液卵が20℃以上の温度で変成が進むことになり、この変成が進む温度となっている時間を短時間とすると、60℃の殺菌温度に3.5分以上保持するようにしても、殺菌液卵の凝固特性を未殺菌卵に近付けることができる。このようにして殺菌処理した液卵を熱湯に投入すると、液卵が固まった状態となって未殺菌液卵と同様なとき卵を調理することができる。
本発明の目的は、殺菌処理された液卵の凝固特性を未殺菌液卵に近い凝固特性とすることにある。
本発明の液卵の加熱処理方法は、液卵を連続的に搬送しつつ加熱殺菌する液卵の加熱処理方法であって、保存温度の液卵をチューブ型の加熱流路に流しながら殺菌温度にまで加熱する加熱工程と、加熱された液卵を保温流路内に流しながら殺菌温度で一定の保持時間にわたり保持する保持工程と、温度保持された後の液卵を冷却流路内に流しながら殺菌温度から保存温度にまで冷却する冷却工程とを有し、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間を600秒以内に設定し、加熱開始から冷却終了までにおける液卵の総剪断量を50000以下とすることを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理方法においては、前記加熱工程は、加熱流路内を流れる液卵をジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度まで加熱するジュール式加熱工程であることを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理方法においては、前記加熱工程は、液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して液卵を保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱する熱交換式加熱工程と、当該熱交換式加熱工程において加熱された液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて液卵を殺菌温度まで加熱するジュール式加熱工程とを有することを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理方法においては、前記加熱工程は、液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱するジュール式加熱工程と、当該ジュール式加熱工程において加熱された液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱工程とを有することを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理方法においては、前記加熱工程は、加熱流路内を流れる液卵を加熱媒体により熱交換して保存温度から殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱工程であることを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理装置は、液卵を連続的に搬送しつつ加熱殺菌する液卵の加熱処理装置であって、保存温度の液卵を流すチューブ型の加熱流路を有し、当該加熱流路に液卵を流しながら殺菌温度にまで液卵を加熱する加熱手段と、加熱流路に連通する保温流路を有し、加熱された液卵を保温流路内に流しながら殺菌温度に一定の保持時間にわたり保持する温度保持手段と、保温流路に連通する冷却流路を有し、温度保持された後の液卵を冷却流路内に流しながら殺菌温度から保存温度にまで冷却する冷却手段と、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間を600秒以内に設定する通過時間設定手段とを有し、加熱開始から冷却終了までにおける液卵の総剪断量を50000以下とすることを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理装置においては、前記加熱手段は、加熱流路内を流れる液卵をジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度まで加熱するジュール式加熱ユニットであることを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理装置においては、前記加熱手段は、液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して液卵を保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱する熱交換式加熱ユニットと、当該熱交換式加熱ユニットにおいて加熱された液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて液卵を殺菌温度まで加熱するジュール式加熱ユニットとを有することを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理装置においては、前記加熱手段は、液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱するジュール式加熱ユニットと、当該ジュール式加熱ユニットにおいて加熱された液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱ユニットとを有することを特徴とする。
本発明の液卵の加熱処理装置においては、前記加熱手段は、加熱流路内を流れる液卵を加熱媒体により熱交換して保存温度から殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱ユニットであることを特徴とする。
本発明によれば、殺菌処理した液卵の凝固特性を向上させることができ、未殺菌液卵に近い凝固特性を有する液卵を製造することができる。これにより、殺菌処理された液卵を用いて、とき卵や卵スープを調理しても、液卵を固まらせることができる。
本発明の一実施の形態である加熱処理装置を示す概略図である。 図1に示した熱交換式加熱ユニットを示す断面図である 図1に示したジュール式加熱ユニットを示す断面図である。 図1に示した加熱処理装置により液卵を加熱処理したときにおける液卵の温度変化を示す特性線図である。 本発明の他の実施の形態である加熱処理装置を示す概略図である。 図5に示した加熱処理装置により液卵を加熱処理したときにおける液卵の温度変化を示す特性線図である。 本発明の他の実施の形態により液卵を加熱処理したときにおける液卵の温度変化を示す特性線図である。 本発明のさらに他の実施の形態により液卵を加熱処理したときにおける液卵の温度変化を示す特性線図である。 (A),(B)はそれぞれ従来の加熱処理装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示す加熱処理装置10は、液卵を収容するホッパ11を有している。ホッパ11に収容される液卵は、殻付き卵を割卵機械により割卵し、ストレーナによりカラザと液卵とを分離することにより得られる。分離された液卵は容器に貯蔵され、例えば5℃程度の保存温度に保持されており、液卵は容器からホッパ11に投入される。
ホッパ11は配管12aにより加熱手段としての熱交換式加熱ユニット13に接続されている。配管12aにはホッパ11内の液卵を熱交換式加熱ユニット13に向けて供給するためのポンプPが設けられ、このポンプPは電動モータ14により駆動される。加熱手段としての熱交換式加熱ユニット13は配管12aに連通して液卵を案内する加熱流路を有しており、外部から加えられる加熱媒体によって加熱流路を流れる液卵は、約40℃にまで熱交換式加熱ユニット13により昇温される。
熱交換式加熱ユニット13は配管12bにより加熱手段としてのジュール式加熱ユニット15に接続されている。ジュール式加熱ユニット15は配管12bに連通して液卵を案内する加熱流路を有しており、ジュール式加熱ユニット15に設けられた電極に電力を供給することにより液卵をジュール熱により発熱させる。ジュール式加熱ユニット15によって、熱交換式加熱ユニット13において40℃に加熱された液卵は、殺菌温度である60℃まで一気に加熱される。
ジュール式加熱ユニット15は配管12cにより温度保持手段としての温度保持ユニット16に接続されている。この温度保持ユニット16は配管12cに連通して液卵を案内しながら一定の保持時間の間だけ殺菌温度である60℃に液卵を保持する保温流路を有している。この保持時間としては、例えば3.5分以上に設定される。温度保持ユニット16は配管12dにより冷却手段としての冷却ユニット17に接続されている。冷却ユニット17は配管12dに連通する冷却流路を有しており、冷却流路を流れる液卵は殺菌温度60℃から保存温度まで冷却される。冷却ユニット17により冷却された液卵は、回収容器18に供給される。
液卵が熱交換式加熱ユニット13に流入し冷却ユニット17から流出するまでの時間のうち、液卵が20℃を超えた状態となって流路内を流れる処理時間は、600秒以内となっており、この処理時間は電動モータ14の回転数を設定するコントローラ19により設定される。液卵は流路内を流れるときに剪断力を受けることになり、熱交換式加熱ユニット13に流入して冷却ユニット17から流出するまでに液卵が受ける全剪断量つまり総剪断は、50000以下に設定されている。この総剪断量は、液卵が搬送される際の剪断速度と処理時間との積により求められ、流路断面の形状、寸法により設定される。
剪断速度は、チューブ型の加熱流路を有する加熱ユニットにおいては、液卵の平均流速の2倍を加熱流路の半径により除した値である。
2は図1に示された熱交換式加熱ユニット13を具体的に示す断面図である。
2に示すように、この熱交換式加熱ユニット13は液卵を案内する内側チューブ21を有している。この内側チューブ21の一端部には配管12a内の流路に連通する流入口22aが形成され、他端部には配管12b内の流路に連通する流出口22bが設けられており、流入口22aと流出口22bとの間は加熱流路23となっている。液卵は矢印24aで示されるように、内側チューブ21の加熱流路23に流入口22aから流入し、矢印24bで示すように流出口22bから流出される。内側チューブ21の外側には外側チューブ25が取り付けられており、内側チューブ21と外側チューブ25の間には加熱媒体が供給される媒体流路26となっている。媒体流路26には加熱媒体として温水が、矢印27aで示されるように、外側チューブ25の一端部に設けられた流入口28aから流入し、他端部に設けられた流出口28bから矢印27bに示すように流出するようになっている。これにより、液卵は加熱媒体によって所定の温度まで加熱される。このように、図2に示す熱交換式加熱ユニット13は、内側チューブ21に形成された加熱流路23に液卵を流しながら、これを加熱するチューブ型の熱交換器となっている。
図3は図1に示されたジュール式加熱ユニット15の拡大断面図であり、このジュール式加熱ユニット15は液卵を案内する加熱流路23が形成された断面円形の加熱パイプつまり管状部材31を有している。管状部材31は7つのリング状の電極32とこれらの間に配置される6つの円筒体33とにより構成されている。このように、ジュール式加熱ユニット15は複数の電極32と複数の円筒体33とにより構成される管状部材31を有し、管状部材31には隣り合う電極32が対をなして設けられている。それぞれの電極32はチタンなどの導体により形成され、それぞれの円筒体33は樹脂等の絶縁体により形成されている。管状部材31の両端部には絶縁体からなる流入側と流出側のジョイント部34,35が取り付けられている。それぞれの電極32には電源ユニット36がケーブルを介して接続されており、液卵の流れる方向に隣り合って対をなす電極32が相互に逆極性となるように電源ユニット36から高周波電流が供給される。なお、ジュール式加熱ユニット15に設けられる電極32の数は加熱温度等に応じて任意に設定される。
温度保持ユニット16は熱交換式加熱ユニット13およびジュール式加熱ユニット15と同様に内部に流路が設けられており、温度保持ユニット16の外部に断熱材を設けることにより、内部の保持流路を流れる液卵は殺菌温度に保持される。ただし、温度の低下を防止するために外部に加熱媒体を流すようにしても良い。
冷却ユニット17は、熱交換式加熱ユニット13と同様の構造のチューブ型の熱交換器により形成されており、図2に示した熱交換式加熱ユニット13における加熱流路が冷却流路となり、媒体流路26に冷媒つまり冷却媒体を流すことにより、液卵は保存温度まで冷却される。保存温度は常温あるいはこれよりも低い5℃程度となっている。
図4は図1に示した加熱処理装置10により液卵を加熱殺菌処理したときにおける液卵の温度変化を、従来例と比較して示す特性線図である。図4においては従来の加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が破線で示され、図1に示した加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が実線で示されている。
図9(A)は従来の加熱処理装置40aを示す概略図であり、この加熱処理装置40aは熱回収ユニット41と加熱ユニット42と冷却ユニット43とを有している。ホッパ44から供給された液卵は加熱側流路45により温度保持ユニット46に案内され、温度保持ユニット46から流出する液卵は、冷却側流路47により回収容器48に案内される。熱回収ユニット41は加熱される液卵と冷却される液卵との熱交換を行い、熱回収ユニット41から流出する液卵は冷却ユニット43において冷却媒体としての冷却水により冷却される。一方、熱回収ユニット41で加熱された液卵は加熱ユニット42において加熱媒体としての温水により殺菌温度まで加熱される。
図9(B)は他の従来例である加熱処理装置40bを示す概略図であり、この加熱処理装置40bは第1と第2の熱回収ユニット41a,41bを有し、第1の熱回収ユニット41aと第2の熱回収ユニット41bには熱媒体がポンプPaにより循環するようになっている。この加熱処理装置40bにおいては、温度保持ユニット46から流出した液卵は第2の熱回収ユニット41bの熱媒体との間で熱交換が行われて液卵は冷却される。一方、第1の熱回収ユニット41aにおいては、加熱される液卵と第2の熱回収ユニット41bの熱媒体との間で熱交換が行われて液卵は加熱される。
図9(A)に示す従来の加熱処理装置40aにおいては、温水によって液卵を加熱する加熱ユニット42による加熱を補助するために熱回収ユニット41が設けられている。また、図9(B)に示す従来の加熱処理装置40bにおいては、液卵の加熱を補助するために熱回収ユニット41aが設けられ、液卵を冷却を補助するために熱回収ユニット41bが設けられており、両方の熱回収ユニット41a,41bには熱媒体を循環させるようにしている。このため、伝熱に有効な温度差が小さくなり、さらには、卵タンパクの付着によって伝熱性能が低下したときも殺菌処理を継続できるように熱交換器の能力を過剰に用意しており、20℃を超える部分の通過時間が600秒以上としなければならなかった。
したがって、図4において破線で示すように、従来の加熱処理装置は加熱ユニット42により液卵を殺菌温度60℃にまで昇温し、温度保持ユニット46により液卵を殺菌温度で保持し、冷却ユニット43により液卵を保存温度まで冷却するようにしており、加熱ユニット42による加熱時間Se0は熱回収ユニットを含めて300秒(5分)であり、温度保持時間Sh0は210秒(3.5分間)であり、冷却時間Sc0は276秒(4.6分)である。したがって、加熱開始から冷却終了までの合計時間は、786秒(13.1分)となっており、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St0は、630秒(10.5分)であった。
このように、移動時間St0が600秒を超えることになる従来の加熱処理装置により殺菌処理された液卵は、それを用いてとき卵や卵スープを調理すると、凝固特性が悪く、液卵が固まった状態とならない。
これに対し、図1に示す加熱処理装置10においては、熱交換式加熱ユニット13による加熱時間Se1として240秒加熱して液卵を50℃程度まで昇温した後に、ジュール式加熱ユニット15により殺菌温度まで液卵を加熱する。ジュール式加熱ユニット15によって、10秒の加熱時間Sjにより液卵を10℃昇温させた。この加熱処理装置10の温度保持ユニット16による保持時間Sh1は、従来の保持時間Sh0と同一の210秒であり、冷却ユニット17による冷却時間Sc1は、従来と同一の276秒である。したがって、加熱開始から冷却終了までの合計時間は、736秒(12.2分)となり、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St1は、594秒(9.9分)であった。このようにして殺菌処理した液卵は、凝固特性が向上してその液卵を用いて、とき卵や卵スープを調理すると、未殺菌液卵と同様に液卵が固まった。
図5は本発明の他の実施の形態である液卵の加熱処理装置10を示す概略図であり、図5においては、図1に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
図5に示す液卵の加熱処理装置10は、液卵を保存温度から殺菌温度までジュール式加熱ユニット15により加熱するようにしており、図1に示された熱交換式加熱ユニット13は用いられていない。この液卵の加熱処理装置10においても、液卵がジュール式加熱ユニット15に流入して冷却ユニット17から流出するまでの時間のうち、液卵が20℃を超えた状態となって流路内を流れる処理時間は、600秒以内に設定されており、この処理時間は電動モータ14の回転数を設定するコントローラ19により設定される。液卵は流路内を流れるときに剪断力を受けることになり、ジュール式加熱ユニット15に流入し冷却ユニット17から流出するまでに液卵が受ける総剪断量つまり全剪断量は、流路の断面形状、寸法により、上述した場合と同様に50000以下に設定されている。
図6は図5に示した加熱処理装置10により液卵を加熱殺菌処理したときにおける液卵の温度変化を、従来例と比較して示す特性線図である。図6においても従来の加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が破線で示され、図5に示した加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が実線で示されている。
図5に示す加熱処理装置10を用いて液卵を殺菌処理すると、保存温度の液卵はジュール式加熱ユニット15により30秒(0.5分)で殺菌温度にまで加熱される。温度保持ユニット16による保持時間Sh1は従来の保持時間Sh0と同一の210秒であり、冷却ユニット17による冷却時間Sc1は従来と同一の276秒である。したがって、加熱開始から冷却終了までの合計時間は、516秒(8.6分)となり、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St1は、432秒(7.2分)であった。このようにして殺菌処理した液卵は、凝固特性が向上してその液卵を用いて、とき卵や卵スープを調理すると、未殺菌液卵と同様に液卵が固まった。
上述したそれぞれの液卵の加熱処理装置10においては、従来では加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St1が、600秒以下に設定されている。従来のように移動時間が600秒を超えると、液卵の凝固特性が低下していたのに対して、移動時間を短くすると、未殺菌液卵に近い凝固特性の液卵を加熱処理することができる。本発明の液卵の加熱処理装置においては、いずれも加熱開始から冷却終了までの流路内を流れる液卵が受ける剪断を、上述した場合と同様に、50000以下に設定している。また、液卵を保存温度から殺菌温度にまで加熱する際に、液卵が変成温度帯の温度を経て殺菌温度に到達するまでの時間を早くしている。
図7は本発明の他の実施の形態である液卵の加熱処理装置により液卵を加熱殺菌処理したときにおける液卵の温度変化を、従来例と比較して示す特性線図である。この特性線図で示される液卵の加熱処理装置は、まず、ジュール式加熱ユニット15により保存温度の液卵を約40℃にまで10秒の加熱時間Sjで加熱した後に、熱交換式加熱ユニット13により122秒(2.03分)で殺菌温度まで加熱するようにしている。つまり、図1に示した加熱処理装置10における熱交換式加熱ユニット13とジュール式加熱ユニット15の位置を逆転させており、加熱開始から冷却終了まで618秒(10.3分)であり、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St1は、534秒(8.9分)であった。
図8は本発明のさらに他の実施の形態である液卵の加熱装置により液卵を加熱殺菌処理したときにおける液卵の温度変化を、従来例と比較して示す特性線図である。この特性線図で示される液卵の加熱処理装置は、図1に示された熱交換式加熱ユニット13により保存温度の液卵を殺菌温度まで加熱するようにしている。従来では殺菌温度まで加熱する時間Se0が300秒であるのに対して、加熱時間Se1を従来よりも短い210秒に設定した。これにより、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間St1は、552秒(9.2分)であった。このようにして液卵を殺菌処理すると、凝固特性が向上した液卵を製造することができる。
図7および図8においても従来の加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が破線で示され、それぞれの加熱処理装置により殺菌処理したときの液卵の温度変化が実線で示されている。
それぞれの加熱処理装置においては、液卵のタンパク質変成温度帯である40〜50℃においては、従来に比して単位時間当たりの温度上昇率を高めていることからも、液卵の凝固特性を高めることができる。
それぞれの加熱処理装置においては、冷却ユニット17による冷却時間Sc1は従来の同一の時間に設定したが、冷却時間Sc1を従来よりも短時間にすることによって、加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間を600秒以内に設定することができ、液卵の凝固特性を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した液卵の加熱処理装置においては、液全卵を殺菌処理した場合について説明したが、液卵黄のみあるいは液卵白のみを加熱処理する場合にも同様に、それぞれの凝固特性を高めることができる。
10 液卵の加熱処理装置
11 ホッパ
13 熱交換式加熱ユニット
14 電動モータ
15 ジュール式加熱ユニット
16 温度保持ユニット
17 冷却ユニット
19 コントローラ

Claims (10)

  1. 液卵を連続的に搬送しつつ加熱殺菌する液卵の加熱処理方法であって、
    保存温度の液卵をチューブ型の加熱流路に流しながら殺菌温度にまで加熱する加熱工程と、
    加熱された液卵を保温流路内に流しながら殺菌温度で一定の保持時間にわたり保持する保持工程と、
    温度保持された後の液卵を冷却流路内に流しながら殺菌温度から保存温度にまで冷却する冷却工程とを有し、
    加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間を600秒以内に設定し、
    加熱開始から冷却終了までにおける液卵の総剪断量を50000以下とすることを特徴とする液卵の加熱処理方法。
  2. 請求項1記載の液卵の加熱処理方法において、前記加熱工程は、加熱流路内を流れる液卵をジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度まで加熱するジュール式加熱工程であることを特徴とする液卵の加熱処理方法。
  3. 請求項1または2記載の液卵の加熱処理方法において、前記加熱工程は、液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して液卵を保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱する熱交換式加熱工程と、当該熱交換式加熱工程において加熱された液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて液卵を殺菌温度まで加熱するジュール式加熱工程とを有することを特徴とする液卵の加熱処理方法。
  4. 請求項1または2記載の液卵の加熱処理方法において、前記加熱工程は、液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱するジュール式加熱工程と、当該ジュール式加熱工程において加熱された液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱工程とを有することを特徴とする液卵の加熱処理方法。
  5. 請求項1または2記載の液卵の加熱処理方法において、前記加熱工程は、加熱流路内を流れる液卵を加熱媒体により熱交換して保存温度から殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱工程であることを特徴とする液卵の加熱処理方法。
  6. 液卵を連続的に搬送しつつ加熱殺菌する液卵の加熱処理装置であって、
    保存温度の液卵を流すチューブ型の加熱流路を有し、当該加熱流路に液卵を流しながら殺菌温度にまで液卵を加熱する加熱手段と、
    加熱流路に連通する保温流路を有し、加熱された液卵を保温流路内に流しながら殺菌温度に一定の保持時間にわたり保持する温度保持手段と、
    保温流路に連通する冷却流路を有し、温度保持された後の液卵を冷却流路内に流しながら殺菌温度から保存温度にまで冷却する冷却手段と、
    加熱開始から冷却終了までにおいて液卵が20℃を超えた状態となった時間での流路内での移動時間を600秒以内に設定する通過時間設定手段とを有し、
    加熱開始から冷却終了までにおける液卵の総剪断量を50000以下とすることを特徴とする液卵の加熱処理装置。
  7. 請求項記載の液卵の加熱処理装置において、前記加熱手段は、加熱流路内を流れる液卵をジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度まで加熱するジュール式加熱ユニットであることを特徴とする液卵の加熱処理装置。
  8. 請求項または記載の液卵の加熱処理装置において、前記加熱手段は、液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して液卵を保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱する熱交換式加熱ユニットと、当該熱交換式加熱ユニットにおいて加熱された液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて液卵を殺菌温度まで加熱するジュール式加熱ユニットとを有することを特徴とする液卵の加熱処理装置。
  9. 請求項または記載の液卵の加熱処理装置において、前記加熱手段は、液卵を加熱流路内に流しながらジュール熱により発熱させて保存温度から殺菌温度よりも低い温度に加熱するジュール式加熱ユニットと、当該ジュール式加熱ユニットにおいて加熱された液卵を加熱流路内に流しながら加熱媒体により熱交換して殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱ユニットとを有することを特徴とする液卵の加熱処理装置。
  10. 請求項または記載の液卵の加熱処理装置において、前記加熱手段は、加熱流路内を流れる液卵を加熱媒体により熱交換して保存温度から殺菌温度まで加熱する熱交換式加熱ユニットであることを特徴とする液卵の加熱処理装置。
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