JP5118743B2 - 電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、電池システム、特に電池セルの密閉状態を判定する電池システムに関する。
電池セルは、正極板、負極板、および電解液等が密閉された電池容器の内部に収納されて、製品として市販される。しかし、製造時に密閉されるはずの電池容器も、製造時に溶接等の不具合により厳密に密閉されない場合が生じうる。また、市販された後に、電池セルが使用される状態や使用環境によっては、電池容器の密閉箇所に穴が開く場合がある。すなわち、電池容器の密閉状態が保てなくなる場合がある。
このように、電池容器の密閉状態が維持できなくなった場合、化学薬品である電解液や使用時に電池セル内部で発生する化学ガスが、当該電池セルが組み込まれて当該電池セルから電力供給を受ける電池システムの構成部品に接触等して、当該構成部品を腐食させるなどし、結果として電池システムに故障を発生させる恐れがある。
また、上記電解液や上記ガスは、一般的に人体に有毒であり、電池容器の密閉状態が維持できなくなった場合には、電池システムのユーザーや保守作業を行う者に傷害などの悪影響を及ぼす恐れがある。
そこで、電池セルの製造時に、電池容器から漏れ出したガスをガスセンサーにより工場内で検査するための構成(特許文献1参照)や、市販後に、電池システムで使用する複数の電池セルが接続された組電池から漏れ出したガスを検知すべく、当該組電池の容器にガスセンサーを配置した構成(特許文献2参照)などが報告されている。
特開平9−259898号公報 特開2008−251307号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術は、電池容器で発生して電池容器の外部へ漏れ出したガスをガスセンサーで検知することができるが、当該ガスが浮遊している以上、当該ガスが電池システムの構成部品に接触等したり、工場内で保守作業を行う者等に接触したりすることを回避することは容易ではない。すなわち、上記腐食による電池システムの故障やユーザー等への悪影響を防止することが困難であった。
そこで、本発明は、電池容器の密閉状態が維持できなくなったか否かを検知することができるのみならず、上記密閉状態が維持できなくなったことにより生じる電池システムの故障やユーザー等への悪影響を防止することができる電池システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の電池システムは、密閉された電池容器を備えた電池セルと、前記電池容器に圧着されることで前記電池容器との間に密閉空間を形成し、且つ、第1ガスを第2ガスへ変換するガス変換物質と前記第2ガスの量または濃度を計測するガスセンサーとを前記密閉空間に備えたキャップと、前記第2ガスの量または濃度に対応する情報を受信する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記情報が前記第2ガスの量または濃度の増加を示す場合に、前記電池容器の密閉が破壊したと判定することを特徴とする。
すなわち、電池容器の密閉状態が維持できなくなった場合に、電池容器の内部から発生する第1ガスをガス変換物質により所定の第2ガスへ変換し、第2ガスの量または濃度をガスセンサーが計測するので、制御装置は電池容器の密閉状態が維持できなくなったか否かを容易に検知することができるのみならず、当該所定の第2ガスへ変換することで、上記腐食やユーザー等への上記悪影響を防止することが可能となる。
本発明の電池システムによれば、電池容器の密閉状態が維持できなくなったか否かを検知することができるのみならず、上記密閉状態が維持できなくなったことにより生じる電池システムの故障やユーザー等への悪影響を防止することができる電池システムを提供することができる。
本発明の実施形態の電池システム概要図である。 本発明の実施形態の電池システムにおける電池セルとガス検知キャップとの物理的接続関係を示す概要図である。
本発明の実施形態に係る電池システムは、各電池セルの電池容器に後述のガス検知キャップを嵌め合わせ、電池容器の密閉状態が維持できなくなった場合(電池容器の密閉が破壊した場合)に電池容器の内部から外部へ漏れ出るガス、例えば有毒ガスを当該ガス検知キャップの内部で無毒ガスに変換するとともに、当該無毒ガスの量または濃度を当該ガス検知キャップに配置したガスセンサーで計測することで、表示装置に電池容器の密閉状態が維持できなくなったことを適宜表示することを特徴の1つとしている。以下、図面を参照しながら、詳述する。
以下、本発明の実施形態による電池システムにつき図面を参照して説明する。まず、図1を用いて電池システム1の構成概要を説明し、さらに、図2を用いて電池システム1で用いるガス検知キャップの構成を詳述した後、図1及び図2を用いて電池システム1が電池容器の密閉状態が維持できなくなったか否かの検知(以下、「電池容器密閉破壊検知」という)をいかように行うか説明する。
図1は電池システム1の構成を示す図である。電池システム1で用いる電池セルは、電池システム1の用途に応じて一次電池または二次電池等のいずれの電池でも用いることが可能であるが、ここでは電池セルの一例として、充放電可能な電池セル、例えば蓄電池であるリチウムイオン二次電池の電池セルを用いて説明する。
電池システム1は、電池モジュール2、電力負荷3、上位制御装置4、表示装置5を備えている。
複数の電池セルCEa〜CEhからなる組電池と当該組電池の監視制御装置であるBMS(Battery Management System)6とを含む電池モジュール2は、電池システム1の外部から電池システム1の内部へはめ込まれて固定される。モジュールとすることで、電池システム1の外部から容易に交換可能となっている。なお、電力負荷3、上位制御装置4、および表示装置5は電池システム1に予め組み込まれている。また、ここでは、上位制御装置4およびBMS6を併せて単に制御装置という場合もある。
ここで、電池システム1は、例えば、電力負荷3である電気モータに車輪を接続したフォークリフトなどの産業車両、電車、または電気自動車などの移動体、並びに電力負荷3である電気モータにプロペラまたはスクリューを接続した飛行機または船などの移動体であってもよい。さらに、電池システム1は、例えば家庭用の電力貯蔵システムや、風車や太陽光のような自然エネルギー発電と組み合わせた系統連系円滑化蓄電システムなどの定置用のシステムであってもよい。すなわち、電池システム1は、組電池を構成する複数の電池セルによる電力の少なくとも放電を利用するシステムであり、また、充放電を利用するシステムであってもよい。
電池モジュール2内の組電池は、電池システム1の電力負荷3に電力を供給するものであり、直列接続された電池セルCEa〜CEdからなる第1アームと直列接続された電池セルCEe〜CEhからなる第2アームとが並列に接続されている。なお、以下、各電池セルCEa〜CEhに対応する電圧センサーV、温度センサーT、ガスセンサーG等の各構成については、対応する各構成の説明記号の末尾にa〜hを適宜記載し、いずれの電池セルに対応する構成の説明であるかを明示することとする。
組電池を構成する複数の電池セルCEa〜CEhには、セル温度を計測するための温度センサーTa〜Thおよびセル電圧を計測するための電圧センサーVa〜Vhが、各々の電池セルにそれぞれ1つずつ対応して配置されている。また、これら各々の電池セルには、それぞれの電池セルの電池容器から漏れるガスを検知するため、各々の電池セルにそれぞれ1つずつ対応してガスセンサーGa〜Ghが配置されている。
さらに、各アームには対応する電流センサーが1つ、ここでは第1アームに対して電流センサーIαが、また、第2アームに対して電流センサーIβが配置されており、各アームを流れる電流を計測することができる。
上述したセル温度、セル電圧、各アームを流れる電流、およびガス漏れの有無を検知・計測する各種のセンサーが出力した検知・計測情報は、後述するBMS6に入力される。
なお、ここでは4つの電池セルが直列接続されて1つのアームを形成し、計2つのアームが並列に接続されている構成としている。しかしながら、各アームに接続される電池セルの個数、さらにはアームの個数は、各々1つであっても各々複数であってもいかようにも設計可能である。
BMS6は、2つのCMU(Cell Monitor Unit)、すなわちCMU1およびCMU2と、BMU(Battery Management Unit)とを含んで構成される。
ここで、CMU1およびCMU2は、図示しないADC(Analog Digital Converter)を備えており、上記各種のセンサーが検知して出力する複数の上記検知・計測情報をそれぞれアナログ信号として受け、これらアナログ信号をADCによってそれぞれに対応するデジタル信号に変換した後、関連情報(上記検知・計測情報に関連した情報であり、BMUにて演算される各電池セルの充電率(SOC)を含む。また、各電池セルに対応した後述の電池容器密閉破壊検知情報を含む)を算出等するための複数のパラメータとしてBMUへ出力している。そして、本実施形態においては、図1に示すように、各CMUがそれぞれ4つの電池セルに対応する上記各種のセンサーとバスまたは信号線により接続されている。
上位制御装置4は、ユーザーの指示(例えば、電池システム1が電気自動車の場合には、ユーザーによるアクセルペダルの踏み込み量)に応じて電力負荷3を制御するとともに、BMS6から送信される組電池の関連情報を受信し、表示装置5を制御して、適宜、当該関連情報を表示装置5に表示させる。また、上位制御装置4は、上記関連情報が異常値であると判断した場合には、表示装置5に内蔵された異常ランプを点灯させる等するとともに、表示装置5に内蔵されたブザー等の音響装置を作動させて警報を鳴らし、光と音により視覚および聴覚を刺激してユーザーの注意を促す。
表示装置5は、例えば上記音響装置を備えた液晶パネル等のモニターであり、上位制御装置4からの制御に基づいて組電池を構成する複数の各電池セルCEa〜CEhの上記関連情報の表示等を行うことができる。
電力負荷3は、例えば電気自動車の車輪に接続された電気モータやインバータ等の電力変換器である。電力負荷3は、ワイパーなどを駆動する電気モータであってもよい。
では、図2を用いて、電池システム1で用いる電池セルCEa〜CEhとガス検知キャップCAa〜CAhとの物理的接続関係を説明する。いずれの電池セルCEとガス検知キャップCAの構成もそれぞれ同一であり、それらの物理的接続関係も同一であるので、ここでは、代表的に電池セルCEaとガス検知キャップCAaとを用いて説明する。
なお、図2(a)〜(e)ではいずれも同一の直交座標系を用いている。また、以下で示す寸法L1〜L7、W1〜W3、およびD1〜D3の大小関係は、0<L7<L3≦L5<L4<L6<L1≦L2、0<W2≦W1<W3、0<D2≦D1<D3 である。
図2(a)は、電池セルCEaの構成概要を示す図である。電池セルCEaの電池容器は角型であり、積層電極体(図示せず)が収納された容器7が蓋8で密閉されて電池セルCEaが構成される。なお、電池容器は、容器7と蓋8とからなる。
容器7は、Y軸方向に短辺(寸法D1)且つX軸方向に長辺(寸法W1)を配置した略矩形の底面を持ち、当該底面の全ての辺に接続して当該底面に垂直方向(+Z方向)に伸びる壁面を持つ容器である。
蓋8は、電池容器2の上記底面と実質的に同一の板状の形状であり、電極端子(正極端子9又は負極端子10)が当該板状の形状の両面に貫通して固定されている。また、図示しないものの、蓋8には、電解液を注液する注液孔も形成されている。なお、ここでは、XY平面において半径rの略円状の形状を備えた円柱状の電極端子を使用している。
容器7と蓋8は、電解液等で変質しない絶縁性のプラスチック樹脂製でもよいし、アルミニウム等の導電性の金属製であってもよい。これらが互いに同一材料であると、溶接又は接着・熱溶着等で容器7と蓋8との密閉を効果的に行うことができる。ここでは、これらが導電性の場合を示すので、電極端子が蓋8と電気的に接続しないように、電極端子と蓋8との間にプラスチック樹脂等の絶縁性部材11を設けている。
なお、当該密閉の段階では注液孔が埋められていないため、厳密な意味では実質的に完全な密閉状態ではない。当該密閉の後、注液孔から電解液(図示せず)を注液し、ネジ等の封止部材により注液孔を塞いで実質的に完全な密閉状態とする。当該実質的に完全な密閉状態をより完全なものとするため、当該封止部材は蓋8と同一材料であることが望ましい。
上記積層電極体は、複数の正極板と複数の負極板とがそれぞれセパレータを介して順次積層された積層電極体(積層型積層電極体)でもよいし、1つの正極板と1つの負極板とが1つのセパレータを介して積層され且つ巻かれた状態の積層電極体(捲回型積層電極体)でもよい。
図示を省略しているが、積層電極体には正極板(マンガン酸リチウム等の正極活物質が塗工されている)から延びる正極タブと負極板(カーボン等の負極活物質が塗工されている)から延びる負極タブとが形成されており、それぞれ対応する正極リードまたは負極リードを介して、それぞれに対応する正極端子9または負極端子10に電気的に接続されている。
では、次に、図2(b)〜(d)を用いて、ガス検知キャップCAの構成を説明する。
図2(b)〜(d)に示す各構成の位置関係を理解容易とするため、これらの図の間には一点鎖線を適宜記載している。
ガス検知キャップCAは、接合不良や破断が生じやすい箇所である「容器7と蓋8とが溶接又は接着・熱溶着等された接合部」や「電極端子と蓋8とが樹脂等で接合された接合部」等の電池容器の密閉状態が維持できなくなる蓋然性のある部位(以下、ガス漏れ危険部位という)を覆って密閉し、且つ、電池セルとガス検知キャップCAの内側との間に空間を形成してガス漏れ危険部位から漏れ出るガスをガス検知キャップCAの内側に配置されるガスセンサーまで導くことができるガス流路の形成された構成である。
具体的には、ガス検知キャップCAは、ゴム等の弾力性のある樹脂製であり、外形が、X方向に寸法W3且つY方向に寸法D3の略矩形の平板部12(なお、Z方向の厚みは(L4-L5))と、平板部12の4辺に接続し且つ当該4辺から−Z方向に延びる圧着部13(容器7を実質的に隙間なく圧迫して容器7に密着することをここでは「圧着」といい、圧着部13はこの圧着をすることができる)と、平板部12のXY平面に存在する2つの面のうち−Z側の面(平板部12の裏面)に接続し且つ当該裏面から−Z方向に延びる支柱部15(ガス検知キャップCAを電池セルに装着した際に、平板部12と蓋8との間に介在して平板部12を支えることで上記空間を形成する)とを備えている。
なお、平板部12のXY平面に存在する2つの面のうち+Z側の面は、以下、平板部12の表面という。
後述する回路基板17を平板部12の表面に固定し、回路基板17も含めてガス検知キャップCAとしてしてもよい。
以下、ガス検知キャップCAの各構成につき、詳述する。
図2(e)に、ガス検知キャップCAを−Z側から見た図、すなわち、ガス検知キャップCAの裏面図を示す。
平板部12には、電極端子に対応する位置に、電極端子のXY平面の断面形状と実質的に同じ且つやや小さい形状であって、平板部12をZ方向に貫通する貫通孔14が形成されている。ここでは、電極端子の上記断面形状が直径(2×r)の略円であるので、貫通孔14の上記形状も、当該略円の形状である。上記のように、やや小さい形状としているのは、平板部12を電極端子に圧迫して密着させ、且つ、電極端子と平板部12との間に実質的に隙間が生じないようにするためである。
なお、上記「圧着」は、平板部12が電極端子を実質的に隙間なく圧迫して電極端子に密着することも含む用語とする。従って、平板部12は電極端子に圧着しているといえる。
圧着部13は、XY平面で見て平板12の全周に接し且つ当該全周を取り囲んでいる。具体的には、寸法W3×D3の略矩形の平板部12の裏面において、Y方向の当該略矩形の2つの辺から、それぞれX軸方向で平板部12の内側に向かう厚みを幅{(W3-W1)/2}とし且つZ方向の高さが平板部12の表面から寸法L2である第1領域13aと、第1領域13aに接して平板部12の裏面に配置され且つそれぞれX軸方向で平板部12の内側に向かう厚みを幅{(W1-W2)/2}とし且つZ方向の高さが平板部12の表面から寸法L3である第2領域13bと、X方向の当該略矩形の2つの辺から、それぞれY軸方向で平板部12の内側に向かう厚みを幅{(D3-D1)/2}とし且つZ方向の高さが平板部12の表面から寸法L2である第3領域13cと、第3領域13cに接して平板部12の裏面に配置され且つそれぞれY軸方向で平板部12の内側に向かう厚みを幅{(D1-D2)/2}とし且つZ方向の高さが平板部12の表面から寸法L3である第4領域13dとを、圧着部13が備えている。
2つの第1領域13aと2つの第3領域13cは互いに接続しており、図2(e)に示すように、平板部12の裏面から見ると、これらでロの字形状を形成する。このロの字形状は、電池セルCEに直接的に圧着される部位(以下、直接的圧着部位という)となる。
また、2つの第2領域13bと2つの第4領域13dは互いに接続しており、図2(e)に示すように、平板部12の裏面から見ると、これらでロの字を形成する。このロの字形状は、後述の支柱部15により電池セルCEに接触することはないが、平板部12と直接的圧着部位に接続して形成されることで、直接的圧着部位の圧着の強度を増すことができる部位(以下、圧着補強部位という)となる。
なお、直接的圧着部位には、ガス漏れ危険部位である「容器7と蓋8とが溶接又は接着・熱溶着等された接合部」の近傍に溝(以下、第1の溝という)が形成されており、この第1の溝に、後述のガス変換物質16が塗り込まれる等して配置される。また、圧着補強部位には、ガス漏れ危険部位である「電極端子と蓋8とが樹脂等で接合された接合部」の近傍に溝(以下、第2の溝という)が形成されており、この第2の溝に、後述のガス変換物質16が塗り込まれる等して配置される。図2(e)では、ガス変換物質16が配置される領域を波線で示しており、ガス漏れ危険部位を取り囲むよう、直接的圧着部位及び圧着補強部位の実質的に全周囲にガス変換物質16が配置される。
支柱部15は、平板部12の裏面に接続し且つ当該裏面から−Z方向に寸法L5だけ延びる支柱状の構成である。ガス検知キャップCAを電池セルCEに挿入して嵌め合わせ、電池セルCEをガス検知キャップCAで圧着した際に、電池セルCEに支柱部15が直接的に接触できるよう、支柱部15が平板部12の裏面に適宜配置される。図2(e)では、圧着補強部位に接して、後述のガスセンサーGを取り囲むように4つの支柱部15が形成されている。ただし、支柱部15によって、ガス漏れ危険部位から漏れ出るガスをガスセンサーGまで導くことができるガス流路の形成を阻害することのないよう、当該支柱部15の太さや形状は適宜設計される。
ガスセンサーG(図2ではガスセンサーGa)は、Z方向の寸法がL7であり、また、ここではXY平面の形状が寸法D2より小さい直径の円筒状の形状である。さらに、ここでは、ガス検知キャップCAを電池セルCEに挿入して嵌め合わせた際に、蓋8に形成された安全弁(図示せず。安全弁は一般的に蓋8より薄く、ガス漏れ危険部位といえる)の+Z方向に位置するよう平板部12の裏面に配置・固定されている。
ガスセンサーGの種類は、電池セルCEの内部で発生するガスまたは後述のガス変換物質の種類に応じて、適宜いかようなものを用いてもよい。詳細については、後述する。
以上のガス検知キャップCAの構成により、ガス検知キャップCAを電池セルCEに挿入して嵌め合わせ、電池セルCEをガス検知キャップCAで圧着した際に、電池セルCEとガス検知キャップCAの間に小部屋、すなわち密閉した空間(以下、密閉空間という)を形成することができる。そして、ガス漏れ危険部位から電池セルCE内部で発生したガスが漏れ出た場合に、当該ガスを当該密閉空間に配置されるガスセンサーGまで導くことができるガス流路が当該密閉空間に形成される。
なお、ガス検知キャップCAの平板部12、圧着部13、および支柱部15は、型成形を用いて、同一材料で互いに一体に形成してもよい。
ところで、上述のとおり、回路基板16を平板部12の表面に固定して、ガス検知キャップCAとしてもよい。
回路基板16は、ここでは、平板部12に比べ弾性力の弱いプラスチック基板を用いている。そして、回路基板16には、平板部12の貫通孔14に対応する位置に、電極端子のXY平面の断面形状と実質的に同じ且つやや大きめの形状であって、回路基板16をZ方向に貫通する貫通孔(以下、回路基板用貫通孔という)が形成されている。ここでは、電極端子の上記断面形状が略円の形状であるので、当該貫通孔14の上記形状も、当該略円の形状である。
回路基板16には、図1で示した各電池セルCEa〜CEhのそれぞれに対応する温度センサーTa〜Thおよびセル電圧を計測するための電圧センサーVa〜Vhが配置・固定されている。そして、回路基板16には、当該温度センサーや当該電圧センサーの計測値を伝達するプリント配線や、ガスセンサーGの計測値を伝達等するための平板部12を貫通する電気経路と接続するプリント配線が適宜形成されている。また、これらセンサーに動作電力を適宜供給し、また、セル電圧を計側するために、ガス検知キャップCAを電池セルCEに挿入して嵌め合わせた際に、回路基板用貫通孔を介して電池セルCEの正極端子9と負極端子10に自動的に電気的に接続されるプリント配線及び端子も、回路基板16に形成されている。
図示しないものの、回路基板16には、これらプリント配線とBMS6とを電気的に接続するバスまたは信号線が適宜接続される。
以上の回路基板16を含んだガス検知キャップCAとすることにより、ガス検知キャップCAを電池セルCEに挿入して嵌め合わせ且つ圧着した際に、当該電池セルに対応する各種センサーを同時にワンタッチで接続することができるので、電池システム1の製造・補修が容易・簡便となり、製造コスト及び補修のコストを低減することができる。
なお、各アームを構成する電池セルCEa〜CEh間を直列接続等に電気接続する配線であるバスバーは、各電池セルに配置される回路基板16の回路基板用貫通孔を貫通して回路基板16よりも+Z方向へ突出する電極端子の突出部分に接続される。これにより、図1の電池システム1が構成される。
では、図1及び図2を用いて、電池システム1による「電池容器密閉破壊検知」につき、説明する。
本実施形態では、電池セルCEの一例としてリチウムイオン二次電池を挙げるので、リチウムイオン二次電池の電池容器から発生するガスを検知することで、各電池セルCEの電池容器密閉破壊検知を行う。
リチウムイオン二次電池の充電または放電によって、人体に無害な二酸化炭素(CO)等のみならず、人体に有毒なガスであるフッ化水素(HF)や一酸化炭素(CO)等が電池容器内部に発生する。また、このフッ化水素(HF)は、上記腐食を生じさせるガスでもある。
従って、ここでは、代表的に有害なフッ化水素ガスを無害ガスへ変換するとともに、当該無害ガスの量等を計測することで、電池容器密閉破壊検知を行うとして説明する。
このため、有害ガスであるフッ化水素ガスを無害ガスである二酸化炭素ガスへ変換する炭酸ナトリウム(NaCO)をガス変換物質16としてガス検知キャップCAに配置する。そして、ガスセンサーGには、二酸化炭素を検知する二酸化炭素ガスセンサー(例えば、フィガロ技研株式会社製 TGS4161)を用いる。炭酸ナトリウム(NaCO)は電池セルが万一発火した際に消火剤として機能することもできので、電池システム1の安全性向上の観点で大変有用である。
なお、フッ化水素ガスから二酸化炭素ガスへの変換は、フッ化水素ガスがガス変換物質16としての炭酸ナトリウムに接触することで、「NaCO+HF → NaF+HO+CO」の化学反応が生じることで達成される。
まず、電池システム1は、図2のように各電池セルCEa〜CEhにガス検知キャップCAを適宜圧着させた後、図1のように電池システム1の各構成を適宜に電気的接続して構成されている。ここで、BMS6には、図示しない不揮発性メモリが備えられており、電池容器の密閉状態が維持できている場合の上記密閉空間における所定ガス(ここでは、二酸化炭素ガス)のガス量またはガス濃度の値(ガス基準値)が当該不揮発性メモリに予め記憶されている(例えば、市販される前に工場等にて当該記憶がなされる)。
次に、市販またはユーザーのもとで構築された電池システム1が起動され、電池システム1の運転が開始されると、BMS6は、所定のタイミング(例えば、5分ごとのタイミング)で、各ガスセンサーGa〜Ghの計測した所定ガス(ここでは、二酸化炭素ガス)のガス量またはガス濃度の値に関する検知・計測情報を上記ガス基準値(検知・計測情報に対応する計測単位、例えば電圧等の単位の値である)と比較する。そして、比較した結果、上記ガス基準値から所定量または所定濃度(例えば、1000ppm)だけ当該検知・計測情報が示す値が大きくなった場合に、BMS6は、当該大きくなった値を示した電池セルの電池容器の密閉が破壊されたと判定する。そこで、当該電池セルに対応する電池容器密閉破壊検知情報をアクティブにして、上記関連情報の一つとして上位制御装置4へ送信する。
なお、このとき、当該大きくなった値を示した電池セルではガス漏れ危険部位から電池セル内部で発生したガスが漏れ出している。すなわち、当該電池セルでは、電池容器の密閉が破壊している。従って、当該電池セル内部で発生したガスの一部である二酸化炭素ガスはそのまま上記密閉空間に広がって二酸化炭素ガスセンサーであるガスセンサーGに直接的に計測され、且つ、当該電池セル内部で発生したガスの他の一部である有害のフッ化水素ガスは上記密閉空間に広がった際にガス変換物質16に接触することで無害の二酸化炭素ガスに変換されて、ガスセンサーGで間接的に計測される。このため、上記直接的にガスセンサーGに計測される二酸化炭素ガスのみならず、上記間接的にガスセンサーGに計測されるフッ化水素ガスの量または濃度も加算されることで、ガス変換物質16を配置しない場合に比べ、当該検知・計測情報の示す値が早期により大きくなるのである。
そして、BMS6から上記関連情報を受信した上位制御装置4は、電池容器密閉破壊検知情報がアクティブとなった電池セルが電池セルCEa〜CEhのいずれであるかを表示装置5に表示させるとともに、上記異常値であると判断して表示装置5を上述のように制御してユーザーの注意を促す。
さらに、上位制御装置4は、表示装置5を制御して上述のようにユーザーの注意を促しつつ、所定時間経過後(例えば、5分後)に電力負荷3へ供給する各アームからの電流をユーザーの意思に関わらず制限する旨の警告も表示装置5に表示させる。そして、当該所定時間経過後に、上位制御装置4は、電池容器密閉破壊検知情報がアクティブとなった電池セルに対応する温度センサーからの関連情報を用いつつ、当該温度センサーの計測値が所定の温度以下(例えば、40℃以下)となるように電力負荷3へ流す電流又は電力負荷3へ供給する電力の上限値を制限する。電池容器の密閉が破壊される場合には、電池セルの温度が上昇して電池容器が膨張している危険な状態である場合もあり、上記所定の温度以下に早期に冷却するために電力負荷3へ流す電流又は電力負荷3へ供給する電力の上限値を制限するものである。
従って、ユーザーは、電池システム1の点検・補修を強く動機づけられ、さらに電力負荷3への電流の上限値が制限されることから電池システム1の運転も安全に行うことができる。すなわち、電池システム1の安全性を向上させることができる。
以上の説明では、BMS6が、図示しない不揮発性メモリに記憶されたガス基準値を用いて上記比較を行っていたが、当該不揮発性メモリのガス基準値を使用しない場合もありうる。
この場合には、例えば、電池モジュール2の筐体に電池システム1の外気から基準値を得るためガスセンサー(ガスセンサーGと同一構成である)を配置し、当該ガスセンサーの計測した情報をBMS6が受信する構成とすればよい。すなわち、この構成においては上記ガス基準値を固定の値ではなく、電池システム1の使用環境に応じた可変の値として、各ガスセンサーGa〜Ghの計測した値と比較する。
すなわち、上記可変の値とする場合には、BMS6は、所定のタイミング(例えば、5分ごとのタイミング)で、各ガスセンサーGa〜Ghの計測した所定ガス(ここでは、二酸化炭素ガス)のガス量またはガス濃度の値に関する検知・計測情報を、電池モジュール2の筐体に設置され且つガスセンサーGと同一のガスセンサーの計測した所定ガス(ここでは、二酸化炭素ガス)のガス量またはガス濃度の値(ガス基準値)に関する検知・計測情報とを比較する。そして、比較した結果、当該ガス基準値から所定量または所定濃度(例えば、1000ppm)だけ各ガスセンサーGa〜Ghに対応する検知・計測情報が示す値が大きくなった場合に、BMS6は、当該大きくなった値を示した電池セルの電池容器の密閉が破壊されたと判定する。そこで、当該電池セルに対応する電池容器密閉破壊検知情報をアクティブにして、上記関連情報の一つとして上位制御装置4へ送信する。以降の動作は、上述の動作と同様である。
また、以上の説明では、有害ガスであるフッ化水素ガスに着目したが、有害ガスである一酸化炭素ガスに着目してもよい。この場合には、ガス変換物質16として、例えば、有害な一酸化炭素ガスを無害な二酸化炭素ガスに変換する物質(例えば、一酸化炭素酸化触媒として株式会社キャタラー製 RTC−B2)に変更する。このように変更しても、上記と同様の動作で、電池容器密閉破壊検知を行うことができる。
もちろん、ガス変換物質16を一種類に限定せず、2種類以上の物質をガス検知キャップCAに配置してもよい。例えば、ガス変換物質16として、炭酸ナトリウムと一酸化炭素酸化触媒とをガス検知キャップCAに配置すれば、有毒なフッ化水素ガスも一酸化炭素ガスも無害化できるとともに、これらのガスが無害な二酸化炭素に変換されて上記密閉空間の二酸化炭素ガスの量または濃度をより早期に増加させることで、ガス変換物質16を配置しない場合に比べて早期に電池容器密閉破壊検知情報をアクティブとすることができる。従って、電池システム1の安全性をさらに向上させることができる。
なお、電池セルをリチウムイオン二次電池以外の電池とした場合には、当該電池の内部で発生するガスに応じて、適宜、ガス変換物質16とガスセンサーGの種類を選定すれば、上記電池容器密閉破壊検知と同様の動作を行うことができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りで種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、電池モジュール2のBMS6と上位制御装置4を分けて論じていたが、これらを1つの制御装置として制御を行ってもよい。
また、電池容器の形状は角型として説明したが、円筒型であってもよい。
さらに、電極端子は円柱状としたため、貫通孔14や回路基板用貫通孔の形状もこれに対応した略円の形状としたが、これに限定されるものではない。電極端子の形状は三角柱や四角柱など適宜変更可能であり、この場合には、電極端子の形状に対応させて、貫通孔14や回路基板用貫通孔の形状も適宜変更させることができる。
1…電池システム、2…電池モジュール、3…電力負荷、4…上位制御装置、
5…表示装置、6…BMS、7…容器、8…蓋、9…正極端子、10…負極端子、
11…絶縁樹脂、12…平板部、13…圧着部、14…貫通孔、15…支柱部、
16…ガス変換物質、17…回路基板、

Claims (6)

  1. 密閉された電池容器を備えた電池セルと、
    前記電池容器に圧着されることで前記電池容器との間に密閉空間を形成し、且つ、第1ガスを第2ガスへ変換するガス変換物質と前記第2ガスの量または濃度を計測するガスセンサーとを前記密閉空間に備えたキャップと、
    前記第2ガスの量または濃度に対応する情報を受信する制御装置と
    を有し、
    前記制御装置は、前記情報が前記第2ガスの量または濃度の増加を示す場合に、前記電池容器の密閉が破壊したと判定することを特徴とする電池システム。
  2. 前記第1ガスは有毒ガスであり、前記第2ガスは無害ガスであることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記第1ガスはフッ化水素ガスであり、前記第2ガスは二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記第1ガスは一酸化炭素ガスであり、前記第2ガスは二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項2に記載の電池システム。
  5. 前記電池セルから電力供給を受けて動作する電力負荷をさらに有し、
    前記制御装置は、前記電池容器の密閉が破壊したと判定した場合に、前記電力供給の上限値を制限することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電池システム。
  6. 音響装置をさらに有し、
    前記制御装置は、前記電池容器の密閉が破壊したと判定した場合に、前記音響装置を作動させて警報を鳴らすことを特徴とする請求項5に記載の電池システム。
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