JP5122169B2 - 電気化学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉型の電気化学素子に関し、より詳しくは電気化学素子内部でガス発生時による内圧の急激な上昇が発生しても、ガス流路を確保することで排気弁を有効に機能させる技術に関する。
電気化学素子、特に充放電が可能でエネルギー密度が高い非水電解質二次電池は、さらなるエネルギー密度の向上を目指し、新規な高容量活物質の導入が盛んに検討されている。具体例として、正極については、リチウムコバルト酸化物からリチウムニッケル酸化物へ、負極については黒鉛からケイ素やスズなどを含む合金材料へと、活物質の展開が進みつつある。
これらの活物質を用いた非水電解質二次電池は、通常は正極と負極とをセパレータを介して積層して電極群を構成し、この電極群をケース内に収納した後、ケースの開口部を封口板で封口することにより、密閉構造とすることが多い。このように密閉構造を採る場合、次の2つの安全機構を設けることになる。第1に、内部短絡や高温保存などの不慮時に発生するガスをケースの外部へ排出するべく、ケース内の内圧が所定圧に達した時に作動する排気弁を例えば封口板に内蔵する。第2に、封口板に設けられた端子を正極あるいは負極のいずれかの電極と電気的に接続し、ケースをもう一方の電極と電気的に接続するので、封口板とケースとを電気的に絶縁するだけでなく、電極群と封口板との間に穿孔板を配置してこれら二者を電気的に絶縁する(例えば、特許文献1参照)。穿孔板は、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂や、ガラスクロスを基材として無機添加剤を含ませたフェノール樹脂などによりできている。
特開2002−231314号公報
しかし上述した高容量活物質はポテンシャルが高い分、不慮時に発生するガスの量や発生速度も著しい。加えてこれらの高容量活物質を用いた非水電解質二次電池は、さらなるエネルギー密度の向上のために、ケース内部の余剰体積が可能な限り削られていることが多く、著しい勢いでガスが発生した場合、排気弁までのガスの経路が制約されるために、ケースの外部へガスを円滑に排出できないという課題が生じるようになった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、エネルギー密度が高い非水電解質二次電池などの電気化学素子を密閉構造で実用化する際に、ケース内部の構造を適正化することにより、不慮時においても安全機構を正常に作動させることを目的とする。
前記の目的を達成するため、発明者らは、不慮時にケース内部で急速にガスが発生した場合に安全機構が正常に作動しない主因について詳細に解析を試みた。その結果、ケース内で急激に内圧が上昇した場合に、電極群と封口板との間に無作為に設けた穿孔板が変形し、封口板に内蔵された排気弁の近傍の変形を誘発することにより、ガスが効率的に排気弁にたどり着けなくなって排出効率が低下することが解明できた。本発明はこの解明結果に基づいてなされたものである。
具体的に本発明は、正極と負極とがセパレータを介して積層された電極群が、開口部を有するケースに収納され、前記ケースの開口部が封口板によって封口された電気化学素子
であって、前記ケース内の内圧が所定圧に達した時に作動し、前記ケース内の発生ガスを外部へ開放する排気弁と、孔部を有し、前記電極群と前記排気弁との間に設けられた穿孔板と、を備え、前記穿孔板は、前記孔部を除く面積が前記開口部の面積に対して20%以上50%以下であり、前記孔部として、前記穿孔板の中央に位置する第2の孔部と、前記第2の孔部からずれたところに位置する第1の孔部と、が形成されていることを特徴とする電気化学素子である。
本発明では、孔部を除く穿孔板の面積がケース開口部の面積に対して20〜50%となっているので、落下等の衝撃が加わったときでも穿孔板の破損を防止できる一方、孔部を通した発生ガスの排出を適切に行うことができる。
ここで、前記排気弁は、前記封口板に設けられていてもよい。
前記穿孔板は、前記電極群と前記封口板とを電気的に絶縁する機能を有していてもよい。この態様では、穿孔板以外に絶縁性部品を設けなくてもよくなるので、部品点数を低減することができる。
また、前記穿孔板は、前記電極群と前記ケースとを電気的に絶縁する機能を有していてもよい。
また、前記穿孔板は、硬質な絶縁材料によって構成されていてもよい。
また、前記穿孔板は、少なくとも片面に絶縁材料が配置された金属板によって構成されていてもよい。この態様では、十分な強度と絶縁性を有する穿孔板を安価に作成することができる。
前記正極の活物質として、リチウムニッケル複合酸化物が用いられていてもよい。この態様では、正極の活物質としてガス発生量の多いリチウムニッケル複合酸化物が用いられる場合であっても、穿孔板の孔部の面積を規定することにより、排気弁を通じたガス放出を適切に行うことができる。
前記電極群は、捲回構造であってもよい。
前記電極群には、発生ガスが通過可能な間隙が設けられており、前記排気弁から見たときの前記間隙の面積をS0とし、前記排気弁から見たときの前記間隙が前記穿孔板によって塞がれている面積をS1とすると、(S0−S1)/S0で表される開口面積比が、0.45以上であるのが好ましい。この態様では、穿孔板によって発生ガスの流れが阻害されるのを防止することができる。
前記電極群には、発生ガスが通過可能な内孔を有するガス排出体が設けられており、前記排気弁から見たときの前記内孔の面積をS2とし、前記排気弁から見たときの前記内孔が前記穿孔板によって塞がれている面積をS3とすると、(S2−S3)/S2で表される開口面積比が、0.3以上であるのが好ましい。この態様では、穿孔板によって発生ガスの流れが阻害されるのを防止することができる。
前記穿孔板の孔部の周縁には、前記排気弁から見て前記ガス排出体の内孔の一部を塞ぐように突起部が設けられているのが好ましい。この態様では、穿孔板の孔部によって発生ガスの排出を許容しつつ、突起部によって衝撃時やガス排出時にガス排出体が飛び出るのを防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、不慮時にケース内部で急速にガスが発生した場合においても排気弁が円滑に作動でき、かつ電気的絶縁が強固な高エネルギー密度の電気化学素子を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に従う電気化学素子の一実施形態は、正極と負極とをセパレータを介して積層した電極群がケースに収納され、このケースの開口部が封口板で封口されたものである。そして、このケース内の内圧が所定圧に達した時に作動してケース内の発生ガスを外部へ開放する機能を有する排気弁と、電極群と排気弁との間に配置される穿孔板とが設けられている。以下、本実施形態による電気化学素子の具体的な構成について説明する。
図1は本実施形態による電気化学素子を表す概略図であり、図2は封口板で封口する前の状態をケースの開口部から見た時の一例を表す概略図である。図3は電気化学素子を部分的に示す縦断面図である。
ケース4内には電極群3と穿孔板2とが収納される。電極群3は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層して渦巻状に捲回したものである。この電極群3がケース4に収納された後、電極群3の上部に穿孔板2が配置されて、封口板1でケース上端の開口部を封口することにより、本実施形態による電気化学素子が構成される。なお、図3に示すように、電極群3の上面から突出させた正極リード12が、後述する穿孔板2の孔部5bに挿通され、封口板1に溶接されている。
穿孔板2は、電極群3と封口板1との間に配置されるものであり、穿孔板2は、図1に示すように封口板1よりも少し小径の円板状に形成されていてもよく、あるいは図2に示すように、両端が円弧状に形成された細長形状の板状に形成されていてもよい。また、穿孔板2はこれ以外の形状であってもよい。
どちらのタイプの穿孔板2においても、穿孔板2には孔部が設けられている。本実施形態では、孔部として、第1の孔部5aと第2の孔部5bとが設けられている。第2孔部5bは、例えば円形状の貫通孔であり、穿孔板2の中央部に形成されている。第2孔部5bは電極群3の中心と同軸上に配置されている。第1孔部5aは第2孔部5bを挟むように第2孔部5bを両側にそれぞれ形成される貫通孔からなる。両第1孔部5aは互いに対称な形状となっている。
第1孔部5aおよび第2孔部5bは、不慮時にケース4内で急激に発生したガスの抜け道となる。このため、封口板1に設けられた排気弁11に向かってガスが円滑に誘導されやすくなる。さらに、第1孔部5aおよび第2孔部5bを除く穿孔板2の面積が、ケース4の開口部の面積に対して20%以上50%以下とされているため、不慮時に急激に発生したガスを着実に排気弁11へ誘導しつつ、一定の機械的強度をもって電極群3と封口板1との電気的絶縁を強固に維持することができる。
ここで、ケース開口部の面積に対する孔部5aおよび5bを除いた穿孔板2の面積の比率を、穿孔板面積比と定義する。つまり、穿孔板面積比は、開口部の面積に対してガスを遮断する面積の割合を意味している。穿孔板面積比が20%未満であると、電気化学素子に落下などの衝撃が加わったときに穿孔板2が破損する虞が生ずる。このため、穿孔板面積比が20%未満であれば電極群3と封口板1との電気的絶縁を保てなくなる虞がある。逆に、穿孔板面積比が50%を超えると、不慮時に急激に発生したガスを着実に排気弁11へ誘導するための経路が不足するので、穿孔板2の変形を誘発することになる。
なお、穿孔板2に加えて、電極群3と封口板1との間に絶縁性部品を配置することも可能である。ただしこの場合、この絶縁性部品によって不慮時の発生ガスの経路を塞ぐことはあってはならないので、その機械的強度が穿孔板2に比べてはるかに低いもの、あるいは穿孔板2と同様の面積を有する孔部を有したものである必要がある。
穿孔板2における第1孔部5aおよび第2孔部5bの位置および形状は任意に選択できる。また図2では第1孔部5aと第2孔部5bの双方が設けられた構成を示している。第1孔部5aについては、必ずしも2つ形成する必要はなく、例えば第1孔部5aを1つだけ設けるとともに、この第1孔部5aが第2孔部5bの周囲で周方向に延びる形状にしてもよい。この場合には、第1孔部5aが半周程度以上に形成されるのが好ましい。また、第1孔部5aは3つ以上形成されていてもよい。
穿孔板2の厚みは、十分な機械的強度を持たせつつこの厚みそのものがエネルギー密度低下の要因とならないようにするのが好ましい。具体的には、3.0Ah以下の容量の電気化学素子では、穿孔板2の厚みは0.2〜1.0mmの範囲とするのが好ましい。この好適範囲は電気化学素子の容量に比例して適宜変化する。
なお、前記の「開口部」とは、実質的にはケース4の内径と同義である。具体的には、ケース4に電極群3および穿孔板2を収納した後、前加工としてケース4の上部付近の径を縮小してから封口板1を配置してかしめ封口を行うが、この「開口部」とは、ケースの上部付近では縮小後のものではなく縮小前のものを指し、ケース4の上部以外の場所におけるケース4内径と同一となっている。
また、本実施形態では、排気弁11が封口板1に内蔵されている例を示しているが、これに限られるものではない。例えば、電極群3の軸が封口板1の方向と異なる方向を向いている電池では、排気弁が封口板に内蔵されていなくてもよい。この場合でも、穿孔板2は、電極群と排気弁との間に配置される。
穿孔板2は、電極群3と封口板1とを電気的に絶縁する機能を有する。これにより、上述した絶縁性部品が不要になる。穿孔板2に絶縁機能を持たせるには、例えば、穿孔板2を硬質な絶縁材料で構成することが可能である。この絶縁材料として、例えば、ベークライトなどの耐熱性樹脂、ガラスフェノールなどのガラス繊維強化樹脂や強化プラスチックなどを挙げることができる。
また、穿孔板2に絶縁機能を持たせるには、穿孔板2を、絶縁材料を少なくとも片面に配置した金属板によって構成することも可能である。穿孔板2を硬質な絶縁材料で構成する場合には、穿孔板2の成型が難しく高価となる。このため、金属板の少なくとも片面に絶縁材料を配置する構成にすれば、十分な強度と絶縁性を有する穿孔板2を安価に作製することができる。
金属板の少なくとも片面に絶縁材料を配置させる構成の具体例としては、SUSや鉄などの金属板の少なくとも片面に、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂材料を接着等によって固定する構成、金属板に絶縁性塗料を塗布してコートする構成等を挙げることができる。このコート方法としてはスプレー塗布やディッピングなどを挙げることができる。電極群3と封口板1との電気的絶縁を強固に維持する観点から、絶縁材料は金属板の両面に配置されているのが最も好ましい。なお、金属板の片面にのみ絶縁材料を設ける場合には、正極電位下で金属板が溶出する可能性に配慮して、正極と接触する可能性のある封口板1の下面と、絶縁材料が配置された面とを対峙させるのが好ましい。また、穿孔板2の孔部5a,5bは、正極あるいは負極の集電リードを通す孔として利用される場合もあるので、金属板の穿孔断面にも絶縁材料が配置されている方が好ましい。
なお、例えば、電極群3の軸が封口板1の方向と異なる方向を向いている電池では、穿孔板2は、電極群3とケース4とを電気的に絶縁する機能を有していてもよい。この場合の穿孔板の具体的構成は、前述した穿孔板2自体を硬質な絶縁材料で構成したものや、絶縁材料を少なくとも片面に配置した金属板によって穿孔板2を構成したものが挙げられる。
正極は、活物質としてリチウムニッケル複合酸化物が用いられている。電気化学素子として非水電解質二次電池を選択した場合、正極の活物質にはリチウムコバルト複合酸化物(LiCo1−X、Mは任意の金属元素、0≦x<1)やリチウムマンガン複合酸化物(LiMn1−XあるいはLiMn2−X、Mは任意の金属元素、0≦x<1)などを用いることができるが、中でもリチウムニッケル複合酸化物(LiNi1−X、Mは任意の金属元素、0≦x<1)は不慮時のガス発生量が極めて多い。しかしながら、穿孔板2が設けられることにより、不慮時にケース内で発生したガスを着実に排気弁に誘導することができる。
電極群3は、前述したように捲回構造となっている。電極群3は、帯状の正極と負極とをセパレータを挟んだ状態で捲回した捲回構造であっても、短冊状の正極と負極とをセパレータを介して積み上げた多層積層構造であっても構わない。ただし、捲回構造であれば電極群3の内部の隙間がケース4の上下方向にしか形成されないため、不慮時に発生したガスが横方向に拡散せずに封口板1に向かうようになる。このため、捲回構造とすることで、穿孔板2による効果がより発揮され易くなる。なお、捲回構造の電極群3は、円筒型であっても角筒型であってもよい。どちらの構成でも同様の効果を得ることができる。
穿孔板2は、電極群3から排出されるガスの流路のうち、最も流量が多いと想定されるガス流路を遮蔽しないようにするのが好ましい。この流路が遮蔽される割合が小さいほど、ガスの排出がより効率よく行われることになる。この流路は、円筒形の巻回式電池の場合、極板を捲回して構成する際に用いた巻芯を、極板の捲回後に抜き取ることで形成される巻芯穴、あるいはこの巻芯穴に挿入された中芯の内孔(ガス排出手段)が該当する。なお、中芯は、ガスを排出する時にセパレータなどの目詰まりが発生する場合に対処できるようにすべく、巻芯穴に挿入されるものである。中芯の存在により、目詰まりを抑制しガスの排出を確実に行うことが出来るようになる。なお、角形電池の場合の流路は、巻芯部と電極群との間の隙間、ケースのコーナーと電極群との間の隙間等が該当する。
以下、電極群の内側に中芯が配設される場合のガスを排出するための流路と穿孔板との関係について、図4を参照しつつ説明する。図4は、穿孔板5Aを排気弁側から見た図である。図4に示すように、電極群3の内側には、巻芯を抜き取った後の巻芯穴5Bが形成されており、この巻芯穴5Bに中芯5Cが配設されている。中芯5Cは円筒状の部材によって構成され、内孔を有するガス排出体である。このため、電極群3の底部より排出されたガスは、中芯5Cの内孔を通って上昇し、排気弁へと導かれる。
穿孔板5Aの中央部分に形成される孔部の周縁部には、中芯5Cが衝撃やガス排出時に飛び出ないように突起部5Dが設けられている。この突起部5Dは、中芯5Cの内孔や巻芯穴5Bから排出されるガスの流れを部分的に遮蔽するため、出来るだけ小さい面積であることが望ましい。しかし、突起部5Dが小さすぎると中芯5Cを押さえるのに十分な強度を確保できなくなる。このため、突起部5Dの寸法をある程度規制する必要がある。
巻芯穴5Bの内径によって算出される内周円の面積、即ち巻芯穴5Bの断面積をS0とし、排気弁側から見て巻芯穴5B内に存在する穿孔板5Aの突起部5Dの面積をS1とする。つまり、面積S1は、巻芯穴5Bのうち、突起部5Dによって塞がれる面積である。ここで、巻芯部開口面積比R1を以下の式(1)の通り、
R1=(S0−S1)/S0 ・・・ (1)
と定義する。また、中芯5Cの内径によって算出される内周円の面積、即ち内孔の断面積をS2とし、排気弁側から見て中芯5Cよりも内側に存在する穿孔板の突起部5Dの面積をS3とする。つまり、面積S3は、内孔の断面積のうち、突起部5Dによって塞がれる面積である。ここで、中芯部開口面積比R2を以下の式(2)の通り、
R2=(S2−S3)/S2 ・・・ (2)
と定義する。巻芯部開口面積比R1は、0.45以上であるのが好ましい。一方、中芯部開口面積比R2は0.3以上であるのが好ましい。この範囲にあれば、ガスが排気弁から排出され易くすることができる。
電気化学素子が非水電解質二次電池によって構成される場合の具体的な構成について、さらに詳細に説明する。
正極は、アルミニウム箔などの芯材の上に合剤層が設けられた構成である。合剤層は、上述した活物質に、黒鉛やカーボンブラックなどの導電剤、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤、及び、必要に応じてカルボキシメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を加えてなる層である。
負極は、銅箔などの芯材の上に合剤層が設けられた構成である。合剤層は、黒鉛やリチウムと合金化可能な材料などの活物質に、必要に応じてカーボンナノファイバーやカーボンブラックなどの導電剤、PVDFスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの結着剤、必要に応じてCMCなどの増粘剤を加えてなる層である。
セパレータには、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる微多孔膜を用いることができる。電解液(非水電解質)としては、鎖状カーボネートおよび/あるいは環状カーボネートの単体あるいは混合体である溶媒に、LiPFやLiBFなどの電解質を溶解させたものを用いることができる。電池ケースとしては、円筒型あるいは角型の鉄やアルミニウムからなる成型物を用いることができる。
以下に非水電解質二次電池としての実施例を示すが、本発明の電気化学素子はこの実施例に限られるものではない。
(負極)
活物質である塊状人造黒鉛(日立化成製MAG−D/商品名)を96重量部と、結着剤であるSBRを固形分比で3重量部と、増粘剤であるCMC(第一工業製薬(株)製)を1重量部と、適量の水とを、プラネタリーミキサーを用いて混合し、負極合剤用ペーストを調製した。このペーストを、銅箔からなる集電体(厚さ10μm)の両面に塗布し、乾燥後に圧延して切断することにより、負極(58mm×600mm、厚み170μm)を得た。
(正極)
活物質であるLiCoO粉末を93重量部と、導電剤であるアセチレンブラック(AB)を4重量部とを混合した。得られた粉末に、結着剤であるPVDFのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学工業(株)製#1320/商品名)を固形分比で3重量部となるように混合した。得られた混合物に適量のNMPを加えて、正極合剤用ペーストを調製した。このペーストを、アルミニウム箔からなる集電体(厚さ15μm)の両面に塗布し、乾燥後に圧延し、さらに85℃下で十分に脱水させて切断することにより、正極A(57mm×550mm、厚み180μm)を得た。
一方、活物質としてLiCo0.2Ni0.8を用い、アルミニウム箔に対する塗布量を減らすとともに圧延も緩やかに行い、単位面積当たりの理論容量および厚みを揃えた以外は、正極Aと同様の処方で正極Bを作製した。
(電極群)
正極Aと上述した負極とをセパレータ(セルガード社製#2320/商品名、厚み0.02mm)を介して、巻芯を中心にして円筒型に捲回した。その後、電極群から巻芯を抜き取り、直径17.6mm、高さ60mmの電極群A(理論容量2550mAh)を構成した。これにより、電極群の中心には巻芯穴が存在する。一方、正極Aを正極Bとしたこと以外は電極群Aと同様に電極群Bを構成した。
(穿孔板)
直径18mmのガラスフェノール板(厚み0.5mm)を加工し、図2に示すデザインの穿孔板2を作製した。そして、孔部を相似的に変化させることにより、7種類の穿孔板2を作製した。これら7種類の穿孔板2では、孔部を除く面積がそれぞれ、0.38cm(穿孔板A)、0.50cm(穿孔板B)、0.75cm(穿孔板C)、0.87cm(穿孔板D)、1.00cm(穿孔板E)、1.25cm(穿孔板F)および1.38cm(穿孔板G)となっている。また、穿孔板Dについて、第1孔部5aの面積をそのままとして、第2孔部5bの面積のみを小さくした穿孔板I,J,Kを作製した。孔部を除く穿孔板I,J,Kの面積は、それぞれ0.87cm、0.99cm、1.00cmである。
また、直径18mmの鉄板(厚み0.5mm)を穿孔し、サンプルDと同じ形状および面積に加工した。この板に絶縁材料であるフッ素樹脂を厚みが15μmとなるようにスプレー塗布し、穿孔板Hを作製した。
(非水電解質二次電池)
直径18.30mm、内径17.85mm(開口部面積2.50cm)、高さ68mmの鉄からなる円筒型のケースに電極群Aを収納した後、電極群Aの下面から突出させた負極リードをケースの底面に溶接した。その後、電極群の巻芯穴にガス排出体としての中芯を挿入した。このとき電極群の巻芯穴の内径は、3.5mm、中芯の内径は2.8mmとした。なお、中芯の厚みは0.25mmである。さらに電極群Aの上側に穿孔板A(電池AA)、穿孔板B(電池AB)、穿孔板C(電池AC)、穿孔板D(電池AD)、穿孔板E(電池AE)、穿孔板F(電池AF)、穿孔板G(電池AG)、穿孔板H(電池AH)、穿孔板I(電池AI)、穿孔板J(電池AJ)、および穿孔板K(電池AK)を配置し、電極群Aの上面から突出させた正極リードをこれら穿孔板の孔部を挿通させて封口板に溶接した。封口板には、作動圧が14.7MPaの排気弁が内蔵されている。
一方、電池AA〜AGと同じケースに電極群Bを収納した後、電極群Bの下面から突出させた負極リードをケースの底面に溶接した。さらに電極群Bの上側に穿孔板A(電池BA)、穿孔板B(電池BB)、穿孔板C(電池BC)、穿孔板D(電池BD)、穿孔板E(電池BE)、穿孔板F(電池BF)、穿孔板G(電池BG)、穿孔板H(電池BH)、穿孔板I(電池BI)、穿孔板J(電池BJ)、および穿孔板K(電池BK)を配置し、電極群Bの上面から突出させた正極リードをこれら穿孔板の孔部に挿通させて封口板に溶接した。封口板には、作動圧が14.7MPaの排気弁が内蔵されている。
これらのケースの上部の直径を機械加工で縮小した後、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:3で含む非水溶媒の混合物にLiPFを1.2M溶解させた非水電解質を注入し、ケース上部の縮小させた箇所の上に封口板を配置してかしめることにより封口した。これにより、非水電解質二次電池が完成する。これらのうち、電池AB〜AF、AH〜AJ、BA〜BF、BH〜BJが実施例となり、電池AA、AG、AK、BA、BG、BKが比較例となる。
これらの非水電解質二次電池に対し、500mAで終止電圧が4.1Vの定電流充電と、500mAで終止電圧が3.0Vの定電流放電とを2回繰り返した後、以下の評価を行った。
(落下試験)
各電池を20個抜き取り、開回路電圧を測定した後、高さ150cmから10回落下させ、再び開回路電圧を測定した。落下前後の開回路電圧の差が20mV以上のものを「電圧異常」と認定した。電圧異常の発生率を表1に示す。
(ガス発生の挙動差の確認)
電池ADおよびBDを各1個抜き取り、これらについて、25℃の雰囲気下で、1500mAで終止電圧が4.2Vの定電流充電を行い、次いで4.2Vで終止電流が100mAの定電圧充電を行った。この電池を図5に示す耐圧容器内に格納して250℃に加熱した。この強制的な条件下でガスが急激に発生する。そして、耐圧容器内の温度および圧力の変化を測定した。
具体的な測定法は以下に示す通りである。すなわち、加熱器8、圧力計9および温度計10を備えたチャンバー7の中に電池6を設置し、加熱器8によって電池6を加温し、250℃に達したところで温度を一定に保持した。250℃という高温に曝されることで電池6の中で発生したガスは、排気弁を通して電池6の外部(すなわちチャンバー7の中)に放出されるのだが、ここで圧力計9および温度計10によって測定されたチャンバー7の中の圧力および温度の変化を、理想気体の状態方程式(PV=nRT、Pは圧力、Vは体積、nは気体分子のモル数、Rは定数、Tは温度)を用いて20℃におけるガスの排気量に換算した。このガスの排気量の積算量を縦軸に取り、経過時間を横軸に取ったものを図6に示す。
(ガス発生時の排気弁の作動確認)
各電池を20個抜き取り、「ガス発生の挙動差の確認」と同じ要領で充電を行った後、この電池を図5に示す耐圧容器内に格納した後で250℃に加熱した。この強制的な条件下でガスが急激に発生するため、ガスがケース外部に放出された後に、耐圧容器内から電池を取り出して電池の外観を検査した。ガスが排気弁を通じて放出されたものを「合格」と認定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005122169
表1から分かるように、電圧異常(内部短絡)の発生が、穿孔板面積比が20%未満になると急激に増加していることがわかる。該当する電池AAおよびBAを分解して解析したところ、落下によって衝撃が加わったことで穿孔板が破損し、電極群と封口板との電気的絶縁が保てなくなっていることが確認できた。
表1には、巻芯部開口面積比及び中芯部開口面積比が示されているが、この巻芯部開口面積比は、前記式(1)によって導出されるR1であり、中芯部開口面積比は、前記式(2)によって導出されるR2である。
中芯部開口面積比R2が45%よりも低くなり、巻芯部開口面積比R1が30%よりも低くなると排気弁作動合格率が低下する。この排気弁作動合格率が低いものは、ガス排出口の真上に位置する第2孔部5bの面積が小さいものであり、合格率低下の原因として、ガスの流路のうち、最も流量が多いと想定される経路が穿孔板によって遮蔽されたためと推測される。この流路が遮蔽される率が少ないほどガスの排出がより効率よく行われることがわかる。
一方、ガス発生時の排気弁の作動確認の結果から、穿孔板面積比が50%を超えると排気弁が正常に作動する合格率が極端に低下していることがわかる。該当する電池AGおよびBGを分解して解析したところ、穿孔板が変形して電極群と排気弁との経路を塞いでいることが確認できた。
電極群A、Bともに穿孔板面積比が50%を超える穿孔板Gを用いたときに合格率が極端に低下しているが、中でも電極群Bを用いた電池BGの合格率が著しく低かった。この理由として、電池ADおよびBDを用いて測定したガス発生の挙動差が影響したものと考えられる。すなわち、電極群Bに採用されているリチウムニッケル複合酸化物は熱分解後のガス発生量が極めて多いので、穿孔板面積比が不適切な穿孔板を用いると、不具合が顕著化すると考えられる。この結果から、電気化学素子として非水電解質二次電池を選択し、かつ正極の活物質としてリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合に、適切な穿孔板を用いることによる効果がより顕著に発揮されることがわかる。
本発明によれば、高温時の安全性に優れ、かつ電気的絶縁が強固な高エネルギー密度の電気化学素子を提供できるので、産業上の利用可能性は高く、その効果も著しい。
本発明の実施形態による電気化学素子の構成の一例を表す概略図である。 封口板で封口する前のケースの開口部の一例を表す概略図である。 前記電気化学素子を部分的に示す縦断面図である。 排気弁側より観察した穿孔板と電極群の巻芯穴および中芯を示す図である。 高温下でのガス発生の挙動を確認する測定法を説明するための概略図である。 正極活物質の違いによる高温下でのガス発生の挙動の差を示す特性図である。
符号の説明
1 封口板
2 穿孔板
3 電極群
4 ケース
5a 孔部
5b 孔部
6 電池
7 チャンバー
8 加熱器
9 圧力計
10 温度計
11 排気弁
12 正極リード
5A 穿孔板
5B 巻芯穴
5C 中芯
5D 突起部

Claims (11)

  1. 正極と負極とがセパレータを介して積層された電極群が、開口部を有するケースに収納され、前記ケースの開口部が封口板によって封口された電気化学素子であって、
    前記ケース内の内圧が所定圧に達した時に作動し、前記ケース内の発生ガスを外部へ開放する排気弁と、
    孔部を有し、前記電極群と前記排気弁との間に設けられた穿孔板と、を備え、
    前記穿孔板は、前記孔部を除く面積が前記開口部の面積に対して20%以上50%以下であり、
    前記孔部として、前記穿孔板の中央に位置する第2の孔部と、前記第2の孔部からずれたところに位置する第1の孔部と、が形成されていることを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記排気弁は前記封口板に設けられている請求項1記載の電気化学素子。
  3. 前記穿孔板は、前記電極群と前記封口板とを電気的に絶縁する機能を有することを特徴とする請求項2記載の電気化学素子。
  4. 前記穿孔板は、前記電極群と前記ケースとを電気的に絶縁する機能を有することを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
  5. 前記穿孔板は、硬質な絶縁材料によって構成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の電気化学素子。
  6. 前記穿孔板は、少なくとも片面に絶縁材料が配置された金属板によって構成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の電気化学素子。
  7. 前記正極の活物質として、リチウムニッケル複合酸化物が用いられていることを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
  8. 前記電極群は捲回構造であることを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
  9. 前記電極群には、発生ガスが通過可能な間隙が設けられており、
    前記排気弁から見たときの前記間隙の面積をS0とし、前記排気弁から見たときの前記間隙が前記穿孔板によって塞がれている面積をS1とすると、(S0−S1)/S0で表される開口面積比が、0.45以上である、ことを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
  10. 前記電極群には、発生ガスが通過可能な内孔を有するガス排出体が設けられており、
    前記排気弁から見たときの前記内孔の面積をS2とし、前記排気弁から見たときの前記内孔が前記穿孔板によって塞がれている面積をS3とすると、(S2−S3)/S2で表される開口面積比が、0.3以上である、ことを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
  11. 前記穿孔板の孔部の周縁には、前記排気弁から見て前記ガス排出体の内孔の一部を塞ぐように突起部が設けられている、ことを特徴とする請求項10記載の電気化学素子。
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