JP5126461B2 - 黒ずみ防止剤及びそれを用いたセメント混和剤 - Google Patents

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Description

本発明は、黒色微粉末を含有する水硬性組成物から得られる硬化体においてその肌面を良好に仕上げるべく添加される黒ずみ防止剤に関する。
近年、産業廃棄物の有効利用の観点から、モルタルやコンクリート用材料として、石炭火力発電の副生物であるフライアッシュ、珪素合金製造の副生物であるシリカフューム、鉄鋼精錬の副生物である高炉スラグ等の使用が増えている。1990年代以降、特に発生量の莫大なフライアッシュは、水硬性組成物の技術開発に伴い、従来の高品質中心のものだけでなく、低品質のものまで使用する試みがなされている。フライアッシュはまた、その低水和熱特性を利用してマスコンクリートなどに使用され、前述の産業副生物の有効活用の観点とあわせて、その利用が注目され、数多くの検討が為されている。
しかしながら、低品質のフライアッシュは多量の未燃カーボン微粉末を含むため、これをコンクリート用の水硬性粉体として使用すると、硬化後のコンクリート表面に該カーボン微粉末が析出分散し、硬化体表面に黒色の色むら(所謂、黒ずみ)が生じて美観を著しく損ねる場合があった。
また、近年、日本国内の骨材事情の悪化により、コンクリート用の骨材として、頁岩由来の砂もしくは砂利、即ち砕砂若しくは砕石(以下、砕砂等という)が広く使用されている。かかる砕砂等は、岩種により亜炭分を多量に含み、これをコンクリート成分に使用すると、従来フライアッシュの使用で生じていたカーボン微粉末による黒ずみと同様にコンクリート硬化体の表面に黒色の色むらが生じ、その美観を著しく損なう場合があるという問題が発生していた。
而して、従来、斯様に様々な理由で発生するモルタルやセメント硬化体の表面の黒ずみの問題に対して、例えば特許文献1に開示された水硬性組成物、又は特許文献2に開示されたリン酸エステルからなる黒ずみ防止用添加剤などが、硬化体表面の美観を改善できるものとしてこれまでに提案されてきた。
一方、リン酸エステルを用いたコンクリート用添加剤としては、特許文献3に開示された起泡剤、特許文献4に開示された分散剤など、これまで様々な添加剤が提案されている。
特開2002−3264号公報 特開2005−213082号公報 特開昭63−156049号公報 特開平1−219050号公報
ところで、コンクリートの製造に於いて作業性及び強度を確保する等の目的でセメント分散剤を用いることが多い。セメント分散剤の種類にはナフタレン系、メラミン系、ポリカルボン酸系などがあり、さらに単に「ポリカルボン酸系セメント分散剤」といってもその種類は多岐に渡る。セメント分散剤の中、特にポリカルボン酸系セメント分散剤は、高い減水性とスランプ保持性を有する有用な混和剤であるとしてとりわけ研究が進められている。
しかしながら、コンクリート製造においてポリカルボン酸系セメント分散剤と前記フライアッシュとを併用した際、他のセメント分散剤を用いた場合と比べて黒ずみが改善されないどころか、黒ずみがより増すという問題が生じる。この理由としては、フライアッシュに含まれる未燃カーボン微粉末が、ポリカルボン酸系セメント分散剤等の薬剤に強く吸
着することが挙げられる。このように、吸着作用を引き起こす未燃カーボン微粉末などが存在する系では、組み合わせる薬剤の種類によってはカーボン微粉末の吸着により、薬剤の効果に影響を与えることとなり、特に、吸着性を有する薬剤(AE剤、公知の黒ずみ防止剤、ポリカルボン酸系セメント分散剤など)を組み合わせると、添加量の増加とともに黒ずみの増加が著しくなる場合がある。
このため、黒ずみの改善のために従来の黒ずみ防止剤を用いた場合であっても、その使用方法や、多岐に渡るポリカルボン酸系セメント分散剤との組み合わせを見誤った場合には、黒ずみが改善されないことがあり、そこで黒ずみ防止剤とこれに適したポリカルボン酸系セメント分散剤との良好な組合せを提供することが望まれる。
本発明は、以上のように、従来から開示されている硬化体表面の美観の改善方法では効果が不充分であった、フライアッシュ等を使用したコンクリートに適する黒ずみ防止法の改良が望まれる状況に鑑み、カーボン微粉末や亜炭等の黒色微粉末を含有する水硬性組成物から得られるコンクリート硬化体の表面美観を良好に仕上げることができる黒ずみ防止剤を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、該黒ずみ防止剤とこれに適したポリカルボン酸系セメント分散剤との良好な組合せを提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決する手段として、特定のリン酸エステル及び/又はその塩(以下、両者を合わせて、単にリン酸エステルという)と特定のポリアルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物(以下、両者を合わせて、単にポリアルキレングリコール系化合物という)との組合せからなる黒ずみ防止剤が、コンクリート硬化体表面の美観の改善に優れた効果を発現することを見出した。
またこの黒ずみ防止剤と特定のポリカルボン酸系セメント分散剤との組合せからなるセメント混和剤において優れた黒ずみ防止効果を発現することをも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される基を有するリン酸エステルと下記一
般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物とを必須成分とする水硬性組成物用黒ずみ防止剤に関する。
―O―(AO)― (1)
(式中、Rは炭素数8以上の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは平均付加モル数を示し、1〜100の数を表す。)
―O―(AO)―H (2)
(式中、Rは水素または炭素数以下の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは平均付加モル数を示し、1〜100の数を表す。)
また、本発明は、上記本発明の黒ずみ防止剤と、ポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤との組合せよりなるセメント混和剤に関する。
本発明の黒ずみ防止剤を使用することにより、黒色微粉末を含有するフライアッシュや砕砂等を水硬性組成物用材料として用いた場合においても、表面に黒ずみの発生の少ない水硬性組成物の硬化体を得ることができる。
また、本発明のセメント混和剤を使用することにより、上記フライアッシュ等を水硬性組成物用材料として用いた場合においても、コンクリート製造における減水性及びコンクリート強度等の性能を十分に達成すると同時に、得られた硬化体における表面の黒ずみの
発生を防止することができる。
したがって、本発明により、コンクリート製品の表面補修を行う工程を簡略化せしめることができる。
本発明は、リン酸エステルおよびポリアルキレングリコール系化合物からなる黒ずみ防止剤、並びにかかる黒ずみ防止剤とポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤との組合せよりなるセメント混和剤に関するものであり、これら黒ずみ防止剤又はセメント混和剤を水硬性組成物に添加することで、表面に黒ずみの発生が少ない水硬性組成物の硬化体を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
<リン酸エステル>
本発明において、リン酸とは、原料リン化合物が水和してできる酸の総称であり、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸等が含まれる。本発明に使用されるリン酸エステルはこれらリン酸に由来するものである。
本発明に用いるリン酸エステルは、公知公用のリン酸エステルの製造方法により得られる。その方法としては、例えばポリアルキレングリコールに五酸化二リンを添加してリン酸エステルを製造する方法、ポリアルキレングリコールにオキシ塩化リンを添加しリン酸エステルを製造する方法、ポリアルキレングリコールにポリリン酸を添加しリン酸エステルを製造する方法などが挙げられる。リン酸エステルの内、リン酸モノエステル体及びリン酸ジエステル体の比率を調整する場合には、ポリアルキレングリコールと五酸化二リン、オキシ塩化リン又はポリリン酸の仕込みモル比率を調整して製造後に水を添加する方法、あるいはポリアルキレングリコールと計算された量の水を予め仕込み、五酸化二リン、オキシ塩化リン又はポリリン酸を添加するなどの調整方法が挙げられる。
本発明におけるリン酸エステルは、リン原子に結合する下記一般式(1)で表される基を有する。
1−O−(AO)n− (1)
〔式中、R1はヘテロ原子を有していても良い炭素数8以上の炭化水素基、AOは炭素数
2〜4のオキシアルキレン基、nは平均付加モル数であり1〜100の数を示す。〕
前記一般式(1)中のR1としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基及びアリ
ール基を有する炭化水素基から選ばれる基が好ましい。R1における炭素数は、黒ずみ成
分の分散にとっては、大きいほど好ましいが、あまり大きいと疎水性が過剰となり、水硬性組成物の空気連行性や、水硬性組成物に含有される消泡剤の機能を阻害するようになるので、好ましい範囲として上限がある。アルキル基とアルケニル基についての上限は炭素数22が好ましく、アリール基についての上限は炭素数35が好ましい。即ち、R1は、
炭素数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル基、炭素数10〜35のアリール基であることが好ましい。
また、R1がアルキル基及びアルケニル基の場合、R1の炭素数は12〜22がより好ましく、12〜18がさらに好ましい。さらに、R1がアリール基の場合、R1の炭素数は12〜35がより好ましく、12〜27がさらに好ましい。
一般式(1)中のAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。また一般式(1)中のnは1〜100であり、好ましくは1〜50である。
本発明に用いるリン酸エステルの形態としては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルが挙げられる。ポリアルキレングリコール若しくはポリアルキレ
ングリコールモノアルキルエーテルと併用する本発明の形態では、これらリン酸エステルのうち、リン酸モノエステル体の割合を抑え、リン酸ジエステル体等の割合を多くした方が、コンクリート硬化阻害が少なく、また、黒ずみ防止効果が高い。したがって、リン酸モノエステル体とリン酸ジエステル体の割合が質量比で50:50〜5:95であることが好ましい。また、リン酸エステルを調製する観点からは、リン酸モノエステル体とリン酸ジエステル体の割合が質量比50:50〜30:70であることが好ましい。その他のリン酸トリエステル体、未反応ポリアルキレングリコール、原料リン化合物の水和生成物が生成物全体質量のうち15質量%以下に抑えることが黒ずみ防止効果に優れるため好ましい。
<ポリアルキレングリコール系化合物>
本発明に用いるポリアルキレングリコール系化合物は、下記一般式(2)で表される化合物である。
―O―(AO)―H (2)
〔式中、Rは水素またはヘテロ原子を有していても良い炭素数以下の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは平均付加モル数であり1〜100の数を示す。〕
前記一般式(2)に示されるポリアルキレングリコール系化合物において、Rは水素、アルキル基及びアルケニル基からなる群から選ばれる基が好ましい。Rが炭化水素基である場合には炭素数以下の、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、Rが水素である場合には前記一般式(2)中のAOをプロピンレンオキサイド又はブチレンオキサイドから選ばれたものを質量で10%以上とすることが好ましい。
前記一般式(2)に示されるAOはエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基及びブチレンオキサイド基より選ばれる群より選択されることが好ましく、mは1〜100の数を表すものが好ましい。
<混合比及び混合方法>
本発明において、前記リン酸エステルと前記ポリアルキレングリコール系化合物の好ましい配合比率は質量比で20:80〜80:20が好ましく、40:60〜80:20がより好ましい。この範囲を超えると黒ずみ防止効果に劣り、界面活性作用が増加し空気量調整も難しくなる。
また、本発明において、前記リン酸エステルと前記ポリアルキレングリコール系化合物は先に定義された範囲の化合物同士であればその組み合わせに特に制限はないが、前記リン酸エステルのR1がアリール基又はアリール基を有する炭化水素基である場合、ポリア
ルキレングリコール系化合物においてR2の炭素数が少ない炭化水素基であるものを組み
合わせることが、黒ずみ防止効果の点からより好ましい。
本発明では、黒ずみ抑制効果をより安定に発現させ、水硬性組成物中の気泡及び水硬性組成物の硬化強度を安定化する観点から、リン酸エステルとポリアルキレングリコール系化合物からなる黒ずみ防止剤を、水硬性組成物中の水硬性物質に対して、好ましくは0.01〜2質量%、更に好ましくは0.02〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%の比率で用いることが望ましい。
本発明では、リン酸エステルおよびポリアルキレングリコール系化合物を予め混合するか、あるいはこれら2剤にさらに水を混合するか、あるいはこれら2剤に適当な中和剤を含む水を混合して黒ずみ防止剤と為し、該黒ずみ防止剤を水硬性組成物各材料を水と混合する工程の練り混ぜ水と混合して使用してもよいし、あるいは2剤をぞれぞれ単独で他の
材料及び水と混合してもよい。
2剤を単独で混合する場合、添加のタイミングは他の材料及び水との混合と同時、途中、終了前の何れでもよいが、確実な黒ずみ抑制効果を得る観点から、予め水と混合して用いた方が好ましい。
また前記の黒ずみ防止剤の形態として添加する場合、添加のタイミングは、練り混ぜ水への投入、混合と同時、途中、終了前の何れでもよいが、この場合も、確実な黒ずみ抑制効果を得る観点から、練り混ぜ水への投入又は混合と同時に添加した方が好ましく、混合水への投入することがさらに好ましい。
水硬性組成物の材料としてセメント分散剤を使用する場合は、水硬性組成物の生産性の観点から、予めセメント分散剤と本発明の黒ずみ防止剤とを混合しておくことが望ましい。
<セメント分散剤>
また本発明は、前記の水硬性組成物用黒ずみ防止剤と、ポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤との組み合わせによりなるセメント混和剤に関する。
前記ポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基とは、例えばポリアルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミンのアルキレンオキシド付加物、ポリアマイドポリアミン、ポリアマイドポリアミンのアルキレンオキサイド付加物などに由来する基を示し、これらをセメント分散剤としての重合体成分として含んでいるもの、あるいは重合体以外の成分として含んでいるものいずれであっても良い。その一例としては特許第3235002号公報、特許第3336456号公報、特開2004−210589号、特開2004−210587号などのセメント分散剤が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンをより具体的に例示すればエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、高分子ポリアルキレンポリアミン(東ソー(株)製 商品名:ポリエイト)等や、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンの如き不飽和アミンの重合体が挙げられる。更にポリアルキレンポリアミンは、エチレンイミン、プロピレンイミン、3−メチルプロピルイミン、2−エチルプロピルイミン等の環状イミン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルフタルイミド等の不飽和アミド、不飽和イミドと共重合可能な不飽和化合物との共重合体であってもよい。環状イミン、不飽和アミド、不飽和イミドと共重合可能な不飽和化合物としては、例えばジメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸やこれらの塩、エチレンスルフィドやプロピレンスルフィド等の環状スルフィド化合物、オキセタン、モノ又はビスアルキルオキセタン、モノ又はビスアルキルクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、モノ又はビスアルキルテトラフロロフラン等の環状エーテル類、1,2−ジオキソフラン、トリオキソフラン等の環状ホルマール類、N−メチルエチレンイミン等のN置換アルキルイミン等が挙げられる。
またポリアルキレンポリアミンのアルキレンオキシド付加物とは、例えば、ポリアルキレンポリアミンの少なくとも2分子とアルキレンオキサイドの少なくとも1分子が共重合した化合物である。このポリアルキレンポリアミン共重合体を構成する少なくとも2分子のポリアルキレンポリアミンは、同一の化合物でも異なる化合物であっても良い。このアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらは混合して用いることができる。上記アルキレンオキサイドのうち、エチレンオキサイドが好ましい。ポリアルキレンポリアミン共重合体は、ポリ
アルキレンポリアミン2分子あたり2分子以上のアルキレンオキサイドが共重合している場合、アルキレンオキサイドは相互に付加重合したポリオキシアルキレン鎖を形成しても良い。アルキレンオキサイドは1種のみを用いても2種以上を用いても良く、2種以上のアルキレンオキサイドを用いてポリオキシアルキレン鎖が形成される場合、該ポリオキシアルキレン鎖を構成する2種以上のアルキレンオキサイドはブロック状に重合していてもランダムに重合していても良い。またポリアルキレンポリアミン共重合体1分子中に、2以上のポリオキシアルキレン鎖が存在する場合、各ポリオキシアルキレン鎖は同じであっても異なっていても良い。
ポリアマイドポリアミンとしては例えば上記ポリアルキレンポリアミンと二塩基酸、二塩基酸無水物、二塩基酸エステル、二塩基酸ジハライドなどがアミド結合を介し縮重合された化合物が挙げられる。二塩基酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の総炭素数が2〜10の脂肪族飽和二塩基酸が挙げられ、二塩基酸無水物としてはこれら二塩基酸の無水物が挙げられる。二塩基酸エステルとしては、例えば上記二塩基酸のモノメチルエステル、モノエチルエステル、モノブチルエステル、モノプロピルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられ、二塩基酸ジハライドとしては前記二塩基酸の二塩化物、二臭素化物、二ヨウ化物等が挙げられる。
ポリアルキレンオキサイドを付加したポリアマイドポリアミンとは上記ポリアマイドポリアミン1分子中のアミノ基、イミノ基、アミド基に対しアルキレンオキサイドを付加せしめた化合物を示す。このアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらは単独もしくは混合して用いることができ、2種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合にはブロック状に重合していてもランダムに重合していても良い。
上記ポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤を添加する量はセメントの配合条件で異なり、また前記黒ずみ防止剤との配合比率もフライアッシュ等の黒ずみ成分の含有量によって異なる為、適宜決めればよいが、セメント分散剤の添加量を挙げるとすれば、水硬性組成物の質量に対し0.1〜5質量%程度添加されることが好ましい。
<黒ずみ防止メカニズムの推察>
一般にコンクリート肌面に起こる黒い斑点や全体の黒ずみは、セメントや骨材、混和材等に含有される強熱減量物質や炭化物質、カーボン等の黒色微粉が、流動性の高い自己充填コンクリート等で、特に振動を加えた場合に表面に移動することで発生すると考えられる。本発明の黒ずみ防止剤又はセメント混和剤がコンクリート肌面の黒ずみの発生を抑制できる理由の詳細は不明であるが、特定のリン酸エステルと特定のポリアルキレングリコール系化合物がコンクリート内に適量存在することで、かかる黒色微粉末に対する吸着分散が向上することによるものと考えられ、更にはポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤との併用により、リン酸エステルと、ポリアルキレンポリアミン基あるいはポリアマイドポリアミン基との相互作用による水硬性組成物への定着が増し、黒ずみ防止効果を顕著に発揮しているものと推定される。また空気量の調整が難しいシリカフューム混合系に於いても、安定した空気量の供給と起泡径がコントロールされた結果、表面美観の改善につながったものと思われる。
<黒色微粉末>
黒色微粉末を含有する粉体としては、フライアッシュ(石炭灰)、鉄鋼スラグ、銅スラグ、シリカフューム、石粉、炭酸カルシウム、木炭その他カーボン粉末類またはこれらとのセメントブレンド物であるフライアッシュセメント、高炉セメント、シリカフュームセ
メント等が挙げられる。黒色微粉末を有する骨材としては亜炭含有頁岩を原料とする砕砂、砕石の他に溶融スラグ砂、フェロニッケルスラグ砂等が挙げられる。本発明の黒ずみ防止剤が対象とする水硬性組成物は、セメント類を主成分とするセメントペースト、モルタル、コンクリート等であるが、作業量の低減効果等の観点から、コンクリートを対象としたときに効果が大きい。水硬性物質の具体例としては、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカフュームセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、天然石膏、副成石膏等が挙げられる。また、本発明が対象とする水硬性組成物は黒色微粉末をほとんど含有しない骨材も含有してよい。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石および硬質砂岩が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。
<その他のコンクリート混和剤>
本発明の黒ずみ防止剤又はセメント混和剤とともに使用されるその他のコンクリート混和剤としては、グルコン酸ナトリウム等のオキシカルボン酸もしくはその塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸もしくはそのエステルもしくはその塩、精製リグニンスルホン酸もしくはその塩、ポリスチレンスルホン酸塩、フェノール骨格を有するセメント分散剤(例えば、フェノールスルホン酸と共重合可能な他の単量体とのホルムアルデヒド共縮合物)、アニリンスルホン酸を主成分とするセメント分散剤(例えば、アニリンスルホン酸と共縮合可能な他の単量体とのホルムアルデヒド共縮合物)などが挙げられる。
また他のコンクリート混和剤としては、AE剤、フライアッシュ用AE剤、流動化剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、保水剤、増粘剤、防水剤、消泡剤、収縮低減剤など公知の混和剤が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
<実施例1〜7及び比較例1〜3>
(1)コンクリートの調製方法
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)31.5kg、高炉スラグ微粉末15.75kg(日鐵セメント(株)製)、シリカフューム5.25kg(JIS A
6207 強熱減量2.6%)、砕砂(甲州産)40.6kg、安山岩(甲州産)65.
2kg、水10.5kgを用い、強制二軸ミキサにて目標スランプフロー 50−60cmとなるようにコンクリートを調製した。これに、以下の表1に記載の種類および添加量にてリン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびセメント分散剤を練り混ぜ水に混ぜ、試験用コンクリートとした。なお、表中のリン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびセメント分散剤の添加量は固形分を基準とした実際の添加数量を記載した。
(2)コンクリートの黒ずみ評価
予め油性剥離剤を塗布した型枠(縦35cm×横45cm×高30cm)に上記試験用コンクリートの打設を行い、棒バイブレータ(振動数200−250Hz)を用いて充分に締固を行った後、20℃恒温室内にて1日養生を行った。翌日、試験用コンクリートの脱型を行い、コンクリート表面の黒ずみ部分を目視で判定した。目視判断は同じ材料を使用しスランプフローが50−60cmになるように水の量を加え調製した比較用硬化コンクリート(リン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびセメント分散剤を含まず)と比較として判断した。
(3)黒ずみ評価結果
ジエステル体の割合が多いリン酸エステル(ジエステル体の割合:53〜80%)とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルよりなる黒ずみ防止剤と、更にポリアマイドポリアミン基を有するセメント分散剤との組合せた実施例1〜6は良好な黒ずみ防止効果を得ることができた。
またアリール基を有するリン酸エステル(ジエステル体の割合:59%)と炭素数の多い炭素基(炭素数4)をエーテル部位に有するポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを用いた実施例7においても黒ずみ防止効果が得られたが、上記リン酸エステルと炭素数の少ない炭素基(炭素数1)をエーテル部位に有するポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いた実施例4と比べるとわずかに黒ずみ及び色むらが残る結果となった。
さらに、モノエステル体の割合が多いリン酸エステル(モノ体の割合:67%)を用いた実施例8においても、比較用コンクリートと比べると良好な黒ずみ防止効果が得られたが、ジエステル体の割合が多いリン酸エステルを用いた実施例1〜7と比べると黒ずみ及び色むらが生ずる結果となった。
一方で、リン酸エステルを単独で、あるいはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを単独でセメント分散剤と組合せた比較例1〜3、並びにポリアマイドポリアミン基を有するセメント分散剤を単独で使用した比較例4の場合は、比較用コンクリートと同程度の黒ずみの悪化がみられた。
Figure 0005126461
本試験で使用したリン酸エステルを以下の表2に示す。ここで、リン酸エステルのモノ体、ジ体の量の比率は、一般的な第一等量酸価、第二等量酸価、第三等量酸価を電位差滴定で測定し、計算分子量から算出する方法で求めた。例えば特公昭57−61358号にその計算方法が記載されている。
Figure 0005126461
本試験で使用したポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを以下の表3に示す。
Figure 0005126461
本試験で使用したセメント分散剤を以下の表4に示す。なお、ポリアマイドポリアミン基を有するセメント分散剤(ポリアミド系分散剤)は、特許第3235002号公報、特許第3336456号公報、特開2004−210589号、特開2004−210587号などに記載された製法に基づき製造した。
Figure 0005126461
なお、表中の分散剤構成成分の記載において、括弧内の数字は各単量体成分の内訳を示している。
例えば(D1)はジエチレントリアミンの10モルとアジピン酸の9モルとメタクリル酸1モルよりなる縮合物を形成し、その後エチレンオキサイドを残アミノ基1モルに対し2モル付加して単量体とし、この単量体と、メタクリル酸と、23モルのエチレンオキサイドを付加したメタアクリル酸メチルエステル単量体とを質量比で15:20:65の割合で共重合し、水酸化ナトリウムで中和することによって得られた共重合体を表す。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される基を有するリン酸エステル及び/又はその塩と下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物とを必須成分とする水硬性組成物用黒ずみ防止剤。
    ―O―(AO)― (1)
    (式中、Rは炭素数8以上の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは平均付加モル数を示し、1〜100の数を表す。)
    ―O―(AO)―H (2)
    (式中、Rは水素または炭素数以下の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは平均付加モル数を示し、1〜100の数を表す。)
  2. 前記リン酸エステル及び/又はその塩において、リン酸モノエステル体とリン酸ジエステル体の割合が質量比で50%:50%〜5%:95%である、請求項1に記載の水硬性組成物用黒ずみ防止剤。
  3. 請求項1または2記載の水硬性組成物用黒ずみ防止剤とポリアルキレンポリアミン基又はポリアマイドポリアミン基を有するポリカルボン酸系セメント分散剤との組合せよりなるセメント混和剤。
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