JP5126745B2 - 抗ウイルス剤及び抗ウイルス性シート - Google Patents

抗ウイルス剤及び抗ウイルス性シート Download PDF

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本発明は、抗ウイルス剤、及びそれを担持する抗ウイルス性製品、特にはエアフィルタ(ビル、車両、工場、病院、飛行機等で使用される)、マスク、衣類など、人体に悪影響を及ぼす恐れのあるインフルエンザウイルスが付着するシート状物品などに好適に用いられる、ウイルスの活性抑制効果に優れたシートに関する。
現在、鳥インフルエンザによる脅威は地球規模で猛威をふるい、日本本土にも既に上陸している。一方、人間環境を取り巻く生活空間は空気質改善のため人口の集中する一般ビルから病院、学校などの大型建造物や家庭の住居に至るまで多くの種類のエアフィルタが使用されている。しかし通常のエアフィルタは粉じんや有害ガスとともに菌、黴、ウイルスなどの微生物も捕集するが使用中やフィルタ交換時に塵埃とともに微生物の飛散が考えられ安全性が充分とはいえないのが現状である。
そこで、微生物の活性を抑制するため、銀、銅、カテキン等の植物抽出物、天然鉱物、酵素などを担持したフィルタが利用されている。しかしそれらは特殊な原料と製法が必要であるため高価で、まだ広く普及しているとはいえない。
また、SARS等の一般消毒薬としてはアルコール系、ヨウ素系、塩素系消毒剤等が推奨されているが、エアフィルタなどへの応用には安全性に懸念があった。
特許文献1に開示されるように、菌や黴に対して特定の殺菌効果を有する物質に、殺菌効果増進剤として界面活性剤が使用されることが知られているが、特許文献1には界面活性剤それ自体がウイルスに対して不活性作用があることは記載されておらず、エアフィルタ(ビル、車両、工場、病院、飛行機等で使用される)、マスク、衣類などに適用することについても記載されていない。
また、特許文献2には「架橋構造を有し、且つ分子中にカルボキシル基を有する繊維中に、ウイルスに対して不活化効果を有し、且つ水に難溶性の金属および/または金属化合物の微粒子が分散していることを特徴とする抗ウイルス性繊維。」が記載されている。しかし、この繊維は繊維を構成する樹脂中に金属又は金属化合物の微粒子を混入させる必要があり、繊維の種類や繊維の紡糸性に制約があり、細繊維の紡糸が困難であったり、多種類の繊維を小ロットで紡糸するとコストが嵩んだりするという問題があった。また、繊維の表面のみがウイルスに対して不活化効果を発揮するため、表面以外の繊維中の金属微粒子が無駄になり、金属粒子の利用効率が悪いという問題や、金属粒子による繊維物性が低下するという問題があった。
更に、界面活性剤を有効成分とする種々の抗ウイルス剤が公知である。例えば、特許文献3には、非イオン性界面活性剤(例えば、Tween)を用いる脂質エンベロープウイルスの不活化方法が、特許文献4には、タンパク質変性剤である界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)を有効成分とするウイルス不活化剤が、それぞれ開示されている。
特表2007−520432号公報 国際公開第2005/083171号パンフレット 特開平10−234362号公報 特開2005−095112号公報
このような状況下、本発明者は、安全性に優れており、且つ、それを利用する製品の製造に容易に適用可能な抗ウイルス剤を鋭意探索したところ、特定の陰イオン界面活性剤が抗ウイルス作用を有することを新たに見出し、更には、非常に簡単な処理により繊維シートに担持可能であることも見出した。
従って、本発明の課題は、安全性に優れており、且つ、それを利用する製品の製造に容易に適用可能な抗ウイルス剤を提供することにある。
前記課題は、本発明による、
(a)一般式RCHCOOH(式中、Rは、炭素数7〜20の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基である)で表される高級脂肪酸、そのスルホン酸又は硫酸エステルの金属塩、
(b)一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子が水酸基で置換されることのある飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、少なくとも一方が不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21であり、Mは、金属塩を形成することのできる金属である)で表される高級脂肪酸エステルの硫酸エステルの金属塩、
(c)一般式:
Figure 0005126745
(式中、Rは、炭素数8〜21の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Mは前記と同じ意味である)で表される多価アルコール脂肪酸の部分エステルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、又は一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びMは、前記と同じ意味である)で表される多価アルコール脂肪酸の部分エステルの燐酸エステルのアルカリ金属塩、
(d)一般式RC(=O)OCHSOM(式中、Rは、炭素数8〜21の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Mは、前記と同じ意味である)で表される高級脂肪酸エステルのスルホン酸の金属塩、及び
(e)一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びRは、それぞれ、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21であり、Mは、前記と同じ意味である)で表される化合物の金属塩、又は一般式:
Figure 0005126745
(式中、R、R、及びR10は、それぞれ、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数とR10の炭素数の合計炭素数は12〜32であり、Mは、前記と同じ意味である)で表される化合物の金属塩
からなる群から選んだ陰イオン界面活性剤を有効成分として含有することを特徴とする、抗ウイルス剤により解決することができる。
本発明の抗ウイルス剤の好ましい態様によれば、陰イオン界面活性剤が、オレイン酸アルカリ金属塩又はジオクチルスルホコハク酸アルカリ金属塩である。
また、本発明の抗ウイルス剤の別の好ましい態様によれば、ウイルスがインフルエンザウイルスである。
また、本発明は、通気性シートに、前記陰イオン界面活性剤を0.1〜10質量%担持させたことを特徴とする、抗ウイルス性シートに関する。
本発明の抗ウイルス性シートの好ましい態様によれば、通気性シートが、エアフィルタ用濾材、マスク基材、又は医療用基材である。
本発明の有効成分である陰イオン界面活性剤は、安全性に優れており、且つ、それを利用する製品の製造に容易に適用可能である。本発明によれば、エアフィルタ(ビル、車両、工場、病院、飛行機等で使用される)、マスク、衣類など、人体に悪影響を及ぼす恐れのあるインフルエンザウイルスが付着するシート状物品などに好適に用いられる、ウイルスの活性抑制効果に優れたシートを提供することができる。また、通気性のシートの種類や繊維の太さにも制約を受けず、多種類のシートや繊維を適用可能でありコストを低く抑えることが可能である。
1.本発明の抗ウイルス剤
本発明の抗ウイルス剤では、有効成分として、
(a)一般式RCHCOOH(式中、Rは、炭素数7〜20の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基である)で表される高級脂肪酸、そのスルホン酸又は硫酸エステルの金属塩、
(b)一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子が水酸基で置換されることのある飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、少なくとも一方が不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21であり、Mは、金属塩を形成することのできる金属である)で表される高級脂肪酸エステルの硫酸エステルの金属塩、
(c)一般式:
Figure 0005126745
(式中、Rは、炭素数8〜21の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Mは前記と同じ意味である)で表される多価アルコール脂肪酸の部分エステルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、又は一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びMは、前記と同じ意味である)で表される多価アルコール脂肪酸の部分エステルの燐酸エステルのアルカリ金属塩、
(d)一般式RC(=O)OCHSOM(式中、Rは、炭素数8〜21の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Mは前記と同じ意味である)で表される高級脂肪酸エステルのスルホン酸の金属塩、及び
(e)一般式:
Figure 0005126745
(式中、R及びRは、それぞれ、飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21であり、Mは、前記と同じ意味である)で表される化合物の金属塩、又は一般式:
Figure 0005126745
(式中、R、R、及びR10は、それぞれ、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数とR10の炭素数の合計炭素数は12〜32であり、Mは、前記と同じ意味である)で表される化合物の金属塩
からなる群から選んだ陰イオン界面活性剤を使用する。
本明細書において、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基には、分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基が含まれる。また、金属塩としては、陰イオン界面活性剤の抗ウイルス活性を有する限り、特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)を挙げることができる。本明細書において、金属塩を表す各一般式中で使用する記号Mは、特に断らない限り、前記金属塩を形成することのできる金属を意味する。Mとしては、例えば、アルカリ金属、例えば、ナトリウム、カリウムを挙げることができる。
前記陰イオン界面活性剤(a)には、一般式RCHCOOMで表される高級脂肪酸の金属塩、一般式:
Figure 0005126745
で表される高級脂肪酸のスルホン酸の金属塩、一般式:
Figure 0005126745
[式中、R11及びR12は、それぞれ、飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、R11の炭素数とR12の炭素数の合計炭素数は7〜20(好ましくは11〜17)である]で表される高級脂肪酸の硫酸エステルの金属塩が含まれる。
陰イオン界面活性剤(a)における基Rは、炭素数7〜20(好ましくは11〜17)の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、具体的に飽和又は不飽和の高級脂肪酸のアルカリ金属塩として表すと、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、パルミトレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸のアルカリ金属塩を挙げることができ、より好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸のアルカリ金属塩を挙げることができ、オレイン酸アルカリ金属塩が更に好ましく、オレイン酸カリウム塩が特に好ましい。
前記陰イオン界面活性剤(b)における基R及びRは、それぞれ、非置換の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、水素原子1又は複数個(好ましくは1個)が水酸基で置換された飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、少なくとも一方が非置換又は置換された不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21(好ましくは18〜21)である。Rの炭素数は好ましくは7〜17(より好ましくは15〜17)であり、Rの炭素数は好ましくは1〜4である。陰イオン界面活性剤(b)を具体的に不飽和の高級脂肪酸エステルの硫酸エステルのアルカリ金属塩として表すと、例えば、オレイン酸メチル、オレイン酸ブチル、リシノレイン酸メチル、リシノレイン酸ブチルの硫酸エステルのアルカリ金属塩を挙げることができ、硫酸エステルナトリウム塩が更に好ましい。
前記陰イオン界面活性剤(c)における基Rは、炭素数8〜21(好ましくは12〜18)の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、具体的に多価アルコール脂肪酸の部分エステルの硫酸又は燐酸エステルのアルカリ金属塩として表すと、例えば、ラウリン酸モノグリセリル硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセリル硫酸エステル、マルガリン酸モノグリセリル硫酸エステルのアルカリ金属塩を挙げることができ、硫酸エステルナトリウム塩が更に好ましい。
前記陰イオン界面活性剤(d)における基Rは、炭素数8〜21(好ましくは12〜18)の飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、具体的に飽和又は不飽和の高級脂肪酸エステルのスルホン酸のアルカリ金属塩として表すと、例えば、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、アラキン酸エステル、パルミトレン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレイン酸エステル等の高級脂肪酸エステルのスルホン酸のアルカリ金属塩を挙げることができ、より好ましくは、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル等の高級脂肪酸エステルのスルホン酸のアルカリ金属塩を挙げることができ、スルホン酸ナトリウム塩が更に好ましい。
前記陰イオン界面活性剤(e)における基R及びRは、それぞれ、飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計炭素数は8〜21(好ましくは10〜20)である。Rの炭素数は、好ましくは5〜8、Rの炭素数は、好ましくは5〜8である。陰イオン界面活性剤(e)を具体的にスルホコハク酸のアルカリ金属塩として表すと、例えば、ジブチルスルホコハク酸、ジアミルスルホコハク酸、ジヘキシルスルホコハク酸、ジオクチルスルホコハク酸のアルカリ金属塩を挙げることができ、ジオクチルスルホコハク酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩が特に好ましい。
また、スルホコハク酸のアルカリ金属塩に類似の構造を有する、一般式:
Figure 0005126745
で表されるスルホトリカルバリル酸トリヘキシルエステルのナトリウム塩も適用可能である。式中、R、R、及びR10は、それぞれ、飽和又は不飽和の分枝状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数とR10の炭素数の合計炭素数は12〜32(好ましくは15〜30)である。R、R、R10の各炭素数は、好ましくは5〜8である。
本発明の抗ウイルス剤は、有効成分として、前記陰イオン界面活性剤(a)〜(e)の少なくとも1つを、単独で、あるいは、組み合わせて使用することができる。
前記有効成分の含有量は、ウイルスの種類や適用方法などにより変動するが、例えば、後述する実施例に記載の接触試験方法に基づいて予備試験を行うことにより、適宜、好適量を決定することができる。
本発明の抗ウイルス剤は、種々の形態により利用することができ、例えば、ウイルスと接触する可能性のある製品に担持させることにより、利用することができる。本発明の抗ウイルス剤を担持させることのできる製品としては、例えば、通気性シート、医療用器具、壁材等の内装材、あるいは、衣服等を挙げることができる。
本発明の抗ウイルス剤を適用可能なウイルスとしては、ウイルス粒子にエンベロープを有するウイルス、例えば、トリ、ヒト、ブタ、ウマなどの宿主に由来するインフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス、日本脳炎ウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなどを挙げることができる。
2.本発明の抗ウイルス性シート
本発明で用いる通気性シートとしては、通気性を有する限り、特に限定されず、例えば、不織布、織編み物、多孔膜などが適用可能である。
前記不織布としては、例えば、バインダ接着不織布、水流絡合不織布、ニードルパンチ不織布、繊維融着不織布、スパンボンド不織布、あるいは紙などを単独で、又は適宜組み合わせた不織布を適用することができる。また、前記メルトブロー不織布の繊維径は10μm以下であることが好ましい。
また、不織布の材質は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維及び合成パルプなどの合成繊維に限らず、レーヨンなどの半合成繊維、綿及びパルプ繊維などの天然繊維、あるいはガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維などを単独で、又は適宜組み合わせて適用することができる。
本発明の抗ウイルス性シートは、前記陰イオン界面活性剤(a)〜(e)を、通気性シート質量に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%、更に好ましくは0.7〜3質量%の量で、担持させる。これらの範囲よりも少ない場合は、陰イオン界面活性剤が通気性シートに均一に付着しない場合があり、これらの範囲よりも多い場合は、通気性が低下したり、湿潤性が過大となり、べとつきが生じる場合がある。
通気性シート方法への担持方法は、特に限定されるものではないが、例えば、陰イオン界面活性剤の水溶液を調製し、通気性シートに対して、前記水溶液を塗布、噴霧するか、あるいは、前記水溶液に浸漬した後、乾燥させることにより、本発明の抗ウイルス性シートを製造することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:抗ウイルスエアフィルタの調製》
本実施例では、メルトブロー法により形成された平均繊維径が3μmのポリプロピレン繊維15質量%と、熱接着性繊維として平均繊維径が30μmの芯鞘型の複合繊維(芯の樹脂成分はポリプロピレン樹脂、鞘の樹脂成分はポリエチレン樹脂)85質量%とが混合しており、且つ前記熱接着性繊維で構成繊維が結合している中高性能エアフィルタ濾材を用いて、本発明のエアフィルタ濾材を調製した。薬剤処理前の前記エアフィルタ濾材は、質量130g/m、厚さ1.2mm、圧力損失120Pa(通過風速10cm/sの時)であった。
本発明のエアフィルタ濾材用の薬剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム[ROCOCH(ROCOCH)SONa;Rの炭素数は7]及びオレイン酸カリウム(RCOOK;Rの炭素数は17)を使用した。また、比較用のエアフィルタ濾材用の薬剤としては、アルカンスルホン酸ナトリウム[RSONa;Rの炭素数は14〜18]を使用した。
エアフィルタ濾材を、各薬剤を含有する水溶液(薬剤濃度=0.3%)に1分間浸漬した後、マングルロールで絞り、熱風加熱(120℃)により乾燥した。薬剤付着量は、濾材に対して1質量%とした。
《実施例2:ウイルス接触試験》
試験ウイルスとしては、鳥インフルエンザ[A/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)
]を使用した。
ウイルスを、滅菌したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2.0×10EID50/0.1mLに希釈してウイルス液を調製した。プラスチックシャーレ内の試験濾材(5cm×5cm)に、前記ウイルス液0.5mLを載せ、その上をストマッカー用ポリ袋(4cm×4cm)で覆った。室温暗所で10分間静置し、試験濾材にウイルスを接触させた。抗生物質添加PBS10mLを用いて試験濾材からウイルスを洗い出した。得られたウイルス洗い出し液を、抗生物質添加PBSで10倍段階希釈した後、10日齢発育鶏卵の漿尿膜腔内に0.1mLずつ接種した。発育鶏卵を37℃で2日間培養した後、赤血球凝集(HA)試験により漿尿膜腔でのウイルス増殖の有無を確認し、ウイルス洗い出し液中の、すなわち、試験濾材に接触しても不活性化されなかったウイルス感染価(ウイルス力価)をReed−Muenchの方法により算出した。
本発明のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(以下、薬剤Aと称する)担持濾材、オレイン酸カリウム(薬剤B)担持濾材の結果を、それぞれ、表1及び表2に、比較用のアルカンスルホン酸ナトリウム(薬剤C)担持濾材の結果を表3に、陰性対照の非処理濾材の結果を表4に、それぞれ示す。表1〜表4において、希釈倍率欄の各数値は、希釈倍率のべき乗数値を示し、例えば、「−3」は、ウイルス洗い出し液を10希釈したことを示す。また、記号a〜cは、異なる3個の鶏卵の結果を示し、「+」はウイルスが増殖したこと(陽性)を、「−」はウイルスが増殖しなかったこと(陰性)を示す。
Figure 0005126745
Figure 0005126745
Figure 0005126745
Figure 0005126745
表1〜表4の試験結果から、各試験濾材の感染価(log10EID50/0.1mL)を下記式(1):
[感染価]=−A−{(B−50)/(B−C)} (1)
[式中、Aは、累積陽性率が50%を上回る希釈倍率であり、Bは、Aにおける累積陽性率であり、Cは、累積陽性率が50%を下回る希釈倍率における初正規陽性率である]
により算出し、その結果を表5に示す。
Figure 0005126745
表5に示すように、薬剤A(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)又は薬剤B(オレイン酸カリウム)を担持した本発明の濾材では、ウイルス抑制効果が認められたが、比較用の薬剤C(アルカンスルホン酸ナトリウム)を担持した濾材では、ウイルス抑制効果は認められなかった。
《実施例3:粉じん負荷濾材のウイルス接触試験》
本実施例では、エアフィルタが使用中に粉じんを捕集することによって、ウイルス抑制効果に与える影響を調べることを目的として、上記薬剤Aを担持した平板の試験濾材を室内空気を連続通風(風速50cm/s)し、空気中の浮遊粉じんを捕集した。2箇月又は4箇月で通風を終了し、実施例2と同様のウイルス接触試験を行った。
結果を表6に示す。
Figure 0005126745
本発明の抗ウイルスシートは、例えば、エアフィルタ用濾材、マスク基材、又は医療用基材として利用することができる。エアフィルタ用濾材としては、例えば、プレフィルタ用濾材、中高性能フィルタ用濾材、HEPA/ULPAフィルタ用濾材、ガス吸着フィルタ用濾材、抗菌抗黴フィルタ用濾材などを挙げることができる。また、エアフィルタ用濾材とエレクトレットフィルタとを複合した濾材も可能である。

Claims (4)

  1. オレイン酸アルカリ金属塩及びジオクチルスルホコハク酸アルカリ金属塩からなる群から選んだ陰イオン界面活性剤を有効成分として含有することを特徴とする、抗ウイルス剤。
  2. ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項に記載の抗ウイルス剤。
  3. 通気性シートに、請求項1又は2に記載の陰イオン界面活性剤を0.1〜10質量%担持させたことを特徴とする、抗ウイルス性シート。
  4. 通気性シートが、エアフィルタ用濾材、マスク基材、又は医療用基材である、請求項に記載の抗ウイルス性シート。
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