JP5143128B2 - グラビア製版ロール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロムめっきを用いることなく、充分な強度を有する表面強化被覆層を具備することができるようにしたグラビア製版ロール及びその製造方法に関し、特にクロム層に替わる表面強化被覆層としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を設けるようにしたグラビア製版ロール及びその製造方法に関する。
グラビア印刷では、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)に対し、製版情報に応じた微小な凹部(グラビアセル)を形成して版面を製作し当該グラビアセルにインキを充填して被印刷物に転写するものである。一般的なグラビア製版ロールにおいては、アルミニウムや鉄などの版母材の表面に版面形成用の銅めっき層(版材)を設け、該銅めっき層にエッチングによって製版情報に応じ多数の微小な凹部(グラビアセル)を形成し、次いでグラビア製版ロールの耐刷力を増すためのクロムめっきによって硬質のクロム層を形成して表面強化被覆層とし、製版(版面の製作)が完了する。しかし、クロムめっき工程においては毒性の高い六価クロムを用いているために、作業の安全維持を図るために余分なコストがかかる他、公害発生の問題もあり、クロム層に替わる表面強化被覆層の出現が待望されているのが現状である。
一方、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)の製造について、セルを形成した銅めっき層にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を形成し、表面強化被覆層として用いる技術は知られているが(特許文献1)、DLC被膜は銅との密着性が弱く、剥離し易いという問題があった。また、本願出願人は、版母材にゴム又は樹脂層を形成し、その上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)の被膜を形成した後、セルを形成し、グラビア印刷版を製造する技術をすでに提案している(特許文献2〜4)。
特開平4−282296号公報 特開平11−309950号公報 特開平11−327124号公報 特開2000−15770号公報
本発明者らは、上記した従来技術の問題点に鑑み、クロム層に替わる表面強化被覆層について鋭意研究を続けたところ、特定の下地金属めっき層と、金属層と、炭化金属層と、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜とを組み合わせて用いることによってクロム層に匹敵する強度を有しかつ毒性はなく公害発生の心配も全くない表面強化被覆層を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無な表面強化被覆層を具備するとともに耐刷力に優れた新規なグラビア製版ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のグラビア製版ロール、版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅めっき層と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に設けられた下地金属めっき層と、該下地金属めっき層の表面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた当該金属の炭化金属層と、該炭化金属層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とを有し、前記下地金属めっき層がニッケル(Ni)めっき層、コバルト(Co)めっき層又は鉄(Fe)めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とする。
グラビア製版ロール、版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅めっき層と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に設けられた下地金属めっき層と、該下地金属めっき層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とを有し、前記下地金属めっき層がニッケルめっき層、コバルトめっき層又は鉄めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法、版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅めっき層を形成する銅めっき工程と、該銅めっき層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に下地金属めっき層を形成する下地金属めっき層形成工程と、該下地金属めっき層の表面に金属層を形成する金属層形成工程と、該金属層の表面に当該金属の炭化金属層を形成する炭化金属層形成工程と、該炭化金属層の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成するダイヤモンドライクカーボン被膜形成工程とを有し、前記下地金属めっき層がニッケルめっき層、コバルトめっき層又は鉄めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とする。
グラビア製版ロールの製造方法、版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅めっき層を形成する銅めっき工程と、該銅めっき層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に下地金属めっき層を形成する下地金属めっき層形成工程と、該下地金属めっき層の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成するダイヤモンドライクカーボン被膜形成工程とを有し、前記下地金属めっき層がニッケルめっき層、コバルトめっき層又は鉄めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とする。
前記金属層が、タングステン(W)、珪素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属からなることが好ましい。
前記炭化金属層が、炭化金属傾斜層であって、該炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定されていることが好ましい。
前記銅めっき層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記下地金属めっき層の厚さが0.1〜5μm、前記金属層の厚さが0.1〜1μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであるのが好ましい。前記金属層及び炭化金属層の形成を省略する場合でも各層厚及び膜厚は同様の数値を採用することができる。
前記グラビアセルの形成は、エッチング法又は電子彫刻法によって行えばよいが、エッチング法が好適である。ここでエッチング法はグラビアシリンダーの銅表面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセルを形成する方法である。電子彫刻法は、デジタル信号によりダイヤモンド彫刻針を機械的に作動させグラビアシリンダーの銅表面にグラビアセルを彫刻する方法である。
本発明によれば、特定の下地金属めっき層と、金属層と、炭化金属層と、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜とを組み合わせ又は特定の下地金属めっき層と、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜とを組み合わせて用いることによって、表面強化被覆層として密着性の高いダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を形成することができ、従って、クロムめっき工程を省略することができるので、毒性の高い六価クロムを用いることがなくなり、作業の安全性を図るための余分なコストが不要で、公害発生の心配も全くなく、しかもダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜はクロム層に匹敵する強度を有し耐刷力にも優れるという大きな効果を奏するものである。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法の一つの工程例を模式的に示す説明図で、(a)は版母材の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅めっき層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅めっき層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は版母材の銅めっき層表面に下地金属めっき層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(e)は版母材の下地金属めっき層表面に金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(f)は版母材の金属層表面に炭化金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(g)は版母材の炭化金属層表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆した状態を示す部分拡大断面図である。 図1に示した本発明のグラビア製版ロールの製造方法のフローチャートである。 図1の製造方法によって製造される本発明のグラビア製版ロールの一例を示す要部の拡大断面図である。 グラビア製版ロール製造方法の工程例を模式的に示す説明図で、(a)は版母材の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅めっき層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅めっき層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は版母材の銅めっき層表面に下地金属めっき層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(e)は版母材の下地金属めっき層表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆した状態を示す部分拡大断面図である。 図4に示したグラビア製版ロールの製造方法のフローチャートである。 図4の製造方法によって製造されるグラビア製版ロールの一例を示す要部の拡大断面図である。
符号の説明
10:版母材(中空ロール)、10a:グラビア製版ロール、12:銅めっき層、14:グラビアセル、15:下地金属めっき層、16:金属層、18:炭化金属層、20:ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明方法の一例を図1〜図3を用いて説明する。図1(a)及び図3において、符号10は版母材で、アルミニウム、鉄又は炭素繊維強化樹脂(CFRP)等からなる中空ロールが用いられる(図2のステップ100)。該中空ロール10の表面には銅めっき処理によって銅めっき層12が形成される(図2のステップ102)。
該銅めっき層12の表面には多数の微小な凹部(グラビアセル)14が形成される(図2のステップ104)。グラビアセル14の形成方法としては、エッチング法(銅表面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセル14を形成する)や電子彫刻法(デジタル信号によりダイヤモンド彫刻針を機械的に作動させ銅表面にグラビアセル14を彫刻する)等の公知の方法を用いることができるが、エッチング法が好適である。
次に、グラビアセル14を形成した銅めっき層12(グラビアセル14を含む)の表面に下地金属めっき層15を形成する(図2のステップ106)。該下地金属めっき層15は、ニッケルめっき層、コバルトめっき層、又は鉄めっき層である。該ニッケルめっき層、コバルトめっき層及び鉄めっき層はそれぞれ公知のめっき方法により形成することができる。
次に、前記下地金属めっき層15の表面に金属層16を形成する(図2のステップ108)。さらに、この金属層16の表面に当該金属の炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18を形成する(図2のステップ110)。金属層16及び炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18の形成方法としては、PVD法、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法(エレクトロンビーム法)、イオンプレーティング法、MBE(分子線エピタキシー法)、レーザーアブレーション法、イオンアシスト成膜法等を適用できるが、スパッタリング法が好適である。
ここで、スパッタリング法は、薄膜にしたい材料(ターゲット材料)にイオンをぶつけると材料がはね飛ばされるが、このはね飛ばされた材料を基板上に堆積させ薄膜を作製する方法であり、ターゲット材料の制約が少なく、薄膜を大面積に再現性よく作製できるなどの特徴がある。
真空蒸着法(エレクトロンビーム法)は、薄膜にしたい材料に電子ビームを照射し加熱蒸発させ、この蒸発させた材料を基板上に付着(堆積)させ、薄膜を作製する方法であり、成膜速度が速く基板へのダメージが少ない等の特徴がある。
イオンプレーティング法は、薄膜にしたい材料を蒸発させた後、高周波(RF)(RFイオンプレーティング法)又はアーク(アークイオンプレーティング法)によりイオン化させた基板上に堆積させ薄膜を作製する方法であり、成膜速度が速い、付着強度が大きい等の特徴がある。
分子線エピタキシー法は、超高真空中で原料物質を蒸発させ、加熱した基板上へ供給し薄膜を形成する方法である。
レーザーアブレーション法は、ターゲットに高密度化したレーザーパルスを入射することによりイオンを放出させ、対向の基板上に薄膜を形成する方法である。
イオンアシスト成膜法は、真空容器内に蒸発源とイオン源とを設置し、イオンを補助的に利用して成膜する方法である。
前記金属層16を構成する金属としては、タングステン,珪素,チタン,クロム,タンタル,及びジルコニウム等を用いることができる。
前記炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18における金属は前記金属層16と同一の金属を用いる。炭化金属傾斜層18における炭素の組成比は金属層16側から後述するダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定する。つまり、炭素の組成比は0%から徐々に(階段状もしくは無階段状に)比率を増し、最後はほぼ100%となるように成膜を行う。
この場合、炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18中の炭素の組成比の調整方法は公知の方法を用いればよいが、例えば、スパッタリング法(固体金属ターゲットを用い、不活性ガス、例えば、アルゴンガス雰囲気で炭化水素ガス、例えば、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、アセチレンガス等の注入量を階段状又は無階段状に徐々に増大する)によって、炭化金属層18中の炭素の割合が金属層16の側からダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20方向に対して階段状又は無階段状に徐々に増大するように炭素及び金属の両者の組成割合を変化させた炭化金属層、即ち炭化金属傾斜層18を形成することができる。
このように炭化金属層18の炭素の割合を調整することによって金属層16及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20の双方に対する炭化金属層18の密着度を向上させることができる。また、炭化水素ガスの注入量を一定とすれば、炭素及び金属の組成割合を一定とした炭化金属層とすることができ、炭化金属傾斜層と同様の作用を行わせることができる。
続いて、前記炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20を被覆形成する(図2のステップ112)。ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20の形成方法としては、PVD法を適用する。PVD法としては、スパッタリング法、真空蒸着法(エレクトロンビーム法)、イオンプレーティング法、MBE(分子線エピタキシー法)、レーザーアブレーション法、イオンアシスト成膜法等を挙げることができるが、スパッタリング法が好適である。
前記銅めっき層12の厚さが50〜200μm、前記グラビアセル14の深度が5〜150μm、前記下地金属めっき層15の厚さが0.1〜5μm、前記金属層16の厚さが0.1〜1μm、前記炭化金属層18の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜20の厚さが0.1〜10μmであるのが好ましい。
上記したダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20により前記炭化金属層18の表面を被覆し、このダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20を表面強化被覆層として作用させることによって、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無となるとともに耐刷力に優れたグラビア製版ロール10a(図3)を得ることができる。
図1〜3に示した本発明の一つの実施の形態では、版母材10と、該版母材10の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセル14が形成された銅めっき層12と、該グラビアセル14が形成された銅めっき層12の表面に設けられた下地金属めっき層15と、該下地金属めっき層15の表面に設けられた金属層16と、該金属層16の表面に設けられた当該金属の炭化金属層18と、該炭化金属層18の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜20とを有するグラビア製版ロール10aについて説明したが、図4〜6に示したように上記した金属層16と炭化金属層18の形成を省略する構成とすることも可能である。図4〜6において、図1〜3における部材及び工程については同一の符号を用いて図示した。図4〜6の実施の形態においては、図1〜3の実施の形態において金属層16と炭化金属層18の形成を省略しただけで他の構成は同一であるので重複を避けるため再度の説明は省略する。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(実施例1)
円周600mm、面長1100mmのグラビアシリンダー(アルミ中空ロール)をめっき槽に装着し、陽極室をコンピューターシステムによる自動スライド装置で20mmまで中空ロールに近接させ、めっき液をオーバーフローさせ、中空ロールを全没させて18A/dm2、6.0Vで80μmの銅めっき層を形成した。めっき時間は20分、めっき表面はブツやピットの発生がなく、均一な銅めっき層を得た。
上記形成した銅めっき層に感光膜をコートして画像をレーザー露光し現像しバーニングしてレジスト画像を形成し、次いでプラズマエッチング等のドライエッチングを行ってグラビアセルからなる画像を彫り込み、その後レジスト画像を取り除くことにより印刷版を形成した。このとき、グラビアセルの深度を10μmとした中空ロールを作製した。
この中空ロールに対してコバルトめっき槽によって下記する条件でコバルトめっきを施して厚さ1μmのコバルトめっき層を形成した。
コバルトめっき液組成
硫酸コバルト 250g/L
塩化コバルト 40g/L
ホウ酸 30g/L
pH 4.5
液温度 50℃
電流密度 2A/dm2
めっき時間 3分間
このコバルトめっき層の上面にスパッタリング法によってタングステン層を形成した。スパッタリング条件は次の通りである。タングステン試料:固体タングステンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:60分、成膜厚さ:0.1μm。
次に、タングステン層の上面に炭化タングステン層を形成した。スパッタリング条件は次の通りである。タングステン試料:固体タングステンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気で炭化水素ガスを徐々に増加、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:60分、成膜厚さ:0.1μm。
さらに、炭化タングステン層の上面にスパッタリング法によってダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆形成した。スパッタリング条件は次の通りである。DLC試料:固体カーボンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:150分、成膜厚さ:1μm。このようにして、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)を完成した。
上記したグラビアシリンダーを用いて、水性インキを適用してOPPフィルム(Oriented Polypropylene Film:2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いて印刷テスト(印刷速度:200m/分、OPPフィルムの長さ:4000m)を行った。得られた印刷物はいずれも版カブリがなく、転移性が良好であった。この結果として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜は従来のクロム層に匹敵する性能を有し、クロム層代替品として充分使用できることを確認した。
(実施例2)
中空ロールに対してコバルトめっきの替わりに厚さ1μmのニッケルめっき層を下記の条件で形成した以外は実施例1と同様に処理してグラビア製版ロールを完成した。
ニッケルめっき液組成
硫酸ニッケル 250g/L
塩化ニッケル 40g/L
ホウ酸 30g/L
pH 4.5
液温度 50℃
電流密度 2A/dm2
めっき時間 3分間
このグラビアシリンダーを用いて同様に印刷テストを行ったところ、同様に版カブリがなく、転移性が良好な印刷物を得ることができた。この実施例においてもダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜は従来のクロム層に匹敵する性能を有し、クロム層代替品として充分使用できることを確認した。
実験例1
実施例1及び2において、金属層と炭化金属層の形成を省略し、コバルトめっき層及びニッケルめっき層の表面に直接ダイヤモンドライクカーボン被膜を形成して同様の実験を行ったところ、ほぼ同等の結果が得られることを確認した。
(実施例3及び実験例2
タングステン試料の代わりに、珪素試料、チタン試料、クロム試料、タンタル試料又はジルコニウム試料を用いた以外は実施例1〜と同様の実験(実施例3)及び実験例1と同様の実験(実験例2)を行ったところ、ほぼ同等の結果が得られることを確認した。

Claims (8)

  1. 版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅めっき層と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に設けられた下地金属めっき層と、該下地金属めっき層の表面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた当該金属の炭化金属層と、該炭化金属層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とを有し、前記下地金属めっき層がニッケルめっき層、コバルトめっき層又は鉄めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とするグラビア製版ロール。
  2. 前記金属層が、タングステン、珪素、チタン、クロム、タンタル、及びジルコニウムからなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属からなることを特徴とする請求項1記載のグラビア製版ロール。
  3. 前記炭化金属層が、炭化金属傾斜層であって、該炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のグラビア製版ロール。
  4. 前記銅めっき層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記下地金属めっき層の厚さが0.1〜5μm、前記金属層の厚さが0.1〜1μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のグラビア製版ロール。
  5. 版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅めっき層を形成する銅めっき工程と、該銅めっき層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該グラビアセルが形成された銅めっき層の表面に下地金属めっき層を形成する下地金属めっき層形成工程と、該下地金属めっき層の表面に金属層を形成する金属層形成工程と、該金属層の表面に当該金属の炭化金属層を形成する炭化金属層形成工程と、該炭化金属層の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成するダイヤモンドライクカーボン被膜形成工程とを有し、前記下地金属めっき層がニッケルめっき層、コバルトめっき層又は鉄めっき層であり、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をPVD法により作成することを特徴とするグラビア製版ロールの製造方法。
  6. 前記金属層が、タングステン、珪素、チタン、クロム、タンタル、及びジルコニウムからなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属からなることを特徴とする請求項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  7. 前記炭化金属層が、炭化金属傾斜層であって、該炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定することを特徴とする請求項又は記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  8. 前記銅めっき層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記下地金属めっき層の厚さが0.1〜5μm、前記金属層の厚さが0.1〜1μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
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