JP5149029B2 - 複合シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイから押し出された樹脂材料と基材シートを貼り合わせてなる複合シートを製造する方法に関する。
ダイから押し出された樹脂材料と基材シートを貼り合わせてなる複合シートに関する技術としては、特許文献1に記載のものが知られている。同文献に記載の複合シートは、同文献の図1、図2及び図5に示されているように、ギア形状を有する波形部材20,21によってシート12に多数のアーチ部分13を形成し、そのアーチ部分13の頂部(底部)に弾性ストランド16を融着してなるものである。弾性ストランド16は、ダイ22から溶融状態で押し出され、未延伸の状態で、波形部材20,21による挟圧によってシート12に融着する。弾性ストランド16は、シート12と点接触で接合されることになり、それに起因して接合強度を高めることが容易でない。
シートの挟圧に関し、複合シートの製造に関する技術とは別に、特許文献2には、ダイから押し出した樹脂シートを型ローラとニップローラとの間で挟圧して該樹脂シートに該型ローラの凹凸形状を付与する方法が記載されている。この方法は、型ローラの周面に複数のニップローラを配し挟圧を複数回行うことで、肉厚の樹脂シートに所望の凹凸形状を付与しようとするものである。しかし、同文献では、ダイから押し出された樹脂材料と基材シートを貼り合わせることについての言及はなされていない。
特表平10−501195号公報 特開2006−56214号公報
本発明の目的は、ダイから押し出された樹脂材料と基材シートを貼り合わせ、層間剥離強度が高く、風合い・肌触りに優れた複合シートを容易に製造し得る方法を提供することにある。
また本発明の目的は、前記樹脂材料が弾性材料の場合、伸長させた後の戻り強度が高い伸縮性複合シートを容易に製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、ダイから押し出された樹脂材料を、搬送されている基材シートとともにニップロール間に通し、該基材シートと該樹脂材料とを貼り合わせて複合シートを製造する方法において、
ニップロールを多段に設置し、初段のニップ圧よりも2段目のニップ圧を高くする複合シートの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、基材シートが本来有する風合いを損ねることなく、該基材シートとダイから押し出された樹脂材料との剥離強度が向上した複合シートを高速で製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の方法にしたがい製造される複合シートの一例について図1を参照しながら説明する。図1に示す複合シートは、第1の基材シート11及び第2の基材シート12の計2枚のシートと、両シート間に挟持された多数のフィラメント13とから構成されている。各フィラメント13は、第1及び第2の基材シート11,12と接合している。第1の不織布11と第2の不織布12は、同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。ここで言う同種のシートとは、シートの製造プロセス、シートの構成材料の種類、シートの厚みや坪量等がすべて同じであるシートどうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種のシートであるという。
各フィラメント13は、複合シート10の全長にわたって実質的に連続している。各フィラメント13は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。但し、複合シート10の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せずフィラメント13が交差することは許容される。フィラメント13は、実質的に非伸長状態で基材シート11,12に接合されている。
以上の構造を有する複合シート10の製造方法について図2を参照しながら説明する。本製造方法においては、ダイの一例である紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の多数のフィラメント13を所定速度で引き取り、該フィラメント13の固化前に、該フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するように該フィラメント13を基材シート11,12に融着させる。
紡糸ノズル16は、紡糸ヘッド17に設けられている。紡糸ヘッド17は、押出機に接続されている。ギアポンプを介して紡糸ヘッド17へ樹脂を供給することもできる。該押出機によって溶融混練された樹脂は、紡糸ヘッド17に供給される。紡糸ヘッド17には、多数の紡糸ノズル16が直線状に一列に配置されている。紡糸ノズル16は、第1及び第2の基材シート11,12の幅方向に沿って配置されている。隣り合う紡糸ノズル16の間隔は、目的とする複合シート10におけるフィラメント13の間隔に相当する。紡糸ノズル16は通常円形であり、その直径はフィラメント13の直径に影響を及ぼす。この観点から、紡糸ノズル16の直径は0.1〜2mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。基材シート11,12との接合強度を高める目的、フィラメント13の紡糸性を上げる目的、及び複合シート10の各種特性(例えば伸縮性)を向上させる目的で、フィラメント13を複合の形態(サイドバイサイド、芯鞘、海島構造)とすることもできる。具体的には、例えば複合シート10に伸縮性を付与したい場合には、PP系のエラストマー樹脂とスチレン系のエラストマー樹脂とを組み合わせることが好ましい。
紡出された溶融状態のフィラメント13は、それぞれ原反から互いに同速度で繰り出された第1の基材シート11及び第2の基材シート12と合流し、両シート11,12間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント13の引き取り速度は、両不織布11,12の繰り出し速度と一致している。フィラメント13の引き取り速度は、該フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。延伸によってフィラメント13に生じる張力は、該フィラメント13を基材シート11,12と貼り合わせるときの風や静電気に起因する該フィラメント13の乱れを防止する。それによってフィラメント13どうしを交差させずに一方向へ配列させることができる。これらの観点から、フィラメント13の引き取り速度は、紡糸ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1.1〜400倍、特に4〜100倍、更に10〜80倍となるように調整されることが好ましい。
フィラメント13は、その固化前に、即ち融着可能な状態で第1及び第2の基材シート11,12と合流する。その結果、フィラメント13は、第1及び第2の基材シート11,12に挟持された状態で、これらの基材シート11,12に融着する。つまり、固化前のフィラメントを、搬送される基材シート11,12に融着させながら、フィラメント13は引き取られて延伸される。フィラメント13の融着に際しては第1及び第2の基材シート11,12には、外部から熱は付与されていない。つまり、融着可能になっているフィラメント13に起因する溶融熱によってのみ、該フィラメント13と両基材シート11,12とが融着する。その結果、両シート11,12のうち、フィラメント13の周囲に存在する部位のみが該フィラメント13と融着し、それよりも離れた部位は融着しない。その結果、両シート11,12に加わる熱は最小限にとどまるので、該シート自身が本来有する良好な風合いが維持される。それによって、得られる複合シート10の風合いが良好になる。
紡出されたフィラメント13が、第1及び第2の基材シート11,12と合流するまでの間、該フィラメント13は延伸されて延伸方向に分子が配向する。また直径が小さくなる。分子配向によって、50%伸長時強度の行き/戻り比(ヒステリシス)の小さなフィラメント13が得られる。フィラメント13を十分に延伸させる観点及びフィラメント13の糸切れを防止する観点から、紡出されたフィラメント13に所定温度の風(熱風、冷風)を吹き付けて、該フィラメント13の温度を調整してもよい。
フィラメント13の延伸は、原料樹脂の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であってもよい。溶融状態とは、外力を加えたとき樹脂が流動する状態である。樹脂の溶融温度は粘弾性測定による(例えば円形並行平板間に挟んだ樹脂に回転方向の振動歪を加えて測定される)Tanδのピーク温度として測定される。樹脂の延伸時に糸切れが起こらないようにするために、延伸区間を長く確保することがよい。また同様に、糸切れが起こらないようにする観点から、弾性樹脂の溶融温度は130〜300℃が好ましい。さらに、樹脂は、耐熱性の観点から、溶融温度が220℃以下のものが好ましい。フィラメント13の成形温度(ダイスの温度)は樹脂の流動性を上げて成形性をよくする観点から、原料樹脂の溶融温度の+50℃以上が好ましく、耐熱性の観点から原料樹脂の溶融温度+110℃以下が好ましい。軟化温度は、シート状にした弾性樹脂の測定試料の粘弾性特性におけるTg温度として測定される。軟化温度から溶融温度までの範囲を軟化状態という。また、軟化温度より低い温度の状態を固化状態という。軟化温度は、複合シート10の保存時における樹脂の結晶の成長の観点から、60℃以上が好ましく、80〜180℃がより好ましい。
フィラメント13と基材シート11,12とを接合させるときのフィラメント13の温度は、基材シート11, 12との融着を確実にするために100℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。またフィラメント13の形状を保持する観点から、フィラメントの温度は180℃以下であることが好ましい。より好ましくは160℃以下である。これらの結果、フィラメント13と基材シート11、12を接合させるときの最適なフィラメント温度は120〜160℃、さらに好ましくは140〜160℃の範囲である。接合時の温度は、フィラメント13と接合させるラミネート基材として、フィラメントを構成する弾性樹脂の融点と異なる融点を有する変性ポリエチレンや変性ポリプロピレンなどからなるフィルムを用いて、その接合状態を観察することで測定できる。このとき、フィラメントとラミネート基材が融着していれば、接合温度はラミネート基材の融点以上である。
フィラメント13と基材シート11,12との接合時には、フィラメント13は実質的に非伸長状態(外力を取り除いたときに縮まない状態)である。フィラメント13が実質的に非伸長状態で基材シート11,12に接合されるため、フィラメント13が弾性を有する場合には、後述する弾性発現加工を施した伸縮性を有する複合シート10’は、伸長による緩和(クリープ)が起こらず、伸縮性が低下しにくいという利点がある。
フィラメント13と基材シート11,12との接合状態においては、シート11,12の少なくとも一部が、フィラメント13へ融着することが好ましく、フィラメント13とシート11,12の少なくとも一部との両方が融着することがより好ましい。十分な接合強度が得られるからである。
フィラメント13を第1及び第2の基材シート11,12と合流させるときには、各フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、フィラメント13を第1及び第2の基材シート11,12と合流させて両基材シート11,12間に該フィラメント13を挟持させてなる複合体30を形成し、該複合体30をニップロールによって挟圧する。本製造方法で用いるニップロールは、1本の主ロール18と、3本の副ロール19a,19b、19cとから構成されている。主ロール18及び3本の副ロール19a,19b、19cはその周面が平滑であり、例えば金属やゴムから構成されている。3本の副ロール19a,19b、19cは、それらの軸線が主ロール18の軸線と平行になるように配置されている。また3本の副ロール19a,19b、19cは、それらの周面が主ロール18の周面と対向するように配置されている。さらに、3本の副ロール19a,19b、19cは、主ロール18の回転方向に関して上流側に第1副ロール19aが位置し、下流側に第2副ロール19b、第3副19cロールが位置するように配置されている。このような構成によって、図2に示す製造装置においては主ロール18と第1副ロール19aによって初段のニップロールが構成され、主ロール18と第2副ロール19bによって2段目のニップロールが構成され、更に第3副ロール19cによって3段目のニップロールが構成される。
以上のとおり、本製造方法で用いられる装置には、ニップロールが多段に設置されている。そして、多段に設置されたニップロールの各段に、複合体30を順次通していく。本製造方法は、多段のニップロールによる複合体30の加工に特徴の一つを有する。詳細には、初段のニップ圧よりも2段目のニップ圧を高くする方法を採用している。これによって基材シート11,12が本来有している良好な風合い等を損ねることなく、基材シート11,12とフィラメント13との接合を強固なものとすることができる。この理由は次のとおりである。
従来の溶融ラミネート法によって、ダイから押し出された樹脂材料と、基材シートとを貼り合わせる場合、両者の接合強度を高めるためには、樹脂材料の温度を高くする手法が用いられる。樹脂材料の温度を高くすることで、樹脂材料の粘度が下がり、基材シートに樹脂材料が食い込みやすくなる。また、基材シートを構成する原料が熱可塑性材料である場合には、基材シートを構成する熱可塑性材料が溶融し、樹脂材料と基材シートが融着接着するため接着強度が高まる。これらの場合、両者の接合強度は高くなる反面、樹脂材料の温度が高い故に、前述の通り、基材シートに樹脂材料が食い込み過ぎてしたり、または基材シート全体(基材シートの樹脂接合面だけでなく、接合面と反対の外側の面までが)が熱収縮・溶融したりして、基材シートが本来有する風合い等が損なわれるという不都合がある。すなわち、従来の溶融ラミネート法では、接合強度と風合いを両立することは困難である。
更に具体的に、従来の溶融ラミネート法で、この不都合を解消するためにことが困難であることを以下に説明する。従来の溶融ラミネート法で、接合強度を調整する方法として、(1)エアギャップを広げる方法(ダイ押出し口(図2でいうと紡糸ノズル16)から樹脂材料と基材シートの合流点までの距離を広げる方法)と、(2)ニップのクリアランスを設ける方法(本特許中の図2で示すならば、主ロール18と副ロール19a間の隙間を広げる方法)が考えうる。しかし、(1)のエアギャップを広げる方法では、実質的に基材シートとの貼り合わせ前に樹脂材料の温度を下げることになり、接合強度を高めることが困難であり、接合強度と風合いを両立することは容易でない。尚且つエアギャップを広げる方法は、樹脂材料のネックインや、溶融した樹脂材料がフィラメントである場合には、前記フィラメントが蛇行したり、フィラメント同士が束になったりする、フィラメントの乱れといった前記樹脂材料が基材シートに合流する前の押出し成形過程でも問題が生じてしまう。また、(2)ニップのクリアランスを設ける方法では、ニップ時に樹脂材料と基材シートがあまり密着しないので、樹脂材料が食い込むことがほとんどなく、また基材シートの樹脂材料との接合面側もほとんど溶融せず基材シートと樹脂材料が融着することがほとんどないので、接合強度を高めることが困難であり、接合強度と風合いを両立することは容易でない。
これに対して、本発明のニップロールを多段に設置し、初段のニップ圧よりも2段目のニップ圧を高くする方法は、接合強度と風合いのバランスがとれた溶融ラミネート複合シートを高速で製造することが可能となるという有利な効果が生じる。このような接合強度と風合いの両立が可能な理由は、初段のニップでは、溶融状態の樹脂材料を基材シートと密着させ過ぎず、基材シートに樹脂材料が食い込み過ぎてしまうことを防止し、樹脂材料の有する溶融熱を基材シート全体にではなく、樹脂材料と基材シートの接合面近傍の基材シートにのみ伝達することで、基材シートの構成材料を部分的に溶融させることにより、樹脂材料と基材シートを部分的に接合させ(この段階では接合は、樹脂材料と樹脂材料近傍の基材シートとの部分的な融着なので接合強度は不十分であるが、前述のように風合いが損なわれる状態にならないので、風合いは維持されている)、続いて2段目以降のニップで、一部又は全部が軟化した状態(一部が軟化している場合は、その他の部分は溶融または固化状態)の樹脂材料と基材シートを高いニップ圧で十分密着させ、軟化している樹脂材料に基材シートを食い込ませ、初段ニップでは樹脂材料と基材シートの部分的な融着によって発現していた接合強度を、樹脂材料への基材シートの部分的な食い込みによるアンカー接着によって、接合強度を嵩上げし高めることができるからである。すなわち、樹脂材料が基材シートに食い込み過ぎて風合いが損なわれることや、基材シートが全体的に熱収縮・溶融してしまい風合いが損なわれてしまうことを防止しつつ、融着とアンカー接着という2つの接合形態を発現させることで、接合強度と風合いを両立という効果が生じるのである。
さらに、本発明は、溶融粘度が高くダイ温度を高くし成形する必要のある原料を樹脂材料として用いて溶融ラミネートをする場合に、特に有効である。
本発明においてニップ圧とは、主ロール18と各副ロールとによって、複合体30が挟圧されることにより、複合体30に作用する圧力のことである。ニップ圧は、挟圧力(本発明では、複合体、クリアランスによらず、主ロール18に副ロール19a、19b、19cを押付けようとする力)、ニップロール径、ロールの表面硬さ(例えばゴムの硬さ)、ロールの表面形状(パターンロール:ドット、ストライプ、格子など)、主ロール18と副ロール19a、19b、19cの間の間隔(ロール間のクリアランス)等により調整することが可能である。特に、挟圧力とロール間のクリアランスによって調整され、挟圧力が大きいほど、また、ロール間のクリアランスが狭いほど、ニップ圧は大きくなる。この中で、挟圧力は、基材シート11,12及びフィラメント13の材質にもよるが、線圧で表して初段が1〜150N/cm、特に2〜120N/cmであることが好ましく、2段目が5〜200N/cm、特に5〜90N/cmであることが好ましい。
また、ニップ圧は次の方法によっても求めることができる。クリアランスを設けた場合は、以下の方法で求められる。まず、複合体30がない状態で、副ロールを主ロールに押付けようとする力Aを測定する。次に複合体30がある状態で、副ロールを主ロールに押付けようとする力Bを測定する。複合体30に作用するニップ力をCとするとニップ力Cは、以下の式(a)から求められる。
C=A−B (a)
ここで、A及びBは、例えば主ロールと副ロールにクリアランスを設けるために設置されたクリアランス設定装置に設置されるロードセルによって測定される。ニップ力Cからニップ圧は、基材幅をWとして、以下の式から線圧として求められる。
ニップ圧=C/W (b)
クリアランスを設けない(ベタニップ)場合には、機械設定による副ロールを主ロールに押付ける力(押し付け力)と複合体30の幅Wから、以下の式(c)にて求められる。
ニップ圧(線圧)=押付け力/W (c)
押し付け力が機械設定において不明な場合には、ロードセルによって測定される。
この場合、ニップ圧は、初段が1〜90N/cm、特に2〜60N/cmであることが好ましく、2段目が5〜200N/cm、特に5〜90N/cmであることが好ましい。
上述の有利な効果を更に顕著なものとする観点から、初段のニップロールのクリアランスを、押し出された樹脂材料の厚みと基材シートの厚みとの総和以上に設定することが好ましい。このような操作を行うことで、初段のニップロールにおいては、クリアランスが設けられていることによってフィラメント13へのダメージが低減され、該フィラメント13が破断する等の不都合が生じづらくなる。またさらに、両者の接合部における基材シート11,12の風合いが損なわれづらくなる。なお、基材シートの厚みは、JIS K7310に準じ、基材シートがフィルムの場合は、A法にてダイヤルゲージ等により測定することができる。基材シートがフィルム以外の場合はB法により基材シートの坪量をその比重で割ることにより厚みを求めることができる。樹脂材料の厚みは、複合シートの断面をマイクロスコープやSEM観察することにより求めることができる。
ニップロールによる挟圧の別の条件として、ニップロールの温度が挙げられる。本発明者らの検討の結果、ニップロールを加熱した状態で挟圧を行うよりもむしろ、加熱しないか(つまり成り行きにまかせるか)、又は冷却しながら挟圧を行う方が、風合いの良好な複合シート10が得られることが判明した。成形速度や温度を変更するのに伴い、ニップロールを温度調節する場合には、冷媒や熱媒を用い、主ロール18及び副ロール19a,19b、19cの表面設定温度が10〜80℃になるように温度調節することが好ましい。
このようにして、フィラメント13と基材シート11,12とが貼り合わされてなる複合シート10が得られる。複合シート10は、剥離ロール31に巻き掛けられることで主ロール18の周面から剥離される。
本製造方法で用いられる樹脂材料としては、溶融ラミネートが可能な熱可塑性樹脂であればその種類に特に制限はない。例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド6やポリアミド66などのポリアミド系樹脂、ポリメタクリル酸エステルやポリメタクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂などが挙げられる。
複合シート10に伸縮性を付与したい場合には、樹脂材料として例えば熱可塑性エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。
フィラメント13は単成分系のものでもよく、あるいは芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の多成分系のものでもよい。単成分系であるか、又は多成分系であるかを問わず、製造された複合シート10におけるフィラメント13の太さは、直径で表して10〜200μm、特に20〜130μmであることが、複合シート10の風合いの向上や、生産性の点から好ましい。フィラメント13間のピッチは0.1〜5mm、特に0.4〜2mmであることが好ましい。
基材シート11,12としてはフィルム、不織布、紙、織布などの各種シート材料を特に制限なく用いることができる。フィルム及び不織布の構成材料としては、従来公知の各種熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、フィラメント13を構成する熱可塑性樹脂として先に例示したものと同様のものが挙げられる。基材シート11,12がフィルムである場合、その坪量は5〜50g/m2、特に10〜40g/m2であることが好ましい。フィルムには必要に応じスリットを設けたり、開孔を設けたりしてもよい。基材シート11,12が不織布である場合、該不織布としては、複合シート10の具体的な用途に応じて適切なものが選定される。例えばエアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。この場合、原反不織布の厚みは0.05〜5mm、特に0.1〜1mm、とりわけ0.15〜0.5mmであることが好ましい。
複合シート10を伸縮シートとする場合、基材シート11,12及びフィラメント13の構成材料の好ましい組み合わせとしては、基材シート11,12を同一の又は異なる伸長可能な不織布から構成し、フィラメント13を弾性樹脂から構成することが好ましい。特に該不織布として、最大伸度が80〜800%、特に120〜650%の繊維を原料とすることが、最大強度の高い複合シート10が得られる点で好ましい。原料繊維の伸度は、JIS L−1015に準拠し、測定環境温湿度20±2℃、65±5%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/minの条件で測定される。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するときなど、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
上述の材料を用いて伸縮性を有する複合シートを製造する場合には、図2に示す装置を用いて製造された複合シートに弾性発現加工を施す。詳細には、図3に示すように、図2に示す装置を用いて製造された複合シート10を、フィラメント13の延びる方向に沿って弾性発現処理して、基材シート11,12に伸長性を付与する操作を行い伸縮性を有する複合シート10’を得る。本製造方法においては、この操作を、それぞれ歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた弾性発現装置22を用い、複合シート10をその搬送方向、即ち弾性フィラメント13の延びる方向に沿って弾性発現処理させることで行う。
弾性発現装置22は、一方又は双方の歯溝ロール20,21の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、歯溝ロール20,21間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各歯溝ロール20,21を、一方の歯溝ロール20の歯が他方の歯溝ロール21の歯間に遊挿され、他方の歯溝ロール21の歯が一方の歯溝ロール20の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール20,21間に、複合シート10を挿入してこれを弾性発現処理させる。
弾性発現装置22においては、一対の歯溝ロール20,21の両方が駆動源によって駆動するようになっていてもよく(共回りロール)、一方の歯溝ロール20又は21のみが駆動源によって駆動するようになっていてもよい(連れ回りロール)が、本製造方法においては、下側の歯溝ロール21のみが駆動源によって駆動し、上側の歯溝ロール20は駆動源に接続されておらず、歯溝ロール21の回転に伴って従動する(連れ回る)ようになっている。歯溝ロール20,21の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
図4には、複合シート10が弾性発現処理される状態が模式的に示されている。複合シート10が歯溝ロール20,21間を通過する際には、複合シート10は、歯溝ロール20,21の歯23,24に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール21の歯24の歯面によって、従動ロールである歯溝ロール20の歯23の歯面に向けて押圧される領域(P2−P1間)においては、両歯20,21によって大きく延伸される。また、歯溝ロール21の歯24の先端部によって、歯溝ロール20の歯23から引き離される領域(P4−P3間)においては、前記領域(P2−P1間)程ではないが、大きく延伸される。
また複合シート10は、歯溝ロール20,21の歯23,24の先端部に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯23,24の先端部によって、その径方向に、つまり複合シート10の厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。但し領域(P3−P2間)と領域(P1−P4間)とは片押しされる方向が反対向きであるため、薄くなる方向が反対向きとなる。
前記の延伸プロセスによって、フィラメント13と両基材シート11,12との剥離を防止しつつ、複合シート10における両基材シート11,12を効率的に延伸させ、伸長性を付与することができる。複合シート10を、歯溝ロール20,21に通過させ、得られた伸縮性を有する複合シート10’は、歯溝ロール20、21を通過した直後から、延伸状態から開放され、フィラメント13自身の収縮方向の復元力により速やかに延伸前の長さに概ね回復する。このようにして得られた伸縮性を有する複合シート10’は、フィラメント13の延びる方向に沿って伸長可能なものであり、伸長状態を解除すると、フィラメント13が伸長前の長さに戻るように復元力を発現し、その結果伸縮性を有する複合シート10’は元の状態に概ね復帰する。
上述した伸縮性を有する複合シート10’は、例えばパンツ型使い捨ておむつの外装シートとして好適に用いられる。またこの用途以外に、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることもできる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。該構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(サブレイヤー等を含む)である表面シートや、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性を有する複合シート10’の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜60g/m2程度、厚み0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
次に本発明の第2の実施形態を、図5を参照しながら説明する。本実施形態については、先に述べた実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点について先に述べた実施形態に関する説明が適宜適用される。また、図5において図1ないし図4と同じ部材に同じ符号を付してある。
本実施形態の製造方法に用いられる装置は、1本の主ロール18と、3本の副ロール19a,19b,19cとを備えている。そして、主ロール18と第1副ロール19aによって初段のニップロールが構成され、主ロール18と第2副ロール19bによって2段目のニップロールが構成され、主ロール18と第3副ロール19cによって3段目のニップロールが構成される。更に図5に示す装置は、各段のニップロール間を順次通過するベルト状部材32を備えている。ベルト状部材32は無端ベルトである。ベルト状部材32は、基材シート11,12の搬送方向と同方向に周回している。
本装置を用いた複合シートの製造方法においては、ベルト状部材32によって、基材シート11,12間に樹脂材料からなるフィラメント13を挟持させた複合体20を搬送しながら、複合体20を各段のニップロール間に順次通す操作を行う。この操作によれば、第1副ロール19aと第2副ロール10bとの間、及び第2副ロール19bと第3副ロール19cとの間においても挟圧が行われる。換言すれば、複合体20を主ロール18に押しつける面積が大きくなる。その結果、各段におけるニップ圧を低くしても、基材シート11,12とフィラメント13との接合強度を高めることができる。また、ニップ圧を低くできるので、基材シート11,12が損傷を受けにくく、該基材シート11,12が本来有する風合いが一層損なわれにくくなる。
本実施形態においては、初段のニップロールのクリアランスを、押し出された樹脂材料の厚みと基材シートの厚みと、ベルト状部材の厚みの総和以上に設定することが好ましい。このような操作を行うことで、初段のニップロールにおいては、フィラメント13へのダメージが低減され、該フィラメント13が破断する等の不都合が生じづらくなる。2段目のニップロールにおいては、フィラメント13と基材シート11,12とが確実に接合し、両者の接合力が増す。
ベルト状部材32としては、例えば鉄鋼材及びステンレス鋼等の金属製材料や、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン及びそれらの複合材等の樹脂製材料を用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態においては副ロールを3本用いたが、これに代えて副ロールを2本のみ用いてもよく、あるいは4本以上の副ロールを用いてもよい。
また、本発明においては、多段に設置したニップロールのうち、初段のニップ圧よりも2段目のニップ圧を高くすればよく、ニップロールを3段以上設置した場合には、3段目以降のニップ圧は2段目のニップ圧よりも高くてもよく、又は低くてもよい。あるいは、3段目以降のニップ圧は2段目のニップ圧と同じでもよい。フィラメント13と基材シート11,12との接合強度を一層高める観点からは、後段ほどニップ圧を高くすることが好ましい。
また、前記実施形態においては、ダイから押し出された樹脂材料はフィラメントの形態をしていたが、これに代えて又はこれに加えて、樹脂材料をフィルムの形態で押し出してもよい。
さらに、前記実施形態においては、2枚の基材シート11,12の間に、ダイから押し出された樹脂材料を貼り合わせたが、これに代えて1枚の基材シートと、ダイから押し出された樹脂材料とを貼り合わせてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図2及び図3に示す装置を用いて伸縮性を有する複合シート製造した。主ロール18は金属製であった。2本の副ロールを使用し、第1副ロール19a及び第2副ロール19bはシリコンゴムロール製であった。第1及び第2の基材シート11,12として、坪量19g/m2、厚さ0.016mm(前記坪量から比重1.16とした厚み計算値)のエアスルー不織布を用いた。この不織布の構成繊維は直径19μm、最大伸度180%、繊維長44mmの芯鞘型複合繊維(芯:PET、鞘:PE)であった。フィラメント13の原料樹脂としては、SEPS樹脂(重量平均分子量5万、MFR60g/10分(230℃、2.16kg))からなるエラストマーを用いた。紡糸条件は、紡糸ヘッド17の温度310℃、紡糸ノズル16の径0.4mm、紡糸ノズル16のピッチ1mm、延伸倍率11倍とした。フィラメント13の直径は0.12mmであった。フィラメントの見かけ坪量(サンプル中のフィラメント重量/サンプリングシート面積)は10g/m2であった。前記材料の総和厚みは0.152mmであった。初段のニップロールのクリアランスは0.3mmとし、挟圧力は70N/cmとした。このクリアランスは、フィラメント13の直径と基材シートの厚みとの総和以上の値であった。2段目のニップロールのクリアランスはなく、ベタ押し(ゴムロールがつぶれた状態)とし、挟圧力は50N/cmとした。複合シートの弾性発現加工は、歯と歯底が軸長方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた弾性発現装置22を用いて行った。歯間及び歯底間のピッチはそれぞれ2.0mmであった(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mmとなる)。上下の歯溝ロールの押し込み量を調整し、延伸倍率3.3倍にて複合シート10を、フィラメント13の延びる方向に延伸させた。これにより弾性フィラメント13の延びる方向に伸縮する坪量47g/m2の複合シート10が得られた。
〔比較例1〕
実施例1において初段のニップロールのみを用い、2段目のニップロールは用いなかった。初段のニップロールのクリアランスは0.3mmとし、挟圧力は、70N/cmとした。それ以外は実施例1と同様にして伸縮性を有する複合シートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において初段のニップロールのみを用い、2段目のニップロールは用いなかった。初段のニップロールのクリアランスはなくベタ押しとし、挟圧力は70N/cmとした。それ以外は実施例1と同様にして伸縮性を有する複合シートを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例において、弾性発現加工を行う前の複合シートについてフィラメントと基材シートとの剥離強度を測定した。先ず、複合シートをフィラメントの延びる方向へ150mm、それと直交する方向へ25mmの大きさで切り出し試験片を得た。試験片の端から約30mmを剥がし、引張試験機((株)オリエンテック製、テンシロン、RTC1210A)に試験片をチャック間距離30mmで装着した。試験片を伸長方向へ300mm/分の速度で100mm剥離させた。その剥離間最大点荷重5点の平均値を剥離強度とした。その結果を以下の表1に示す。
また、実施例及び比較例において、弾性発現加工を行う前の複合シートについて風合いを評価した。評価は、女性モニター10人による官能評価とした。温度25℃、湿度40%の環境下、複合シートが見えない暗箱内で、モニターに複合シートを触らせてその風合いを以下の基準で評価させた。モニター10人の平均点(小数点以下を四捨五入)を風合いの評価点とした。その結果を以下の表1に示す。
5点:風合いが良い
4点:風合いがやや良い
3点:普通
2点:風合いがやや悪い
1点:風合いが悪い
Figure 0005149029
表1に示す結果から明らかなように、実施例で得られたシートは、剥離強度が高いにもかかわらず、良好な風合いを有するものであることが判る。これに対して、比較例1で得られたシートは、風合いは良好なものの、剥離強度が低いことが判る。逆に比較例2で得られたシートは、剥離強度は高いものの、風合いに劣ることが判る。
本発明の方法にしたがい製造される複合シートの一例を示す一部破断斜視図である。 本発明の製造方法に好適に用いられる装置を示す模式図である。 複合シートの延伸装置を示す模式図である。 図3に示す延伸装置によって複合シートが延伸される状態を示す模式図である。 本発明の製造方法に好適に用いられる別の装置を示す模式図である。
符号の説明
10 複合シート
11,12 基材シート
13 フィラメント
18 主ロール
19a,19b、19c 副ロール

Claims (5)

  1. ダイから押し出された樹脂材料を、搬送されている基材シートとともにニップロール間に通し、該基材シートと該樹脂材料とを貼り合わせて複合シートを製造する方法において、
    ニップロールを多段に設置し、初段のニップ圧よりも2段目のニップ圧を高くし、
    初段のニップロールの挟圧力が1〜150N/cmであり、2段目のニップロールの挟圧力が5〜200N/cmである複合シートの製造方法。
  2. 初段のニップロールのクリアランスを、押し出された樹脂材料の厚みと基材シートの厚みとの総和以上に設定する請求項1記載の複合シートの製造方法。
  3. 各段のニップロール間を順次通過するベルト状部材によって、基材シート間に樹脂材料を挟持させた複合体を搬送しながら、該複合体を各段のニップロール間に順次通す、請求項1記載の複合シートの製造方法。
  4. 初段のニップロールのクリアランスを、押し出された樹脂材料の厚みと基材シートの厚みと、ベルト状部材の厚みの総和以上に設定する請求項記載の複合シートの製造方法。
  5. 樹脂材料をフィラメント又はフィルムの状態で押し出す、請求項1ないしのいずれかに記載の複合シートの製造方法。
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