JP5155278B2 - イオン伝導性高分子電解質二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な正極および負極と、カーボネート等の非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水溶媒系電解液によって構成されている。非水溶媒を用いる理由は、鉛蓄電池やニッケル水素電池のような従来型の二次電池と比較してリチウムイオン電池が数倍高い作動電圧を有するため、従来型電池の電解液である水が電気分解してしまうためである。
ところが、非水系溶媒は可燃性で高引火性を有することが多く、従って、非水溶媒系電解液を使用した電池は漏液や発火の危険性を有している。
そこで、非水溶媒を高分子でゲル化したゲル状電解質の開発が行われている。このような試みとしては、例えば、カーボネート系溶媒とポリエチレングリコールジアクリレートからなるゲル状電解質が提案されている(例えば特許文献1)。ゲル状電解質は、カーボネート系溶媒の流動性や揮発性を抑制する効果があるので、上記の問題に対するリスクを多少低減する効果が期待できるが、実用上充分なイオン伝導度を得るためには、多量の非水溶媒を用いる必要があり、本質的な問題の解決には至っていない。
このような試みとしては、例えば、ポリエチレンオキシド系高分子に特定のアルカリ金属塩を含有させた高分子電解質が広く知られている。(例えば特許文献2)しかし、常温におけるイオン伝導性が極めて低く、実用上充分な充放電容量と出力を有する電池を得ることができないという問題があった。また、負極として高い安全性と信頼性を有するグラファイト系の材料を用いた場合には、充放電を繰り返すと急速に電池容量が減少してしまうという問題もあった。
上記の高分子電解質は、イオン伝導性に優れ、良好な出力を有する電池が得られるが、負極にグラファイト系の材料を用いた場合には、やはりサイクル特性が不十分であった。
このような問題を解決するために、グラファイト、金属リチウムおよび有機溶媒で構成される混合物に、高エネルギーボールミリング処理を行うことにより、黒鉛表面にリチウムと炭素からなる化合物膜を形成させることにより、良好な充放電サイクル特性を得ることが出来ると報告されている。(例えば特許文献4)
また、予めグラファイトにリチウムをドープさせて、安定な表面被膜を形成させることにより、良好な充放電サイクル特性を得ることが出来ると報告されている。(例えば特許文献5)
しかし、上記の特許文献に開示されている方法は、優れた効果が得られるものの、工程が非常に煩雑になるという問題があった。
(A)
組成がLiNi1−(x+y)CoxMyO2 (式中、0<x≦0.5、0<y≦0.5であり、M:Al、Mn、B、Ti、Nb、Wからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)である活物質を含み、合材層の重量が190g/m2未満の正極と、表面に非晶質炭素を被覆させたグラファイト材料を活物質として含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在してカチオンを移動させる高分子電解質層とを有する二次電池であって、
前記高分子電解質が高分子電解質[a]の表裏面に高分子電解質[b]が配置された電気化学デバイス用イオン伝導性高分子電解質であり、
高分子電解質[a]は、化1の式(1)で示される重合性含ホウ素化合物の重合体、化2の式(2)で示される高分子化合物および電解質塩および不織布を含む組成物であり、式(1)で示される化合物の重合体と式(2)で示される高分子化合物の質量比は、(式(1)で示される化合物の重合体の質量)/(式(2)で示される高分子化合物の質量)=5/95〜60/40の範囲であり、
高分子電解質[b]は式(2)で示される高分子化合物、電解質塩、シリカ微粒子および添加剤を混合してなる組成物であり、
前記添加剤はビニレンカーボネート、プロパンスルトンまたはエチレンサルファイトであり、その配合割合は、式(2)で示される高分子化合物と電解質塩の質量の合計100質量部に対してシリカ微粒子が2〜15質量部、添加剤が0.1〜10質量部であり、
高分子電解質[a]と[b]の質量比は、(高分子電解質[a]の質量)/(高分子電解質[b]の質量)=10/90〜70/30の範囲であることを特徴とする二次電池。
R1O−(A2O)k−R2 ・・・(2)
(R1,R2が炭素数1〜10の炭化水素基であり、A2Oが炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種または2種以上からなり、kがオキシアルキレン基の平均付加モル数で5〜10である。)
前記の不織布が、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維もしくはセルロース繊維からなる不織布であることを特徴とする前記の二次電池。
(C)
前記のシリカ微粒子が、粒子表面のシラノール基の一部がアルキル基で修飾されていることを特徴とする前記の二次電池。
(D)
式(2)で示される高分子化合物のエーテル化率が95%以上である前記の二次電池。
(E)
前記の高分子電解質[b]がポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートもしくはセルロースからなる微多孔質膜または、不織布に保持されていることを特徴とする前記の二次電池。
(F)
前記の高分子電解質[b]が正極および負極の合材層の空隙部に充填されていることを特徴とする前記の二次電池。
本発明の二次電池は、組成がLiNi1−(x+y)CoxMyO2 (式中、0<x≦0.5、0<y≦0.5であり、M:Al、Mn、B、Ti、Nb、Wからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)である活物質を含み、合材層の重量が190g/m2未満の正極と、グラファイト系炭素の表面に非晶質炭素を被覆させたグラファイト材料を活物質として含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在して前記カチオンを移動させる高分子電解質層とを有する二次電池である。前記高分子電解質は、以下に説明するように、高分子電解質[a]の表裏面に高分子電解質[b]が配置された電気化学デバイス用イオン伝導性高分子電解質からなる。本発明の二次電池の基本的構成は、従来公知の電池と同様であり、正極と負極とが高分子電解質層を介して積層されてケースに収納される。
高分子電解質[a]は、式(1)で示される重合性含ホウ素化合物の重合体および式(2)で示される高分子化合物および電解質塩、不織布を含むものである。
R1O−(A2O)k−R2 ・・・(2)
式(2)中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。得られるイオン伝導性高分子電解質のイオン伝導性の点から、炭素数が4より小さい炭化水素基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)中のh、i、jがこの範囲内にあると、十分な化学的安定性を有し、電池に用いたときに良好な出力とサイクル特性を有するイオン伝導性高分子電解質が得られる。
式(2)中のkが5〜10の範囲にあるとイオン伝導性高分子電解質の化学的安定性が十分で、ペースト状電解質の電極への充填性が良好になり、電池にしたときに十分な出力とサイクル特性が得られる。
式(1)で示される末端に重合性官能基を有する重合性含ホウ素化合物の製造方法は公知の方法で製造できる。特に製造方法は限定されないが、得られる化合物の純度と水分含有量の観点から、特開2008−117762号公報に開示された方法で製造することが好ましい。また下記の方法でも製造することができる。すなわち重合性官能基を有する一価のアルコールに、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウ酸アルキル等のホウ素化合物を加え、30〜200℃で乾燥ガスを通気しながら減圧し、ホウ酸エステル化することにより得ることができる。より具体的には、例えば、反応温度50〜100℃で乾燥空気を適当量通気しつつ、撹拌しながら2〜12時間、0.67〜66.7kPa(5〜500mmHg)の減圧下において脱水もしくは脱揮発分を留去する操作を行うことで、式(1)の化合物を得ることができる。
得られる重合性含ホウ素化合物に含まれる水分の低減等を考慮すると、ホウ酸トリアルキル、その中でもホウ酸トリメチルを用いて製造することが好ましい。
また、前記のホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリイソブチル、ホウ酸トリ−t−ブチル等のホウ酸トリアルキル化合物、無水ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、ピロホウ酸等のホウ素化合物が挙げられる。これらのうち、ホウ酸トリアルキル化合物が、得られるホウ酸エステルに含まれる水分等の不純物を低減できることから好ましく、なかでもホウ酸トリメチルとホウ酸トリエチルが反応温度を低くすることができ、副反応の抑制が可能なことからより好ましい。
ホウ酸トリアルキルを用いる場合には、重合性官能基を有する一価のアルコール3.0モルに対して1.0〜10.0モルのホウ酸トリアルキルを用いて、ホウ酸エステル化反応によって発生する揮発分と過剰のホウ酸トリアルキルを留去して製造することが好ましい。
ポリエチレングリコール(平均付加モル数2.2)モノメタクリレート525g(3.0モル)にホウ酸トリメチル207.6g(2.0モル)を加えた。攪拌しながら、乾燥空気雰囲気下60℃で1時間保持した。その後、75℃まで昇温してから、系内を徐々に減圧した。圧力が2.67kPa(20mmHg)以下の状態を6時間保持し、ホウ酸エステル交換反応の進行に伴って発生する揮発分および過剰のホウ酸トリメチルを除去した。その後、ろ過して式(1)に示す重合性含ホウ素化合物520gを得た。得られた重合性含ホウ素化合物の赤外吸収スペクトルを測定したところ、3300cm−1の水酸基に由来する吸収帯の消失が確かめられた。重合性含ホウ素化合物の分子構造を表1に示した。
式(2)で示される両末端に炭化水素基を有する高分子化合物は、公知の方法によって製造できる。特に製造方法は限定されないが、得られる化合物の純度と水分含有量の観点から、特開2008−117762号公報に開示された方法で製造することが好ましい。また下記の方法でも製造することができる。すなわち、まず反応容器に出発原料となる炭素数1〜10の炭化水素基を有する一価のアルコールとアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物を除くアルカリ触媒あるいはルイス酸触媒を加え、乾燥窒素ガス雰囲気下で加圧状態にした後、50〜150℃で攪拌しながらアルキレンオキシドを連続的に添加し、付加重合することにより、原料であるポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルを得る。次いで、得られたポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加え、モノハロゲン化炭化水素とのエーテル化反応を行うことにより、式(2)で示される高分子化合物を得ることができる。この際、下記の数式(1)で示されるエーテル化率が、高温環境下での電解質の安定性と電解質を用いた電池の信頼性の観点から、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上である。
[数1]
(1−式(2)で示される高分子化合物の水酸基価/ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの水酸基価)×100 ・・・数式(1)
なお、数式(1)の計算に使用する水酸基価とは、JIS−K−0070に準拠して測定した値である。
耐圧反応容器にメタノール242gとナトリウムメチラート2.25gを加え、反応容器内を窒素置換した。120℃まで昇温した後、エチレンオキシド2008gを連続的に加えた。エチレンオキシド添加終了後、120℃で1時間反応させた。次いで、80℃まで冷却した後、窒素ガスを吹き込みながら、1.34〜6.68kPa(10〜50mmHg)で30分間減圧処理を行い、残存したメタノールとエチレンオキシドを除去した。反応中間体のうち200gを取り出して、1N塩酸で中和してから窒素雰囲気下で脱水、濾過を行い、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルaを得た。得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテルaついてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定を行い、エチレンオキシドの平均付加モル数を算出したところ、6.5であった。残りの反応中間体に水酸化カリウム855gを加え、反応容器内を窒素置換した後、50℃に冷却した。メチルクロライド415gを加えてから80℃に昇温し、0.2MPaで1時間反応させた後、120℃に昇温し、さらに5時間反応させた。反応生成物を水洗した後、17.5%水溶液の塩酸で中和し、80℃に加熱して常圧で5時間、さらに110℃に昇温して1.34〜6.68kPa(10〜50mmHg)で1時間、減圧処理することにより脱水して、式(2)で示される高分子化合物aを得た。得られた高分子化合物のエーテル化率を数式(1)により算出したところ99.2%であった。高分子化合物の分子構造を表1に示した。
電解質塩濃度は、イオン伝導性高分子電解質1kgに対して、0.001〜5モルの範囲であることが好ましく、0.01〜3モルの範囲であることがより好ましい。この値が5モルを超えるとイオン伝導性高分子電解質前駆体の加工性や成形性が低下し、さらにイオン伝導性が低下する。
また作製方法にも特に制限はなく、従来公知の方法により作製したものを用いればよいが、例えば、一般的な湿式抄造により不織布を形成した後、熱処理を施した不織布を用いることができる。
不織布を構成する繊維の平均直径は、0.2〜30μmの範囲にあることが好ましい。また、不織布の重量は2〜50g/m2であることが好ましく、2〜40g/m2であることがさらに好ましく、2〜20g/m2であることが最も好ましい。
繊維の平均直径と不織布の重量と空隙率が上記の範囲内にあると、得られる高分子電解質[a]のイオン伝導性と強度のバランスが十分に高くなる傾向がある。
不織布は、バインダを含んでいても構わない。繊維同士の交点を有機物あるいは無機物のバインダで固定することにより、得られる高分子電解質[a]の強度が増し、寸法安定性が高くなる傾向がある。
不織布の厚みは、100μm以下が好ましく、60μm以下がさらに好ましい。また、高分子電解質[a]に占める不織布の質量割合は1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。このような厚みと質量割合にすることで、電池に用いたときの内部抵抗が小さくなり、良好なエネルギー密度が得られやすくなる。
式(1)で示される重合性含ホウ素化合物と式(2)で示される高分子化合物と電解質塩を各種の混練機や攪拌機を用いて均一に混合・分散した後、不織布に含浸させてから重合することで、高分子電解質[a]を得ることができる。
重合方法はイオン重合、ラジカル重合等、従来公知の方法を用いればよく、可視光、紫外線、電子線、熱等のエネルギーを使用し、適宜、重合開始剤などを用いて重合することにより、目的とする高分子電解質[a]を得ることができる。
本発明において、式(1)で示される含ホウ素化合物の重合体と式(2)で示される高分子化合物を含むイオン伝導性高分子電解質の作製に際して、重合開始剤は使用しても、使用しなくても良いが、作業性や重合速度の観点から熱ラジカル重合開始剤を使用したラジカル重合が好ましい。
上記のラジカル重合開始剤は、所望の重合温度と重合体の組成により適宜選択して用いれば良いが、電気化学デバイスに用いられる部材を損なわない目的から、分解温度および分解速度の指標である10時間半減期温度の範囲として30〜90℃のものが好ましい。
ラジカル重合開始剤を用いた重合体の作製は、用いたラジカル重合開始剤の10時間半減期温度に対して±10℃程度の温度範囲で、重合体中の重合性不飽和二重結合が実質的に無くなるまで適宜重合時間を調整して行えば良い。
高分子電解質[b]は、式(2)で示される高分子化合物、電解質塩、シリカ微粒子および添加剤を混合してなる組成物である。シリカ微粒子は、式(2)で表される高分子化合物をペースト状に増粘し、かつ電池の駆動電圧において安定なものであれば特に制限はないが、少量の配合で効果的に増粘できる点から、四塩化ケイ素を高温の水素炎中で燃焼することによって得られるフュームドシリカが好ましい。例えば日本アエロジル社が販売するアエロジル(商品名)等が好適に用いられる。
本発明の二次電池は、組成がLiNi1−(x+y)CoxMyO2 (式中、0<x≦0.5、0<y≦0.5であり、M:Al、Mn、B、Ti、Nb、Wからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)である活物質を含み、合材層の重量が190g/m2未満の正極と、グラファイト系炭素の表面に非晶質炭素を被覆させたグラファイト材料を活物質として含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在して前記カチオンを移動させる高分子電解質層とを有する二次電池である。その基本的構成は、従来公知の電池と同様であり、正極と負極とが高分子電解質層を介して積層されてケースに収納される。
負極活物質に用いるグラファイトの種類に特に限定はなく、天然グラファイトや人造グラファイト等、従来公知のグラファイトを用いることができる。グラファイトの表面を被覆する非晶質コークスの質量比率は、負極活物質全体の1〜10質量%であることが好ましく、3〜5質量%であることがさらに好ましい。
負極活物質の粒径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、初期効率、レート特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μmである。
また、負極活物質をアルゴンイオンレーザーラマン測定し、得られたスペクトルの1570〜1620cm−1の範囲に存在するピーク強度I−1に対する1350〜1370cm−1の範囲に存在するピーク強度I−2の比(I−2/I−1)であるRの値が、0.1〜0.5であることが好ましく、0.2〜0.5であることがさらに好ましい。負極活物質をこのような構成にすることで優れたサイクル特性を有する二次電池が得られやすくなる。
スラリーに用いる溶媒は活物質に対して不活性であり且つバインダーを溶解し得る限り特に制限されず、無機または有機の何れの溶剤であってもよい。好適な溶媒の一例としては、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
上記のバインダー用樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレン等のアルカン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の不飽和ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドン等の環を有するポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド等のアクリル系ポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリビニリデンシアニド等のシアノ基含有ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン含有ポリマー、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が挙げられる。また、上記のポリマーの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常10000〜3000000、好ましくは100000〜1000000とされる。分子量が低過ぎる場合は塗膜の強度が低下し、高過ぎる場合は、粘度が高くなり合材層の形成が困難になる。
本発明の二次電池の作製方法には特に制限は無く、従来公知の二次電池の作製方法を用いて行えば良いが、例えば以下の方法で作製することもできる。高分子電解質[a]の表裏面に高分子電解質[b]を塗布してなるイオン電導性高分子電解質を正極と負極との間に挟み込むことで作製することができる。また、予め正極および負極の合材層上に高分子電解質[b]を塗布した後、前記、正極および負極の間に高分子電解質[a]を挟み込むことでも二次電池を作製することが出来る。いずれの方法で電池を作成する場合でも、電極の空孔部に高分子電解質[b]を十分に充填することで電池の出力特性やサイクル特性が良好になる傾向がある。この際、高分子電解質[b]は高分子電解質[a]や電極の合材層に塗布するのではなく、予めポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートもしくはセルロースからなる不織布または微多孔質膜に含浸し、空隙を満たすように均一に保持させておいてから、高分子電解質[a]の表裏面に配置しても良い。この際、当該不織布は、既述の不織布と同様のものを用いれば良い。また、微多孔質膜には特に制限は無いが、例えば、溶融押し出し成形法により作製にした樹脂膜を一軸延伸することで、微孔を形成した微多孔質膜を使用することができる。
その他、携帯ゲーム機器、電動工具、電動式自転車、ハイブリット自動車、電気自動車、電力貯蔵システム等の幅広い分野において使用することができる。
以下に示す組成に従って2時間プラネタリーミキサーで混練・分散処理し、正極用スラリーと負極用スラリーを調整した。
LiNi0.80Co0.15Al0.05O2(活物質) : 90.0部
アセチレンブラック(導電材) : 5.0部
ポリフッ化ビニリデン(パインダー) : 5.0部
N−メチルピロリドン(溶剤) :100.0部
非晶質炭素表面被覆グラファイト(活物質) : 90.0部
ポリフッ化ビニリデン(バインダー) : 10.0部
N−メチルピロリドン :150.0部
高分子電解質[a−1]の調整に使用した原料は以下の通りである。そして、以下に示す組成に従って配合、溶解し高分子電解質[a−1]の前駆体を得た。得られた高分子電解質[a−1]の前駆体をガラス繊維製不織布に滴下、含浸させ、80℃で2時間重合反応して厚みが60μmである高分子電解質[a−1]を得た。
重合性含ホウ素化合物(分子構造を表1に示す) :13.3部
高分子化合物(分子構造を表1に示す) :76部
リチウムビスオキサレートボレート(電解質塩) :10.7部
アゾイソブチロニトリル(ラジカル重合開始剤) :0.5部
高分子電解質[b]の調整に使用した原料は以下の通りである。そして、以下に示す組成に従って三本ロールミルにより30分間、配合、攪拌して高分子電解質[b]を調整した。
高分子化合物(分子構造を表1に示す) :89部
リチウムビスオキサレートボレート(電解質塩) :11部
シリカ微粒子 :6部
プロパンスルトン(添加剤) :0.5部
上記と同様に、負極用スラリーを厚さ20μmの銅箔上に塗布、乾燥し、負極合材層が形成されたシートを得た。得られたシートをロールプレスし、合材層厚約85μmの負極を得た。得られた負極の目付け量は、110g/m2で空隙率は25体積%であった。
高分子電解質[a]と[b]の質量比は、(高分子電解質[a]の質量)/(高分子電解質[b]の質量)は15/85であった。
(高分子電解質[a−2]組成)
重合性含ホウ素化合物(分子構造を表1に示す) :25部
高分子化合物(分子構造を表1に示す) :75部
リチウムビス(ヘキサフルオロエチレン)スルフォニルイミド(電解質塩):20部
アゾイソブチロニトリル(ラジカル重合開始剤) :0.5部
実施例2において、正極の目付けを150g/m2から200g/m2に変更し、負極活物質の目付けを110g/m2から147g/m2に変更した以外は、実施例2と同様にして電池を作製した。なお、正極と負極の膜圧は各々約79μmと115μmで、電池の設計容量は2190mAhであった。
実施例1において、高分子電解質[b]のプロパンスルトンの配合量を0.5部から15部に変更した以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
実施例2において、高分子電解質[a]のガラス不織布の替わりにポリオレフィン多孔質膜(セルガード社製、商品名 セルガード#2400)を用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製した。
実施例2において、高分子電解質[b]にシリカ微粒子を配合しなかった以外は、実施例2と同様にして電池を作製した。
実施例2において、高分子電解質[b]の替わりに下記のカーボネート系電解液を用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製した。
(電解液組成)
エチレンカーボネート :50部
ジエチルカーボネート :50部
リチウムビスオキサレートボレート :10部
プロパンスルトン(添加剤) :2部
実施例2において、高分子電解質[a]の替わりにPEO電解質を用いた以外は実施例2と同様に電池を作製した。PEO電解質の作製方法を以下に説明する。
アルゴン置換したグローブボックス内で、エチレンオキシドの平均付加モル数23,000 のポリエチレンオキシド( アルドリッチ社製) 10g にアセトニトリル250gを加え、均一になるまで撹拌した。次いで、リチウムビスオキサレートボレート2.5gを加え、溶解するまで撹拌した。得られた高分子電解質前駆体をPETフィルム上に塗布し、40℃ で1.5時間加熱した後、100℃で2時間加熱しPEO電解質を得た。
実施例2において、負極活物質として非晶質炭素表面被覆グラファイトの代わりに非晶質炭素被覆を施していないグラファイトを用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製した。
以上の電池に関して、負荷特性、容量維持率、屈曲充放電特性および安全性の評価を行なった。ここで、負荷特性、容量維持率、屈曲充放電特性および安全性の評価方法について説明する。
電池設計容量を1C電流値とした。
<負荷特性>
室温で充電電流0.5C、充電電圧4.20Vの定電流定電圧充電で電流値がC/20となるまで充電した後、放電電流0.2C、終止電圧3.00Vの条件で放電を行なった時の放電容量(mAh)を0.2C放電容量とした。
また、室温で充電電流0.5C、充電電圧4.20Vの定電流定電圧充電で電流値がC/20となるまで充電した後、放電電流0.5C、終止電圧3.00Vの条件で放電を行なった時の放電容量(mAh)を0.5C放電容量とした。
得られた結果から、下記の数式(2)により負荷特性(%)を算出した。
[数2]
負荷特性(%)=(0.5C放電容量)x100/(0.2C放電容量) ・・・数式(2)
室温で充電電流0.5C、充電電圧4.20Vの定電流定電圧充電で電流値がC/20となるまで充電した後、放電電流0.2C、終止電圧3.00Vの条件で充放電を500サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量(mAh)と500サイクル目の放電容量(mAh)から下記の数式(3)により容量維持率を算出した。
[数3]
容量維持率(%)=(500サイクル目の放電容量)x100/(1サイクル目の放電容量) ・・・数式(3)
室温で充電電流0.5C、充電電圧4.20Vの定電流定電圧充電で電流値がC/20となるまで充電した後、放電電流0.2C、終止電圧3.00Vの条件で放電した。その後、電池の表面方向と裏面方向に曲率半径R=27cmで交互に100回屈曲させてから、上記の条件で再度充放電を20サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量(mAh)と20サイクル目の放電容量から下記の数式(4)により屈曲充放電特性(%)を算出した。
[数4]
屈曲充放電特性(%)=(20サイクル目の放電容量)x100/(1サイクル目の放電容量) ・・・数式(4)
室温で充電電流0.5C、充電電圧4.20Vの定電流定電圧充電で電流値が0.2Cとなるまで充電を行い、充電後の電池に対して鉄製の釘(直径2.7mm)を100mm/secの速度で刺した。
上記釘刺し試験後の電池について、発煙、発火等の異常の有無を目視で確認した。
一方、比較例1〜8の電池は、本発明の構成要件を満たさないため、負荷特性、容量維持率、屈曲充放電特性または安全性の何れかあるいは複数の特性が不十分である。
Claims (6)
- 組成がLiNi1−(x+y)CoxMyO2 (式中、0<x≦0.5、0<y≦0.5であり、M:Al、Mn、B、Ti、Nb、Wからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)である活物質を含み、合材層の重量が190g/m2未満の正極と、表面に非晶質炭素を被覆させたグラファイト材料を活物質として含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在してカチオンを移動させる高分子電解質層とを有する二次電池であって、
前記高分子電解質が高分子電解質[a]の表裏面に高分子電解質[b]が配置された電気化学デバイス用イオン伝導性高分子電解質であり、
高分子電解質[a]は、化1の式(1)で示される重合性含ホウ素化合物の重合体、化2の式(2)で示される高分子化合物および電解質塩および不織布を含む組成物であり、式(1)で示される化合物の重合体と式(2)で示される高分子化合物の質量比は、(式(1)で示される化合物の重合体の質量)/(式(2)で示される高分子化合物の質量)=5/95〜60/40の範囲であり、
高分子電解質[b]は式(2)で示される高分子化合物、電解質塩、シリカ微粒子および添加剤を混合してなる組成物であり、
前記添加剤はビニレンカーボネート、プロパンスルトンまたはエチレンサルファイトであり、その配合割合は、式(2)で示される高分子化合物と電解質塩の質量の合計100質量部に対してシリカ微粒子が2〜15質量部、添加剤が0.1〜10質量部であり、
高分子電解質[a]と[b]の質量比は、(高分子電解質[a]の質量)/(高分子電解質[b]の質量)=10/90〜70/30の範囲であることを特徴とする二次電池。
(Bがホウ素原子、Z1,Z2,Z3がアクリロイル基またはメタクリロイル基であり、A1Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種または2種以上からなり、h,i,jがオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜3である。)
[化2]
R1O−(A2O)k−R2 ・・・(2)
(R1,R2が炭素数1〜10の炭化水素基であり、A2Oが炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種または2種以上からなり、kがオキシアルキレン基の平均付加モル数で5〜10である。) - 前記不織布が、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維もしくはセルロース繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
- 前記シリカ微粒子が、粒子表面のシラノール基の一部がアルキル基で修飾されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
- 式(2)で示される高分子化合物のエーテル化率が95%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記高分子電解質[b]がポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートもしくはセルロースからなる不織布または微多孔質膜に保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記正極および負極の合材層が空隙を有する多孔質体で、合材層全体の体積に対する空隙の体積割合(空隙率)が5〜50体積%であり、空隙の一部もしくは全部に高分子電解質[b]が充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
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