JP5158081B2 - 静電荷像現像用正帯電性トナー - Google Patents

静電荷像現像用正帯電性トナー Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用正帯電性トナー(以下、単に「正帯電性トナー」又は「トナー」と称することがある。)に関する。更に詳細には、トナー補給方式の画像形成装置にも適用可能な静電荷像現像用正帯電性トナーに関する。
電子写真装置、静電記録装置、静電印刷装置等の画像形成装置は、感光体上に形成される静電潜像を、静電荷像現像用トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施され、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれら複合機等に適用されている。
例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、一般には光導電性物質からなる感光体の表面を種々の手段で一様に帯電させた後、当該感光体上に静電潜像を形成する。次いで当該静電潜像を、トナーを用いて現像し、用紙等の記録材にトナー画像を転写した後、加熱等により定着し複写物を得るものである。
現像に用いられるトナーには、負帯電性トナーと正帯電性トナーがある。正帯電性トナーは、オゾンの発生を抑制し、良好な帯電性が得られるため、近年好ましく用いられている。
また、現像に用いられるトナーは、トナーの帯電安定性、流動性、及び耐久性等を向上させることを目的として、一般に着色樹脂粒子(トナー粒子)よりも粒径の小さい無機微粒子や有機微粒子等の外添剤が、トナー粒子の表面に、外添(付着添加)されて用いられている。
従来の外添剤を用いて得られるトナーでは、多枚数の連続印刷を行なう過程において、現像装置内での機械的ストレス(撹拌等によるトナー粒子同士の接触回数増大)等が原因となって、外添剤がトナー粒子の表面に埋没、及び/又はトナー粒子の表面から遊離(脱離)する。このため、外添剤としての機能が低下し、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しくなる。
また、外添剤が埋没したトナー粒子は、感光体表面へトナー粒子が付着する現象(フィルミング現象)を引き起こす原因となって、カブリ等による画質の劣化が起こり易くなる。トナー粒子の表面から遊離(脱離)した外添剤は、感光体を損傷させる。これらのことはトナーの印字耐久性を低下させるなどの印字性能に悪影響を及ぼす原因であり問題となっている。
このため、多枚数の連続印刷を行なう過程において、現像装置内で撹拌等によるトナー粒子同士の接触回数が増大しても、上記外添剤の埋没、及び/又は遊離などの不具合が生じず、外添剤を好適に付着させた状態を経時的に維持し、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与できるトナーが望まれている。
上記トナーの開発によれば、補給方式の画像形成装置にも適用が可能となる。
従来の画像形成装置で用いられてきたトナーは、トナーが残り少なくなった際には、カートリッジごと取り替える交換方式が採用されてきたが、近年では、環境面、及びコスト面の要請から、残り少なくなったトナー(残トナー)に、新たなトナー(新トナー)を補給できる画像形成装置にも対応し得るトナーが求められている。
上記補給方式の画像形成装置において、初期の段階のトナーは、トナー粒子の表面に均一に外添剤が付着しているため、良好な帯電安定性、流動性、及び耐久性を示す。しかし、多枚数の連続印刷を行なった後の残トナーは、現像装置内での機械的ストレス等によって、外添剤が埋没、及び/又は遊離するため、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しくなる。
上記残トナーに、新しくトナーを補給すると、粒子表面の帯電状態が互いに異なるトナーが混ざり合うため、帯電変動が起こり、帯電安定性が不良となり、トナー補給直後の初期印刷時では、帯電立ち上がり性が低下し、初期カブリが発生し易くなり、感光体へのフィルミングが起こり易くなる等の印字性能に悪影響を及ぼすことが問題となっている。
このため、残トナーの着色樹脂粒子の表面に、外添剤を好適に付着させた状態を経時的に維持し、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子(残トナー)に付与し、新トナーを補給する際に帯電変動が起こり難く、補給方式の画像形成装置にも適用が可能となるトナーの開発が望まれている。
特許文献1では、トナー母粒子に、長鎖脂肪酸塩を添加して外添処理することにより得られるトナーが開示されている。長鎖脂肪酸塩としてステアリン酸マグネシウムの粉末を、トナー母粒子100質量部に対して0.1質量部添加して外添処理することが記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示されているステアリン酸マグネシウムの粉末は、社名、商品名、及び平均粒子径などの具体的な記載がなく、実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
特許文献2、及び3では、トナー母粒子に、金属石鹸を添加して外添処理することにより得られるトナーが開示されている。金属石鹸として微粒子ステアリン酸カルシウム(日油社製)を、トナー母粒子100重量部に対して0.2重量部添加して外添処理することが記載されている。
しかしながら、特許文献2、及び3に開示されているトナーは、クリーニング性の改善を目的として金属石鹸を含有させ、感光体へのフィルミングが起こり難く、実質的に感光体のクリーニング手段が不要なトナーであると考えられるものの、補給方式の画像形成装置にも適用できるほどの印字性能は有していない。
特許文献4では、トナー粒子に、脂肪酸金属塩粒子を添加して外添処理することにより得られる一成分現像剤が開示されている。脂肪酸金属塩粒子としてステアリン酸亜鉛粒子(平均粒径Ds50:2.9μm)を、トナー粒子100部に対して0.3部添加して外添処理することが記載されている。
しかしながら、特許文献4に開示されているトナーは、クリーニング性の改善を目的として脂肪酸金属塩粒子を含有させ、感光体へのクリーニング不良を防止し、フィルミングが起こり難いトナーであると考えられるものの、補給方式の画像形成装置にも適用できるほどの印字性能は有していない。
特許文献5では、トナー母粒子に、金属石鹸粒子を添加して外添処理することにより得られる負帯電球形トナーの製造方法が開示されている。金属石鹸粒子としてステアリン酸マグネシウム(日油社製、商品名:MM−2、平均粒子径:1.9μm)、又はステアリン酸カルシウム(日油社製、商品名:MC−2、平均粒子径:1.1μm)を、トナー母粒子3.0kgに対して3g添加して外添処理することが記載されている。
しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献5に開示されているステアリン酸カルシウム(日油社製、商品名:MC−2、平均粒子径:1.1μm)を用いて得られるトナーは、トナー補給直後の初期印刷時にカブリが発生し、印字耐久性にも劣るトナーであり、補給方式の画像形成装置には不適用なトナーであることが判明している。
特開2004−219935号公報 特開2005−274643号公報 特開2005−274722号公報 特開平9−236942号公報 特開2006−201563号公報
本発明の目的は、トナー補給方式の画像形成装置にも対応し、トナーの補給時において、トナーの帯電安定性に優れ、帯電立ち上がり性が良好であり、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与でき、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れる静電荷像現像用正帯電性トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、外添剤として特定の特性を有する脂肪酸アルカリ金属塩粒子または脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を、特定量用いることにより、トナー補給直後の初期印刷時において、帯電立ち上がり性が良好となり、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
上記外添剤が、個数平均一次粒径が0.1〜1μmである脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を含有し、当該脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、着色樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、且つ、
上記外添剤が、個数平均一次粒径が5〜18nmであるシリカ微粒子(A)、及び個数平均一次粒径が20〜80nmであるシリカ微粒子(B)をさらに含有し、且つ、
トナー補給方式の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用正帯電性トナーである。
本発明においては、前記帯電制御剤が、帯電制御樹脂であることが好ましい。
本発明は、湿式法により得られるトナーであることが好ましい。
本発明においては、前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記着色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜3重量部であることが好ましい。
本発明においては、前記シリカ微粒子(B)の含有量が、前記着色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜3重量部であることが好ましい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーによれば、トナー補給方式の画像形成装置にも対応でき、トナーの補給時において、トナーの帯電安定性に優れ、帯電立ち上がり性が良好であるため、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れる静電荷像現像用正帯電性トナーが提供される。
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
上記外添剤が、個数平均一次粒径が0.1〜1μmである脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を含有し、当該脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、着色樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5重量部であることを特徴とするものである。
以下、本発明の静電荷像現像用正帯電性トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)について説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含んでなる着色樹脂粒子、並びに、外添剤として、特定の特性を有する脂肪酸アルカリ金属塩粒子または脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を、特定量含有させることにより得られる。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性などの印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、分散重合法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本発明の着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することができる。
湿式法の中でも好ましい(A)懸濁重合法を採用し、または乾式法の中でも代表的な(B)粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
(A)懸濁重合法
(1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行なう。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な化合物をいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、ホットオフセット改善のために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の、ポリアルコールの不飽和カルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、トナーの保存性と低温定着性とのバランスが良好になるため、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることが好ましい。マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するもので、数平均分子量が、通常1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTg(ガラス転移温度)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
本発明において、ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いても良く、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、結着樹脂(又は重合性単量体)との相溶性が高く、安定した帯電性をトナー粒子に付与させることができるので、帯電制御剤としては帯電制御樹脂を添加することが好ましい。帯電制御樹脂は、正帯電性の正帯電制御樹脂と負帯電性の負帯電制御樹脂とに大別されるが、本発明においては、正帯電性トナーを得る観点から、正帯電制御樹脂を添加することが好ましい。
本発明の帯電制御樹脂としては、種々の市販品を用いることができ、例えば、藤倉化成社製としては、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の動植物ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の石油ワックス並びにその変性ワックス;などの天然ワックス、並びに、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;フィッシャートロプシュワックス;直鎖飽和一価アルコールの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ジグリセリンの脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ポリグリセリンの脂肪酸エステル等のエステルワックス;エステルアマイドワックス;ケトンワックス;置換尿素化合物;などの合成ワックス等が挙げられる。これらの中でもエステルワックスが好ましい。
エステルワックスの中でも、トナー合成時のモノマーへの溶解性という観点から、分岐数が3以上の化合物が好ましく、具体的にはグリセリントリステアレート、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジグリセリンテトラパルミテート、ジグリセリンテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びヘキサグリセリンオクタベヘネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N、N'−ジメチル−N、N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、N、N'−ジオクタデシル−N、N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01
〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明において、水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。
本発明において、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、特に、高温高湿下の画像品質を悪化させないので好ましい。
上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチル−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜15重量部であることがより好ましく、1.0〜10重量部であることがさらに好ましい。
(3)重合工程
上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜98℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行ないながら重合反応を進行させてもよい。
本発明において、重合工程により得られる着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。
コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
本発明において用いるシェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
(4)洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程
上記(3)重合工程後に得られる着色樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なわれることが好ましい。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液中に残存する分散安定化剤を除去するために、着色樹脂粒子の水分散液に、酸又はアルカリを添加し洗浄を行なう。
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、pHを6.5以下に調整することが好ましい。より好適にはpH6以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、分散安定化剤の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
先ず、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
(5)着色樹脂粒子
前述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法により着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、画像再現性の観点から、5〜15μmであることが好ましく、6〜12μmであることがより好ましく、7〜10μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下する場合がある。
また、本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比である粒径分布(Dv/Dp)は、画像再現性の観点から、1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dp)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、及び個数平均粒径Dpは、粒径測定機を用いて測定される値である。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が上記範囲未満の場合、印字の細線再現性が悪くなる虞がある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.6μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 0005158081
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
(6)外添工程
前述の(A)重合法または(B)粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、本発明で特定した外添剤と共に、混合攪拌することにより、当該外添剤を着色樹脂粒子の表面に好適に付着添加(外添)させることができる。
本発明で特定した外添剤を、着色樹脂粒子の表面に付着添加(外添)する方法は、特に限定されないが、例えば高速撹拌機として、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)、ノビルタ(:商品名、ホソカワミクロン社製)等の混合攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明で特定した外添剤は、脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子である。
本発明において外添剤として用いる「脂肪酸アルカリ金属塩粒子」、及び「脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子」とは、脂肪酸と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩の粒子のことをいう。
「脂肪酸」とは、カルボキシル基(−COOH)1個をもつカルボン酸(R−COOH)のうち、鎖式構造をもつものを総称していう。
本発明において、脂肪酸アルカリ金属塩、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩を構成する、脂肪酸は、アルキル基(R−)の炭素数が多い脂肪酸(高級脂肪酸)であることが好ましい。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸(CH(CH10COOH)、トリデカン酸(CH(CH11COOH)、ミリスチン酸(CH(CH12COOH)、ペンタデカン酸(CH(CH13COOH)、パルミチン酸(CH(CH14COOH)、ヘプタデカン酸(CH(CH15COOH)、ステアリン酸(CH(CH16COOH)、アラキジン酸(CH(CH18COOH)、ベヘン酸(CH(CH20COOH)、リグノセリン酸(CH(CH22COOH)等が挙げられる。
本発明において外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子は、脂肪酸と、アルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs)またはアルカリ土類金属(Be,Mg,Ca,Sr,Ba)との塩の粒子である。
脂肪酸アルカリ金属塩、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩としては、具体的に、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、及びラウリン酸カリウムなどのラウリン酸アルカリ金属塩;ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、及びラウリン酸バリウムなどのラウリン酸アルカリ土類金属塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、及びミリスチン酸カリウムなどのミリスチン酸アルカリ金属塩;ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、及びミリスチン酸バリウムなどのミリスチン酸アルカリ土類金属塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、及びパルミチン酸カリウムなどのパルミチン酸アルカリ金属塩;パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、及びパルミチン酸バリウムなどのパルミチン酸アルカリ土類金属塩;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、及びステアリン酸カリウムなどのステアリン酸アルカリ金属塩;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸バリウムなどのステアリン酸アルカリ土類金属塩;等が挙げられる。
これらの中でも、本発明では個数平均一次粒径が0.1〜1μmである、脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を外添剤として用いる。
上記列記した脂肪酸アルカリ金属塩、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩は、本発明で特定した個数平均一次粒径(0.1〜1μm)を有する、脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子であれば特に限定されないが、脂肪酸アルカリ金属塩、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩を構成する、脂肪酸のアルキル基の炭素数は、12〜24であることが好ましく、14〜22であることがより好ましく、16〜20であることがさらに好ましい。また、アルカリ金属は、リチウムであることが好ましく、アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウムであることが好ましい。
本発明において、好ましく用いられる脂肪酸アルカリ金属塩、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩としては、具体的に、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明で特定した個数平均一次粒径(0.1〜1μm)を有する、脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子は、種々の市販品を用いることができ、例えば、堺化学工業社製の市販品としては、SPL−100F(ステアリン酸リチウム、個数平均一次粒径:0.71μm)、SPX−100F(ステアリン酸マグネシウム、個数平均一次粒径:0.72μm)、SPC−100F(ステアリン酸カルシウム、個数平均一次粒径:0.51μm)等が挙げられる。
本発明において外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の個数平均一次粒径は、0.1〜1μmであり、0.2〜0.8μmであることが好ましい。
上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の個数平均一次粒径が、上記範囲にある場合には、トナー補給直後の初期印刷時において、帯電立ち上がり性が良好となり、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起り難く印字耐久性に優れるトナーが得られる。
また、上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の個数平均一次粒径が、上記範囲未満である場合には、感光体へのフィルミングが起り易くなり、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、トナー補給直後の初期印刷時において、帯電立ち上がり性が低下し、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できなくなり、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量は、着色樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、0.01〜0.3であることが好ましく、0.02〜0.2重量部であることがより好ましい。
なお、脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子は、外添剤として単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、上記範囲にある場合には、トナー補給直後の初期印刷時において、帯電立ち上がり性が良好となり、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起り難く印字耐久性に優れるトナーが得られる。
また、上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、上記範囲未満である場合には、所望の外添剤としての機能が得られず、感光体へのフィルミングが起り易くなり、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、上記範囲を超える場合には、トナー補給直後の初期印刷時において、帯電立ち上がり性が低下し、フィルミングが起り易くなり、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できなくなり、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子は、疎水化処理されていてもよい。疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、及びシリコーンオイル等を使用することができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン;環状シラザン;トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のアルキルシラン化合物、並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;等が挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
疎水化処理剤は、上記のうち、1種あるいは2種以上含有してもよく、シランカップリング剤、またはシリコーンオイルを用いると、得られるトナーは、高画質が得られるものとなるのでより好ましい。
本発明において外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を疎水化処理する方法としては、一般的な方法を用いることができ、乾式法、湿式法が挙げられる。
具体的には、外添剤として用いる脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を高速で撹拌しながら、上記疎水化処理剤を滴下または噴霧する方法、及び上記疎水化処理剤を有機溶媒に溶解し、疎水化処理剤を含有する有機溶媒を撹拌しながら脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を添加する方法等が挙げられる。
本発明において、前述の本発明で特定した外添剤(脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子)の他に、下記特定の個数平均一次粒径を有するシリカ微粒子(A)、又はシリカ微粒子(B)を用いることが好ましく、シリカ微粒子(A)、及びシリカ微粒子(B)を併用して用いることがより好ましい。
本発明において、前述の本発明で特定した外添剤(脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子)の他に、粒径の異なる外添剤(シリカ微粒子(A)、及びシリカ微粒子(B))を併用する場合は、着色樹脂粒子と全外添剤とを、高速撹拌機に入れ、一度に外添処理を行なうこともできるが、先ず着色樹脂粒子と比較的粒径の大きい外添剤のみを高速撹拌機に入れて外添処理を行った後に、比較的粒径の小さい外添剤をさらに加えて、外添処理を行なうことが好ましい。
シリカ微粒子(A)の個数平均一次粒径は、5〜18nmであることが好ましく、6〜16nmであることがより好ましく、7〜14nmであることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(A)の個数平均一次粒径が、上記範囲未満である場合には、トナー粒子の表面に埋没し易くなり、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
シリカ微粒子(B)の個数平均一次粒径は、20〜80nmであることが好ましく、25〜65nmであることがより好ましく、30〜50nmであることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(B)の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、印刷時には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、好ましく用いられるシリカ微粒子(A)は、種々の市販品を用いることができ、例えば、クラリアント社製のHDK H2150VP(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);日本アエロジル社製のNA200Y(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、RA200HS(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);テイカ社製のMSP−012(:商品名、個数平均一次粒径:16nm)、MSP−013(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);等が挙げられる。
本発明において、好ましく用いられるシリカ微粒子(B)は、種々の市販品を用いることができ、例えば、日本アエロジル社製のNA50Y(:商品名、個数平均一次粒径:35nm)、VPNA50H(:商品名、個数平均一次粒径:40nm);テイカ社製のMSP−011(:商品名、個数平均一次粒径:30nm);クラリアント社製のH05TA(:商品名、個数平均一次粒径:50nm);等が挙げられる。
上記シリカ微粒子(A)、及びシリカ微粒子(B)は、共に疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理剤、及び疎水化処理の方法は、前述の外添剤(脂肪酸アルカリ金属塩粒子、及び脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子)の場合と同様に行うことができる。
シリカ微粒子(A)の含有量は、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましく、0.2〜2.5重量部であることがより好ましく、0.3〜2重量部であることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(A)の含有量が、上記範囲未満である場合には、流動性が低下し、画像のカスレが発生する場合がある。一方、シリカ微粒子(A)の含有量が、上記範囲を超える場合には、定着不良が発生する場合がある。
シリカ微粒子(B)の含有量は、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましく、0.3〜2.5重量部であることがより好ましく、0.4〜2重量部であることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(B)の含有量が、上記範囲未満である場合には、帯電量が低下し、カブリが発生する場合がある。一方、シリカ微粒子(B)の含有量が、上記範囲を超える場合には、流動性が低下し、画像のカスレが発生する場合がある。
(7)トナー
上記(1)〜(6)工程を経て得られるトナーは、外添剤として、特定の個数平均一次粒径を有する脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を特定量用いることにより、トナー補給直後の初期印刷時において、トナーの帯電安定性に優れ、帯電立ち上がり性が良好で、初期カブリが少なく、感光体へのフィルミングが起こり難く、経時的に安定した帯電性をトナー粒子に付与できるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れる、トナー補給方式の画像形成装置にも適用可能なトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)外添剤の個数平均一次粒径
外添剤の個数平均一次粒径は、各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置(ニレコ社製、商品名:ルーゼックスIID)により、フレーム面積に対する粒子の面積率:最大2%、トータル処理粒子数:100個の条件で粒子の投影面積に対応する円相当径を算出し、その算術平均の値を求めた。
(2)着色樹脂粒子
(2−1)体積平均粒径Dv、及び粒径分布Dv/Dp
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dp)を測定し、粒径分布(Dv/Dp)を算出した。
(2−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に着色樹脂粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)トナーの帯電量
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(ブラザー工業社製、商品名:HL−5040、印刷スピード:A4サイズ18枚/1分)を用い、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で5枚印刷を行なった後、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS−2A)を用いて現像ローラ上に付着したトナーの帯電量を測定し、トナーの単位重量当たりの帯電量(μC/g)に換算して求めた。
(4)トナーの画質評価
(4−1)印字耐久性
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(ブラザー工業社製、商品名:HL−5040、印刷スピード:A4サイズ18枚/1分)を用い、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で12,000枚まで連続印刷を行ない、500枚毎にカブリ値を測定した。
カブリ値は以下のようにして測定した。
500枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:NDW−1D)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が3以下の画質を維持できる連続印刷枚数をカウントした。
なお、表1中、カブリ発生枚数が、「12,000<」と記載されているものは、12,000枚の時点で、カブリ値が3以下の画質を維持できたことを示す。
(4−2)補給直後の初期カブリ
上記(4−1)印字耐久性試験終了後、現像装置内の残トナーを30g残し、新トナー100gを補給して白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:NDW−1D)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
トナー補給直後の印刷時においては、3以上のカブリ値を示すが、印刷を重ねるごとに徐々にカブリ値が低下する。印刷によりカブリ値が3以下になった時の枚数をカウントし、補給直後の初期カブリ消滅枚数とした。
(4−3)フィルミング
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(ブラザー工業社製、商品名:HL−5040、印刷スピード:A4サイズ18枚/1分)を用い、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、1%印字濃度で印字試験を行ない、500枚毎にハーフトーン印字(印字濃度50%)をして、感光体へのフィルミングの発生の有無を確認した。
ハーフトーン画像に白くぼけた画像が初めて確認されたときの枚数を、フィルミング発生枚数としてカウントし、最大で10,000枚まで印字試験を行なった。
なお、表1中、フィルミング発生枚数が、「10,000<」と記載されているものは、10,000枚の時点で、感光体へのフィルミングの発生がなかったことを示す。
(実施例1)
モノビニル単量体としてスチレン83部及びn−ブチルアクリレート17部(得られる共重合体の計算Tg=60℃)、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部、正帯電性の帯電制御剤(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成社製、商品名:FCA−207P)1部、架橋性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.9部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA6)0.25部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させた。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート5部を添加、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
他方、室温で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.2部を溶解した水溶液を、撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌し、そこに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)6部を添加後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高剪断攪拌して重合性単量体組成物の液滴形成を行なった。
上記により得られた重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率がほぼ100%に達したときに、反応器内にメチルメタクリレート(シェル用重合性単量体)1部とイオン交換水10部とを混合して得られた分散液、及びイオン交換水20部に溶解した2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(シェル用重合開始剤、和光純薬社製、商品名:VA−086)0.3部を添加した。その後、更に4時間、90℃で維持して、重合を継続した後、室温まで冷却し、着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記により得られた着色樹脂粒子の水分散液に、硫酸を添加してpHを6.0以下にして酸洗浄を行ない、濾過により脱水した後、再びイオン交換水500部を加えて再スラリー化する、水洗浄を行った。その後、同様に、脱水と水洗浄を、数回繰り返し、濾過により脱水した後、乾燥機の容器内に入れ、45℃で48時間、乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
なお、得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は9.7μm、粒径分布(Dv/Dp)は1.14、平均円形度は0.983であった。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、本発明で特定した外添剤として、脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子であるステアリン酸マグネシウム微粒子(堺化学工業社製、商品名:SPX−100F、個数平均一次粒径:0.72μm)0.1部、その他の外添剤として、疎水化処理されたシリカ微粒子(A)(クラリアント社製、商品名:HDK H2150VP、個数平均一次粒径:12nm)0.9部、疎水化処理されたシリカ微粒子(B)(日本アエロジル社製、商品名:NA50Y、個数平均一次粒径:35nm)1.3部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、6分間、周速30m/sで混合し、外添処理を行ない、実施例1の非磁性一成分静電荷像現像用正帯電性トナーを作製し、試験に供した。
(実施例2)
実施例1において、本発明で特定した外添剤の種類及び添加量を、脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子であるステアリン酸カルシウム微粒子(堺化学工業社製、商品名:SPC−100F、個数平均一次粒径:0.51μm)0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを作製し、試験に供した。
(実施例3)
実施例1において、本発明で特定した外添剤の種類及び添加量を、脂肪酸アルカリ金属塩粒子であるステアリン酸リチウム微粒子(堺化学工業社製、商品名:SPL−100F、個数平均一次粒径:0.71μm)0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナーを作製し、試験に供した。
参考例4
実施例1において、その他の外添剤として、シリカ微粒子(A)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして参考例4のトナーを作製し、試験に供した。
参考例5
実施例1において、帯電制御剤を、ニグロシン(オリエント化学工業社製、商品名:BONTRON N−01)に変更し、その他の外添剤として、シリカ微粒子(B)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして参考例5のトナーを作製し、試験に供した。
(実施例6)
実施例1において、離型剤を、ヘキサグリセリンオクタベヘネートに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例1)
実施例1において、本発明で特定した外添剤の種類及び添加量を、脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子であるステアリン酸カルシウム微粒子(日油社製、商品名:MC−2、個数平均一次粒径:1.2μm)0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例2)
実施例1において、本発明で特定した外添剤の種類及び添加量を、脂肪酸金属塩粒子であるステアリン酸亜鉛微粒子(堺化学工業社製、商品名:SPZ−100F、個数平均一次粒径:0.45μm)0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例3)
実施例1において、本発明で特定した外添剤の添加量を、0.7部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のトナーを作製し、試験に供した。
(結果)
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表1に示す。
Figure 0005158081
(結果のまとめ)
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1のトナーは、外添剤として、本発明で特定する個数平均一次粒径の範囲を超える脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を用いたことに起因し、トナー補給直後の初期印刷時に発生する初期カブリの解消に時間がかかり、帯電立ち上がり性に乏しく、印字耐久性にも劣るトナーであった。
比較例2のトナーは、外添剤として、本発明で特定する以外の脂肪酸金属塩粒子を用いたことに起因し、トナー補給直後の初期印刷時に発生する初期カブリの解消に、比較例1よりもさらに時間がかかり、帯電立ち上がり性に乏しく、印字耐久性にも劣るトナーであった。
比較例3のトナーは、外添剤として、本発明で特定する添加量の範囲を超える脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を用いたことに起因し、印字耐久性試験の初期からカブリが発生し、印字性能に劣るトナーであった。
これに対して、実施例1〜3及び実施例6のトナーは、外添剤として、本発明で特定する脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を用いたことに起因し、フィルミングが起こらず印字耐久性に優れると共に、トナー補給直後の初期印刷時に発生する初期カブリの解消が速やかに行われ、帯電立ち上がり性に優れるトナーであった。
また、参考例4のトナーは、外添剤としてシリカ微粒子(A)を用いなかったこと、参考例5のトナーは、外添剤としてシリカ微粒子(B)、帯電制御剤として帯電制御樹脂を用いなかったことに起因し、実施例1〜3のトナーと比べると、印字耐久性、及び帯電立ち上がり性が若干劣るトナーであった。

Claims (5)

  1. 結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
    上記外添剤が、個数平均一次粒径が0.1〜1μmである脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子を含有し、当該脂肪酸アルカリ金属塩粒子、又は脂肪酸アルカリ土類金属塩粒子の含有量が、着色樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、且つ、
    上記外添剤が、個数平均一次粒径が5〜18nmであるシリカ微粒子(A)、及び個数平均一次粒径が20〜80nmであるシリカ微粒子(B)をさらに含有し、且つ、
    トナー補給方式の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用正帯電性トナー。
  2. 前記帯電制御剤が、帯電制御樹脂である請求の範囲第1項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  3. 湿式法により得られるトナーである請求の範囲第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  4. 前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記着色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜3重量部である請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  5. 前記シリカ微粒子(B)の含有量が、前記着色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜3重量部である請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
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