しかしながら、電磁式ショックアブソーバは、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動が発生するたびに電動モータのロータが回されるため、ブラシ付モータを使用した構成においては、ブラシの寿命低下が問題となる。特に、モータ回転数が高い場合には、ブラシと整流子との接触点にて大きな電流の火花が飛び、この火花がブラシの寿命を低下させてしまう。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、火花発生によるブラシの寿命低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動によりロータが回されるブラシ付モータを備え、前記ロータが回されることにより前記ブラシ付モータに発電電流が流れて、前記ばね上部とばね下部との相対的な上下運動に対して減衰力を発生させる電磁式ショックアブソーバと、前記ブラシ付モータの外部に設けられ、前記ブラシ付モータに発電電流を流すために前記ブラシ付モータの通電端子間をスイッチング素子を介して接続する外部回路と、前記スイッチング素子により前記発電電流の大きさを調整して減衰力を制御する減衰力制御手段と、前記発電電流の大きさを検出する電流検出手段と、前記ブラシ付モータのロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記ブラシ付モータにおけるブラシと整流子とが接近および離間するときに火花が発生する前記ロータの回転角度領域を火花発生角度領域として予め記憶した火花発生角度領域記憶手段と、前記回転角検出手段により前記ロータの回転角度が前記火花発生角度領域に入っていることが検出されるたびに、前記電流検出手段により前記発電電流の大きさを検出し、その発電電流の大きさに応じた値を累積して前記ブラシのダメージを検出するブラシダメージ検出手段と、前記ブラシのダメージが予め設定された基準値を超えている場合は、前記ロータが前記火花発生角度領域に入っているときに、前記外部回路のスイッチング素子をオフにして前記発電電流が流れないようにする火花発生角度領域通電禁止手段とを備えたことにある。
本発明においては、電磁式ショックアブソーバは、ブラシ付モータを備え、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動(車体と車輪との接近・離間運動)によりブラシ付モータのロータが回されて誘導起電力を発生する。従って、ブラシ付モータの通電端子間を相互に接続することで発電電流がブラシ付モータに流れて、ばね上部とばね下部との接近・離間動作に対して減衰力を発生させることができる。この発電電流を流すために、ブラシ付モータの外部に外部回路が設けられている。外部回路は、スイッチング素子を介してブラシ付モータの通電端子間を接続する。減衰力制御手段は、このスイッチング素子を制御して発電電流の大きさを調整して電磁式ショックアブソーバで発生する減衰力を制御する。
ブラシ付モータを使用した構成においては、ブラシと整流子との接触点にて火花が飛び、この火花がブラシの寿命を低下させてしまう。この火花は、ブラシと整流子とが接近および離間するときに発生し、発電電流が大きいほどブラシにダメージを与えやすい。そこで、本発明においては、ブラシのダメージを検出するために、電流検出手段と、回転角度検出手段と、火花発生角度領域記憶手段と、ブラシダメージ検出手段とを備えている。電流検出手段は、ブラシ付モータのコイルに流れる発電電流を検出する。例えば、外部回路に電流センサを設けて発電電流の大きさを検出する。回転角度検出手段は、ブラシ付モータのロータの回転角度を検出する。火花発生角度領域記憶手段は、ブラシ付モータにおけるブラシと整流子とが接近および離間するときに火花が発生するロータの回転角度領域を火花発生角度領域として予め記憶している。そして、ブラシダメージ検出手段は、回転角検出手段によりロータが火花発生角度領域に入っていることが検出されるたびに、電流検出手段により発電電流の大きさを検出し、その発電電流の大きさに応じた値を累積してブラシのダメージを検出する。この場合、発電電流の大きさを累積してもよいし、発電電流の大きさを複数段階のレベルに分けておき、そのレベルを累積する等してもよく、発電電流の累積値に相当する値を検出できるものであれば種々の手法を採用することができる。ブラシの火花によるダメージは、発電電流が大きいほど大きいため、発電電流の累積値に相当する値から、現時点のブラシのダメージ状況(ブラシの劣化状況)を検出することができる。
ブラシのダメージは、ブラシの寿命を低下させる。そこで、本発明においては、火花発生角度領域通電禁止手段が、ブラシのダメージが予め設定された基準値を超えている場合は、ロータの回転角度が火花発生角度領域に入っているときに、外部回路のスイッチング素子をオフにして発電電流が流れないようにする。これにより、ブラシと整流子とが接近および離間するときに火花が発生しなくなり、ブラシの寿命低下を抑制することができる。
尚、外部回路としては、例えば、モータの2つの通電端子のうちの一方である第1端子から他方である第2端子への電流の流れが許容されるとともに第2端子から第1端子への電流の流れが禁止される第1接続路と、モータの第2端子から第1端子への電流の流れが許容されるとともに第1端子から第2端子への電流の流れが禁止される第2接続路と、第1接続路に設けらればね上部とばね下部との接近動作時に第1接続路に流れる電流の大きさを調整する第1スイッチング素子と、第2接続路に設けらればね上部とばね下部との離間動作時に第2接続路に流れる電流の大きさを調整する第2スイッチング素子とを備えて構成するとよい。この場合には、電磁式ショックアブソーバが伸長動作するときと圧縮動作するときとで、別々の接続路に発電電流を流してそれぞれのスイッチング素子により独立して減衰力を制御することができる。
本発明の他の特徴は、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動によりロータが回されるブラシ付モータを備え、前記ロータが回されることにより前記ブラシ付モータに発電電流が流れて、前記ばね上部とばね下部との相対的な上下運動に対して減衰力を発生させる電磁式ショックアブソーバと、前記ブラシ付モータの外部に設けられ、前記ブラシ付モータに発電電流を流すために前記ブラシ付モータの通電端子間をスイッチング素子を介して接続する外部回路と、前記スイッチング素子により前記発電電流の大きさを調整して減衰力を制御する減衰力制御手段と、前記発電電流の大きさを検出する電流検出手段と、前記ブラシ付モータのロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記ブラシ付モータにおけるブラシと整流子とが接近および離間するときに火花が発生する前記ロータの回転角度領域を火花発生角度領域として予め記憶した火花発生角度領域記憶手段と、前記回転角検出手段により前記ロータの回転角度が前記火花発生角度領域に入っていることが検出されるたびに、前記電流検出手段により前記発電電流の大きさを検出し、その発電電流の大きさに応じた値を累積して前記ブラシのダメージを検出するブラシダメージ検出手段と、前記ブラシのダメージが予め設定された基準値を超えている場合は前記基準値を超えていない場合に比べて、前記減衰力制御手段により制御される減衰力を増大させる減衰力増大手段とを備えたことにある。
本発明においては、ブラシの寿命低下の抑制を図るため、上述した火花発生角度領域通電禁止手段に代えて減衰力増大手段を備えている。火花の発生頻度は、電磁式ショックアブソーバで発生させる減衰力の大きさによっても変化する。つまり、減衰力を大きくするほど、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動のストロークが少なくなるため、ブラシと整流子との接触回数が低下して火花発生頻度が少なくなり、逆に、減衰力を小さくするほど、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動のストロークが大きくなるため、ブラシと整流子との接触回数が増して火花発生頻度が多くなる。そこで、減衰力増大手段は、ブラシのダメージが予め設定された基準値を超えている場合は基準値を超えていない場合に比べて、減衰力制御手段により制御される減衰力を増大させる。これにより、火花発生頻度が低下して、ブラシの寿命低下を抑制することができる。
本発明の他の特徴は、前記基準値は、車両の使用量の増加に伴って増加するように設定されていることにある。
車両の使用量(例えば、車両の走行時間、あるいは、車両の走行距離)とブラシのダメージの進行とをバランスさせることにより、減衰力制御性能を維持しつつブラシの交換(ブラシ付モータの交換を含む)をできるだけしなくて済むようなる。そこで、本発明においては、ブラシのダメージを判定する基準値を車両の使用量の増加に伴って増加するように設定する。つまり、車両の使用量が少ない段階では、基準値を小さな値に設定し、車両の使用量が増加するにつれて基準値を増加させる。従って、車両の使用量とブラシのダメージとをバランスさせることができる。これにより、火花発生角度領域通電禁止手段あるいは減衰力増大手段を適切に作動させることができる。この結果、車両使用量に比べてブラシのダメージが進んでしまったり、逆に、ブラシのダメージの抑制を過剰に行ってしまうといったアンバランスが防止される。これにより、減衰力制御性能の維持とブラシの寿命低下抑制とを両立させることができる。
以下、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ装置を含むサスペンション装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る車両用のサスペンション装置のシステム構成を概略的に示している。
このサスペンション装置は、各車輪WFL、WFR、WRL、WRRと車体Aとの間にそれぞれ設けられる4組のサスペンション本体10FL、10FR、10RL、10RRと、各サスペンション本体10FL、10FR、10RL、10RRの作動を制御する電子制御ユニット50とを備えている。以下、4組のサスペンション本体10FL、10FR、10RL、10RRおよび車輪WFL、WFR、WRL、WRRについては、特に前後左右を区別する場合を除いて、単にサスペンション本体10および車輪Wと総称する。また、電子制御ユニット50をECU50と呼ぶ。
サスペンション本体10は、図2に示すように、車輪Wを支持するロアアームLAと車体Aとの間に設けられ、路面から受ける衝撃を吸収し乗り心地を高めるとともに車体Aの重量を弾性的に支持するサスペンションスプリングとしてのコイルスプリング20と、コイルスプリング20の上下振動に対して減衰力を発生させる電磁式ショックアブソーバ30とを並列的に備えて構成される。以下、コイルスプリング20の上部側、つまり車体A側を「ばね上部」と呼び、コイルスプリング20の下部側、つまり車輪W側を「ばね下部」と呼ぶ。
電磁式ショックアブソーバ30は、同軸状に配置されるアウタシリンダ31およびインナシリンダ32と、インナシリンダ32の内側に設けられるボールねじ機構35と、ボールねじ機構35の動作によりロータ(図示略)が回されて誘導起電力を発生する電動モータ40(以下、単にモータ40と呼ぶ)とを備える。本実施形態においては、モータ40として、ブラシ付DCモータが用いられる。
アウタシリンダ31とインナシリンダ32とは、同軸異径パイプで構成され、インナシリンダ32の外周に軸方向へ摺動可能にアウタシリンダ31が設けられる。図中、符号33,34は、アウタシリンダ31内にインナシリンダ32を摺動可能に支持する軸受である。
ボールねじ機構35は、モータ40のロータと一体的に回転するボールねじ36と、ボールねじ36に形成された雄ねじ部分37に螺合する雌ねじ部分38を有するボールねじナット39とからなる。ボールねじナット39は、図示しない回り止めにより、その回転運動ができないように規制されている。従って、このボールねじ機構35においては、ボールねじナット39の上下軸方向の直線運動がボールねじ35の回転運動に変換され、逆に、ボールねじ36の回転運動がボールねじナット39の上下軸方向の直線運動に変換される。
ボールねじナット39の下端は、アウタシリンダ31の底面に固着されており、ボールねじ36に対してアウタシリンダ31を軸方向に相対移動させようとする外力が加わると、ボールねじ36が回転してモータ40を回転させる。このときモータ40は、そのロータに設けた電磁コイル(図示略)が、ステータに設けた永久磁石(図示略)から発生する磁束を横切ることによって、電磁コイルに誘導起電力を発生させて発電機として働く。
インナシリンダ32の上端は、取付プレート41に固定される。この取付プレート41は、モータ40のモータケーシング42に固定されるとともに、その中央に形成した貫通孔43にボールねじ36が挿通される。ボールねじ36は、モータケーシング42内においてモータ40のロータと連結されるとともに、インナシリンダ32内の軸受44によって回転可能に支持される。
コイルスプリング20は、アウタシリンダ31の外周面に設けられた環状のリテーナ45と、モータ40の取付プレート46との間に圧縮状態で介装される。このように構成されたサスペンション本体10は、取付プレート46の上面で弾性材料からなるアッパーサポート26を介して車体Aに取り付けられる。
車両が走行中にばね下部(車輪W側)が上下動する場合は、インナシリンダ32に対してアウタシリンダ31が軸方向に摺動してコイルスプリング20が伸縮することにより、路面から受ける衝撃を吸収し乗り心地を高めるとともに車両の重量を支持する。このとき、ボールねじナット39がボールねじ36に対して上下動してボールねじ36を回転させる。このため、モータ40は、ロータが回転して電磁コイルに誘導起電力が発生し、後述する外部回路100を介して発電電流が流れることによりロータの回転を止めようとする抵抗力が発生する。この抵抗力が電磁式ショックアブソーバ30の減衰力として働く。減衰力の調整は、各電磁式ショックアブソーバ30ごとに設けられた外部回路100によりモータ40の電磁コイルに流れる電流の大きさを調整することで可能となる。
次に、電磁式ショックアブソーバ30の作動を制御する構成について説明する。電磁式ショックアブソーバ30は、モータ40の外部に設けられる外部回路100を介してECU50により制御される。ECU50は、マイクロコンピュータを主要部として備え、外部回路100のスイッチング制御により電磁式ショックアブソーバ30のモータ40に流れる電流量を調整して減衰力制御を実行する。この減衰力制御は、後述するが、各車輪W位置の電磁式ショックアブソーバ30ごとに、その電磁式ショックアブソーバ30に対応する外部回路100のスイッチング制御により独立して行われる。ECU50は、ばね上部とばね下部との上下方向の離間距離(以下、ストロークSと呼ぶ)を各車輪Wの位置においてそれぞれ検出するストロークセンサ61を接続している。また、ECU50は、CAN(Controller Area Network)通信システムと接続され、CAN通信線を介して車両の使用量に相当する情報を取得する。本実施形態においては、車両の使用量に相当する情報として、車両の走行時間Y(走行時間の累計値)を取得する。尚、車両の使用量に相当する情報として、走行時間Yに代えて、車両の走行距離(走行距離の累計値)を用いるようにしてもよい。
次に、図3を用いて、外部回路100について説明する。外部回路100は、ばね上部(車体A側)とばね下部(車輪W側)との相対運動によりモータ40のロータがボールねじ機構35を介して回されたとき、モータ40で発生した誘導起電力により、モータ40の通電端子間(第1端子t1と第2端子t2との間)に発電電流が流れることを許容する回路であり、また、モータ40の誘導起電力(誘起電圧)が大きいときには、発電電流の一部を蓄電装置110に流して蓄電装置110充電する回路でもある。図中において、Rmはモータ40の内部抵抗、Lはモータインダクタンスを表す。この図では、Rm,Lをモータ40の表示記号Mの外に記載しているが、実際には、Rm,Lは、第1端子t1と第2端子t2との間に存在するものである。
外部回路100は、モータ40の第1端子t1と第2端子t2とを、a点とb点とにおいて電気的に結ぶ配線abと、c点とd点とにおいて電気的に結ぶ配線cdとを備えている。尚、図中において、配線については、各点(a,b,c…)を結ぶ線であるため、その符号の表示を省略している。配線abには、a点からb点に向かう方向の電流の流れを許容しb点からa点に向かう方向の電流の流れを阻止する第1ダイオードD1と、b点からa点に向かう方向の電流の流れを許容しa点からb点に向かう方向の電流の流れを阻止する第2ダイオードD2とが設けられている。配線cdには、c点側から順に、第1スイッチング素子SW1,第1抵抗器R1,第2抵抗器R2,第2スイッチング素子SW2が直列に設けられている。第1抵抗器R1,第2抵抗器R2は、減衰力を設定する固定抵抗器である。本実施形態においては、第1スイッチング素子SW1,第2スイッチング素子SW2としてMOS−FETを使用するが他のスイッチング素子を使用することもできる。第1スイッチング素子SW1,第2スイッチング素子SW2は、それぞれゲートがECU50に接続され、ECU50からのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号により設定されるデューティ比でオンオフ作動するように構成されている。尚、本明細書におけるデューティ比とは、オンデューティ比、つまり、パルス信号のオン時間とオフ時間とを足し合わせた時間に対するパルス信号のオン時間の比を表す。
また、第1端子t1とa点とは、配線t1aにより電気的に連結され、第2端子t2とb点とは、配線t2bにより電気的に連結されている。配線t1aには、電流センサ111が設けられている。電流センサ111は、モータ40に流れる電流を検出して、通電方向を示す情報を含めた測定値ixを表す検出信号をECU50に出力する。
また、配線abにおける第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との間のe点と、配線cdにおける第1抵抗器R1と第2抵抗器R2との間のf点とは、配線efにより電気的に連結されている。第1スイッチング素子SW1と第1抵抗器R1との接続点となるg点には、車載電源バッテリとして設けられた蓄電装置110への充電路となる第1充電路giが分岐して設けられる。また、第2スイッチング素子SW2と第2抵抗器R2との接続点となるh点には、蓄電装置110への充電路となる第2充電路hiが分岐して設けられる。第1充電路giと第2充電路hiとは、i点と蓄電装置110の正極jとを結ぶ主充電路ijにi点で接続されている。また、f点と蓄電装置110の負極kとはグランドラインkfにより接続されている。尚、蓄電装置110には、車両内に設けられた各種の電気負荷が接続されている。
第1充電路giには、g点からi点に向かう方向の電流の流れを許容しi点からg点に向かう方向の電流の流れを阻止する第3ダイオードD3が設けられる。また、第2充電路hiには、h点からi点に向かう方向の電流の流れを許容しi点からh点に向かう方向の電流の流れを阻止する第4ダイオードD4が設けられる。つまり、外部回路100から蓄電装置110への充電を許容し、蓄電装置110から外部回路100への放電を阻止するように充電回路が構成されている。
次に、外部回路100の動作について説明する。モータ40は、ばね上部とばね下部との相対運動によりボールねじ機構35を介してロータが回されると、その回転方向に応じた向きに誘導起電力を発生する。例えば、ばね上部とばね下部とが接近して電磁式ショックアブソーバ30が圧縮される圧縮動作時においては、モータ40の第1端子t1が高電位となり第2端子t2が低電位となる。逆に、ばね上部とばね下部とが離れて電磁式ショックアブソーバ30が伸ばされる伸長動作時においては、モータ40の第2端子t2が高電位となり第1端子t1が低電位となる。
従って、電磁式ショックアブソーバ30が圧縮される圧縮動作時においては、c点、f点、e点、b点を通って、第1端子t1から第2端子t2に発電電流が流れる第1接続路cfebが形成される。また、電磁式ショックアブソーバ30が伸ばされる伸長動作時においては、d点、f点、e点、a点を通って、第2端子t2から第1端子t1に発電電流が流れる第2接続路dfeaが形成される。つまり、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮動作と伸長動作とで発電電流の流れる回路が異なるように構成されている。この例では、第1抵抗器R1が、第1端子t1から第2端子t2に流れる発電電流に対する抵抗となり、第1スイッチング素子SW1が、第1端子t1から第2端子t2に流れる発電電流の大きさ(通電量)を調整する電流調整器として機能する。また、第2抵抗器R2が、第2端子t2から第1端子t1に流れる発電電流に対する抵抗となり、第2スイッチング素子SW2が、第2端子t2から第1端子t1に流れる発電電流の大きさ(通電量)を調整する電流調整器として機能する。
モータ40の電磁コイルに発電電流が流れることにより、モータ40に発電ブレーキが働き、これによりボールねじナット39とボールねじ36との相対回転を抑制する。つまり、ばね上部とばね下部との相対運動を抑制する減衰力が発生する。また、発電電流の大きさを調整することにより減衰力を調整することができる。従って、第1抵抗器R1の抵抗値と第1スイッチング素子SW1のデューティ比にて圧縮動作に対する減衰力を設定でき、第2抵抗器R2の抵抗値と第2スイッチング素子SW2のデューティ比にて伸長動作に対する減衰力を設定できる。つまり、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮動作方向と伸長動作方向とに対して、独立して減衰力を設定することができる。本実施形態においては、第1抵抗器R1の抵抗値は、第2抵抗器R2の抵抗値よりも大きくされており、基本的には、圧縮動作に対する減衰力が、伸長動作に対する減衰力よりも小さくなるように設定されている。
また、このような減衰力の調整は、各輪ごとに電磁式ショックアブソーバ30の外部回路100のスイッチング制御により独立して行うことができるものである。
また、モータ40で発生する誘導起電力は、モータ回転速度が大きくなるほど大きくなる。そして、誘導起電力(誘起電圧)が蓄電装置110の出力電圧(蓄電電圧)を越えると、モータ40で発電された電力の一部が蓄電装置110に回生される。例えば、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮動作時であれば、発電電流がg点で2方向に分流し、一方は、そのまま第1接続路cfebを流れ、他方は、第1充電路giに流れる。従って、第1充電路giに流れた発電電流により蓄電装置110が充電される。また、電磁式ショックアブソーバ30の伸長動作時であれば、発電電流がh点で2方向に分流し、一方は、そのまま第2接続路dfeaを流れ、他方は、第2充電路hiに流れる。従って、第2充電路hiに流れた発電電流により蓄電装置110が充電される。
次に、モータ40のブラシと整流子との間で発生する火花について説明する。図4〜図8は、ブラシBrと整流子Coとの位置関係を表す模式図である。図4は、ロータRoがステータ(図示略)に対して基準回転位置(0°)となっている状態を表す。整流子Coは、ロータRoに周方向に沿って等間隔で固定されており、ブラシBrは、ステータに取り付けられた図示しないブラシ保持器に支えられて整流子Coと摺動接触可能に設けられる。火花は、コイルへの通電中において、ブラシBrと整流子Coとが接近および離間するときに発生する。例えば、図5に示すように、ロータRoが矢印方向に回転して、今までブラシBrと接触していなかった整流子Co(1)がブラシBrの端部に接触する直前に発生する。また、図6に示すように、今までブラシBrと接触していた整流子Co(2)がブラシBrから離れた直後に発生する。このように、火花の発生するタイミングは、ブラシBrと整流子Coとの位置関係、つまり、ロータRoの回転角度で決まる。
例えば、整流子Coの数をm個とし、ロータRoを基準回転位置から回転させたときに最初に整流子CoがブラシBrに接近して火花が発生するロータRoの回転角度を火花発生角度α1とすると(図5参照)、ロータRoを1回転させるあいだにブラシBrと整流子Coとの接近により火花が発生する回転角度α1nは次式で表すことができる。
α1n=α1+(360°/m)・n
ここで、nは0,1,2,3・・・m−1である。
同様に、ロータRoを基準回転位置から回転させたときに最初に整流子CoがブラシBrから離れて火花が発生するロータRoの回転角度を火花発生角度α2とすると(図6参照)、ロータRoを1回転させるあいだにブラシBrと整流子Coとの離間により火花が発生する回転角度α2nは次式で表すことができる。
α2n=α2+(360°/m)・n
また、ロータRoが回転角度α1n,α2nとなる位置には、火花の発生する微小角度範囲が存在するため、その角度範囲を考慮して火花発生角度領域を設定する。この場合、図7に示すように、ブラシBrと整流子Coとの接近時に火花が発生する回転角度α1から火花が発生しなくなる回転角度α1endまでの角度差をΔθ1として設定する。同様に、図8に示すように、ブラシBrと整流子Coとが離れて火花が発生する回転角度α2から火花が発生しなくなる回転角度α2endまでの角度差をΔθ2として設定する。従って、ロータRoを回転させたときに火花が発生する可能性のあるロータRoの角度は、α1n〜(α1n+Δθ1)の各範囲と、α2n〜(α2n+Δθ2)の各範囲とを合わせたものとなる。この各範囲を合わせたものが火花発生角度領域となる。尚、Δθ1とΔθ2とは同じ値でよい。この火花発生角度領域は、予め設定されてECU50のメモリ(例えば,ROM)に記憶されている。この火花発生角度領域を記憶するECU50のメモリが本発明の火花発生角度領域記憶手段に相当する。
また、モータ40には、ロータRoの回転角度(回転角度位置)を検出する回転角センサ62が設けられている。回転角センサ62は、例えば、エンコーダやレゾルバ等を採用することができる。回転角センサ62は、検出した回転角度θmを表す情報をECU50に出力する。
次に、ブラシBrのダメージ検出について説明する。図9は、ECU50の実行するブラシダメージ検出ルーチンを表すフローチャートである。このブラシダメージ検出ルーチンは、ECU50のROM内に制御プログラムとして記憶されており、各輪の電磁式ショックアブソーバ30のモータ40ごとに独立して実行される。ブラシダメージ検出ルーチンは、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの間、所定の短い周期(演算周期と呼ぶ)で繰り返し実行される。
ブラシダメージ検出ルーチンが起動すると、ECU50は、ステップS11において、回転角センサ62により検出されるモータ40の回転角度θmを読み込む。続いて、ステップS12において、回転角度θmが火花発生角度領域内に入っているか否かを判断する。回転角度θmが火花発生角度領域内に入っていない場合は、そのままブラシダメージ検出ルーチンを一旦終了する。ブラシダメージ検出ルーチンは所定の短い周期で繰り返される。従って、回転角度θmの読み込みと、回転角度θmの火花発生角度領域内に入っているか否かの判断が繰り返される。
こうした処理が繰り返され、回転角度θmが火花発生領域内に入っていることが確認されると(S12:Yes)、ステップS13において、電流センサ111により検出される電流値(以下、実電流ixと呼ぶ)を読み込み、続くステップS14において、その実電流ixに応じたダメージ度Dを求める。実電流ixとダメージ度Dとの対応関係は、予めECU50のROMに記憶されており、例えば、図10に示すように、実電流ixの値がi1以下の場合はダメージ度D=0、実電流ixの値がi1より大きくi2以下の場合はダメージ度D=1、実電流ixの値がi2より大きくi3以下の場合はダメージ度D=2、実電流ixの値がi3より大きい場合はダメージ度D=3に設定される。このように、ダメージ度Dは、実電流ixが大きくなるほど大きな値に設定される。尚、この実電流ixの大きさの判断は、通電方向は区別しない。
続いて、ECU50は、ステップS15において、累積ダメージDtを算出する。累積ダメージDtは、ECU50に設けられた不揮発性メモリ(図示略)に記憶されており、ステップS15では、不揮発性メモリに記憶されている累積ダメージDtを読み出し、読み出した累積ダメージDtにステップS14にて求めたダメージ度Dを加算して、その加算値を新たな累積ダメージDtとして設定し(Dt=Dt+D)、新たな累積ダメージDtを不揮発性メモリに記憶更新する。つまり、不揮発性メモリに記憶されていた前回までの累積ダメージDtを今回計算した新たな累積ダメージDtに書き換える。累積ダメージDtの初期値(車両未使用時の値)はゼロに設定されている。この累積ダメージDtが、本発明のブラシのダメージに相当し、ステップS11〜S15の処理を行うECU50の機能部が、本発明のブラシダメージ検出手段に相当する。
続いて、ECU50は、ステップS16において、CAN通信線を介して車両の走行時間Yを表す情報を読み込み、続くステップS17において、走行時間Yに対応する判定基準値Dtoを設定する。この判定基準値Dtoは、車両の走行時間YとブラシBrの劣化状態とのバランスにおいて、ブラシBrの劣化状態(累積ダメージDt)が走行時間Yに比べて進んでいるか否かを判定するために予め設定した値であり、本発明の基準値に相当する。本実施形態においては、判定基準値Dtoは、図11に示すように、走行時間Yの増加に伴って増加するように設定されている。走行時間Yと判定基準値Dtoとの関係は、マップあるいは関数を使って、例えば、ECU50のROM等に記憶されている。
続いて、ECU50は、ステップS18において、先のステップS15にて算出した累積ダメージDtが判定基準値Dtoよりも大きいか否かを判断する。累積ダメージDtが判定基準値Dto以下であれば(S18:No)、走行時間Yに対してブラシBrの火花による劣化が進んでいないとみなして、ステップS19において、フラグFを「0」に設定する。このフラグFは、後述する減衰力制御ルーチンにおいて、制御モードを設定するために用いられる。一方、ステップS18において、累積ダメージDtが判定基準値Dtoよりも大きいと判断された場合には、ステップS20において、フラグFを「1」に設定する。このように設定されたフラグFは、RAM等のメモリに記憶される。ECU50は、ステップS19あるいはステップS20においてフラグFを設定するとブラシダメージ検出ルーチンを一旦終了し、再度、所定の周期でステップS11からの処理を繰り返す。尚、ブラシダメージ検出ルーチンの起動時においては、フラグFは「0」に設定されている。
モータ40に発電電流が流れているときには、ロータRoの回転角度θmが火花発生角度領域に入るとブラシBrと整流子Coとの間で火花を発生するが、そのときの電流値が大きいほどブラシBrにダメージを与えて寿命を低下させてしまう。そこで、本実施形態においては、ロータRoの回転角度θmが火花発生角度領域に入るたびに実電流ixを検出し、実電流ixに応じたダメージ度Dを求めて、そのダメージ度Dを累積していく。従って、累積ダメージDtは、モータ40のブラシBrのダメージの度合、つまり、劣化状況を表すものとなる。
ブラシBrの累積ダメージDtは、車両の走行時間Yに比例して増加する。従って、判定基準値Dtoは、車両の走行時間Yに比例した値に設定される。そのため、ブラシBrの累積ダメージDtと車両の走行時間Yとのバランスが崩れ、ブラシBrの累積ダメージDtが走行時間Yに比べて進んだ場合には、累積ダメージDtが判定基準値Dtoを上回るようになる。この場合には、後述する減衰力制御ルーチンにおいてブラシBrの寿命低下を抑制する制御が実施される。
尚、ブラシダメージ検出ルーチンにおいて、ステップS16の走行時間Yの読み込み処理、および、ステップS17の判定基準値Doの設定処理は、繰り返し行う必要は無く、本ルーチンの起動後に一度だけ行うようにしてもよい。また、車両の使用量として、走行時間Yに代えて走行距離を用いる場合においても、判定基準値Doの設定にあたっては、走行距離に比例した値に設定するとよい。つまり、図11の横軸を走行距離とすればよい。
次に、ECU50が行う減衰力制御処理について説明する。図12は、ECU50の実行する減衰力制御ルーチンを表すフローチャートである。この減衰力制御ルーチンは、ECU50のROM内に制御プログラムとして記憶されており、各輪の電磁式ショックアブソーバ30ごとに独立して実行される。減衰力制御ルーチンは、上述したブラシダメージ検出ルーチンと並行して、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの間、所定の短い周期(演算周期と呼ぶ)で繰り返し実行される。尚、減衰力制御に関しては、2つの実施形態を説明するため、この図12に示した減衰力制御ルーチンを第1実施形態と呼び、後述する図13に示した減衰力制御ルーチンを第2実施形態と呼ぶ。
第1実施形態の減衰力制御ルーチンが起動すると、ECU50は、ステップS31において、メモリからフラグFを読み込んで、フラグFが「0」に設定されているか否かを判断する。このフラグFは、上述したブラシダメージ検出ルーチンにおいて、ブラシBrの累積ダメージDtが判定基準値Dtoを越えているときには「1」に、判定基準値Dtoを越えていないときには「0」に設定される。ここでは、フラグFが「0」に設定されている場合から説明する。フラグFが「0」に設定されている場合には、続くステップS32において、ストロークセンサ61により検出されるばね上部とばね下部との上下方向の離間距離であるストロークSを読み込む。続いて、ステップS33において、ストロークSを時間で微分処理してストローク速度Vsを計算する。このとき、バンドパスフィルタ処理を行ってストローク速度信号からバネ上共振周波数域成分(例えば、0.1Hz〜3.0Hz)を抽出してストローク速度Vsを求めるとよい。
続いて、ステップS34において、ストローク速度Vsの方向(符号)から、電磁式ショックアブソーバ30が圧縮動作している状態か否かを判断する。電磁式ショックアブソーバ30が圧縮動作している場合(S34:Yes)には、目標減衰力F*をF*=C1・Vsとして計算し(S35)、電磁式ショックアブソーバ30が伸長動作している場合(S34:No)には、目標減衰力F*をF*=C2・Vsとして計算する(S36)。このC1,C2は、目標減衰係数であって、圧縮動作に対する減衰力を伸長動作に対する減衰力よりも小さくするために、減衰係数C1は、減衰係数C2よりも小さく設定されている。
続いて、ECU50は、ステップS37において、目標減衰力F*が得られるための発電電流値である目標電流i*を計算する。目標電流i*は、目標減衰力F*をトルクに変換し、その値をモータトルク定数で除算することにより求められる。尚、目標電流i*は、電磁式ショックアブソーバ30の伸縮動作を妨げる方向に発電電流を流して減衰力を発生させるものであるため、その通電方向は、電磁式ショックアブソーバ30の動作方向に応じて異なる。つまり、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮動作時であれば、第1端子t1から第1接続路cfebを通って第2端子t2に流れる向きとなり、電磁式ショックアブソーバ30の伸長動作時であれば、第2端子t2から第2接続路dfeaを通って第1端子t1に流れる向きとなる。
続いて、ECU50は、ステップS38において、電流センサ111により検出される実電流ixを読み込む。次に、ステップS39において、目標電流i*と実電流ixの偏差Δi(=i*−ix)に基づくフィードバック制御(例えば、PID制御)により、実電流ixが目標電流i*と等しくなるように、第1スイッチング素子SW1あるいは第2スイッチング素子SW2にPWM制御信号を送ってデューティ比を調整する。この場合、ECU50は、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮動作時であれば第1スイッチング素子SW1のデューティ比を調整することにより、電磁式ショックアブソーバ30の伸長動作時であれば第2スイッチング素子SW2のデューティ比を調整することにより、モータ40に流れる発電電流が目標電流i*と等しくなるように制御する。尚、デューティ比を調整しない側のスイッチング素子(圧縮動作時であれば第2スイッチング素子SW2,伸長動作時であれば第1スイッチング素子SW1)については、デューティ比を例えば0%に固定しておけばよい。
ECU50は、こうした減衰力制御ルーチンを所定の短い周期で繰り返す。従って、電磁式ショックアブソーバ30の圧縮方向と伸長方向とでそれぞれ適した特性の減衰力を発生させることができる。
ECU50は、ステップS31において、フラグFが「1」に設定されていると判断した場合には、その処理をステップS40に進める。ステップS40においては、回転角センサ62により検出されるモータ40の回転角度θmを読み込む。続いて、ステップS41において、回転角度θmが火花発生角度領域内に入っているか否かを判断する。回転角度θmが火花発生角度領域内に入っていない場合には、その処理をステップS32に進めて上述した処理を行う。一方、回転角度θmが火花発生角度領域内に入っている場合には、ステップS42において、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2をオフ状態、つまり、デューティ比を0%に設定する。これにより、モータ40の第1接続路cfebおよび第2接続路dfeaは遮断される。従って、モータ40に発電電流が流れないため、ブラシBrと整流子Coとの間に火花が発生しない。
ECU50は、ステップS42の処理を行うと、減衰力制御ルーチンを一旦終了する。こうした減衰力制御ルーチンが所定周期で繰り返されることにより、ブラシBrの累積ダメージDtと判定基準値Dtoとの比較結果に応じた減衰力制御が行われる。尚、ステップS31,S40〜S42の処理を行うECU50の機能部が本発明の火花発生角度領域通電禁止手段に相当する。
次に、第2実施形態の減衰力制御処理について説明する。図13は、ECU50の実行する第2実施形態の減衰力制御ルーチンを表すフローチャートである。この減衰力制御ルーチンは、ECU50のROM内に制御プログラムとして記憶されており、各輪の電磁式ショックアブソーバ30ごとに独立して実行される。減衰力制御ルーチンは、上述したブラシダメージ検出ルーチンと並行して、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの間、所定の短い周期(演算周期と呼ぶ)で繰り返し実行される。
第2実施形態の減衰力制御ルーチンが起動すると、ECU50は、ステップS51において、ストロークセンサ61により検出されるばね上部とばね下部との上下方向の離間距離であるストロークSを読み込む。続いて、ステップS52において、ストロークSを時間で微分処理してストローク速度Vsを計算する。続いて、ステップS53において、ストローク速度Vsの方向(符号)から、電磁式ショックアブソーバ30が圧縮動作している状態か否かを判断する。電磁式ショックアブソーバ30が圧縮動作している場合(S53:Yes)には、目標減衰力F*をF*=C1・Vsとして計算し(S54)、電磁式ショックアブソーバ30が伸長動作している場合(S53:No)には、目標減衰力F*をF*=C2・Vsとして計算する(S55)。このステップS51からステップS55までの処理は、第1実施形態の減衰力制御ルーチンにおけるステップS32からステップS36までの処理を同じである。
続いて、ECU50は、ステップS56において、フラグFが「1」に設定されているか否かを判断する。フラグFが「1」に設定されている場合、つまり、ブラシBrの累積ダメージDtが判定基準値Dtoを越えている場合には、ステップS57において、目標減衰力F*に補正係数Kを乗じた値(K・F*)を求め、求めた値を新たな目標減衰力F*とする。この補正係数Kは、目標減衰力F*を少しだけ増加させるための係数であるため、「1」より大きな値(例えば、K=1.1)に予め設定されている。一方、フラグFが「0」である場合には、ステップS57の処理をスキップする。つまり、目標減衰力F*を補正しない。このステップS56,S57の処理を行うECU50の機能部が本発明の減衰力増大手段に相当する。
続いて、ECU50は、ステップS58において、目標減衰力F*が得られるための発電電流値である目標電流i*を計算する。続いて、ステップS59において、電流センサ111により検出される実電流ixを読み込む。続いて、ステップS60において、目標電流i*と実電流ixの偏差Δi(=i*−ix)に基づくフィードバック制御(例えば、PID制御)により、実電流ixが目標電流i*と等しくなるように、第1スイッチング素子SW1あるいは第2スイッチング素子SW2にPWM制御信号を送ってデューティ比を調整する。このステップS58からステップS60までの処理は、第1実施形態の減衰力制御ルーチンにおけるステップS37からステップS39までの処理を同じである。
ECU50は、ステップS60の処理を行うと、減衰力制御ルーチンを一旦終了する。こうした減衰力制御ルーチンが所定周期で繰り返されることにより、ブラシBrの累積ダメージDtと判定基準値Dtoとの比較結果に応じた減衰力制御が行われる。つまり、ブラシBrの累積ダメージDtが判定基準値Dtoを越えている場合には、判定基準値Dtoを越えていない場合に比べて、目標減衰力F*が増加設定される。電磁式ショックアブソーバ30で発生させる減衰力を大きくするほど、ばね上部とばね下部との相対的な上下運動のストロークが少なくなるため、ブラシBrと整流子Coとの接触回数が低下して火花発生頻度が少なくなる。このため、ブラシBrの寿命低下を抑制することができる。尚、目標減衰力F*を増加させた場合、目標電流i*も増加してブラシBrにダメージを与える方向に作用するが、火花発生頻度の低減による効果の方が勝るため、総合的にみてブラシBrの寿命低下を抑制することができる。
以上説明した本実施形態のサスペンション装置によれば、ブラシ付モータを使った低コストの電磁式ショックアブソーバ30を用いて、圧縮動作と伸長動作とで独立した特性にて減衰力制御を行うことができる。また、モータ40の回転角度θmが火花発生角度領域に入っていることが検出されるたびに、そのときの実電流ixからダメージ度Dを求め、このダメージ度Dを累積することによりブラシBrのダメージ(累積ダメージDt)を検出する。このため、ブラシBrのダメージ(ブラシBrの劣化状態)を簡単に精度良く検出(推定)することができる。そして、累積ダメージDtが判定基準値Dt0を超えている場合、第1実施形態においては、モータ40の回転角度θmが火花発生角度領域に入っているときに、モータ40に発電電流が流れないようにスイッチング素子SW1,SW2をオフするため、ブラシBrに火花が発生しなくなる。また、第2実施形態においては、目標減衰力F*を増加補正するため、電磁式ショックアブソーバ30の上下運動のストロークが少なくなり、ブラシBrと整流子Coとの接触回数が低下して火花発生頻度が少なくなる。この結果、ブラシBrの寿命低下を抑制することができる。
また、判定基準値Dtoを、車両の使用量(走行時間あるいは走行距離)の増加に伴って増加するように設定する。つまり、車両の使用量が少ない段階では、判定基準値Dtoを小さめに設定し、逆に、車両の使用量が多い段階では、判定基準値Dtoを大きめに設定する。このため、ブラシBrのダメージの進行と車両の使用量とをバランスさせることができる。つまり、車両の使用量に比べてブラシBrのダメージが進んでしまったり、逆に、ブラシBrのダメージの抑制を過剰に行ってしまうといったアンバランスが防止される。従って、減衰力制御性能の維持とブラシBrの寿命低下抑制とを両立させることができる。
以上、本実施形態のショックアブソーバ装置を備えたサスペンション装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、電磁式ショックアブソーバ30は、モータ40の発電により減衰力を発生するものであるが、大きな減衰力を必要とする場合、あるいは、減衰力とは反対方向の力である推進力を必要とする場合に、電源装置(例えば、蓄電装置110)からモータ40に電源供給してモータ40の駆動力により減衰力あるいは推進力を発生させる構成を加えたものであってもよい。また、本実施形態においては、モータ40で発電した電力を車載電源バッテリに回生する構成であるが、各外部回路100内に蓄電装置を設け、発電電力で蓄電装置に充電するとともに、蓄電装置に蓄電された電力を利用してモータ40を駆動するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ストローク速度Vsに基づいて目標減衰力F*を設定しているが、例えば、各車輪W位置に車体Aの上下加速度を検出するばね上加速度センサを追加して設け、ばね上加速度センサにより検出したばね上加速度をサスペンションECU50に取り込んで、ストローク速度Vsとばね上加速度とを用いて目標減衰力F*を設定する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、図11に示すように、判定基準値Dtoを車両の使用量に比例した値に設定しているが、例えば、使用量の増加に伴って段階的(2段階以上であればよい)に増加設定するようにしてもよい。また、判定基準値Dtoは、必ずしも増加設定する必要はなく、固定値であってもよい。