以下にて、図面を参照して、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法を詳細に説明する。尚、図面に示す各種の要素は、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比や外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。
[プラズマディスプレイパネルの構成]
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネルを簡単に説明する。図2(a)に、PDPの構成を断面斜視図で模式的に示すと共に、図2(b)にPDPの前面板の断面図を模式的に示す。
本発明のPDP(100)の構成は、図2(a)に示すように、「基板A(10)に電極A(11)と誘電体層A(15)と保護層(16)とが設けられた前面板(1)」および「基板B(20)上に電極B(21)と誘電体層B(22)と隔壁(23)と蛍光体層(25)とが設けられた背面板(2)」からなる。
図示するように、前面板(1)では基板A(10)上に電極A(11)が設けられ、電極A(11)を覆うように誘電体層A(15)が基板A(10)上に設けられ、また、誘電体層A(15)上に保護層(16)が設けられている。背面板(2)では基板B(20)上に電極B(21)が設けられ、電極B(21)を覆うように誘電体層B(22)が基板B(20)上に設けられ、誘電体層B(22)上に隔壁(23)および蛍光体層(25)が設けられている。前面板(1)と背面板(2)とは、保護層(16)と蛍光体層(25)とが互いに向き合うように対向配置されている。前面板(1)および背面板(2)の周縁部は、例えば低融点フリットガラス材料などから成る封着材によって気密封着されている(図示せず)。前面板(1)と背面板(2)との間に形成された放電空間(30)には放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)が例えば20kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
更に具体的に、本発明のPDP(100)を説明していく。本発明のPDP(100)の前面板(1)は、上述したように、基板A(10)、電極A(11)、誘電体層A(15)および保護層(16)を有して成る。基板A(10)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)である。基板A(10)としては、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板またはホウケイ酸塩ガラス基板などを挙げることができる。電極A(11)は、基板A(10)上にストライプ状に平行に複数配置されるものであり、例えば、走査電極(12)および維持電極(13)から成る表示電極である。この場合、走査電極(12)および維持電極(13)は、それぞれ「酸化インジウム(ITO)または酸化スズ(SnO2)などから成る透明導電膜である透明電極(12a、13a)」、および、かかる透明電極上に形成された「銀を主成分としたバス電極(12b、13b)」から構成される(図2(b)参照)。透明電極(12a、13a)は、蛍光体層で発生した可視光を透過させる電極として主に機能する一方、バス電極(12b、13b)は、透明電極の長手方向に導電性を付与するための電極として主に機能する。透明電極(12a、13a)の厚さは、好ましくは約50nm〜約500nmである。また、バス電極(12b、13b)の厚さは、好ましくは約1μm以上かつ約20μm以下である。尚、図2(a)に示すように、基板A(10)上にはブラックストライプ(14)(遮光層)もパターン形成され得る。
誘電体層A(15)は、基板A(10)の表面に形成された電極A(11)を覆うように設けられている。かかる誘電体層A(15)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層A(15)の上には、例えば酸化マグネシウム(MgO)から成る保護層(16)が形成されている(厚さは例えば約0.5μm以上かつ約1.5μm以下)。保護層(16)は、放電の衝撃(より具体的には「プラズマによるイオン衝撃」)から誘電体層A(15)を守る機能を有している。
一方、本発明のPDPの背面板(2)は、上述したように、基板B(20)、電極B(21)、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)を有して成る。基板B(20)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)であることが好ましく、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板、ホウケイ酸塩ガラス基板または各種セラミック基板などを挙げることができる。電極B(21)は、基板B(20)上にストライプ状に複数形成される銀を主成分とした電極(厚さは例えば約1μm以上かつ約10μm以下)であり、例えば、アドレス電極(またはデータ電極)である。アドレス電極は、各放電セルを選択的に放電させる機能を主に有している。
誘電体層B(22)は、下地誘電体層と一般に呼ばれるものであり、基板B(20)の表面に形成された電極B(21)を覆うように設けられている。かかる誘電体層B(22)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層B(22)の厚さは、例えば約5μm以上かつ約50μm以下である。誘電体層B(22)の上には、蛍光体材料を主成分とした蛍光体層(25)が形成されている(厚さは例えば約5μm以上かつ約20μm以下程度)。蛍光体層(25)は、放電によって放射された紫外線を可視光線に変換する機能を主に有している。かかる蛍光体層(25)は、赤色、緑色および青色を発する蛍光体層を構成単位としており、それぞれが隔壁(23)で区切られている。隔壁(23)は、放電空間をアドレス電極(21)毎に区画する目的で、ストライプ状または井桁状に誘電体層B(22)上に形成されている。かかる隔壁(23)は、ガラス成分、ビヒクル成分およびフィラー等を含んで成るペースト原料から形成される。
本発明のPDP(100)では、前面板(1)の表示電極(11)と背面板(2)のアドレス電極(21)とが直交するように、前面板(1)と背面板(2)とが放電空間(30)を挟んで対向して配置されている。このようなPDP(100)では、隔壁(23)によって仕切られ、アドレス電極(21)と表示電極(11)とが交差する放電空間(30)が放電セル(32)として機能することになる。換言すれば、マトリクス状に配列されている放電セルが画像表示領域を構成している。従って、外部駆動回路から表示電極(11)に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電ガスを放電させ、かかる放電によって生じる紫外線によって、各色の蛍光体層を励起させて赤色、緑色および青色の可視光を発生させると、カラー画像表示が実現される。
[PDPの一般的な製造方法]
次に、PDPの一般的な製造方法について簡潔に説明する。特に言及しない限り、本発明に係るPDPは、原則、一般的なPDP製造法に基づいて得ることができる。また、特に言及しない限り、各種構成部材の原材料(原料ペースト)/構成材料なども一般的なPDP製造法で常套的に用いられているものであってよい。
まず、ガラス基板である基板A(10)上に、走査電極(12)と維持電極(13)とから構成される表示電極(11)を形成すると共に遮光層(14)も形成する。走査電極(12)および維持電極(13)のそれぞれの透明電極(12a、13a)とバス電極(12b、13b)とは、露光・現像するフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングできる。透明電極(12a、13a)は薄膜プロセスなどを用いて形成でき、バス電極(12b、13b)は銀(Ag)材料を含むペーストを乾燥(100〜200℃程度)および焼成(400〜600℃程度)に付すことによって形成できる。また、遮光層(14)も同様に、黒色顔料を含んだ原料ペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料を含んだ原料をガラス基板の全面に設けた後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することによって形成できる。次いで、走査電極(12)、維持電極(13)および遮光層(14)を覆うように基板A(10)上に、ガラス成分(SiO2、B2O3などから形成される材料)とビヒクル成分とを主成分とした誘電体原料ペーストをダイコート法または印刷法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。塗布した後、所定の時間放置すると塗布された誘電体ペーストの表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成すると誘電体層A(15)が形成される。誘電体層A(15)を形成した後、かかる誘電体層A(15)上に保護膜(16)を形成する。保護膜(16)は、一般的には、真空蒸着法、CVD法またはスパッタリング法などを用いて形成できる。
以上の工程により、基板A(10)上に所定の構成部材である電極A(走査電極(12)および維持電極(13))、誘電体層A(15)および保護層(16)が形成され、前面板(1)が完成する。
一方、背面板(2)は次のようにして形成する。まず、ガラス基板である基板B(20)上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400〜約600℃)で焼成することによりアドレス電極(21)を形成する。この「アドレス電極」は、クロム/銅/クロムの3層薄膜上にフォトレジストを塗布したものをフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによりパターニングして形成してもよい。次いで、アドレス電極(21)が形成された基板B(20)上に、下地誘電体層となる誘電体層B(22)を形成する。まず、「ガラス成分(SiO2、B2O3などから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。そして、かかる誘電体ペースト層を焼成することで誘電体層B(22)を形成できる。次いで、隔壁(23)を形成する。具体的には、誘電体層B(22)上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁(23)を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法でパターニングし、次いで、約400℃〜約600℃の焼成に付すことによって隔壁(23)を形成する。尚、隔壁(23)は、サンドブラスト法、エッチング法または成型法などを用いることによっても形成できる。次いで、蛍光体層(25)を形成する。隣接する隔壁(23)間の誘電体層B(22)上および隔壁(23)の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層(25)を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをダイコート法、印刷法、ディスペンス法またはインクジェット法などによって塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層(25)を形成する。
以上の工程により、基板B(20)上に、所定の構成部材たる電極B(アドレス電極(21))、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)が形成され、背面板(2)が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板(1)と背面板(2)とは、表示電極(11)とアドレス電極(21)とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板(1)と背面板(2)の周縁部をガラスフリットで封着する。封着後は、前面板(1)と背面板(2)との間を真空排気する。真空排気が終了すると、前面板と背面板との間の放電空間(30)に放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)を20kPa〜80kPaの圧力でもって封入することによってPDP(100)が完成する。
[本発明の製造方法]
本発明は、上述のPDP製造工程の中でも、特に前面板および背面板の形成後からパネル封着までの製造工程に特色を有している。まず、本発明の特徴的部分について説明し、その後、本発明に起因して好ましく利用可能となる保護層成分について説明を行う。
本発明の製造方法では、前面板の準備後かつ封着工程の前において保護層を1600℃〜3600℃に加熱する。より好ましくは保護層を2000℃〜3600℃に加熱する。このように加熱を施すことによって、不純物(例えばH2OやCO2)を保護層から除去できるだけでなく、それ以後において保護層と不純物ガス(例えばH2OやCO2)との反応を抑制することができる。
保護層の加熱は大気圧下で実施してよい。特に、プラズマ、レーザーまたはフラッシュランプなどを熱源とする瞬間熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)により保護層を加熱することが好ましい。これにより、保護層の下層に位置する誘電体層や基板A(≒ガラス基板)を溶融させることなく、保護層のみを効果的に加熱することができる。つまり、具体的には例えば図3に示すような温度勾配となるように、前面板にて熱的非平衡状態を実現する。
特に本発明では、図4に示すように保護層(16)の表面に熱プラズマを照射してもよい。ここでいう「熱プラズマ」とは、放電を利用して発生させるプラズマのことを指しており、その種類としては「直流アーク放電を利用した“直流式”で発生させたプラズマ」または「誘導加熱の原理を利用した“高周波式”で発生させたプラズマ」のいずれであってもよい。換言すれば、熱プラズマによる保護層の加熱は“プラズマエネルギーを仲介として電気エネルギーから変換された熱を利用した加熱”であれば、どのような形態であってもよい。
本発明において「保護層を1600℃〜3600℃に加熱する」とは、保護層の露出表面における温度が1600℃〜3600℃となるように加熱する態様を実質的に意味している。尚、加熱時間(例えば、保護層のあるポイントにおけるプラズマ照射時間)は、1ms〜10ms程度であることが好ましい。
熱プラズマを照射する場合、熱プラズマトーチを用いることが好ましい。つまり、熱プラズマトーチから発せられるプラズマを照射して保護層を1600℃〜3600℃に加熱することが好ましい。用いられる熱プラズマトーチは、一般的なプラズマ熱処理やプラズマ溶接に用いられるものであれば、いずれの種類の熱プラズマトーチであってもよい。例えば具体的にいえば、直流プラズマトーチ、誘導結合型熱プラズマトーチまたはマイクロ波プラズマトーチ等を用いてよい。より具体的な例を挙げるとすると、(株)日本セラテック製プラズマ溶射装置、日本ユテク(株)製プラズマ溶射装置、日本電子(株)製高周波誘導熱プラズマ発生装置、スルザーメテコジャパン(株)製プラズマ溶射装置を用いることができる。
熱プラズマトーチを用いる場合、図5に示す態様から分かるように、熱プラズマトーチ(50)を走査することによって、時間をずらして保護層全体を熱することができる。特に、かかる走査に際しては、PDPの保護層全体を効率的に処理するために、図6に示すようなX−Y駆動系を用いることが好ましい。図6に示すように、熱プラズマトーチ(50)はX軸ガイド(55A)に沿ってX軸方向に可動自在に設けられていると共に、Y軸ガイド(55B)に沿ってY軸方向にも可動自在に設けられている。例えば、真空吸着法などを用いて平面ステージに固定された前面板に対して、X−Y駆動系に設置された熱プラズマトーチ(50)を走査することによって、時間をずらして保護層全体を熱処理してよい。なお、保護層(16)の全体がムラなく熱処理されるように、熱プラズマトーチ(50)の走査ピッチは、熱プラズマトーチの噴出口内径(周辺電極の基板に対向した部分の孔の内径)よりも小さいことが望ましい。熱プラズマトーチの走査速度は、100mm/s〜5000mm/s程度、より好ましくは200mm/s〜2000mm/s程度、更に好ましくは500mm/s〜1500mm/s程度である。
熱プラズマトーチ(50)としては、例えば、図7に示すような中心電極(50A)と周辺電極(50B)とから構成されたトーチを用いることができる。中心電極(50A)と周辺電極(50B)とは同軸状に配置され、その断面は円形である。中心電極(50A)と周辺電極(50B)との間に不活性ガスを流すとともに、中心電極(50A)と周辺電極(50B)との間に直流高電圧を印加することで熱プラズマ(60)を発生させる。かかる熱プラズマの発生は大気圧下で行うことができる。熱プラズマトーチから生じる熱プラズマ(60)を保護層(16)に照射することで、保護層(16)を加熱し、熱プラズマトーチを100mm/s〜5000mm/s程度の高速で走査することによって、熱的非平衡状態を実現して保護層(16)のみを選択的に加熱できる。つまり、本発明では、前面板(1)のガラス基板(10)や誘電体層(15)は保護層(16)ほど加熱されることはなく、基板が割れたり、変形したりすることがない。また、熱プラズマトーチを用いると、極めて短時間で保護層(16)を高温に加熱できるため、PDP製造に要する設備の台数は少なくなる。更にいえば、熱プラズマトーチを用いると、PDP製造に要するエネルギーを低減することができ、結果的に低コストでの処理が可能となる。
熱プラズマトーチを用いた場合の加熱温度は、熱プラズマトーチ(50)と前面板(1)との間の距離、走査速度および/または直流高電圧の大きさなどを変えることによって調整することができる。例えば、熱プラズマトーチと保護層表面との間の距離(≒ギャップ)が短いほど、熱プラズマトーチの走査速度が遅いほど、直流高電圧が高いほど、高い保護層温度で加熱することができる。ここで、「熱プラズマトーチと保護層表面との間の距離(ギャップ)」と「保護層表面の温度」との相関関係は、図8に示すような関係を一般に有し得る。
本発明の製造法では、保護層を不活性ガスに曝しつつ加熱を行うことが好ましい。この場合の不活性ガスとしては、Ar(アルゴン)、N2(窒素)、Ne(ネオン)およびXe(キセノン)から成る群から選択される少なくとも1種のガスを用いることが好ましく、このような不活性ガスの温度は、15℃〜35℃程度であってよい。熱プラズマの照射により加熱を実施する場合では、保護層の表面に不活性ガスを供しつつ保護層の表面に熱プラズマを照射すればよい。また、熱プラズマトーチを用いる場合では、熱プラズマトーチに不活性ガスを供給しつつ、トーチの同軸状に配置された中心電極と周辺電極との間に電圧を印加することによって熱プラズマを発生させてよい。
本発明の製造方法では、保護層の加熱処理後は保護層を自然冷却してもよいものの、保護層を強制的に冷却してもよい。かかる場合、加熱された保護層を不活性ガスにより100℃以下に冷却することが好ましい。より具体的には、Ar(アルゴン)、N2(窒素)、Ne(ネオン)およびXe(キセノン)から成る群から選択される少なくとも1種のガスを用いて、1600℃〜3600℃に加熱された保護層を100℃以下の室温(約25℃程度)にまで冷却することが好ましい。冷却用の不活性ガスの温度は15℃〜35℃程度であってよく、例えば室温(約25℃程度)である。保護層の冷却を実現する態様として以下の態様が考えられる:
● 不活性ガスで満たされた容器内で保護層の加熱を実施する。
● 特に熱プラズマトーチを用いる場合、トーチが通り過ぎた保護層表面に対して不活性ガスを吹き付ける(図5参照)。
保護層の冷却を施すことによって、加熱後の保護層と不純物成分との反応をより効果的に抑制することができる。換言すれば、加熱後の保護層が冷却される途中で保護層の水酸化または炭酸化を効果的に防止できる。つまり、常温時に比べて加熱された保護層では、H2OやCO2に曝露されたときに水酸化または炭酸化が起きやすくなるものの、加熱された保護層を不活性ガス中で100℃以下まで冷却すると、そのような不都合な曝露を回避できる。
本発明の効果について詳述しておく。図9は1550℃の加熱処理を施された保護層の脱ガス特性を表したグラフであり、図10は2000℃で加熱処理を施された保護層の脱ガス特性を表したグラフである。より具体的には、図9および図10は、加熱処理後の保護層から発生するガスを昇温脱離法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)により測定した結果である。図9(i)および図10(i)が、それぞれ質量数18、即ち、H2Oの脱離特性を表しているのに対して、図9(ii)および図10(ii)は、それぞれ質量数44、即ち、CO2の脱離特性を表している。
図9および図10を参照すると分かるように、1550℃で加熱された保護層ではH2OおよびCO2共に脱ガスの発生がみられたのに対して(特に、300℃以上の温度で強い脱離ピークが見られる)、2000℃で加熱された保護層ではH2OおよびCO2共に脱ガス発生が極めて少なかった(つまり、2000℃の場合では強い脱離ピークは存在しない)。このことから分かるように、1550℃よりも高い温度(例えば少なくとも約1600℃〜2000℃程度の加熱温度)では、H2OやCO2などの不純物を保護層から除去できているだけでなく、それ以後においても保護層と不純物ガス(H2OガスやCO2ガス)との反応が抑制できる。
以上より、本発明では保護層の加熱温度の下限値が1600℃となり、より好ましくは2000℃であることが理解できるであろう。
次に、本発明では保護層の加熱温度の上限値について説明しておく。図11は、保護層が2800℃の加熱処理を施された前面板の断面の一部を撮影した電顕写真であるのに対して、図12は、保護層が3700℃の加熱処理を施された前面板の断面の一部を撮影した電顕写真である。かかる電顕写真から分かるように、2800℃の加熱処理を施された場合では保護層と誘電体層との境界が明確に維持されているのに対して、3700℃では保護層と誘電体層との渾然一体となって、これらの境界を判別できない。つまり、保護層の加熱温度が高すぎると(例えば少なくとも約3600℃よりも高い加熱温度では)、保護層と誘電体層との溶融・混合がもたらされ、保護層が本来有し得る高い二次電子放出特性が得られなくなってしまう。
以上より、本発明では保護層の加熱温度の上限値が3600℃となることが理解できるであろう。
本発明の製造方法を用いると、上述したように、保護層不純物(例えばH2OやCO2)を保護層から除去できるだけでなく、それ以後において保護層と不純物ガス(例えばH2OガスやCO2ガス)との反応を抑制することができる。特に、本発明は、加熱処理後に保護層が一旦大気に曝露されているにもかかわらず、不純物ガスの吸着を効果的に抑制できる点で優れた効果を奏するものといえる。これについては、特定の理論に拘束されるわけではないが、例えばMgOから成る保護層を例にとると、以下の理由が考えられる。
● 一般的にはPDP前面板では保護層自体がMgOの多結晶から密な状態で構成されているといえども、微視的に見ると、その結晶と結晶との間には微少な隙間が存在し得る。加熱処理前では、そのような隙間にH2O分子やCO2分子が入り込んで吸収・吸着されることになる。しかしながら、保護層が1600℃〜3600℃と非常に高温に加熱されると、結晶と結晶との間の微少隙間が埋まることになり、それゆえ、H2O分子やCO2分子が吸着・吸収できる空間がなくなり、保護層と不純物ガスとの反応が抑制される。
本発明の製造方法では、不純物を取り込みやすいものの“放電特性”および“低電圧化”の点で好ましい保護層成分(例えばアルカリ土類金属の酸化物)を積極的に用いることができる。より具体的な態様でいえば、本発明の製造方法では、保護層成分として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物を用いることができる。特に、かかる金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するものを用いることができる。
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化膜からなる金属酸化物により形成した場合、パネルの放電開始電圧を低下させ、放電遅れを小さくして放電を安定させる効果が大きいが、これらの材料は、水、炭酸ガス等の不純物ガスとの反応性が高く、特に水、二酸化炭素と反応することにより放電特性が劣化しやすく、放電セル毎の放電特性にばらつきが発生しやすい。そこで本願発明者らは、鋭意検討した結果、封着工程の前に保護層が1600℃を越えて高温となる熱処理を行うことによって不純物ガスの吸着を抑制できることを見出したという経緯がある。ちなみに、PDPに使われるガラス基板は600℃程度までの耐熱性しか有し得ないので、通常の焼成工程は600℃以下にて行われる。しかしながら、保護層形成後の基板を600℃で熱処理しても、不純物ガスの吸着を著しく改善することはできなかった点を付言しておく。
本発明では、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能なPDPを実現することができる。即ち、貼り合わされたPDP内部には、水分、二酸化炭素など保護層表面を変質・劣化させる要因となるガスがほとんど含まれない。その結果、PDPを長時間駆動させても、H2OやCO2などの不純ガスが放電空間に放出されること等に起因して保護層や蛍光体層が変質することがほとんどなくなり、放電電圧は低いまま輝度等の変化が少なく、パネル寿命に優れたPDPが実現できる。
(本発明における保護層)
以下においては、本発明に起因して好ましく利用可能となる保護層成分について詳述する。保護層(16)は、図2(b)に示すように、誘電体層(15)上に形成した下地膜(16a)と、下地膜(16a)上に酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)が複数個凝集させた凝集粒子(16b’)とから構成されていることが好ましい。また、保護層(16)において、下地膜(16a)は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)から選ばれる金属酸化物により形成されていることが好ましいが、更にいえば、本発明では、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成されていることが望ましい。
下地膜(16a)は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の単独材料のペレットや、それらの材料を混合したペレットを用いて薄膜成膜方法によって形成できる。薄膜成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を適用することができる。例えば、スパッタリング法では約1Pa、蒸着法の一例である電子ビーム蒸着法では約0.2Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。また、下地膜(16a)の成膜時の雰囲気としては、水分付着や不純物の吸着を防止するために外部と遮断された密閉状態で行うことが好ましく、成膜時の雰囲気を調整することにより、所定の電子放出特性を有する金属酸化物よりなる下地膜(16a)を形成することができる。
次に、下地膜(16a)上に付着形成する酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)の凝集粒子(16b’)について述べる。これらの結晶粒子(16b)は、気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで製造することができる。気相合成法では、不活性ガスが満たされた雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム金属材料を加熱し、さらに、雰囲気に酸素を少量導入することによって、マグネシウムを直接酸化させることができ、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を作製することができる。
一方、前駆体焼成法では、酸化マグネシウム(MgO)の前駆体を約700℃以上の高温で均一に焼成し、これを徐冷して酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を得ることができる。前駆体としては、例えば、マグネシウムアルコキシド(Mg(OR)2)、マグネシウムアセチルアセトン(Mg(acac)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硝酸マグネシウム(Mg(NO3) 2)、シュウ酸マグネシウム(MgC2O4)の内のいずれか1種以上の化合物を選ぶことができる。なお選択した化合物によっては、水和物の形態をとり得るが、本発明ではこのような水和物を用いることもできる。上記の化合物は、焼成後に得られる酸化マグネシウム(MgO)の純度が99.95%以上、望ましくは99.98%以上になるように調整する。これらの化合物中に、各種アルカリ金属、B、Si、Fe、Alなどの不純物元素が一定量以上混じっていると、熱処理時に不要な粒子間癒着や焼結を生じ、高結晶性の酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を得にくいためである。このため、不純物元素を除去するなどにより予め前駆体を調整することが必要となる。
上記いずれかの方法で得られた酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を、溶媒に分散させ、その分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、スリットコート法、静電塗布法などによって下地膜(16a)の表面に分散散布させる。その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図ることによって、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を下地膜(16a)の表面に定着させることができる。
なお、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を下地膜(16a)の表面に分散、定着させる方法としては、下地膜(16a)の不純物との反応を抑制する観点から約400℃以下の低温で実施することが望ましい。
更に、本発明の特徴部分となり得る“保護層”を詳述していく。本発明の製造方法では、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在する金属酸化物を含んで成る保護層を形成することが好ましいが、特に、保護層の下地膜(16a)をかかる金属酸化物から形成することが好ましい。換言すれば、保護層の下地膜(16a)を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成し、金属酸化物が下地膜(16a)面のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにする。
図13は、本発明の実施の形態におけるPDPの保護層(16)を構成する下地膜(16a)面におけるX線回折結果を示す図である。また、図13中には、酸化マグネシウム(MgO)単体、酸化カルシウム(CaO)単体、酸化ストロンチウム(SrO)単体、及び酸化バリウム(BaO)単体のX線回折分析の結果も示す。
図13において、横軸はブラッグの回折角(2θ)であり、縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示し、強度は任意単位(arbitrary unit)で示している。図中には特定方位面である結晶方位面を括弧付けで示している。図13に示すように、結晶方位面の(111)では、酸化カルシウム(CaO)単体では回折角32.2度、酸化マグネシウム(MgO)単体では回折角36.9度、酸化ストロンチウム単体では回折角30.0度、酸化バリウム単体では回折角27.9度にピークを有していることがわかる。
図13には、下地膜(16a)を構成する単体成分が2成分の場合についてのX線回折結果が示されている。すなわち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をA点、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をB点、さらに、酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をC点で示している。
図示するX線回折結果から分かるように、A点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化カルシウム(CaO)単体の回折角32.2度との間である回折角36.1度にピークが存在している。同様に、B点、C点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の35.7度、35.4度にピークが存在している。
図14に、図13と同様に、下地膜(16a)を構成する単体成分が3成分以上の場合のX線回折結果を示している。すなわち、図14には、単体成分として酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)を用いた場合の結果をD点、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をE点、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をF点で示している。
図示するX線回折結果から分かるように、D点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化ストロンチウム(SrO)単体の回折角30.0度との間である回折角33.4度にピークが存在している。同様に、E点、F点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の32.8度、30.2度にピークが存在している。
このように、本発明におけるPDP保護層の下地膜(16a)では、単体成分として2成分であれ、3成分であれ、下地膜(16a)を構成する金属酸化物のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。
なお、上記の説明では特定方位面としての結晶方位面として(111)を対象として説明したが、他の結晶方位面を対象とした場合も金属酸化物のピークの位置が上記と同様である。
酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の真空準位からの深さは酸化マグネシウム(MgO)と比較して浅い領域に存在する。そのため、PDPを駆動する場合において、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)のエネルギー準位に存在する電子がキセノン(Xe)イオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
X線回折分析の結果が、図13及び図14に示す特徴を有する金属酸化物は、そのエネルギー準位もそれらを構成する単体の酸化物の間に存在している。したがって、下地膜(16a)のエネルギー準位も単体の酸化物の間に存在し、オージェ効果により他の電子が獲得するエネルギー量が真空準位を超えて放出されるに十分な量とすることができる。
結果的に、下地膜(16a)では、酸化マグネシウム(MgO)単体と比較して、良好な二次電子放出特性を発揮することができ、それゆえ、放電維持電圧を低減することができる。つまり、特に輝度を高めるために放電ガスとしてのキセノン(Xe)分圧を高めた場合に、放電電圧を低減し、低電圧でなおかつ高輝度のPDPを実現することが可能となる。
ここで、本発明の製造方法で得られるPDPにおいて、下地膜(16a)の構成を変えた場合のPDPの放電維持電圧について説明する。まず、本発明によるサンプルとして、サンプルA(下地膜が酸化マグネシウムと酸化カルシウムによる金属酸化物)、サンプルB(下地膜が酸化マグネシウムと酸化ストロンチウムによる金属酸化物)、サンプルC(下地膜が酸化マグネシウムと酸化バリウムによる金属酸化物)、サンプルD(下地膜が酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムによる金属酸化物)、サンプルE(下地膜が酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化バリウムによる金属酸化物)を準備し、また比較例として、下地膜を酸化マグネシウム単体で構成したものを準備した。
そして、これらのサンプルA〜Eについて、放電維持電圧を測定すると、比較例を100とした場合、サンプルAは90、サンプルBは87、サンプルCは85、サンプルDは81、サンプルEは82の値を示した。
放電ガスのキセノン(Xe)の分圧を10%から15%へと高めた場合には輝度が約30%上昇するが、下地膜(16a)が酸化マグネシウム(MgO)単体の場合の比較例では、放電維持電圧が約10%上昇する。一方、本発明の製造方法で得られるPDPでは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEともに、放電維持電圧を比較例に比較して約10%〜20%低減することができるため、通常動作範囲内の放電開始電圧とすることができ、高輝度で低電圧駆動のPDPを実現することができるといえる。
なお、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)は、単体では反応性が高いために不純物と反応しやすく、そのために電子放出性能が低下しやすいものの、それらの金属酸化物の構成とすることによって、反応性を低減し、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成される。つまり、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)を金属酸化物の構成とすることによって、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、低電圧駆動と二次電子放出性能の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書込期間において書込不良を防止して確実な書込放電を行う上で有効である。
次に、下地膜(16a)上に設けた、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)が複数個凝集した凝集粒子(16b’)について詳述する。酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)は、本願発明者の実験により、主として書込放電における「放電遅れ」を抑制する効果と、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果が確認されている。そこで本発明では、凝集粒子(16b’)が下地膜(16a)に比べて高度な初期電子放出特性に優れる性質を利用して、放電パルス立ち上がり時に必要な初期電子供給部として配設している。
「放電遅れ」は、放電開始時において、トリガーとなる初期電子が下地膜(16a)表面から放電空間中に放出される量が不足することが主原因と考えられる。そこで、放電空間に対する初期電子の安定供給に寄与するため、酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)を下地膜(16a)の表面に分散配置する。これによって、放電パルスの立ち上がり時に放電空間中に電子が豊富に存在し、放電遅れの解消が図られる。したがって、このような初期電子放出特性により、PDPが高精細の場合などにおいても放電応答性の良い高速駆動ができるようになっている。なお下地膜(16a)の表面に金属酸化物の凝集粒子(16b’)を配設する構成では、主として書込放電における「放電遅れ」を抑制する効果に加え、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果も得られる。
以上のように、本発明の製造方法で得られるPDPでは、低電圧駆動と電荷保持の両立効果を奏する下地膜(16a)と、放電遅れの防止効果を奏する酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)とにより保護層を構成することによって、高精細なPDPでも高速駆動を低電圧で実現でき、且つ、点灯不良を抑制した高品位な画像表示性能を実現できる。
ちなみに、本発明の好適な実施形態としては、下地膜(16a)上に、結晶粒子(16b)が数個凝集した凝集粒子(16b’)を離散的に散布させ、全面に亘ってほぼ均一に分布するように複数個付着させる。図15は凝集粒子(16b’)を説明する拡大図である。
図15に示すように、凝集粒子(16b’)とは、所定の一次粒径の結晶粒子(16b)が凝集またはネッキングした状態のものである。すなわち、固体として大きな結合力を持って結合しているのではなく、静電気やファンデルワールス力などによって複数の一次粒子が集合体の体をなしているもので、超音波などの外的刺激により、その一部または全部が一次粒子の状態になる程度で結合しているものである。凝集粒子の粒径としては、約1μm程度のもので、結晶粒子としては、14面体や12面体などの7面以上の面を持つ多面体形状を有するのが望ましい。
また、結晶粒子(16b)の一次粒子の粒径は、結晶粒子(16b)の生成条件によって制御できる。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムなどのMgO前駆体を焼成して生成する場合、焼成温度や焼成雰囲気を制御することで粒径を制御することができる。一般的に、焼成温度は700℃〜1500℃の範囲で選択できるが、焼成温度を比較的高い約1000℃以上にすることで、その粒径を0.3〜2μm程度に制御することが可能である。さらに、結晶粒子(16b)をMgO前駆体を加熱して得ることにより、その生成過程において、複数個の一次粒子同士が凝集またはネッキングと呼ばれる現象により結合して凝集粒子(16b’)を得ることができる。
図16は、本発明の実施の形態におけるPDPのうち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)との金属酸化物で構成した下地膜(16a)を用いた場合の放電遅れと保護層中のカルシウム(Ca)濃度との関係を示す図である。下地膜(16a)として酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)とからなる金属酸化物で構成し、金属酸化物は、下地膜(16a)面におけるX線回折分析において、酸化マグネシウム(MgO)のピークが発生する回折角と酸化カルシウム(CaO)のピークが発生する回折角との間にピークが存在するようにしている。なお、図16には、保護層として下地膜(16a)のみの場合と、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置した場合とについて示し、放電遅れは、下地膜(16a)中にカルシウム(Ca)が含有されていない場合を基準として示している。
電子放出性能は、大きいほど電子放出量が多いことを示す数値で、表面状態及びガス種とその状態によって定まる初期電子放出量によって表現する。初期電子放出量については表面にイオン、あるいは電子ビームを照射して表面から放出される電子電流量を測定する方法で測定できるが、PDPの前面板表面の評価を非破壊で実施することは困難を伴う。そこで、特開2007−48733号公報に記載されている方法を用いた。すなわち、放電時の遅れ時間のうち、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目安となる数値を測定し、その逆数を積分すると初期電子の放出量と線形に対応する数値になる。つまり、かかる数値を用いて評価している。放電時の遅れ時間とは、パルスの立ち上がりから放電が遅れて行われる放電遅れの時間を意味し、放電遅れは、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が保護層表面から放電空間中に放出されにくいことが主要な要因として考えられている。
図16より明らかなように、下地膜(16a)のみの場合と、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置した場合とにおいて、下地膜(16a)のみの場合はカルシウム(Ca)濃度の増加とともに放電遅れが大きくなるのに対し、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置することによって放電遅れを大幅に小さくすることができ、カルシウム(Ca)濃度が増加しても放電遅れはほとんど増大しないことがわかる。
次に、本発明の実施の形態における凝集粒子(16b’)を有する保護層の効果を確認するために行った実験結果について説明しておく。まず、構成の異なる下地膜(16a)と下地膜(16a)上に設けた凝集粒子(16b’)を有するPDPを試作した。試作品1は酸化マグネシウム(MgO)の下地膜(16a)のみの保護層を形成したPDP、試作品2は酸化マグネシウム(MgO)にAl、Siなどの不純物をドープした下地膜(16a)のみの保護層を形成したPDP、試作品3は酸化マグネシウム(MgO)による下地膜(16a)上に酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)の一次粒子のみを散布し付着させた保護層を形成したPDPである。
一方、試作品4は、保護層として前述のサンプルAを用いている。すなわち、保護層は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)との金属酸化物で構成した下地膜(16a)と、下地膜(16a)上に結晶粒子(16b)を凝集させた凝集粒子(16b’)を全面に亘ってほぼ均一に分布するように付着させている。なお、下地膜(16a)は、下地膜(16a)面のX線回折分析において、下地膜(16a)を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。すなわち、この場合の最小回折角は酸化カルシウム(CaO)の32.2度、最大回折角は酸化マグネシウム(MgO)の36.9度であり、下地膜91の回折角のピークが36.1度に存在するようにしている。
これらのPDPについて、その電子放出性能と電荷保持性能を調べ、その結果を図17に示す。電子放出性能は上述の方法で評価し、電荷保持性能は、その指標として、PDPとして作製した場合に電荷放出現象を抑えるために必要とする走査電極に印加する電圧(以下Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値を用いた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が電荷保持能力の高いことを示す。このことは、PDPを設計する上で、電源や各電気部品として、耐圧及び容量の小さい部品を使用することが可能となる。現状の製品において、走査電圧を順次パネルに印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子には、耐圧150V程度の素子が使用されており、Vscn点灯電圧としては、温度による変動を考慮して約120V以下に抑えるのが望ましい。
図17から明らかなように、本発明の実施形態における下地膜(16a)に酸化マグネシウム(MgO)の単結晶粒子(16b)を凝集させた凝集粒子(16b’)を散布して全面に亘って均一に分布させた試作品4は、電荷保持性能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以下にすることができ、なおかつ電子放出性能が酸化マグネシウム(MgO)のみの保護層の場合の試作品1に比べて格段に良好な特性を得ることができる。
一般的にはPDPの保護層の電子放出能力と電荷保持能力は相反する。例えば、保護層の製膜条件を変更することや、保護層中にAlやSi、Baなどの不純物をドーピングして製膜することにより電子放出性能を向上することは可能であるが、副作用としてVscn点灯電圧も上昇してしまう。
試作品4のPDPにおいては、電子放出能力としては、酸化マグネシウム(MgO)のみの保護層を用いた試作品1の場合に比べて8倍以上の特性を有し、電荷保持能力としてはVscn点灯電圧が120V以下のものを得ることができる。したがって、高精細化により走査線数が増加し、かつセルサイズが小さいPDPに対しては有用で、電子放出能力と電荷保持能力の両方を満足させて、放電遅れを低減して良好な画像表示を実現することができる。
次に、結晶粒子(16b)の粒径についても詳細に説明しておく。なお、以下の説明において、粒径とは平均粒径を意味し、平均粒径とは、体積累積平均径(D50)のことを意味している。
図18は、上記図17で説明した試作品4において、結晶粒子(16b)の粒径を変化させて電子放出性能を調べた実験結果を示すものである。なお、図18において、結晶粒子(16b)の粒径は、結晶粒子をSEM観察することで測長した。図18に示すように、粒径が0.3μm程度に小さくなると、電子放出性能が低くなり、ほぼ0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が得られることがわかる。
ところで、放電セル内での電子放出数を増加させるためには、下地膜上の単位面積あたりの結晶粒子(16b)の数は多い方が望ましいが、本発明者らの実験によれば、前面板の保護層と密接に接触する背面板の隔壁の頂部に相当する部分に結晶粒子が存在することで、隔壁の頂部を破損させ、その材料が蛍光体の上に乗るなどによって、該当するセルが正常に点灯消灯しなくなる現象が発生することが分かった。この隔壁破損の現象は、結晶粒子(16b)が隔壁頂部に対応する部分に存在しなければ発生しにくいことから、付着させる結晶粒子(16b)の数が多くなれば隔壁の破損発生確率が高くなる。このような観点からは、結晶粒子径が2.5μm程度に大きくなると、隔壁破損の確率が急激に高くなり、2.5μmより小さい結晶粒子径であれば、隔壁破損の確率は比較的小さく抑えることができる。
以上の結果より、本発明の製造方法においては、保護層に用いる結晶粒子(16b)として、粒径が0.9μm〜2μmの範囲にあるものを使用すれば、上述した本発明の効果を安定的に得られることがわかった。なお、結晶粒子(16b)として酸化マグネシウム(MgO)粒子を用いて説明したが、この他の単結晶粒子でも、酸化マグネシウム(MgO)同様に高い電子放出性能を持つSr、Ca、Ba、Alなどの金属酸化物による結晶粒子を用いても同様の効果を得ることができるため、粒子種としては酸化マグネシウム(MgO)に限定されるものではない。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば以下の変更態様を挙げることができる。
● 前面板に形成する誘電体層は、第1誘電体層と第2誘電体層から構成される2層構造となっていてもよい。この場合、第1誘電体層の誘電体材料は、酸化ビスマス(Bi2O3)を20重量%〜40重量%、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んで成るものが好ましい。なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよい。このような組成から成る第1誘電体層用ペーストを、表示電極を覆うように前面ガラス基板にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成することによって、第1誘電体層を形成することができる。
一方、第2誘電体層は、酸化ビスマス(Bi2O3)を11重量%〜20重量%、さらに、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重量%〜21重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んで成るものが好ましい。なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよい。このような組成から成る第2誘電体層用ペーストを、第1誘電体層上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の550℃〜590℃で焼成することによって、第2誘電体層を形成することができる。このようにして製造されたPDPは、表示電極に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板の着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘電体層中に気泡の発生などがなく、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層を実現することができる。
● 保護層を、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化膜からなる金属酸化物により形成した場合について例示したが、特開2004−47193に開示されているような、酸化ランタン、酸化セリウムなどのランタノイド酸化物などを保護層として用いたものについても、本件発明は有効である。また、保護層としては電子ビーム蒸着法により形成されたものの他、微細な金属酸化物粒子を含むペーストを前面板に塗布・乾燥することによって得られるものについても、本件発明は有効である。
● 上述した説明では、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を、溶媒に分散させ、その分散液を下地膜の表面に分散散布し、その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を下地膜の表面に定着させた後において保護層を熱プラズマトーチで加熱することができる。しかしながら、必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。例えば、焼成工程を省略して熱プラズマトーチにより加熱することにより、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子の下地膜の表面への定着と、保護層(とくに下地膜)の不純物ガス吸着の改善とを一度に行うことも可能である。このような工程フローは、大掛かりな焼成設備の不要化につながるだけでなく、製造に要するエネルギーを低減でき、PDPの製造コストを低減できる利点がある。
《脱ガス特性の確認試験》
保護層の加熱温度の違いによる脱ガス特性を把握するために試験を行った。試験に用いた前面板は以下の仕様を有していた。
・保護層成分:MgOとCaOからなる金属酸化物
・保護層厚さ:0.8μm
・誘電体層成分:低融点ガラス
・誘電体層厚さ:40μm
・表示電極厚さ:15μm
バス電極の厚さ/成分:6μm/Ag
透明電極の厚さ/成分:100nm/ITO
・基板A:日本電気硝子製のソーダライムガラス/厚さ1.8mm
上記前面板の保護層に対して、以下の条件で熱プラズマトーチを走査して加熱処理を施した(保護層加熱温度:約2000℃)
・熱プラズマトーチのノズル先端と前面板との距離(ギャップ):80mm
・走査ピッチ:3mm
・走査速度:1000mm/s
・トーチの作動出力:20kW
・トーチノズル口径φ:40mm
上記前面板に対して昇温脱離法(TDS)を実施することによって、保護層の脱ガス特性を調べた。これによって、図10に示すグラフを得ることができた。
《前面板の内部確認》
加熱処理後の前面板の断面を観察した。具体的には、前面板を「2800℃」および「3700℃」で加熱処理した後、その断面を電顕写真で撮影した。結果を図11および図12に示す。図11は、2800℃の加熱処理を施された前面板の断面の一部を撮影した電顕写真であり、図12は、3700℃の加熱処理を施された前面板の断面の一部を撮影した電顕写真である。図11から分かるように、2800℃の加熱処理を施された場合では保護層と誘電体層との境界がはっきりしているのに対して、3700℃では保護層と誘電体層との渾然一体となっており、保護層と誘電体層との境界がはっきりとしていないことが把握できた。
《図8のグラフ》
図8で示すような「保護層表面温度」と「ギャップ(≒熱プラズマトーチと前面板との間の距離)」との相関関係を把握すべく以下のような試験を行った。
● 550℃、1000℃で変質が目視確認できる膜をPDP用ガラス基板上に形成した2種のサンプルを準備した。550℃で変質する膜として、誘電体ペーストを塗布・乾燥した膜を用いた。この膜は、550℃で軟化するため、白濁状態から透明状態に変化することが目視確認できる。1000℃で変質する膜として、プラズマCVD法により形成したアモルファスシリコン膜を用いた。この膜は、1000℃で多結晶化するため、茶色から灰色に変化することが目視確認できる。熱プラズマトーチの作動電力を20kW、走査速度を1000mm/sで一定とし、ギャップを120〜150mmで10mm刻みに変化させて上記2種のサンプルを処理したところ、550℃で変質する膜はギャップ150mmでは変質せず、ギャップ140mm以下で変質した。また、1000℃で変質する膜はギャップ130mm以上では変質せず、ギャップ120mmで変質した。この実験結果から、ギャップ145mmのときの表面温度を550℃、ギャップ125mmのときの表面温度を1000℃と推定することができ、ギャップと表面温度とが図8に示す線形関係を有していることを前提にグラフ化した。