JP5162152B2 - めっき樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性及びめっき強度が高く、外観が美しいめっき樹脂成形体に関する。
自動車を軽量化する目的から、自動車部品としてABS樹脂やポリアミド樹脂等の樹脂成形体が使用されており、この樹脂成形体に高級感や美感を付与するため、銅、ニッケル等のめっきが施されている。
従来、ABS樹脂等の成形体にめっきを施す場合、樹脂成形体とめっき層との密着強度を高めるため、脱脂工程の後に樹脂成形体を粗面化するエッチング工程が必須である。例えば、ABS樹脂成形体やポリプロピレン成形体をめっきする場合、脱脂処理の後に、クロム酸浴(三酸化クロム及び硫酸の混液)を用い、65〜70℃、10〜15分でエッチング処理する必要があり、廃水には有毒な6価のクロム酸イオンが含まれる。このため、6価のクロム酸イオンを3価のイオンに還元した後に中和沈殿させる処理が必須となり、廃水処理時の問題がある。
このように現場での作業時の安全性や廃水による環境への影響を考慮すると、クロム酸浴を使用したエッチング処理をしないことが望ましいが、その場合には、ABS樹脂等から得られる成形体へのめっき層の密着強度を高めることができないという問題がある。
特許文献1〜3の発明は、このような従来技術の問題を解決し、クロム酸浴を使用したエッチング処理を不要としたにも拘わらず、高い密着強度を有する金属めっき層を有するめっき樹脂成形体が得られたものである。
特許文献4の発明は、ポリアミド成形体に対するめっき工程において、塩酸エッチングによる表面粗し処理性を向上させ、金属めっきの密着強度を高める目的にて、粒径の大きな無機充填材を多量に配合しており(実施例では、平均粒径2.2μ〜12μのものを40重量%配合している。)、更に無機充填材の配合による衝撃強度の低下を抑制するため、ゴム状物質を配合している。
特開2003−82138号公報 特開2003−166067号公報 特開2004−2996号公報 特公平6−99630号公報 特開平7−157623号公報
特許文献1〜3の発明は、めっき前の樹脂成形体の製造法として射出成形法を適用した場合、弾性率が低く固化速度も低いため離型性の点で改善の余地がある。特許文献4の発明は、多量の無機充填材を配合しているため、射出成形時における離型性は良いことが考えられる。しかし、多量の無機充填材を配合しており、前記無機充填材が酸処理時に溶解除去されて凹凸が形成されるため、めっき後の金属めっきの密着強度は大きくなるが、金属めっき後の外観が損なわれるという問題がある。
特許文献5には、マレイミド系共重合体を含む樹脂組成物から得られた成形体をめっきすることが記載されているが、実施例に記載されているとおり、エッチング工程では、クロム酸(CrO)を用いたエッチングが採用されている。
本発明は、製造工程においてクロム酸等を用いたエッチングを使用せず、めっき工程前の樹脂成形体の射出成形時における型離れ性が良く、耐熱性及び密着強度が高く、美しい外観を有するめっき樹脂成形体を提供することを課題とする。
本発明は、
(A)2種以上の熱可塑性樹脂
(B)熱可塑性樹脂とマレイミド系モノマー単位を有する重合体が溶融状態で混練されてなるマスターバッチ及び
(C)水への溶解度(25℃)が0.01/100g〜10g/100gの水可溶性物質、
を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体の表面に金属めっき層を有するめっき樹脂成形体であり、
前記樹脂成形体がクロム及び/又はマンガンを含む酸によりエッチング処理されていないものであるめっき樹脂成形体を提供する。
本発明のめっき樹脂成形体は、めっき処理前の樹脂成形体の製造法として射出成形法を適用したとき、型離れも良いので生産性を向上させることができる。また、本発明のめっき樹脂成形体は、耐熱性が高く、めっきの密着強度が高いため、めっき直後及びヒートサイクル試験後においても美しい外観を有している。
<樹脂組成物>
〔(A)成分〕
(A)成分の2種以上の熱可塑性樹脂としては、
(A-1)23℃水中下、24hr後の吸水率(ISO62)が0.6%以上である樹脂と、
(A-2)23℃水中下、24hr後の吸水率(ISO62)が0.6%未満である樹脂、から選ばれる1種又は2種以上のものが好ましい。
(A-1)成分の樹脂は、吸水率が0.6〜11%のものがより好ましく、0.6〜5%のものが更に好ましく、0.6〜2.5%のものが特に好ましい。(A-2)成分の樹脂は、吸水率が0.4%以下のものがより好ましい。
本発明では、(A-1)成分の樹脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂と、(A-2)成分の樹脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。
(A-1)成分の樹脂としては、上記飽和吸水率を満たすポリアミド系樹脂、アクリル酸塩系樹脂、セルロース系樹脂、ビニールアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が好ましく、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂がより好ましく、ポリアミド系樹脂がもっとも好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン66、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカナミド(ナイロン6・12)、ポリドデカメチレンドデカナミド(ナイロン1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)及びこれらの混合物や共重合体;ナイロン6/66、6T成分が50モル%以下であるナイロン66/6T(6T:ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、6I成分が50モル%以下であるナイロン66/6I(6I:ポリヘキサメチレンイソフタラミド)、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/6I/610等の共重合体;ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミド(ナイロンM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)イソフタルアミド(ナイロンM5I)、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/M5T等の共重合体を挙げることができ、そのほかアモルファスナイロンのような共重合ナイロンでもよく、アモルファスナイロンとしてはテレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合物等を挙げることができる。
更に、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物及びこれらの成分からなる共重合体、具体的には、ナイロン6、ポリ−ω−ウンデカナミド(ナイロン11)、ポリ−ω−ドデカナミド(ナイロン12)等の脂肪族ポリアミド樹脂及びこれらの共重合体、ジアミン、ジカルボン酸とからなるポリアミドとの共重合体、具体的にはナイロン6T/6、ナイロン6T/11、ナイロン6T/12、ナイロン6T/6I/12、ナイロン6T/6I/610/12等及びこれらの混合物を挙げることができる。
ポリアミド系樹脂としては、上記の中でもPA(ナイロン)6、PA(ナイロン)66、PA(ナイロン)6/66が好ましい。
(A-2)成分の樹脂としては、上記飽和吸水率を満たすオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、液晶ポリマー、ポリフエニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂は、炭素数2〜8のモノオレフィンを主たる単量体成分とする重合体であり、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、これらの変性物等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができ、これらの中でもポリプロピレンが好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレン及びα置換、核置換スチレン等のスチレン誘導体の重合体を挙げることができる。また、これら単量体を主として、これらとアクリロニトリル、アクリル酸並びにメタクリル酸のようなビニル化合物及び/又はブタジエン、イソプレンのような共役ジエン化合物の単量体から構成される共重合体も含まれる。例えばポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリレート共重合体(MS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)等を挙げることができる。
また、ポリスチレン系樹脂として、ポリアミド系樹脂との相溶性や反応性をあげるためのカルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体を含んでもよい。カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体は、ゴム質重合体の存在下に、カルボキシル基含有不飽和化合物及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を重合してなる共重合体である。
成分を具体的に例示すると、
1)カルボキシル基含有不飽和化合物を共重合したゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルモノマーを必須成分とする単量体あるいは芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を重合して得られたグラフト重合体、
2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を共重合して得られたグラフト共重合体、
3)カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されていないゴム強化スチレン系樹脂とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須成分とする単量体の共重合体との混合物、
4)上記1)、2)とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須とする共重合体との混合物、
5)上記1)〜4)と芳香族ビニルを必須成分とする共重合体との混合物がある。
上記1)〜5)において、芳香族ビニルとしてはスチレンが好ましく、また芳香族ビニルと共重合する単量体としてはアクリロニトリルが好ましい。カルボキシル基含有不飽和化合物は、スチレン系樹脂中、好ましくは0.1〜8質量%であり、より好ましくは0.2〜7質量%である。
本発明の(A)成分として、(A-1)成分及び(A-2)成分を併用する場合は、(A-1)成分の割合は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%であり、(A-2)成分の割合は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。
〔(B)成分〕
(B)成分は、熱可塑性樹脂とマレイミド系モノマー単位を有する重合体が溶融状態で混練されてなるマスターバッチである。
熱可塑性樹脂は、(A)成分と同じものを用いることができるが、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂から選ばれるものが好ましい。
マレイミド系モノマー単位を有する重合体は、マレイミド系モノマー単位の重合体でもよいし、マレイミド系モノマー単位と他のモノマー単位との共重合体でもよい。
マレイミド系モノマー単位となるマレイミド系モノマーは、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−トルイルマレイミド、N−キシリールマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトメトキシフェニルマレイミドから選ばれる1種又は2種以上のものが好ましい。
他のモノマー単位となるモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレイン等の不飽和ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
マレイミド系モノマー単位を有する重合体は、マレイミド系モノマー、芳香族ビニルモノマー、不飽和ジカルボン酸無水物モノマーからなる共重合体が好ましい。
マレイミド系モノマー単位を有する重合体がマレイミド系モノマー、芳香族ビニルモノマー、不飽和ジカルボン酸無水物モノマーからなる共重合体である場合は、
マレイミド系モノマー単位の割合は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜55質量%であり;
芳香族ビニル系モノマー単位の割合は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜55質量%であり;
不飽和ジカルボン酸無水物モノマー単位の割合は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。不飽和ジカルボン酸無水物モノマー単位の割合が10質量%以下であると流動性が良くなり、0.1質量%以上であると衝撃強度が高くなる。
熱可塑性樹脂とマレイミド系モノマー単位を有する重合体の割合は、
熱可塑性樹脂は95〜10質量%が好ましく、80〜20質量%がより好ましく、70〜30質量%が更に好ましく、
マレイミド系モノマー単位を有する重合体は5〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が更に好ましい。
(B)成分のマスターバッチは、公知の一軸又は二軸押出機を用いて、所定量の熱可塑性樹脂とマレイミド系モノマー単位を有する重合体を溶融状態で混練して得ることができる。本発明の樹脂添加剤用マスターバッチの形態は特に制限されないが、取り扱い性が良いため、ペレット状にすることが好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分と(B)成分の含有割合は、
(A)成分は99〜50質量%が好ましく、95〜60質量%がより好ましく、90〜70質量%が更に好ましく、
(B)成分は1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
〔(C)成分〕
(C)成分の水可溶性物質は、水への溶解度(25℃)が0.01/100g〜10g/100gのものである。
(C)成分の水可溶性物質としては、上記溶解度を満たす、デンプン、デキストリン、プルラン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース又はこれらの塩等の多糖類;プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコール;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、アクリル酸−無水マレイン酸コポリマー、無水マレイン酸−ジイソブチレンコポリマー、無水マレイン酸−酢酸ビニルコポリマー、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物及びこれらの塩等を挙げることができる。
(C)成分としては、ペンタエリスリトール(溶解度7.2g/100g)、ジペンタエリスリトール(溶解度0.22g以下/100g)が好ましい。
(C)成分の含有割合は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
〔その他の成分〕
本発明で用いる樹脂組成物は、更に界面活性剤及び/又は凝固剤を含有することができる。
界面活性剤は、(A)成分の製造時において乳化重合を適用した場合に用いる界面活性剤(乳化剤)が樹脂中に残存しているものでもよいし、塊状重合等の乳化剤を使用しない製造法を適用した場合には、別途(A)成分中に添加したものでもよい。
界面活性剤、凝固剤は、樹脂の乳化重合で使用するもののほか、乳化重合で使用するもの以外のものでもよく、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ジエステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;モノもしくはジアルキルアミン又はそのポリオキシエチレン付加物、モノ又はジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸モノグリセリド、アミンオキシド等のノニオン界面活性剤;カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上のものを挙げることができる。
樹脂組成物中の界面活性剤の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.01〜2質量部が更に好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、更に下記のものから選ばれる1種又は2種以上のリン系化合物を含有することができる。
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(o−又はp−フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェニルジクレジルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラフェニル−m−フェニレンジホスフェート、テトラフェニル−p−フェニレンジホスフェート、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ポリフェニルホスフェート、ジピロカテコールハイポジホスフェート等の縮合系リン酸エステル。
ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニルネオペンチルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、エチルピロカテコールホスフェート等の正リン酸エステル等の脂肪酸・芳香族リン酸エステル。
ポリリン酸メラミン、トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸等のアルカリ金属塩、フィチン酸等のリン酸系化合物又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩等。
更に、上記以外のリン系化合物として、公知の樹脂用の難燃剤及び酸化防止剤として使用されているリン系化合物を用いることができる。
樹脂組成物中のリン系化合物の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.1〜10質量部が更に好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、更に無機充填材を含有することができる。無機充填材としては、粒状乃至粉状の充填材、繊維状の充填材を用いることができる。無機充填材は、めっき対象となる樹脂成形体を射出成形するときの離型性を向上させるための成分であり、めっき後のめっき密着強度を高めるように作用させるための成分ではない。
粒状乃至粉状の充填材としては、タルク、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、シリカ、マイカ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム)、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、オキシサルフェート、酸化スズ、アルミナ、カオリン、炭化ケイ素、金属粉末、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ガラスビーズ等を挙げることができる。
粒状乃至粉状の充填材は、平均粒径が100μm以下のものが好ましく、50μm以下のものがより好ましく、10μm以下のものが更に好ましく、5μm以下のものが特に好ましい。粒状乃至粉状の充填材の平均粒径を前記範囲内にすることにより、射出成形時における型離れ性が向上できると共に、めっき後の外観を美しくすることができる。平均粒径は、沈降天秤法によって測定し、50%粒度中央値で示したものである。
繊維状の充填材としては、ウォラストナイト、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アタパルジャイト等を挙げることができる。
繊維状充填材としてはウォラストナイトが好ましく、粒状乃至粉状の充填材としてはタルク、炭酸カルシウム(特に平均粒径の小さな沈降炭酸カルシウム)、カオリン等が好ましい。炭酸カルシウムを用いるときは、平均粒径が2μm以下のものが好ましく、1.5μm以下、1.0μm以下、0.5μm以下、0.1μm以下のものがより好ましい。
無機充填材の含有割合は、(A)、(B)及び(C)成分の合計量100質量部に対して1〜55質量部であり、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは1〜35質量部、特に好ましくは5〜25質量部である。無機充填材の含有量を前記範囲内にすることにより、射出成形時における型離れ性が向上できると共に、めっき後の外観を美しくすることができる。
本発明の樹脂組成物には、樹脂成形体の用途に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。
<めっき樹脂成形体>
本発明のめっき樹脂成形体は、上記した樹脂組成物を用い、射出成形、押出成形等の公知の成形方法を適用し、用途に応じた所望形状の樹脂成形体を得た後、下記工程にてめっきする。但し、本発明のめっき樹脂成形体は、めっき工程において、めっき対象となる樹脂成形体に対して、クロム及び/又はマンガンを含む酸によりエッチング処理をしないで得られたものである。
めっきする前の樹脂成形体は、例えば、2種の熱可塑性樹脂(ポリアミドとABS樹脂)を含む組成物から得られた場合、マトリックス(海)となる樹脂相(ポリアミド相)と、島となる樹脂相(ABS樹脂相)との界面に樹脂添加剤用マスターバッチに含有されたマレイミド系モノマー単位を有する重合体が存在しているものと考えられ、更に海となる樹脂相(ポリアミド相)中にマレイミド系モノマー単位を有する重合体が微分散された構造をしている。このため、本発明にてめっきに使用する樹脂成形体は、2種以上の熱可塑性樹脂を含む組成物から得られた場合でも、成形体が均質であり、性質のバラツキがない。
めっき方法は、樹脂成形体の表面に金属層又は金属膜を形成できる方法であればよく、めっき浴を用いた湿式めっき、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)等の乾式めっきを適用できる。湿式めっき方法としては、下記に示す特許文献1〜3の発明の実施例に記載の方法(I)(無電解めっき工程を含むめっき方法)、及びダイレクトプレーティング工程を含むめっき方法(II)を適用することができる。いずれのめっき方法においても、めっき対象となる樹脂成形体の表面をクロム及び/又はマンガンを含む酸によりエッチング処理しない。
(I)特許文献1〜3の発明の実施例に記載の方法(無電解めっき工程を含むめっき方法)
(1)脱脂工程
(2)酸による接触処理工程
(3)触媒付与工程
(4)第1活性化工程
(5)第2活性化工程
(6)ニッケルの無電解めっき工程
(7)酸活性化工程
(8)銅の電気めっき工程
(II)ダイレクトプレーティング工程を含むめっき方法
(1)脱脂工程
(2)酸による接触処理工程(エッチング工程)
(3)触媒付与工程
(4)ダイレクトプレーティング工程
(5)銅の電気めっき工程
(II)のめっき方法において、脱脂工程、酸による接触処理工程、触媒付与工程及び銅の電気めっき工程は、特許文献1〜3の発明の実施例に記載の方法と同じである。但し、(II)のめっき方法の「(2)酸による接触処理工程」では、(I)のめっき方法の「(2)酸による接触処理工程」と比べると、濃度の高い酸を用いる。
(II)のめっき方法の「(2)酸による接触処理工程」では、酸として、塩酸、リン酸、硫酸のほか、酢酸、クエン酸、ギ酸等の有機酸から選ばれるもの等を用いることができる。
塩酸の場合には、1.5〜3.5規定の塩酸が好ましく、1.8〜3.5規定がより好ましく、2〜3規定が更に好ましい。
この工程の処理は、例えば、樹脂成形体を酸中に浸漬する方法を適用でき、液温度10〜80℃の酸中に0.5〜20分間浸漬する方法を適用できる。1.5〜3.5規定の塩酸を用いる場合は、前記濃度範囲の塩酸水溶液に20〜60℃で、1〜10分間浸漬する方法を適用できる。
(II)のダイレクトプレーティング工程を含むめっき方法は公知であり、特開平5−239660号公報、WO98/45505(特許第3208410号公報)、特開2002−338636号公報(段落番号5)等に開示されている。
ダイレクトプレーティング工程では、セレクター液と称される金属化合物、還元性化合物及び金属水酸化物を含むめっき液を用い、従来汎用されている化学めっきにより形成されるめっき層(導電性層)と比べると、ごく薄い導電性層を形成するものである。
金属化合物としては、銅化合物が好ましく、例えば、硫酸銅、塩化銅、炭酸銅、酸化銅、水酸化銅を挙げることができる。銅化合物の含有量は、銅換算で0.1〜5g/Lが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2g/Lである。
還元性化合物には、公知の無電解めっき(化学めっき)で汎用されているホルマリン、次亜リン酸のように還元力の強いものは含まれず、これらに比べて還元力の弱いものであり、例えば下記のものを挙げることができる。
塩化第一錫、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、蟻酸あるいはその塩類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類とその塩類を挙げることができる。
還元性のある糖類、例えば、グルコース、ソルビット、ショ糖、マンニット、グルコノラクトンを挙げることができる。糖類の含有量は、3〜50g/Lが好ましく、より好ましくは10〜20g/Lである。
金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。金属水酸化物の含有量は、10〜80g/Lが好ましく、より好ましくは30〜50g/Lである。
セレクター液には、必要に応じて、錯化剤を含有することができる。錯化剤としては、ヒダントイン類、有機カルボン酸類等を挙げることができる。ヒダントイン類としては、ヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、アラントイン等を挙げることができ、有機カルボン酸類としては、クエン酸、酒石酸、コハク酸及びこれらの塩類等を挙げることができる。セレクター中の錯化剤の含有量は、2〜50g/Lが好ましく、より好ましくは10〜40g/Lである。
セレクター液のpHは10.0〜14.0の範囲が好ましく、より好ましくは11.5〜13.5の範囲である。
セレクター液の具体例としては、特開平5−239660号公報の実験例1の(c)(段落番号31)に記載されているめっき浴、、WO98/45505(特許第3208410号公報)の実施例に記載されている本発明浴1〜8を用いることができ、必要に応じて、その他の公知成分も付加することができる。
ダイレクトプレーティング工程の処理は、セレクター液の液温を好ましくは20〜70℃、より好ましくは35〜50℃に調整した後、樹脂成形体を30秒〜20分程度、好ましくは3〜5分程度浸漬する方法を適用できる。
ダイレクトプレーティング工程の処理により、樹脂成形体の表面に非常に薄い膜厚の導電性層が形成されるため、次工程において、直接電気めっきをすることができる。
本発明のめっき樹脂成形体は、下記ヒートサイクル試験後において、肉眼観察による外観変化が認められないものが好ましい。
(ヒートサイクル試験1)
縦100mm、横50mm、厚み3mmのメッキ樹脂成形体を試験片として用い、−30℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持、90℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持を1サイクルとして、計3サイクルのヒートサイクル試験を行う。
(ヒートサイクル試験2)
縦100mm、横50mm、厚み3mmのメッキ樹脂成形体を試験片として用い、−30℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持、100℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持を1サイクルとして、計3サイクルのヒートサイクル試験を行う。
本発明のめっき樹脂成形体の形状、めっき層の種類、厚み等は、用途に応じて適宜選択することができ、各種用途に適用することができるが、バンパー、エンブレム、ホイールキャップ、ラジエーターグリル等の外装部品やインナーハンドル等の内装部品等の自動車部品用途、や2輪自動車用途、、家電製品や携帯電話等のボタン類、家電製品の取っ手や、銘板類や、水道、シャワー部品として適している。
(樹脂組成物)
(A)成分
(PA-1):標準ポリアミド(ポリアミド6,宇部興産株式会社製,UBEナイロン6 1013B,吸水率1.8%,230℃1kgでのメルトフローインデックス:17)
(PA-2):高流動ポリアミド(ポリアミド6,宇部興産株式会社製,UBEナイロン6 1011FB,吸水率1.8%,230℃1kgでのメルトフローレート:50)
(PS-1):ABS樹脂(スチレン量45質量%、アクリロニトリル15質量%、ゴム量40質量%)
(PS-2):AS樹脂(スチレン量75質量%、アクリロニトリル25質量%,220℃10kgでのメルトフローインデックス:30)
(B)成分
下記製造例にて製造されたもの。なお、マレイミド系モノマー単位を有する重合体は、スチレン−Nフェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体(スチレン47質量%、Nフェニルマレイミド51質量%、無水マレイン酸が2質量%,重量平均分子量が14万5千,265℃10kgでのメルトフローレート:2)。を使用した。
(C)成分
(C-1):ジペンタエリスリトール(広栄化学工業社製)
(その他の成分)
無水マレイン酸変性ABS(無水マレイン酸4質量%、スチレン量43質量%、アクリロニトリル15質量%、ゴム量38質量%)
ウオラストナイト(KAP-170、関西マテック社製,平均粒子径6.8
炭酸カルシウム(カルファイン200、丸尾カルシウム(株)製,平均粒子径0.07μm)
タルク(5000S、林化成(株)製,平均粒子系2.8μm)
(測定方法)
密着強度:実施例及び比較例で得られためっき樹脂成形体を用い、JIS H8630付属書6に記載された密着試験方法により、樹脂成形体と金属めっき層との密着強度(最高値)を測定した。
製造例1、2〔(B)成分の製造〕
表1記載の各成分をV型タンブラーで混合後、二軸押出機(日本製鋼製,TEX30,シリンダー温度230℃、回転数350rpm、吐出量30kg/hr)にて溶融混練し、マスターバッチペレットを得た。
実施例及び比較例
表2記載の各成分をV型タンブラーで混合後、二軸押出機(日本製鋼製,TEX30,シリンダー温度230℃、回転数350rpm、吐出量30kg/hr)にて溶融混練し、ペレットを得た。
次に、射出成形機(シリンダー温度240℃、金型温度60℃)によりISOダンベル成形体を作成した。実施例1の組成物から得られた成形体の透過型電子顕微鏡写真(上)とそれを説明するための概念図(下)(図1)と比較例1の組成物から得られた成形体の透過型電子顕微鏡写真(上)とそれを説明するための概念図(下)(図2)を示す。なお、透過型電子顕微鏡写真は、下記の方法により撮影した。
射出成形品サンプル(厚み2mmの名刺サイズ)の表面近傍から、ミクロトームを用い、約200nmの超薄切片を切り出した後、リンタングステン酸にて、80℃、1時間の条件で染色を実施した。この染色後のサンプルを用い、透過型電子顕微鏡観察及び写真撮影を実施した。
図1から明らかなとおり、実施例1の組成物から得られた成形体1は、PA相(海)2にABS相(島)3が分散され、PA相2中にマレイミド系モノマー単位を有する重合体4bが微分散された構造をしている。なお、図1の透過型電子顕微鏡写真からは明確ではないが、PA相中にABS相が分散されているとの事実から、図示したとおり、PA相2とABS相3の界面に樹脂添加剤用マスターバッチに含有されたマレイミド系モノマー単位を有する重合体4aが存在しているものと考えられる。
図2から明らかなとおり、比較例1の組成物から得られた成形体11は、PA相(海)12にABS相(島)13が分散され、PA相12とABS相13の界面に樹脂添加剤用マスターバッチに含有されたマレイミド系モノマー単位を有する重合体14aが存在しており、更にABS相13中にマレイミド系モノマー単位を有する重合体4bが含有された構造をしている。
得られた樹脂成形体を試験片として、(I)無電解めっき工程を含むめっき又は(II)ダイレクトプレーティング工程を含むめっきを行い、めっき樹脂成形体を得た。これらのめっき樹脂成形体におけるヒートサイクル試験の結果を表1に示す。
(I)無電解めっき工程を含むめっき
(1)脱脂工程
試験片を、エースクリンA−220(奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液(液温40℃)に20分浸漬した。
(2)酸による接触処理工程
1.0規定の塩酸100ml(液温40℃)中に5分間浸漬した。
(3)触媒付与工程
35質量%塩酸150ml/Lと、キャタリストC(奥野製薬工業(株)製)40ml/L水溶液との混合水溶液(液温25℃)中に3分間浸漬した。
(4)第1活性化工程
試験片を、98質量%硫酸100ml/L水溶液(液温40℃)中に3分間浸漬した。
(5)第2活性化工程
試験片を、水酸化ナトリウム15g/L水溶液(液温40℃)中に2分間浸漬した。
(6)ニッケルの無電解めっき工程
試験片を、化学ニッケルHR−TA(奥野製薬工業(株)製)150ml/Lと、化学ニッケルHR−TB(奥野製薬工業(株)製)150ml/Lの混合水溶液(液温40℃)に5分間浸漬した。
(7)酸活性化工程
試験片を、トップサン(奥野製薬工業(株)製)100g/L水溶液(液温25℃)に1分間浸漬した。
(8)銅の電気めっき工程
試験片を、実施例1と同じめっき浴(液温25℃)に浸漬して、120分間電気めっきを行った。
(II)ダイレクトプレーティング工程を含むめっき
(1)脱脂工程
樹脂成形体を、エースクリンA−220(奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液(液温40℃)に5分浸漬した。
(2)エッチング工程(酸による接触処理工程)
樹脂成形体を、35質量%塩酸210ml/L(2.3規定)水溶液(液温40℃)中に5分間浸漬した。エッチング工程の処理後における実施例1の組成物から得られた成形体表面の走査型電子顕微鏡写真(図3)と、比較例1の組成物から得られた成形体の走査型電子顕微鏡写真(図4)を示す。なお、走査型電子顕微鏡写真は、下記の方法により撮影した。
エッチング工程の処理後の測定サンプルを十分乾燥させ、白金蒸着後、日本電子(株)製のJSM−6700Fを用いて、加速電圧3KVにて測定・観察し、写真撮影を行った。
図3と図4の対比から明らかなとおり、実施例1の組成物から得られた成形体は、比較例1の組成物から得られた成形体と比べると、塩酸による表面の浸食度合いが小さくなっている。これは、図1と図2の対比から確認できる相構造の違いによるものと考えられ、実施例1の組成物から得られた成形体の方が、より耐塩酸性が高められているものと考えられる。
(3)触媒付与工程
35質量%塩酸150ml/Lと、キャタリストC(奥野製薬工業(株)製)40ml/L水溶液との混合水溶液(液温25℃)中に3分間浸漬した。
(4)ダイレクトプレーティング工程
樹脂成形体を下記組成のセレクター液(45℃,pH12)に3分間浸漬して、樹脂成形体表面に導電性層を形成させた。
硫酸銅 3g/L
水酸化ナトリウム 30g/L
グルコース 10g/L
ヒダントイン 10g/L
(5)銅の電気めっき工程
樹脂成形体を下記組成のめっき浴(液温25℃)に浸漬して、120分間電気めっきを行った。
(めっき浴の組成)
硫酸銅(CuSO4・5H2O)200g/L
硫酸(98%)50g/L
塩素イオン(Cl−)5ml/L、
トップルチナ2000MU(奥野製薬工業(株)製)5ml/L
銅めっきを行った後、肉眼によるめっき直後の外観の評価を行った。平滑な表面を得られたものを良好とし、粗面が存在したものを不良とした。なお、不良のものはヒートサイクル試験を行わなかった。
表1のヒートサイクル試験中、良好は、肉眼観察により、めっき直後の外観とヒートサイクル後の外観の変化が全くないか、殆どない場合を示し、膨れは、めっき層が樹脂成形体から浮き上がった部分が見られる場合を示す。
表2から明らかなとおり、実施例1〜10の組成物から得られた樹脂成形体のめっきと、比較例1〜3の組成物から得られた樹脂成形体のめっきとを比べると、めっきの密着強度に明確な差が認められた。これらの結果は、実施例1〜10の組成物において樹脂添加用マスターバッチを用いたことにより、2種類の熱可塑性樹脂の混練性が向上されたことを示すものである(図1〜図4参照)。
実施例1の組成物から得られた成形体の透過型電子顕微鏡写真。 比較例1の組成物から得られた成形体の透過型電子顕微鏡写真 ダイレクトプレーティング工程を含むめっきにおいて、エッチング工程の処理後における実施例1の組成物から得られた成形体表面の走査型電子顕微鏡写真。 ダイレクトプレーティング工程を含むめっきにおいて、エッチング工程の処理後における比較例1の組成物から得られた成形体表面の走査型電子顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. (A)2種以上の熱可塑性樹脂
    (B)熱可塑性樹脂とマレイミド系モノマー単位を有する重合体が溶融状態で混練されてなるマスターバッチ及び
    (C)水への溶解度(25℃)が0.01/100g〜10g/100gの水可溶性物質、
    を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体の表面に金属めっき層を有するめっき樹脂成形体であり、
    前記樹脂成形体がクロム及び/又はマンガンを含む酸によりエッチング処理されていないものであるめっき樹脂成形体。
  2. 前記(B)成分のマレイミド系モノマー単位が、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−トルイルマレイミド、N−キシリールマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトメトキシフェニルマレイミドから選ばれるものに由来する、請求項1記載のめっき樹脂成形体。
  3. 前記(B)成分のマレイミド系モノマー単位を有する重合体が、マレイミド系モノマー、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物単量体からなる共重合体である、請求項1又は2記載のめっき樹脂成形体。
  4. 前記(B)成分のマスターバッチが、前記熱可塑性樹脂99〜50質量%と前記マレイミド系モノマー単位を有する重合体1〜50質量%を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のめっき樹脂成形体。
  5. 前記(A)成分の熱可塑性樹脂が、(A-1)23℃水中下、24hr後の吸水率(ISO62)が0.6%以上である樹脂10〜90質量%と、(A-2)23℃水中下、24hr後の吸水率(ISO62)が0.6%未満である樹脂10〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のめっき樹脂成形体。
  6. 下記ヒートサイクル試験後において、肉眼観察による外観変化が認められない、請求項1〜5のいずれか1項に記載のめっき樹脂成形体。
    (ヒートサイクル試験1)
    縦100mm、横50mm、厚み3mmのメッキ樹脂成形体を試験片として用い、−30℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持、100℃で60分間保持、室温(20℃)で30分間保持を1サイクルとして、計3サイクルのヒートサイクル試験を行う。
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