JP5167634B2 - レーザー投射装置 - Google Patents

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Description

本発明はレーザー投射装置に関するものであり、例えば、レーザー光をミラーで偏向走査してスクリーン面に画像を投影する走査型のレーザー投射装置(レーザープロジェクタ等)に関するものである。
レーザー光を互いに直交する第1,第2走査方向に偏向させ、被走査面上をビームスポットで2次元的に走査することにより、2次元画像を形成するレーザー投射装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。レーザー光の偏向には、ポリゴンミラー,ガルバノミラー,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等のミラーが一般的に用いられているが、ガルバノミラーやMEMSミラー等の正弦波駆動するミラーにはいくつかの問題がある。例えば、被走査面上での走査速度が周辺部で遅くなり、その結果、光量ムラにより画像品質が低下するという問題がある。また、被走査面上に形成される2次元画像に歪みが発生するという問題もある。こういった問題を解決しようとすると、光学系の複雑化や大型化を招いたり、電気回路等にかかる負担を増大させたりすることになる。
特許文献3記載のレーザー投射装置では、等速走査性の確保と投影歪みの補正とを両立させるため、偏向後のレーザー光に対し水平走査方向と垂直走査方向とで異なった形状の光学面を用いている。また、特許文献4記載のレーザー投射装置では、装置の小型化を図るため、正弦波駆動するミラーに対し主走査方向と副走査方向とで異なった収束性のレーザー光を入射させている。
特開2001−281583号公報 特開平11−84291号公報 特開2006−178346号公報 特開2006−227044号公報
特許文献3記載のレーザー投射装置には、2次元走査を行うために水平走査方向と垂直走査方向との2方向にレーザー光を偏向させるMEMSミラーが用いられている。MEMSミラーには、水平走査方向・垂直走査方向とも収束したレーザー光が入射するが、その収束度合いは同じか、異なっていてもその差が小さいため、装置の小型化には寄与していない。しかも、投射光学系のサイズが大きく(ミラーサイズの40倍程度の大きさ)、この点でも小型化を達成できているとは言いがたい。したがって、小型であり、かつ、アークサイン特性と歪み補正の可能な投射光学系を実現するには不十分な構成と言える。いずれにしてもMEMSミラーに対する入射光が水平・垂直の両走査方向に収束光であるため、どちらの走査方向についてもMEMSミラーの位置調整は必要となる。また、垂直走査方向にも負パワーの投射光学系が用いられているため、垂直走査方向の等速性が出しにくいという問題もある。
特許文献4記載のレーザー投射装置には、アークサイン特性(投影面での等速走査性)を出すために、水平走査方向に収束したレーザー光をMEMSミラーに入射させている。ただし、1次元の偏向走査を行う構成であるため、2次元的な歪曲については考慮されていない。しかも、投射光学系が負レンズ1枚で構成されているため、原理的に2次元的な歪曲を補正することはできない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型でありながら2次元走査で歪みのない高品質の明るい画像が得られるレーザー投射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のレーザー投射装置は、レーザー光源と、そのレーザー光源から発せられたレーザー光を集光する入射光学系と、その入射光学系から射出したレーザー光を互いに直交する第1走査方向と第2走査方向とにミラーで偏向させる走査装置と、その走査装置で偏向したレーザー光を被走査面に導く投射光学系と、を備えたレーザー投射装置であって、前記走査装置が、第1走査方向の偏向をミラーの共振駆動により行い、第2走査方向の偏向をミラーの非共振駆動により行い、前記入射光学系が、第1走査方向と第2走査方向とでパワーの異なる光学系から成り、第1走査方向にはミラーに収束光を入射させ、第2走査方向にはほぼ平行光を入射させ、前記投射光学系が第1走査方向に負のパワーを有し、前記投射光学系が、少なくとも2つの光学素子から成り、そのうちの1つの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて正のパワーが強くなり、もうひとつの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて負のパワーが強くなることを特徴とする。
第2の発明のレーザー投射装置は、上記第1の発明において、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0.3>S(objH)/L>0.03 …(1)
ただし、
S(objH):第1走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
である。
第3の発明のレーザー投射装置は、上記第1又は第2の発明において、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
|S(objV)|/L>0.8 …(2)
ただし、
S(objV):第2走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
である。
第4の発明のレーザー投射装置は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
3>pwH/pwV>1.2 …(3)
ただし、
pwH:第1走査方向における入射光学系のパワー、
pwV:第2走査方向における入射光学系のパワー、
である。
第5の発明のレーザー投射装置は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記投射光学系が、パワーを有する光学面として反射面2面のみを有することを特徴とする。
本発明によれば、小型でありながら2次元走査で歪みのない高品質の明るい画像が得られるレーザー投射装置を実現することができる。
以下、本発明に係るレーザー投射装置の実施の形態等を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係るレーザー投射装置は、レーザー光源と、そのレーザー光源から発せられたレーザー光を集光する入射光学系と、その入射光学系から射出したレーザー光をミラーで偏向させる走査装置(例えば、MEMSミラー)と、その走査装置で偏向したレーザー光を被走査面に導く投射光学系と、を備えたものである。走査装置は、2次元走査を行うために、互いに直交する第1走査方向と第2走査方向とにレーザー光をミラーで偏向させる構成になっている。レーザー光を偏向させる際の第1,第2走査方向は、例えば走査型レーザープロジェクタの場合、形成される2次元画像に関する水平走査方向と垂直走査方向との2方向にそれぞれ相当する。
一般的な投影方式では、2次元の空間変調素子(通常の液晶パネルやデジタル・マイクロミラー・デバイス等)を照明して、その空間変調素子の表示画像をスクリーン面に投影するが、本発明に係るレーザー投射装置では、これとは全く異なった方式、すなわちレーザー走査方式を採用している。レーザー走査方式は、レーザー光を入射光学系で走査装置に入射させ、その走査装置で2次元走査されたレーザー光を投射光学系で被走査面に投射する方式である。走査装置の位置情報に合わせてレーザー光源を変調させることにより、スクリーン面に2次元画像を投影することができ、また、レーザー走査方式を採用することにより、レーザー光源から投射光学系までを非常にコンパクトに構成することができる。
レーザー走査方式ではレーザー光をミラーで往復走査することになるが、例えば1/60秒のフレームレートでXGAの解像力を達成するには、垂直走査が60Hzであり、垂直走査方向の解像度が768ドットであるため、水平走査には60×768/2=23kHz(2で割るのは往復走査のため)の非常に高速な往復運動が必要となる。このように高速に大きくミラー角度を変化させる場合、共振を用いることが一般に行われており、MEMSの共振ミラーを用いることにより、高速に大きな振幅での往復運動が可能となる。MEMSには電磁駆動方式,圧電駆動方式,静電駆動方式があるが、圧電方式が大きなミラーを高速に走査するのに適しており、他の方式ではミラーの大きさや速度が不足するという課題がある。したがって、ミラーの駆動方式としては圧電駆動が好ましい。高速駆動が必要な共振ミラーとしては、例えば後で詳述するMEMSミラー(図16)が挙げられる。その共振駆動は、ミラー部がトーションバー(ねじり棒)で保持されたミラー構成において、ねじり棒を中心にミラー部を振動させることにより行われる。
水平走査方向の偏向にはミラーの共振駆動が必要であるが、垂直走査方向の偏向にはミラーの共振駆動は不要である。上述したように垂直走査は60Hzの低速駆動で行われるからである。低速駆動を行うことができるので、往復駆動ではあるが、のこぎり型や三角型といった駆動を比較的自由に行うことができる。また、リニア(等速)に駆動している時間も比較的大きく確保することができるので、プロジェクタの明るさを明るくすることができる。つまり、低速駆動では画像形成領域を相対的に大きくできるので、明るさを向上させることができる。したがって、垂直走査方向の偏向にはミラーの非共振駆動が適している。
共振駆動ではミラーが往復運動するので、往復の中心で走査速度が最も速くなり、最周辺で走査速度がゼロになる、いわゆる正弦波駆動が行われることになる。正弦波駆動には2つの問題がある。第1に、走査速度の差によってスクリーン面上で輝度差が生じ、画面周辺が明るくなってしまう。第2に、走査速度の差によって画面周辺と画面中心とでドットサイズに差が生じてしまう。両者とも映像品質に著しい劣化を生じさせるので好ましくない。これらの問題点を解決するために、画面周辺の明るさを低下させると全体の明るさが低下してしまい、また、制御回路によってドットサイズを一定にすると、回路負荷が大きくなり、装置の大型化やコストアップを招いてしまう。
上記観点から、走査装置が、水平走査方向(第1走査方向)の偏向をミラーの共振駆動により行い、垂直走査方向(第2走査方向)の偏向をミラーの非共振駆動により行うのが好ましい。水平走査方向の偏向をミラーの共振駆動(正弦波駆動)で行う場合、スクリーン面での等速走査を実現するために、投射光学系でのアークサイン補正が必要となる。そして、小型の投射光学系でアークサイン特性を出すには、走査装置のミラーに収束光を入射させ、投射光学系に負パワーを持たせることが好ましい。また、垂直走査方向の偏向をミラーの非共振駆動で行う場合、スクリーン面での等速走査を実現するために、投射光学系にfθ(又はftanθ)特性が必要となる。その特性を小型の投射光学系で出すには、投射光学系に弱い正パワーを持たせる(例えばパワーの弱い凸レンズを用いる。)ことが好ましい。
2次元走査の場合、もともと被走査面側で糸巻き型の歪曲が発生するが、投射光学系を負レンズのみで構成すると歪曲が助長されるので、走査装置と負レンズとの間にミラーを配置し、その周辺に正のパワーを持たせれば、歪曲とアークサイン特性をうまくバランスさせたような設計解とすることができる。したがって、歪曲を補正するには投射光学系を負パワーの光学素子と正パワーの光学素子との2点で補正することが、基本的に好ましい構成といえる。
走査装置のミラー(例えばMEMSミラー)に対し、水平走査方向・垂直走査方向とも収束したレーザー光を入射させる構成では、後で詳しく説明するように、ミラー調整が水平走査方向・垂直走査方向ともに必要になる。ミラーに入射するレーザー光が垂直走査方向に平行光である場合、ミラーの組み込み調整は水平走査方向のみでよくなる。したがって、2次元走査のための偏向を行うミラーを用いた場合(例えば2次元MEMSミラー)には、2方向の複雑な調整が不要となり、1次元走査のための偏向を行うミラーを2枚用いた場合には、組み込み調整の必要な部品点数が減ることになる。いずれにしてもコストダウンが可能になるので好ましい。また、垂直走査方向にも負パワーの投射光学系を用いた構成では、周辺の光を広げる効果により垂直走査方向の等速性を出すことが難しくなる。
ミラー調整とそれに入射するレーザー光の平行度合いとの関係を更に詳しく説明する。図13に示すように、ミラーMRに対して収束光が入射する場合を考える。ミラーMRに対して組み込み誤差が発生した場合、図13中の点線で示すように反射位置にズレが発生する。それに伴って、投射光学系P3に入射するレーザー光の物点位置がQ1からQ2へと移動して、物点位置と物点距離にズレが発生する。したがって、スクリーン(不図示)での結像において、像の位置と像のフォーカスにズレが発生することになる。このズレをなくすためには、走査装置(例えばMEMSミラー)のミラー配置を正確に行う必要があり、厳密なミラー保持のためにミラー調整が必要となる。
物体距離が近い(収束度合いが大きい)と、組み込み誤差による像点移動が大きくなる。仮にミラーMRの組み込み誤差を50μm、物体距離を100mm、投射光学系P3の投影距離を400mmとした場合、概算で物体距離と投影距離の倍率だけ像面での物点移動誤差が発生する。つまり、この場合は約4倍なのでスクリーンでは200μmのズレとなる。また焦点誤差については、横倍率の2乗なので16倍のズレとなり、800μmのフォーカス誤差となる。これらの誤差はスクリーンでの解像度によるが、一般的なXGA相当でスクリーンの長辺長さ300mmとすると、約300μmのドットに対する誤差としては、良好な結像を得る上で大きいといえる。
同様の計算を特許文献3記載のレーザー投射装置について行うと、物体距離は121.6mmで投影距離は約240mm程度、スクリーン横幅243.5mmでSVGA(800ドット)なので、0.3mmのドットである。倍率は約2倍なので縦倍率は4倍、スクリーン上での50μm誤差では0.2mmのフォーカス誤差が生じることになる。この場合、誤差としては許容限界のぎりぎりであるため、投射光学系が大きくなってしまっている。したがって、小型の投射光学系でアークサイン特性を出すには、もう少しパワーを大きくする必要があり、そのようにパワーを大きくすると、調整の避けられない領域に入ってくる。
逆に、ミラーMRに対して平行光が入射する場合、投射光学系P3により形成される像点の位置やフォーカスの位置にズレは発生しない。瞳のズレは発生するが、その量が小さければミラーMRの組み込み誤差の影響はない。一般にメカ誤差は数10μm程度であるが、瞳の径が1mmとすると数%程度の瞳ズレになるので、無視することができる。したがって、ミラーMRへの入射がほぼ平行光の場合には、組み込み誤差による像の位置、像のフォーカスズレを考慮する必要がないので、ミラー調整を不要にすることができる。ただし、水平走査方向(第1走査方向)に関しては収束光を入射させることが好ましい。水平走査方向の偏向をミラーの共振駆動(正弦波駆動)で行う場合、スクリーン面でのアークサイン特性を出すために、ミラーMRへの収束光入射と投射光学系P3における負パワーの光学素子(例えば負レンズ)の使用との組み合わせが必要となるからである。
小型の投射光学系でアークサイン特性を出すために、水平走査方向(第1走査方向)において、投射光学系の負パワーを強くし、偏向用のミラーに入射させるレーザー光の収束性を強くするという上記観点から、レーザー投射装置は以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
0.3>S(objH)/L>0.03 …(1)
ただし、
S(objH):第1走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
である。
条件式(1)の上限を越えると、収束性が弱くなるので(投射光学系の負パワーが弱くなるため)アークサイン補正の効果が不足となり、水平走査方向の大きな走査角度において補正が困難になる。走査角度を小さく設定すれば、画角が狭くなるのでスクリーンサイズが小さくなる。したがって、小型の投射光学系で大きな画面を投影することができなくなる。また、アークサイン補正の効果を得るために、負パワーの光学素子(例えば負レンズ)から走査装置までの距離を大きくすると、その結果として、投射光学系が大型化してしまうので好ましくない。逆に、条件式(1)の下限を越えると、収束性が強くなりすぎて、水平走査方向における画面周辺での像面湾曲の補正が困難になったり、ミラーの組み込み誤差の調整を行っても調整残り量が問題となったり、画面斜め方向の歪曲が大きくなったりしてしまい、良好な投射装置を実現することが困難になる。
以下の条件式(1a)を満足することが更に望ましい。
0.3>S(objH)/L>0.1 …(1a)
この条件式(1a)は、上記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
垂直走査方向(第2走査方向)には、等速補正のためにfθ(又はftanθ)特性が必要である。通常の凸レンズは無限遠物体に対してftanθ特性を有するが、その特性は角度θが小さい場合にはfθ特性と同等である。焦点距離が小さくなる(つまりパワーが強くなる)と、歪曲収差によってこの特性からずれてしまう。したがって、垂直走査方向には平行に近いレーザー光を入射させることが好ましく、具体的には以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
|S(objV)|/L>0.8 …(2)
ただし、
S(objV):第2走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
である。
条件式(2)を満足すると、結像関係を維持する投射光学系が垂直走査方向に弱いパワーとなり、良好なfθ(又はftanθ)特性を達成することが可能となる。弱いパワーといえども、負レンズであれば上記構成から外れること(つまり光線を画面外側に向けて曲げること)になるので、正パワー又は正の弱いパワーであることが更に好ましい。
以下の条件式(2a)を満足することが更に望ましい。
|S(objV)|/L>1.2 …(2a)
この条件式(2a)は、上記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
上記の点を考慮すると、水平走査方向と垂直走査方向とで入射光学系のパワーを大きく異ならせる必要がある。つまり入射光学系は、第1走査方向(水平走査方向)にはミラーに収束光を入射させ、第2走査方向(垂直走査方向)にはほぼ平行光を入射させるとともに、第1走査方向と第2走査方向とでパワーの異なる光学系、例えばアナモルフィック光学系から成ることが好ましい。そのパワー比に関して、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
3>pwH/pwV>1.2 …(3)
ただし、
pwH:第1走査方向における入射光学系のパワー、
pwV:第2走査方向における入射光学系のパワー、
である。
条件式(3)の上限を越えると、パワー比が大きくなりすぎるために、入射光学系の瞳形状が水平走査方向と垂直走査方向とで大きく異なりすぎてしまう。これは投射光学系で投影した点像が垂直走査方向に長い楕円になることを意味し、その結果、投射光学系では水平走査方向の解像度が不足するという問題が生じる。逆に、条件式(3)の下限を越えると、前述したように水平走査方向の共振駆動(正弦波駆動)と垂直走査方向の非共振駆動(低速駆動)に対応した投射光学系に対して、水平走査方向と垂直走査方向とで必要な物体距離の差を与えることが難しくなるので好ましくない。
以下の条件式(3a)を満足することが更に望ましい。
2>pwH/pwV>1.3 …(3a)
この条件式(3a)は、上記条件式(3)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
2次元走査を行う場合には、近軸的な考え方で水平走査方向と垂直走査方向について考慮しただけでは不十分である。それは画面の中心に対して縦と横のラインだけを考えただけに過ぎないからであり、画面の四隅に代表されるスキュー光線についても等速性や歪みを考慮する必要がある。一般に2次元走査用のMEMSミラーに光を当てると、光学系がない場合には画面周辺で糸巻き型の歪みが発生してしまう。図14にその一例を示す。図14は、ミラーのみで2次元走査を行った場合の歪曲図である(水平走査方向の入射角度:0度,水平走査方向の走査角度:15度,垂直走査方向の走査角度:11.25度)。
負レンズの特性(周辺の光をより遠くに飛ばす特性)を利用して等速性を満足させることと、入射光学系の収束性と、で結像関係を保つことはできるが、負レンズの特性では周辺部分で上記糸巻き型の歪曲(図14)が大きくなってしまう。周辺のみ負のパワーを弱くすると、結像関係が崩れるので良好な点像性能が得られなくなる。このことから、光学素子の自由度が負レンズ(負のパワーの光学素子)1枚では不足していることが分かる。投射光学系には少なくとももう1つの自由度が必要であり、そのためには光学素子がもう1枚必要である。つまり、画面周辺の歪みを取り、等速性を維持し、結像関係を維持するためには、投射光学系は2枚必要であり、1つの光学素子として水平走査方向に周辺に向かうほど負のパワーが大きくなるものを用い、もう1つの光学素子としては逆に周辺に向かうほど正のパワーが大きくなるものを用いるのが有効である。したがって、投射光学系が、少なくとも2つの光学素子から成り、そのうちの1つの光学素子が第1走査方向(水平走査方向)の周辺に向けて正のパワーが強くなり、もうひとつの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて負のパワーが強くなることが好ましい。
次に、第1,第2の実施の形態を挙げて、本発明に係るレーザー投射装置の具体的な光学構成を説明する。図1に第1の実施の形態の光路及び光学構成の全体を垂直走査断面で示し、図2に第1の実施の形態の光路及び光学構成の全体を水平走査断面で示す。図3に第1の実施の形態の光路及び光学構成の一部を拡大して垂直走査断面で示し、図4に第1の実施の形態の光路及び光学構成の一部を拡大して水平走査断面で示す。図7に第2の実施の形態の光路及び光学構成の全体を垂直走査断面で示し、図8に第2の実施の形態の光路及び光学構成の全体を水平走査断面で示す。図9に第2の実施の形態の光路及び光学構成の一部を拡大して垂直走査断面で示し、図10に第2の実施の形態の光路及び光学構成の一部を拡大して水平走査断面で示す。
各実施の形態のレーザー投射装置PJは、レーザー光源P0と、そのレーザー光源P0から発せられたレーザー光を集光する入射光学系P1と、その入射光学系P1から射出したレーザー光を互いに直交する水平走査方向と垂直走査方向とにミラーMRで偏向させる走査装置P2と、その走査装置P2で偏向したレーザー光をスクリーン面SCに導く投射光学系P3と、で構成されている。
入射光学系P1は、水平走査方向と垂直走査方向とでパワーの異なるアナモルフィックレンズ1枚で構成されている。レーザー光源P0から射出したレーザー光は、入射光学系P1を通過することにより、走査装置P2のミラーMRに対し、水平走査方向には収束光として入射し、垂直走査方向にはほぼ平行光として入射することになる。投射光学系P3は、水平走査方向には負のパワーを有しており、垂直走査方向には弱いパワーを有している。また投射光学系P3は、レーザー光源P0側から順に第1走査光学素子P3aと第2走査光学素子P3bとで構成されている。第1走査光学素子P3aは、水平走査方向の周辺に向けて正のパワーが強くなり、第2走査光学素子P3bは水平走査方向の周辺に向けて負のパワーが強くなる構成になっている。
第1の実施の形態では、第1走査光学素子P3aとしてミラーが用いられており、第2走査光学素子P3bとしてレンズが用いられている。つまり、第1の実施の形態の投射光学系P3は、パワーを有する光学素子としてミラーとレンズとを有している。第2の実施の形態では、第1走査光学素子P3aと第2走査光学素子P3bとしてミラーが用いられている。つまり、第2の実施の形態の投射光学系P3は、パワーを有する光学面として反射面2面のみを有している。
走査装置P2は、水平走査方向の偏向をミラーMRの共振駆動により行い、垂直走査方向の偏向をミラーMRの非共振駆動により行う構成になっている。図16に、走査装置P2の一具体例を示す。この走査装置P2は、固定枠70,可動枠30及びミラー部10で構成されたMEMSミラーである。固定枠70は走査装置P2を筐体(不図示)に固定するための部分であり、その固定枠70の内側に可動部分として可動枠30が枠状に形成されており、可動枠30の内側にミラー部10が方形状に形成されている。
ミラー部10は、ミラーMRに相当する部分であり、対向する辺からミラー部10の中心を通るY軸に沿って外方へ延びるトーションバー21,22により、両側から可動枠30に弾性的に支持されている。可動枠30は、トーションバー21,22と直交し、かつ、ミラー部10の中心を通るX軸の近傍30a〜30dでそれぞれ一端が接続された曲がり梁41〜44により、両側から固定枠70に弾性的に支持されている。固定枠70,曲がり梁41〜44,可動枠30,ミラー部10及びトーションバー21,22は、シリコン基板の異方性エッチングにより一体的に形成されている。また、ミラー部10の上には、金属薄膜(金,アルミニウム等)から成る反射膜が形成されており、入射光線の反射率を上げるようになっている。
曲がり梁41〜44の表面には、圧電素子51〜54が接着等により貼り付けられて、4つのユニモルフ部61〜64が形成されている。曲がり梁41〜44は、圧電素子51〜54の曲げ変形により、可動枠30に対しY軸回り及びX軸回りに独立した回転トルクを作用させるため、可動枠30をY軸及びX軸を2軸として回動させることができる。また、曲がり梁41〜44はY軸,X軸に対して斜めに配置されている。これにより、走査装置P2をコンパクトにまとめつつ、曲がり梁41〜44を長くすることができるので、大きな変位量を得ることができる。また曲がり梁41〜44は、Y軸及びX軸を挟んで対称に配置されているので、可動枠30を片振れなしに滑らかに回動させることができる。
可動枠30の回動動作を更に詳しく説明する。圧電素子51,52の表裏には、上部電極と下部電極がそれぞれ設けられており、その間に分極反転を起こさない範囲で交流の電圧を印加することにより、圧電素子51,52が伸縮し、ユニモルフ的に厚み方向に変位する。
まず、X軸回りの回動動作を説明する。圧電素子51に伸びる方向の電圧を印加し、圧電素子52に圧電素子51と逆位相の縮む方向の電圧を印加する。各ユニモルフ部61,62の一端は固定枠70に固定・保持されているので、ユニモルフ部61は下方に曲がり、一方、ユニモルフ部62は上方に曲がる。同様に、圧電素子53,54にも圧電素子51,52とそれぞれ同じ位相の電圧を印加すると、ユニモルフ部63は下方に曲がり、一方、ユニモルフ部64は上方に曲がる。これにより、可動枠30にはX軸を中心とした回転トルクが作用し、可動枠30はX軸を中心として一方向に傾く。また、圧電素子51〜54に上記と逆位相の電圧を印加すると、同様の原理で可動枠30にX軸を中心とした回転トルクが作用し、X軸を中心として上記とは逆回りに傾く。
圧電素子51〜54に上記位相関係を保った交流電圧を印加すると、ユニモルフ部61〜64は交流電圧に追従して上下方向の振動を繰り返し、可動枠30にシーソー的な回転トルクが作用し、可動枠30はX軸を中心として所定変位角度まで回転振動する。ユニモルフ部61〜64が可動枠30に接続される部分30a〜30dは、幅が狭くなっているので、他の部分より曲がりやすい。このため、ユニモルフ部61〜64の僅かな撓みで可動枠30のX軸近傍が大きく傾き、ミラー部10を大きく傾けることができる。なお、接続部30a〜30dは幅を狭くするほかに厚みを他の部分より薄くしてもよい。
次に、Y軸回りの回動動作を説明する。圧電素子51,52のいずれにも伸びる方向の電圧を印加すると、それぞれのユニモルフ部61,62の一端は固定枠70に固定・保持されているので、ユニモルフ部61,62はいずれも下方に曲がる。一方、圧電素子53,54には圧電素子51,52と逆位相の縮む方向の電圧を印加すると、ユニモルフ部63,64はいずれも上方に曲がる。これにより、可動枠30にはY軸を中心とした回転トルクが作用し、可動枠30はY軸を中心として傾く。
圧電素子51〜54に上記位相関係を保った交流電圧を印加すると、ユニモルフ部61〜64は交流電圧に追従して上下方向の振動を繰り返し、可動枠30にシーソー的な回転トルクが作用し、可動枠30はY軸を中心として所定変位角度まで回転振動する。4つのユニモルフ部61〜64にそれぞれ所定の電圧を印加することにより、可動枠30によって支持されているミラー部10のX軸・Y軸回りの傾きを任意に制御することができる。ミラー部10に直接力を加えることなく偏向させるので、ミラー部10の変形が抑えられ反射光線の歪みやズレが小さくなる。これにより、高精細な画像を形成することができる。また、曲がり梁41〜44はY軸及びX軸を挟んで対称に配置されており、曲がり梁41〜44にそれぞれ設けられた圧電素子51〜54は同じ位相又は互いに180度異なる逆位相の駆動信号で駆動されるので、可動枠30を片振れなしにY軸及びX軸を2軸として独立して回動させることができる。
次に、走査装置P2を搭載したレーザー投射装置PJによるラスタ走査を説明する。ユニモルフ部61〜64は、X軸近傍30a〜30dで可動枠30に接続されていることから、ユニモルフ部61〜64の僅かな変位でも可動枠30はX軸回りに大きく回動することができる。したがって、X軸回り(すなわち垂直走査)は前述の駆動方法により達成することができる。一方、ユニモルフ部61〜64の可動枠30への接続位置30a〜30dは、Y軸から離れていることから、可動枠30はY軸回りでは大きく回動することは困難である。そこで、Y軸回りの回動についてはトーションバー21,22の捻り振動によるY軸回りの共振周波数で可動枠30を振動させるようにする。これにより、ミラー部10に振動が励起され、ミラー部10は大きな振幅で水平走査することができるようになる。つまり、必要な水平走査周波数にトーションバー21,22の長さ,幅,及びミラー部10の慣性モーメント等に基づいたY軸回りの共振周波数を設定しておき、X軸回りの振動周波数(垂直走査周波数)とY軸回りの共振周波数(水平走査周波数)を重畳した駆動信号で各圧電素子51〜54を駆動することにより、必要な周波数,振幅でラスタ走査を行うことができるようになる。
第1,第2の実施の形態は単色の画像投影を行う構成になっているが、レーザー投射装置をフルカラー化するには、R・G・Bのレーザー光源を用意して色合成用の光学素子(例えば、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズム)で色合成した後、走査装置P2に入射させる構成にすればよい。図15に、R・G・Bのレーザー光源P0とクロスダイクロイックプリズムPRを用いてフルカラー化したレーザー投射装置PJの一実施の形態を示す。図15において、(A)は垂直走査断面図であり、(B)は水平走査断面図である。
レーザー投射装置をフルカラー化した場合、投射光学系P3に屈折レンズがあると、色収差が発生する。色収差には、倍率色収差と軸上色収差の2種類がある。軸上色収差は、各レーザー光源P0の入射光学系P1に対する距離を変化させることで補正可能である。倍率色収差は、色消しレンズ等を用いることにより光学的に補正可能であるが、光学系の大型化を招いてしまう。そこで、走査時のレーザー光源の変調を電子的に補正することにより各色での発光位置を調整することが好ましい。更に好ましくは、第2の実施の形態(図7〜図10)のように投射光学系P3を反射系のみで構成することである。投射光学系P3を反射系のみで構成すれば、色収差が発生しないので色収差を補正する必要もない。
各実施の形態のように、走査装置P2のミラーMRへの入射光線と反射光線との分離は、垂直走査方向の角度分離であることが好ましい。水平走査方向の対称性を保つことができると共に、後述の斜め投影になるという点でメリットがある。また、入射光線と反射光線との分離には、TIR(Total Internal Reflection)プリズムや反射型の偏光板を用いてもよい。
各実施の形態では、画面中心光線のスクリーン面SCへの入射角度が0度ではない、斜め投射光学系の構成になっている。通常スクリーンは垂直であるので、レーザー投射装置からスクリーンまでの光路長が同じ場合には、斜め投射光学系の方が投射装置からスクリーンまでの距離を短くできるので使い勝手がよい。また、斜め投影の場合には、画面の右上,右下での歪みや結像関係を維持するために、投射光学系に自由曲面を導入すると良好な特性を得ることができる。
以上の説明から分かるように、上述した各実施の形態や後述する各実施例には以下のレーザー投射装置の構成が含まれている。その構成によると、小型でありながら2次元走査で歪みのない高品質の明るい画像が得られるレーザー投射装置を実現することができる。
(T1) レーザー光源と、そのレーザー光源から発せられたレーザー光を集光する入射光学系と、その入射光学系から射出したレーザー光を互いに直交する第1走査方向と第2走査方向とにミラーで偏向させる走査装置と、その走査装置で偏向したレーザー光を被走査面に導く投射光学系と、を備えたレーザー投射装置であって、前記走査装置が、第1走査方向の偏向をミラーの共振駆動により行い、第2走査方向の偏向をミラーの非共振駆動により行い、前記入射光学系が、第1走査方向と第2走査方向とでパワーの異なるアナモルフィック光学系から成り、第1走査方向にはミラーに収束光を入射させ、第2走査方向には平行光又は略平行光を入射させ、前記投射光学系が第1走査方向に負のパワーを有することを特徴とするレーザー投射装置。
(T2) 前記ミラーが、第1走査方向の偏向と第2走査方向の偏向とを行う2次元走査用のミラー1枚から成ることを特徴とする上記(T1)記載のレーザー投射装置。
(T3) 前記ミラーが、第1走査方向の偏向を行う1次元走査用の第1ミラーと、第2走査方向の偏向を行う1次元走査用の第2ミラーと、から成ることを特徴とする上記(T1)記載のレーザー投射装置。
(T4) 前記投射光学系が、少なくとも2つの光学素子から成り、そのうちの1つの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて正のパワーが強くなり、もうひとつの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて負のパワーが強くなることを特徴とする上記(T1)〜(T3)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
(T5) 前記条件式(1),(2),(3),(1a),(2a),(3a)のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(T1)〜(T4)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
(T6) 前記投射光学系が、パワーを有する光学素子としてミラーとレンズとを有することを特徴とする上記(T1)〜(T5)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
(T7) 前記投射光学系が、パワーを有する光学面として反射面2面のみを有することを特徴とする上記(T1)〜(T5)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
(T8) 前記投射光学系が、第2走査方向に正のパワーを有することを特徴とする上記(T1)〜(T7)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
(T9) 前記ミラーがMEMSミラーであることを特徴とする上記(T1)〜(T8)のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
以下、本発明を実施した投射光学系を、コンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1,2は、前述した第1,第2の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1,第2の実施の形態を表す光学構成図(図1〜図4,図7〜図10)は、対応する実施例1,2の光学構成,光路等をそれぞれ示している。
表1〜表6に、実施例1,2のコンストラクションデータをそれぞれ示し、表7に各条件式の対応データ及び関連データを各実施例について示す。表1及び表4中、Si(i=0,1,2,3,...)はレーザー光源P0側から数えてi番目の面を示しており、RYi(i=0,1,2,3,...)は面SiのY方向の曲率半径(単位:mm)、RXi(i=0,1,2,3,...)は面SiのX方向の曲率半径(単位:mm)をそれぞれ示している。ただし、X方向,Y方向は、面Siの面頂点を原点とし面頂点での法線をZ軸とする直交座標系(X,Y,Z)における座標軸方向である。
実施例1,2における各面Siの配置は、表2,表5中の面頂点座標(x,y,z)と回転角度(X回転)の各面データでそれぞれ特定される。面Siの面頂点座標は、その面頂点をローカルな直交座標系(X,Y,Z)の原点として、グローバルな直交座標系(x,y,z)におけるローカルな直交座標系(X,Y,Z)の原点の座標(x,y,z)で表されており(単位:mm)、その面頂点を中心とするX軸回りの回転角度(X回転)で面Siの傾きが表されている(単位:°;X軸の正方向に対して反時計回りがX回転の回転角度の正方向である。)。ただし、座標系はすべて右手系で定義されており、グローバルな直交座標系(x,y,z)は瞳S3のローカルな直交座標系(X,Y,Z)と一致した絶対座標系になっている。
自由曲面から成る面Siは、その面頂点を原点とするローカルな直交座標系(X,Y,Z)を用いた以下の式(FS)で定義される。表3,表6に、各実施例の自由曲面データを示す。ただし、表記の無い項の係数は0であり、すべての自由曲面についてX,Y方向ともK=0であり、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
Z=(C0・H2)/[1+√{1−(1+K)・C02・H2}]+Σ{A(j,k)・Xj・Yk} …(FS)
ただし、式(FS)中、
Z:高さHの位置でのZ軸方向の変位量(面頂点基準)、
H:Z軸に対して垂直な方向の高さ(H2=X2+Y2)、
C0:面頂点での曲率(=1/曲率半径)、
K:円錐係数、
A(j,k):Xのj次、Yのk次の自由曲面係数、
である。
各実施例では、走査装置P2に搭載の偏向用ミラーMRとしてMEMSミラーを想定している。実施例1では、水平走査方向(X方向)の機械走査角度は±6度、垂直走査方向(Y方向)の機械走査角度は±8度である。そのうち、時間的には75%を水平走査方向も垂直走査方向も利用するようになっており、利用角度は水平走査方向に±5.54度、垂直走査方向に±6度である。実施例2では、水平走査方向(X方向)の機械走査角度は±5.7度、垂直走査方向(Y方向)の機械走査角度は±5.3度である。そのうち、時間的には75%を水平走査方向も垂直走査方向も利用するようになっており、利用角度は水平走査方向に±5.27度、垂直走査方向に±4度である。なお、MEMSの有効径(瞳径)は両実施例ともΦ1mmである。
図5,図11に、実施例1,2での2次元画像の歪みを歪曲図でそれぞれ示す(縦軸:Y方向(垂直走査方向),横軸:X方向(水平走査方向);単位:mm;スケールとして1マス50mmである。)。各歪曲図は、ミラーMRでの偏向走査によるスクリーン面SC上での光線位置を等時間間隔でプロットしたものである。図6,図12に、実施例1,2での水平走査の相対的速度比を速度分布図でそれぞれ示す(縦軸:相対的速度比;横軸:X方向(水平走査方向),走査範囲:±150mm)。各速度分布図は、2次元画像の画面中心を基準とする相対的な水平走査速度比を表している。レーザー光が投射光学系P3を通ることにより、水平走査の等速性が保たれて、走査速度の変化が狭い範囲内に収まっている。
各実施例では、図5,図6,図11,図12から分かるように、2次元画像の歪曲が小さく、等速性も±5〜10%以内に保たれており、非常に小型の光学系が実現できている。また、ミラーMRの走査角度は水平走査方向の方が小さいにもかかわらず、投影画面は横長(約4:3)を実現できており、高速駆動の水平走査による走査角度が小さくなっている。これによりMEMSミラーの設計や製造における負荷を大きく低減させることができ、その結果コストダウンにもなる。また、MEMSミラーの駆動電圧(電力)も低減できるので、省エネにも寄与することができる。
第1の実施の形態(実施例1)の垂直走査断面での光路及び光学構成を示す全体図。 第1の実施の形態(実施例1)の水平走査断面での光路及び光学構成を示す全体図。 第1の実施の形態(実施例1)の垂直走査断面での光路及び光学構成を示す部分拡大図。 第1の実施の形態(実施例1)の水平走査断面での光路及び光学構成を示す部分拡大図。 実施例1の歪曲図。 実施例1による画面中心の水平走査の速度分布を示すグラフ。 第2の実施の形態(実施例2)の垂直走査断面での光路及び光学構成を示す全体図。 第2の実施の形態(実施例2)の水平走査断面での光路及び光学構成を示す全体図。 第2の実施の形態(実施例2)の垂直走査断面での光路及び光学構成を示す部分拡大図。 第2の実施の形態(実施例2)の水平走査断面での光路及び光学構成を示す部分拡大図。 実施例2の歪曲図。 実施例2による画面中心の水平走査の速度分布を示すグラフ。 ミラーに対する入射光の平行度とミラーの組み込み誤差との関係を説明するための図。 ミラーのみで2次元走査を行った場合の画像の歪みを説明するための歪曲図。 フルカラーのレーザー投射装置の一実施の形態を示す模式図。 走査装置の一具体例としてのMEMSミラーを示す平面図。
符号の説明
PJ レーザー投射装置
P0 レーザー光源
P1 入射光学系
P2 走査装置(MEMSミラー)
MR ミラー
P3 投射光学系
P3a 第1走査光学素子(光学素子)
P3b 第2走査光学素子(光学素子)
SC スクリーン面(被走査面)
PR クロスダイクロイックプリズム

Claims (5)

  1. レーザー光源と、そのレーザー光源から発せられたレーザー光を集光する入射光学系と、その入射光学系から射出したレーザー光を互いに直交する第1走査方向と第2走査方向とにミラーで偏向させる走査装置と、その走査装置で偏向したレーザー光を被走査面に導く投射光学系と、を備えたレーザー投射装置であって、
    前記走査装置が、第1走査方向の偏向をミラーの共振駆動により行い、第2走査方向の偏向をミラーの非共振駆動により行い、前記入射光学系が、第1走査方向と第2走査方向とでパワーの異なる光学系から成り、第1走査方向にはミラーに収束光を入射させ、第2走査方向にはほぼ平行光を入射させ、前記投射光学系が第1走査方向に負のパワーを有し、
    前記投射光学系が、少なくとも2つの光学素子から成り、そのうちの1つの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて正のパワーが強くなり、もうひとつの光学素子が第1走査方向の周辺に向けて負のパワーが強くなることを特徴とするレーザー投射装置。
  2. 以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載のレーザー投射装置;
    0.3>S(objH)/L>0.03 …(1)
    ただし、
    S(objH):第1走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
    L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
    である。
  3. 以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1又は2記載のレーザー投射装置;
    |S(objV)|/L>0.8 …(2)
    ただし、
    S(objV):第2走査方向でのミラーを基準とする投射光学系の物体距離、
    L:投射光学系の最も被走査面側の光学面を基準とする投影距離、
    である。
  4. 以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー投射装置;
    3>pwH/pwV>1.2 …(3)
    ただし、
    pwH:第1走査方向における入射光学系のパワー、
    pwV:第2走査方向における入射光学系のパワー、
    である。
  5. 前記投射光学系が、パワーを有する光学面として反射面2面のみを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー投射装置。
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