JP5193768B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、トレッド部に、溝により区画してなるブロックを備える空気入りタイヤに関し、より具体的には、氷上性能の飛躍的な向上をもたらす技術を提案するものである。
空気入りタイヤでは、従来より、エッジ効果を高めることによって、ウェット路面、氷上路面等に対する駆動、制動及び旋回性能を高めることを目的に、主溝や横溝をもってブロックを区画形成するとともに、形成されたブロック内にサイプを付加することが広く一般に行われている(例えば、特許文献1)。
特開2001−191739号公報
しかしながら、上記従来の空気入りタイヤでは、より高い駆動、制動及び旋回性能の要求の下で、ブロック内に多数のサイプを配設するため、また特に氷上性能を大きな接地面積の確保によって向上させるために、ブロック一つ一つの大きさを比較的大きく形成していたことから、タイヤの負荷転動時にブロックを均一に接地させることが困難であった。また、ブロック一つ一つの大きさが大きいことから、ブロックの中央域において水膜を効率良く除去することができなかった。さらに、サイプを多数設けたことにより、サイプによって区画された分割ブロック部分の剛性が低くなり過ぎて、接地時に分割ブロック部分の倒れ込みが生じて接地性が悪化するという問題があった。このように、ブロックに多数のサイプを設けることでエッジ効果を向上させることが可能となるものの、サイプの配設によって接地性等が低下するという新たな弊害が生じることになるため、サイプの配設による氷上性能等の向上には一定の限界があった。
それゆえ、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、トレッドパターンの適正化を図ることにより氷上性能を飛躍的に向上させることにある。
前記の目的を達成するため、この発明の空気入りタイヤは、溝により区画した、複数の独立したブロックを互いに密集させてなるブロック群を、トレッド部の少なくとも一部に設け、該ブロック群におけるブロックの基準ピッチ長さをP(mm)、該ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPと該幅Wとで区画される、該ブロック群の基準区域内に存在する前記ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(P×W×(1−N/100)で与えられる、該ブロック群の単位実接地面積当りのブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、かつ、各ブロック群の複数個のブロックにサイプをそれぞれ設けたことを特徴とする空気入りタイヤである。
なお、ここでいう「ブロックの基準ピッチ長さ」とは、ブロック群を構成する1つのブロック列におけるブロックの繰り返し模様の最小単位を指すものとし、例えば1つのブロックとそのブロックを区画する溝によってパターンの繰り返し模様が規定されている場合は、ブロック1個分のトレッド周方向長さとこのブロックのトレッド周方向に隣接する溝1つ分のトレッド周方向長さとを加算したものをブロックの基準ピッチ長さとする。
また、「ブロック群の幅W」とは、ブロックを密集配置してなるブロック群のトレッド幅方向長さを指し、例えばブロック群がトレッド全体に存在する場合は、トレッド接地幅を指すものとする。
さらに、ブロック群の「実接地面積」とは、ブロック群の基準区域内に在る全ブロックの総表面積をいうものとし、言い換えれば、基準ピッチ長さPと幅Wとの積で規定される、上記基準区域の面積から個々のブロックを区画している溝の面積を減算した面積を指すものである。
さらに、「サイプ」とは、トレッド表面からタイヤ内部に切り込まれた薄い切り込みであって、接地時に閉じることが可能なものを指す。
この発明の空気入りタイヤにあっては、ブロック群において十分な溝面積を確保しつつ、ブロックを密集配置する構成を採用したことから、各ブロック群のそれぞれのブロックのトータルエッジ長さ及び各方向のエッジ成分長さを大きく増加させることができ、このため、ブロックに多数のサイプを配設するまでもなく、言い換えればブロック剛性を大きく低下させることなく優れたエッジ効果を発揮させることができる。また、ブロック一つあたりの接地面積を小さくし、ブロック一つ一つの接地性を向上させたことから、高い氷上性能等を発揮させることができる。しかも、それぞれのブロックを小さくすることで、ブロックの中央域からブロック周縁までの距離を小さくすることができるので、ブロックによる水膜の除去効果を向上させることができる。よって、小さいブロックを密集配置しただけでもブロックエッジの効果及び接地性向上の効果等により高い氷上性能を得ることができるが、この発明ではさらに、このようなブロックにサイプを適正配置することによって一層効果的に氷上性能を高め、他性能とのバランスを保つことが可能となる。すなわち、同じエッジ効果を狙うにあたりブロックを密集配置させただけの場合よりもサイプを設けた場合の方がブロック個数密度Sを小さく設定できるので、ブロックの剛性を必要とする他性能との両立を図り得る。
従って、この発明の空気入りタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、ブロックによる効率的な水膜の除去とを実現することにより氷上性能を飛躍的に向上させることができる。
なお、この発明の空気入りタイヤにて、他性能との調整により各ブロック群のブロックを比較的大きくすることが要求される場合には、ブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.01個/mm以下の範囲内とし、各ブロック群の同一ブロック内に設けるサイプの本数を2本以上とすることが好ましい。この場合、同一ブロックに設けられた2本以上のサイプを相互に平行に配置することがより好ましい。
又は、この発明の空気入りタイヤにて、他性能との調整により各ブロック群のブロックを比較的小さくすることが要求される場合には、ブロック個数密度Sを0.005個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、各ブロック群の同一ブロックにそれぞれ設けるサイプの本数を1本とすることが好ましい。
しかも、この発明の空気入りタイヤにあっては、サイプの、トレッド踏面における延在方向を2種類以上の異なる向きに設定することが好ましい。
この発明の空気入りタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、ブロックによる効率的な水膜の除去とを実現することにより氷上性能を飛躍的に向上させることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は、この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のトレッドパターンを示した部分展開図である。
この実施形態のタイヤは、図示を省略するが、左右一対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスと、このカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置したベルトと、このベルトのタイヤ径方向外側に配置したトレッド部とを具える慣例に従ったタイヤ構造を有し、トレッド部に図1に示したトレッドパターンを有するものである。
このタイヤは、トレッド部1に、溝2により区画した、独立した複数のブロック3を互いに密集させてなるブロック群Gを有する。ブロック群Gは、トレッド部1の全体に存在する。ここでは、各ブロック3の表面輪郭形状を八角形としており、それぞれのブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置している。そしてこのタイヤは、ブロック群Gにおけるブロック3の基準ピッチ長さをP(mm)、該ブロック群Gの幅をW(mm)(この実施形態では、トレッド部1の全体にブロック3が配置されているので、トレッド接地幅TWと等しい。)、該基準ピッチ長さPと該幅Wとで区画される、該ブロック群Gの基準区域Z(図中斜線で示す領域)内に存在するブロック3の個数をa(個)、基準区域Z内のネガティブ率をN(%)としたとき、
Figure 0005193768
として表される、ブロック群Gの単位実接地面積当りのブロック個数密度S(個/mm)は、0.003個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内にある。ブロック個数密度Sを0.003〜0.02個/mmの範囲内で、かつ図1のものよりブロック個数密度Sを小さくしたものを図2に示し、ブロック個数密度Sを0.003〜0.02個/mmの範囲内で、かつ図1のものよりブロック個数密度Sを大きくしたものを図3に示す。なお、ブロック群Gの基準区域Z内のブロック3の個数aをカウントするに際して、ブロック3が基準区域Zの内外に跨って存在し、1個として数えることができない場合は、ブロック3の表面積に対する、基準区域内に残ったブロック3の残存表面積の比率を用いて数えることとする。例えば、図1に符号B1で示すブロックのように、基準区域Zの内外に跨り、基準区域Z内にその半分しか存在しないブロックの場合は、1/2個と数えることができる。
さらに、このタイヤでは、ブロック群Gの全ブロック3にトレッド幅方向に延びるサイプ4が各2本設けられている。サイプ4は、接地時のブロック3の過大な変形を抑制してさらなる氷上性能の向上を図る観点からその中間部分がトレッド周方向に向けてジグザグ状に屈折しながらトレッド幅方向に延在するものとしているが、サイプ4の形態は、図示例に限らず直線状とすることができ、あるいはタイヤ径方向に向けて屈折する、いわゆる3次元サイプとすることもできる。また、図示例では、サイプ4は、その両端にてブロック3を区画する溝2に開口しているが、これに限らず一方の端又は両端をブロック3内で終端させてなる、いわゆる盲サイプとすることもできる。これによれば、ブロック3の剛性の低下を抑制することができ、これは特にブロック3内に複数のサイプ4を設けた場合に有利である。また、この発明では、サイプ4は全てのブロック3に設ける必要はなく、複数個のブロック3に設ければ所定の効果を得ることができる。より高いエッジ効果等が必要とされる場合には各ブロック群のほぼ半数以上のブロック3にサイプ4を設けることが好ましい。
ところで、ブロック群Gにおけるネガティブ率Nは5%〜50%とすることが好ましい。ブロック群Gにおけるネガティブ率Nが5%未満の場合は、排水性が不十分となる他、ブロック一つ一つの大きさが大きくなり過ぎて所要のエッジ効果の実現が難しくなり、一方、50%を超えると接地面積が小さくなり過ぎて、操縦安定性が低下するおそれがあるからである。また、ブロック群Gにおけるブロック3の個数密度Sが0.003(個/mm)未満の場合は、多数のサイプの形成なしには(ブロック剛性の大きな低下を伴う)、高いエッジ効果の実現が難しくなり、また、ブロックあたりの接地面積が大きくなり過ぎブロックを均一に接地させることが困難なる。一方、ブロック3の個数密度Sが0.02(個/mm)を超えるとブロック3が小さくなり過ぎてサイプを配置するには所要のブロック剛性の実現が難しくなる。
この実施形態のタイヤにあっては、ブロック群Gにおいて十分な溝面積を確保しつつ、ブロック3を密集配置する構成を採用したことから、それぞれのブロック3のトータルエッジ長さ及びエッジ方向(異なる方向に向いたエッジの数)を大きく増加させることができ、このため、各ブロック群Gのブロック3に多数のサイプ4を配設するまでもなく、言い換えればブロック剛性を大きく低下させることなく優れたエッジ効果を発揮させることができる。なお、ドライ路面上での操縦安定性等は、ブロック3を密集させることで確保される。また、ブロック一つあたりの接地面積を小さくし、ブロック一つ一つの接地性を向上させたことから、高い氷上性能等を発揮させることができる。しかも、それぞれのブロック3を小さくすることで、ブロック3の中央域からブロック周縁までの距離を小さくすることができるので、ブロック3による水膜の除去効果を向上させることができる。よって、小さいブロック3を密集配置しただけでもブロックエッジの効果及び接地性向上の効果等により高い氷上性能を得ることができるが、この発明ではさらに、このようなブロック3にサイプを適正配置することによって一層効果的に氷上性能を高めるとともに他性能とのバランスを保つことも可能となる。すなわち、同じエッジ効果を狙うにあたりブロックを密集配置させただけの場合よりもサイプを設けた場合の方がブロック個数密度Sを小さく設定できるので、ブロック剛性を必要とする他性能との両立を図り得る。
従って、この実施形態のタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、ブロック3による効率的な水膜の除去とを実現することにより、氷上路面等における制動、駆動及び旋回性能を顕著に向上させることができる。なお、ブロック群Gにおけるブロック3の個数密度Sを、0.003〜0.015個/mmの範囲内とすれば、エッジ効果とブロック剛性とのより良好なバランスが得られ、より効果的に氷上性能を向上させることができる。さらに、このようにブロック3を千鳥状に配置することにより、ブロック3の密集配置を容易に実現することができる。
また、この実施形態のタイヤによれば、各ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置したことから、タイヤ転動時に、より多くのブロック3の形成下で、それぞれのエッジを逐次作用させて一層優れたエッジ効果を発揮させることができる。また、トレッド幅方向に隣接するブロック3の相互間で路面への接地タイミングをずらすことができるので、パターンノイズを低減させることもできる。
なお、各ブロックに対するサイプ4の配設本数は2本に限らず、ブロック剛性と必要とされるエッジ長さ(エッジ効果)との調整により、例えば、図2及び3に示す、この発明の他の実施形態のタイヤのように、ブロック個数密度Sに応じて(つまりブロック3の大きさに応じて)3本としたり1本としたりすることができる。より具体的には、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、ブロック3を比較的大きく形成することが要求される場合には、図2のように、ブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.01個/mm以下の範囲内とし、ブロックにそれぞれ設けるサイプの本数を2本以上とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。そして、このようにブロック3に複数のサイプを配設した場合、同一ブロック内でのサイプは相互に平行に配置することが好ましい。このように同一ブロック内でのサイプを平行に配置することで、サイプ間の分割ブロック部分の形態を均一にしてブロック剛性の部分的な強弱を無くすことができ、氷上性能をさらに向上させることができるからである。また、ブロック剛性の部分的な強弱を無くすことは、耐偏摩耗性にも有利である。なお、より高いブロック剛性の要求の下では、ブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.008個/mm以下とすることがより好ましい。
一方、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、ブロック3を比較的小さく形成することが要求される場合には、図3のように、ブロック個数密度Sを0.005個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、ブロック3にそれぞれ設けるサイプの本数を1本とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。なお、より高いエッジ効果の要求の下では、ブロック個数密度Sを0.007個/mm以上0.015個/mm以下とすることより好ましい。
また、図1〜3に示す実施形態では、サイプの延在方向を、全て同一方向に設定しているが、サイプの方向は、重視する性能に合わせて設定することができる。例えば、トラクションやブレーキ性能を重視する場合には、トレッド幅方向に沿って設定することができ、一方で横方向の入力(コーナリング性能)を重視する場合には、トレッド幅方向に対して傾斜させて設定することができる。また、トレッド内でブロック単位で部分的にサイプの方向を異ならせることで、より効果的に性能調整することができる。図4に示す実施形態のタイヤでは、サイプの延在方向は、トレッド幅方向の中央域Ain及び最外側域Aoutでトレッド幅方向に設定し、該中央域Ainに隣接する第1中間域Am1でトレッド幅方向に対して45度の傾斜をもって設定し、該第1中間域Am1と該最外側域Aoutとの間の第2中間域Am2ではトレッド幅方向に直交する方向(トレッド周方向)に設定している。このようにすれば、トラクション性能、ブレーキ性能及びコーナリング性能の良好なバランスを図りつつこれらを効率的に向上させることができる。
次に、この発明に従う実施例1及び2のタイヤ、従来技術に従う従来例1のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤをそれぞれ試作し、氷上性能及び静粛性についての性能評価を行ったので、以下説明する。
実施例1及び2のタイヤは、図1及び4に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。これらのタイヤは、トレッド部全体に、溝により区画形成した、独立した複数のブロックを密集させてなるブロック群Gを有する。各ブロックの表面輪郭形状は、正八角形であり、そのトレッド周方向長さBL(mm)、トレッド幅方向長さBW(mm)、高さ(溝底からの高さ)BH(mm)、トレッド周方向に隣接するブロック間距離BGL(mm)、トレッド幅方向に隣接するブロック間距離BGW(mm)、及び、トレッド周方向に対して斜め方向に隣接するブロック間距離BGO(mm)を表1に示す。また各タイヤにおける、ブロックの基準ピッチ長さP(mm)、ブロック群Gの幅W(mm)、ブロックの基準ピッチ長さPとブロック群の幅Wとで区画される、ブロック群Gの基準区域Zにおけるネガティブ率N(%)、該基準区域Z内に存在するブロックの個数a(個)、ブロック群Gの単位実接地面積当りのブロック個数密度S(個/mm)、ブロック群Gにおける、トレッド幅方向に数えたブロック列数(列)を表1に示す。さらに、実施例1及び2のタイヤでは、各ブロックに2本のサイプを設けており、その諸元を表1に併せて示す。なお、実施例2のタイヤでは、タイヤ赤道面Cを跨いだ中央域Ain(トレッド幅TWの19.4%)及び各最外域Aout(トレッド幅TWの10.5%)にてサイプの、トレッド幅方向に対する傾斜角度を0度とし、該中央域Ainに隣接する各第1中間域Am1(トレッド幅TWの19.4%)にて、サイプの、トレッド幅方向に対する傾斜角度を45度とし、各第1中間域Am1と各最外域Aoutとの間の各第2中間域Am2(トレッド幅TWの13.0%)にて、サイプの、トレッド幅方向に対する傾斜角度を90度としている。
比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部全体のネガティブ率が実施例1のタイヤのネガティブ率と同じである、図8に示すトレッドパターンを有する従来例1のタイヤを併せて試作した。従来例1のタイヤは、トレッド部に、トレッド周方向に延びる4本の周方向溝と、これらに隣接するリブ状の陸部(トレッド幅方向中央から中央陸部、中間陸部、ショルダー陸部とする。)とを備える。トレッド幅方向内側に位置する2本の周方向溝は、幅が8mm、深さが8.9mmであり、トレッド幅方向外側に位置する2本の周方向溝は、幅が6mm、深さが8.9mmである。中央陸部、中間陸部及びショルダー陸部には、トレッド周方向に傾斜して延びる横溝によってブロックが多数区画形成されており、各ブロックにはジグザグ状に延びるサイプが多数形成されている。サイプの本数は、1ピッチあたり65本である。その他の諸元を表1に示す。
さらに比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部に図5〜7に示すトレッドパターンを有する比較例1〜3のタイヤについても併せて試作した。比較例1のタイヤは、ブロックにサイプを設けていないことを除いては、実施例1及び2のタイヤと同じであり、比較例2及び3のタイヤは、ブロックに1本又は複数本のサイプを設けているものの、ブロック個数密度Sが、0.003〜0.02個/mmの範囲外のものである。各比較例のタイヤの諸元を表1に示す。
Figure 0005193768
(性能評価)
上記各供試タイヤについて、サイズ6.5J×16のリムに組み付け、内圧220kPa(相対圧)のとして車両に装着し、以下の試験を行って性能を評価した。
(1)氷上での制動性能評価試験
氷上での制動性能は、氷板路面上を時速20km/hからフル制動したときの制動距離を測定し、その測定した距離から評価した。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1及び2のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上での制動性能が良好であることを示す。
(2)氷上での駆動性能評価試験
氷上での駆動性能は、氷上路面上をフル加速し、20mの距離に達するまでの時間を測定し、その測定した時間から評価した。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1及び2のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上上での駆動性能が良好であることを示す。
(3)氷上での操縦安定性評価試験
氷上での操縦安定性は、氷板路面のテストコースを各種走行モードで走行したときのテストドライバーによる制動性、加速性、直進性およびコーナリング性を総合的にフィーリング評価することによって行った。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1及び2のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上での操縦安定性が良好であることを示す。
(4)静粛性(パターンノイズ)試験
静粛性は、ドライ状態の一般路を各種走行モードで走行したときのテストドライバーによる静粛性をフィーリング評価することによって行った。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1及び2のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど静粛性が良好であることを示す。
Figure 0005193768
表2に示す評価結果から、実施例1及び2のタイヤ並びに比較例1のタイヤは、従来例1のタイヤに比べて、氷上制動性能、氷上駆動性能、氷上操縦安定性及び静粛性について優れた性能を示している。また、サイプを設けた実施例1及び2のタイヤはサイプを設けていない比較例1のタイヤに比べて上記各性能においてより優れた性能を示している。
この発明によって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、ブロックによる効率的な水膜の除去とを実現することにより氷上性能を飛躍的に向上させることが可能となった。
この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(実施例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤ(実施例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例3のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 従来技術の空気入りタイヤ(従来例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 溝
3 ブロック
4 サイプ
ブロック群
P ブロック群の基準ピッチ長さ
W ブロック群の幅
Z 基準区域

Claims (5)

  1. 溝により区画した、複数の独立したブロックを互いに密集させてなるブロック群を、トレッド部の少なくとも一部に設け、
    該ブロック群におけるブロックの基準ピッチ長さをP(mm)、該ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPと該幅Wとで区画される、該ブロック群の基準区域内に存在する前記ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、
    a/(P×W×(1−N/100)で与えられる、該ブロック群の単位実接地面積当りのブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、かつ、
    各ブロック群の複数個のブロックにサイプをそれぞれ設けたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ブロック個数密度Sを0.003個/mm以上0.01個/mm以下の範囲内とし、各ブロック群の同一ブロック内に設けるサイプの本数を2本以上とした、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 同一ブロック内に設けられた2本以上のサイプを相互に平行に配置した、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ブロック個数密度Sを0.005個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、各ブロック群の同一ブロック内に設けるサイプの本数を1本とした、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイプの、トレッド踏面における延在方向を、ブロック単位で2種類以上の異なる向きとした、請求項1〜4の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
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