JP5200433B2 - {100}集合組織珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、{100}集合組織を備える珪素鋼板の製造方法に関する。
従来より、電動機、発電機、変圧器などの磁心材料には珪素鋼板が用いられている。この珪素鋼板に要求されている磁性は、交流磁界中で磁気的なエネルギー損失が少ないこと、および、実用的な磁界中での磁束密度が高いことの二つである。これらを実現するには、電気抵抗を高め、かつ磁化容易方向であるbcc格子の〈100〉軸を使用磁界中方向に集積させることが有効とされている。特に、磁気特性を飛躍的に向上させるには、磁化容易方向である〈100〉軸を使用磁界中方向に集積させることが最も有効な方法である。
このため、図1に示すような集合組織を発達させることが望まれる。図1(a)に示す集合組織は、{110}面が板面に平行であり、<100>軸が圧延方向に集積した組織であり、巻き鉄心を用いる変圧器の鉄心のように、圧延方向のみに磁束が流れる用途に適する。この集合組織を有する珪素鋼板は、一方向性珪素鋼板と呼ばれる。一方、図1(b)〜(d)に示す集合組織は、{100}面が板面に平行であり、そのため、結晶の二つの<100>軸が板面と平行となって、変圧器のみならず、回転機にも好適となる。この集合組織を有する珪素鋼板は、{100}集合組織珪素鋼板と呼ばれる。{100}集合組織珪素鋼板の板面内の<100>軸の向きは任意であるが、なかでも、図1(b)に示す板面内の圧延方向と板幅方向に<100>軸が集積した{100}<001>集合組織のものは、これら二方向で極めて優れた磁気特性を示すため、二方向性珪素鋼板と呼ばれる。この集合組織を有する珪素鋼板は、巻き鉄心を用いたトランスに加え、積み鉄心を用いたトランスの鉄心のように圧延方向と板幅方向に磁束が流れる用途に最適である。
このような{100}集合組織珪素鋼板を製造する方法として、近年、脱炭もしくは脱炭と脱Mnとを生じさせる高温焼鈍を利用した製造方法が開示されている。
特許文献1には、重量%でC:1%以下、Si:0.2〜6.5%、Mn:0.05〜5%を含む冷間圧延珪素鋼板に、焼鈍分離剤として脱炭を促進する物質または脱炭を促進する物質と脱Mnを促進する物質とを用いて、タイトコイル焼鈍もしくは積層焼鈍する、{100}を板面と平行とする集合組織を有する珪素鋼板の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献2および特許文献3には、上記の珪素鋼板の製造方法における冷間圧延工程を、中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延とすることで、{100}を板面と平行とし、かつ<001>軸を圧延方向に平行とする組織を有する珪素鋼板を製造する方法、すなわち二方向性珪素鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、焼鈍分離材として、SiO2,Al2O3,TiO2等を含む酸化物の繊維や粉末に結合材を加えて成型したシートを用いることが開示されている。
上述の方法を用いることで、磁気特性の良い{100}集合組織珪素鋼板を製造することができる。これらの方法は非常に優れた技術であるが、コストの観点からはさらなる改善の余地がある。
例えば、特許文献1および特許文献2では、繊維状または繊維からなるシート状の焼鈍分離材を鋼板とは別に作製し、この焼鈍分離材を鋼板の間に挟んで焼鈍する方法が推奨されており、特許文献3の実施例においても繊維状の焼鈍分離材が用いられている。また、特許文献4では、セラミック繊維や粉末に結合材を添加して、長尺のシートを作製することが提案されている。シート状等の焼鈍分離材を別プロセスで作製することが、大幅なコストの増加に繋がることは明白である。また、シート状の焼鈍分離材の厚みは通常0.5mm以下と薄く、ハンドリングに必要な強度を確保するためには、多量の結合材を必要とする。結合材は、最終焼鈍にて分解して離散するが、多量の結合材を用いると多量の分解物によって焼鈍炉内が汚染されるという問題を引き起こす場合がある。また、シート状の焼鈍分離材の凹凸が高温での焼鈍中に鋼板に転写されて、鋼板の形状に影響を及ぼす場合がある。
一方、非特許文献1では、上述の珪素鋼板の製造方法において、シート状ではなく、粉末状の焼鈍分離剤を数十g/m2の密度で鋼板表面に直接散布する方法が検討されている。しかしながら、この方法では、大規模な鋼板の積層焼鈍やコイル焼鈍を行うと、{100}集合組織の発達が不安定かつ不十分で、安定して磁気特性に優れた{100}集合組織珪素鋼板を製造することが困難である。また、工業上は粉末状の焼鈍分離剤を液体と混合したスラリーとして鋼板上に塗布する方法が生産性の高さから最も望まれるが、スラリーを塗布および乾燥する方法では、小規模なサイズの鋼板であっても{100}集合組織が全く発達しないという大きな問題がある。
特開平7−173542号公報 特開平9−20966号公報 国際公開WO98/20179号公報 特開平11−71617号公報 T. Tomida, N. Sano, K. Ueda, K. Fujiwara and N. Takahashi: J. Magn. Magn. Matter, 254-255, pp.315-317(2003)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コストの大幅低減が可能であり、さらには大規模な鋼板の積層焼鈍やコイル焼鈍でも、安定して磁気特性に優れた{100}集合組織珪素鋼板を製造することができる方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、工業上望まれる焼鈍分離剤を含有するスラリーの塗布法に関して鋭意研究を重ねた結果、コストの大幅低減、さらには大規模な鋼板の積層焼鈍やコイル焼鈍でも、安定して磁気特性に優れた{100}集合組織珪素鋼板を製造する方法を見出し、本発明を完成させた。
粉末状の焼鈍分離剤を含有するスラリーを塗布および乾燥する際、一般的なスラリーの塗布量は多くとも数十g/m2である。このため、{100}集合組織を発達させるためのスラリーの塗布の検討においても、従来では塗布量が上記の数十g/m2を超えない範囲で行われていた。
これに対し、本発明においては、従来の常識範囲を遥かに超える塗布量にてスラリーの塗布について検討を行った。その結果、スラリーを塗布する方法を用いる場合であっても、適切な焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを鋼板の表面に乾燥後の質量で80g/m2以上塗布することで、{100}集合組織の発達が見られることを見出した。
すなわち、本発明は、質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有する冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させるスラリー塗布工程と、上記スラリーが塗布され乾燥された上記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す最終焼鈍工程とを有することを特徴とする{100}集合組織珪素鋼板の製造方法を提供する。
Si+Mn/2≦5.0 (1)
Si−Mn/2≧1.5 (2)
(ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
上記発明においては、上記脱炭を促進する物質がSiO2を含む物質であり、上記脱炭と脱Mnとを促進する物質がTiO2を含む物質であることが好ましい。これらは、天然に多量に産出し、安価だからである。
この際、上記焼鈍分離剤粒子中のSiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で10質量%以上であることが好ましい。SiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で上記範囲であることにより、最終焼鈍にて{100}集合組織を発達させ、磁束密度を高めることができるからである。
またこの際、上記SiO2を含む物質がウォラストナイトであることが好ましい。安価なウォラストナイトの針状粉末を用いることで、より効率的に{100}集合組織を発達させることができ、コストも大幅に低減できるからである。
この際、上記焼鈍分離剤粒子中の上記ウォラストナイトの含有量が20質量%以上であることが好ましい。ウォラストナイトの含有量が上記範囲であれば、最終焼鈍に際して、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に空隙を容易に確保することができるからである。
さらに本発明においては、上記スラリーが、上記焼鈍分離剤粒子100質量部に対して5質量部以下の結合材を含有することが好ましい。スラリーに結合材を多量に含有させると、最終焼鈍の昇温中での結合材の分解によって多量のガスを発生する場合があるからである。
また本発明においては、上記最終焼鈍工程にて、上記積層焼鈍または上記コイル焼鈍に際して、乾燥後の上記スラリーを挟んで隣接する上記冷間圧延鋼板間の空間に対して乾燥後の上記スラリーの空間充填密度を50体積%以下とすることが好ましい。乾燥後のスラリーの空間充填密度が上記範囲であれば、最終焼鈍での脱炭や脱Mnの反応をより促進するとともに、{100}集合組織の発達をより助長することができるからである。
さらに本発明においては、上記冷間圧延鋼板の表面への上記スラリーの塗布を、孔部を備えるスペーサーを介して行うことが好ましい。最終焼鈍に際して、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に効率的に空隙を確保することができるからである。
本発明によれば、冷間圧延鋼板の表面に、所定の焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを所定の量以上塗布するので、最終焼鈍工程にて、{100}集合組織を発達させることができるという効果を奏する。
以下、本発明の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法は、質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有する冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させるスラリー塗布工程と、上記スラリーが塗布され乾燥された上記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す最終焼鈍工程とを有することを特徴とするものである。
Si+Mn/2≦5.0 (1)
Si−Mn/2≧1.5 (2)
(ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
本発明によれば、冷間圧延鋼板の表面に、所定の焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを、従来の常識範囲を遥かに超える塗布量である80g/m2以上で塗布するので、最終焼鈍工程にて、{100}集合組織を発達させることができる。
最終焼鈍工程では、積層焼鈍またはコイル焼鈍によって、鋼板全体の脱炭または脱炭と脱Mnとを生じさせ、γ→α変態(オーステナイト→フェライト変態)によって板面と平行な{100}面を高密度に有する集合組織を発達させることができる。γ→α変態は、鋼板の表面から内部へと進行する。{100}面が板面と平行な結晶粒の表面エネルギーは、他の方位の結晶粒の表面エネルギーよりも低い。そのため、{100}面が板面と平行な結晶粒が鋼板の表面から内部へと優先的に成長し、板面と平行な{100}面を高密度に有する集合組織が得られると考えられる。
本発明においては、通常、スラリー塗布工程前に、上述の鋼組成を有する冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程が行われる。
以下、本発明の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法の各工程について説明する。
1.冷間圧延工程
冷間圧延工程は、上述の鋼組成を有する冷間圧延鋼板を作製する工程である。以下、冷間圧延鋼板の鋼組成および冷間圧延について説明する。
(1)冷間圧延鋼板の鋼組成
本発明に用いられる冷間圧延鋼板は、質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有するものである。
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味する。
(i)SiおよびMn
SiおよびMnは、最終焼鈍における組織形成、磁気特性、加工性の面から最も重要な成分である。
SiとMnの含有量は、製造工程における材料の加工性や相状態を好適なものに制御するため、以下の範囲とする。
Si+Mn/2≦5.0 (1)
Si−Mn/2≧1.5 (2)
(ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
Si+Mn/2が5.0を超えると、鋼板が脆化して冷間圧延が困難となる。Si+Mn/2は好ましくは4.5以下である。一方、Si−Mn/2が1.5を下回ると、高温でα相(フェライト相)が過度に不安定となるため、冷間圧延での中間焼鈍や、最終焼鈍の温度を過度に低下させなければならず、組織形成を困難にする。Si−Mn/2は、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上である。
SiとMnの含有は、電気抵抗値を高めて渦電流損失を低下させるためにも有効である。また、Mnの含有は、最終焼鈍において脱Mnを生じさせることにより、{100}組織の形成を助長する。そのため、Mn含有量は、上記式を満たす範囲の中でも、好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.6%以上とする。
(ii)C
最終焼鈍において脱炭を利用した組織制御を行うために、最終焼鈍に供する冷間圧延鋼板にあらかじめCを含有させる。
最終焼鈍における十分な組織制御のため、C含有量の下限は0.02%以上、好ましくは0.03%以上である。C含有量の上限は、高温におけるγ相(オーステナイト相)温度域が過度に拡大し、焼鈍温度を過度に低下させなければならなくなり、十分な脱炭に要する最終焼鈍の時間が過度に長くなるのを防ぐため、さらには鋼板が脆化し、冷間圧延素材の圧延が困難となるのを防ぐため、0.15%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.08%以下とする。
(iii)固溶Al
鋳込み時の鋳片の健全性を確保したり、Nを固定したりする目的で、必要に応じてAlを含有させてもよい。しかしながら、Alを多量に含有すると、最終焼鈍の際に鋼板表面でAlの選択酸化が生じ、{100}集合組織の発達を阻害するおそれがあるため、Al含有量は、好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.002%以下、さらに好ましくは0.001%以下とする。
(iv)P
一般に、Pは、製鋼段階で0.01%程度混入する不純物であるが、鋼板の強度を増加させたり、打ち抜き性を向上させたりする働きを有する。しかしながら、Pを多量に含有すると、{100}集合組織の形成を阻害するおそれがあるため、P含有量は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下とする。
(v)Cr
一般に、Crは、製鋼段階で0.02%程度混入する不純物である。Crは、α−フェライト中に固溶して、電気抵抗を高める作用を有するので含有させてもよい。しかしながら、Crは炭化物を生成する強い傾向を持ち、Crを多量に含有すると最終焼鈍での脱炭を遅延させるおそれがある。このため、Cr含有量は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下とする。
(vi)Ni
一般に、Niは、製鋼段階で0.02%程度混入する不純物である。Niはα−フェライト中に固溶して、電気抵抗を高めるので含有させてもよい。しかしながら、Niを多量に含有すると{100}集合組織の形成を妨げるおそれがある。このため、Ni含有量は、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下とする。
(vii)Co
Coは、飽和磁束密度を増加させる作用を有するので含有させてもよい。しかしながら、Coは高価であること、さらには磁歪を増加させる作用を有することから、Co含有量は好ましくは1%以下とする。
(viii)S
Sは、最終焼鈍時の{100}面の表面エネルギーを低下させ、{100}集合組織の発達を助長する作用を有するため含有させてもよい。しかしながら、Sを多量に含有するとMnSが多量に析出して{100}集合組織の発達を阻害するようになるおそれがある。したがって、S含有量は、好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.003%以下である。
(ix)Sb
Sbは、最終焼鈍時の{100}面の表面エネルギーを低下させ、{100}集合組織の発達を助長する作用を有するため含有させてもよい。しかしながら、Sbを多量に含有すると{100}集合組織の発達を阻害するようになるおそれがある。したがって、Sb含有量は、好ましくは0.03%以下とする。
(x)その他の成分
その他、不可避的に混入する不純物は、加工性または磁気特性を劣化させるおそれがあるので、できるだけ少ない方が好ましい。
(2)冷間圧延
冷間圧延工程は、上述の鋼組成を有する冷間圧延鋼板を作製する工程であれば特に限定されるものではない。冷間圧延工程は、1回の冷間圧延を施す工程であってもよく、中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延を施す工程であってもよい。中でも、最終焼鈍にて{100}<021>型の{100}集合組織を発達させるには、中間焼鈍を挟まずに、1回の冷間圧延を施すことが好ましい。一方、最終焼鈍にて{100}<001>型の{100}集合組織を発達させるには、中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延を施すことが好ましい。
冷間圧延としては、一般的な方法を用いることができ、温度、圧下率等の条件は、鋼組成、所望の板厚、および所望の{100}集合組織などにより適宜選択される。
中でも、最終焼鈍時に{100}集合組織を十分に発達させるための組織微細化と表面平坦度を確保するため、および、鉄心材料として十分な板の板厚精度を確保するために、50%以上の圧下率で冷間圧延を行うことが好ましい。特に、{100}<021>型の{100}集合組織を発達させるには、中間焼鈍を挟まず、80%以上の圧下率で冷間圧延を行うことが好ましい。
なお、中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延を施す場合の圧下率は、最初の冷間圧延に供する鋼板の板厚と最終の冷間圧延後の鋼板の板厚との差を、最初の冷間圧延に供する鋼板の板厚により除した値とする。
また、中間焼鈍は、一般的な方法を用いることができ、温度等の条件は、鋼組成等により適宜選択される。
本発明においては、結晶組織的な面から製品板厚に上限を設ける必要はない。しかしながら、製品板厚が過度に厚いと、最終焼鈍における脱炭に長時間を要し、また製品の渦電流損失が増大するおそれがあるので、製品板厚は好ましくは0.5mm以下とする。一方、製品板厚の下限は特に限定されず、冷間圧延で製造可能な厚さであればよい。
冷間圧延に供する素材の製造方法としては、特に限定されるものではない。冷間圧延に供する素材としては、鋳造鋳塊、連続鋳造によるスラブやストリップキャスティングによる薄鋳片やそれらに熱間圧延を施したものなどを用いることができる。生産性の向上や冷間圧延素材としての表面平坦度を確保する意味から、熱間圧延鋼帯を冷間圧延素材とすることが好ましい。
2.スラリー塗布工程
本発明におけるスラリー塗布工程は、上記冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させる工程である。
以下、スラリー、スラリーの塗布方法、およびスラリーの乾燥方法について説明する。
(1)スラリー
本発明に用いられるスラリーは、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するものである。また、スラリーは、結合材を含有することが好ましい。
以下、焼鈍分離剤粒子、結合材およびスラリーのその他の成分等について説明する。
(i)焼鈍分離剤粒子
本発明に用いられる焼鈍分離剤粒子は、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなるものである。すなわち、焼鈍分離剤粒子は、脱炭を促進する物質のみからなるものであってもよく、脱炭と脱Mnとを促進する物質のみからなるものであってもよく、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質からなるものであってもよい。
中でも、焼鈍分離剤粒子が、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の両方からなるものであることが好ましい。脱炭を促進する物質から発生する酸素(O)は、鋼板中のMnを酸化させ、表面性状を劣化させる場合がある。そのため、脱炭と脱Mnとを促進する物質を脱炭を促進する物質と併用すると、γ(オーステナイト)安定化元素であるMnが鋼板表層部から減少するので、γ→α変態(オーステナイト→フェライト変態)を促進させるとともに、Mnの酸化も抑制することができる。また、Mnの酸化が抑制されると、酸化されていないMnは鋼板の表面を活性化させるので、脱炭反応を促進させることができる。さらに、脱Mnを施して、鋼板表面でのγ→α変態を促進させることもできる。
なお、脱炭を促進する物質と脱Mnを促進する物質とを併用することについては、特開平7-173524号公報に詳しく記載されている。
以下、脱炭を促進する物質、脱炭と脱Mnとを促進する物質、および焼鈍分離剤粒子のその他の点について説明する。
(脱炭を促進する物質)
本発明に用いられる脱炭を促進させる物質は、最終焼鈍での焼鈍温度で分解して酸素を発生する、もしくは最終焼鈍での焼鈍温度で鋼中の炭素によって容易に還元されることにより、脱炭を促進する物質であれば特に限定されるものでない。このような脱炭を促進させる物質としては、例えば、Siの酸化物(SiO2)を含む物質等が挙げられる。
SiO2を焼鈍分離剤として用いる場合の脱炭促進作用は、次の機構によると考えられる。
すなわち、Siの酸化物は、室温で安定であるが、温度が1000℃程度になると不安定になり、下記(3)式に示すように分解が起こり、酸素を発生する。
SiO2→Si+2O (3)
この酸素が下記(4)式に示すように鋼中の炭素と反応し、一酸化炭素となる結果、脱炭が生じる。
O+C(鋼板中に固溶)→CO(ガス) (4)
式(3)と(4)の反応をまとめると、下記(5)式の反応となる。
SiO2+2C(鋼板中に固溶)→Si(鋼板中)+2CO(ガス) (5)
脱炭を促進させる物質としては、SiO2を含む物質の他に、Cr23,TiO2,FeO,V23,V25,VO,MnOなどの、高温の適切な雰囲気下で比較的不安定になる酸化物を含む物質が挙げられる。
なお、「酸化物を含む物質」とは、上記の酸化物のみからなるものであってもよく、上記の酸化物と他の化合物とからなるものであってもよい。例えば、「SiO2を含む物質」は、SiO2のみからなるものであってもよく、SiO2と他の化合物とからなるものであってもよい。また例えば、「TiO2を含む物質」は、TiO2のみからなるものであってもよく、TiO2と他の化合物とからなるものであってもよい。
なお、上記の酸化物を含む物質が「上記の酸化物と他の化合物とからなる」とは、上記の酸化物を含む物質が、上記の酸化物と他の化合物とが物理的に混合されたものである場合だけでなく、上記の酸化物と他の化合物とが化合したものである場合をも意味する。
上記の酸化物を含む物質が上記の酸化物と他の化合物とからなる場合、この他の化合物としては、上記の酸化物が挙げられる。この場合、上記の酸化物を含む物質は、二種以上の上記酸化物からなるものとなる。また、上記の他の化合物としては、高温で安定な無機物が挙げられ、例えば、Al23,CaO,MgOなどの酸化物、BNなどの窒化物、SiCなどの炭化物を挙げることができる。この場合、上記の酸化物を含む物質は、上記酸化物と上記無機物とからなるものとなる。
脱炭を促進させる物質としては、上記の中でも、SiO2を含む物質およびTiO2を含む物質が最も好適である。これらの酸化物を含む物質は、天然にも多量に産出し、安価でもある。また、後述するように、TiO2を含む物質は脱Mnをも促進する物質であるので、TiO2を含む物質を単独で使用し、脱炭と脱Mnの双方を促進することができる。
焼鈍分離剤粒子が、SiO2を含む物質およびTiO2を含む物質の少なくともいずれか一方を含有する場合、焼鈍分離剤粒子中のSiO2成分およびTiO2成分の含有量は合計で10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。SiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で上記範囲であることにより、最終焼鈍にて{100}集合組織を発達させ、磁束密度を高めることができるからである。
上述したように、SiO2を含む物質は天然に産出する。天然に産出するSiO2を含む物質としては、例えば、珪石、珪砂、珪藻土、カオリナイト、モロカイト、タルク、ウォラストナイト等の天然鉱物を挙げることができる。この中でも、劈開によって容易に針状の粉末となるウォラストナイトは、最も好適である。針状の粉末は、乾燥後のスラリー中に空隙を容易に形成することができるからである。冷間圧延鋼板表面へのスラリーの塗布および乾燥後は、スラリーと冷間圧延鋼板とを交互に積層した状態で最終焼鈍する。最終焼鈍にて脱炭や脱Mnの反応を促進するには、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に適度な空隙が存在することが好ましい。すなわち、スラリー中に空隙が形成されていることが好ましいのである。冷間圧延鋼板間の空隙は、脱炭や脱Mnに必要な通気性を改善し、最終焼鈍での脱炭や脱Mnの反応を促進するとともに、{100}集合組織の発達を助長する。
ここで、ウォラストナイト(WOLLASTNITE)は、化学式CaO・SiO2で示されるものである。
焼鈍分離剤粒子がウォラストナイトを含有する場合、焼鈍分離剤粒子中のウォラストナイトの含有量は20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。ウォラストナイトの含有量が上記範囲であれば、乾燥後のスラリー中に空隙をより一層容易に形成することができるからである。一方、ウォラストナイトの含有量は90質量%以下であることが好ましい。TiO2を10質量%以上含有させることが可能になり、これにより、最終焼鈍にて{100}集合組織を発達させ、磁束密度を高めることができるからである。
(脱炭と脱Mnとを促進させる物質)
本発明に用いられる脱炭と脱Mnとを促進させる物質は、最終焼鈍での焼鈍温度で分解して酸素を発生する、もしくは最終焼鈍での焼鈍温度で鋼中の炭素によって容易に還元されることにより、脱炭を促進する物質であって、かつ、最終焼鈍中に鋼板から昇華するMnを吸収する物質であり、脱炭反応や、鋼板の表面エネルギー状態に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではない。このような脱炭と脱Mnとを促進させる物質としては、例えば、Tiの酸化物(TiO2)を含む物質が挙げられる。
なお、上述したように、「TiO2を含む物質」とは、TiO2のみからなるものであってもよく、TiO2と他の化合物とからなるものであってもよい。
鋼板中のMnは、適切な雰囲気条件下において鋼板の表面から昇華し、これにより、鋼板の表面近傍にMnの欠乏した層(脱Mn層)が形成される。TiO2は鋼板から昇華するMnと複合酸化物(TiMnO2)を形成し、Mnを吸収することによって、脱Mnを促進すると考えられる。TiO2は脱炭をも促進する物質である。したがって、TiO2を単独で使用し、脱炭と脱Mnの双方を促進することができる。
なお、TiO2を含む物質およびTiO2成分の含有量については、上記脱炭を促進させる物質の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(焼鈍分離剤粒子)
本発明における焼鈍分離剤粒子の形態としては、粒子(粉末)であれば特に限定されるものではないが、中でも繊維状の粉末であることが好ましい。繊維状の粉末は、スラリーへの少量の結合材の添加によって、スラリーの乾燥後に大きな強度を持つようになる。そのため、スラリーが塗布された冷間圧延鋼板を積層する際あるいはコイル状に巻き取る際に力が加わっても、乾燥後のスラリー中に形成された空隙が潰れることなく保持される。その結果、乾燥後のスラリー中に空隙が形成されやすくなるのである。
焼鈍分離剤粒子が、複数種類の粒子からなるものである場合には、少なくとも1種の粒子の形態が繊維状の粉末であることが好ましい。
また、焼鈍分離剤粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、0.05μm〜500μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜200μmの範囲内である。焼鈍分離剤粒子が、複数種類の粒子からなるものである場合には、それぞれの粒子の粒径が上記範囲内であればよい。粒径が上記範囲未満であると、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に維持される空隙が小さくなり、脱炭や脱Mnの反応の進行が遅くなる可能性があり、磁気特性が向上しない場合があるからである。逆に、粒径が上記範囲を超える場合には、スラリーの調製の際に焼鈍分離剤粒子が沈降し易くなり、冷間圧延鋼板の表面にスラリーを安定して均一に塗布することが困難になる場合があるからである。また、粒径が上記範囲を超えると、冷間圧延鋼板の表面に焼鈍分離剤粒子が押し込まれ、冷間圧延鋼板の表面形状が損なわれて、磁気特性が損なわれるおそれがあるからである。
焼鈍分離剤粒子が、複数種類の粒子からなるものである場合には、それぞれの粒子の粒径が上記範囲内であればよい。
なお、焼鈍分離剤粒子の粒径は、レーザー回折法により測定することができる。
(ii)結合材
本発明においては、スラリーの乾燥後に焼鈍分離剤粒子が鋼板から脱離することを防止するため、さらに、乾燥後のスラリー中に空隙を形成し、この空隙を保持する強度を確保するために、スラリーに結合材を添加することが好ましい。
結合材としては、PVA、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、ナイロン系ポリマー、ポリエチレン系ポリマーなどの有機物樹脂や、リン酸系などの無機系のものを用いることができる。中でも、比較的低温で分解する有機物樹脂が好ましい。このような有機物樹脂は、最終焼鈍の昇温中に分解して、その後の鋼板組織の形成に影響を与え難いからである。
しかしながら、スラリーに結合材を多量に含有させると、最終焼鈍の昇温中の結合材の分解によって多量のガスを発生する場合があるので、スラリー中の結合材の含有量は、焼鈍分離剤粒子100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。スラリー中の結合材の含有量の下限は、乾燥後のスラリー中の空隙を保持する程度の強度が確保できればよく、特に限定されないが、好ましくは焼鈍分離剤粒子100質量部に対して0.1質量部以上である。
(iii)添加剤
本発明において、スラリーに水を添加する場合は、スラリーの塗布・乾燥中の鋼板表面の酸化を防止するために、スラリーに少量の防錆剤を添加してもよい。
また、スラリーに、増粘剤、解膠剤、可塑剤、濡れ改良剤を添加してもよい。
(iv)スラリーの調製方法
本発明においては、上記の焼鈍分離剤粒子等に水もしくはアルコール等の液体を加えてスラリーを調製することができる。この際に用いられる液体としては、水、アルコール等が挙げられ、中でもコストの点で、水が好ましい。
水を使用する場合は、水中の溶存酸素による鋼板表面の酸化を防止し、{100}集合組織の発達を促進するため、溶存酸素を低減しておくことが好ましい。スラリー中の水の溶存酸素量は、好ましくは5mg/l以下、より好ましくは3mg/l以下である。
また、スラリー中の固形分は、50質量%〜80質量%程度とすることが好ましい。スラリー中の固形分が上記範囲に満たない場合には、乾燥に時間を要する場合があり、スラリー中の固形分が上記範囲を超えると、スラリーの粘度が高くなりすぎて鋼板への塗布が困難になる場合があるからである。
(2)スラリーの塗布方法
スラリーは、冷間圧延鋼板の片面に塗布してもよく、冷間圧延鋼板の両面に塗布してもよいが、中でも、{100}集合組織の発達を促進させるために、冷間圧延鋼板の片面に塗布することが好ましい。
スラリーの塗布量は、乾燥後の質量で少なくとも80g/m2以上必要である。スラリーの塗布量が上記範囲未満では、冷間圧延鋼板のサイズが大きくなったときに積層体やコイルの中心部分で{100}集合組織の発達が不十分になる。スラリーの塗布量は、好ましくは100g/m2以上である。スラリーの塗布量が過度に多いと、積層体やコイルが大きくなり、また、焼鈍分離剤粒子の使用量が過大になりコスト高となる場合があるため、スラリーの塗布量の上限は、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは300g/m2以下である。
スラリーの塗布方法としては、ゴムロールなどを用いる一般的な塗布方法を採用することができる。中でも、最終焼鈍に際して、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に効率的に空隙を確保するために、適度な開口率を有する網や穴のあいた板等の、孔部を備えるスペーサーを冷間圧延鋼板上に置き、そのスペーサーを介してスラリーを塗布するのが好ましい。これによって、スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に自然に空隙を確保することができる。
長尺の冷間圧延鋼板に連続的にスラリーを塗布する場合には、上記のスペーサーを円筒状もしくはベルト状にし、これを鋼板の送り速度に同期させて回転・移動させ、鋼板とともに移動するスペーサーを介してスラリーを塗布することが生産性の上から好ましい。この場合、スラリーの塗布にはローラーやスキージー等を用いることができる。
スペーサーの孔部の形状としては、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。
スペーサーの孔部の間隔は、最終焼鈍中に鋼板に凹凸が転写されない程度に小さいことが好ましく、具体的には0.1mm〜2mmの範囲内が好ましい。
なお、孔部の間隔とは、隣接する孔部の中心位置から中心位置までの距離をいう。
また、スペーサーの開口率は、10%〜90%の範囲内とすることが好ましい。開口率が上記範囲未満では、スラリーが鋼板を覆う面積率が小さすぎ、鋼板間に焼きつきを生じる場合がある。また、開口率が上記範囲超では、スラリー中の空隙密度が小さくなり{100}集合組織の発達を阻害する場合がある。
(3)スラリーの乾燥方法
スラリーの乾燥方法としては、自然乾燥でもよいが、時間短縮のため加熱することが好ましい。加熱する場合には、例えば、オーブン、ホットプレート等を用いることができる。
乾燥温度は、自然乾燥の場合には室温となる。一方、加熱する場合であって、スラリーに水を添加する場合には、乾燥温度を50℃〜100℃の範囲内に設定することが好ましい。スラリーの塗布後、数分以内に乾燥を完了させることが、鋼板の表面酸化防止の観点で好ましいからである。
また、乾燥の際の雰囲気としては、大気雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気であってもよい。中でも、乾燥の際に加熱する場合であって、スラリーに水を添加する場合は、N2雰囲気とすることが好ましい。この際、N2気流中で加熱することが好ましい。上述したように、スラリーの塗布後、数分以内に乾燥を完了させることが、鋼板の表面酸化防止の観点で好ましいからである。
(4)その他
本発明において、スラリーに水を添加する場合は、スラリーの塗布・乾燥中の鋼板表面の酸化を防止するために、予め鋼板表面に防錆皮膜や疎水性の皮膜を形成しておいてもよい。
3.最終焼鈍工程
本発明における最終焼鈍工程は、上記スラリーが塗布され乾燥された上記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す工程である。
この最終焼鈍により、脱炭または脱炭および脱Mnの両方を生じさせ、この過程で発生するγ→α変態によって板面と平行に{100}面を高密度に持つ集合組織を発達させるとともに、炭素含有量を十分に低下させることができる。γ→α変態は、鋼板の表面から内部へと順次進行する。{100}面が板面と平行な結晶粒の表面エネルギーは、他の方位の結晶粒の表面エネルギーよりも格段に低くなるため、{100}面が板面と平行な結晶粒が優先的に鋼板の表面から内部へと成長し、板面と平行に{100}面を高密度に持つ集合組織が発達すると考えられる。
スラリーが塗布され乾燥された冷間圧延鋼板は、乾燥後のスラリーと冷間圧延鋼板とが交互に積層された状態で焼鈍する。冷間圧延鋼板が長尺の場合には、スラリーが塗布され乾燥された冷間圧延鋼板をコイル状に巻き取った状態で焼鈍することが好ましい。これがコイル焼鈍である。また、冷間圧延鋼板が短尺の場合には、スラリーが塗布され乾燥された冷間圧延鋼板にスラリーが塗布されてない別の冷間圧延鋼板を積層するか、スラリーが塗布され乾燥された冷間圧延鋼板を複数積層した状態で、焼鈍することが好ましい。これが積層焼鈍である。
最終焼鈍に際して、スラリーが塗布され乾燥された冷間圧延鋼板を、上述したように乾燥後のスラリーと冷間圧延鋼板とが交互に積層された状態としたとき、乾燥後のスラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間には空隙が存在することが好ましい。乾燥後のスラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間の空間に対して、乾燥後のスラリーの空間充填密度は、50体積%以下であることが好ましく、より好ましくは35体積%以下である。乾燥後のスラリーの空間充填密度が上記範囲であれば、最終焼鈍での脱炭や脱Mnの反応をより促進するとともに、{100}集合組織の発達をより助長することができるからである。一方、乾燥後のスラリーの空間充填密度の下限は、5体積%以上であることが好ましい。上記範囲未満では、鋼板間に焼きつきが生じやすくなるからである。
なお、空間充填密度とは、乾燥後のスラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間の空間(体積)全体に占める乾燥後のスラリーの体積の割合を意味する。
この空間充填密度は、積層した鋼板の平均間隔dを求め、スラリーの鋼板単位表面積当たりの乾燥重量mとスラリーの乾燥後平均密度ρから、(m/ρ)/dとして求めるものとする。
スラリーを挟んで隣接する冷間圧延鋼板間に空隙を存在させる方法としては、例えば、焼鈍分離剤粒子の粒度(粒径)や形態を調整する方法、孔部を有するスペーサーを介してスラリーを塗布する方法、スラリー中に発泡剤を混入して気泡を形成する方法等が挙げられる。
焼鈍雰囲気は、水素、不活性ガス、または水素および不活性ガスの混合ガスを主体とする雰囲気、あるいは真空とすることが好ましい。
真空雰囲気の場合、圧力は、好ましくは100 Torr以下、より好ましくは1 Torr以下とする。圧力が上記範囲を超えると、{100}面密度が低下するおそれがあるからである。
焼鈍の際の保持温度は、1300℃以下が望ましい。1300℃を超える焼鈍温度は工業的に実現するのが困難である。脱炭反応は高温ほど早く進行するため、効率的に脱炭するためには保持温度を好ましくは950℃以上、より好ましくは1050℃以上とする。{100}集合組織の発達を顕著にし、さらに効率的な脱炭を行うため最も好ましい温度は、1050℃〜1150℃のα+γの二相共存温度域である。
また、焼鈍の際の均熱保持時間は、30分〜100時間の範囲内が好ましい。保持時間が上記範囲未満では脱炭、脱Mnが不十分となり、一方、保持時間が上記範囲を超えると生産性が悪化するおそれがあるからである。
4.その他の工程
本発明においては、通常、上記最終焼鈍工程後に、鋼板から焼鈍分離剤粒子を除去する焼鈍分離剤粒子工程を行う。
焼鈍分離剤粒子の除去方法としては、例えば、水洗等が挙げられる。
また本発明においては、上記焼鈍分離剤粒子工程後に、鋼板を積層して使用する際の各鋼板間の電気的絶縁を確保するため、鋼板表面に絶縁皮膜を塗布する表面コーティング工程を行うことが好ましい。
絶縁皮膜としては、リン酸塩系やCr酸塩系の無機質系溶液を鋼板に塗布し焼き付ける無機質系の絶縁皮膜や、この無機質系溶液にポリアクリルタイプエマルジョン等の有機樹脂を混合したものを鋼板に塗布し焼き付ける有機−無機混合皮膜が挙げられる。
5.{100}集合組織珪素鋼板
本発明により製造される{100}集合組織珪素鋼板は、{100}集合組織を有するものであれば特に限定されるものではないが、{100}<100>集合組織({100}<100>型の{100}集合組織)または{100}<021>集合組織({100}<021>型の{100}集合組織)を有するものであることが好ましい。{100}<100>集合組織を有する鋼板は、圧延方向と板幅方向の二方向で優れた磁気特性を示し、また{100}<021>集合組織を有する鋼板は、圧延面内であらゆる方向にほぼ等しい磁気特性を示すからである。
{100}<100>集合組織を有する鋼板の場合、{100}<100>方位から±15°以内の方位の結晶粒が観察面(板面に平行な断面)の70%以上、中でも80%以上を占めることが好ましい。
なお、{100}<100>方位から±15°以内の方位とは、結晶粒の鋼板の圧延方向に最も近い<100>軸と圧延方向とのなす角度をaとし、結晶粒の鋼板の板幅方向に最も近い<100>軸と板幅方向とのなす角度をbとしたとき、これらの平均[(a+b)/2]が15°以内であることをいう。
また、{100}<021>集合組織を有する鋼板の場合、{100}<021>方位から±15°以内の方位の結晶粒が観察面(板面に平行な断面)の70%以上、中でも80%以上を占めることが好ましい。
なお、{100}<021>方位から±15°以内の方位とは、結晶粒の鋼板の圧延方向に最も近い<021>軸と圧延方向とのなす角度をcとし、結晶粒の鋼板の板幅方向に最も近い<021>軸と板幅方向とのなす角度をdとしたとき、これらの平均[(c+d)/2]が15°以内であることをいう。
また、最終焼鈍工程後の鋼板のC含有量は、磁気特性を劣化させないため、好ましくは0.005%未満、より好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下とする。α−フェライト中における固溶限を超えて残存するCは、α−フェライト中にセメンタイトとして析出し、磁気特性を劣化させるからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
下記表1の鋼組成を有する鋼を真空中で鋳造して、熱間鍛造した後、約3mmの厚さまで熱間圧延した。さらに熱間圧延鋼板を酸洗して酸化物を除去した後、冷間で約0.9mmの厚さまで圧延し、1050℃で30秒間焼鈍した。その鋼板を再度、0.35mmの厚さまで冷間圧延し、圧延油を除去した後、以下の焼鈍実験に供した。
Figure 0005200433
平均粒径約40μmのSiO2粉末と、粒径1μm以下のアナターゼ型結晶構造のTiO2粉末とを質量比で1:1に混合した焼鈍分離剤粒子を用意した。その焼鈍分離剤粒子に、PVAと解膠剤とを溶解した水を加えてスラリーを作製した。スラリー中の水の溶存酸素量は2mg/lであった。PVAの添加量は焼鈍分離剤粒子の全質量(100質量部)に対し約2質量部とした。
このスラリーを、開口率50%、直径0.8mmの孔部を備えるスペーサーを介して250mm×300mm角の冷間圧延鋼板の片面に下記表2に示す各種の塗布量で塗布した後、90℃前後に加熱して乾燥させた。このような鋼板を各々10枚作製し、乾燥後のスラリーを介して隣接する鋼板に接するように、また、同じ塗布量の鋼板が連続するように、それらを積層した。乾燥後のスラリーを挟んで隣接する鋼板間の乾燥後のスラリーの充填密度は体積率で約33%であった。
この積層体を真空炉に装入し、10-4Torrの圧力まで排気し、1℃/minの速度で1100℃まで昇温し、12時間均熱した。焼鈍後の鋼板から焼鈍分離剤粒子を除去して、圧延方向もしくは板幅方向に沿って280mm×30mmの短冊試験片を切り出した。歪みを除去するため900℃で1時間焼鈍した後、それらの鋼板の圧延方向と板幅方向の磁気特性を単板磁化測定装置を用いて測定した。測定周波数は50Hzとした。また、集合組織をEBSP(Electron Back Scattering Pattern)を用いて測定し、発達している集合組織の形式を求め、さらに特定の集合組織が発達している場合はその方位から15°以内の方位を持った結晶粒の体積を求めた。その結果を表2に示す。これらの鋼板の焼鈍後の炭素含有量は0.003%以下であった。
Figure 0005200433
スラリーの塗布量が少ない場合(試験片No.1〜4)、{100}<001>集合組織の発達が悪く、圧延方向と板幅方向の磁束密度B10(1000A/mの磁界を付与したときの磁束密度)が小さいことが分かった。一方、スラリーの塗布量が80g/m2を超えた場合(試験片No.5〜13)、{100}<001>集合組織が顕著に発達して、B10が1.8T以上に増加して、高特性の二方向性珪素鋼板が得られたことが分かった。
また、焼鈍後の板の平坦度を調べるために、上記の短冊試験片を20枚積層して全厚を計測し、鋼板の比重、質量、縦と横の長さから計算で求まる全厚を計測した全厚で割って、積層時の板の占積率を算出した。占積率は、いずれの場合も93%〜95%で板の平坦度は良好であった。
[実施例2]
実施例1と同一の冷間圧延鋼板の長尺コイル(幅250mm、長さ100m)に予め防錆剤を少量塗布し、以下の焼鈍実験に供した。
実施例1で使用したTiO2粉末30質量%と、CaSiO3(CaO+SiO2)を約97%含有するウォラストナイト鉱の針状粉末(アスペクト比約35)70質量%とを混合して焼鈍分離剤粒子を用意した。その焼鈍分離剤粒子に、メチルセルロースおよびPVAを溶解した水と解膠剤とを少量加えてスラリーを作製した。スラリー中の水の溶存酸素量は1.5mg/lであった。メチルセルロースおよびPVAの添加量は焼鈍分離剤粒子の全質量(100質量部)に対し合計で1.5質量部とした。
このスラリーを、鋼板の表面と同期しながら移動更新する開口率45%の孔部を有するスペーサーを介して冷間圧延鋼板の片面に乾燥後の質量で200g/m2塗布した。その後、直ちにN2気流中で80℃前後に加熱して乾燥させ、冷間圧延鋼板をコイル状に巻き取った。乾燥後のスラリーを挟んで隣接する鋼板間の乾燥後のスラリーの充填密度は体積率で約27%であった。
このコイルを真空炉に装入し、10-3Torrの圧力まで排気し、1℃/minの速度で1100℃まで昇温し、15時間均熱した。焼鈍後の鋼板の炭素含有量は0.0015%で、十分に脱炭されていた。これらの鋼板に対して、実施例1と同様に測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005200433
圧延方向と板幅方向の磁束密度B10が1.87T以上であり、高特性の二方向性珪素鋼板が得られたことが分かった。また、表3から、これが{100}<001>集合組織の発達に依ることも理解できる。
板を積層したときの占積率は95%以上で、板の平坦度は積層焼鈍の場合よりもさらに良好であった。
[実施例3]
上記表4の鋼組成を有する鋼を真空中で鋳造して、熱間鍛造した後、約5mmの厚さまで熱間圧延した。さらに熱間圧延鋼板を酸洗して酸化物を除去した後、冷間で約0.35mmの厚さまで圧延し、圧延油を溶剤で除去して、以下の焼鈍実験に供した。
Figure 0005200433
純度約99%で粒径100μm以下のSiO2粉末と、純度約99%のAl2O3粉末と、純度約99%で粒径1μm以下のアナターゼ型結晶構造のTiO2粉末と、CaSiO3(CaO+SiO2)を約97%含有するウォラストナイト鉱の針状粉末と、88%SiO2および7%Al2O3を含有する珪藻土と、52%SiO2および43%Al2O3を含有するモロカイト粉末と、ルチル型結晶構造のTiO2を約96%含有するルチル砂とを用意した。これらを、下記表5に示す量で混合して混合粉末を用意した。その混合粉末に、さらにアクリル系ポリマーを溶かした水を加えてスラリーを作製した。スラリー中の水の溶存酸素量は4.5mg/lであった。アクリル系ポリマーの添加量は混合粉末の全質量(100質量部)に対し0.5質量部〜10質量部とした。
Figure 0005200433
このスラリーを、冷間圧延鋼板の片面に乾燥後の質量で200g/m2塗布した後、90℃前後に加熱してN2気流中で乾燥させた。次いで、このような鋼板を各々10枚作製し、乾燥後のスラリーを介して隣接する鋼板に接するよう、また、同じスラリー条件の鋼板が連続するように、それらを積層した。乾燥後のスラリーを挟んで隣接する鋼板間の乾燥後のスラリーの充填密度は体積率で30%〜35%の範囲であった。
この積層体を真空炉に装入し、10-4Torrの圧力まで排気し、1℃/minの速度で1125℃まで昇温し、5時間均熱した。焼鈍後の鋼板から焼鈍分離剤粒子を除去して、それらの鋼板から外径50mm内径35mmのリング状試験片を打ち抜いた。その後、900℃で1時間の歪み取り焼鈍を施し、リング状試験片を積層して、磁化測定用の一次および二次コイルを巻き、50Hzの周波数で磁気特性を測定した。また集合組織をEBSP(Electron Back Scattering Pattern)を用いて測定し、発達している集合組織の形式を求め、さらに特定の集合組織が発達している場合はその方位から15°以内の方位を持った結晶粒の体積を求めた。また、焼鈍後の鋼板の炭素含有量も調査した。その結果を表6に示す。
Figure 0005200433
脱炭や脱Mnを促進する物質を含まず、Al2O3のみを含有する場合(試験片No.a)、脱炭が生じず、炭素含有量がほとんど減少していないことが分かった。また、この場合{100}集合組織も発達せず、リング状試験片を用いた特性(板面内の平均特性)の磁束密度B10(1000A/mの磁界を付与したときの磁束密度)は1.35Tと小さくなった。一方、脱炭や脱Mnを促進する物質を含む本発明例(試験片No.b〜f)では、脱炭によって十分に炭素含有量が減少するとともに、{100}<021>集合組織が発達し、磁束密度B10が大きくなった。なお、本発明例の中でも、アクリルポリマーを10%と多く添加した場合(試験片No.f)は、{100}<021>集合組織の発達がやや悪い傾向となった。
積層時の占積率はいずれの場合も92%〜95%で、板の平坦度は良好であった。
結晶方位を模式的に示す図である。

Claims (12)

  1. 質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有し、さらに、Al:0.005%以下、P:0.05%、S:0.005%以下、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼組成を有する冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させるスラリー塗布工程と、
    前記スラリーが塗布され乾燥された前記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す最終焼鈍工程と
    を有する{100}集合組織珪素鋼板の製造方法であって、
    前記脱炭を促進する物質がウォラストナイトであり、前記脱炭と脱Mnとを促進する物質がTiO2を含む物質であることを特徴とする{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
    Si+Mn/2≦5.0 (1)
    Si−Mn/2≧1.5 (2)
    (ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
  2. 前記焼鈍分離剤粒子中のSiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で10質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  3. 前記焼鈍分離剤粒子中の前記ウォラストナイトの含有量が20質量%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  4. 質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有し、さらに、Al:0.005%以下、P:0.05%、S:0.005%以下、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼組成を有する冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させるスラリー塗布工程と、
    前記スラリーが塗布され乾燥された前記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す最終焼鈍工程と
    を有する{100}集合組織珪素鋼板の製造方法であって、
    前記スラリーが、前記焼鈍分離剤粒子100質量部に対して5質量部以下の結合材を含有することを特徴とする{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
    Si+Mn/2≦5.0 (1)
    Si−Mn/2≧1.5 (2)
    (ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
  5. 前記脱炭を促進する物質がSiO2を含む物質であり、前記脱炭と脱Mnとを促進する物質がTiO2を含む物質であることを特徴とする請求項4に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  6. 前記焼鈍分離剤粒子中のSiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で10質量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  7. 前記スラリーが、前記焼鈍分離剤粒子100質量部に対して5質量部以下の結合材を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  8. 質量%でC:0.02%以上0.15%以下を含有し、さらにSiおよびMnを下記(1)式および(2)式を満足する範囲で含有し、さらに、Al:0.005%以下、P:0.05%、S:0.005%以下、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼組成を有する冷間圧延鋼板の表面に、脱炭を促進する物質および脱炭と脱Mnとを促進する物質の少なくともいずれか一方からなる焼鈍分離剤粒子を含有するスラリーを乾燥後の質量で80g/m2以上塗布し、乾燥させるスラリー塗布工程と、
    前記スラリーが塗布され乾燥された前記冷間圧延鋼板に、積層焼鈍またはコイル焼鈍を施す最終焼鈍工程と
    を有する{100}集合組織珪素鋼板の製造方法であって、
    前記最終焼鈍工程にて、前記積層焼鈍または前記コイル焼鈍に際して、乾燥後の前記スラリーを挟んで隣接する前記冷間圧延鋼板間の空間に対して乾燥後の前記スラリーの空間充填密度を50体積%以下とすることを特徴とする{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
    Si+Mn/2≦5.0 (1)
    Si−Mn/2≧1.5 (2)
    (ここで、上記式中のSiおよびMnは各元素の含有量(質量%)を示す。)
  9. 前記脱炭を促進する物質がSiO2を含む物質であり、前記脱炭と脱Mnとを促進する物質がTiO2を含む物質であることを特徴とする請求項8に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  10. 前記焼鈍分離剤粒子中のSiO2成分およびTiO2成分の含有量が合計で10質量%以上であることを特徴とする請求項9に記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  11. 前記最終焼鈍工程にて、前記積層焼鈍または前記コイル焼鈍に際して、乾燥後の前記スラリーを挟んで隣接する前記冷間圧延鋼板間の空間に対して乾燥後の前記スラリーの空間充填密度を50体積%以下とすることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
  12. 前記冷間圧延鋼板の表面への前記スラリーの塗布を、孔部を備えるスペーサーを介して行うことを特徴とする請求項8から請求項11までのいずれかに記載の{100}集合組織珪素鋼板の製造方法。
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