JP5200637B2 - デバイス、有機半導体ナノファイバー、吐出液、デバイスの製造方法および感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、有機半導体の電荷輸送に係る特性を十分に発揮させるための高分子有機半導体の溶解液あるいは電荷輸送機能を有した化合物とバインダーの混合溶解液をエレクトロスプレー法により吐出して形成されるナノファイバー(有機半導体ナノファイバー)、この混合溶解液などを含む吐出液、デバイスの製造方法およびデバイスの1つである感光体の製造方法に関する。
一方、エレクトロスプレー法において、機能材料の分子量があるレベルより大きな高分子化合物において、ある程度高粘度な吐出液が極微細なファイバー状となって基体に付着する方法が、エレクトロスピニング方法と呼ばれている。極微細なナノオーダーのファイバーが形成されるためエレクトロスピニング法は特に注目されている。
また特許文献2には、色素増感型太陽電池において、電解質を介して色素増感型半導体電極と対面配置される対向電極を、この半導体電極と対向する面に、エレクトロスピニング法により形成された繊維状カーボンが担持された発明が記載されている(特許請求の範囲など)。
また特許文献3には、エレクトロスピニング法により形成された絶縁性多孔質膜を有する色素増感型太陽電池用セパレータの発明が記載されている(特許請求の範囲など)。
さらに特許文献4には、透明導電層を有するプラスチックフィルムおよび透明導電層上に積層された多孔質金属酸化物層からなり、該多孔質金属酸化物層が金属酸化物不織布からなる色素増感型太陽電池用電極の発明が記載されている(請求項1など)。
しかしながら、上記いずれの公報にも、電荷輸送機能を有するデバイスに関する発明は、示唆されてはいない。
また本発明の有機半導体ナノファイバー(以降、単に「有機半導体」ということがある)は電荷輸送機能が必要なデバイス、特に光電変換デバイスに有用に使用できるような発明を創出することを目的としている。
1) エレクトロスプレー法により形成された電荷輸送機能を有する層が設けられ、前記電荷輸送機能を有する層は、電荷輸送機能を有する有機半導体ナノファイバーを用いた層であり、前記有機半導体ナノファイバーは電荷輸送機能を有する化合物を含有し、前記電荷輸送機能を有する化合物が下記式(I)で表される2価の基を含む繰り返し単位を有することを特徴とするデバイスである。
2)前記電荷輸送機能を有する化合物が下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする前記1)に記載のデバイスである。
3) 前記電荷輸送機能を有する化合物が下記構造である前記1)に記載のデバイスである。
4) 前記デバイスは少なくとも光電荷発生材を有するデバイスであって、前記光電荷発生材が前記電荷輸送機能を有する有機半導体ナノファイバーを用いた層に接するように設けられていることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載のデバイスである。
5) 前記1)〜4)のいずれかに記載のデバイスに用いられる有機半導体ナノファイバーを製造するための吐出液であって、重量平均分子量が5万以上である電荷輸送機能を有する化合物が溶解又は分散されていることを特徴とする吐出液である。
6) 前記1)〜4)のいずれかに記載のデバイスの製造方法であって、電荷輸送機能を有するナノファイバーのシートに電荷発生材を含有する含有液を塗布する工程を有し、前記含有液は、前記ナノファイバーを実質的に溶解しないことを特徴とするデバイスの製造方法である。
また本発明のナノファイバーは電荷輸送機能が必要なデバイス、特に光電変換デバイスに有用に使用できる。
これらの方法以外に、エレクトロスプレー方法を感光体に適用する場合、以下の点で有望であると本発明者は考えている。
1) 通常のスプレー塗工方法あるいはインクジェット方法よりも滴が細かくなるため、より均一な膜(均一な層)が形成可能である。
2) 浸漬塗工のように余分な液(有機溶剤)を必要とせず、塗工される材料だけあればよく、自然環境に与える負荷が少なくやさしい。
3) 乾燥が早いため、下層がエレクトロスプレー塗工液で溶解する層であっても溶解して乱れる(溶解などにより物性が悪化する)などの影響が少ない。
4) 高分子材料を使用した場合、その処方によってはファイバー状のものが作製できる可能性がある。
(1) 画像に影響のないように、均一に塗工されること。
(2) 光電荷発生効率の高いこと。
(3) 発生した電荷は残留することなく確実に移動すること。
この電荷発生材と電荷輸送材のそれぞれの含有層が平面的に接触している場合、電荷発生材層と電荷輸送材層の接触面積が小さければ電荷発生効率は低い。
通常の感光体の場合、電荷輸送層の塗布時に電荷発生層に電荷輸送層の電荷輸送材が浸み込むと両者の接触面積が大きくなり電荷発生効率は増大する一方、両者が混在するため光吸収直後の電荷発生効率は大きくても分離した電荷がトラップされるため、トータルとしての電荷発生効率が低下する。
そのような連続層をなす感光体により、電荷発生材の電荷が確実に電荷輸送層に流れる。導電性基体上に電荷発生層と、さらにその上に電荷輸送層を設けた感光体の場合であれば表面側(基体側に対し、逆側(上記の場合、電荷輸送層の側)を、本明細書中、「表面側(おもてめん側)と呼ぶ」に流れる。
以下、本発明のデバイスを光電変換素子の一例である感光体について説明するが、本発明は、太陽電池など他の光電変換素子にも有効に適用できる。
すなわち液に含まれる高分子の分子量が大きいほど、あるいは液粘度が高いほど、また、ノズル電極と基体との距離が長いほど、ファイバー状となりやすい。
感光体のうち電荷発生層は主として電荷発生材を含有する層であり、この電荷発生材単独では光電荷発生効率が悪い。
上層の電荷輸送層の塗工時に、電荷発生層に電荷輸送層を形成するための電荷輸送層塗工液由来の電荷輸送材が浸透し、電荷発生材と電荷輸送材が接触することによって、両者(接触領域)で光電荷発生後に電荷対が分離し初めて効率的な電荷発生が行われると考えられている。
このため、エレクトロスプレー法を用いて作製した高分子の半導体(すなわち高分子電荷輸送材)のナノファイバーをまず作製し、このナノファイバーを電荷発生材と接触させる手法を見出した。
すなわち、エレクトロスプレー法により作製したナノファイバーは極めて微細であるため表面積が大きく、電荷発生層と電荷輸送性のナノファイバー(電荷輸送機能を有するナノファイバー)が効率よく接触し、かつ、ナノファイバーは長距離(電荷発生層の厚さがせいぜい1μm程度であり、ナノファイバーの繊維軸径はナノオーダーであるがその長さはミリ単位以上の長さ)につながっている。このため電荷はこのように長距離につながっているナノファイバー内を輸送されればよく、途中で電荷がトラップされることが極めて少なくなる。
使用されるナノファイバーは極微細繊維が集合したシート体からなるため濾紙のような役目をし、電荷発生材はこの濾紙のようなナノファイバー上に均一に塗布される。
このためナノファイバーがない場合には、電荷発生材である顔料が塗布時に部分的に集合してダマ状となる。これにより点状の帯電異常を引き起こす場合がある。一方、ナノファイバーが存在する場合にはそれを防止できる可能性がある。
またナノファイバーは連続相(ファイバーであるため、繊維方向には前記したように長距離で連続)であるということから、発生した電荷のトラップを防止できる可能性がある。
その状態のイメージを図1に示す。
また図1(B)は電荷発生層12において(たとえば低分子の)電荷輸送材11が電荷発生層12に浸み込んでいる状態を表している図である。この図に示されるような場合には、接触面積は大きいが同時にトラップも存在している状態となっており、全体的な電荷発生効率(すなわち初期の電荷対発生効率が高くともトラップによる電荷消滅率が大きいため取り出す電荷の最終的な効率)が小さいと考えられる。
図1(C)はナノファイバー1の形状の高分子半導体材料を電荷輸送材として電荷発生層12に設けた層構成を示している図である。この図に示されるような場合には、電荷発生材2と接触面積が大きく、ナノファイバー1自体が連続した電荷輸送性を有しているため、電荷のトラップも少ない。
電荷発生材2を高分子半導体の溶液に分散して、エレクトロスピニング法によりナノファイバー1自身の内部に電荷発生材2を含有することも可能である。
このように、電荷発生とその後の電荷分離がトラップされずに発生した電荷の輸送がスムーズに行われるために、連続相のナノファイバーは理想的な効果を示すものである。
すなわち、電荷輸送材を微細な高分子有機半導体ナノファイバーとすることにより、電荷発生材との接触面積を増大させ、かつ、電荷輸送材がファイバー状の連続相をなすために電荷の移動がスムーズになる。
この場合でも高分子有機半導体のナノファイバー1をシート状に設け、ろ紙のような役目を果たす機能を発揮させておき、そこに耐磨耗性フィラー3を塗布すれば、ナノファイバー1の連続性を維持(すなわち電荷輸送性を維持)したまま、均一に耐磨耗性フィラー3を塗布することが可能となる。この場合も、高分子半導体のナノファイバー1が連続相のため電荷の輸送が阻害されにくい。換言すれば、高分子半導体としてのナノファイバー1中を電荷が移動する線路となるので、確実にその電荷を輸送できる。
図1は、導電性支持体13上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層12と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層11とが積層された構成を採っている。電荷発生層12と導電性支持体13の間に中間層を設けてもよい。
図4は、図1において保護層を設けたものである。
このようにナノファイバー構造を設けることは、
(1)電荷発生材あるいは耐磨耗性粒子の均一塗工に有利
(2)電荷輸送層が連続相のため不連続に起因するトラップが防止できる
という利点がある。
中間層は一般には樹脂を主成分とするが、この樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
本発明では、この電荷発生層塗工液を塗工する前に、エレクトロスプレー法により作製した高分子有機半導体のナノファイバーの層を設ける発明を含んでいる。
また、電荷発生層12を形成するための塗工と、ナノファイバー1の作製(ESD法)とを同時に行ってもよい。この場合に、電荷発生層スプレー塗工と、ナノファイバーエレクトロスプレー作製とを、(交互に)繰り返して行ってもよい。なお、前記したのと同様に、電荷発生層塗工液はナノファイバーを溶解する溶剤を有してもある程度ナノファイバー構造は維持されるが、ナノファイバーを溶解しない液を溶剤として用いた塗工液であればナノファイバー構造は維持されるので好ましい。本発明の実施例では、ナノファイバーを、有機溶媒を含む吐出液を用いて作成し、電荷発生材は水系溶媒で塗工する例を記載した。
中でもアミン構造を有する高分子有機半導体は、安定した電荷移動度を有し、電荷発生剤からの電荷の注入性もよく、光電変換材料として好ましい。
すなわち高分子有機半導体を構成する繰り返し単位中に少なくとも下記式(I)で表される2価の基を含む繰り返し単位を含む高分子有機半導体が選ばれる。
R1〜R3が芳香族炭化水素基である場合、具体例としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物基あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物基あるいは縮合多環炭化水素化合物基あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の基が挙げられる。また、複素環基である場合、具体例としてカルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール及びチアジアゾール等が挙げられる。これらの基が2価基である場合には当該具体例として挙げた単環式炭化水素化合物の2価基、非縮合多環式炭化水素化合物の2価基、環集合炭化水素化合物の2価基、複素環基の2価基などを挙げることができる。その他、本明細書中に記載する単環式炭化水素化合物基、非縮合多環式炭化水素化合物基、縮合多環炭化水素化合物基、環集合炭化水素化合物基(一価の基でも2価の基でも良い)あるいは置換基として説明されているアルキル基またはアルキレン基を挙げることができる。なおアルキレン基としては、以下のものが挙げられる。
以下その一例を一般式(1)に示す。
2価の縮合多環式芳香族炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの例えば、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、フルオレニル基、s−インダセニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレルニ基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
2価の単環式芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等等が挙げられる。
2価の非縮合多環式炭化水素化合物としては、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン及びポリフェニルアルケン等が挙げられる。
2価の縮合多環式炭化水素化合物としては、9,9−ジフェニルフルオレン等が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12、とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で、置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR1);R1は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基:アリール基としてフェニル基、ナフチル基があげられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキノ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基(−SR1);R1は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)−NR2R3:(式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、上記(2)で定義したアルキル基、又はアリール基を表わし、アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基、又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R2とR3は共同で環を形成しても良い。またアリール基上の炭素原子と共同で環を形成してもよい。)具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基、等が挙げられる。
その中でも下記構造(化合物1)のものが高移動度であり、好ましい。その中でも特に下記化合物(1−1)
これらは単独でもエレクトロスプレー法によりナノファイバーが作製できるので好ましい。
一方、電荷輸送機能を有する材料自体は低分子であってもよい。その場合、ナノファイバーを作製するときは、電荷輸送機能を有する低分子化合物を、各種高分子とともに溶剤に溶解させてエレクトロスプレー法によりナノファイバーを作製する。低分子の場合も、下記アミン構造を有したものが安定した電荷輸送性を有するので好ましい。
これらの例として以下のものがあげられる。
これら電荷輸送機能を有する低分子化合物をポリカーボネートあるいはポリスチレンなどの高分子バインダーとともに有機溶媒に溶解させ、エレクトロスプレー法によりナノファイバーを作製することができる。
上記バインダー自体は電荷輸送機能を有しないが、ナノファイバーとしては電荷輸送機能が得られる。
もちろん電荷輸送機能を有する低分子化合物と、電荷輸送機能を有する高分子化合物とを溶解させてエレクトロスプレー法によりナノファイバーを作製してもよい。
基体とノズルの距離は1cm以上であることが好ましく、また上限値はESDによって形成する感光体の大きさ、ESD装置の大きさに依存するが、一般に1m以下、たとえば50cm以下(たとえば30cm以下)である。あまり距離が短いと、ターゲットに到着するまでに液体が蒸発せず、微細なファイバーができにくい。
ナノファイバーを形成するための吐出液の速度は数m/秒であるが、感光体のドラムは数十rpmの速度でファイバーが感光体に均一に塗布できるようにする。
このようなエレクトロスプレーの実験装置は市販されているものを用いることができる。たとえば、株式会社フューエンスのES-2000(商品番号)などが挙げられる。
上記高分子有機半導体のエレクトロスプレー用の溶剤としては、高分子有機半導体が溶解する溶剤であればよく、1種でも、2種以上混合して用いることができる。
このような溶剤としては、エーテル系、トルエンなどの芳香族系、アルコール系、ケトン系、ハロゲン系の溶剤を挙げることができる。
ただし、液中の高分子半導体の濃度が、ある程度高くないと、ナノファイバーが作製できずに単なる微小液滴のスプレーが感光体ドラム上に液滴として吹き付けられることになる。このような、ナノファイバーにならなくて微小滴として付着する場合も、感光体の均一塗工や、乾燥が速いことによる下層に影響を与えない塗工方法として有望である。
白金の電極ワイヤとしては、径が0.1mm〜1mmの範囲のものを使用し、ガラス液ための先端20は1mm〜3mm直径(以下、単に径と言う)のものを使う(図5(A)参照)。
溶剤によってはキャピラリー22の先端の径が小さいと目づまりしやすいため、図5(B)に示すように、電極21に径の大きなキャピラリー22から液を流すようにしてもよい。
この場合、電極ワイヤの先端部では分散液または溶解液中の分散媒または溶媒の蒸発によって増粘するが、ナノファイバーは問題なく作製できた。ただし、単独のノズルでは時間がかかるため、感光体に短時間でナノファイバーシートを作製するには例えばノズル数は1個/1cm2以上のノズル密度が必要とされる。そのようなドラムにマルチのノズルからエレクトロスプレーを行う方法は知られており、この方法に用いられるような装置は市販されている。
電荷発生層は、公知の電荷発生物質をすべて挙げることができる。たとえば、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等、公知の材料が挙げられる。これら電荷発生層に用いられる電荷発生物質は単独で用いてもよく、また、2種以上混合して用いることも可能である。
なおこのような樹脂はナノファイバーと電荷発生物質の接触を妨げる可能性があるため、電荷発生層分散塗工液の分散安定性を阻害しない範囲で使用することが好ましく、なるべく少ない量で使用するほうがよい。
この電荷発生層塗工液に用いられる溶剤は、下層に作製してある高分子有機半導体ナノファイバー自身が高分子であるため短時間で溶解しないのが一般的であるが、すぐに溶解するものは前記したナノファイバーの連続性あるいは濾紙としての効果を阻害するため、望ましくない。
このようにして作製したナノファイバーと電荷発生物質の混合層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
本発明のデバイスとして感光体の場合には、電荷発生層の上に電荷輸送層を設けるが、この電荷輸送層も塗布液を用いて塗布することによって得られる。このような電荷輸送層塗布液も、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散して得ることができ、この塗布液(電荷輸送層塗布液)を電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑材等を添加することが可能であり有用である。これらは単独であるいは2種以上併用することができる。
この電荷輸送層塗布液も、前記した塗工液と同様に下層の高分子有機半導体のナノファイバー自身が高分子であるため、短時間で溶解はしないが簡単に溶解しにくいものを使用するのがよい。
ナノファイバー作成の前に電荷輸送層を設ける逆層の構成の場合はナノファイバー溶解の問題はない。
この電荷輸送物質として、ナノファイバーに使用した物質と共通化すれば、さらに好ましい。
電荷輸送層塗布液にも、結着樹脂を用いることもでき、このような結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂を挙げることができる。たとえば電荷輸送材/結着樹脂=3/7〜5/5(wt/wt)の比で、溶剤量は塗工方法により異なるがインクジェットであれば粘度が数mPaS〜数十mPaS以下が好ましい。
また、電荷輸送層の厚みは、使用するシステム(特に帯電電位等)によって下限値は異なるが、5μm以上、40μm以下とすることが好ましい。
本発明の感光体は、上記した電荷輸送層の上に、耐久性の向上を目的として、保護層を形成してもよい。
この保護層も図2(B)に示すのと同じ要領で、高分子半導体ナノファイバーのシート上に耐磨耗性粒子を分散した液を塗工する。これによりナノファイバーの連続相を維持したまま、ナノファイバーのろ紙としての作用を利用して、耐磨耗性粒子を均一に塗布することができる。
また、電荷輸送物質のナノファイバー構造を維持したまま、電荷発生物質との接触した構造を維持するためには、ナノファイバーをエレクトロスプレー方法により作製したあとに、電荷発生物質を蒸着して作製することもできる。
以上、エレクトロスプレー法(ESD法)のうち、ナノファイバーを形成するエレクトロスピニング方法について説明した。
このようなファイバーでなく微小液滴として付着するエレクトロスプレー法は、感光体の均一層作成・下層に影響を与えない塗工方法として有効である。
インクジェット方法では、浸漬塗工のような大量の液を必要としない利点はあるが、液滴の大きさはインクジェット法ではせいぜい数pl(10−12リットル)程度と大きいため、この液滴が基体に付着した後に、数十μmオーダーの大きさになってしまう。
感光体のうち、電荷発生層、中間層、電荷輸送層、オーバーコート層など電荷輸送機能を必要とする層の均一な形成には、ナノファイバーが生成しない場合も含めるいずれの場合においてもエレクトロスプレー方法が有効である。
特に電荷発生材塗布液の均一塗工には、エレクトロスプレー法は有効と期待される。
---ナノファイバーの作製
前記化合物(1−1)を特開2004−18831号公報に記載されている方法に従い合成した。
すなわち、100ml四つ口フラスコに、下記化11に示すジアルデヒド0.852g(2.70mmol)及びジホスホネート1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換した後にテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し室温で19時間撹拌した後、ベンジルホスホネート及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン15ml及びメタノール80mlを用いて再沈澱による精製を行ない、ポリマー1.07gを得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)、平均重合度nの測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により行ない、UV吸収及び示差屈折率を用い、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算の測定値をだした。
その結果、1μm以下の直径の化合物1−1のナノファイバーが作製された。
偏光顕微鏡で観測すると、クロスニコルで強く光が透過し、アナライザーの角度を変化させると、透過光の強度が変化することから、強く配向しているものと思われる。
図7は偏光顕微鏡によりナノファイバーの集合体の一部を撮影した写真である。図中、矢印は先端から他端までが250nmであることを示したものである。
これらのナノファイバーのSEM像(Scanning Electron Microscope)を図10に示す。
この図10では、図中の矢印は先端から他端までが1μmであり、これらから、およそ200nmの径のナノファイバーであることが判る。
アルミ基板をターゲットとしてESDによりアルミ基板上にナノファイバーのシートを作製し、電荷発生材としてのチタニルフタロシアニンのメチルエチルケトン溶液をスプレー塗布したところ、比較的均一に塗工可能であった。
前記化合物(1−1)において、その分子量がMn=8500であり、Mw=20000のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてESD法により吐出させた。微小の滴が飛翔するだけで、ナノファイバーの生成は観察されなかった。
前記化合物(1−1)の濃度が0.1wt%の吐出液を用いた以外は実施例1と同様にしてESD法により吐出させた。微小の液滴が飛翔するだけでナノファイバーの生成は観察されなかった。
----電荷輸送性ナノファイバーと光電変換材料の接触した層の作製
実施例1で用いた溶液を使用して、図12に示すように、アルミを蒸着したマイラーフィルム25上に、エレクトロスプレー法で化合物(1−1)のナノファイバ-を6cm×5.5cmの大きさになるように、付着させた。その際に、アルミ蒸着フィルム25と0.5mm径の白金電極21の間に、絶縁性のフィルム(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)をマスク24として配置し、その一部に穴をあけて、その穴の部分だけナノファイバ-がアルミ蒸着フィルム25に届くようにした。なお、白金電極21とマスク24との最短距離(L3)を15cmとし、マスク24とアルミ蒸着フィルム25との最短距離(L4)を15cmとした。このようにすることにより、電極21とアルミ蒸着フィルム25との間に電界が集中し、パターニングが可能となった。
蓋つきのガラス瓶に2mm径のジルコニアビーズを入れ、純水を20部、オキシチタニウムフタロシアニン顔料粉末を0.4部、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル CAS No.104376−75−2 商品名ノイゲン EA−177)を0.1部の割合で4時間ミリングして液を作製した。平均粒径をナノトラック粒度分布測定装置 UPA(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、およそ150nmであった。これを5μmセルロースフィルターでろ過して使用した。
すなわち、水性の光電荷発生剤液を直接アルミ上に塗工した場合、図13の写真のように、大きな円状の塗工ムラが発生し易かった。
次に、下記組成の電荷輸送液をブレード塗布した(ギャップ125μm)。指触により乾燥確認後120℃で10分間乾燥した。
テトラヒドロフラン(THF)を80部と、ポリカーボネートZ(帝人化成社製 TS−2050)10部を混合溶解した液32部に、化12の低分子電荷輸送物質(下記構造)3部を溶解させた。
ナノファイバーを設けない場合と、設けた場合の感光体特性を以下のようにして調べた。
エレクトロスピニング法によりナノファイバーの作成時に液の材料濃度が低い(濃度3%以下)と、図15(A)に示すように、一部がナノファイバーにならずに円滴として基体上に付着する。このようにナノファイバー状にならずに小滴の場合でも、インクジェットなどに比べるとESD法による塗工は小滴を作成しやすいため、感光体の均一塗工には有利である。また、下層を溶解し易い塗工液を用いてもエレクトロスプレー方法は乾燥が速いため、下層を乱すことはなかった。
ナノファイバーの形状がよりそのままの状態で保持されるために、実施例2の感光体の作成において、図12に示すように、電荷輸送層を別のアルミを蒸着したマイラ(アルミ蒸着マイラ)25上に形成し、この電荷輸送層をそこから剥がして、ナノファイバーと電荷発生材料の層の上からこれを熱融着させた。この熱融着の際に、軽く押圧して気泡を抜けるようにして、接着界面に気泡が残留しないようにした。
その結果、電荷輸送層塗工液がナノファイバーに与える影響を避けられ、ナノファイバー構造が完全に維持されたものが得られた。
アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上に実施例1と同様にして電荷輸送層を設けた。その電荷輸送層上に、エレクトロスプレー方法により化合物(1−1)のテトラヒドロフラン溶液(5〜10重量%。ノズル先端部のテトラヒドロフラン溶液は溶媒蒸発により、さらに高粘度状態になっている)を使用してナノファイバーを作製した(印加電圧20kV、ターゲットまでの距離15cm、マスク使用)。ナノファイバーを作製したその上に、実施例1で用いた水性電荷発生剤塗工液をブレードコートにより塗工後、指触により乾燥確認後120℃で15分間乾燥して光電荷発生層を形成した。これによりナノファイバー構造と光電荷発生剤が接触した層を上層に設け、下層に電荷輸送層構造を設けた逆層の構造の感光体が得られた。
本実施例4でも、電荷輸送層塗工液がナノファイバーに与える影響を少なくすることができ、ナノファイバー構造が維持された電荷発生層が作成できた。なお図16は、実施例4において電荷輸送層を塗布した上にナノファイバーを形成している図である。この図に示すように、アルミの対極上のアルミマイラ上に電荷輸送層を塗布した長方形のシートがある。
ナノファイバーを吐出するノズル電極は電荷輸送層部(基本的には絶縁体)が設けられる真中の真上にある。図16は真下方向にナノファイバーが形成されるが電荷輸送層の端の部分は、アルミ対極の方へ液流方向がずれるため、電荷輸送層の端にはナノファイバーが乗らないことを示す写真である。このような場合も中間に絶縁体フィルムでマスクを設けるとマスクの中にだけナノファイバーが吐出される。
また本発明のナノファイバーは電荷輸送機能が必要なデバイス、特に光電変換デバイスに有用に使用できる。
2 電荷発生材
3 耐磨耗性フィラー
11 電荷輸送層
12 電荷発生層
13 電極(導電性支持体)
14 下引き層
15 保護層
20 ガラス液ための先端
21 電極(吐出用電極)
22 キャピラリー
23 基体(アルミターゲット)
24 マスク(絶縁性フィルム(PETフィルム))
25 基体(アルミ蒸着PETフィルム)
Claims (6)
- エレクトロスプレー法により形成された電荷輸送機能を有する層が設けられ、
前記電荷輸送機能を有する層は、電荷輸送機能を有する有機半導体ナノファイバーを用いた層であり、
前記有機半導体ナノファイバーは電荷輸送機能を有する化合物を含有し、
前記電荷輸送機能を有する化合物が下記式(I)で表される2価の基を含む繰り返し単位を有することを特徴とするデバイス。
[ただし、上記式(I)中、R1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換のアルキル基またはアルキレン基であり、R2〜R3は置換もしくは無置換の単環式、非縮合多環式または縮合多環式の2価の芳香族炭化水素基を表し、同じ構造でも、異なった構造でもよく、またそれぞれが複素環であってもよい。] - 前記電荷輸送機能を有する化合物が下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
[上記式(1)中、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar2、Ar3はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換の単環式、非縮合多環式または縮合多環式の2価の芳香族炭化水素基を表し、Ar4は置換もしくは無置換のベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの中から選択される2価基を表す。] - 前記電荷輸送機能を有する化合物が下記(1−1)式で表されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
(ただし上記式(1−1)において、nは1以上の値である) - 前記デバイスは少なくとも光電荷発生材を有するデバイスであって、前記光電荷発生材が前記電荷輸送機能を有する有機半導体ナノファイバーを用いた層に接するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のデバイス。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のデバイスに用いられる有機半導体ナノファイバーを製造するための吐出液であって、重量平均分子量が5万以上である電荷輸送機能を有する化合物が有機溶媒に溶解又は分散されていることを特徴とする吐出液。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のデバイスの製造方法であって、
電荷輸送機能を有する有機半導体ナノファイバーのシートに電荷発生材を含有する含有液を塗布する工程を有し、前記含有液は、前記有機半導体ナノファイバーを実質的に溶解しないことを特徴とするデバイスの製造方法。
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