JP5210531B2 - 非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子及びその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池用の正極活物質であるリチウム含有複合酸化物粒子、及びその製造方法に関する。
近年、パソコン、携帯電話等の情報関連機器や通信機器の急速な発達が進むにつれて、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池等の非水電解質二次電池に対する要求が高まっている。非水電解質二次電池用の正極活物質には、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物が知られている。
なかでも、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)を正極活物質として用い、リチウム合金、グラファイト、カーボンファイバー等のカーボンを負極として用いたリチウム二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として特に広く使用されている。しかし、リチウムコバルト複合酸化物のコバルト源となる原料化合物が希少であり、また高価であるという問題がある。
一方、比較的安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)は高容量であるが、熱的安定性が低く、電池にしたときの安全性がリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)より低いという問題がある。また安価なマンガンを用いたスピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)は熱的安定性が高く、電池にしたときの安全性が高いが、容量が低いという問題がある。
そこで、コバルト、ニッケル又はマンガン元素を単独で使用したときの短所を補い、かつ長所を合わせ有するリチウムニッケルマンガン(Li−Ni−Mn)複合酸化物、リチウムニッケルコバルト(Li−Ni−Co)複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン(Li−Ni−Co−Mn)複合酸化物といった正極活物質が注目されている。しかし、これら2種類以上の遷移金属元素を含む正極活物質は、放電容量、充放電を繰り返すことによる放電容量の減少に関する充放電サイクル特性、充電した状態で長時間放置した後の放電容量の減少並びにガス発生に関する保存特性、充電後の加熱時の熱への安定性(本発明では単に、安全性ということがある)、及び電池作製時の集電体等への塗工状態に関する塗工性といった各特性を全て満足するものは得られていない。
これらの課題を解決するために、下記のように、種々の検討がなされている。
例えば、Li1.075Ni0.755Co0.171.90.1などの粒子表面にLaNiOの薄膜を形成させた正極活物質が提案されている(特許文献1参照)。
また、LiMn0.167Ni0.167Co0.667などの粒子表面にLaなどの3族元素の酸化物を存在させた正極活物質が提案されている(特許文献2参照)。
さらに固相法により合成した母材のLiMn0.4Ni0.4Co0.2又はLi1.1Mn0.31Ni0.38Co0.31をAl(OC含有水溶液で処理することで得られる、粒子表面にアルミニウム化合物をコーティングした正極活物質が提案されている。またLi1.05Mn0.3Ni0.7をAl(CHCOCHCOCHの水溶液で処理することで得られる、粒子表面にアルミニウム化合物をコーティングした正極活物質が提案されている(特許文献3参照)。
また、炭酸リチウム、二酸化マンガン、酸化ニッケル及び酸化コバルトを混合して焼成することでLiMn0.4Ni0.4Co0.2、Li1.1Mn0.3Ni0.6Co0.1又はLi1.1Mn0.25Ni0.45Co0.3のいずれかの組成を有するリチウム含有複合酸化物を合成する。次いで合成したリチウム含有複合酸化物にステアリン酸アルミニウムを添加し、ボールミルで混合及び解砕して、熱処理することにより得られる、粒子表面にアルミニウム化合物が修飾されたリチウム含有複合酸化物が提案されている(特許文献4参照)。
また特定の組成を有する正極活物質を正極として用いて、かつ非水電解質中にビニレンカーボネートを存在させることで、電池の部材を最適化したリチウム二次電池が提案されている(特許文献5参照)。
特開2001−266879号公報(請求項1、第5頁、第6頁) WO2005/008812号公報(請求項1、第23頁) 特開2005−310744号公報(請求項1、第9〜13頁) 特開2005−346956号公報(請求項1、第5〜7頁) 特開2005−190874号公報(請求項1、第11〜15頁)
上記の特許文献1又は2に記載の粒子表面にランタン原子をコーティングしたリチウム含有複合酸化物においては、遊離アルカリ量が若干減少するものの、その他の充放電サイクル特性などの特性が十分なものではなく、更なる改善が要求されている。
また上記の特許文献3又は4に記載の粒子表面にアルミニウム原子をコーティングしたリチウム含有複合酸化物粉末においては、充放電サイクル特性が若干向上するものの、その他の遊離アルカリ量などの特性が十分なものではなく、更なる改善が要求されるものであった。特許文献3又は4に記載の遊離アルカリ量が多いリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いる場合、電池使用時に電解液の分解反応が顕著に進行して、多量の気体が発生することにより、電池が大きく膨れあがる傾向がある。さらに正極スラリー調製時にスラリーがゲル化して、アルミニウム箔上に塗工できない場合がある。
一般的に、充放電を繰り返すと、粒子表面の活性点で、電解液の分解反応が進行して、発熱を伴いつつ、二酸化炭素などの気体及び水が生成して、ついで正極活物質の分解反応が起こると考えられている。その結果、放電容量が減少したり、電池が膨張又は破裂したりすると考えられる。また高い作動電圧で使用したり、高温下で使用したりすると、正極活物質表面のリチウム、コバルト、ニッケル及びマンガンなどの元素の電解液への溶出量の増加や活性点の増加により、電解液や正極活物質の分解反応が加速して、充放電サイクル特性などの電池特性がより悪化する。また遊離アルカリ量が多い正極活物質を使用した場合、リチウムが引き抜かれた不安定な充電状態で長期間保存したとき、上記したメカニズムと同様のメカニズムにて、電池内部で気体が発生して電池が膨れたり、破裂したりする。なお、本発明において、充放電に伴い発生する気体の量又は充電状態での長期間の保存に伴い発生する気体の量を、単にガス発生量ということがある。
また、リチウム二次電池における負極がリチウムの場合、充電電圧は一般的に4.3Vであるが、充電電圧を高くすることで、単位重量あたりの放電容量をさらに向上させることが望まれている。例えば、充電電圧が4.3Vである場合の正極活物質の利用率は50〜60%であるが、充電電圧が4.5Vである場合には、正極活物質の利用率を約70%に向上でき、単位重量あたりの放電容量を飛躍的に向上させられる。
しかし、充電電圧を高くすると、充放電サイクル特性、保存特性及び安全性が著しく低下する。またガス発生量が顕著に増加する傾向が見られる。なかでも充放電サイクル特性が特に悪化する傾向がある。すなわち、高い作動電圧においては、さらに優れた充放電サイクル特性、優れた保存特性及び高い安全性を有して、かつ遊離アルカリ量がさらに低減されたリチウム含有複合酸化物であることが必要である。なお、本発明において、遊離アルカリ量とは、正極活物質を水中に分散させた際に、水中に溶出する、活物質10gあたりのアルカリ量(mmol)をいう。この遊離アルカリ量は次のようにして測定できる。まず、正極活物質の粉末10gを水90gに加えて、得られる水溶液を30分間撹拌させて、正極活物質の粉末を分散させる。次に、該水溶液をろ過して、得られたろ液を中和滴定で定量を行うことにより、求めることができる。
なお特許文献5では、正極として特定の組成を有する正極活物質を用いて、負極としてカーボンを用いて、かつビニレンカーボネートを含有させた電解質を用いたリチウム二次電池が記載されており、高い作動電圧(4.3〜4.6V)においても使用できるリチウム二次電池の作製を試みている。しかし、このリチウム二次電池においても、ユーザーの要求を満足させるものではなかった。
また、上記特許文献1〜4で得られるリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いた電池においては、充電電圧4.5Vの高い作動電圧下にて、充放電サイクル特性、保存特性などの電池特性が顕著に悪化する傾向が見られる。
そこで、本発明の目的は、ガス発生量及び遊離アルカリ量が少なく、広い作動電圧及び高い放電容量を有して、かつ充放電サイクル特性、保存特性、安全性及び塗工性に優れた非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子、その製造方法、及び該リチウム含有複合酸化物粒子を正極活物質として含むリチウム二次電池等の非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を続けたところ、特定の組成を有するリチウム含有複合酸化物粒子の表面層に、ランタン原子及びA原子(Aは、Alを表す)を存在させることにより、リチウム含有複合酸化物粒子の遊離アルカリ量を著しく減少させるとともに、充放電サイクル特性を著しく向上させることができ、その結果、上記の課題を好適に解決できることを見出した。
本発明は上記の新規な知見に基づくものであり、以下の要旨を有する。
(1)一般式LiNiCoMnMe(但し、Meは、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn並びにアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。0.8≦p≦1.3、0≦x≦0.85、0.1≦y≦1.0、0≦z≦0.6、0≦w≦0.2)で表されるリチウム含有複合酸化物の粒子であって、該粒子の表面層にランタン原子及びA原子(但し、Aは、Alを表す)が含有されることを特徴とする非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子。
(2)粒子の全体に含有されるランタン原子の量が、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005〜5原子%であり、かつ正極活物質粒子全体に含有されるA原子及びMe原子の合計量が、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005〜25原子%である上記(1)に記載の粒子。
(3)粒子の表面層に含有されるランタン原子の存在割合が、粒子全体に含有されるランタン原子の存在割合に対して、5倍以上であり、かつ粒子の表面層に含有されるA原子及びMe原子の合計の存在割合が、粒子全体に含有されるA原子及びMeの合計の存在割合に対して、2倍以上である上記(1)又は(2)に記載の粒子。
(4)粒子の表面層にさらに炭素含有化合物が含有される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粒子。
)0.9≦p≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.1≦y≦0.6、0.2≦z≦0.5、0≦w≦0.1、0.7≦x+y+z≦1.0である上記(1)〜()のいずれかに記載の粒子。
)正極と負極と非水電解液を含むリチウム二次電池であって、上記正極に上記(1)〜()のいずれかに記載の非水電解質二次電池用表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子が含まれるリチウム二次電池。
)一般式LiNiCoMnMe(但し、Meは、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn並びにアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。0.8≦p≦1.3、0≦x≦0.85、0.1≦y≦1.0、0≦z≦0.6、0≦w≦0.2)で表されるリチウム含有複合酸化物の粒子に対して、ランタン源及びA源(但し、Aは、Alを表す)を含む溶液を含浸させて含浸粒子を得る工程1と、該工程1で得られた含浸粒子を酸素含有雰囲気中にて熱処理する工程2と、を含む非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
)工程2の熱処理が250〜680℃で行われる上記()に記載の製造方法。
)工程1で用いる、ランタン源及びA源を含む溶液に含まれるA原子の量が、含浸させるリチウム含有複合酸化物の粒子に対して、0.005〜5モル%である上記()又は()に記載の製造方法。
(10)ランタン源が酢酸ランタンである上記(7)〜(9)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
(11)アルミニウム源が乳酸アルミニウムである上記(7)〜(10)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
本発明によれば、遊離アルカリ量が少なく、広い作動電圧及び高い放電容量を有して、かつ優れた充放電サイクル特性、優れた保存特性、高い安全性及び優れた塗工性を有する非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子、その製造方法、及び該リチウム含有複合酸化物粒子を正極活物質として含むリチウム二次電池等の非水電解質二次電池が提供される。
本発明の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子により何故に上記の効果が得られるかのメカニズムについては、必ずしも明らかではないが次のように推定される。
リチウム含有複合酸化物粒子の表面層にランタン原子及びA原子が存在すると、リチウム含有複合酸化物質を構成するリチウム、コバルト、ニッケル、マンガンなどの各元素の存在状態が安定化し、このため、粒子表面から上記各元素が電解液中に溶出する現象を抑制でき、同時に正極活物質としてのリチウム含有複合酸化物粒子表面の活性点を減少させることができる。その結果、リチウム含有複合酸化物粒子の分解を抑制でき、充放電サイクル特性がさらに向上するものと考えられる。
さらに、正極活物質と電解液との接触面積が減少して、かつ、上記のように、各元素の存在状態が安定化するため、正極活物質の遊離アルカリ量をさらに減少させることができると考えられる。正極に遊離アルカリ量が少ないリチウム含有複合酸化物を用いることで、電解液や正極活物質の分解反応が抑制されるため、ガス発生量をさらに低減させることができる。その結果として、通常の電圧や室温での使用はもちろん、高い作動電圧又は高温での使用にも耐えることができ、さらに充電状態においても、長期間保存しても気体が発生せずに、電池の膨れや破裂も見られないと考えられる。
また、リチウム含有複合酸化物粒子を分散させたスラリーを集電体等に塗工し正極を作製する場合、遊離アルカリ量が多いリチウム含有複合酸化物粒子では、スラリー中の粒子が凝集して、塗工性が悪化して、均一に塗工できないことがあるが、遊離アルカリ量が少ない本発明の正極活物質を用いることで、より均一にスラリーを塗工することができるものと考えられる。
本発明は、母材となるリチウム含有複合酸化物の粒子(本発明では、母材又は母材粒子ともいう)の表面層に、ランタン原子及びA原子を含有するリチウム含有複合酸化物粒子(本発明では、かかる粒子を表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子という場合がある)である。母材となるリチウム含有複合酸化物は、一般式LiNiCoMnMe(但し、Meは、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn並びにアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。0.8≦p≦1.3、0≦x≦0.85、0.1≦y≦1.0、0≦z≦0.6、0≦w≦0.2)で表される。
なかでも、式中のp、x、y、z及びwは、それぞれ、0.9≦p≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.1≦y≦0.6、0.2≦z≦0.5、0≦w≦0.1が好ましく、さらに、0.95≦p≦1.1、0.2≦x≦0.5、0.2≦y≦0.5、0.2≦z≦0.4、0≦w≦0.05がより好ましい。またp、x、y、z及びwにおいて、p+x+y+z+w=2の関係にあると好ましい。またx、y及びzにおいて、0.7≦x+y+z≦1.0の関係にあると好ましい。p、x、y、z及びwが上記した範囲にある場合、放電容量、充放電サイクル特性、安全性などの電池特性を電池の使用目的に応じて、調節することができるために好ましい。
また、Me原子を添加することにより、さらに電池特性を向上させることができる。なおMe元素にアルカリ土類金属又はアルミニウムが含まれる場合、wは0<z≦0.1の範囲にあることが好ましい。リチウム含有複合酸化物の粒子内部にアルミニウムなどの元素が過剰に存在すると、放電容量が低下する場合がある。Meは上記した元素を表すが、好ましくは、Al、Mg、Zr、Ti、Mo、Ca等の2〜4価の元素が選ばれる。なかでもMeは、容量発現性、安全性、充放電サイクル特性の見地より、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Zn、Al、Sn及びMgからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、さらにはTi、Zr、Al及びMgからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。かかる場合の具体的な母材粒子であるリチウム含有複合酸化物の例は、LiCoO、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.6Co0.1Mn0.25Al0.05、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.2、LiNi0.4Mn0.4Co0.2又はLi1.05Ni0.57Co0.095Mn0.285等が挙げられる。これらのリチウム含有複合酸化物としては市販のものを用いることもできる。
本発明のリチウム含有複合酸化物粒子は、その表面層に、ランタン原子及びA原子が含有される。A元素は、Alである。表面層に上記した元素が含まれると、遊離アルカリ量のさらなる低減、及びサイクル充放電特性のさらなる向上の効果が見られる。
また、粒子の表面層に含有されるランタン原子及びA原子は、複合化合物の状態で存在するのが好ましい。ランタン原子及びA原子の複合化合物が含有されると、遊離アルカリ量をさらに低減でき、また充放電サイクル特性をさらに向上できる傾向があるが、これは、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンなどの元素の、母材からの溶出を、より顕著に抑制できるためと推定される。
本発明のリチウム含有複合酸化物粒子の表面層とは、粒子表面からX線光電子分光分析(本発明中では、XPS又はESCAということがある)にて元素分析ができる範囲をいう。より具体的には、粒子表面から5nmの極表面に相当する。本発明において、表面層のランタン原子及びA原子の存在の確認には、XPS分析を用いた。
本発明において、XPS分析の際に使用したXPS分析装置は、アルバック・ファイ社製ESCA5500を用いた。なお、XPS分析において、各元素を分析するにあたり、高感度で、かつできるだけ他のピークと重ならないピークを用いることが好ましい。具体的には、マンガンの分析には2p軌道由来のピーク、コバルトの分析には2p軌道由来のピーク、ニッケルの分析には3p軌道由来のピークを用いて分析をすることが好ましい。さらにランタンの分析には3d5軌道由来のピーク、アルミニウムの分析には2p軌道由来のピーク、チタニウムの分析には2p軌道由来のピーク、ジルコニウムの分析には3d軌道由来のピークを用いて、分析することが好ましい。X線源にはAlKα線(モノクロタイプ)を用いた。
本発明の表面修飾リチウム含有複合酸化物の粒子全体に含有されるランタン原子の量は、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005原子%以上が好ましく、なかでも0.01原子%以上がより好ましく、0.05原子%以上がさらに好ましい。また、上記ランタン原子の量は5原子%以下が好ましく、なかでも3原子%以下がより好ましく、1原子%以下がさらに好ましい。なお、本発明において、このランタン原子の量をQLaと表すことがある。また、本発明の表面修飾リチウム含有複合酸化物の粒子全体に含有されるA原子及びMe原子の量は、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005原子%以上が好ましく、なかでも0.01原子%以上がより好ましく、0.05原子%以上がさらに好ましい。また、上記A原子及びMe原子の量は、25原子%以下が好ましく、なかでも13原子%以下がより好ましく、11原子%以下がさらに好ましい。本発明において、このA原子及びMe原子の量をQA+Meと表すことがある。
また、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の粒子の表面層に含有されるランタン原子の存在割合が、粒子全体に含有されるランタン原子の存在割合に対して、5倍以上であると好ましく、さらには10倍以上がより好ましく、20倍以上が特に好ましい。なお、上限は、特に限定されないが、20000倍以下が好ましい。上記の粒子表面の表面層に含有されるランタン原子の存在割合は、次のようにして求めることができる。まずXPS分析を用いて、粒子表面の表面層における、La、Ni、Co、Mn、Me及びAに対するランタン原子の存在割合を原子%で求める。なお本発明において、この原子%の値をRLaと表すことがある。次いで、求めたRLaをQLaで割ることにより、表面層に含有されるランタン原子の存在割合SLa(=RLa/QLa)を求めることができる。
さらに、粒子表面の表面層に含有されるA原子及びMe原子の存在割合は、粒子全体に含有されるA及びMeの存在割合に対して、2倍以上が好ましく、さらには5倍以上がより好ましく、10倍以上が特に好ましい。なお上限は、特に限定されないが、20000倍以下が好ましい。表面層に含有されるA原子及びMe原子の存在割合は、次のようにして求めることができる。まずXPS分析を用いて、粒子表面の表面層における、La、Ni、Co、Mn、Me及びAに対するA原子及びMe原子の存在割合を原子%で求める。本発明において、この原子%の値をRA+Meと表すことがある。次いで、求めたRA+MeをQA+Meで割ることにより、表面層に含有されるA原子及びMe原子の存在割合SA+Me(=RA+Me/QA+Me)を求めることができる。
本発明のリチウム含有複合酸化物の粒子の表面層に、さらに、炭素含有化合物が含まれるとさらに好ましい。表面層の炭素含有化合物に関しては、XPS分析装置を用いることで、存在の有無又は表面の存在量を分析することができる。なお、XPS分析を用い、炭素の分析には、1s軌道由来のピークを用いて、計算することが好ましい。炭素含有化合物としては、少なくとも炭素に加えて、さらにランタン原子又はA原子を含む複合化合物、あるいは、さらに炭素と酸素の二重結合を有する化合物が好ましく、さらには炭素と酸素の二重結合がカルボニル基である化合物がより好ましい。炭素含有化合物が上記構造を有する場合、電解液の分解反応の抑制効果がより大きくなり、その結果、遊離アルカリ量が減少して、電池特性がさらに向上する傾向が見られる。
なお、上記したリチウム含有複合酸化物中の炭素含有化合物の存在は、示差熱熱重量同時測定(本発明において、併せてTG−DTA−DTGということがある)により脱炭酸のピークを確認したり、又は赤外吸収(IR)スペクトルを測定したりすることにより、炭素と酸素の二重結合に由来する吸収ピークを検知することで確認することができる。
本発明の表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子の製造法は、特に限定されないが、LiNi1/3Co1/3Mn1/3などのリチウム含有複合酸化物の母材粒子に対して、ランタン源及びA源を含む溶液を含浸させ、必要に応じて混合し、乾燥及び/又は熱処理することにより製造するのが好ましい。なお、この溶液が特に水溶液である場合、排水などの観点から環境への負荷が小さくなるので好ましい。
なお、ランタン源とA源は必ずしも一緒の溶液に溶解させて、含浸させる必要は無い。例えば、リチウム含有複合酸化物母材粒子に対して、まずランタン源を含む溶液を含浸させて、必要に応じて混合し、次いで、乾燥及び/又は熱処理して、ランタン含浸粒子を得る。次に該ランタン含浸粒子に対して、A源を含む溶液を含浸させて、さらに混合・乾燥して、熱処理するというプロセスで製造してもよい。また、逆に、まずA源を含む溶液に含浸させて、次にランタン源を含む溶液に含浸させるプロセスを経て製造することもできる。ただし、ランタン源及びA源の両方を含む溶液を用いて、一度に含浸させると、プロセスが短くなるため、一度に含浸させる方がコスト的にも好ましい。なお、本発明において、このランタン源又はA源のいずれかを含有する溶液を含浸液ということがある。
ランタン源及びA源は特に限定されない。しかし、溶解性の観点から、次の如き化合物を原料とする場合、溶液への溶解性が向上して、本発明の正極活物質を再現性良く製造できるので好ましい。例えば、ランタン源又はA源としては、ランタン又はAを含む酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の無機塩が例示される。また、他に、ランタン又はAを含有する酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機塩、有機金属キレート錯体、金属アルコキシドをキレート等で安定化した化合物でもよい。
より具体的には、ランタン源としては、酢酸ランタンが好ましい。アルミニウム源としては、クエン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、マロン酸アルミニウム、マレイン酸アルミニウム、リンゴ酸アルミニウム、ブドウ酸アルミニウム、乳酸アルミニウム又はグリオキシル酸アルミニウムが好ましく、特に乳酸アルミニウムが好ましい
また、含浸液にクエン酸、酒石酸、蓚酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、葡萄酸、乳酸又はグリオキシル酸をさらに加えることができる。この場合、含浸液中のランタン又はAをさらに均一に溶解させて、ランタン又はAが析出する虞を減らすことができるため、好ましい。なかでもクエン酸、マレイン酸、乳酸又は酒石酸を加えた場合がより好ましい。なお、シュウ酸塩やクエン酸はpHが低いので、含浸させるリチウム含有複合酸化物が溶解することがあるので、さらにアンモニアを添加して、pHを2〜12に調節することが好ましい。
含浸液に含まれるA原子の量は、母材であるリチウム含有複合酸化物粒子に対して、0.005〜5モル%であると好ましい。なかでも0.01〜3モル%がより好ましく、0.05〜1モル%がさらに好ましい。
含浸液中のランタン原子又はA原子の濃度は、後の工程で乾燥により溶媒を除去する必要がある点から高濃度の方が好ましい。しかし、含浸液のランタン原子又はA原子の濃度が、高濃度過ぎると粘度が高くなり、上記の母材との接触処理もしくは溶液の取り扱いが煩雑になる傾向がある。このため、含浸液中のランタン原子又はA原子の濃度は、それぞれ0.01〜20重量%が好ましく、なかでも0.05〜10重量%がさらに好ましい。
母材であるリチウム含有複合酸化物粒子に対して含浸液を含浸させる工程において、含浸液の量は、使用する母材に対して、0.1〜80重量%の範囲内に調整することが好ましく、さらに1〜75重量%に調整するとより好ましく、なかでも、1〜40重量%に調製すると特に好ましい。使用する母材に対する含浸液の量が、上記の範囲内にあると、本発明の正極活物質を工業的に大量に製造する際に、ロット間で正極活物質の性能がばらつく問題が解消され、正極活物質を安定して量産できる傾向があるので好ましい。
母材のリチウム含有複合酸化物粒子に対して含浸液を含浸させる手段としては、特に問わないが、具体的には含浸液を母材の粒子粉末にスプレー噴霧して含浸させる手段、又は、含浸液中に母材の粒子粉末を投入し、攪拌して含浸させる手段などが使用できる。撹拌に用いる具体的な攪拌機には、2軸スクリューニーダー、アキシアルミキサー、パドルミキサー、タービュライザー、ドラムミキサー、ソリッドエアー、レーディゲミキサーなどが挙げられる。
母材のリチウム含有複合酸化物粒子に含浸液を含浸させて、さらに混合・乾燥する工程において、乾燥は好ましくは50〜200℃、特に好ましくは80〜140℃の温度にて、また好ましくは0.1〜10時間の範囲で行われる。乾燥後の含浸粒子中に残存する溶媒は後の焼成工程で除去されるために、この段階で必ずしも完全に除去する必要はないが、焼成工程で溶媒を気化させるのに多量のエネルギーが必要になるので、できる限り除去しておくのが好ましい。
また、上記の表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得る工程において、含浸、混合、乾燥、熱処理は順次別々に行っても、またレーディゲミキサーなどを用いて全て同時に行ってもよい。上記熱処理は、酸素含有雰囲気において、好ましくは250〜680℃、通常0.1〜24時間、含浸粒子を熱処理することによって行うのが好ましい。上記熱処理の温度は、より好ましくは300〜650℃、さらに好ましくは300〜600℃、特に好ましくは350〜450℃が好適である。上記の温度範囲にて、熱処理を行うことによって、表面にランタン及びAを高濃度で存在せしめ、遊離アルカリ量がさらに少なく、充放電サイクル特性がさらに向上した、表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得ることができる。
上記のようにして得られる本発明の表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子は、その平均粒径が好ましくは5〜25μm、特に好ましくは8〜20μmである。本発明において、平均粒径とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径である、体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒度分布は、レーザー散乱粒度分布測定装置で測定した頻度分布及び累積体積分布曲線で求められる。粒径の測定は、粉末を水媒体中に超音波処理などで充分に分散させて粒度分布を測定する(例えば、日機装社製マイクロトラックHRA(X−100)などを用いる)ことで行なわれる。
本発明の表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を正極活物質に用いて、リチウム二次電池用の正極を得る方法は、常法に従って実施できる。例えば、本発明の正極活物質の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック等のカーボン系導電材と、結合材とを混合することにより正極合剤が形成される。上記結合材には、好ましくはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。
上記の正極合剤を、N−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させたスラリーをアルミニウム箔等の正極集電体に塗工・乾燥及びプレス圧延せしめて正極活物質層を正極集電体上に形成する。
本発明の正極活物質を正極に使用するリチウム二次電池において、電池の電解質溶液又はポリマー電解質に含まれる電解質としては、ClO 、CFSO 、BF 、PF 、AsF 、SbF 、CFCO 、(CFSO等をアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上を使用することが好ましい。電池の電解質溶液又はポリマー電解質には、上記のリチウム塩からなる電解質を溶媒又は溶媒含有ポリマーに0.2〜2.0mol/Lの濃度で含まれているのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下し、電解質の電気伝導度が低下する。より好ましくは0.5〜1.5mol/Lが選定される。セパレータには多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンフィルムが好ましい。
また、電解質溶液の溶媒としては炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)等が例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等が例示される。
上記炭酸エステルは単独でも2種以上を混合して使用してもよい。また、他の溶媒と混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、充放電サイクル特性、充放電効率が改良できる場合がある。
また、これらの有機溶媒にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばアトケム社製カイナー)、フッ化ビニリデン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体を添加し、下記の溶質を加えることによりゲルポリマー電解質としてもよい。
本発明の正極活物質を正極に使用するリチウム電池の負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料である。負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物、又は周期表14、若しくは15族の金属を主体とした酸化物等が挙げられる。
炭素材料としては、様々な熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔等が用いられる。
本発明における正極活物質を使用するリチウム二次電池の形状には、特に制約はない。シート状(いわゆるフイルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形等が用途に応じて選択される。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
[例1](実施例)
硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンを溶解させた硫酸塩水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、並びに水酸化ナトリウム水溶液を、反応槽内のスラリーのpHが11.0、温度が50℃になるように攪拌しつつ、それぞれ連続的に反応槽に供給した。オーバーフロー方式で反応系内の液量を調節し、オーバーフローした共沈スラリーをろ過、水洗し、次いで、80℃で乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合オキシ水酸化物粉末を得た。
得られた複合オキシ水酸化物粉末に炭酸リチウム粉末を所定量混合し、酸素含有雰囲気中1000℃で16時間焼成した後、粉砕することにより、Li1.02Ni0.32Co0.33Mn0.33の組成を有するリチウム含有複合酸化物の母材粉末を得た。このリチウム含有複合酸化物を母材とした。得られたリチウム含有複合酸化物に関して、CuKα線を使用して、粉末X線回折スペクトルを測定したところ、菱面体系(R−3m)の類似構造であることがわかった。なお測定には理学電機社製RINT 2100型を用いた。また走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、粉末の粒子表面を観察したところ、一次粒子が多数凝集して二次粒子を形成したものであり、かつその形状がおおむね球状もしくは楕円状であることがわかった。
次いで、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン0.36gと、アルミニウム含量が4.5重量%の塩基性乳酸アルミニウム水溶液0.62gに、水29.0gを加えて、ランタンとアルミニウムを含有する水溶液を調製した。この水溶液を上記母材粉末に作用させる含浸液とした。具体的には、上記含浸液に上記母材粉末を浸漬した後、ゆっくり混合し、さらに乾燥して、ランタンとアルミニウムを含む含浸粒子を得た。次いで、酸素含有雰囲気下、400℃にて12時間、含浸粒子を加熱処理して、ランタンとアルミニウムを含有する表面層を有する、平均粒径が10μmの表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、粒子全体のLa、Ni、Co、Mn及びAとしてのAlの合計量に対する、粒子全体のランタンの量を表すQLaを測定したところ、0.1原子%であった。また粒子全体のLa、Ni、Co、Mn及びAとしてのAlの合計量に対する、粒子全体のA及びMeとしてのAlの量を表すQA+Meを測定したところ、0.1原子%であった。なお、QLa及びQA+Meは、蛍光X線分析により求めた。
さらにXPS分析により、得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子の表面層を分析したところ、表面層に存在するランタンのRLaは15原子%であり、表面層に存在するアルミニウムのRA+Meは36原子%であった。また遊離アルカリ量は0.08mmolであった。
上記の表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン粉末とを90/5/5の重量比で混合し、N−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製し、厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面塗工した。これを乾燥し、ロールプレス圧延を3回行うことによりリチウム電池用の正極体シートを作製した。
次に、上記の正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF/EC+DEC(1:1)溶液(LiPFを溶質とするECとDECとの重量比(1:1)の混合溶液を意味する)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
上記1個の電池については、25℃にて正極活物質1gにつき180mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき75mAの負荷電流にて2.5Vまで放電する充放電サイクル試験を50回行った。その結果、25℃、4.3〜2.5Vにおける50回充放電サイクル後の容量維持率(単に、4.3〜2.5Vの容量維持率ということがある)は97%であった。さらにもう一つの電池については、充電電圧を4.3Vから4.5Vに変更して充放電サイクル試験を50回にしたこと以外は、同様の操作を行った結果、4.5〜2.5Vにおける正極の50回充放電サイクル後の容量維持率(単に、4.5〜2.5Vの容量維持率ということがある)は97%であった。
[例2](比較例)
含浸液として、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン0.36gと、水29.6gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、ランタンのみを含有する表面層を有する表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例3](比較例)
含浸液として、アルミニウム含量が4.5重量%の塩基性乳酸アルミニウム水溶液0.62gと、水29.4gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、アルミニウムのみを含有する表面層を有する表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例4](実施例)
含浸液として、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン0.18gと、アルミニウム含量が4.5重量%の塩基性乳酸アルミニウム水溶液0.31gと、水29.5gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、ランタンとアルミニウムを含有する表面層を有する、表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例5](実施例)
含浸液として、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン1.78gと、アルミニウム含量が4.5重量%の塩基性乳酸アルミニウム水溶液3.11gと、水25.1gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、ランタンとアルミニウムを含有する表面層を有する、表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例6](比較例
含浸液として、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン0.36gと、ジルコニウム含量が14.5重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液0.66gと、水29.0gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、ランタンとジルコニウムを含有する表面層を有する、表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例7](比較例)
含浸液として、ジルコニウム含量が14.5重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液0.66gと、水29.3gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例6と同様の操作を行い、ジルコニウムのみを含有する表面層を有する表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例8](比較例
含浸液として、ランタン含量が40.5重量%の酢酸ランタン0.36gと、チタン含量が8.2重量%の乳酸チタン水溶液0.61gと、水29.0gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例1と同様の操作を行い、ランタンとチタンを含有する表面層を有する、表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例9](比較例)
含浸液として、チタン含量が8.2重量%の乳酸チタン水溶液0.61gと、水29.4gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例8と同様の操作を行い、チタンのみを含有する表面層を有する表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例10](比較例
硫酸コバルトと硫酸ジルコニウムを含有する硫酸塩水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液とを、反応槽内のスラリーのpHが11.0になるように滴下し、得られた沈殿をろ過、水洗し、乾燥することにより、コバルトジルコニウム複合水酸化物粉末を得た。得られた粉末に炭酸リチウムを混合し、酸素含有雰囲気下で1000℃で14時間焼成した後、粉砕することにより、LiCo0.999Zr0.001の組成を有するリチウム含有複合酸化物母材粉末を得た。得られたリチウム含有複合酸化物をCuKα線を使用した粉末X線回折スペクトルを測定したところ、菱面体系(R−3m)の類似構造であることがわかった。
母材粉末として、上記のLiCo0.999Zr0.001の組成を有するリチウム含有複合酸化物を用いたこと以外は、例6と同様の操作を行い、ランタンとジルコニウムを含有する表面層を有する平均粒径が12μmの表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
[例11](比較例)
含浸液として、ジルコニウム含量が14.5重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液0.66gと、水29.3gとを混合した溶液を用いたこと以外は、例10と同様の操作を行い、ジルコニウムのみを含有する表面層を有する表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子を得た。
得られた表面修飾リチウム含有複合酸化物粒子について、例1と同様の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005210531
Figure 0005210531
本発明によれば、遊離アルカリ量が少なく、高い放電容量、優れた充放電サイクル特性、優れた保存特性、高い安全性及び優れた塗工性を有する非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子、その製造方法、及び該リチウム含有複合酸化物粒子を含むリチウム二次電池等の非水電解質二次電池が提供される。

Claims (11)

  1. 一般式LiNiCoMnMe(但し、Meは、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn並びにアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。0.8≦p≦1.3、0≦x≦0.85、0.1≦y≦1.0、0≦z≦0.6、0≦w≦0.2)で表されるリチウム含有複合酸化物の粒子であって、該粒子の表面層にランタン原子及びA原子(但し、Aは、Alを表す)が含有されることを特徴とする非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子。
  2. 粒子の全体に含有されるランタン原子の量が、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005〜5原子%であり、かつ正極活物質粒子全体に含有されるA原子及びMe原子の合計量が、La、Ni、Co、Mn、Me及びAの合計量に対して、0.005〜25原子%である請求項1に記載の非水電解質二次電池リチウム含有複合酸化物粒子。
  3. 粒子の表面層に含有されるランタン原子の存在割合が、粒子全体に含有されるランタン原子の存在割合に対して、5倍以上であり、かつ粒子の表面層に含有されるA原子及びMe原子の合計の存在割合が、粒子全体に含有されるA原子及びMe原子の合計の存在割合に対して、2倍以上である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子。
  4. 粒子の表面層に、炭素含有化合物がさらに含有される請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池リチウム含有複合酸化物粒子。
  5. 0.9≦p≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.1≦y≦0.6、0.2≦z≦0.5、0≦w≦0.1、0.7≦x+y+z≦1.0である請求項1〜のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子。
  6. 正極と負極と非水電解液を含むリチウム二次電池であって、上記正極に請求項1〜のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子が含まれるリチウム二次電池。
  7. 一般式LiNiCoMnMe(但し、Meは、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn並びにアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。0.8≦p≦1.3、0≦x≦0.85、0.1≦y≦1.0、0≦z≦0.6、0≦w≦0.2)で表されるリチウム含有複合酸化物の粒子に対して、ランタン源及びA源(但し、Aは、Alを表す)を含む溶液を含浸させ、さらに混合・乾燥して含浸粒子を得る工程1と、該工程1で得られた含浸粒子を酸素含有雰囲気中にて熱処理する工程2と、を含む非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
  8. 工程2の熱処理が250〜680℃で行われる請求項に記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
  9. 工程1における、ランタン源及びA源を含む溶液に含まれるA原子の量が、含浸させるリチウム含有複合酸化物の粒子に対して、0.005〜5モル%である請求項又はに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
  10. ランタン源が酢酸ランタンである請求項7〜9のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
  11. アルミニウム源が乳酸アルミニウムである請求項7〜10のいずれかに記載の非水電解質二次電池用リチウム含有複合酸化物粒子の製造方法。
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