JP5210706B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体製造工程においてウエハなどの試料に微細加工を施すプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法にかかり、特に、半導体ウエハを保持固定する電極部の温度制御装置及び温度制御方法に関する。
半導体デバイスの微細化に伴い、試料のエッチング処理に求められる加工精度はますます厳しくなっている。プラズマ処理装置にてウエハ表面の微細パターンに高精度な加工を施すためには、エッチング中のウエハ表面の温度管理が重要である。しかし、ウエハの大面積化やエッチングレートの向上の要求から、プラズマ処理装置に印加される高周波電力は増加傾向にあり、特に絶縁膜のエッチングにおいてはキロワットオーダの大電力が印加され始めている。大電力の印加により、ウエハ表面へのイオンの衝撃エネルギが増加し、エッチング中におけるウエハの過度な温度上昇が問題となっている。また、形状精度の更なる向上の要求から、プロセス中においてウエハの温度を高速かつ精密に制御できる手段が求められている。
プラズマ処理装置内においてウエハの表面温度を制御するためには、ウエハの裏面と熱伝達媒体を介して接する静電吸着電極(以下、電極と記す)の表面温度を制御すればよい。従来の電極では内部に冷媒の流路を形成し、流路内に液体冷媒を流すことにより電極表面の温度を制御していた。液体冷媒は冷媒供給装置内の冷却装置又は加熱装置により目標温度に調節された後に電極流路内に供給されている。このような冷媒供給装置では液体冷媒を一度タンクに溜めて温度調節後に送り出す構造であり、また液体冷媒自体の熱容量が大きいため、ウエハの表面温度を一定に保つ際には有効である。しかし、温度レスポンスが悪く、高速温度制御が困難であり、また熱交換効率が低い。そのため、近年の大入熱化に伴い装置が大型化し、またエッチングの進行に応じてウエハ表面の温度を最適にコント
ロールすることが困難であった。
このようなことから、冷媒循環系が冷媒を高圧化する圧縮機と、高圧化された冷媒を凝縮する凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張弁を電極に設置し、電極の冷媒流路内にて冷媒を蒸発させて冷却を行う直接膨張式の冷媒供給装置(以下直膨式冷凍サイクル)を採用し、電極の面内温度均一性を高めた装置が、例えば特許文献1や特許文献2により提案されている。直膨式冷凍サイクルでは、冷媒の蒸発潜熱を利用するため冷却効率が高く、また冷媒の蒸発温度が圧力によって高速に制御可能である。上記より、電極への冷媒供給装置として直膨式を採用することによって、大入熱エッチング処理時における半導体ウエハの温度を、高効率かつ高速に制御することができる。
特開2005−089864号公報 US2007/0081295A1 特開2008−34408号公報
特開2005−089864号公報 US2007/0081295A1 特開2008−344084号公報
特許文献1や2で提案されている従来の直膨式冷凍サイクルは、冷媒が液体から気体に蒸発する際の潜熱を利用して冷却を行い、冷媒の蒸発温度は圧力によって制御可能である。電極の冷媒流路内において、冷媒の圧力が一定であれば蒸発温度も一定である。しかし、冷媒は流路内で熱を吸収して蒸発しながら流れているため、相変化に伴い熱伝達率が変化する。つまり、電極の面内温度均一性を考えて冷媒流路内において冷媒圧力を一定に保った場合でも、冷媒流路内で熱伝達率が不均一となり、電極の表面温度、ひいてはウエハの温度を面内均一に制御することは難しい。更に、実際には冷媒圧力も冷媒の圧力損失によって流路内で変化する。流路内において発生する単位長さ当りの圧力損失(以下、圧力損失)も、冷媒の相変化と共に変化する。これにより、直膨式冷凍サイクルを電極の冷却機構として採用する際には、面内の温度分布均一制御が技術的な課題となっている。
特許文献1では、このような相変化に伴う熱伝達率の変化について、配慮はされていない。特許文献2には、電極の冷媒排出口とコンプレッサーとの間にアキュームレータを配置すると共に、冷媒供給口及び冷媒排出口にバイパスループを接続し、電極の面内の温度分布を均一にする技術が開示されている。特許文献2では、膨張弁の開度制御や膨張弁に対するバイパス流量比を制御することで、電極の冷媒通路内を気液混合状態に維持し、面内の温度分布の均一を図っている、一例として、電極の冷媒供給口におけるliquid to vapor を40〜60%、冷媒排出口におけるliquid to vapor を10%に制御している。しかし、特許文献2でも、電極の冷媒通路内における相変化に伴う熱伝達率の変化についての配慮はされていない。
また、特許文献3でも、相変化に伴う熱伝達率の変化について、配慮はなされていない。特許文献3で提案された試料台内の冷媒流路は、冷媒供給空間と冷媒蒸発空間をつなぐ流路が絞り構造となっており、絞り後の圧力が低下することから、冷媒蒸発空間の圧力設定範囲が低圧に限られ、被加工試料の温度設定範囲が狭くなるという課題がある。
我々発明者は、上記課題を解決するための手段として、先に、電極内の冷媒流路における冷媒の熱伝達率が面内で均一になるように、冷媒の乾き度と熱伝達率の関係を与える特性に基づいて、冷媒流路の入口から出口までの間における冷媒の乾き度に応じて、流路断面積を変更する方法を提案した(特願2007−016881、2007年1月26日出願、以下、先願発明)。すなわち、先願発明によれば、流路断面積が一定の一般的な特性において冷媒の熱伝達率の大きい所では、流路断面積を大きくして冷媒の流速を低下させることで冷媒の熱伝達率を下げる。逆に、冷媒の熱伝達率が小さい所では、流路断面積を小さくして冷媒の流速を増大させることで冷媒の熱伝達率を上げる。このようにして、電極内冷媒流路の入口から出口において熱伝達率の値をフラットなものにできる。先願発明では、具体例として、冷媒流路は冷媒入口から冷媒出口へ順次縦列に接続された少なくとも3つの流路領域を有し、少なくとも3つの流路領域の中間部の流路領域の断面積が他の流路領域の断面積よりも大きくする方法が示されている。
先願発明によれば、電極内冷媒流路の入口から出口において熱伝達率の値をフラットなものにできるので、特許文献1乃至3の課題がかなり解消される。
その後の我々の研究によれば、プラズマ処理装置において被加工試料への入熱と冷凍サイクルの能力がほぼ同等であり、冷媒流路内で冷媒をドライアウト領域まで蒸発させることができる場合には、先願発明の構成及び温度制御方法がかなり有効であることが分かった。一方、プラズマからの入熱量の大きいプラズマ処理装置の場合には、先願発明の構成及び温度制御方法では、不十分な場合もあることが分かった。すなわち、プラズマからの入熱量の大きいプラズマ処理装置では、要求される冷凍サイクルの能力も大きくなる。能力の大きい冷凍サイクルでは、冷凍サイクル内を循環する冷媒の流量も増加するため、このような場合、圧力損失の特性についても考慮する必要があり、かかる場合、冷媒流路の出口付近において冷媒のドライアウトに対応させて断面積を縮小させてしまうと、断面積の縮小領域において圧力損失が増大し、冷媒の蒸発温度自体が変化してしまう可能性があった。
このため、直膨式冷凍サイクルを用いて電極上のウエハの温度を高効率、高速かつ面内均一に制御するためには、先願発明を更に改良した電極構造の検討が必要となった。
本発明の目的は、被加工試料の面内温度を高冷却効率、かつ面内均一に制御することができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、電極の面内における冷媒の熱伝達率の変化および圧力損失を抑制し、被加工試料の面内の温度を高効率、高速かつ均一に制御可能なプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のプラズマ処理装置は、真空処理室内に静電吸着電極を有する試料台が設置され、前記真空処理室内に導入された処理ガスをプラズマ化し、該プラズマにて前記静電吸着電極に載置された被加工試料の表面処理を行うプラズマ処理装置において、前記試料台の静電吸着電極の下方に設けられた冷媒流路を第一の蒸発器として、前記真空処理室の外に配置された圧縮機、凝縮器、膨張弁を備える冷凍サイクルが構成されており、前記冷媒流路は、前記試料台に設けられた供給口及び排出口を備えており、該冷媒流路の流路断面積は、前記供給口から前記排出口に向かって順次増加するように構成されており、前記冷凍サイクルは、前記排出口と前記圧縮機との間でかつ前記真空処理室の外に配置され第二の蒸発器として機能する冷媒蒸発器と、前記冷媒流路に供給、排出する冷媒を制御する制御手段とを備えており、該制御手段は、前記被加工試料の入熱に対して前記第一の蒸発器でドライアウトを発生させないように前記冷媒の流量を制御し、前記冷媒蒸発器は、前記冷媒流路内で蒸発しなかった冷媒を気化させる機能を有していることを特徴とする。
本発明によれば、冷媒の相変化に伴う熱伝達率および圧力損失の変化に応じて、電極内の冷媒流路の断面積を変化させることで、流路内での熱伝達率の不均一および圧力損失を低減し、電極面内の温度を均一に保つことが可能となる。具体的には、冷媒流路内でドライアウトが発生しないように冷媒流量が制御されている状態において、冷媒流路の断面積が供給口から排出口に向かって順次増加する構造とすることで、冷媒の熱伝達率の変化や圧力損失に起因する冷媒能力の流路内不均一を低減し、電極面内の温度を均一に保つことが可能となる。
本発明を実施するための最良の形態として、プラズマ処理装置に適用した例を以下に示す。なお、本発明で提案するプラズマ処理装置における温調ユニットは、以下に述べる実施例のみに限定されるものではない。アッシング装置、スパッタ装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置などの、プラズマを用いた真空処理装置であって、高速かつ面内均一なウエハの温度制御を必要とする装置にも、本発明は適用可能である。
本発明の第一の実施例になるプラズマ処理装置を図1乃至図4で説明する。
図1は、本発明の一実施例になるプラズマ処理装置の全体的なシステム構成を示す模式図である。プラズマ処理装置は、真空容器内に配置された処理室100を有し、この処理室100の内部には静電吸着電極を備えた試料台1が配置されている。また、処理室100にはその内部を排気して減圧するための真空ポンプ等の真空排気装置20が接続されている。処理室100の上部には電極プレート15が設けられており、これにアンテナ電源21が接続されている。アンテナ電源21は、プラズマ生成用の高周波電源に接続されている。なお、処理室100の上部には、プラズマ生成用の処理ガスを供給するシャワープレート(図示略)などのガス導入手段も設けられている。
試料台1には静電吸着用の誘電体膜が設けられると共に、この台の上表面部は被処理基板(ウエハ)Wを載置するための試料載置面として構成されている。また、試料台1には内部を冷媒が循環する電極内冷媒流路(以下、単に冷媒流路)2が設けられている。試料台1の試料載置面上でかつウエハの裏面側の微小隙間には、伝熱ガス供給系11から熱伝達用のHeガス12が供給される。試料台1には、バイアス用の高周波電力を印加するバイアス電源22や静電吸着用の直流電源(図示略)が接続されている。
試料台1に設けられた冷媒流路2には、冷媒配管25に接続される冷媒供給口3及び冷媒配管26に接続される冷媒排出口4が接続されている。図1に示すとおり、冷媒通路2の縦断面は高さが一定の矩形状であり、その断面積(幅)が、外周側(入口側)で最も小さく、内周側(出口側)で最も大きくなっている。冷媒流路(第一の蒸発器)2は、試料台1の外部に設置された圧縮機7、凝縮器8、膨張弁9、冷媒蒸発器10(第二の蒸発器)及びそれらを接続する冷媒配管と共に、冷凍サイクルを構成している。試料台1に設けられた冷媒流路2は、直膨式冷凍サイクル(もしくは直膨式ヒートサイクル)の蒸発器を構成するものである。すなわち、試料台1内の冷媒流路2内において冷媒が蒸発する際の潜熱(気化熱)により、冷媒と接している試料台1の冷却が行われる。冷媒には、例えばR410(ハイドロフルオロカーボン)を用いる。冷媒蒸発器10は、冷媒流路2内において蒸発しなかった冷媒を蒸発させる機能を有し、例えば凝縮器8の熱交換用の冷却水を冷媒蒸発器10にも導き、この冷却水の熱で冷媒を蒸発させるようにすればよい。
試料載置面に近接して試料台1内に温度センサ6が複数個所に設けられている。101は温度制御システムであり、温度センサ6からの出力を受けて圧縮機7の回転数や膨張弁9の開度を制御することにより、試料載置面上の被処理基板(ウエハ)Wの温度が目標値になるように制御する。ウエハWの温度は、プラズマエッチ等の処理条件、すなわちプラズマからウエハWへの入熱状況により変化する。そのため、温度センサ6で検出された温度に基づいて、冷媒流路2を流れる冷媒流量、冷媒圧力(冷媒蒸発温度)などを制御することで、ウエハWの温度が目標値に維持されるように制御する。
本発明において、蒸発器を構成する冷媒流路2は、冷媒流路内の冷媒にドライアウトが発生しないように温度制御システム101で冷媒流量が制御される。また、冷媒流路2は複数の領域からなり、各領域の流路断面積が供給口3から排出口4に向かって順次増加するように構成されている。なお、冷媒流路2の縦断面は加工のしやすさから矩形状とするのが望ましいが、他の形状でも差し支えない。
この流路断面積の順次増加を図2で説明する。図2は、図1のA−A断面を示すものである。図2において、試料台1の同じ高さの位置に、環状の(複数の領域の)冷媒流路2が形成されている。すなわち、冷媒流路2は、試料台1の外周側に設けられた冷媒供給口3に接続され左右2方向に分岐した実質的に同一幅の環状の第一流路2−1と、第一の連絡流路2B−1を経て左右2方向に分岐した実質的に同一幅の環状の第二流路2−2と、第二の連絡流路2B−2を経て左右2方向に分岐した実質的に同一幅の環状の第三流路2−3とを有し、第三流路2−3は試料台1の内周側に設けられ冷媒排出口4に接続されている。冷媒流路2の各領域の流路断面積は、第一流路2−1から第三流路2−3に向けて、順次、この実施例ではステッブ状に増加している。また、左右の各第一流路2−1、第二流路2−2、第三流路2−3の各流路断面積は、夫々、その上流側の冷媒供給口3、第一の連絡流路2B−1、第二の連絡流路2B−2の流路断面積に対して、実質的に、1/2かあるいは若干大きい。また、冷媒排出口4の断面積は左右の第三流路2−3の断面積の和と、実質的に同じかあるいは若干大きい。
なお、図1では、膨張弁9と冷媒供給口3を接続する冷媒配管25及び冷媒排出口4と圧縮機7を接続する冷媒配管26を、各々細いラインで模式的に表示しているが、これらの断面積も、上記試料台1内の冷媒流路2の作用、効果が損なわれないような適切な大きさに設定されることは言うまでも無い。すなわち、冷媒供給口3の断面積は、その上流側に位置する膨張弁9から冷媒供給口3までの冷媒配管25の断面積に対して、実質的に等しいかあるいは若干大きい。また、冷媒排出口4の断面積は、その下流側に位置する冷媒排出口4から圧縮機7までの冷媒配管26の断面積に対して、実質的に等しいかあるいは若干小さい。
冷媒は、液体状態にて冷媒供給口3から冷媒流路2内に流入し、蒸発潜熱にて試料台1を冷却し、液体と気体の二相状態にて冷媒排出口4から流出する。冷媒の熱伝達率αは冷媒供給口3から冷媒排出口4に向けて大きく変化することから、冷媒の熱伝達率αを冷媒流路2内で一定にするために、冷媒流路2の断面積は第一流路2−1から第三流路2−3に向けて順次増加する構造とした。これにより、冷媒の熱伝達率αが上昇する乾き度領域において冷媒の流速を下げることで、冷媒の熱伝達率の上昇を抑制するように構成した。このように、本発明の冷媒流路2は、冷媒の乾き度の如何に関わらず該冷媒流路の各領域における冷媒の熱伝達率の変化を抑制しほぼ一定にする構造である。
ここで、本発明の特徴である冷媒流路の断面積と冷媒乾き度(X)、熱伝達率(α)および圧力損失ΔPの関係について、図3(A,B)、図4(A,B)を用いて説明する。
図3Aは、本実施例に採用されている冷凍サイクルにおける冷媒の一般的な特性を示すグラフである。本実施例では、試料台1内の冷媒流路2内において冷媒が蒸発する際の潜熱(気化熱)により冷媒と接している試料台1の冷却が行われる構成である。この冷媒の熱交換(蒸発)が生じている冷媒流路2内では、冷媒が気液二相の状態であり(乾き度X=0〜1)、この状態で冷媒の圧力Pが一定である限り冷媒の蒸発温度は理論的に一定である。
一方、図3Bに示すように、冷媒の温度TEは、基本的に冷媒の圧力Pが増大するにつれて大きくなる。
そこで本発明では、膨張弁9の開度により冷媒の圧力Pを制御することや、圧縮機7の回転数により冷媒の流量Qを調節することで、冷媒流路2内の冷媒温度TEを設定する構成とした。
図4Aに、直膨式冷凍サイクルの冷媒熱伝達率αの特性、図4Bに圧力損失ΔPの特性を示す。図4A、図4Bに実線で示した「流路断面積変更」のグラフは、本発明に基づき複数の領域の流路断面積が連続的に理想的な値に変更された場合を示し、太い点線で示した「本実施例」のグラフは図2で示したステップ状に拡大する流路断面形状に相当する。また、細い点線で示した「流路断面積一定」のグラフは、従来の一般な流路構成、すなわち、冷媒流路2の入口3から出口4までの間の各領域の流路断面積が一定の場合における、乾き度Xと熱伝達率αおよび圧力損失ΔPの関係を示したものである。
直膨式冷凍サイクルは、冷媒が液体から気体に蒸発する際の潜熱を利用して冷却を行い、冷媒の蒸発温度は圧力によって制御可能である。
図3Aおよび図3Bで説明したように、冷媒は、液体と気体の割合(乾き度X)が変化しても、圧力Pが一定であれば、蒸発温度TEは変化しない。しかし、冷媒の蒸発が進行して乾き度が変化すると、「流路断面積一定」の場合、図4Aに細い点線で示したように、熱伝達率αが大きく変化してしまう。一方、図4Bに細い点線で示すように、冷媒の蒸発によって乾き度が変化すると、冷媒流路の単位長さあたりに発生する冷媒の圧力損失ΔPも大きく変化する。
直膨式冷凍サイクルでは、液体から気体に相変化する過程において、冷媒の伝熱様式が強制対流蒸発、ドライアウトと変化する。冷媒の蒸発初期から強制対流蒸発が開始し、その後、乾き度Xの上昇に伴って熱伝達率αおよび圧力損失が上昇する。そして、冷媒の乾き度Xが一定に達すると、ドライアウト(液膜の消失)が発生して熱伝達率αおよび圧力損失ΔPが低下する。ただし、圧力損失ΔPは熱伝達率のように急激には低下しない。このように直膨式冷凍サイクルでは冷媒の乾き度Xによって冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPが大きく変化するため、前記したように直膨式冷凍サイクルをウエハ用の冷却機構として採用する際には、ウエハ面内の温度分布制御が技術的な課題となっているのである。
例えば、4kW級の直膨式冷凍サイクルにて、冷媒にR410、冷媒流路に断面積一定の1/4インチ管(内径約5mm、流路長約2m、内壁の凹凸無)を用いて、冷媒流量を1L/min、乾き度X=0→0.9とした場合、流路内の冷媒圧力損失ΔPは蒸発の終了直前には0.07MPaに達し、冷媒温度に換算すると約3℃の温度変化が生じる。これに、冷媒熱伝達率の変化も加わり、結果として電極表面の温度均一性は更に劣化する。先願発明に示すように、ドライアウトによって生じる熱伝達率αの変化を抑えるために排出口4付近の断面積を縮小させた場合には、排出口4付近の圧力損失が増大し、面内の精密な均一性は得難くなる。
上記のとおり、冷媒の相変化に伴う熱伝達率αと圧力損失ΔPを制御してウエハ面内の温度均一性を得るために、本発明では冷媒流路2内の冷媒にドライアウトが発生しないように冷媒流量を制御し、かつ冷媒流路2の各領域の断面積が冷媒の相変化に対応して供給口3から排出口4に向かって順次増加するように構成した。
このように、本発明ではドライアウト領域を使用しないことを前提とし、設置された冷媒流路の各領域の断面積が冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPの変化に対応して供給口3から排出口4に向かって順次増加するように構成されていることが特徴である。
すなわち、図4Aに示す流路断面積が一定の一般的な特性において冷媒の熱伝達率αの大きい所に相当する位置、換言すると冷媒排出口4に近い領域では、流路断面積を大きくして冷媒の流速を低下させることで冷媒の熱伝達率αを下げる。これにより、図4Bの圧力損失ΔPが大きい所、換言すると冷媒排出口4に近い領域で流路断面積が拡大することとなり、圧力損失の抑制にもつながる。上記構成により、結果的に冷媒流路2の供給口3から排出口4までの間における熱伝達率αの特性をフラットに近づけ、かつ圧力損失ΔPによる冷媒温度の変化を低減できる。
なお、冷媒熱伝達率αを均一にする観点で、冷媒流路2の断面積を冷媒の熱伝達率αの増加に伴って拡大するように連続的に変化(拡大)させた理想的な状態(=「流路断面積最適化」)では、図4Aに実線で示すように、冷媒の乾き度Xの大小に拘わらず、冷媒の熱伝達率αを一定にすることができる。また同様に、圧力損失ΔPを抑制する観点で冷媒流路2の断面積の拡大具合を決定すれば、図4Bの実線で示すように乾き度Xの変化による圧力損失ΔPの増大が殆ど無いフラットに近い特性まで抑制することが可能となる。このような、冷媒流路2の断面積の連続的な拡大による圧力損失ΔPの完全なフラットは実質的に実現困難である。
実用上は、本実施例に示したように、流路溝の加工の容易性を考慮して、冷媒流路2の供給口3から排出口4までの間の流路領域の後半に向けて複数の領域の断面積が順次大きくなるように、段階的に変化させる。このように構成することでも、冷媒の乾き度の如何に関わらず流路内における冷媒の熱伝達率αをフラットな特性に近いものとし、かつ圧力損失ΔPを抑制することについて、かなりの効果が得られる。
例えば、図2の実施例に示したように、冷媒流路を3つの同心円で構成し、それらの断面積を3段階に変化(順次増加)させた場合、冷媒の熱伝達率αは、図4Aに破線で示すように冷媒の乾き度Xの大小に応じて変化するが、断面積一定の場合に比べるとその変化量は1/3以下となる。
このように、基材部1Aに設けられた冷媒流路2の断面積を供給口3から排出口4に向けて順次大きくなるように構成することで、冷媒流路2内で冷媒の熱伝達率αの均一化を図り、かつ圧力損失ΔPを抑制することができる。
つまり、冷媒流路2内でドライアウトが発生しないように冷媒流量が制御されている状態において、冷媒流路の断面積が供給口3から排出口4に向かって順次増加する構造とすることで、冷媒の相変化による熱伝達率αの変化を低減しながら圧力損失ΔPに起因する冷媒蒸発温度の不均一を抑制し、電極面内の温度を均一に保つことが可能となる。このように、本実施例によれば、冷媒流路内の各領域で熱伝達率がほぼ均一となり、電極の表面温度、ひいてはウエハの温度を面内均一に制御することができる。
尚、直膨式冷凍サイクルの気液二相流においても、冷媒の流量を増すと、通常の流体と同様に流速の増加に伴い、熱伝達率αは向上する。
冷媒流路2の断面積Aは、図2の実施例に示したような3つの領域で3段階に変化させる場合、第一流路の断面積A1<第二流路の断面積A2<第三流路の断面積A3とすればよい。尚、冷媒流路2には各流路間を接続する2個の連絡流路2B(2B−1、2B−2)が必要となる。連絡流路2Bの配置位置は、冷媒流路2内に冷媒を均等に流入させることを考えて、各々を下部電極1Bの中心を挟んで対向する位置に設置するとよい。更に、連絡流路2B−1の断面積は第一流路2−1の断面積A1の2倍、またはそれ以上であることが望ましい。また、連絡流路2B−2の断面積は第二流路2−2の断面積A2の2倍、またはそれ以上であることが望ましい。
次に、図1の装置でウエハWのエッチング処理を行う場合の手順について、簡単に説明する。まず、ウエハWは図示しない被処理体搬送装置から処理室100に搬入され、試料台1の試料載置面上に載置され、静電吸着により固定される。ついで、ウエハWのエッチングに必要なプロセスガスが図示しないガスラインより供給され、真空排気系20により処理室100は所定の処理圧力に調整される。次に、アンテナ電源21及びバイアス電源22から供給される高周波電力と、図示されない磁場形成手段により生成される磁場の作用によりプロセスガスのプラズマが生成され、このプラズマを用いたエッチング処理が開始される。プロセス中のウエハ温度の制御は、温度センサ6からの温度情報をモニタしながら温度制御システム101にてフィードバック制御を行い、圧縮機7、膨張弁9を調節して、冷媒の流量、蒸発温度を調節する。この際、試料台1内の冷媒流路2が、図2に示したように、冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPの変化に応じて断面積が変化する構造となっていることで、冷媒の相変化に起因する冷却能力の面内分布が低減され、試料台1の面内温度を均一かつ高速に制御することが可能となる。
尚、被加工試料への入熱と冷凍サイクルの能力がほぼ同等で、冷媒流路内で冷媒をドライアウト領域まで蒸発させる場合には、先願発明の装置構成及び温度制御方法が有効となる。つまり、被加工試料への入熱に対して冷凍サイクルの能力が十分に勝っている場合に限り、本発明により更なる面内温度均一性を達成することができる。
本発明を採用するにあたって、試料台1の温度分布をより精度良く均一に制御したい場合には、冷媒流路2の領域をより多元化すればよい。本発明の実施例2として、冷媒流路の領域を多元化した(5段階変化)例を図5に示す。冷媒流路2は、試料台1の外周端に近い位置に設けられた冷媒供給口3に接続され、左右2方向に分岐した第一流路2−1と、第一の連絡流路2B−1を経て左右2方向に分岐した第二流路2−2と、第二の連絡流路2B−2を経て左右2方向に分岐した第三流路2−3と、第三の連絡流路2B−3を経て左右2方向に分岐した第四流路2−4と、第四の連絡流路2B−4を経て左右2方向に分岐した第五流路2−5とを有し、第五流路2−5は試料台1の中央に近い位置に設けられた冷媒排出口4に接続されている。
ここでも、冷媒の熱伝達率αが増加していく供給口3から排出口4に向かって、冷媒流路2の各領域の断面積が拡大するような構造とすることで、図4Aに実線で示したフラットな(最適化)特性により近い特性を得ることが出来る。また、この構造により、圧力損失ΔPも抑制可能であることから、結果的に試料台1上のウエハの温度を面内均一に制御することができる。
上記の図2や図5に示した例において、冷媒供給口3と冷媒排出口4の設置位置は逆転してもよい。ただしその場合には、図2を例として挙げれば、第一流路2−1と第三流路2−3の断面積Aの関係が逆転し、また連絡流路2B−1と2B−2の断面積の関係も逆転させなければならない。
冷媒流路は、冷媒供給口、連絡流路及び冷媒排出口で区画された各領域内でも順次増加する構造としても良い。図6に、冷媒流路の各領域内で、断面積Aがさらに多段的に変化する冷媒流路の構造の例を示す。冷媒流路2は、3つの領域(流路2−1、2−2、2−3)内で多段的に断面積を順次拡大する構造とした。すなわち、流路(2−1)内で、2−1−1、2−1−2、流路(2−2)内で2−2−1、2−2−2、流路(2−3)内で2−3−1、2−3−2と2段階に変化(拡大)する。また、冷媒流路2の断面積は各々の領域内で連続的に変化(拡大)する構造であってもよい。
これにより、各流路内における冷媒の熱伝達率αの変化を抑制可能となり、図4Aに実線で示したフラットな(最適化)熱伝達率α特性により近い特性を得ることが出来、また圧力損失ΔPの低減も可能となり、ウエハの温度差を低減することができる。
図7に、本発明の他の実施例として、流路本数にて冷媒流路2の断面積を拡大した例を示す。各領域の流路の断面積Aはほぼ同等とし、冷媒供給口3から2つに分岐した流路2を、冷媒の熱伝達率αの増大に伴って連絡流路2B−1、2B−2を介して流路本数を増やすことで、結果として冷媒流路の断面積を増加させ、その後これらの複数の流路を1つに集約したのち冷媒排出口4に接続している。(実施例では、冷媒供給口3から左右2つに分岐した流路2を、連絡流路2B−1を経て流路本数を4つに、さらに、連絡流路2B−2を経て6つに、各々増やし、その後これらの6つの流路を1つに集約し、断面積を減少させることなく冷媒排出口4に接続している。)これにより、冷媒の熱伝達率αが増大する乾き度領域における冷媒の熱伝達率αの上昇および圧力損失を抑制し、冷媒の冷却能力を冷媒流路2内にて略一定にし、試料台1上のウエハの温度を面内均一に制御できる。
次に、図8に冷媒流路2の内壁の形状にて流路内の各領域の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPを制御した、他の実施例を示す。冷媒流路2の内壁に凹凸形状を設ければ、冷媒の攪拌(対流)、及び伝熱面積が向上するため、熱伝達率αが上昇する。一方、凹凸形状は圧力損失ΔPの発生原因にもなる。そこで、冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPが高い乾き度領域(図中2−3)では、冷媒流路2の内壁の凹凸を低くして(無しにしてもよい)熱伝達率αと圧力損失ΔPの上昇を抑制し、冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPが低い乾き度領域(図中2−1、2−2)では凹凸を高くする(凹凸高さは図中2−1>図中2−2)。これにより、冷媒流路2の各領域内において熱伝達率αを一定に保ちつつ、圧力損失ΔPを抑制ことができる。尚、冷媒流路幅(径)に対して凹凸の高さが2%以上あれば熱伝達率の向上が図れる。凹凸が過度に高い場合は圧力損失も問題となるため、凹凸の高さは冷媒流路幅(径)に対して2〜10%程度とすることが望ましい。また、凹凸を冷媒進行方向に対して斜めに設置すると、圧力損失を抑えながら、熱伝達率を向上させることができる。
尚、上記に示した本発明の実施例では、乾き度が約0.8の時に冷媒の熱伝達率αが最大値となる例を示したが、実条件においては、使用する冷媒の種類や冷媒流路の内壁形状、または冷媒流量などによって熱伝達率が最大となる乾き度Xが変化する。例えば、上記により乾き度が0.5〜0.9の間で熱伝達率が最大となり、その後ドライアウトが発生することも考えられる。これに対し、本発明では、冷媒流路内でのドライアウトの発生を防止するため、冷媒流量を適量に管理する必要がある。
そのため、本発明の第7の実施例として、エッチング処理を開始する前にプラズマからの入熱量を予想し、入熱量に対して過剰に冷媒流量を供給することで、冷媒流路内でドライアウトが発生しないようにすればよい。また、ドライアウトの監視用として冷媒流路の出口付近に圧力計と温度計を設置し、冷媒が完全に気化していないことを確認すればよい。すなわち、冷媒流路の出口付近の圧力と温度をモニタし、冷媒が完全に気化しないように前記冷媒の流量を調節することで、冷媒流路内においてドライアウトが発生しないようにすれば良い。
気体と液体の二相流状態の場合には、圧力と蒸発温度は図3Bに示す関係となり、その圧力と蒸発温度は使用する冷媒によりそれぞれ決まっている。つまり、冷媒が完全気化して過熱蒸気となり図3Bの関係が成り立たなくなった場合には、冷媒が完全気化していると判断できる。また、冷媒流路から排出された冷媒の乾き度を定量的に知る必要がある場合には、冷媒流路以降に冷媒の加熱手段を設置し、加熱手段で冷媒を完全気化させた時の入熱量から冷媒の乾き度を予想すればよい。
尚、本発明では冷媒が冷媒流路2内で完全蒸発せずに通過するため、冷媒が液体のまま圧縮機に流入し、圧縮機を破損する恐れがある。冷媒流路内で蒸発し切らない冷媒は、冷媒流路後に設置された冷媒蒸発器10で完全に気化させればよい。つまり、図9に示すようにプラズマからの入熱量hA2-hA3による蒸発(入熱蒸発)と、冷媒蒸発器10からの入熱量hA1-hA2による蒸発(強制蒸発)によって冷媒を完全蒸発させればよい。
図10に、本発明の他の実施例になるプラズマ処理装置の全体的なシステム構成を示す。この実施例のプラズマ処理装置は、図1の実施例の構成に加えて、試料台1の誘電体膜中にヒータ層13が設けられている。ヒータ層13は、例えば、円板状の試料台1の中央部分、リング状の外周部分の2領域に分かれて形成されている。
ウエハWの温度は、プラズマエッチ等の処理条件、すなわちプラズマからウエハWへの入熱状況と、各ヒータ領域の出力と、冷媒流路2内の冷媒による冷却状況により変化する。ヒータ層13の2つ領域には夫々温度センサが設けられ、ヒータ電源14から各ヒータ領域へ供給される電力が、冷凍サイクルの流路2を流れる冷媒流量などと共に、温度制御システム101で制御される。
次に、図10の装置の動作について、簡単に説明する。まずウエハWが処理室100に搬入され、試料台1上に載置、固定される。ついで、プロセスガスが供給され、処理室100は所定の処理圧力に調整される。次に、アンテナ電源21及びバイアス電源22の電力供給と、図示されない磁場形成手段の作用によりプラズマが生成され、このプラズマを用いたエッチング処理がなされる。プロセス中のウエハ温度の制御は、温度センサ6からの温度情報をモニタしながら温度制御システム101にてフィードバック制御を行い、圧縮機7、膨張弁9、ヒータ電源14を調節して、冷媒の流量、蒸発温度、及びヒータ層13の各領域の加熱量を調節することによって行なわれる。
この際、試料台1内の冷媒流路2が、冷媒の熱伝達率αおよび圧力損失ΔPの変化に応じて断面積が変化する構造と成っていることで、冷媒の相変化に起因する冷却能力の面内分布が低減され、試料の面内温度を均一かつ高速に制御可能となる。
これらの構成及び制御方法を採用することにより、高ウエハバイアス電力の印加による大入熱エッチング条件においても、ウエハWの面内全体で高精度な加工が可能となる。
このようなプロセスを経てエッチングが完了し、電力、磁場及びプロセスガスの供給が停止される。
尚、プラズマの生成手段が、ウエハWの対面に配置された電極にウエハWに印加されるのとは別の高周波電力を印加する方式、誘導結合方式、磁場と高周波電力の相互作用方式、試料台1に高周波電力を印加する方式のいずれの方式であっても、本発明が有効であることは言うまでもない。
また、本発明はウエハWに3W/cm以上の高周波電力を印加するような大入熱が生じる加工条件に対応し、アスペクト比が15以上となる高アスペクトの深孔加工を行なう際にも有効である。プラズマ処理を行なう薄膜は、SiO、SiN、SiOC、SiOCH、SiCのいずれか1種類を主成分とする単一の膜、または2種類以上の膜種にて構成される多層膜などが想定される。
図11に、冷媒流路2の他の実施例として、冷媒流路が一本の連続した流路であり、その流路内の外周部、中間部、内周部の各領域の断面積が拡大している例を示す。冷媒流路2は、冷媒供給口3に接続され断面積が2段に拡大した第一流路2−1(2−1−1、2−1−2)と、第一流路よりも断面積が拡大した第二流路2−2と、第二流路よりも断面積が拡大した第三流路2−3とを有し、第三流路2−3は冷媒排出口4に接続されている。冷媒流路2を一本の連続した流路とすることで、冷媒の分岐部において冷媒が均等に分岐せず、面内の温度差が発生するリスクを低減できる。直膨式冷凍サイクルでは冷媒の蒸発潜熱を利用することから、単位流量あたりの冷却能力が高く、冷媒の流量が従来の液体冷媒方式などに比べて少ない。そのため、冷媒流路2内に冷媒の分岐部を設ける場合には、流路1本に対して分岐数を2〜4本程度までに抑えた方がよい。これより多い分岐数には、冷媒用の分配器を設置することが望ましい。
図12に、蒸発器を構成する冷媒流路2の他の実施例として、冷媒流路が一本の連続した流路であり、その流路内の各領域の断面積が拡大して、かつその流路が円周方向に多元的(上下)に設置されている例を示す。この実施例において、多元的(に設置された)冷媒流路2は、夫々独立した直膨式冷凍サイクル(もしくは直膨式ヒートサイクル)の蒸発器を構成する。これら各直膨式冷凍サイクルの構成、作用については、例えば第1の実施例と同様なものとする。
冷媒流路2は、円周方向に離れた位置にある2つの冷媒供給口3、3’に接続された第一流路2−1、2−1’及び、断面積が拡大した第二流路2−2、2−2’及び、更に断面積が拡大した第三流路2−3、2−3’を有し、2つの第三流路は円周方向に離れた位置にある2つの冷媒排出口4、4’に接続されている。
上下2つの冷媒流路2が面内において各々独立した構造であることから、冷媒流路の領域の冷媒の圧力(冷媒蒸発温度)を別々に制御することで、試料台1上のウエハの面内温度分布を任意に制御することもできる。
尚、図12の例は2つの冷媒流路2が示されているが、独立した冷媒流路2を円周方向に更に多元化する、例えば、試料台1の試料載置面に対応する面を3等分あるいは4等分し、分割された各面内において一本の連続した冷媒流路の断面積を前記各実施例のように途中で変更する構成としても良い。このように構成することにより、ウエハの面内温度分布のより緻密な制御が可能になる。
本発明は、更に、冷媒流路2を半径方向(内外)に多元的する構造であってもよい。すなわち、図13に示すように冷媒流路2は、半径方向に異なる位置にある2つの冷媒供給口3、3’に接続された第一流路2−1、2−1’及び、断面積が拡大した第二流路2−2、2−2’及び、更に断面積が拡大した第三流路2−3、2−3’を有し、2つの第三流路は半径方向に異なる位置にある2つの冷媒排出口4、4’に接続されている。この実施例において、多元的(に設置された)冷媒流路2は、夫々独立した直膨式冷凍サイクルの蒸発器を構成する。
上下2つの冷媒流路2が面内において各々独立した構造であることから、冷媒流路の領域の冷媒の圧力(冷媒蒸発温度)を別々に制御することで、試料台1上のウエハの面内温度分布を任意に制御することもできる。この場合も、3等分あるいは4等分することで、より緻密な制御が可能になる。
本発明にかかるプラズマ処理装置の、全体的なシステム構成を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第一の実施例を示す概略図である。 本発明に採用されている冷凍サイクルにおける、冷媒の一般的な特性を示すグラフである。 冷媒の蒸発温度の一般的な特性を示す説明図である。 本発明の作用、効果を説明するための、冷媒の熱伝達率の特性を示す図である。 本発明の作用、効果を説明するための、冷媒の圧力損失の特性を示す説明図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第二の実施例を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第四の実施例を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第五の実施例を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第六の実施例を示す概略図である。 本発明にかかるプラズマ処理装置の、第七の実施例の冷媒の蒸発特性を示す説明図である。 本発明にかかるプラズマ処理装置の、第八の実施例を示す説明図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第九の実施例を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第十の実施例を示す概略図である。 本発明にかかる試料台内の流路構成の、第十一の実施例を示す概略図である。
符号の説明
1…試料台、2…冷媒流路、3…冷媒供給口、4…冷媒排出口、6…温度センサ、7…圧縮機、8…凝縮器、9…膨張弁、10…冷媒蒸発器、11…伝熱ガス供給系、12…Heガス、13…ヒータ、14…ヒータ電源、15…電極プレート、20…真空排気系、21…アンテナ電源、22…バイアス電源、23…絞り機構、24…シール、25…冷媒配管、26…冷媒配管、100…処理室、101…温度制御システム、W…ウエハ。

Claims (10)

  1. 真空処理室内に静電吸着電極を有する試料台が設置され、前記真空処理室内に導入された処理ガスをプラズマ化し、該プラズマにて前記静電吸着電極に載置された被加工試料の表面処理を行うプラズマ処理装置において、
    前記試料台の静電吸着電極の下方に設けられた冷媒流路を第一の蒸発器として、前記真空処理室の外に配置された圧縮機、凝縮器、膨張弁を備える冷凍サイクルが構成されており、
    前記冷媒流路は、前記試料台に設けられた供給口及び排出口を備えており、該冷媒流路の流路断面積は、前記供給口から前記排出口に向かって順次増加するように構成されており、
    前記冷凍サイクルは、前記排出口と前記圧縮機との間でかつ前記真空処理室の外に配置され第二の蒸発器として機能する冷媒蒸発器と、前記冷媒流路に供給、排出する冷媒を制御する制御手段とを備えており、
    該制御手段は、前記被加工試料の入熱に対して前記第一の蒸発器でドライアウトを発生させないように前記冷媒の流量を制御し、
    前記冷媒蒸発器は、前記冷媒流路内で蒸発しなかった冷媒を気化させる機能を有している、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
    前記試料台に設けられた前記冷媒流路は、同一面内に設けられ、流路断面積の異なる複数の領域で構成されており、
    前記複数の領域の流路断面積が、前記冷媒の供給口から前記排出口に向けて順次拡大している、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項2記載のプラズマ処理装置において、
    前記試料台に設けられた前記各領域の冷媒流路は環状流路であり、前記冷媒の乾き度の如何に関わらず該冷媒流路の各領域における冷媒の熱伝達率の変化を抑制しほぼ一定にする構造である、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項2記載のプラズマ処理装置において、
    前記試料台に設けられた前記冷媒流路は一本の連続した流路であり、前記冷媒の乾き度の如何に関わらず該冷媒流路の各領域における冷媒の熱伝達率の変化を抑制しほぼ一定にする構造である、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
    前記試料台に設けられた前記冷媒流路は、流路断面積の異なる前記複数の領域を、同一面内の半径方向若しくは円周方向に多元的に配置した構成であり、多元的に配置された前記各前記冷媒流路が各独立した冷凍サイクルの蒸発器を構成していることを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
    前記冷媒流路の内壁には凹凸形状が形成されており、該凹凸形状の高さが前記冷媒の供給口側から前記排出口の間で順次減少していることを特徴とするプラズマ処理装置。
  7. 真空処理室内に試料載置面を有する試料台が設置され、前記真空処理室内に導入された処理ガスをプラズマ化し、該プラズマにて前記試料載置面に載置された被加工試料の表面処理を行うプラズマ処理装置において、
    前記試料台内に設けられた冷媒流路を第一の蒸発器として、前記真空処理室の外に配置された圧縮機、凝縮器、膨張弁を備える冷凍サイクルが構成されており、
    前記冷媒流路は、前記試料台に設けられた供給口及び排出口を備えており、該冷媒流路は、前記供給口から前記排出口に向かって流路断面積が順次増加するように構成され、前記冷媒の乾き度の如何に関わらず該冷媒流路の各領域における冷媒の熱伝達率の変化を抑制しほぼ一定にする構造であり、
    前記冷凍サイクルは、前記排出口と前記圧縮機との間でかつ前記真空処理室の外に配置され第二の蒸発器として機能する冷媒蒸発器を備えており、該冷媒蒸発器は、前記試料台内の冷媒流路内で蒸発しなかった冷媒を気化させる機能を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  8. 請求項7記載のプラズマ処理装置において、
    前記試料台に設けられた前記冷媒流路は、同一面内に設けられ、流路断面積の異なる複数の領域で構成されており、
    前記複数の領域の流路断面積が、前記供給口から前記排出口に向けて順次拡大している、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  9. プラズマ処理装置により、真空処理室内に導入された処理ガスをプラズマ化し、該プラズマにて前記真空処理室内の試料台の静電吸着電極に載置された被加工試料の表面処理を行うプラズマ処理方法において、
    前記プラズマ処理装置は、前記試料台の静電吸着電極の下方に設けられた冷媒流路を第一の蒸発器として、前記真空処理室の外に配置された圧縮機、凝縮器、膨張弁を有する冷凍サイクルを備えており、
    前記冷媒流路は、前記試料台に設けられた供給口及び排出口を備えており、該冷媒流路の流路断面積は、前記供給口から前記排出口に向かって順次増加するように構成されており、
    前記冷凍サイクルは、さらに前記排出口と前記圧縮機との間でかつ前記真空処理室の外に配置され第二の蒸発器として機能する冷媒蒸発器と、前記冷媒流路に供給、排出する冷媒を制御する制御手段とを備えており、
    前記真空処理室内の前記試料台の前記冷媒流路に冷媒を循環させつつ、前記プラズマにて前記試料台の静電吸着電極に載置された被加工試料の表面処理を行い、
    前記被加工試料の入熱に対して前記冷媒流路でドライアウトを発生させないように前記冷媒の流量を調節することにより前記静電吸着電極面内の温度を制御し、
    前記冷媒流路内で蒸発しなかった前記冷媒を前記冷媒蒸発器で気化させることを特徴とするプラズマ処理方法。
  10. 請求項9記載のプラズマ処理方法において、
    前記試料台に設けられた前記冷媒流路は、前記冷媒の乾き度の如何に関わらず該冷媒流路の各領域における冷媒の熱伝達率の変化を抑制しほぼ一定とする構造である、
    前記被加工試料の温度、及び前記冷媒流路の出口付近の圧力と温度をモニタし、冷媒が完全に気化しないように前記冷媒の流量を調節しながら前記静電吸着電極面内の温度を制御することを特徴とするプラズマ処理方法。
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