JP5242943B2 - アクティブ除振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半導体関連の製造装置や試験器機、或いは電子顕微鏡のような精密機器を床振動から概ね絶縁した状態で設置するための除振装置に関し、特に、それらの機器の振動状態に基づいてアクチュエータを駆動し、その振動を減殺するような制御力を付加するようにしたアクティブタイプのものに係る。
従来より、この種のアクティブ除振装置としては、例えば特許文献1に開示されるように、除振対象物を基礎に対し複数の空気ばねにより支持するとともに、その除振対象物や基礎の振動状態をそれぞれセンサにより検出して、コントローラによりアクチュエータを駆動することにより、除振対象物の振動を減殺するような制御力を付加するようにしたものが知られている。
このものではアクチュエータとして空気ばね自体を利用するようにしており、その空気ばねに対する空気の給排系に配設したサーボ弁によって、空気ばねの内圧を高速且つ高精度に変化させて、制御力を発生させる。
特開2003−108236号公報
ところで、前記従来例のように空気ばね自体をアクチュエータとして用いる場合には、これにより制御力を直接、付加する部位が限定されることから、除振対象物を擬似的に剛体とみなして制御を行うことになるが、機器には局所的に剛性の低い部位が存在することが多く、それを載置する定盤も厳密には空気ばねによる支持点間で撓むことから、局所的に例えば100Hz以下といった比較的低い周波数の共振が発生することがある。
こうして発生する局所的な共振は機器全体を強く加振するものではないので、それが機器において特に振動を嫌う部位の近くで発生するのでなければ、従来、あまり問題にされることはなかったが、本願の発明者は、前記のように空気ばねをアクチュエータとして用いるアクティブ制御の効果を高めるために、そのゲインの設定等に関する実験研究を重ねた結果、機器の振動を打ち消すための制御力(空気ばねによって発生する制御力)によって共振点付近で却って振動が増幅されることがあり、これにより制御の安定性が損なわれることを見出した。
すなわち、前記従来例のようなアクティブ除振装置において除振対象物の振動を検出し、これに基づいて空気ばねの内圧を制御するフィードバックループの開ループ伝達関数には、概略60〜100Hzにピークを示す共振点が現れ(図4の符号Rを参照)、この共振点付近のゲインが大きいと発振してしまうことから、フィードバックゲインを十分に大きく設定することができないのである。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクティブ制御を行うようにした除振装置において除振対象物の局所的な共振を抑制し、もってアクティブ制御の性能を十分に発揮できるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、除振対象物の所定部位に所謂アクティブ・マス・ダンパを取り付けて、局所的な共振を抑えるようにした。すなわち、請求項1の発明では、除振対象物を複数のばね要素によって支持するとともに、その複数のばね要素のうちの少なくとも1つに第1のアクチュエータを設け、この第1アクチュエータを前記除振対象物の振動状態に基づいて制御することにより、当該除振対象物にその振動を減殺するような制御力を付加するようにしたアクティブ除振装置を対象とする。
そして、前記除振対象物は、機器と、当該機器が搭載される定盤とを備え、除振対象物の振動状態を検出する第1振動センサと、除振対象物の支持されている基礎側の振動状態を検出する第2振動センサと、前記機器の局所的な共振状態を検出するための第3振動センサと、前記第1振動センサからの信号を受けて、前記除振対象物の振動を減殺する制御力を付加するように、且つ、前記第2振動センサからの信号を受けて、前記基礎側から除振対象物に伝達する振動を減殺する制御力を付加するように、第1アクチュエータを制御する制御手段と、を備え、前記機器において局所的な共振の生じる部位乃至その近傍には、可動質量と、第3振動センサにより検出された機器の局所的な共振状態に応じて、該機器の共振を抑えるように、該可動質量を駆動してその反力を前記機器に作用させる第2のアクチュエータと、を備えた制振機構(所謂アクティブ・マス・ダンパ)を配設したものである。尚、局所的な共振の生じる部位というのは、除振対象物において共振による振幅の大きくなる部位を指し、必ずしも共振現象が局所的なものであることを意味しない。
前記構成のアクティブ除振装置では、まず、例えば除振対象物に配設されたセンサによりその振動状態が検出され、これに基づいて第1のアクチュエータが制御されることで、前記除振対象物にその全体的な振動を減殺するような制御力が付加される。但し、前記第1アクチュエータが除振対象物を支持するばね要素に設けられているため、これにより制御力を直接、付加できる部位が限定され、局所的な共振を抑えることは難しい。
この点、前記の構成では、局所的な共振の生じる部位乃至その近傍に制振機構が配設されており、例えば制振機構に配置された振動センサにより検出された振動(共振)の状態に応じて第2アクチュエータが制御され、これにより可動質量を駆動する反力が、除振対象物にその振動を減殺するような制御力として付加される。
こうして制振機構から付加される制御力により除振対象物の前記局所的な共振を効果的に抑制することができ、その共振の影響で前記第1アクチュエータによるアクティブ制御が不安定化する心配はなくなるから、その分、制御ゲインを大きく設定して、アクティブ制御の性能を十分に発揮させることができるようになる。
好ましいのは、除振対象物を支持するばね要素が気体ばねである場合に、この気体ばねを第1アクチュエータとして用い、その内圧を変更することによって除振対象物に制御力を付加することである。こうすれば、大きな機器や定盤のような除振対象物に十分な制御力を付加する強力なアクチュエータを、比較的低コストで実現できる。
また、前記の制振機構として好ましいのは、ケース内に可動質量と第2アクチュエータとを収容するとともに、機器の振動状態を検出するための第3振動センサも収容した制振ユニットとすることである(請求項2)。こうすれば、制振ユニットを除振対象物における局所的な共振の生じる部位乃至その近傍に取り付けるだけで、別途、振動センサを配設する必要もなく、前記請求項1の発明の作用が容易且つ確実に得られる。尚、振動センサは、第2アクチュエータによる可動質量の駆動軸線上に設けるのがよい。
以上、説明したように、本発明に係るアクティブ除振装置によると、除振対象物に配設した制振機構によって局所的な共振を効果的に抑制し、それによるアクティブ制御への悪影響を抑えることによって、ばね要素に設けたアクチュエータの制御ゲインを大きく設定できるようになり、その発生する制御力によって振動を十分に減殺することができる。
また、前記制振機構を振動センサまで備えた一体のユニットして構成すれば、これを除振対象物に取り付けるだけで、容易且つ確実に前記発明の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1には、本発明に係るアクティブ除振装置の一実施形態である精密除振台Aの構成を模式的に示す。この除振台Aは、例えば半導体関連の製造装置、試験機器や電子顕微鏡、レーザ顕微鏡等の精密計測機器のように、振動の影響を受けやすい精密な機器Dを搭載して、それらを床の振動から極力、絶縁した状態で設置するためのものである。
図示の除振台Aは、前記のような機器Dの搭載される定盤1を通常は3個(4個以上でもよい)の空気ばねユニット2,2,…(図には2つのみ示す)によって弾性的に支持するものであり、その定盤1及び搭載機器Dが除振対象物となる。空気ばねユニット2,2,…は、以下に説明するように、除振対象物にその振動を減殺するような制御力を付加するアクチュエータ(第1アクチュエータ)として用いられる。また、機器Dの上部には制振ユニット3が取り付けられており、詳しくは後述するが、機器Dの局所的な共振を抑制するようになっている。
−空気ばねユニットの構成−
まず、空気ばねユニット2の構成について説明する。この空気ばねユニット2には、図2に模式的に示すように、上下方向の荷重を支持する空気ばね20と、センサ24〜26、コントローラ27、サーボ弁28等が設けられており、上下方向の振動及び高さ位置を制御するようになっている。また、同様の構成が水平方向の振動及び位置制御のためにも設けられているが、以下では便宜上、上下方向の空気ばね20等の構成のみを説明する。
図示の如く、空気ばね20の空気室の上方開口にはダイヤフラムを介して気密状にピストン21が内挿されており、このピストン21の上面にはトッププレート22が配置されている。一方、空気ばね20のケース下端のベースプレート23は、基礎上に配置されている。こうして空気ばね20により静荷重を支持することから、空気ばねユニット2,2,…は、基本的に優れた除振性能を有するものであるが、さらにこの実施形態では、空気ばね20の内圧を制御して、除振対象物に適切な制御力を付加するようにしている。
そのために前記空気ばねユニット2には、まず、トッププレート22の上下方向の加速度z″と、ベースプレート23に対するトッププレート22の相対変位z−z0とを、それぞれ検出するように加速度センサ24(第1振動センサ)及び変位センサ25が設けられている。また、ベースプレート23の上下方向の加速度z0″(基礎側の振動状態)を検出する加速度センサ26(基礎側の第2振動センサ)も設けられており、それら各センサ24〜26からの出力信号がそれぞれコントローラ27に入力されるようになっている。
また、空気ばね20の空気室には配管を介してサーボ弁28が接続されており、このサーボ弁28の作動によって、リザーバタンク29から空気室に供給する圧縮空気の流量を調整し、反対に空気室から排気する空気の流量を調整する。尚、前記リザーバタンク29には、図示しないがコンプレッサが接続されていて、その作動によりリザーバタンク29内の空気圧を設定値に維持するようになっている。
そして、前記サーボ弁28がコントローラ27により制御されて、空気ばね20に対する圧縮空気の供給乃至排気の流量を調整することにより、当該空気ばね20の内圧を調整して、除振対象物に付加する制御力を発生させることができる。よって、コントローラ27及びサーボ弁28は、空気ばね20の内圧を変更することによって除振対象物に制御力を付加する制御手段を構成する。尚、コントローラ27は、詳細は図示しないが、マイクロコンピュータ、I/Oインタフェース、データバスの他、RAM、ROM、或いはHDD等のメモリを備えた従来周知の構造のものである。
−空気ばねの内圧の制御−
前記空気ばねユニット2毎の空気圧の制御は概ね図3のブロック図に示すようになり、主に除振対象物1,Dの振動を低減するための制御が、図の下部右側に示すフィードバック振動制御部27aと、上部に示すフィードフォワード振動制御部27bとによって行われ、主に除振対象物1,Dの高さを維持するための制御が図の下部左側に示す変位制御部27cによって行われる。尚、同図には、上述した空気ばねユニット2の構成の説明と同様に便宜上、上下方向の空気ばね20の制御についてのみ示しているが、これと同様の制御は水平方向の空気ばねについても行われる。
まず、フィードバック振動制御部27aによる制御について説明すると、これは、加速度センサ24により検出される除振対象物1,Dの振動状態、即ちトッププレート22の加速度z″に基づいて、その振動を減殺するような制御力を空気ばね20により発生させるものである。すなわち、検出された加速度z″に対応するフィードバックゲインをGc、この加速度z″の微分に対応するフィードバックゲインをGm、また、加速度z″の積分に対応するフィードバックゲインをGk、としてそれぞれフィードバック制御量を演算し、これらを加算した後に反転して、サーボ弁28への制御量U1を決定する。
この制御量U1に対応してサーボ弁28の開度が変更されることで、空気ばね20への圧縮空気の供給又は排気が行われ、その内圧が変化することによって除振対象物1,Dに制御力が付加されて、これにより振動が減殺される。そうして減殺された除振対象物1,Dの振動状態(加速度z″)が再び加速度センサ24により検出されて、フィードバックされる。
尚、前記のように加速度z″、その微分値及び積分値にそれぞれ制御ゲインGc、Gm、Gkを乗じてフィードバックすることで、見かけ上、空気ばね20の系の減衰係数、質量及びばね定数が増加し、除振性能が向上する。すなわち、この実施形態のようにアクチュエータとして空気ばね20を利用する場合、制御量U1に比例するのはサーボ弁28の開度であり、空気ばね20の内圧は制御量U1の積分に比例することになるから、前記のように加速度z″に制御ゲインGcを乗算してフィードバックすれば、この分の制御量が空気系で積分されて、絶対速度に比例する空気圧の変化を生じることになり、いわゆるスカイフックダンパの効果が得られるものである。
続いてフィードフォワード振動制御部27bによる制御について説明すると、これは、加速度センサ26により基礎側の振動状態(加速度z0″)を検出し、この振動が空気ばねユニット2を介して除振対象物1,Dに伝達されるのに対して、その伝達振動を打ち消すような逆位相の制御力を発生させるものである。すなわち、加速度センサ26の検出値z0″に基づいて、例えばデジタルフィルタ(アナログフィルタでもよい)によりフィードフォワード制御量U2を演算し、これを反転してサーボ弁28への入力に加える。
前記のように演算されるフィードフォワード制御量U2は、一例として以下の式(1)を満たすものとすればよい。すなわち、
U2 = α×{(Cs+K)/s2}×z0″ ・・・ 式(1)
但し、定数αは、サーボ弁28の特性を反映するものであり、サーボ弁28のゲインKv、時定数Tvと空気ばね20の受圧面積Amとを用いて、
α = (1+Tvs)/(KvAm ) ・・・ 式(2) と表される。
換言すれば、フィードフォワード振動制御部27bのデジタルフィルタは、前記式(1)、(2)と等価なものであり、従来周知のZ変換の手法を適用することで、設定することができる。尚、フィードフォワード振動制御部27bをアナログ回路にて構成する場合でも、回路を構成する素子の容量等の変更により、同様の設定を行える。
次に変位制御部27cによる制御について説明すると、これは、変位センサ25により検出されるトッププレート22の変位(基礎側に対する相対変位)z−z0に基づいて、この変位が小さくなるように空気ばね20の内圧を調整するものである。すなわち、図示の如く、検出した相対変位z−z0を高さの制御目標値、即ち零(0)から減算した後に、PID制御則に従って制御量U3を求める。
この制御量U3に対応してサーボ弁28の開度が変更されると、圧縮空気が空気ばね20に対し供給又は排気され、その内圧が変化することによって除振対象物1,Dの高さは、基準となる高さからのずれが小さくなるように、即ち所期の設定高さになるように変更される。そうして変更された除振対象物1,Dの高さが再び変位センサ25により検出されて、フィードバックされる。
ところで、上述の如く除振対象物の荷重を受ける空気ばね20,20,…をアクチュエータとして用いる場合には、これにより制御力を直接、付加できる部位が限定されることから、除振対象物を擬似的に剛体とみなして制御を行うことになる。しかし、実際には機器Dや定盤1は剛体ではなく、その剛性があまり高くない場合には例えば100Hz以下といった比較的低い周波数の共振が発生して、局所的に振幅が大きくなることがある。また、除振対象物に局所的に剛性の低い部位が存在して、その付近に共振が発生することもある。
具体的に、図1に示す機器Dにおいては横長の下部d1の上に塔部d2が存在し、これが下端部を中心に揺動して低周波の共振を起こす。図4には、前記したフィードバック振動制御部27aによるフィードバック制御の開ループ伝達関数を示し、図示のように60〜70Hzにピークを示す共振点Rが現れている。こうして比較的低い周波数域で共振が起きると、空気ばね20,20,…により付加する制御力によって却って振動が増幅されることがあり、制御の安定性が損なわれる虞れがある。
すなわち、前記図4のように共振点Rにおける振幅が大きい場合には、フィードバックゲインを大きくすると発振してしまうので、図の例でもゲインはかなり小さく設定しており、位相交点(位相が−180°になる点)におけるゲイン余裕が約30dBと非常に大きくなっている。このことは、空気ばね20によって発生する制御力が小さく、これによる振動の減殺効果が不足することを意味する。
これに対し、この実施形態では、制振ユニット3を機器Dの塔部d2に横向きに取り付けて、その塔部d2の揺動による共振を減殺するような逆位相の制御力を付加するようにしており、これにより共振点Rの振幅、即ち共振倍率を低下させることができる。制振ユニット3は一般にアクティブ・マス・ダンパ(Active Mass Damper:AMD)と呼ばれるもので、可動質量33をリニアモータ32により駆動し、その反力を機器Dに付加するようになっている。
−制振ユニット−
以下に、制振ユニット3の構造について詳しく説明する。図5に拡大して断面で示すように、この実施形態の制振ユニット3は、円筒状ケース30の基端(図の左端)に例えば矩形状の基板30aが配設されて、機器Dの塔部d2の周壁に締結される一方、ケース30の先端には円板状の蓋部材30bが取り付けられている。ケース30の周壁部分は、基端側の概略半分である基半部材30cと、残りの半分のうちの先端側を構成する先端部材30dと、それらの中間の中間部材30eとに3分割されている。
また、ケース30の内部は2つの区画壁30f,30gによって中心軸線Xの方向に概略3等分されており、図では左側の第1区画壁30fと基板30aとの間の第1区分空間に加速度センサ31(第3振動センサ)が収容されている。この加速度センサ31は、基板30aに固定されて、機器Dの塔部d2の水平方向の加速度x″を直接的に検出するようになっている。
また、前記第1区画壁30fと第2区画壁30gとの間の第2区分空間にはリニアモータ32が収容されている。このリニアモータ32のケースは第2区画壁30gに固設されており、この第2区画壁30gの貫通穴に挿通されたロッドがケース30の中心軸線Xに沿って反対側の、即ち第2区画壁30gと蓋部材30bとの間の第3区分空間に突出している。
そうしてリニアモータ32のロッドが突出する第3区分空間には、可動質量33が収容されて、2枚の板ばね34,34によりケース30に対して軸線X方向に移動可能に保持されている。可動質量33は、略円筒状の本体部とそれを貫通する軸部とからなり、この軸部の両端がそれぞれ板ばね34,34の中心部に貫通状態で固定されている。特に第2区画壁30gに近い方(図の左方)では可動質量33の軸端がリニアモータ32のロッドの先端に連結されている。
尚、板ばね34は、詳細は図示しないが円盤状をなし、中心部及び外周部の所定範囲を除いた径方向の中間部位に複数の貫通溝が形成されたものである。可動質量33は、2枚の板ばね34,34によってケース30の軸線X方向には移動可能に、また、軸線Xに直交する方向には殆ど移動しないように支持されており、リニアモータ32によって軸線x方向に駆動されるときにも殆ど揺動することはない。
前記の如く構成された制振ユニット3の作動、即ちリニアモータ32による可動質量33の駆動は、この実施形態では制振ユニット3とは別体のAMDコントローラ4によって行われる。具体的には、図6に一例を示すようにAMDコントローラ4は、加速度センサ31からの信号(加速度x″)を入力し、これを2回積分して得られる変位xに対しゲインB1を乗算するとともに、加速度x″を1回積分した速度x′にゲインB2を乗算し、また、加速度x″に制御ゲインB3を乗算した上で、それらを合算して求めた制御量を増幅して、リニアモータ32へ入力する。
つまり、機器Dの塔部d2の局所的な共振の状態が加速度センサ31により検出され、その出力信号を受けたAMDコントローラ4により加速度x″、速度x′及び変位xに基づいてリニアモータ32が制御され、このリニアモータ32の作動により可動質量33が駆動されて、その反力がリニアモータ32及びケース30を介して機器Dに付加される。
前記の制御においては速度x′のフィードバックが基本であり、これは制振ユニット3によって主振動系に減衰を付加するという意味を持つ。制振ユニット3を付加することによって除振台Aは2自由度の振動系になるが、速度x′のフィードバック制御によって減衰が加わり、機器Dの塔部d2の共振を抑えることができる。また、加速度x″のフィードバックによって高周波側の性能が向上し、さらに変位xのフィードバックによって低周波数側でも性能が向上する。
したがって、この実施形態に係る除振台Aでは、定盤1に上載した機器Dの塔部d2、即ち局所的な共振の生じる部位に制振ユニット3を取り付けて、これにより塔部d2の共振を効果的に抑制することができる。すなわち、制振ユニット3を取り付けた場合のフィードバック制御の開ループ伝達関数は、図7に破線のグラフで示すようになり、制振ユニット3のないもの(図4参照)に比べて共振点Rにおける振幅が大幅に小さくなっていることが分かる。
よって、同図に実線のグラフで示すようにフィードバックゲインを大きくしても発振する虞れはなく、この図の例では、位相交点におけるゲイン余裕が約5〜10dBと適切な値になるまで、フィードバックゲインを大きく設定している。こうしてフィードバックゲインを大きくすれば、空気ばね20によって発生する制御力も大きくなり、この制御力によって除振対象物の振動を効果的に減殺することが、即ちアクティブ制御の性能を十分に発揮させることができる。
また、この実施形態では、機器Dの塔部d2の共振を抑えるための制振ユニット3に一体に加速度センサ31を配設しており、このユニットを塔部d2に取り付ければ、別途、センサを配置する必要もなく、前記した効果が容易且つ確実に得られるものである。
−他の実施形態−
尚、本発明に斯かる除振台Aや制振ユニット3の構成は、前記した実施形態のものに限定されず、それ以外の種々の構成も包含する。すなわち、前記の制振ユニット3には加速度センサ31も一体に設けているが、これは制振ユニット3とは別に例えば機器Dに直接、配置することもできる。振動状態を検出するためのセンサとしては、加速度センサに限らず、例えば速度センサや変位センサを用いることもできる。
また、前記制振ユニット3では可動質量33を板ばね34,34によってケース30に保持しているが、これに限らず、例えば金属製及びゴム製の環状部材を径方向に交互に積層してなる積層弾性体を用いることもできるし、磁気ベアリングやエアベアリング等を利用することもできる。
また、制振ユニット3は、必ずしも図1のように水平方向に配置する必要はなく、その長手方向、即ち制振方向を上下方向としてもよいし、斜めにすることもできる。
さらに、図示しないが、制振ユニット3のケース30に位置センサを配設して可動質量33の位置を検出し、この位置を加味してリニアモータ32を制御するようにしてもよい。例えば中立位置からの変位量に応じて可動質量33を駆動するようにすれば、この駆動力によって制振ユニット3の振動系(主系に対する付加振動系)のばね定数を見かけ上、変えることができ、その固有振動数を最適化することも可能になる。
さらにまた、前記の実施形態の除振台Aは、定盤1を空気ばねユニット2,2,…により支持しているが、空気ばねに代えて空気以外の気体を封入した気体ばねを用いることもできるし、コイルばね等、気体ばね以外のばね要素を用いることもできる。また、第1アクチュエータとして空気ばねを利用する必要もなく、例えばリニアモータ等、電磁式のアクチュエータを設けてもよい。
また、前記実施形態では、図3に示すように、空気ばね20を用いた振動や高さの制御をPID制御則のような古典制御の手法によって実現しているが、これに限らず、現代制御理論(状態フィードバック、LQ制御やH∞制御等)の手法を適用することもできる。
一例として図8に変位制御部27cを変更した例を示すと、まず、フィードバック振動制御部27aを含めた制御対象(サーボ弁28、空気ばね20及び除振対象物1,D)のノミナルモデルPnを設定し、このノミナルモデルの逆関数Pn−1に変位センサ25からの信号を入力して、制御量U3の位置での外乱を推定する。
そして、前記外乱の推定入力値から元々の制御量の分を減算して外乱のみを抽出し、さらに相補感度関数Tを通過させて安定化した上で、フィードバックする。こうすれば、変位制御部27cは、制御対象からの出力に基づいて該制御対象への外乱入力を推定する外乱オブザーバとしての機能を有し、この変位制御部27cにより演算される制御量U3は、外乱をちょうど打ち消すようなものとなる。よって、このようなフィードバック制御を行うことで、前記実施形態のものと同等、或いはそれ以上に適切な制御力を発生させることができる。
以上、説明したように、本発明に係るアクティブ除振装置は、除振対象物の所定部位に制振ユニットを取り付けて局所的な共振を抑制することで、気体ばねの内圧等の制御による本来のアクティブ制御の効果を十分に高めることができるものであり、例えば半導体関連の装置や電子顕微鏡等の精密機器を搭載する精密除振台に好適である。
実施形態に係る除振台の概略構成を示す模式図である。 空気ばねユニットの概略構成を示す模式図である。 空気ばねユニットの制御ブロック図である。 制振ユニットを配設しない場合のフィードバック制御の開ループ伝達関数を示す特性図である。 制振ユニットの概略構成を示す断面図である。 制振ユニットの制御ブロック図である。 制振ユニットを配設した場合についての図4相当図である。 変位制御部に現代制御理論を適用した場合の図3相当図である。
A 除振台(アクティブ除振装置)
D 機器(除振対象物)
1 定盤(除振対象物)
2 空気ばねユニット
20 空気ばね(第1のアクチュエータ)
24 加速度センサ
25 変位センサ
26 加速度センサ(基礎側の第2振動センサ)
27 コントローラ(制御手段)
28 サーボ弁(制御手段)
3 制振ユニット(制振機構)
31 加速度センサ(第3振動センサ)
32 リニアモータ(第2のアクチュエータ)
33 可動質量

Claims (2)

  1. 除振対象物を複数のばね要素によって支持するとともに、その複数のばね要素のうちの少なくとも1つに第1のアクチュエータを設け、この第1アクチュエータを前記除振対象物の振動状態に基づいて制御することにより、当該除振対象物にその振動を減殺するような制御力を付加するようにしたアクティブ除振装置であって、
    前記除振対象物は、機器と、当該機器が搭載される定盤とを備えるものであり、
    除振対象物の振動状態を検出する第1振動センサと、
    除振対象物の支持されている基礎側の振動状態を検出する第2振動センサと、
    前記機器の局所的な共振状態を検出するための第3振動センサと、
    前記第1振動センサからの信号を受けて、前記除振対象物の振動を減殺する制御力を付加するように、且つ、前記第2振動センサからの信号を受けて、前記基礎側から除振対象物に伝達する振動を減殺する制御力を付加するように、第1アクチュエータを制御する制御手段と、を備え、
    前記機器において局所的な共振の生じる部位乃至その近傍には、可動質量と、第3振動センサにより検出された機器の局所的な共振状態に応じて、該機器の共振を抑えるように、該可動質量を駆動してその反力を前記機器に作用させる第2のアクチュエータと、を備えた制振機構が配設されていることを特徴とするアクティブ除振装置。
  2. 制振機構は、ケース内に可動質量と第2アクチュエータとを収容するとともに、機器の振動状態を検出するための第3振動センサも収容した制振ユニットである、請求項1に記載のアクティブ除振装置。
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