JP5243464B2 - プラスチックの分解・回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックを亜臨界水で分解してその分解生成物を回収するプラスチックの分解・回収方法に関するものである。
従来、プラスチック廃棄物はそのほとんどが埋立処分あるいは焼却処分されており、資源として有効活用されていなかった。また、埋立処分では、埋立用地の確保が困難であることや埋立後の地盤が不安定化するといった問題点があり、一方、焼却処分では、炉の損傷、有機ガスや悪臭の発生、COの発生といった問題点があった。
そのため、平成7年に容器包装廃棄法が制定され、プラスチックの回収再利用が義務付けられるようになった。さらに、各種リサイクル法の施行にともない、プラスチックを含む製品の回収リサイクルの流れは加速する傾向にある。
これらの状況に合わせて、近年、プラスチック廃棄物を再資源化することが試みられており、その一つとして、超臨界水または亜臨界水を反応媒体としてプラスチックを分解・回収する方法が提案されている(特許文献1〜5参照)。
しかしながら、これらの方法ではプラスチックがランダムに分解されるために、一定品質の分解生成物を得ることが困難であった。
この問題点を解決する技術として、多価アルコールと多塩基酸からなるポリエステルを架橋剤で架橋した熱硬化性樹脂を、アルカリを含有する亜臨界水を用いて熱硬化性樹脂の熱分解温度未満で分解させる技術が提案されている(特許文献6参照)。この技術によれば、熱硬化性樹脂の原料として再利用できるモノマーと共に、架橋剤と二塩基酸の共重合体(例えば、スチレンフマル酸共重合体)が得られる。
特表昭56−501205号公報 特開昭57−4225号公報 特開平5−31000号公報 特開平6−279762号公報 特開平10−67991号公報 国際公開WO2005/092962号パンフレット
しかしながら、この方法では架橋剤二塩基酸共重合体を得ることはできるものの、以下のような課題があった。特許文献6では、アルカリとして水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを用いている。このうち、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを用いた場合、このものは水溶性であり、亜臨界水分解反応により生成した架橋剤二塩基酸共重合体は塩としてアルカリ性を示す水溶液(pH12.5〜13)中に溶解した状態で存在する。そのため、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等の無機充填材やガラス繊維等の無機物を含むプラスチックを亜臨界水で分解した場合、生成した架橋剤二塩基酸共重合体を含む水溶液と無機物とを固液分離して分離液を回収する工程が必要となる。そしてその分離工程では分離液に含まれる架橋剤二塩基酸共重合体がロスする等の問題があった。さらに、分離液に酸を加えて架橋剤二塩基酸共重合体を析出させ、固液分離して固形分を回収する工程が必要となり、その分離工程の際にも架橋剤二塩基酸共重合体がロスする等の問題があった。このため、生成した架橋剤二塩基酸共重合体の回収率が十分とはいえなかった。また、架橋剤二塩基酸共重合体を回収した後の水溶液は架橋剤二塩基酸共重合体以外の樹脂溶解分と塩を含有しているため、廃水処理やその水溶液の再利用のための処置がさらに必要になるという問題があった。アルカリとして水酸化カルシウムを用いた場合、このものは難水溶性であり、亜臨界水分解反応により生成した架橋剤二塩基酸共重合体は水溶液中に溶解せず固形分中から回収できる。しかしながら、水溶液は強アルカリ性(pH12.5付近)を示すため、廃水処理やその水溶液の再利用のための処置がさらに必要になるという問題があった。アルカリとして難水溶性である炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを用いた場合、水溶液は中〜弱アルカリ性(pH8〜9)を示すが、水酸化カルシウムを用いた場合と比較して架橋剤二塩基酸共重合体の回収率が低くなるという問題があった。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、プラスチックの分解生成物であるスチレンフマル酸共重合体等の架橋剤二塩基酸共重合体を効率よく回収することができ、しかも架橋剤二塩基酸共重合体を回収した後の水溶液の再利用を容易にしたプラスチックの分解・回収方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、ポリエステル部とその架橋剤を含む熱硬化性樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムを含有するプラスチックを亜臨界水で分解して熱硬化性樹脂のポリエステル部とその架橋剤を構成する有機酸の化合物である架橋剤二塩基酸共重合体を回収するプラスチックの分解・回収方法であって、以下の工程を含む。前記プラスチックを、アルカリ金属硫酸塩共存下に熱硬化性樹脂の熱分解温度未満の温度の亜臨界水で分解する工程(A)。得られた分解生成物を固液分離して、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を含む固形分を回収する工程(B)。回収した固形分に酸および水を加えた後、これを固液分離して架橋剤二塩基酸共重合体を含む固形分を回収する工程(C)。回収した固形分を、架橋剤二塩基酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、架橋剤二塩基酸共重合体を当該溶媒に溶解して回収する工程(D)。
第2に、上記第1のプラスチックの分解・回収方法において、工程(B)において分解生成物を固液分離した液体成分を回収し、これを用いてプラスチックを亜臨界水分解する。
上記第1の発明によれば、水溶性である硫酸カリウム(KSO)や硫酸ナトリウム(NaSO)等のアルカリ金属硫酸塩をプラスチックに加えて亜臨界水で分解することにより、加水分解が促進される。分解生成物として非水溶性の塩であるスチレンフマル酸共重合体等の架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩が効果的に得られる。このものは亜臨界水によるプラスチックの分解生成物の液体成分に溶解しておらず、当該液体成分との分離の際に架橋剤二塩基酸共重合体のロスを抑えることができる。分解生成物の液体成分は中性であり、取り扱いが容易である。また、分解生成物の液体成分から架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を分離したときの分離液を再度亜臨界水として利用することができる。
そして、回収した架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を含む固形分に酸および水を加えた後、これを固液分離して架橋剤二塩基酸共重合体を含む固形分を回収する。さらに架橋剤二塩基酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、架橋剤二塩基酸共重合体を溶解することによって、効率よく架橋剤二塩基酸共重合体を回収することができる。また、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を含む固形分に酸および水を加えて固液分離した後の分離液を、架橋部酸共重合体のカルボン酸塩を含む固形分に加える酸水溶液として再利用することができる。
上記第2の発明によれば、亜臨界水分解後に固液分離して得られた液体成分には、架橋剤二塩基酸共重合体が含まれておらず、添加したアルカリ金属硫酸塩はその分解前後で水溶液中に溶解した状態で存在している。このため、前記液体成分に新たにアルカリ金属硫酸塩を添加することなく亜臨界水として再利用することができる。
本発明の一実施形態である熱硬化性樹脂の分解・回収方法の操作を工程順に示したフローチャートである。 スチレンフマル酸のカルボン酸塩と、これに酸を加えた後の状態を示した図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において分解・回収の対象となるプラスチックは、無機充填材として炭酸カルシウムを含有する熱硬化性樹脂であり、この熱硬化性樹脂はポリエステルを架橋して得られたものであり、ポリエステル部とその架橋剤を含むものである。
ポリエステル部は、多価アルコールと多塩基酸とを重縮合させることにより多価アルコール残基と多塩基酸残基とがエステル結合を介して互いに連結したポリエステルに由来する。ポリエステル部は、不飽和多塩基酸に由来する二重結合を含んでいてもよい。
熱硬化性樹脂に含まれる架橋剤は、ポリエステル部を架橋する部分である。架橋剤とポリエステル部の結合位置および結合様式も特に限定されない。
したがって、「ポリエステル部とその架橋剤を含む熱硬化性樹脂」とは、多価アルコールと多塩基酸から得られるポリエステルが架橋剤を介して架橋された網状の熱硬化性樹脂(網状ポリエステル樹脂)である。このような熱硬化性樹脂としては、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、いかなる態様の樹脂であってもよい。すなわち、樹脂の種類と構造、架橋剤の種類、量および架橋度等に制限はない。
本発明が適用される熱硬化性樹脂は、主として加熱等により硬化(架橋)された樹脂であるが、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、加熱等により硬化(架橋)が進行する未硬化の樹脂または部分的に硬化された樹脂であってもよい。
本発明が好適に適用される熱硬化性樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステルが架橋剤により架橋された網状ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル部の原料である多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
ポリエステル部の原料である多塩基酸の具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和二塩基酸等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。また、無水フタル酸等の飽和多塩基酸を不飽和多塩基酸と併用してもよい。
多価アルコールと多塩基酸の共重合体であるポリエステルを架橋する架橋剤には、スチレンやメタクリル酸メチル等の重合性ビニルモノマー等が挙げられる。
また、本発明において分解・回収の対象となるプラスチックには、無機充填材としての炭酸カルシウム以外に水酸化アルミニウム等の無機充填材や、ロービングを切断したチョップドストランド等のガラス繊維等の無機物や、その他の成分が含有されていてもよい。
本発明では、以下の工程(A)〜(D)により、上記のプラスチックを分解して分解生成物を回収する。以下に、図1のフローチャートを参照しながら本発明の方法を工程順に説明する。
最初に、プラスチックにアルカリ金属硫酸塩と水を加え、温度と圧力を上昇させて水を亜臨界状態にしてプラスチックを分解する(工程(A))。プラスチックに対する水の添加量は、プラスチック100質量部に対して好ましくは200〜500質量部の範囲である。アルカリ金属硫酸塩としては、例えば、硫酸カリウム(KSO)や硫酸ナトリウム(NaSO)等を挙げることができ、少なくとも1種を選択して亜臨界水に添加する。アルカリ金属硫酸塩は、分解反応の触媒として作用し、分解によって得られるスチレンフマル酸共重合体等の架橋剤二塩基酸共重合体がカルボン酸塩として水中に溶解せず、固体として生成させるための触媒である。アルカリ金属硫酸塩の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50質量部〜200質量部の範囲とすることができる。
亜臨界水によるプラスチックの分解処理は、一般的に熱分解反応および加水分解反応によって起こるものであり、多価アルコールと多塩基酸を含む原料により製造された熱硬化樹脂においても同様であるが、加水分解反応が支配的になる。亜臨界水の温度や圧力を適切な条件とすることにより、選択的に加水分解反応が起こり、熱硬化性樹脂のポリエステル部がその由来の原料であるモノマー(多価アルコールと多塩基酸)に分解される。また、ポリエステル部とその架橋剤を構成する部分が有機酸の化合物であるスチレンフマル酸共重合体等の架橋剤二塩基酸共重合体に分解される。なお、ポリエステル部とその架橋剤を構成する有機酸の化合物とは、ポリエステル部の多塩基酸と架橋剤との化合物(反応物)である。例えば、ポリエステル部がフマル酸基を有し、架橋剤がスチレンポリマーである場合、上記化合物としてスチレンフマル酸共重合体が得られる。したがって、本発明においても、上記のプラスチックを亜臨界水に接触させて処理することにより、多価アルコールと多塩基酸および架橋剤二塩基酸共重合体に分解することができる。分解して得られた多価アルコールと多塩基酸は、回収してプラスチックの製造原料として再利用することができる。
本発明において「亜臨界水」とは、水の温度が水の臨界温度(374.4℃)以下であって、且つ、温度が140℃以上であり、その時の圧力が0.36MPa(140℃の飽和蒸気圧)以上の範囲にある状態の水をいう。この場合、イオン積が常温常圧の水の約100〜1000倍になる。また、亜臨界水の誘電率は有機溶媒並みに下がることから、亜臨界水の熱硬化性樹脂表面に対する濡れ性が向上する。これらの効果によって加水分解が促進され、熱硬化性樹脂をモノマー化および/またはオリゴマー化することができる。
本発明において、分解反応時における亜臨界水の温度は、熱硬化性樹脂の熱分解温度未満であり、好ましくは180〜270℃の範囲である。分解反応時の温度が180℃未満であると、分解処理に多大な時間を要するため処理コストが高くなる場合があり、さらに架橋剤二塩基酸共重合体の収率が低くなる傾向がある。分解反応時の温度が270℃を超えると、架橋剤二塩基酸共重合体の熱分解が著しくなり、架橋剤二塩基酸共重合体が低分子化されて架橋剤二塩基酸共重合体として回収することが困難になる傾向がある。亜臨界水による処理時間は、反応温度等の条件によって異なるが、通常は1〜4時間である。分解反応時における圧力は、反応温度等の条件によって異なるが、好ましくは2〜15MPaの範囲である。
以上のように、アルカリ金属硫酸塩を添加した亜臨界水でプラスチックを分解することで、分解反応により生成した架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩は、水不溶成分として析出する。この架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩は、プラスチックに含まれる炭酸カルシウムをはじめ、ガラス繊維等の他の無機物や、未分解の熱硬化性樹脂とともに固形分として回収される。一方、分解反応により生成したポリエステル由来のモノマー(多価アルコールと多塩基酸)は、水可溶成分として架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩等の固形分と分離される。
次に、図1にも示すように、得られた分解生成物を固液分離して、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を含有する固形分を回収する(工程(B))。
具体的には、亜臨界水と分解生成物を含む反応容器を冷却した後、ろ過等の方法で容器の内容物を固液分離する。これにより、架橋剤二塩基酸共重合体のカルシウム塩は、プラスチックに含まれていた炭酸カルシウムをはじめ、他の無機物、例えば、水酸化アルミニウム、ガラス繊維や、未分解の熱硬化性樹脂等と共に固形分として分離される。
一方、モノマー成分である多価アルコールと多塩基酸を溶解している水溶液が分離ろ液(液体成分)として分離される。この分離ろ液は、多価アルコールと多塩基酸を含有したまま亜臨界水として他のプラスチックの分解に再利用することができる。しかも、繰り返し再利用することで、それぞれの分解反応時に生成する多価アルコールと多塩基酸を順次水溶液中に溶解させて、多価アルコールと多塩基酸を高濃度で回収することも可能である。さらにこの分離ろ液は、アルカリ金属硫酸塩が溶解した状態であり、亜臨界水分解による消費がないことから、亜臨界水として再利用する場合には新たにアルカリ金属硫酸塩を添加する必要がない。
次に、図1にも示すように、工程(B)で回収した固形分(固形物)に塩酸等の酸と水の混合物を加えて架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を架橋剤二塩基酸共重合体へ変化させた後、架橋剤二塩基酸共重合体を含む固形分(固形物)を回収する(工程(C))。
具体的には、分解後の固形分中に存在する架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩は図2に示すような状態で存在している。なお、図2では架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩としてスチレンフマル酸共重合体のカルボン酸塩を用いて説明している。スチレンフマル酸共重合体のカルボン酸塩は、スチレン骨格とフマル酸骨格とを有し、カルボキシル基に金属Mが結合した状態(−COO−M−OOC−)のカルボン酸塩であり、非水溶性を示すものである。なお、金属Mは炭酸カルシウム由来のカルシウム(Ca)である。この状態では、後述する溶媒への溶解が困難である。このため、酸を加えて、金属Mを介して閉環しているスチレンフマル酸共重合体のカルボン酸基を開環させ、溶媒への溶解が可能なスチレンフマル酸共重合体とする。そして、これを固液分離して、スチレンフマル酸共重合体を含む固形分と水溶液とに分離する。
分解・回収の対象が炭酸カルシウムを含有する熱硬化性樹脂である場合には、上記の反応と共に、固形分中の炭酸カルシウムを水溶性カルシウム塩として水中に溶解させることが必要である。使用する酸としては、水溶性カルシウム塩を生成させるものであれば、塩酸以外のものであってもよい。
工程(C)で分離した水溶液(ろ液)は、再度、工程(C)に用いられる酸と水の混合物(酸水溶液)として、工程(B)で回収した固形分に加えて架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を架橋剤二塩基酸共重合体へ変化させるために再利用することができる。繰り返し再利用することにより溶解している塩濃度が高くなった場合には、水を蒸発させて塩を回収する。蒸発させた水は再利用することができる。
次に、図1にも示すように、工程(C)で回収した固形分をアセトン等の溶媒に接触させて固形分の架橋剤二塩基酸共重合体を溶解させ、架橋剤二塩基酸共重合体を回収する(工程(D))。
具体的には、架橋剤二塩基酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒を上記固形分に供給し、常温で攪拌して架橋剤二塩基酸共重合体を前記溶媒に溶解させ、、固形分中の他の無機物や未分解の熱硬化性樹脂から分離する。
このような架橋剤二塩基酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒は、分解生成物の固形分から架橋剤二塩基酸共重合体を溶解させるために用いられる。具体例としては、アセトン、THF、メタノール、オクタノール、クロロホルム等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびジプロピレングリコールからなるグリコール類と、無水マレイン酸とを等モル量で重縮合させて不飽和ポリエステルを合成した。この不飽和ポリエステルのワニス(溶媒未添加)に架橋剤のスチレンを等量配合した液状樹脂100質量部に、炭酸カルシウム165質量部とガラス繊維90質量部を配合し、これを硬化させて不飽和ポリエステル樹脂成形品(以下、「プラスチック」という)を得た。
このプラスチック4gと、純水16gと、硫酸カリウム1.0g(0.0055mol)を反応管に仕込み、260℃の恒温槽に浸漬し、反応管内の純水を亜臨界状態にして4時間浸漬したまま放置し、プラスチックの分解処理を行った。
その後、反応管を恒温槽から取り出して冷却槽に浸漬し、反応管を急冷して室温まで戻した。分解処理後の反応管の内容物は、水可溶成分と、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩と炭酸カルシウムとガラス繊維を含む固形分であり、この内容物をろ過することにより固形分を分離して回収した。
次に回収した固形分を塩酸に浸漬して、固形分中の炭酸カルシウムを溶解させた。またこの固形分の塩酸への浸漬により、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩のカルボン酸基を閉環しているカルシウムと塩酸が反応し、開環して、架橋剤二塩基酸共重合体となる。
この架橋剤二塩基酸共重合体とガラス繊維を含む固形分を固液分離して回収した。そして、その固形分をアセトン20mLに浸漬させて、ろ過することにより、アセトン溶解物(架橋剤二塩基酸共重合体)とアセトン未溶解物(ガラス繊維)に分離した。アセトン溶解物の重量を測定し、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率を下記式により算出した。
回収率(%)=(アセトン溶解物の量)/(プラスチックに含有する架橋剤二塩基酸共重合体の量)×100
試験条件、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率の結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、硫酸カリウムの量を1.9g(0.011mol)にした以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、架橋剤二塩基酸共重合体を回収した。試験条件、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率の結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において硫酸カリウムの量を1.0g(0.0055mol)の代わりに、硫酸ナトリウムの量を0.8g(0.0055mol)にした以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、架橋剤二塩基酸共重合体を回収した。試験条件、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率の結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例3において硫酸ナトリウムの量を1.6g(0.011mol)にした以外は実施例3と同様の条件で試験を行い、架橋剤二塩基酸共重合体を回収した。試験条件、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率を表1に示す。
<比較例>
実施例1において、硫酸カリウムを使用しなかった以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、架橋剤二塩基酸共重合体を回収した。試験条件、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率の結果を表1に示す。
Figure 0005243464
表1の結果より、アルカリ金属硫酸塩を添加した亜臨界水でプラスチックを分解することにより(実施例1−4)、アルカリ金属硫酸塩を添加しない亜臨界水で分解した比較例と比べて、架橋剤二塩基酸共重合体の回収率を向上させることができることを確認した。

Claims (2)

  1. ポリエステル部とその架橋剤を含む熱硬化性樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムを含有するプラスチックを亜臨界水で分解して熱硬化性樹脂のポリエステル部とその架橋剤を構成する有機酸の化合物である架橋剤二塩基酸共重合体を回収するプラスチックの分解・回収方法であって、
    前記プラスチックを、アルカリ金属硫酸塩共存下に熱硬化性樹脂の熱分解温度未満の温度の亜臨界水で分解する工程(A)と、得られた分解生成物を固液分離して、架橋剤二塩基酸共重合体のカルボン酸塩を含む固形分を回収する工程(B)と、回収した固形分に酸および水を加えた後、これを固液分離して架橋剤二塩基酸共重合体を含む固形分を回収する工程(C)と、回収した固形分を、架橋剤二塩基酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、架橋剤二塩基酸共重合体を当該溶媒に溶解して回収する工程(D)とを含むことを特徴とするプラスチックの分解・回収方法。
  2. 工程(B)において分解生成物を固液分離した液体成分を回収し、これを用いてプラスチックを亜臨界水分解することを特徴とする請求項1に記載のプラスチックの分解・回収方法。
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