特許文献1に開示された歯科用バキュームタンク洗浄装置の場合、水だけによる洗浄であるため洗浄能力が弱く、ましてや、バキュームタンク内の滅菌効果は期待できないものであり、しかも、前記吸引インスツルメント及びこれに関連するバキューム管路の洗浄は意図していないので、患者の口腔内に挿入して使用されるこの種インスツルメントにおいては、衛生管理上の不充分さがあることは否めなかった。また、特許文献2に開示されたバキューム管路等の洗浄方法の場合、前記注水手段を備えたインスツルメントから排出される洗浄水を、バキュームシリンジやサライバエジュクターで吸引して、当該インスルメントと関連するバキューム管路、及びバキュームタンクを洗浄するものであるが、これらの洗浄は前記注水手段を備えたインスツルメントの洗浄汚水でなされるから、洗浄効果の点で満足し得るとは言い難いという指摘があった。更に、特許文献3に開示されたバキューム管路等の洗浄方法の場合、一定量の水道水をバキュームシリンジやサライバエジュクターで吸引して洗浄を行うものである為、バキューム管路内のバイオフィルムが充分には除去され難く、悪臭等が発生する懸念があった。
また、薬剤を用いてバキューム管路等の洗浄を行うことも提案されている。この場合、殆んど、薬液を用いるものであるが、市販のこの種薬剤は粉末状である為、歯科医等においてはバキューム管路等の洗浄を行う際に、その都度粉末薬剤を水で溶かし、これを装置にセットするという煩わしい作業が余儀なくされていた。
本発明は、前記に鑑みなされたものであり、バキューム管路、更にはバキュームタンクを、薬剤で洗浄することにより洗浄効果を高め、加えて、洗浄薬液の調製の煩わしさをなくするようにしたバキューム管路洗浄装置と、これを用いた歯科用診療装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るバキューム管路洗浄装置は、吸引診療器具と、該吸引診療器具に接続されたバキューム管路と、洗浄水を貯留する洗浄タンクとを含むバキューム管路洗浄装置であって、前記洗浄タンクは、該洗浄タンクに対して薬剤を定量供給する為の薬剤供給手段と、給水手段と、圧縮空気導入手段と、前記吸引診療器具の先端部を差込装着し得る差込口とを備え、前記洗浄タンクにおいて、前記圧縮空気導入手段からの圧縮空気の導入により前記薬剤供給手段から供給される薬剤と前記給水手段からの水とを混合撹拌して薬液混合洗浄水を生成し、且つ、前記差込口に差込装着された吸引診療器具および前記バキューム管路を介して前記薬液混合洗浄水を吸引するよう構成されていることを特徴とする。
本発明において、前記バキューム管路の途中に、更にバキュームタンクを配設し、前記バキュームタンクと前記診療器具との間の前記バキューム管路から分岐管路を分岐させ、該分岐管路の先端部を前記洗浄タンク内に臨ませ、該分岐管路を介して、洗浄タンク内の前記薬液混合洗浄水を吸引し得るよう構成しても良い。
また、本発明において、前記薬剤供給手段が、薬剤を貯留する薬剤タンクと、該薬剤タンクの下端に連設された薬剤定量排出バルブとよりなるものとし、更に、この薬剤タンクに貯留される薬剤として、粉末薬剤を用いるようにしても良い。粉末薬剤としては、弱アルカリ性の過炭酸ナトリウムが望ましく用いられ、その他、主成分が水酸化ナトリウム、塩素系、リン酸、過炭酸塩リン酸塩等の薬剤が使用される。この場合、薬剤タンクは、外部からの水滴及び湿気の浸入を防止する蓋体を備えているものとすることが望ましい。
また、本発明のバキューム管路洗浄装置において、制御手段及び報知手段を更に備え、前記薬剤タンクは、該薬剤タンク内の薬剤残量を検出する薬剤残量検出手段を有し、前記制御手段は、薬剤残量検出手段からの薬剤残量検出情報に基づき、前記報知手段をしてその旨の報知を行わせるよう制御するようにしても良い。報知手段としては、音、光、ディスプレイ表示等のいずれか、或いはこれらの組み合わせによるものが採用される。
第2の発明に係る歯科用診療装置は、患者が着座乃至仰臥する歯科用診療台と、前記いずれかのバキューム管路洗浄装置とを備え、前記吸引診療器具が歯科吸引診療器具であって、該歯科吸引診療器具及び前記薬剤供給手段が前記歯科用診療台に付設されていることを特徴とする。
第1の発明に係るバキューム管路洗浄装置によれば、前記洗浄タンクにおいて、前記薬剤供給手段から定量供給される薬剤と、前記給水手段からの水とを混合して薬液混合洗浄水が生成される。そして、洗浄タンクに備えられた前記差込口に、前記吸引診療器具を差込装着させた上で、該吸引診療器具および前記バキューム管路をして前記薬液混合洗浄水を吸引することにより、該吸引診療器具およびバキューム管路内が薬液混合洗浄水によって消毒・洗浄され、これにより、バイオフィルムが除去され、悪臭等が発生する懸念も払拭される。吸引診療器具およびバキューム管路内には付着物が発生しないから、これら吸引診療器具による吸引量を所期の状態に常に維持することができる。また、洗浄タンクに対して薬剤供給手段によって薬剤を定量供給するよう構成されているから、バキューム管路の洗浄作業毎に薬剤を調製するような煩わしい作業も不要とされる。
前記バキューム管路の途中に、バキュームタンクを配設した場合、前記薬液混合洗浄水を吸引して洗浄する際、該バキュームタンクによって気液が分離され、洗浄汚水が一時的にバキュームタンクに貯留される。また、この薬液混合洗浄水の吸引による洗浄の際、バキュームタンク内も洗浄される。そして、この場合、前記バキュームタンクと前記診療器具との間の前記バキューム管路から分岐管路を分岐させ、該分岐管路の先端部を前記洗浄タンク内に臨ませるようにすれば、該分岐管路をして、洗浄タンク内の前記薬液混合洗浄水を吸引することができ、これにより、バキュームタンクとこれに関連するバキューム管路のみの洗浄も可能とされる。
前記洗浄タンクが、圧縮空気導入手段を更に備えているので、該圧縮空気導入手段から圧縮空気を洗浄タンク内に導入することにより、前記薬剤と水との混合攪拌が効率的になされ、薬液混合洗浄水が均質に生成される。特に、薬剤として粉末薬剤を用いる場合、圧縮空気の導入による薬剤の混合攪拌がより効果的になされる。
前記薬剤供給手段が、薬剤を貯留する薬剤タンクと、該薬剤タンクの下端に連設された薬剤定量排出バルブとよりなるものとした場合、薬剤タンクに複数回洗浄し得る量の薬剤を装填するようにすれば、洗浄作業毎の薬剤の調製や補充作業が不要とされる。そして、薬剤タンクの下端に連設された薬剤定量排出バルブより洗浄タンクに定量の薬剤が供給されるから、洗浄タンクでは給水手段から給水される水の量を調整することにより、所定濃度の薬液混合洗浄水を的確に生成することができる。薬剤タンクに貯留される薬剤として、粉末薬剤を用いるようにした場合、薬剤タンクに対する薬剤の充填がし易く、定量排出バルブからの薬剤の定量排出がより的確になされる。この場合、薬剤タンクが、外部からの水滴及び湿気の浸入を防止する蓋体を備えているものとすれば、一定期間薬剤タンク内に薬剤を貯留させても、薬剤が湿分で固形化するようなこともない。更に、薬剤タンク内の薬剤残量を検出する薬剤残量検出供給手段を設けるようにすれば、薬剤タンク内の薬剤残量が少なくなったときに、報知手段をしてその旨の報知を行わせるよう構成することにより、適宜薬剤の補充を行うことができ、薬剤がなくなり洗浄作業に支障を来たすような事態を未然に防止することができる。
第2の発明に係る歯科用診療装置によれば、前記吸引診療器具が歯科用診療台に付設された歯科吸引診療器具であるから、前記バキューム管路洗浄装置によって、各診療器具及びバキューム管路が常時清潔な状態に保たれ、適正な歯科診療を実施することができる。また、薬剤供給手段も歯科用診療台に付設されているから、薬剤供給手段の管理がし易い。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明のバキューム管路洗浄装置の一実施形態を示す配管系統図、図2は同バキューム管路洗浄装置の制御ブロック図、図3は同バキューム管路洗浄装置による洗浄工程の一形態のタイムチャート図、図4は同バキューム管路洗浄装置による洗浄工程の他の形態のタイムチャート図、図5(a)(b)は同洗浄工程の変形例におけるタイムチャートの一部を示す図、図6は同バキューム管路洗浄装置を備えた歯科用診療装置の斜視図、図7は同バキューム管路洗浄装置に用いられる薬剤供給手段を概念的に示す部分破断斜視図、図8は図7における部分破断X−X線矢視断面図、図9は同バキューム管路洗浄装置に用いられる洗浄タンクの一形態を示す断面図、図10は同バキューム管路洗浄装置に用いられる洗浄タンクの他の形態を示す断面図である。
先ず、図6を参照して本発明に係る歯科用診療装置について概説する。図6に示す歯科用診療装置Aは、患者が着座乃至は仰臥した状態で診療を受けることができる歯科用診療台1と、該診療台1の側部に設置されたスピットン2と、診療台1の背板1cの肩部に保持された複数の歯科用インスツルメント(歯科診療器具)3,3a〜7とを備えている。これら診療用インスツルメント3,3a〜7はいずれも作用媒体管路を内装し背板1c内に繰出し自在に収容されたチューブ(不図示)の先端に接続されている。この診療用インスツルメント3,3a〜7の内、インスツルメント7は歯科吸引診療器具であって、バキュームシリンジであることを示している。また、インスツルメント3,3aはエアタービンハンドピース、インスツルメント4はマイクロモータハンドピース、インスツルメント5はスケーラ、インスツルメント6はスリーウェイシリンジであって、これらはいずれも注水手段を備えている。更に、前記スピットン2の側部からチューブを介して導出され、前記背板1cの係止された歯科吸引診療器具としてのサライバエジェクタ8を備えている。バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8のチューブ内には、作用媒体用管路として、後記する第2及び第3の分岐バキューム管路53,54が内装されている。
歯科用診療台1は、基台1aと、該基台1a上に昇降自在に設置された座板1bと、該座板1bの一端に起伏自在に連接された背板1cと、該背板1cの上端に傾動自在に取付けられたヘッドレスト1dとより構成され、図例では側部にアームレスト1eも備えている。スピットン2は、図例では座板1bの側部に座板1bと共に上下昇降可能に設置されているが、床面に立設されるものであっても良い。スピットン2は、胴部2aと、その上端に設置されたベースン2bと、ベースン2bに設置されたコップ給水栓9とより構成される。このスピットン2の胴部2a内には、後記する洗浄タンク10及び薬剤供給手段12が設置されている。
次に、本発明に係るバキューム管路洗浄装置の管路構成について説明する。図1において、診療用水の水元(給水源、水道水)30に接続された主給水管路31から、前記注水手段を備えたインスツルメント3,3a〜6用の分岐給水管路32と、前記スピットン2のコップ給水栓9用の分岐管路33とが分岐されている。また、コップ給水栓9用の分岐管路33の途中からは、後記する洗浄タンク10に給水する為の薬剤希釈用分岐給水管路34が分岐されている。主給水管路31には、手動の元弁31a、給水元電磁弁31b、除菌フィルタ31c及びウォーマ31d等が配設されている。また、圧縮空気源としてのエア元40に、前記インスツルメント3,3a〜6の駆動用或はチップエア用等の主エア供給管路41が接続され、この主エア供給管路41から、後記する洗浄タンク10内に導入され薬剤を混合攪拌する為の分岐エア供給管路42が分岐されている。主エア供給管路41の途中に、手動の元弁41aが配設され、この元弁41aの下流側には、除菌フィルタ41b等が設けられている。前記薬剤希釈用分岐給水管路34及び分岐エア供給管路42の途中には、夫々電磁弁34a,42aが配設されている。
吸引元(バキュームポンプ)50に接続された主バキューム管路51は、その先側で、後記する洗浄タンク10内を吸引する第1の分岐バキューム管路52、バキュームシリンジ7に接続される第2の分岐バキューム管路53、サライバエジェクタ8に接続される第3の分岐バキューム管路54が分岐している。主バキューム管路51の途中には、吸引元電磁弁51a、バキュームタンク11及びカットフィルタ51b等が配設されている。また、第1〜第3の分岐バキューム管路52〜54の途中には、電磁弁52a〜54aが配設されている。バキュームタンク11は、後記する吸引流体中の気液を分離する為のもので、フロートバルブからなる排水バルブ11aによって、該バキュームタンク11内の液体が所定量になると、排水元60に通じる排水管路61より排出されるよう構成されている。この排水バルブ11aは、後記する洗浄シーケンスに基づき開閉するようにも構成される。通常の歯科診療の際には、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8が夫々のホルダー(不図示)から取外され、フートスイッチ(不図示)を足踏み操作すると、取外されたバキュームシリンジ7又はサライバエジェクタ8に対応する電磁弁53a又は54aが開とされ、口腔内に挿入されたバキュームシリンジ7又はサライバエジェクタ8の先端部から、口腔内の唾液や処理汚物等の吸引がなされる。
尚、前記排水管路61は、スピットン2におけるベースン2bからの排水系及び後記する洗浄タンク10内のオーバーフロー水の排水系とも繋がっている。
前記洗浄タンク10は、前記バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8の先端部を差込装着し得る差込口10a,10bを備え、この差込口10a,10bには、洗浄タンク10内に臨む導入管10c,10dが連結されている。この導入管10c,10d、前記分岐バキューム管路52及び前記分岐エア供給管路42の先端部は、該洗浄タンク10の底部付近にまで及んでいる(図9も参照)。また、洗浄タンク10は、薬剤供給手段12を備え、該薬剤供給手段12の薬剤供給管12aが該洗浄タンク10の上蓋部10eより洗浄タンク10に導入されている。更に、該洗浄タンク10には、前記薬剤希釈用分岐給水管路34が上蓋部10eより導入されている。薬剤供給手段12は、前記粉末薬剤を貯留する薬剤タンク13と、該薬剤タンク13の下端に連設された薬剤定量排出バルブ14とよりなる。該薬剤供給手段12及び洗浄タンク10の詳細については後記する。
図2は、本発明に係るバキューム管路洗浄装置を含む前記管路構成における制御ブロック図である。図2において、CPUからなる制御手段15が、全体の制御を司る。この制御手段15には、前記バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8の前記電磁弁53a,54a、及びバキュームタンク洗浄用の電磁弁52a等を駆動させる為の駆動回路16、管路洗浄スイッチ17、表示手段18、報知手段19、薬剤供給手段12(後記する薬剤定量排出バルブ14の作動用エアシリンダ14a)、攪拌手段(エア供給電磁弁42a)及び残量センサ(薬剤残量検出手段)20が接続されている。管路洗浄スイッチ17は、前記歯科用診療台1(図6参照)の側部に移動可能に設置されるトレーテーブル(不図示)等に設けられ、バキューム管路の洗浄の際にドクター若しくはアシスタント等によって操作される。表示手段18は、同トレーテーブル等に設置され、診療等に関する各種情報が表示される。報知手段19は、後記する薬剤タンク13内の薬剤量が薬剤残量検出手段20によって少なくなったことが検出された場合や、その他の装置での異常を検知した場合等において、その旨の報知を行うべく機能する。
図7及び図8は、薬剤供給手段12を構成する薬剤タンク13及び薬剤定量排出バルブ14の概要を示している。前述の通り、薬剤供給手段12は、スピットン2の胴部2a内に設置され、同じく胴部2a内に設置された洗浄タンク10に薬剤供給管12aを介して連結されている(図1及び図6参照)。図7及び図8において、粉末薬剤が貯留される薬剤タンク13は、下部に下向きの角錐部を備える方形容器からなり、下部がカットされて排出口13aとされている。この排出口13aには、断面が1/4円形状でバケット形に形成されたちょう形弁部材14bと、該弁部材14bに同心同径で添設一体とされた断面1/4円形状の閉塞部材14cと、該弁部材14b及び閉塞部材14cに共通の回動軸14dとよりなる薬剤定量排出バルブ14が装着されている。弁部材14bの下面には、前記エアシリンダ14aの伸縮ロッドの先端が枢着されており、薬剤定量排出バルブ14は、該エアシリンダ14aの伸縮により、前記回動軸14dの軸心周りに90°の角度範囲に亘って回動が可能とされている。図7は、弁部材14bが薬剤タンク13内の薬剤を受容し得る状態にあることを示し、この状態からエアシリンダ14aのロッドが収縮すると、薬剤定量排出バルブ14が回動軸14dの軸心周りに反時計方向に90°回転し、これにより弁部材14bに受容されていた薬剤が前記薬剤供給管12aに落下する。薬剤供給管12aに落下した薬剤は前記洗浄タンク10に供給される。この回転に伴い閉塞部材14cが前記排出口13aを閉塞する。エアシリンダ14aのロッドが伸張すると、薬剤定量排出バルブ14が時計方向に回転し、図7に示す状態に戻り、弁部材14bには薬剤タンク13内の薬剤が受容される。弁部材14bの薬剤受容量は、弁部材14bの内部容積によって定まるから、例えば、この内部容積を後記するバキューム管路の1回の洗浄に必要な量となるよう設計すれば、1回の洗浄毎に前記薬剤供給動作を1回行うよう制御させることができる。薬剤定量排出バルブ14の回転駆動を、例示のようなエアシリンダ14aに代え、ステップモータ等によって行うようにしても良い。
前記薬剤タンク13の上部側面には、薬剤投入用の方形開口13bが開設され、該開口13bに開閉蓋(蓋体)13cが開閉自在に取付けられている。該開閉蓋13cは、下辺において蝶番13dを介して前記開口13bの下辺開口縁部に取付けられ、蝶番13dのヒンジピンを支点として開閉し得るよう構成されている。該開閉蓋13cの外周縁部にはシリコーンゴム等からなるOリング13eが装着され、前記開口13bを閉止した際には、該Oリング13eが開口13bの内周縁部との間に介在して、密封状態の閉止がなされる。これにより、薬剤タンク13内への外部からの水滴及び湿気等の浸入が阻止され、貯留される粉末薬剤の固化の防止が図られる。従って、薬剤タンク13内に複数回の洗浄に見合う量の粉末薬剤を貯留しておいても、粉末薬剤が正常な状態に維持され、洗浄作業に支障を来たすことがない。開閉蓋13cの前面には採手13fが取付けられ、また、両側部には薬剤タンク13内に臨む扇形の側板13gが付設されている。薬剤タンク13への粉末薬剤の投入は、前記採手13fをもって開閉蓋13cを開けることによってなされるが、開閉蓋13cは両側の側板13gによって開角度が規制されて、図8の2点鎖線で示すように傾斜した状態とされる。この傾斜した開閉蓋13cと両側の側板13gとによって投入シュートが形成され、これにより、開口13bより薬剤タンク13内への粉末薬剤の投入が円滑になされる。
前記薬剤タンク13の下部の2箇所に、薬剤残量検出手段20が設置されている。この薬剤残量検出手段20はフィラー式光電センサからなり、発光部20b及び受光部20cを対向関係で備えるセンサ本体20aと、薬剤タンク13の壁部に貫設され上下揺動可能に支持されたセンサフィラー20dとよりなる。センサフィラー20dは、薬剤タンク13内の粉末薬剤が少なく、粉末薬剤の作用を受けない時には、図8の実線位置に示す位置にあり、その後部(薬剤タンク13の外部に突出する部分)が、前記発光部20b及び受光部20cの間に位置して発光部20bからの光を遮光する。これに基づき、受光部20cは、前記制御手段15に粉末薬剤がなしとする信号を送出する。また、薬剤タンク13内に粉末薬剤が投入され、センサフィラー20dがこの作用を受けて図8の2点鎖線で示すように下向きに揺動した位置に変位する。これに伴い、センサフィラー20dの後部が前記発光部20b及び受光部20c間の光路から外れ、受光部20cは発光部20bからの光を受光する。受光部20cによる受光信号は、粉末薬剤ありの情報として制御手段15に送出される。
薬剤残量検出手段20は、対向関係で2箇所に設けられており、両薬剤残量検出手段20の粉末薬剤なしの信号によって、前記制御手段15は前記報知手段19をして、粉末薬剤がない旨の報知を行わせる。このように、両薬剤残量検出手段20からのアンド信号によって粉末薬剤なしの報知を行わせるようにしたのは、薬剤タンク13内において、粉末薬剤はその特有の安息角によって山形に堆積される為、薬剤残量検出手段20の設置位置によっては、粉末薬剤があるにも拘わらず、センサフィラー20dが粉末薬剤の作用を受けないことがあるからである。この意味から、2箇所に限らず、3箇所或いは4箇所に設けることも可能で、これにより有無情報の確度がより向上する。
発光部及び受光部とセンサフィラーとの関係を、例示とは逆になるよう構成しても良い。即ち、受光部が受光した時粉末薬剤あり、受光部が非受光の時粉末薬剤なしの信号を夫々送出するよう構成することも可能である。また、薬剤残量検出手段20としては、例示のようなフィラー式光電センサに限らず、他の公知のセンサ等も用いることができる。
図9は、前記洗浄タンク10の構成を概念的に示している。尚、本図において、便宜上、紙面垂直方向に位置する各構成部の大半を同一紙面上に表わし、これらの断面を示している。図9に示すように、洗浄タンク10には、前記導入管10c,10d、前記分岐バキューム管路52及び前記分岐エア供給管路42が、いずれも先端部が底部付近にまで及ぶように導入されている。導入管10c,10dの他端部には前記差込口10a,10bが連結され、これら差込口10a,10bは、スピットン2における胴部2aのハウジングに取付けられている(図6も参照)。また、前記薬剤希釈用分岐給水管路34及び前記薬剤供給手段12の薬剤供給管12aが上蓋部10eより洗浄タンク10に導入されている。更に、該洗浄タンク10には、オーバーフロー管10fが設けられ、該オーバーフロー管10fは、排水バルブ10gを経て排水管路61(いずれも、図1参照)に通じている。この場合、前記差込口10a,10bを、洗浄タンク10の上蓋部10eに直接設けても良い。
図10は、洗浄タンク10の他の形態を示す。図10においては、前記第1の分岐バキューム管路52の途中に、前記差込口10a,10bに連結される導入管10c,10dが合流し、分岐バキューム管路52のみが吸引管として洗浄タンク10内に導入されており、この点で、図9の例とは異なる。その為、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8による洗浄タンク10内からの薬液混合洗浄水の吸引は、第1の分岐バキューム管路52を通じてなされることになるが、吸引機能自体は変わらず、従って、後記するバキューム管路の洗浄は、図9の例の場合と同様に実施されることになる。この場合、洗浄タンク10に挿入される管が少なくなるから、洗浄タンク10の実質内容量を大きくすることができ、限られたスペースの中でも、1回の管路洗浄に必要な量の薬液混合洗浄水の確保するよう設計することができ、設計自由度が広がる。その他の構成は、図9と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
次に、前記構成のバキューム管路洗浄装置における洗浄工程について、図3及び図4のタイムチャート図も参照して説明する。尚、図3はバキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8からバキュームタンク11までのバキューム管路を、図4は洗浄タンク10からバキュームタンク11までのバキューム管路を洗浄する工程を夫々示している。図3の洗浄工程を実施するに先立ち、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8を、先端ノズルヘッド部或いはチップ部を取外した状態で、前記差込口10a,10bに夫々差込装着する。そして、図3において管路洗浄スイッチ17がオン操作されると、若干のタイムラグを以ってバキュームポンプ50がオンとされる。同時に、薬剤希釈用分岐給水管路34の電磁弁34aがオン(開)とされ、洗浄タンク10内に給水がなされる。所定時間給水がなされた後、一旦電磁弁34aがオフ(閉)とされ、同時に薬剤供給手段12の前記エアシリンダ14aが作動して薬剤供給管12aから粉末薬剤が洗浄タンク10に投入供給されると共に、前記分岐エア供給管路42の電磁弁42aがオン(開)とされ、洗浄タンク10内に圧縮空気が導入される。この圧縮空気の導入によって、洗浄タンク10内の水と粉末薬剤とが攪拌混合され、粉末薬剤が水に溶解し薬液混合洗浄水が生成される。予め設定された時間が経過するまでを薬液作成工程S1として、これを継続する。薬剤希釈用分岐給水管路34からの給水時間は、薬液混合洗浄水が引続く管路洗浄に使用されるに必要な量となるよう設定される。従って、洗浄タンク10の実質的な内容量もこれに見合うよう設計される。
前記薬液作成工程S1が終了すると、主バキューム管路51の電磁弁51a、第2の分岐バキューム管路53及び第3の分岐バキューム管路54の電磁弁53a,54aがオン(開)とされ、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8より、導入管10c,10dを経て洗浄タンク10内の前記薬液混合洗浄水が吸引される。吸引された薬液混合洗浄水は、第2の分岐バキューム管路53及び第3の分岐バキューム管路54を経てバキュームタンク11に至り、ここで気液分離され、薬液混合洗浄水はバキュームタンク11に貯留される。この吸引を所定時間継続し、この間、導入管10c,10d、第2の分岐バキューム管路53、第3の分岐バキューム管路54、バキュームタンク11までの主バキューム管路51(カットフィルタ51bも含む)及びバキュームタンク11内が洗浄され、消毒される。この工程を管路洗浄工程S2とする。管路洗浄工程S2の継続時間は、洗浄タンク10内の薬液混合洗浄水が略なくなるまでの時間に設定される。
この管路洗浄工程S2の後、電磁弁34aが再びオンとされ、洗浄タンク10に所定時間給水される。引き続き電磁弁51a,53a,54aがオンとされ、洗浄タンク10内の薬剤を含まない洗浄水が、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8によって吸引される。吸引された洗浄水は、前記同様、第2の分岐バキューム管路53及び第3の分岐バキューム管路54を経てバキュームタンク11に至り、この間をすすぎ工程S3とし、第2の分岐バキューム管路53、第3の分岐バキューム管路54及びバキュームタンク11までの主バキューム管路51がすすぎ洗浄される。すすぎ工程S3は、洗浄タンク10内のすすぎ用洗浄水が略なくなるようその時間が設定される。すすぎ洗浄水は、バキュームタンク11で気液分離され貯留される。すすぎ工程S3を所定時間行った後、バキュームタンク11の排水バルブ11aが開かれ、バキュームタンク11内に貯留された洗浄排液が排水管路61を経て排水元60に排水される(排水工程S4)。排水工程S4を所定時間行った後、管路洗浄スイッチ17がオフとされ、一連のバキューム管路洗浄工程が終了する。
図4は、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8からの吸引を行わず、主にバキュームタンク11と、これに関連する主バキューム管路51の洗浄を目的として行うものである。従って、洗浄に先立ち、バキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8を前記差込口10a,10bに夫々差込装着することを要しない。即ち、図4において管路洗浄スイッチ17がオン操作されると、若干のタイムラグを以ってバキュームポンプ50がオンとされる。同時に、薬剤希釈用分岐給水管路34の電磁弁34aがオンとされ、洗浄タンク10内に給水がなされる。所定時間給水がなされた後、一旦電磁弁34aがオフとされ、同時に薬剤供給手段12の前記エアシリンダ14aが作動して薬剤供給管12aから粉末薬剤が洗浄タンク10に投入供給されると共に、前記分岐エア供給管路42の電磁弁42aがオンとされ、洗浄タンク10内に圧縮空気が導入される。この圧縮空気の導入によって、洗浄タンク10内の水と粉末薬剤とが攪拌混合され、薬液混合洗浄水が生成される。予め設定された時間が経過するまでを前記と同様の薬液作成工程S10として、これを継続する。薬剤希釈用分岐給水管路34からの給水時間は、前記と同様に設定される。
前記薬液作成工程S10が終了すると、主バキューム管路51の電磁弁51a及び第1の分岐バキューム管路52の電磁弁52aがオンとされ、第1の分岐バキューム管路52によって、洗浄タンク10内の前記薬液混合洗浄水が吸引される。吸引された薬液混合洗浄水は、第1の分岐バキューム管路52を経てバキュームタンク11に至り、ここで気液分離され、薬液混合洗浄水はバキュームタンク11に貯留される。この吸引を所定時間継続し、この間、第1の分岐バキューム管路52、バキュームタンク11までの主バキューム管路51(カットフィルタ51bも含む)及びバキュームタンク11内が洗浄され、消毒される。この工程を管路洗浄工程S20とする。管路洗浄工程S20の継続時間は、前記と同様に、洗浄タンク10内の薬液混合洗浄水が略なくなるまでの時間に設定される。
この管路洗浄工程S20の後、電磁弁34aが再びオンとされ、洗浄タンク10に所定時間給水される。引き続き電磁弁51a,52aがオンとされ、洗浄タンク10内の薬剤を含まない洗浄水が、第1の分岐バキューム管路52によって吸引される。吸引された洗浄水は、前記と同様、第1の分岐バキューム管路52を経てバキュームタンク11に至り、この間をすすぎ工程S30とし、第1の分岐バキューム管路52及びバキュームタンク11までの主バキューム管路51がすすぎ洗浄され、すすぎ洗浄水は、バキュームタンク11で気液分離され貯留される。その後、バキュームタンク11の排水バルブ11aが開かれ、バキュームタンク11内に貯留された洗浄排液が排水管路61を経て排水元60に排水される(排水工程S40)。排水工程S4を所定時間行った後、管路洗浄スイッチ17がオフとされ、一連のバキュームタンク11を中心とするバキューム管路洗浄工程が終了する。
尚、このバキューム管路洗浄工程においては、患者の口腔内に挿入されるバキュームシリンジ7及びサライバエジェクタ8は関与せず、従って、バキュームタンク11内や主バキューム管路51に残る薬液等が患者に影響することがないから、すすぎ工程S30を省略しても良い。
前記のような薬液作成工程S1(S10)から、排水工程S4(S40)への一連の工程は、管路洗浄スイッチ17のオン操作により、予め定められたシーケンスに従ってなされる。この場合、薬液作成工程S1(S10)を、図5(a)(b)に示すような別パターンで実施することも可能である。即ち、図5(a)の例では、洗浄タンク10への給水、薬剤投入供給及び薬剤攪拌を同時に開始し、充分に薬剤攪拌がなされた後、次の管路洗浄工程S2(S20)に移行するようシーケンスが組まれる。また、図5(b)の例では、給水の途中から薬剤投入供給及び薬剤攪拌を開始し、充分に薬剤攪拌がなされた後、次の管路洗浄工程S2(S20)に移行するようシーケンスが組まれる。これらのシーケンスパターンによれば、全体の洗浄時間が短縮されるメリットがあり、仕様により適宜選択採用される。
尚、前記実施形態では、歯科用診療装置に本発明に係るバキューム管路洗浄装置を適用した例について述べたが、耳鼻科用或いは産婦人科用等の診療装置にも適用することができる。また、図7及び図8では薬剤供給手段を概念的に示したが、実際の設計上はこれと異なる構造になることは言うまでもなく、また薬剤供給手段を別の構造にすることも除外するものではい。更に、薬剤供給手段12に用いられる薬剤が粉末薬剤である例について述べたが、高濃度の薬液を用い、洗浄タンク10内で所定の濃度に水で希釈するようにしても良い。加えて、洗浄タンク10及び薬剤供給手段12をスピットン2の胴部2a内に設置した例について述べたが、例えば、これらを歯科用診療台1の近傍に配置されたキャビネット(不図示)内に設け、差込口10a,10bをこのキャビネットの外装パネル等に設けるようにしても良く、更には、薬剤供給手段12の薬剤タンク13を設置位置に対して着脱自在に装着し得るよう構成しても良い。また、図6に示す歯科用診療装置Aにおいては、大半の歯科用インスツルメントが、背板1cの肩部に繰出し自在に保持されているが、これに限定されず、歯科用診療台1の側部に移動自在に設置される歯科用トレーテーブル(不図示)にインスツルメントホルダーを設け、これに保持させるようにしても良い。