以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明者らは、図1に示すようにピン孔3を有するブラケット1が接合された構造部材4と、他の構造部材10とが、ピン孔3に挿通されたピン(図示しない)を介して結合され、他の構造部材10からピンを通じて荷重Pが作用する場合に、構造部材4の撓みtを詳細に検討した。
その結果、構造部材4の撓みtは、ブラケット1を構成するフランジ2から構造部材4に伝達される応力の分布に大きく依存し、構造部材4に溶接されているフランジ端部7は、中央部9の応力が小さく、両側端部8の応力が大きくなるほど、荷重Pの作用方向における構造部材4の撓みtは小さくできることを知見した。すなわち、フランジ端部7の中央部9は構造部材4の固定端14から離れているため、中央部9に応力が集中すると構造部材4は容易に撓むことができ、逆にフランジ端部7の両側端部8に応力が集中するほど構造部材4がより全体的に撓み、撓みtの最大値を小さくすることができることを知見した。
この知見をもとにさらにブラケットの形状を詳細に検討した結果、図2に2枚のフランジのうちの1枚の模式図を示すように、フランジ端部7の両側端部8の板厚を中央部9の板厚より厚くすること、およびフランジ2に形成されているピン孔の底3aから溶接部6までの距離をH(mm)、フランジ端部7の長さをW(mm)とするとき、2H≦Wとすることにより、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。これは、フランジ端部7の両側端部8の板厚を中央部9より厚くすることにより、ピン孔3を通じて加わる荷重Pが中央部9に流れずに両側端部8へ流れること、さらにフランジ端部7の長さWをピン孔の底3aから溶接部6までの距離Hの2倍以上とすることで応力がより広範囲に広がることの両方の効果によるものである。また、2H>Wとなると、フランジ端部7の長さWが十分大きくないためにピン孔3から負荷された荷重Pが広がる幅が無く、構造部材4の限られた範囲に応力が分布する結果、構造部材4の撓みtを十分に低減することが出来ないことが判明した。
また、フランジ端部7の両側端部8の板厚が中央部分9の板厚と同じか小さい場合には、ピン孔3から負荷された荷重Pがフランジ端部7の両側端部8よりも中央部9に集中するため、構造部材4の撓みtは低減されないことが判明した。フランジ端部7の中央部9の、両側端部8よりも板厚の小さい領域5は、例えば図3(a)に示すようにピン孔3の底3aからフランジ端部7の中央部9までの一部であっても、あるいは全範囲であっても同様の効果が得られ、さらに、例えば図3(b)、(c)に示すようにフランジ端部7に達していても、そうでなくても良く、また、例えば図3(b)に示すように略三角形であっても図3(d)に示すように略円形であっても差し支えないことを知見した。
またさらに、図4は図2のA−A’断面であり、フランジ端部7の断面形状例を示すものである。板厚の小さい領域5は、例えば図4(a)に示すようにフランジ2の両面が窪んで形成されても、図4(b)に示すように片面のみが窪んで形成されても良く、両側端部8と板厚の小さい領域5との境界は、例えば図4(a)、(b)に示すように段差が形成されていても、図4(c)、(d)に示すように滑らかであっても同様の効果が得られることが判明した。
以上述べたように、フランジ端部7の両側端部8は中央部9より板厚が厚く、2H≦Wとしたブラケットは、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
次に、本発明者らは、ピン孔の底3aから溶接部6までの距離Hと、フランジ端部7の長さWが、2H≦Wとなるブラケットにおいて、フランジ2におけるピン孔3の底3aからフランジ端部7の中央部9までの板厚の範囲を詳細に検討した。
その結果、ピン孔の底3aからフランジ端部7の中央部9までの板厚が、フランジ端部7の両側端部8の板厚の0.5〜0.85倍のときに、構造部材4の撓みtが小さくなることを知見した。ピン孔の底3aからフランジ端部7の中央部9までの板厚が、フランジ端部7の両側端部8の板厚の0.5倍より小さい場合には、フランジ2を構造部材4に入熱の大きなアーク溶接等で溶接する際に溶接部6の溶け落ちが生じ、健全な溶接継手が得られない。またフランジ端部7の両側端部8の板厚の0.85倍より大きい場合にはフランジ端部7の中央部9に伝達する応力が小さくならず、その結果構造部材4の撓みtは小さくならないことが判明した。以上述べたように、ピン孔の底3aから溶接部6までの距離をH(mm)、フランジ端部7の長さをW(mm)とするとき2H≦Wであり、ピン孔の底3aからフランジ端部7の中央部9までの板厚が、フランジ端部7の両側端部8の板厚の0.5〜0.85倍のブラケットは、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかになった。
次に本発明者らは、ピン孔の底3aからフランジ端部7の中央部9までの板厚を、フランジ端部7の両側端部8の板厚よりもさらに小さくしたブラケットの形状・寸法を詳細に検討した。
その結果、図5に示すように、フランジ2を貫通するピン孔の底3aから溶接部6までの距離Hと、フランジ端部7の両側端部8の外側同士の間隔W1が、2H≦W1であって、かつ、フランジ2が略くの字の形状から成り、フランジ端部7の両側端部8のみが、それぞれ構造部材4に溶接されているブラケット1は、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。フランジ2が略くの字の形状であってフランジ端部7の両側端部8のみが構造部材4に溶接されることにより、ピン孔3から伝達される荷重は両側端部8を通って構造部材4に負荷されるため、構造部材4の撓みtを大きく低減できる。併せてピン孔の底3aから溶接部6までの距離Hと、フランジ端部7の両側端部8の外側同士の間隔W1が2H≦W1であることにより、荷重は十分な広がりをもって両側端部8に流れることができる。略くの字の形状は、その詳細を特に限定するものではなく、図5に示すフランジ2の他、図6(a)〜(d)に示すような形状であっても全く差し支えなく同様の効果が得られることを知見した。
以上のことから、2H≦W1であって、かつフランジ2が略くの字の形状から成り、フランジ端部7の両側端部8のみが、それぞれ構造部材4に溶接されているブラケット1は、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
またさらに本発明者らは、略くの字のフランジ2が構造部材4と接合されている両側端部8の寸法を詳細に検討した。その結果、フランジ2が略くの字の形状から成り、フランジ2を貫通するピン孔3が形成され、かつフランジ端部7の両側端部8のみが、それぞれ構造部材4に溶接されているブラケット1において、ピン孔の底3aから溶接部6までの距離Hと、フランジ端部7の両側端部8の外側同士の間隔W1が2H≦W1であって、フランジ2における構造部材4に溶接されているフランジ端部7の両側端部8の外側同士の間隔W1(mm)に対する、両側端部8の内側同士の間隔W2(mm)の比W2/W1が0.5〜0.9であるブラケットは、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。W2/W1が0.5より小さいと、フランジ端部7の両側端部8のそれぞれの幅が大きくなるため、構造部材4に伝達される応力はフランジ端部7の両側端部8の中で幅をもって一様に分布する結果、構造部材4の撓みtを十分に低減できない。またW2/W1が0.9より大きいと、フランジ端部7の両側端部8が狭くなり過ぎ、フランジ2そのものの剛性が低下して撓みが大きくなり、座屈しやすくなる。以上のことから、フランジ2が略くの字の形状から成り、フランジ2を貫通するピン孔3が形成され、かつフランジ端部7の両側端部8のみが、それぞれ構造部材4に溶接されているブラケットにおいて、2H≦W1であって、W2/W1が0.5〜0.9であるブラケット1は、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
加えて本発明者らは、これまで述べてきた特徴のブラケット1において、図7および図8に示すように、フランジ面におけるピン孔の底3aを中心として、中央部9に相当する、フランジ端部7の板厚が両側端部8よりも板厚の小さい領域5または空洞の領域16(図5参照)の両側方に外接する2本の直線がなす角度Rを詳細に検討した。
その結果、角度Rが80〜100°である場合に、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。これは、ピン孔3から伝達された荷重によって発生する応力が幅方向に十分広がるためには、ピン孔の底3aを中心として、伝達方向に対して±45°の角度が必要であるためである(伝達方向を0°とし、右回りをプラス、左回りをマイナスとする)。この角度Rが100°より大きいと、ピン孔3から伝達された荷重によって発生する応力が幅方向には十分に広がるが、フランジ端部7の両側端部8で応力の発生しない無駄な部分が生じるとともにフランジ2自体も大きなものになり、重量増および溶接施工時間増を招く。またこの角度Rが80°より小さい場合には、ピン孔3から伝達された荷重によって発生する応力は幅方向には十分に広がらず、構造部材4の撓みtをさほど低減しない。このように、これまで述べてきた特徴のブラケットにおいて、フランジ面におけるピン孔の底3aを中心として、フランジ端部7の板厚が両側端部8よりも板厚の小さい領域5または空洞の領域16に外接する線がなす角度Rを80〜100°としたブラケットは、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
これまでは、構造部材4の両端の2つの固定端14の中央にブラケット1が接合される場合について述べてきたが、本発明者らは、さらに図9に示すように、構造部材4の片方の固定端14に近い位置にブラケット1が接合される場合のフランジ2の両側端部8の断面積を詳細に検討した。
その結果、フランジ2の両側端部8のうち、図9に示すように構造部材4の固定端14との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.2〜3.0倍である場合に、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。これは、フランジ2の両側端部8a、8bを通じて構造部材4に伝達される荷重のうち、構造部材4の固定端14により近い方の側端部8aから構造部材4に伝達される荷重の割合が大きいほど、構造部材4の撓みtが小さくなるためである。構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aから構造部材4へ伝達される荷重の割合を大きくするには、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの断面積が固定端14に遠い方の側端部8bの断面積よりも大きくすることが必要である。構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.2倍よりも小さいと、両側端部8a、8bから構造部材4に伝達される荷重に大差がなく、構造部材4の撓みtはさほど低減しない。また構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの断面積を、遠い方の側端部8bの断面積の3.0倍よりも大きくすると、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aから構造部材4に伝達される荷重は飽和し、それ以上大きくしても構造部材4の撓みtをさらに低減する効果が得られにくい。さらに、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの断面積が遠い方の側端部8bの断面積の3.0倍よりも大きくなると、固定端14に近い方の側端部8aの長さが大きくなり過ぎて荷重の伝達しない無駄な部分が発生するか、あるいは板厚が厚くなり過ぎてブラケットの加工が困難になるなどのコスト増を招く。構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの断面積を大きくする方法としては、図9のC−C’断面の形状を図10(a)に示すように側端部8aの幅を大きくしても、図10(b)に示すように側端部8aの板厚を増加させても良く、いずれも同様に構造部材4の撓みtを低減させることが出来る。このように、フランジ2の両側端部8のうち、構造部材4の固定端14との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.2〜3.0倍である場合に、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
またさらに、本発明者らは、構造部材4の片方の固定端14の近くにブラケット1が接合される場合について、フランジ2の両側端部より板厚の小さい領域5または空洞の領域16の両側方に外接する2本の直線について詳細に検討した。
その結果、図11に示すように、フランジ2の両側端部8a、8bより板厚の小さい領域5または空洞の領域16の両側方に外接する2本の直線のうち、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部6のなす角raが、固定端14との距離が遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接線6のなす角rbよりも5〜40°大きい場合に、構造部材4の撓みtを大きく低減できることを知見した。これは、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部6のなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接線6のなす角rbよりも大きいと、固定端14に近い方の側端部8aを通じて構造部材4へ伝達する荷重が、遠い方の側端部8bを通じて構造部材4へ伝達する荷重よりも大きくなり、構造部材4の撓みtを大きく低減できるためである。角raが角rbに比べて大きくても、その差が5°よりも小さい場合には、両側端部8a、8bの断面積が同じであれば、両側端部8a、8bから構造部材4へ伝達する荷重はほぼ同じであり、構造部材4の撓みtを大きく低減する効果が無い。また、角raが角rbより40°を超えて大きい場合には、固定端14から遠い方の側端部8bから構造部材4へ伝達する荷重が小さくなって無駄な部分が発生するため、ブラケットの加工が複雑になるなどのコスト増を招く。このように、フランジ2の両側端部8a、8bよりも板厚の小さい領域5または空洞の領域16の両側方に外接する2本の直線のうち、構造部材4の固定端14に近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部6のなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接線6のなす角rbよりも5〜40°大きい場合に、構造部材4の撓みtを大きく低減できることが明らかとなった。
なお、本発明は、適用されるブラケットの材料の種類には依存せず、鋼材、アルミニウムおよびその合金、チタンおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、樹脂など、いずれの材料にも適用可能であり、板材、管材を加工したもの、鋳造・鍛造したものであっても同様の効果が得られる。また、本発明はブラケットの構造を工夫して構造部材の弾性状態の変形量を低減した発明であるので、材料の化学組成、機械的性質等に依らず、相対的に全ての材料に対して有効である。
また、本発明のブラケットは、図1に示すように構造部材4の一面に突き合せて溶接するものに限らず、例えば図12に示すように構造部材4の上面及び下面の二面に重ねるようにして溶接されたものでも同様の効果が得られることは言うまでもない。
本発明ではブラケットを構成するフランジの形状・寸法について述べたが、ブラケットは図1に示すように2枚の独立したフランジ2から成るものであっても、図13に示すように2つのフランジ2がリブ部12を介して繋がった1枚の板からなるものであっても、同様の効果が得られる。さらに図14及び図14のB−B’断面を示す図15のように、構造部材4の一部である下側のフランジ部4aと対をなして、構造部材4の上面に設置(溶接)された1枚のフランジ2から成るブラケット1であっても、構造部材4の撓みを低減することが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述の発明をもとに、図16に示す形状の中空角材を構造部材とし、その中央に2枚のフランジ2からなるブラケットを溶接して取り付けた。図17に示すように、この構造部材4の両端を冶具に溶接して固定した状態で、フランジ2に形成されたピン穴3に挿入したピンを介して1000kgfの荷重Pを負荷し、中空角材からなる構造部材4の最大撓みtを測定した。溶接には溶接ワイヤ:JIS−Z3312 YGW12(1.2mm径)、溶接電流210A、アーク電圧23V、溶接速度80cm/min、パス数1パスの条件で炭酸ガスアーク溶接を適用した。ただし、No.11、23、35(表1〜3参照)の試験体は、アーク溶接を適用するとフランジ端部の中央部分が溶け落ちる危険性があるため、パワー8kW、溶接速度8.5m/min、シールドガス:9L/minのアルゴンガスの条件で炭酸ガスレーザー溶接を用いた。ブラケットは、図18(a)〜(f)に示す本発明例および参考例と、比較例として図18(g)に示す従来形のブラケットも製作して同様に載荷試験を行った。構造部材4およびブラケット1は全て引張強さ780MPa級鋼材を用いた。構造部材の板厚は、3.0mmとした。
その結果を表1〜表6に示す。なお、表中の「撓みの低減率」とは、従来技術の比較例であるNo.37および38の平均値に対する撓み低減の比率である。また、表中、下線を引いた数値は、本発明のうちいずれかの条件を満たさないものを示す。
表1〜表3は、それぞれ本発明のブラケットの実施例であるa、b、cタイプおよび比較例である従来形のgタイプの結果を示している。表1のNo.3〜12、表2のNo.15〜24、表3のNo.27〜36は本発明の請求項1に係わる発明例であり、比較例であるNo.1、2(表1)、13、14(表2)、25、26(表3)および従来形のブラケットであるNo.37、38に比べて撓みが5%以上低減されており、本発明のブラケットが構造部材の撓み低減に効果的であることがわかった。
このうち、No.4〜10、12(表1)、16〜22、24(表2)、28〜34、36(表3)は、ピン孔の底からフランジ端部の中央部までの一部又は全部の板厚Tcが、フランジ端部の両側端部の板厚Teの0.5〜0.85倍であって、本発明の請求項2に係わる発明の実施例であり、上記の範囲外の実施例No.3、11(表1)、15、23(表2)、27、35(表3)に比べてさらに3%以上低減されている。またさらに、このうちNo.5〜9(表1)、17〜21(表2)は上記の両側端部の板厚Teに対する中央部の板厚Tcの比(Tc/Te)が0.67であり、No.29〜33(表3)は同比が0.70とそれぞれ一定値であって、ピン孔の底を起点として板厚の小さい領域に外接する線がなす角度Rの影響を調べた例であり、これらの中では、本発明の請求項3に係わり、上記角度Rが80〜100°である実施例No.6〜8(表1)、18〜20(表2)、30〜32(表3)の撓み低減率が他の例よりも大きい。以上のように、本発明のブラケットは構造部材の撓みを大きく低減させることが判明した。
表4〜6は、ブラケットの参考例であるd、e、fタイプおよび前掲の比較例である従来形のgタイプの結果を示している。表4のNo.40〜50、表5のNo.52〜62、表6のNo.64〜74は、比較例であるNo.39(表4)、51(表5)、63(表6)並びに従来形のブラケットであるNo.37、38に比べて撓みが5%以上低減されており、参考例のブラケットが構造部材の撓み低減に効果的であることがわかる。
このうち、No.41〜48、50(表4)、53〜60、62(表5)、65〜72、74(表6)は、構造部材に溶接されている両側端部の外側同士の間隔W1に対する両側端部の内側同士の間隔W2の比(W2/W1)が0.5〜0.9であって、上記の範囲外の参考例No.40、49(表4)、52、61(表5)、64、73(表6)に比べてさらに3%以上低減されている。またさらにこのうちNo.43〜47(表4)、55〜59(表5)、67〜71(表6)は上記の両側端部の外側同士の間隔W1に対する両側端部の内側同士の間隔W2の比W2/W1が、それぞれ0.67、0.68、0.72であって、ピン孔の底を起点として空洞の領域に外接する線がなす角度Rの影響を調べた例であり、これらの中では、上記角度Rが80〜100°である参考例No.44〜46(表4)、56〜58(表5)、68〜70(表6)の撓み低減が他の例よりも大きい。以上のように、参考例のブラケットは構造部材の撓みを大きく低減させることが判明した。
以上のように、本発明のブラケットは、構造部材の撓み低減に有効であることが判明した。
上述の発明をもとに、実施例1と同じく図16に示す形状の中空角材を構造部材とし、その一方の固定端14aから400mm離れた位置を中心にし、2枚のフランジ2からなるブラケット1を溶接して取り付けた。図19に示すように、この構造部材4の両端を冶具に溶接して固定した状態で、フランジ2に形成されたピン穴3に挿入したピンを介して1000kgfの荷重Pを負荷し、中空角材からなる構造部材4の最大撓みtを測定した。溶接には溶接ワイヤ:JIS−Z3312 YGW12(1.2mm径)、溶接電流210A、アーク電圧23V、溶接速度80cm/min、パス数1パスの条件で炭酸ガスアーク溶接を適用した。ただし、No.96〜98(表7参照)の試験体は、アーク溶接を適用するとフランジ端部の中央部分が溶け落ちる危険性があるため、パワー8kW、溶接速度8.5m/min、シールドガス:9L/minのアルゴンガスの条件で炭酸ガスレーザー溶接を用いた。ブラケットは、図18(a)および(d)に示す本発明例および参考例と、比較例として図18(g)に示す従来形のブラケットも製作して同様に載荷試験を行った。構造部材4およびブラケット1は全て引張強さ780MPa級鋼材を用いた。構造部材の板厚は、3.0mmとした。また、本発明のブラケットのうち、両側端部の板厚が異なるものについては、ピン穴を有する中央部で板厚の差による段差が生じないように、滑らかに加工した。
その結果を表7および表8に示す。なお、表中の「撓みの低減率」とは、実施例1と同様に従来技術の比較例であるNo.124および125の平均値に対する撓み低減の比率である。また、表中、下線を引いた数値は、本発明のうちいずれかの条件を満たさないものを示す。
表7は、本発明のブラケットの実施例であるaタイプおよび比較例である従来形のgタイプの結果を示している。表7のNo.77〜99は本発明の請求項3に係わる発明例であり、比較例であるNo.75、76および従来形のブラケットであるNo.124、125に比べて撓みが5%以上低減されており、本発明のブラケットが構造部材の撓み低減に効果的であることがわかった。
このうち、No.83〜90、92〜98は、構造部材4の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.2〜3.0倍であって、本発明の請求項4に係わる発明の実施例であり、上記の範囲外の実施例のうちNo.77、78、82、91、99に比べてさらに3%以上低減されている。またさらに、このうちNo.85〜89、93〜97は、上記の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積のそれぞれ2.25倍および2.00倍であって、固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raと、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbとの関係の影響を調べた例であり、これらの中では、本発明の請求項5に係わり、上記固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbより5〜40°大きい実施例No.86〜88、94〜96の撓み低減率が他の例よりも大きい。またさらに、No.77〜82は、いずれも、上記の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が遠い方の側端部8bの断面積の1.15倍であって、固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raと、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbの関係の影響を調べた例であって、同じく本発明の請求項5に係わる。上記固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbより5〜40°大きい実施例No.79〜81の撓み低減率が、他の例No.77、78、82よりも大きい。以上のように、本発明のブラケットは構造部材の撓みを大きく低減させることが判明した。
表8は、ブラケットの参考例であるdタイプおよび比較例である従来形のgタイプの結果を示している。表8のNo.101〜123は本発明の請求項3に係わる発明例であり、比較例であるNo.100および従来形のブラケットであるNo.124、125に比べて撓みが5%以上低減されており、参考例のブラケットが構造部材の撓み低減に効果的であることがわかった。
このうち、No.107〜114、116〜122は、構造部材4の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.2〜3.0倍であって、上記の範囲外の参考例のうちNo.101、102、106、115、123に比べてさらに3%以上低減されている。またさらに、このうちNo.109〜113、117〜121は上記の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積のそれぞれ2.25倍および2.00倍であって、固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raと、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbとの関係の影響を調べた例であり、これらの中では、上記固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbより5〜40°大きい参考例No.110〜112、118〜120の撓み低減率が他の例よりも大きい。またさらに、No.102〜106は、いずれも、上記の固定端との距離が近い方の側端部8aの断面積が、遠い方の側端部8bの断面積の1.15倍であって、固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raと、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbの関係の影響を調べた例である。上記固定端との距離が近い方の側端部8aの側方に外接する直線と溶接部がなす角raが、遠い方の側端部8bの側方に外接する直線と溶接部がなす角rbより5〜40°大きい参考例No.103〜105の撓み低減率が、他の例No.101、102、106よりも大きい。以上のように、参考例のブラケットは構造部材の撓みを大きく低減させることが判明した。