JP5246047B2 - 繊維ボードの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、離型シートは消耗品であるため、交換時にはラインを停止する必要があるという不便を生じることや、離型シート自体が高価であるというコスト的な問題がある。
(1)植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、
植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する繊維マット形成工程と、
前記繊維マットの両表面に、熱可塑性樹脂の水分散体をスプレー塗布する水分散体塗布工程と、
前記水分散体が塗布された繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る加熱加圧工程と、を備えることを特徴とする繊維ボードの製造方法。
(2)前記繊維マットは、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、該植物性繊維が30〜95質量%である上記(1)に記載の繊維ボードの製造方法。
(3)前記水分散体塗布工程では、前記繊維マット100質量部に対して、前記水分散体に含まれた熱可塑性樹脂が1〜15質量部となるように該水分散体を塗布する上記(1)又は(2)に記載の繊維ボードの製造方法。
(4)前記熱可塑性樹脂繊維は、前記酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、該酸変性熱可塑性樹脂は0.5〜15質量%である上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
(5)前記熱可塑性樹脂繊維及び前記水分散体は共に、ポリオレフィンを含む上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
(6)前記植物性繊維は、ケナフ繊維である上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、植物性繊維が30〜95質量%である場合は、多量の植物性繊維を活用しつつ、優れた機械的特性及び意匠性を備える繊維ボードを効率よく低コストで製造できる。
水分散体塗布工程で繊維マット100質量部に対して水分散体に含まれた熱可塑性樹脂が1〜15質量部となるように水分散体を塗布する場合は、特に優れた離型効果が得られる。従って、優れた機械的特性及び意匠性を備える繊維ボードをより効率よく低コストで製造できる。
熱可塑性樹脂繊維が酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、酸変性熱可塑性樹脂が0.5〜15質量%である場合は、本発明の方法を用いることによる優れた離型性を特に効果的に得ることができる。
熱可塑性樹脂繊維及び水分散体が共にポリオレフィンを含む場合は、特に優れた機械的特性及び意匠性を備える繊維ボードが得られる。
植物性繊維がケナフ繊維である場合は、ケナフが短期間で成長する一年草であり、且つ優れた二酸化炭素吸収性等を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献することができる。
本発明の繊維ボードの製造方法は、植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、繊維マット形成工程と、水分散体塗布工程と、加熱加圧工程と、を備えることを特徴とする。
前記「繊維マット形成工程」は、植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する工程である。
この植物性繊維の平均繊維長は10〜150mm、特に20〜100mm、更に30〜80mmであることがより好ましい。この繊維長範囲であれば、繊維マットを得るための混合がより容易であると共に、得られる繊維ボードの機械的特性をより向上させることができる。尚、この平均繊維長は、JIS L1015に準拠し、直接法にて無作為に単繊維を1本づつ取り出し、伸張させずに直伸させ、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
尚、前記熱可塑性樹脂繊維として、前記第1の熱可塑性樹脂繊維(酸変性樹脂及び非酸変性樹脂を含有)及び第2の熱可塑性樹脂繊維(酸変性樹脂を含まず、非酸変性樹脂を含む)の両方の繊維を用いる場合についても上記と同様である。更に、本発明における植物性繊維の質量は、平衡水分率10%における測定値であるものとする。
また、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は1mm以下であることが好ましい。1mm以下であれば、繊維ボードの機械的特性を向上させることができる。この平均繊維径は0.001〜0.5mm、特に0.01〜0.2mm、更に0.02〜0.1mmであることがより好ましい。
尚、平均繊維長及び平均繊維径の測定方法は植物性繊維の場合と同様である。
前記「水分散体塗布工程」は、前記繊維マットの両表面に、熱可塑性樹脂の水分散体をスプレー塗布する工程である。
本発明で用いることができる具体的な水分散体としては、商品名ケミパールWP100(三井化学株式会社製のPP水分散体)、商品名ケミパールW401(三井化学株式会社製のPE水分散体)、商品名ケミパールW4005(三井化学株式会社製のPE水分散体)、商品名ケミパールW900(三井化学株式会社製のPE水分散体)、商品名ケミパールW905(三井化学株式会社製のPE水分散体)、商品名ケミパールWH201(三井化学株式会社製のPE水分散体)などが挙げられる。
また、水分散体の粘度は、1000mPa・s以下(通常、50mPa・s以上)であることが好ましく、700mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下が更に好ましい。この範囲では、スプレー塗布性に優れており、加熱加圧工程において繊維マットのコンベアへの付着をよりよく抑制できる。
尚、水分散体にはその機能を阻害しない範囲で他の成分が含有されてもよい。
前記「加熱加圧工程」は、水分散体が塗布された繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る工程である。この加熱加圧によって、繊維マットに含まれた熱可塑性樹脂繊維が溶融され、溶融された熱可塑性樹脂繊維によって植物性繊維同士が結着される。
特に、酸変性樹脂の骨格樹脂、非酸変性樹脂、及び水分散体の分散質を構成する熱可塑性樹脂のいずれにもポリプロピレンを用いた場合には、170〜250℃が好ましく、180〜240℃がより好ましく、190〜230℃が更に好ましい。
尚、この温度は繊維マット内の温度を接触式温度センサーによって測定して得られる値である。
尚、この圧力は加圧機に内蔵された圧力センサーによって得られる値である。
尚、本発明における加熱加圧工程はコンベアを用いて繊維ボードを製造するための工程であるが、本発明には含まれないものの、繊維マットを加熱加圧工程において直接的に賦形することもできる。即ち、金型を用いて圧縮することにより、繊維ボードではなく、その他の各種の形状(製品形状)に成形することもできる。
更に、本発明の方法により製造される繊維ボードに含有される植物性繊維及び熱可塑性樹脂は、繊維マット形成工程で用いる植物性繊維及び熱可塑性樹脂の割合がそのまま維持される。
更に、本発明の方法で得られた繊維ボードは、必要に応じて、更に賦形工程(本成形工程)を経てより複雑な形状を有する成形品とすることもできる。
図1は、本発明の工程に従って繊維ボードを製造する繊維ボード製造装置1の一例を示す模式図である。この繊維ボード製造装置1は、繊維マット形成手段10と、水分散体塗布手段20と、加熱加圧手段30と、を有する。この装置1では、前記繊維マット形成工程、前記水分散体塗布工程、及び前記加熱加圧工程を行うことができる。
前記繊維マット形成手段10では、回転する回転体11と、この回転体11の表面に供給された原料繊維(植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)に圧縮空気を吹き付けて飛散させるエアブロー装置13と、を備えると共に、本発明の工程のうちの繊維マット形成工程を行うことができる。
繊維マット形成手段10では、原料繊維(植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)は回転体11の背部(図1左側)に供給される。回転体11の表面にはガーネットワイヤ(図示せず)と呼ばれる表面に無数の突起が形成されたワイヤが巻きつけられており、回転体11の背部から上部に至る範囲には、大小二つのローラ(ウォッカとストリッパ)からなるローラ対12が複数配置されている。繊維マット形成手段10に原料繊維が供給されると、原料繊維は、ガーネットワイヤによって回転体11の表面に付着して、回転体11の回動によって搬送されてローラ対12に巻き込まれてほぐされながら回転体11の表面を搬送される。そして、原料繊維は、回転体11の正面側(図1右側)上方に配設されたエアブロー装置13から吹き付けられた圧縮空気によって吹き飛ばされて、堆積されて位置において繊維マットが形成される。
水分散体塗布手段20は、本発明の工程のうちの水分散体塗布工程を行うことができる。この水分散体塗布手段20は、この手段20に供給された水分散体を噴霧するための噴射部21を備え、搬送手段42等の搬送手段によって搬送されてきた繊維マットの表面に水分散体をスプレー塗布する。また、この際に、繊維マットの両表面へ水分散体を塗布する方法は特に限定されない。例えば、(1)水分散体塗布手段20を、2機備えた上で、搬送手段42のライン上で繊維マットを表裏反転させて第1の水分散体塗布手段により水分散体を繊維マットの表面側に塗布し、次いで、第2の水分散体塗布手段により水分散体を繊維マットの裏面側に塗布することにより、表裏両面への塗布を達することができる。更に、例えば、(2)水分散体を刷毛によって塗布することにより、表裏両面への塗布を達することができる。
図1に例示される加熱加圧手段30は、ダブルベルト方式の加熱加圧装置であり、本発明の工程のうちの加熱加圧工程を行うことができる。
この加熱加圧手段30は、上下一定の間隔を隔てて配設された二組のドラム対311及び312と、各ドラム対に緊張状態で掛けられたステンレス製のエンドレスベルト(即ち、コンベア)321及び322を有する。エンドレスベルト321及び322は、各ドラム対311及び312の回転によって図1中矢印の方向へ上下等速で周回駆動される(即ち、ロールプレス機である)。そして、これらのエンドレスベルト321及び322の間に、繊維マットが挟み込まれ図1左方から図1右方へと搬送される。
[1]繊維ボードの製造
実施例1
(1)繊維マット形成工程
酸変性熱可塑性樹脂{酸変性ポリプロピレン、三洋化成工業社製、商品名「ユーメックス1001」(表1の「酸変性PP樹脂」)(酸価;26、重量平均分子量;40000、160℃における溶融粘度;16000mPa・s)}と、熱可塑性樹脂{EPブロック共重合樹脂、日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックSA01」(表1の「PP樹脂」)}と、を表1の配合となるようにドライブレンドして混合熱可塑性樹脂を得た。その後、この混合熱可塑性樹脂を溶融紡糸した後、裁断して、可塑性樹脂繊維(繊度;6.6dtex、平均繊維長;51mm)を作製した。その後、ケナフ繊維(平均繊維長;70mm)と、前記熱可塑性樹脂繊維と、を図1に示す繊維マット形成手段10(エアーレイ装置)2機を用いて、搬送手段42の樹脂ベルト上に2層に堆積させた後、図1に図示しないニードルパンチ装置を用いて繊維を交絡させて、目付量1200g/m2、厚さ10mm(密度0.13g/cm3)の繊維マットを作製した。
上記(1)で得られた繊維マットの表裏両面に、ポリプロピレン水分散体(三井化学株式会社製、品名「ケミパール WP100」、固形分濃度40%、粘度400mPa・s、分散質平均粒径1μm)を塗布した。ポリプロピレン水分散体の塗布量は、繊維マットを100質量部に対して3質量部(分散質であるポリプロピレンのみの質量割合)を塗布した。即ち、表面に1.5質量部、裏面に1.5質量部、のポリプロピレン量に相当する水分散体を塗布した。
上記(2)までに得られた繊維マットを、ステンレス製板(厚さ1.2mm)に挟持して、235℃の熱板プレスを用いて、加圧圧力1.37MPa(14kgf/cm2)で40秒間加熱加圧を施した(加熱加圧中の繊維マット内部温度は、接触式温度センサー(株式会社キーエンス製、型式「NR−1000」による測定において200℃まで上昇した)。次いで、冷却プレス(ステンレス製板、厚さ150mm)を3.92MPa(40kgf/cm2)で60秒間施して、繊維マット内部の温度を25℃まで下降させて繊維ボードを得た。
尚、得られた繊維ボードは、全て厚さが2.3mmであった。更に、目付は、実施例1が1180g/m2、実施例2が1200g/m2、実施例3が1220g/m2、実施例4が1260g/m2、実施例5が1300g/m2、比較例1が1140g/m2であった。
上記[1](3)において、行った「熱板プレス」及び「冷却プレス」の各々際の挟持物のプレス板への張り付きの有無を目視により調べた。その結果、張り付きを生じた場合には、表1の張り付きの有無の欄に「×」と示し、張り付きを生じなかった場合には、表1の張り付きの有無の欄に「○」と示した。
最大曲げ荷重は、厚さ2.3mm、幅50mm、長さ150mmの平面形状が長方形の試験片を使用し、試験片を、支点間距離100mmの2個の支点(上端部の曲率半径が3.2mm)により支持し、支点間の中心の作用点(上端部の曲率半径が3.2mm)から速度50mm/分にて荷重を負荷した際の最大曲げ荷重を測定した(JIS K7171に準拠する)。
Claims (6)
- 植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、
植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する繊維マット形成工程と、
前記繊維マットの両表面に、熱可塑性樹脂の水分散体をスプレー塗布する水分散体塗布工程と、
前記水分散体が塗布された繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る加熱加圧工程と、を備えることを特徴とする繊維ボードの製造方法。 - 前記繊維マットは、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、該植物性繊維が30〜95質量%である請求項1に記載の繊維ボードの製造方法。
- 前記水分散体塗布工程では、前記繊維マット100質量部に対して、前記水分散体に含まれた熱可塑性樹脂が1〜15質量部となるように該水分散体を塗布する請求項1又は2に記載の繊維ボードの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂繊維は、前記酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、該酸変性熱可塑性樹脂は0.5〜15質量%である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂繊維及び前記水分散体は共に、ポリオレフィンを含む請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
- 前記植物性繊維は、ケナフ繊維である請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
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