JP5252908B2 - 四フッ化ホウ酸塩の製造方法 - Google Patents

四フッ化ホウ酸塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、四フッ化ホウ酸塩の製造方法及びその製造装置に関し、より詳細には、蓄電素子の電解液に適用可能な四フッ化ホウ酸塩の製造方法、四フッ化ホウ酸塩を含む電解液、及びその電解液を備える蓄電素子に関する。
従来の四フッ化ホウ酸塩の製造方法として、例えば、四フッ化ホウ酸リチウムの製造方法としては、例えば、ホウフッ酸溶液に炭酸リチウムを作用させて四フッ化ホウ酸リチウムを得る方法が挙げられる。この方法で生成する塩はLiBF・HOで表されるホウフッ化リチウム・1水和物であるため、200℃程度での加熱による脱水が必要となる。しかしながら、200℃程度で加熱は、四フッ化ホウ酸リチウムを分解させるため、その純度の低下を招来する。しかも、数千ppmwの水分も残存する。従って、当該製造方法は、反応の制御性、及び得られる製品の純度等の点で必ずしも十分なものではない。
この問題を解決するため、例えば下記特許文献1では、フッ化リチウムを含むリチウム二次電池電解液用非水性有機溶媒中に、三フッ化ホウ素のガスを吹き込み、フッ化リチウムと三フッ化ホウ素を反応させることにより、四フッ化ホウ酸リチウムを製造する方法が開示されている。
しかし、前記の製造方法であると、フッ化リチウムは有機溶媒に対する溶解度が小さい為、当該有機溶媒は懸濁(スラリー)状になっている。この為、製造プロセスに於いて、フッ化リチウムを含む有機溶媒を循環させることが困難となり、連続プロセスによる四フッ化ホウ酸塩の製造が困難であるという問題がある。
特開平11−157830号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、連続プロセスにより、高収率で効率のよい四フッ化ホウ酸塩の製造を可能にする四フッ化ホウ酸塩の製造方法、四フッ化ホウ酸塩を含む電解液、及びその電解液を備える蓄電素子を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、四フッ化ホウ酸塩の製造方法、四フッ化ホウ酸塩を含む電解液、及びその電解液を備える蓄電素子について検討した。その結果、下記構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る四フッ化ホウ酸塩の製造方法は、前記の課題を解決する為に、有機溶媒に三フッ化ホウ素ガスを溶解させる第1工程と、前記三フッ化ホウ素に対し等価又はそれ以下の化学量論量のフッ化物(MFn Mは金属又はNH4、1≦n≦3)を前記有機溶媒に加え、四フッ化ホウ酸塩の溶液を生成させる第2工程と、前記四フッ化ホウ酸塩の溶液を前記第1工程に循環させることにより、前記有機溶媒に代えて四フッ化ホウ酸塩の溶液に三フッ化ホウ素ガスを溶解させる第3工程を有することを特徴とする。
フッ化物は概して有機溶媒に対し難溶性である。従って、三フッ化ホウ素ガスの吸収に先立ちフッ化物を有機溶媒に加えると、懸濁(スラリー)状態となる。この為、三フッ化ホウ素の吸収の際に、装置内部で固形フッ化物による閉塞が起こり、運転に支障が生じる。しかし前記の方法であると、先ず第1工程に於いて有機溶媒に三フッ化ホウ素ガスを吸収させた後に、第2工程に於いてフッ化物を有機溶媒に添加する。これにより、下記化学反応式に示す通り四フッ化ホウ酸塩を有機溶媒中で合成する。更に、フッ化物の添加量は三フッ化ホウ素に対し化学量論的に等価又はそれ以下となっているため、フッ化物の全てが三フッ化ホウ素と反応する。その結果、未反応のフッ化物が残存しない非スラリー状態の四フッ化ホウ酸塩溶液が得られる。これにより、四フッ化ホウ酸塩の溶液を第1工程に循環させることができ、有機溶媒に代えて四フッ化ホウ酸塩の溶液に三フッ化ホウ素ガスを溶解させることができる(第3工程)。即ち、前記方法であると、吸収塔をはじめとする種々の装置を使用することが可能となる上に連続運転も可能になり、四フッ化ホウ酸塩の生産性を向上させることができる。
Figure 0005252908
前記有機溶媒は、非水性有機溶媒、又は非水性イオン液体であることが好ましい。これにより、三フッ化ホウ素又は四フッ化ホウ酸塩の加水分解ならびに、三フッ化ホウ素又は四フッ化ホウ酸塩の水和物を副生することなく、三フッ化ホウ素を吸収させることができる。尚、三フッ化ホウ素又は四フッ化ホウ酸塩が加水分解すると、オキシフッ化ホウ酸やフッ酸及びホウ酸等の酸性物質、又は有機溶媒に対し、オシキフッ化ホウ酸塩、ホウ酸塩等の不溶解成分を生成する。これらの酸性物質、不溶解成分を含む電解液を蓄電素子に使用した場合、蓄電素子の腐食や電気特性の劣化等の悪影響を与える。このため、有機溶媒としては、水分濃度の低いものを使用するのが好ましい。この様な観点から、前記有機溶媒の水分濃度としては100ppmw以下が好ましく、10ppmw以下がより好ましく、1ppmw以下が特に好ましい。
前記第1工程及び第3工程は吸収塔を用いて行うことができる。本発明の製造方法であると、有機溶媒及び四フッ化ホウ酸塩の溶液に三フッ化ホウ素ガスを溶解させた後、フッ化物を加えるので、懸濁(スラリー)状態となることがない。この為、第1工程及び第3工程に於いて吸収塔を用いてもその内部で閉塞が起こるのを防止し、連続運転を可能にする。その結果、四フッ化ホウ酸塩の生産性を向上させることができる。
本発明に係る電解液は、前記の課題を解決する為に、前記記載の四フッ化ホウ酸塩の製造方法により得られた四フッ化ホウ酸塩を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る蓄電素子は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の電解液を備えることを特徴とする。本発明の蓄電素子としては、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、吸収塔に於いて予め三フッ化ホウ素ガスを溶解させた有機溶媒に対し、反応槽に於いて三フッ化ホウ素に対し等価又はそれ以下の化学量論量のフッ化物を添加して両者を反応させるので、フッ化物の残存しない四フッ化ホウ酸塩の溶液が得られる。得られた四フッ化ホウ酸塩の溶液は再び吸収塔に供給して循環させ、この四フッ化ホウ酸塩に対し三フッ化ホウ素ガスを溶解させた後、反応槽に於いてフッ化物と三フッ化ホウ素とを反応させる。即ち、本発明によれば、四フッ化ホウ酸塩の溶液を循環させることにより、未反応のフッ化物や不純物がなく、高純度の四フッ化ホウ酸塩を連続的な製造プロセスで製造することができる。また、フッ化物を除去する為のろ過工程が不要となり、経済的に優れている。
本発明の実施の形態について、図1を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施の形態に係る四フッ化ホウ酸塩の製造装置を概略的に示す説明図である。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大又は縮小等して図示した部分がある。
図1に示すように、本実施の形態に係る製造装置は、第1吸収塔1及び第2吸収塔5と、第1槽2、第2槽6、及び第3槽10と、ポンプ3、7、11と、第1冷却器4及び第2冷却器8と、脱気塔9と、エアーポンプ12と、凝縮器13とを備える。
前記第1槽2及び第2槽6に所定量の有機溶媒を張り込む。ポンプ3及び7にて第1槽2及び第2槽6の液をそれぞれ第1吸収塔1及び第2吸収塔5に供給し循環運転を行う。次いで、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素(BF3)ガスを供給する。三フッ化ホウ素は100%のものを用いてもよいし、不活性ガスを混合して適宜希釈したものを用いてもよい。不活性ガスを混合することにより第1吸収塔1及び第2吸収塔5における発熱を緩和することができる。また、不活性ガスとしては特に限定されず、例えばN2、Ar、ドライエアー、炭酸ガス等が挙げられる。希釈に使用する不活性ガス中の水分は、三フッ化ホウ素又は四フッ化ホウ酸塩の加水分解ならびに、三フッ化ホウ素又は四フッ化ホウ酸塩の水和物を副生しないように三フッ化ホウ素の加水分解を誘発しないように100ppmw以下の低水分であることが好ましく、10ppmw以下であることがより好ましく、1ppmw以下であることが特に好ましい。三フッ化ホウ素ガスは有機溶媒と第2吸収塔5内で向流接触することにより、有機溶媒中に溶解される(第1工程)。三フッ化ホウ素の有機溶媒への吸収熱は循環ラインに設けた第1冷却器4及び第2冷却器8により除去し、適切な運転温度に維持する。
次に、三フッ化ホウ素ガスが溶解した有機溶媒は第2槽6に供給される。第2槽6には、三フッ化ホウ素と等価、又はそれ以下の化学量論量のフッ化物が供給される。これにより、三フッ化ホウ素とフッ化物が反応を起こし、四フッ化ホウ酸塩が生成される(第2工程)。下記反応式は、三フッ化ホウ素とフッ化リチウムの反応を示している。
Figure 0005252908
第2槽6で生成された四フッ化ホウ酸塩の溶液は、配管を通じてポンプ7により送り出され、第2吸収塔5の塔頂部に供給される。塔底部に供給された三フッ化ホウ素が第2吸収塔内でこの四フッ化ホウ酸塩の溶液に吸収される(第3工程)。続いて、第2槽6でフッ化物との反応を連続的に行うことにより、四フッ化ホウ酸塩を所望する濃度にまで高める。このような循環運転を行うことにより、所定の濃度に達したところで、ポンプ7からの溶液の一部を製品として抜き出す。製品の抜き出しと同時に、第1吸収塔1へ外部より有機溶媒の供給を開始するとともに、ポンプ3の液供給先を第1吸収塔1から第2吸収塔5へ切り替え、四フッ化ホウ酸塩の溶液の連続生産を行う。この際、引き続き第1吸収塔1へ吸収液を一部、循環させながら同時に吸収液を第2吸収塔5へ供給してもよい。
第2槽6へのフッ化物の供給量は、有機溶媒に対し難溶性であるフッ化物がスラリー状で存在することを避けるために、有機溶媒に溶解している三フッ化ホウ素に対して等価、又はそれ以下の化学量論量であることが好ましい。これにより、装置中でのスラリー状のフッ化物による閉塞等を回避することが可能となる。三フッ化ホウ素をフッ化物に対して化学量論的に過剰にさせる方法としては、フッ化物に対して常に化学量論的に過剰の三フッ化ホウ素を供給し続けることにより実現可能であるが、過剰分の三フッ化ホウ素は何れかの工程で系外に排出しなくてはならず、原料のロスを招くことから好ましくない。予め運転上適切な過剰量の三フッ化ホウ素を吸収させた液に対して、三フッ化ホウ素とフッ化物を化学量論的に等価で供給することによる方法が更に好ましい。
また、第2工程で使用した三フッ化ホウ素を過剰に溶解した四フッ化ホウ酸塩の溶液は第3工程における第2吸収塔の塔頂部に供給されるが、その一部は脱気塔9にも供給される。更に、脱気塔9に送られた四フッ化ホウ酸塩の溶液はエアーポンプ12により減圧され、三フッ化ホウ素が留去される。これにより、三フッ化ホウ素とフッ化物が化学量論的に等価となった四フッ化ホウ酸塩の溶液に調整され、第3槽10から製品として抜き取られる。過剰に溶解した三フッ化ホウ素と化学量論的に等価のフッ化物を加え四フッ化ホウ酸塩の溶液を調整することもできるが、連続生産性の観点から過剰の三フッ化ホウ素は減圧で留去することが好ましい。また、減圧による三フッ化ホウ素の除去効率を上げるために、脱気塔9に加熱器を備え加熱しても構わない。
前記留去した三フッ化ホウ素は、エアーポンプ12で第2吸収塔5の塔底部に供給される。更に、第2吸収塔5で有機溶媒及び/又は四フッ化ホウ酸塩の溶液と向流接触させることで回収・再利用される。原料に用いる三フッ化ホウ素に少量のフッ化水素が含まれている場合は、四フッ化ホウ酸塩の溶液をエアーポンプ12で減圧してフッ化水素を留去した後、凝縮器13でフッ化水素を凝縮させて除去しても構わない。凝縮器13で凝縮される液(ドレン)には有機溶媒、フッ化水素、三フッ化ホウ素が含まれるが、そのまま廃液処理を施し廃棄してもよいし、フッ化水素、三フッ化ホウ素又は有機溶媒を必要に応じて回収再利用しても構わない。回収方法としては、蒸留、抽出等の通常の手法を用いることができる。
この様に、本発明では四フッ化ホウ酸塩の溶液を循環させることにより、高純度の四フッ化ホウ酸塩を収率良く連続的に製造することができる。
尚、本発明に於いては工業的な生産効率の観点から吸収塔を用いることが好ましいが、表面吸収やバブリングによる方法の採用を除くものではない。また、第1吸収塔1及び第2吸収塔5は充填塔、棚段塔、濡れ壁塔等いずれの形態の塔型吸収装置も使用可能である。更に、吸収の形式は向流、並流の何れでもよい。
前記第1工程及び第3工程に於いて、有機溶媒及び四フッ化ホウ酸塩の溶液中の三フッ化ホウ素ガスの濃度は15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。有機溶媒中の三フッ化ホウ素ガス濃度が高いと有機溶媒と三フッ化ホウ素との反応が起こり、有機溶媒の着色や変性、あるいは固化が起こる可能性がある。また、吸収熱が大きくなり液温のコントロールが困難となる可能性がある。
前記第1工程及び第3工程に於いて、三フッ化ホウ素ガスと有機溶媒及び四フッ化ホウ酸塩の溶液との気液接触温度は、−40〜100℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。気液接触温度が−40℃未満であると、有機溶媒が凝固するため連続運転ができなくなる。その一方、気液接触温度が100℃を超えると、有機溶媒及び四フッ化ホウ酸塩の溶液中の三フッ化ホウ素の蒸気圧が高くなりすぎ吸収効率が低下する、有機溶媒と三フッ化ホウ素の反応が起こるといった不都合がある。
前記有機溶媒は、非水性有機溶媒又は非水性イオン液体の少なくとも何れか一方であることが好ましい。また、非水性有機溶媒としては、更に非水性非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性であると水素イオンを供与する能力がないため、本発明の製造方法により得られた四フッ化ホウ酸塩の溶液をそのままリチウムイオン二次電池等の蓄電素子の電解液に適用することができる。
前記非水性有機溶媒としては特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチルラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、連続生産の観点からは生成した四フッ化ホウ酸塩が析出しにくい、つまり四フッ化ホウ酸塩の溶解性が高いエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタンが好ましい。また、これらの非水性有機溶媒は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。
更に、非水性非プロトン性有機溶媒としては、例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、カルボン酸エステル、ニトリル、アミド若しくはエーテル化合物等が挙げられる。
これらの非水性非プロトン性有機溶媒は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。
また、前記非水性イオン液体としては特に限定されず、第4級アンモニウム又は第4級ホスホニウム等のフッ化物錯塩若しくはフッ化物塩があげられる。中でも第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン等が挙げられる。更に、前記第4級ホスホニウムカチオンとしては、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらの非水性イオン液体は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよいし前記非水性有機溶媒に溶解して用いてもよい。
前記有機溶媒は、非水性有機溶媒、非水性イオン液体を一種、又は二種以上を混合して使用してもよい。
前記第2工程で添加されるフッ化物(MF、Mは金属又はNH、1≦n≦3)としてはLiFに限定されず、NaF、KF、RbF、CsF、NHF、AgF、CaF、MgF、BaF、ZnF、CuF、PbF、AlF、FeF等が挙げられる。これらのフッ化物は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。
フッ化物と三フッ化ホウ素ガスとの反応温度としては、−50℃〜200℃が好ましく、−10〜100℃がより好ましく、0℃〜50℃が特に好ましい。−50℃未満であると、有機溶媒の凝固や四フッ化ホウ酸塩が析出する可能性がある。その一方、200℃を超えると、生成した四フッ化ホウ酸塩が分解する場合がある。
得られた四フッ化ホウ酸塩溶液については、これを濃縮及び/又は冷却することにより四フッ化ホウ酸塩を析出させ、溶媒と分離することにより四フッ化ホウ酸塩を取り出すこともできる。
得られた四フッ化ホウ酸塩溶液については、そのまま蓄電素子の電解液と使用してもよいし、非水性非プロトン性有機溶媒、非水性イオン液体を一種、又は二種以上を混合して使用してもよい。
尚、四フッ化ホウ酸塩の製造の際に使用するホウ素成分含有ガス、具体的には、三フッ化ホウ素ガスは吸収液に吸収させて回収・再利用するのが好ましい。前記吸収液としては、例えば、水、フッ酸水溶液、及びM(M塩はLi、Na、K、Rb、Cs、NH、Ag、Mg、Ca、Ba、Fe及びAlからなる群より選択される少なくとも何れか一種を含む炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物)を含む溶液が例示できる。より具体的には、0〜80重量%の水若しくはフッ化水素水溶液、又はM塩(MはLi、Na、K、Rb、Cs、NH、Ag、Mg、Ca、Ba、Fe及びAlからなる群より選択される少なくとも何れか一種を含む炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物)を溶解させた0〜80重量%の水若しくはフッ化水素水溶液が挙げられる。三フッ化ホウ素ガスを吸収液に吸収させることにより、M(BF)n(式中、1≦n≦3)及び/又はHBF(OH)・mHO(式中、0≦a≦1、0≦b≦4、0≦c≦3、0≦m≦8)として回収することができる。これにより、BFガスを過剰量用いた場合でも、原料のロスを抑制することができる。
また、四フッ化ホウ酸塩の製造の際に第2吸収塔5から流出した三フッ化ホウ素は、図1に示すように、直列に接続された第1吸収塔1で三フッ化ホウ素を回収する。第1吸収塔1で得られた三フッ化ホウ素を含有した有機溶媒は第2吸収塔5に供給する。第1吸収塔1で吸収しきれなかった三フッ化ホウ素は前記に示す吸収方法で回収・再利用しても構わない。これにより、三フッ化ホウ素ガスを過剰量用いた場合でも、全量使用され、原料のロスを抑制することができる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例及び比較例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施例1)
本実施例は図1に示す装置を用いて行なった。市販電池グレードのジエチルカーボネート(水分濃度9ppmw)をフッ素樹脂製の第1槽2及び第2槽6にそれぞれ3L仕込んだ後、ポンプ3及び7を用いて各吸収塔及び槽での循環運転を開始した。このとき、ポンプ3及びポンプ7の流量はともに1L/minとした。また、第1槽2及び第2槽6はそれぞれ第1冷却器4及び第2冷却器8を用いて20℃の恒温にした。
次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素ガスを3.41g/minで供給を開始した。2分間有機溶媒に三フッ化ホウ素ガスを吸収させた後、フッ化リチウムを1.30g/minで第2槽6へ供給し始めた。フッ化リチウムの供給開始から60分後に、製品を51.7ml/minで抜き出し始めた。製品の抜き出しと同時に、第1吸収塔1へ50ml/minで有機溶媒を供給するとともに、ポンプ3での液の供給先を第1吸収塔1から第2吸収塔5へ切り替え、以降連続運転とした。
60分の連続運転により、3,295.8gの溶液を脱気塔9に供給し、エアーポンプ12で減圧することにより前記溶液中に過剰に溶解した三フッ化ホウ素ガスを留去した。留去後、第3槽10から抜き出し3,350gの四フッ化ホウ酸リチウムの溶液を得た。留去した三フッ化ホウ素ガスに随伴するジエチルカーボネートは凝縮器13により除去した。その後、原料の三フッ化ホウ素ガスに合流させ再利用した。尚、留去した三フッ化ホウ素ガスと原料の三フッ化ホウ素ガスの合計の供給量は3.41g/minに維持した。
この様にして得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート溶液は、不溶解成分が10ppmw以下、遊離酸10ppmw以下、水分10ppmw以下であった。また、得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート溶液を40℃の下、更に減圧してジエチルカーボネートを留去して白色固体を得た。白色固体をXRD分析した結果、四フッ化ホウ酸リチウムであることが確認された。
(実施例2)
本実施例は図2に示す装置を用いて行なった。市販電池グレードのジエチルカーボネート500g(水分濃度9ppmw)をフッ素樹脂製の第2槽6に入れ、ポンプ7で第2吸収塔5の塔頂部に供給し、循環させた。第2槽6は冷却器8を用いて20℃の恒温にした。次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素ガスを流量0.5L/minで16.7分間供給し、22.6gを導入した(第1工程)。
次に、第2槽6にフッ化物としてのフッ化リチウム8.0gを徐々に供給した。フッ化リチウムは速やかに三フッ化ホウ素を含有した有機溶媒に溶解し、有機溶媒中で三フッ化ホウ素と反応した。これにより、530.6gの四フッ化ホウ酸リチウムの溶液を得た(第2工程)。
更に、ジエチルカーボネート500gを第2槽6に加え、前記と同様の操作を行った(第3工程)。得られた四フッ化ホウ酸リチウムの溶液のうち275gを第3槽10に抜き取り、20℃の恒温にし、過剰に溶解した三フッ化ホウ素と化学量論的に等価のフッ化リチウム0.335gを加えた。
この様にして得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート溶液は、不溶解成分が10ppmw以下、遊離酸10ppmw以下、水分10ppmw以下であった。また、得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート溶液を40℃の下、エアーポンプ12で減圧してジエチルカーボネートを留去し、白色固体を得た。白色固体をXRD分析した結果、四フッ化ホウ酸リチウムであることが確認された。
(実施例3)
本実施例は図2に示す装置を用いて行なった。市販電池グレードのジエチルカーボネート250g(水分濃度9ppmw)とエチレンカーボネート250g(水分濃度7ppmw)をフッ素樹脂製の第2槽6に入れ、ポンプ7で第2吸収塔5の塔頂部に供給し、循環させた。第2槽6は冷却器8を用いて20℃の恒温にした。次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素ガスを流量0.5L/minで25.5分間供給し、34.6gを導入した(第1工程)。
次に、第2槽6にフッ化物としてのフッ化リチウム13.0gを徐々に供給した。フッ化リチウムは速やかに三フッ化ホウ素を含有した有機溶媒に溶解し、有機溶媒中で三フッ化ホウ素と反応した。これにより、457.6gの四フッ化ホウ酸リチウムの溶液を得た(第2工程)。
更に、ジエチルカーボネート250g及びエチレンカーボネート250gを第2槽6に加え、前記と同様の操作を行った(第3工程)。得られた四フッ化ホウ酸リチウムの溶液のうち275gを第3槽10に抜き取り、20℃の恒温にし、エアーポンプ12で減圧することにより過剰に溶解した三フッ化ホウ素を留去した。この様にして得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート/エチルカーボネート溶液は、不溶解成分が10ppmw以下、遊離酸10ppmw以下、水分10ppmw以下であった。
次に、この様にして得られた溶液を用いて図3に示すようなコイン型非水電解液リチウム二次電池を製作し、充放電試験により電解液としての性能を評価した。具体的には以下に示す手順で行った。
<負極22の作成>
天然黒鉛と結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を9:1の重量比で混合し、これにN−メチルピロリドンを加え、ペーストを得た。このペーストを厚さ22μmの銅箔上に電極塗工用アプリケーターを用いて均一に塗工した。これを120℃で8時間、真空乾燥し、電極打ち抜き機で直径16mmの負極22を得た。
<正極21の作成>
LiCoO粉末と導電助剤のアセチレンブラックと結着剤のPVdFを90:5:5の重量比で混合し、この混合物にN−メチルピロリドンを加え、ペーストを得た。このペーストを厚さ22μmの銅箔上に電極塗工用アプリケーターを用いて均一に塗工した。これを120℃で8時間、真空乾燥し、電極打ち抜き機で直径16mmの正極21を得た。
<コイン型非水電解液リチウム二次電池の作成>
正極21を正極缶24の底面に載せ、その上にポリプロピレン製多孔質セパレーター23を載置した後、実施例2で調製した非水性電解液を注入し、ガスケット26を挿入した。その後、セパレーター23の上に負極22、スペーサー27、スプリング28及び負極缶25を順々に載置し、コイン型電池かしめ機を使用して、正極缶24の開口部を内方へ折り曲げることにより封口し、非水電解液リチウム二次電池を作成した。続いて、充電を0.4mAの一定電流で行い、電圧が4.1Vに到達した時点で4.1V、1時間定電圧充電した。放電は1.0mAの定電流で行い、電圧が3.0Vになるまで放電した。電圧が3.0Vに到達したら3.0V、1時間保持し充放電サイクルにより充放電試験を実施した。その結果、充放電効率はほぼ100%で、充放電を150サイクル繰り返した所、充電容量は変化しなかった。
(実施例4)
本実施例は図2に示す装置を用いて行なった。市販の脱水メタノール500g(水分濃度9ppmw)をフッ素樹脂製の第2槽6に入れポンプ7で第2吸収塔5の塔頂部へ導入して前記有機溶媒を循環させた。第2槽6は冷却器8を用いて20℃の恒温にした。次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素ガスを流量0.5L/minで25.5分間供給し、34.6gを導入した(第1工程)。
次に、第2槽6にフッ化リチウム13.0gを徐々に供給した。フッ化リチウムは速やかに三フッ化ホウ素を含有した有機溶媒に溶解し、有機溶媒中で三フッ化ホウ素と反応した。これにより、457.6gの四フッ化ホウ酸リチウムの溶液を得た(第2工程)。
更に、メタノール500gを第2槽6に加え、前記と同様の操作を行った(第3工程)。得られた四フッ化ホウ酸リチウムの溶液のうち275gを第3槽10に抜き取り、20℃の恒温にし、エアーポンプ12で減圧することにより過剰に溶解した三フッ化ホウ素を留去した。
この様にして得られた四フッ化ホウ酸リチウムのメタノール溶液は、不溶解成分が10ppmw以下、遊離酸10ppmw以下、水分10ppmw以下であった。
次に、得られた四フッ化ホウ酸リチウムのメタノール溶液を60℃の恒温にして窒素5L/minでバブリングをし、メタノールの一部を蒸発させると、白色固体が析出した。この溶液をろ過し、得られた白色固体を60℃、窒素5L/minでパージの下、メタノールを留去した。得られた白色固体をXRD分析した結果、四フッ化ホウ酸リチウムであることが確認された。
(実施例5)
本実施例は図2に示す装置を用いて行なった。水が混入した市販電池グレードのジエチルカーボネート500g(水分濃度550ppmw)をフッ素樹脂製の第2槽6に入れ、ポンプ7で第2吸収塔5の塔頂部に供給し、循環させた。第2槽6は冷却器8を用いて20℃の恒温にした。次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素ガスを流量0.5L/minで17分間供給し、22.6gを導入した(第1工程)。
次に、第2槽6にフッ化物としてのフッ化リチウム8.0gを徐々に供給した。フッ化リチウムは速やかに三フッ化ホウ素を含有した有機溶媒に溶解し、有機溶媒中で三フッ化ホウ素と反応した。これにより、530.6gの四フッ化ホウ酸リチウムの溶液を得た(第2工程)。
更に、ジエチルカーボネート500gを第2槽6に加え、前記と同様の操作を行った(第3工程)。得られた四フッ化ホウ酸リチウムの溶液のうち275gを第3槽10に抜き取り、20℃の恒温にし、減圧することにより過剰に溶解した三フッ化ホウ素を留去した。この様にして得られた四フッ化ホウ酸リチウムのジエチルカーボネート溶液は、不溶解成分が30ppmw、遊離酸130ppmw、水分400ppmwであり、この溶液を用いて実施例3と同様にコイン型非水電解液リチウム二次電池を作製し充放電試験により電解液としての性能を評価した。その結果、充放電の初期効率は水分の電気分解を誘発した。充放電を150サイクル繰り返した所、充電容量の低下を20%程度に抑制することができた。また、150サイクル後のコインセルは若干の膨張が見られた。
(比較例1)
本比較例は図1に示す装置を用いて行なった。市販電池グレードのジエチルカーボネート (水分濃度9ppmw)をフッ素樹脂製の第1槽2及び第2槽6にそれぞれ3L仕込んだ後、ポンプ3及び7を用いて各吸収塔及び槽での循環運転を開始した。このとき、ポンプ3及びポンプ7の流量はともに1L/minとした。また、第1槽2及び第2槽6はそれぞれ冷却器4及び8を用いて20℃の恒温にした。
次に、第2吸収塔5の塔底部に三フッ化ホウ素を3.41g/minで供給を開始した。2分間有機溶媒に三フッ化ホウ素ガスを吸収させた後、フッ化リチウムを1.55g/minで第2槽6へ供給し始めた。フッ化リチウムの供給開始から60分後、第2吸収塔5がスラリー状のフッ化リチウムにより閉塞し、運転が困難になった。
本発明の実施の形態、実施例1及び比較例1に係る四フッ化ホウ酸塩の製造装置を概略的に示す説明図である。 本発明の実施例2〜5を説明するための概略図である。 本発明のリチウム二次電池の断面図を概略的に示す説明図である。
符号の説明
1 第1吸収塔
2 第1槽
3、7、11 ポンプ
4 第1冷却器
5 第2吸収塔
6 第2槽
8 第2冷却器
9 脱気塔
10 第3槽
12 エアーポンプ
13 凝縮器
21 正極
22 負極
23 多孔質セパレーター
24 正極缶
25 負極缶
26 ガスケット
27 スペーサー
28 スプリング

Claims (4)

  1. 有機溶媒に三フッ化ホウ素ガスを溶解させる第1工程と、
    前記三フッ化ホウ素に対し化学量論量以下のフッ化物(MFn Mは金属又はNH4、1≦n≦3)を前記有機溶媒に加え、四フッ化ホウ酸塩の溶液を生成させる第2工程と、
    前記四フッ化ホウ酸塩の溶液を前記第1工程に循環させることにより、前記有機溶媒に代えて四フッ化ホウ酸塩の溶液に三フッ化ホウ素ガスを溶解させる第3工程を有することを特徴とする四フッ化ホウ酸塩の製造方法。
  2. 前記有機溶媒は、非水性有機溶媒又は非水性イオン液体の少なくとも何れか一方であることを特徴とする請求項1に記載の四フッ化ホウ酸塩の製造方法。
  3. 前記有機溶媒として水分濃度が100ppmw以下のものを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の四フッ化ホウ酸塩の製造方法。
  4. 前記第1工程及び第3工程は吸収塔を用いて行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の四フッ化ホウ酸塩の製造方法
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